説明

対象となる信号およびノイズ間のロバストな分離を可能にする装置および方法

【課題】光学検査ツールによって与えられるヘイズデータを分析する方法および装置を提供する。
【解決手段】ヘイズデータは、試料表面に関連付けられた欠陥を検出するよう分析される。一般に、ヘイズデータは、試料上の低い周波数のバラツキに対応するバックグラウンドノイズが、そのようなヘイズデータの分析の前にヘイズデータから分離または除去されるよう、まず条件付けられる。具体的な実施形態において、試料表面における低い周波数のバラツキは、実質的には、入射ビームがその上に導かれる光学表面として特徴付けられる。ある例では、試料表面に対応するヘイズデータは、ゼルニケ方程式のような多項式で特徴付けられる。換言すれば、多項式方程式は、ヘイズデータの低い周波数の、つまりバックグラウンドのノイズにあてはめられる。この結果として生じる多項式方程式に合致するヘイズデータは、それから元のヘイズデータから引かれて、残差データを作り、ここで表面粗さにおける遅いバラツキが差し引かれ、残差ヘイズデータ中には可能な欠陥情報を残す。この残差ヘイズデータは、試料が欠陥を含むかを決定するために分析されえる。残差データを分析することによって欠陥の検出を向上させる技術も開示される。好ましくは、異なる検査ツール間で正規化されるように、結果として生じる残差データを較正する技術も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体試料のような試料の検査に関する。より具体的には、本発明は、ベアウェーハまたは均一なフィルムなどを有するウェーハの検査のあいだに集められたヘイズデータの分析に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造産業は、シリコンのような基板上に成膜およびパターン付けされる半導体材料を用いて集積回路を製造する高度に複雑な技術を伴う。回路集積の規模の大きさおよび半導体デバイスの小さくなるサイズのために、集積回路の製造の前に基板は欠陥が存在しないことが必要である。よって、ベア基板上のパーティクルまたはスクラッチのような欠陥を検出する検査プロシージャがクオリティコントロールを維持するためにしたがって重要である。検査プロシージャは、製造プロセスの不可欠かつ重要な部分であるので、半導体産業は、検査プロシージャの正確さおよび効率を改善することを常に求めている。
【0003】
ベアまたはパターン付けされていないウェーハ上の欠陥を位置特定する、ある従来の光学検査ツールは、ベアウェーハの表面を厳密にフォーカスされたレーザスポットで走査し、照射されたスポットによってウェーハ上で散乱された光の量を計測することによって働く。そのような検査ツールの一つの例は、カリフォルニア州、サンノゼのKLA-Tencor,Inc.から入手可能なSurfscan SP1 DLSおよびTBIツールである。
【0004】
パーティクルのような欠陥によって入射光は散乱されえる。よって、試料および試料上に位置する欠陥によって散乱および反射された光を分析することによって欠陥を検出することができる。大欠陥(gross defects)に加えて、表面テクスチャそのものが、パーティクル欠陥によって散乱された光に加えてある程度の回折光を作る。この表面光散乱はヘイズとして一般に呼ばれ、鏡面反射された光ビームの近くのより小さい角度において集中する傾向にある。このヘイズ信号は、表面粗さを決定するために分析されえる。ヘイズは、細かな段差、結晶粒組織のコンタミ、および光散乱または吸収を起こす他の表面欠陥のような表面における不完全性による、理想からのウェーハ表面の滑らかさの減少として一般に定義される。主観的には、多い量のヘイズを持つウェーハ表面は鈍く見え、ヘイズが少ないウェーハはツヤがある。よってヘイズ画像を視覚的に検査し、大まかに表面粗さプロファイルを評価することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欠陥を検出する従来のシステムは、ある種の応用例においてはうまく働くが、ベア試料または均一な膜層またはスタックを有する試料上の欠陥検出を促進する改良された検査装置および技術に対する継続する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光学検査ツールによって与えられるヘイズデータを分析するメカニズムが提供される。ヘイズデータは、試料表面に関連付けられた欠陥を検出するよう分析される。一般に、ヘイズデータは、試料上の低い周波数のバラツキに対応するバックグラウンドノイズが、そのようなヘイズデータの分析の前にヘイズデータから分離または除去されるよう、まず条件付けられる。具体的な実施形態において、試料表面における低い周波数のバラツキは、実質的には、入射ビームがその上に導かれる光学表面として特徴付けられる。ある例では、試料表面に対応するヘイズデータは、ゼルニケ方程式のような多項式で特徴付けられる。換言すれば、多項式方程式は、ヘイズデータの低い周波数の、つまりバックグラウンドのノイズ(またはバラツキ)にあてはめられる。この結果として生じる多項式方程式に合致するヘイズデータは、それから元のヘイズデータから引かれて、残差データを作り、ここで表面粗さにおける遅いバラツキが差し引かれ、残差ヘイズデータ中には可能な欠陥情報を残す。この残差ヘイズデータは、試料が欠陥を含むかを決定するために分析されえる。残差データを分析することによって欠陥の検出を向上させる技術も開示される。好ましくは、異なる検査ツール間で正規化されるように、結果として生じる残差データを較正する技術も提供される。
【0007】
これら本発明の技術のある有用な応用例は、ヘイズ分析結果を用いて、ベア試料または試料の均一な膜を研磨するのに用いられる研磨ツールのような処理ツールをモニタすることである。例えば、研磨するパッドが摩耗したとき、この摩耗は、研磨された試料から集められるヘイズデータに影響する。例えば、摩耗した研磨パッドによって研磨されたウェーハから集められたヘイズデータ中のバラツキは、処理および分析されて、研磨パッドが摩耗しているかを決定する。加えて、異なる検査ツール間にわたって正規化されるよう残差データの較正を含む実施形態において、残差データは、他の処理ツールの問題と共に、研磨パッドの摩耗に対応する偏差についてより正確に信頼性高く評価される。
【0008】
具体的な実施形態において、試料(例えばベア半導体ウェーハまたはその上に堆積された均一な膜を有する試料)の表面から与えられるヘイズデータを分析する方法が開示される。試料の表面粗さに対応するヘイズデータが提供される。低周波数のバラツキが前記ヘイズデータから除去されることによって、前記試料の前記表面中に存在する任意の欠陥に対応する残差データを形成する。さらなる実施形態において、残差データが分析されて、試料が任意の欠陥を有するかを決定する。
【0009】
具体的な実現例において、前記ヘイズデータからの低周波数のバラツキを除去することは、前記ヘイズデータの前記低周波数のバラツキをあてはめプランにあてはめること、および前記あてはめプランを前記ヘイズデータから引くことによって、前記残差データを形成することによって達成される。さらなる局面において、前記あてはめプランは、2次元(2D)多項式方程式の形式をとる。さらに他の局面において、前記2D多項式方程式は、ゼルニケ多項式である。具体的な例において、前記ゼルニケ多項式は、ティルト方向、ティルト量、およびボウル形状についての項を含む。さらなる実施形態において、前記ゼルニケ多項式は、2より大きい次数を有する。他の実施形態において、前記ゼルニケ多項式は、9より小さい次数を有する。代替の実施形態において、前記ヘイズデータから低周波数のバラツキを除去することは、フィルタを用いて達成される。
【0010】
さらなる局面において、前記ヘイズデータを前処理することによって、前記あてはめプランから前記ヘイズデータの一部を除外する。ある具体的な実現例において、前記前処理は、前記ヘイズデータ内の異常値を前記あてはめプランから除外することを含み、前記異常値は、前記試料のエッジおよび大きいブロブ欠陥に対応する輝度値を含む。さらなる例において、前記異常値を除外することは、前記ヘイズデータについての平均および標準偏差を決定すること、前記平均および標準偏差に依存するスレッショルドを決定すること、および前記スレッショルドに届かないヘイズデータを前記あてはめプランから除外することを含む。具体的な実現例において、前記スレッショルドは、前記標準偏差によって乗算された所定の係数を前記平均に加算したものに等しく設定される。他の実施形態において、前記所定の係数は、1.5に等しく設定される。他の局面において、前記所定の係数は、経験的に決定される。
【0011】
具体的な実現例において、前記残差データは、a)前記残差データの一部を含むウィンドウを得ること、b)前記得られたウィンドウ内で最低の輝度を有する最小ピクセルおよび最大の輝度を有する最大ピクセルを決定すること、およびc)前記ウィンドウが欠陥を有するかを、前記最小ピクセル、前記最大ピクセル、および所定のスレッショルドに基づいて決定することによって分析される。第1の技術において、前記最小ピクセルから前記最大ピクセルを引いたものが前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定される。第2ステップにおいて、(A)前記ウィンドウの中心ピクセルから前記最小ピクセルを引いたもの、および(B)前記最大ピクセルから前記中心ピクセルを引いたものの最大が、前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定される。前記残差データの他の領域を含む複数のウィンドウについてステップ(a)から(c)を反復することによって、前記残差データの全ての部分が分析されるようにする。
【0012】
他の具体的な実施形態において、前記所定のスレッショルドは、前記残差データに基づいてヒストグラムを決定すること、前記残差データから残差値の範囲を選択すること、および前記選択された範囲に基づいてスレッショルドを決定することによって決定される。ある局面において、前記スレッショルドは、前記範囲を所定の係数倍することによって決定され、前記所定の係数は、ヘイズデータを提供するそれぞれのシステムについて変化することによって、前記スレッショルドが前記異なるシステム間で正規化される。他の局面において、前記スレッショルドは、前記範囲を係数倍し、絶対スレッショルド値と足すことによって決定される。他の例において、前記選択された範囲は、約5および95パーセントの間である。
【0013】
他の局面において、本発明は、試料の表面から与えられるヘイズデータを分析するよう動作可能なコンピュータシステムに関する。コンピュータシステムは、上述の方法操作の1つ以上を実行するよう構成された1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリを含む。さらに他の局面において、本発明は、試料の表面から与えられるヘイズデータを分析するコンピュータプログラム製造物に関する。このコンピュータプログラム製造物は、少なくとも1つのコンピュータで読み取り可能な媒体および前記少なくとも1つのコンピュータで読み取り可能な媒体内に記憶された、上述の本発明のプロシージャの1つ以上を実行するよう構成されたコンピュータプログラム命令を含む。
【0014】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明の以下の明細書および添付の図においてより詳細に示され、これらは本発明の原理を例示的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の具体的な実施形態が詳細に参照される。この実施形態の例は添付の図面に示される。本発明はこの具体的な実施形態について説明されるが、本発明を一つの実施形態に限定されるよう意図されてはいないことが理解されよう。むしろ添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲内に含まれる代替物、改変物、および等価物をカバーするよう意図されている。以下の記載では多くの具体的な詳細が述べられているが、これは本発明の完全な理解を促すためである。本発明は、これら特定の詳細の一部または全てがなくても実施されえる。他の場合には、よく知られたプロセス操作は詳細には記載されていないが、これは本発明の趣旨を不必要にぼかさないためである。
【0016】
一般に言って、本発明は、ベア試料(bare specimen)または1つ以上の均一な膜を有する試料から得られたヘイズデータ(Haze data)を分析する技術および装置を提供する。本発明は、ベア半導体ウェーハに応用されるよう主に以下に説明されるが、ベア基板を含むか、またはその上に堆積された均一な膜または積層膜(film stack)を有する他のタイプの試料に応用されえる。ヘイズデータの分析の前に、試料またはウェーハにわたっての低い周波数のバラツキのようなバックグラウンドノイズを除去するためにヘイズデータはまずフィルタリングされる。
【0017】
バックグラウンドノイズは、試料にわたってゆっくり変化する試料のグローバルな粗さに対応する強度値として一般に定義される。バックグラウンドノイズは、試料表面中のスクラッチ、ピット、トレンチ、バンプ、ディンプル、研磨欠陥などのような欠陥に典型的には対応するバラツキを含まない。例えば、ヘイズデータは、ウェーハのエッジにおいて強度値が上がり、ウェーハの中心に向かって値が下がる「ボウル形」プロファイルをウェーハにわたって有する強度値の形をとるバックグラウンドノイズを含みえる。バックグラウンドノイズの他の例は、以下の任意の組み合わせを含む。すなわち、試料表面の均一な粗さ、試料表面の角度のついた平面、および試料表面のより高次の粗さバラツキである。
【0018】
バックグラウンドノイズがヘイズデータから差し引かれ、またはフィルタリングされた後、残差ヘイズデータは、試料にわたって欠陥または高い周波数のバラツキを検出するためにそれから分析される。欠陥は、試料表面中のスクラッチ、ピット、トレンチ、バンプ、ディンプル、研磨欠陥を含みえる。欠陥を探してヘイズデータを効果的に分析する技術および装置もさらに以下に提供され説明される。
【0019】
図1Aから1Cは、本発明のある実施形態によってヘイズデータを調整および分析する技術を一般に示す。図1Aは、そのようなヘイズデータも提供するよう構成された基板検査システムから出力されたベアウェーハからのヘイズデータ100の概略図である。ヘイズデータを提供できるシステムは、カリフォルニア州、サンノゼのKLA-Tencor,Inc.から入手可能なSurfscan SP1 DLSツールである。ヘイズは、試料の表面粗さおよび試料上に堆積された1つ以上の膜(もし存在するなら)の屈折率に一般に比例する。
【0020】
示されるように、ヘイズデータは、バックグラウンドノイズ110および2つの大きなスクラッチタイプの欠陥102aおよび102bを含む。スクラッチタイプの欠陥は、本発明の技術をよりよく示すために強調されている。2つの大きなスクラッチ欠陥102は、バックグラウンドノイズ110の存在下では検出が難しいかもしれない。すなわち、スクラッチ102は、バックグラウンドノイズ110と区別することが難しいかもしれない。
【0021】
図1Bは、本発明のある実施形態によってヘイズデータのバックグラウンドノイズに適用されたあてはめ(fitting)結果110の概略図である。示されるように、あてはめ結果は、図1Aのバックグラウンドノイズ110だけにしか対応しない。図1Cは、本発明のある実施形態によって図1Aのヘイズデータ100から図1Bのあてはめ結果110を引いた後の欠陥結果または残差データ120の概略図である。示されるように、図1Aのスクラッチ102aおよび102bは、図1Cの残差データ120内に存在する。
【0022】
図2は、本発明のある実施形態によってヘイズデータを分析するプロシージャ200を示すフロー図である。まずヘイズデータが操作202で提供される。ヘイズデータに基づいてあてはめプラン(fitting plan)が操作204でそれから決定される。このあてはめプランは、ヘイズデータのグローバルなまたは低周波数のバラツキ(ここでは「バックグラウンドノイズ」と呼ばれる)にあてはめられる。あてはめプランは、操作206で、それからヘイズデータから差し引かれ、残差または欠陥データを作る。残差データは、操作208で欠陥を検出するために分析される。ヘイズデータを分析するプロシージャはそれから完了する。
【0023】
ヘイズデータは、任意の適切なやり方で提供されえる。ベアウェーハを検査するシステムは、典型的にはそのようなヘイズデータを提供しえる。ある例示的システムは、カリフォルニア州、サンノゼのKLA-Tencor,Inc.から入手可能なSurfscan SP1 DLSツールである。あてはめプランは、ヘイズデータ内のグローバルな、または低い周波数のバラツキに一般に合致する。例えば、任意の2次元多項式があてはめプランのために利用されえる。代替として、ヘイズデータは、任意のフィルタリングメカニズムを通してフィルタリングされえる。ゼルニケ多項式は、光学産業の中でよく知られ、収差について光学系の波面を記述するために広く用いられる関数である。本発明においては、ゼルニケ多項式がヘイズデータに適用され、それにより表面が光学表面として特徴付けられる。
【0024】
ゼルニケ多項式は、円形ひとみを持つ光学系についての波面関数の展開において生じる直交多項式のセットである。奇数および偶数ゼルニケ多項式は以下において与えられる。
【0025】
【数1】

【0026】
ここで半径関数Rnm(ρ)は、n≧m≧0である整数nおよびmについて、以下によって定義される。
【0027】
【数2】

【0028】
ここでΦは、0≦Φ≦2πの方位角であり、ρは、0≦ρ≦1の半径方向距離である。
【0029】
任意の半径関数F(ρ,φ)は、ゼルニケ多項式によって以下のように表現されえる。
【0030】
【数3】

【0031】
上の展開における係数AnmおよびBnmは、以下によって計算されえるゼルニケあてはめ係数である。
【0032】
【数4】

【0033】
【数5】

【0034】
ゼルニケあてはめアルゴリズムは、その円形特性のためにウェーハ表面に適用するのによく適している。ゼルニケあてはめの次数がいったん特定されると、項の数が図3Aの表によって計算されえる。特別な場合は0次であり、このときあてはめは実行されない。次数についてのデフォールトの値は3であるが、特定の応用例に依存して他の項数が用いられえる。分析において、ヘイズデータにあてはめるためにティルト方向、ティルト大きさ、およびボウル形状が好ましくは含まれる。これらの項は以下のように定義される。
Tilt_Drection = atan (z(2), z(1));
Tilt_Magnitude = sqrt (z(2) * z(2) + z(1) * z(1)); および
Bowl_Shape = z(4).
iが0,1,2,3,4,…,に等しいZ(i)はゼルニケあてはめ係数である。2以上の次数は、3つのパラメータ全てを計算するために用いられえる。そうでなければ、次数は9より小さい。以下のファクタが次数を選択するのに考慮されえる。すなわち、よいあてはめであるか、メモリの使用量、およびスループットである。
【0035】
試料またはウェーハエッジにおけるヘイズ値は(任意の欠陥と同様)、非常に高い強度値を有する傾向にあるので、これらデータ点は、そうでなければあてはめ結果にバイアスを与えるかもしれないので、あてはめには用いられないかもしれない。すなわち、そのようなエッジ値およびブロブ欠陥値を含むあてはめ結果がヘイズデータから差し引かれるとき、間違って本当のブロブ欠陥を引いてしまうことがありえる。したがって、ヘイズデータは、あてはめプランが推定され、ヘイズデータに適用される前に、好ましくは前処理される。この前処理は、「悪い」ヘイズピクセルデータまたは異常値をあてはめプランから除外する。典型的には、これら異常値は、エッジピクセルおよび大きなブロブ欠陥の形をとる。これら異常値は、高い局所的ヘイズ勾配と共に大きな絶対値を作る大きな欠陥または不完全性を一般に含みえる。
【0036】
図3Bは、バックグラウンドノイズ310および3つの大きなブロブ欠陥302、304、および306を含むヘイズデータの概略図である。バックグラウンドノイズ310は、一般に灰色の見た目を有し、一方、3つの大きなブロブ欠陥302、304、および306は、高輝度または明るい外見を有する。図3Cは、本発明のある実施形態による図3Bの断面A−Aに沿った位置の関数としての輝度値を示すグラフである。ロバストなあてはめのために、ヘイズ輝度データ(Haze intensity data)の平均および標準偏差がまず決定されえる。標準偏差σは、それから係数αが乗じられ、平均μに加えられ、ヘイズデータの一部を除外するスレッショルドを決定する。
【0037】
係数αは、多くのやり方によって決定されえる。例えば、最初のデフォールトのαが選択され、既知の欠陥を有するサンプルに適用されえる。係数αは、あてはめプランが引かれた後に欠陥がヘイズデータから除外されなくなるまで、それから調整される。あてはめプランは、より小さい欠陥の一部に基づきえ、または欠陥に基づかなくてもよい。αの値として1.5がうまく働くと判った。
【0038】
異常値は、ウェーハの全体から大局的統計を用いて発見されえる。代替として、特定のウィンドウまたはウェーハの領域についての異常値は、より感度の高いアプローチである局所的統計を用いて発見されえる。しかし、トレードオフはロバストさであり、なぜなら大局的アプローチは、局所的アプローチよりもロバストである傾向にあるからである。
【0039】
図3Cにおいて示されるように、平均μプラスα倍の標準偏差σ(すなわちμ+ασ)に等しい値より上の輝度値を有するヘイズデータの一部は、あてはめプランから除外され、一方、平均μプラスα倍の標準偏差σに等しい値より下のヘイズデータはあてはめプラン内に含まれる。
【0040】
図4は、本発明のある実施形態による、異常値を除外しないゼルニケあてはめ408および小さなスクラッチ402を有するヘイズデータプロファイル412に適用された異常値を除外する理想のあてはめ410の概略図である。示されるように、ヘイズデータは、2つのウェーハエッジ404aおよび404b、大きなブロブ406、および小さなスクラッチ402を含む。ゼルニケあてはめ408が、異常値を除外することなくヘイズデータに適用されるとき、この種のあてはめは、あてはめ408がヘイズデータ412から引かれるときにスクラッチ402を残差データ(residual data)から除外するが、これはヘイズデータ412中のスクラッチがあてはめプロファイル408よりも下にあるからである。対照的に、ウェーハエッジ404および大きいブロブ406(かつひょっとすると小さいスクラッチ402)を除外するあてはめ410は、あてはめ410がヘイズデータ412から引かれるとき、小さいスクラッチ402を残差データから除外することにはならないが、これはスクラッチが今度はあてはめ410より上に出るからである。
【0041】
図5Aおよび5Bは、それぞれ本発明のある実施形態による残差画像500の概略図である。これら図は、本発明のある実施形態によって欠陥を検出するために残差データ(ヘイズデータから抽出された)を分析する2つの例示的技術を示すために用いられる。示されるように、残差画像500は、残差データの5×5ピクセルの表示である。このサイズは、本発明の技術を示すために単に用いられるのであって、任意の適切なサイズまたは形状であるように変えられえる。
【0042】
残差データが得られた後、欠陥がそれぞれのウィンドウ内に存在するかを決定するために、この残差データの一部がウィンドウ毎に分析されえる。図5Aは、残差画像500内の第1ウィンドウ502を示す。このウィンドウ502が1ピクセル右に移動されるとき、中心ピクセル552を有するウィンドウ550が図5Bに示されるように生じる。第1の技術において、最小輝度を有するピクセルおよび最大輝度を有するピクセルがそれぞれのウィンドウについて決定される。それぞれのウィンドウについて最大輝度ピクセル値が最小輝度ピクセル値から引かれ、輝度差を作る。それからこの輝度差は、ウィンドウの中心ピクセルについて欠陥が存在するかを決定するために所定のスレッショルドと比較される。例えば、もし差輝度が所定のスレッショルドより大きいなら、欠陥がその中心ピクセルについて存在すると決定される。
【0043】
第1の技術が図5Aに適用されるとき、最大および最小輝度ピクセルは、ウィンドウ502についてそれぞれ0の値を有する。ウィンドウ502については輝度の差も0に等しい。もし例えば所定のスレッショルドが10に等しいなら、ウィンドウ502およびその対応する中心ピクセル504は、欠陥を有しない。対照的に、図5Bのウィンドウ550および中心ピクセル552は、欠陥を有すると決定される。より具体的には、ウィンドウ550については最大ピクセル値が20で、かつ最小値ピクセルが−10である。最小ピクセル値−10を最大ピクセル値20から引くとウィンドウ550についての差の値は30になる。この差の輝度値30が例示的スレッショルド10よりも大きい。したがって、ウィンドウ550の中心ピクセル552は欠陥を有すると決定されえる。
【0044】
第2の技術において、以下のパラメータがそれぞれのウィンドウについて決定される。
【0045】
【数6】

【0046】
それからこれら2つのパラメータAおよびBが所定のスレッショルドより大きいかが決定される。もしこれら2つのパラメータの最大値が所定のスレッショルドより大きいなら、中心ピクセルは欠陥を有すると決定される。
【0047】
第2の技術が図5Aに適用されるとき、パラメータAおよびBは、ウィンドウ502について0の値を有するが、これは全てのピクセルが0だからである。したがって、ウィンドウ502についてAおよびBの最大値は0である。所定のスレッショルドが10に等しいとき、ウィンドウ502およびその対応する中心ピクセル504は欠陥を有しないと決定されるが、これはウィンドウ502についての最大値0がスレッショルド値10よりも小さいからである。対照的に、図5Bのウィンドウ550および中心ピクセル552は、欠陥を有すると決定される。より具体的には、ウィンドウ550については最大ピクセル値が20で、かつ最小値ピクセルが−10である。中心ピクセル552は0の値を有する。それからAパラメータは、中心ピクセル値0マイナス最小ピクセル値ー10に等しくなるので、ウィンドウ550についてA=10が生じる。それからBパラメータは、最大ピクセル値20マイナス中心ピクセル値0に等しくなるので、ウィンドウ550についてB=20が生じる。ウィンドウ550についてのAおよびBの最大値はそれから20に等しくなる。したがって、ウィンドウ550の中心ピクセル552は欠陥を有すると決定されえるが、これはこの最大値20がスレッショルド値10より大きいからである。
【0048】
所定のスレッショルドは、任意の適切なやり方で決定されえる。研磨されたシリコンウェーハの場合のヘイズバラツキまたはウェーハの粗さは、ウェーハのバッチの製造のあいだに増すので、適応スレッショルドアプローチが好ましくは利用される。この技術においては、残差データのヒストグラムが図6に示されるようにまず決定される。それから残差データの大部分を含むようにある範囲が選択される。ある実施形態において、この範囲は、残差輝度値の5%から95%を含む。目的は、あり得る欠陥をこの範囲から除外することである。可変スレッショルドを決定するために、それから可変係数がこの範囲の値で乗算されえる。具体的な実施形態において、スレッショルドは以下の式によって決定される。
【0049】
【数7】

【0050】
パラメータαは、相対スレッショルド係数であり、パラメータβは、固定または絶対スレッショルド値である。よって、絶対スレッショルドが望まれるときは、パラメータαはゼロに設定される。相対スレッショルドが望まれるときは、パラメータβがゼロに設定されえる。それからパラメータαは、輝度値の範囲(R)に依存するスレッショルド値を得るために、可変範囲(R)値に乗算される。αについて0.5の値がよく働くようである。
【0051】
図7は、本発明の技術が実現されえるベアウェーハ検査器システム10の概略図である。このシステム10の局面は、米国特許第6,271,916号および第6,201,601号に記載される。図を簡単にするために、照射ビームをウェーハに導く要素のような、システムの光学要素のいくつかは省略されている。ウェーハ20は、法線照射ビーム22および/または斜め入射ビーム24によって照射される。ウェーハ20は、チャック26上で支持され、このチャックはモータ28によって回転され、ギア30によって平行移動され、それによってビーム22および/または24が、ウェーハの表面を検査するためにウェーハ20の表面上を移動し螺旋パスをトレースするようにされる領域またはスポット20aを照射する。モータ28およびギア30は、当業者に知られるようなやり方でコントローラ32によって制御される。代替として、ビーム22、24は、螺旋パスまたは他のタイプの走査パスをトレースするよう当業者に知られるやり方で移動させられえる。
【0052】
ウェーハ20上で1つまたは両方のビームによって照射される領域またはスポット20aは、ビーム(群)から照射を散乱させる。ウェーハの表面に垂直な直線36に近い向きに沿って領域20aを通る、領域20aから散乱されたこの照射は、レンズ集光器38によって集められフォーカスされて、PMT40に導かれる。
【0053】
レンズ38は、法線方向に近い向きに沿って散乱された放射を集めるので、そのような集光チャネルは、ここではナローチャネルと呼ばれ、40は暗視野ナロー集光器と呼ばれる。所望なら、1つ以上の偏光子42がナローチャネル中の集光された放射のパス中に配置されえる。
【0054】
1つまたは両方のビーム22、24によって照射されたウェーハ20のスポット20aによって散乱された、法線方向36から離れた向きに沿った放射は、楕円体集光器52によって集光され、絞り54および光学偏光子56を通して暗視野集光器60にフォーカスされる。検出器40、60の出力は、信号を処理し、異常の存在およびその特性を決定するためにコンピュータ62に供給される。
【0055】
好ましくは、軸対称な集光器が用いられる。示される実施形態において、ワイドおよびナロー集光器は、ヘイズデータを集めるために用いられる。楕円体集光器52は、レンズ38よりも法線方向36からより広い角度の向きに沿った散乱された放射を集めるので、そのような集光チャネルは、ワイドチャネルまたは集光器と呼ばれる。レンズ38は、ナローチャネルまたは集光器と呼ばれる。代替の実施形態において、ヘイズデータは明視野チャネル、位相チャネル、およびセグメント化された(角度において)チャネルから獲得されえる。一般に、ヘイズデータは、あるXY空間の広がり(および選ばれた集光器による角度)内で集められた、散乱された光を平均化することによって得られる。ヘイズデータは、全体の散乱光のローパスフィルタが通されたもののような、任意の適切なやり方で点欠陥から分離されえる。
【0056】
システムの構成にかかわらず、システムは、汎用検査操作および/またはここに記載された本発明の技術のためのデータ、プログラム命令を記憶する、1つ以上のメモリまたはメモリモジュールを採用しえる。プログラム命令は、例えばオペレーティングシステムおよび/または1つ以上のアプリケーションの操作を制御しえる。メモリまたはメモリ群は、システムの特定の動作パラメータのための値と共に、走査された試料の画像および位置データを記憶するようにも構成されえる。
【0057】
このような情報およびプログラム命令は、ここで記載されたシステム/方法を実現するために採用されえるので、本発明は、ここで記載されたさまざまな操作を実行するためのプログラム命令、状態情報などを含む、機械で読み取り可能な媒体に関する。機械で読み取り可能な媒体の例は、以下に限定されないが、ハードディスク、フレキシブルディスク、および磁気テープのような磁気媒体、CD−ROMのような光媒体、フロプティカルディスクのような光磁気媒体、読み出し専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)のようなプログラム命令を記憶し実行するために特別に構成されたハードウェアデバイスを含む。また本発明は、空間波、光学ライン、電気ラインなどのような適切な媒体上を伝搬する搬送波中でも実現されえる。プログラム命令の例は、コンパイラによって生成されるような機械語、およびインタープリタを用いてコンピュータによって実行されえるより高いレベルのコードを含むファイルの両方を含む。
【0058】
前述の本発明は、理解の明瞭さのためにある程度、詳細に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲の範囲内である種の変更および改変が実施されえることは明らかだろう。本発明の技術は、ベアまたはパターン付けされない試料に適用されるとして記載されてきたが、もちろんそれらはパターン付きのウェーハにも適用されえる。ここで、ワイド集光器信号は、パターンノイズを抑圧するために、分割および結合される。したがって記載された実施形態は例示的であると考えられなければならず、限定的ではなく、本発明はここに与えられた詳細には限定されず、以下の特許請求の範囲およびその等価物の範囲全体によって規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】ベア半導体ウェーハから集められるヘイズデータの概略図である。
【図1B】本発明のある実施形態によって図1Aのヘイズデータのバックグラウンドノイズに適用されたあてはめ結果の概略図である。
【図1C】本発明のある実施形態によって図1Aのヘイズデータから図1Bのあてはめ結果を引くことから生じる残差データの概略図である。
【図2】本発明のある実施形態によってヘイズデータを分析するプロシージャを示すフローチャートである。
【図3A】本発明のある実施形態によってゼルニケあてはめの次数が特定されるときに、ゼルニケ多項式あてはめプランの項数を決定するのに用いられえる表を示す説明図である。
【図3B】バックグラウンドノイズおよび3つの大きなブロブ欠陥を含むヘイズデータの概略を示す説明図である。
【図3C】本発明のある実施形態による図3Bの断面A−Aに沿った位置の関数としての輝度値を示すグラフである。
【図4】本発明のある実施形態による、異常値を除外しないゼルニケあてはめおよび小さなスクラッチを有するヘイズデータプロファイルに適用された異常値を除外する理想のあてはめについて示す説明図である。
【図5A】本発明のある実施形態による残差画像の概要を模式的に示す説明図である。
【図5B】本発明のある実施形態による残差画像の概要を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明のある実施形態による例示的残差データのヒストグラムを示す説明図である。
【図7】本発明の技術が実現されえるベアウェーハ検査器システムの概略構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面から与えられるヘイズデータを分析する方法であって、
試料の表面粗さに対応するヘイズデータを提供すること、および
低周波数のバラツキを前記ヘイズデータから除去することによって、前記試料の前記表面中に存在する任意の欠陥に対応する残差データを形成すること
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ヘイズデータからの低周波数のバラツキを除去することは、
前記ヘイズデータの前記低周波数のバラツキをあてはめプランにあてはめること、および
前記あてはめプランを前記ヘイズデータから引くことによって、前記残差データを形成すること
によって達成される方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記あてはめプランは、2次元(2D)多項式方程式の形式をとる方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記2D多項式方程式は、ゼルニケ多項式である方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記ゼルニケ多項式は、ひとみの正規化された半径rおよび方位角Φによって表現される方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法であって、前記ゼルニケ多項式は、ティルト方向、ティルト量、およびボウル形状についての項を含む方法。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の方法であって、前記ゼルニケ多項式は、値2より大きい次数を有する方法。
【請求項8】
請求項4または5に記載の方法であって、前記ゼルニケ多項式は、値9より小さい次数を有する方法。
【請求項9】
請求項2ないし6のいずれかに記載の方法であって、前記ヘイズデータを前処理することによって、前記あてはめプランから前記ヘイズデータの一部を除外することをさらに含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記前処理は、前記ヘイズデータ内の異常値を前記あてはめプランから除外することを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記異常値は、前記試料のエッジおよび大きいブロブ欠陥および局所的ヘイズ勾配と共に大きな絶対輝度値を作る不完全性に対応する輝度値を含む方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法であって、前記異常値を除外することは、
前記ヘイズデータについての平均および標準偏差を決定すること、
前記平均および標準偏差に依存するスレッショルドを決定すること、および
前記スレッショルドに届かないヘイズデータを前記あてはめプランから除外すること
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記スレッショルドは、前記標準偏差によって乗算された所定の係数を前記平均に加算したものに等しく設定される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記所定の係数は、1.5に等しく設定される方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記所定の係数を経験的に決定することをさらに含む方法。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の方法であって、前記残差データを分析することによって、前記試料が任意の欠陥を有するかを決定することをさらに含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記残差データは、
a)前記残差データの一部を含むウィンドウを得ること、
b)前記得られたウィンドウ内で最低の輝度を有する最小ピクセルおよび最大の輝度を有する最大ピクセルを決定すること、および
c)前記ウィンドウが欠陥を有するかを、前記最小ピクセル、前記最大ピクセル、および所定のスレッショルドに基づいて決定すること
によって分析される方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記最小ピクセルから前記最大ピクセルを引いたものが前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定される方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、(A)前記ウィンドウの中心ピクセルから前記最小ピクセルを引いたもの、および(B)前記最大ピクセルから前記中心ピクセルを引いたものの最大が、前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定される方法。
【請求項20】
請求項17ないし19のいずれかに記載の方法であって、前記残差データの他の領域を含む複数のウィンドウについてステップ(a)から(c)を反復することによって、前記残差データの全ての部分が分析されるようにすることをさらに含む方法。
【請求項21】
請求項17ないし20のいずれかに記載の方法であって、前記所定のスレッショルドは、
前記残差データに基づいてヒストグラムを決定すること、
前記残差データから残差値の範囲を選択すること、および
前記選択された範囲に基づいてスレッショルドを決定すること
によって決定される方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記スレッショルドは、前記範囲を所定の係数倍することによって決定され、前記所定の係数は、ヘイズデータを提供するそれぞれのシステムについて変化することによって、前記スレッショルドが前記異なるシステム間で正規化される方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記スレッショルドは、前記範囲を係数倍し、絶対スレッショルド値と足すことによって決定される方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記絶対スレッショルドが望まれるときに前記所定の係数をゼロに設定することをさらに含む方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、相対スレッショルドが望まれるときに前記絶対スレッショルドをゼロに設定することをさらに含む方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、前記所定の係数は0.5である方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法であって、前記選択された範囲は、約5および95パーセントの間である方法。
【請求項28】
請求項1ないし27のいずれかに記載の方法であって、前記ヘイズデータから低周波数のバラツキを除去することは、フィルタを用いて達成される方法。
【請求項29】
請求項1ないし28のいずれかに記載の方法であって、前記試料は、ベアまたは半導体基板を備える方法。
【請求項30】
請求項1ないし28のいずれかに記載の方法であって、前記試料は、1つ以上のパターン付けされない膜をその上に有する半導体基板を備える方法。
【請求項31】
請求項1ないし27のいずれかに記載の方法であって、前記低周波数のバラツキは、前記試料表面の均一な粗さ、前記試料表面の角度の付けられた平面、および前記試料表面のより高次の粗さのバラツキの任意の組み合わせを含む方法。
【請求項32】
試料の表面から与えられるヘイズデータを分析するよう動作可能なコンピュータシステムであって、
1つ以上のプロセッサ、
1つ以上のメモリ
を備え、前記プロセッサおよびメモリの少なくとも1つは、
試料の表面粗さに対応するヘイズデータを提供すること、および
低周波数のバラツキを前記ヘイズデータから除去することによって、前記試料の前記表面中に存在する任意の欠陥に対応する残差データを形成すること
を行うよう構成されるコンピュータシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のコンピュータシステムであって、
前記ヘイズデータからの低周波数のバラツキを除去することは、
前記ヘイズデータの前記低周波数のバラツキをあてはめプランにあてはめること、および
前記あてはめプランを前記ヘイズデータから引くことによって、前記残差データを形成すること
によって達成されるコンピュータシステム。
【請求項34】
請求項33に記載のコンピュータシステムであって、前記あてはめプランは、2次元(2D)多項式方程式の形式をとるコンピュータシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のコンピュータシステムであって、前記2D多項式方程式は、ゼルニケ多項式であるコンピュータシステム。
【請求項36】
請求項35に記載のコンピュータシステムであって、前記ゼルニケ多項式は、2より大きい次数を有するコンピュータシステム。
【請求項37】
請求項35に記載のコンピュータシステムであって、前記ゼルニケ多項式は、9より小さい次数を有するコンピュータシステム。
【請求項38】
請求項33に記載のコンピュータシステムであって、前記ヘイズデータを前処理することによって、前記あてはめプランから前記ヘイズデータの一部を除外することをさらに含むコンピュータシステム。
【請求項39】
請求項38に記載のコンピュータシステムであって、前記前処理は、前記ヘイズデータ内の異常値を前記あてはめプランから除外することを含むコンピュータシステム。
【請求項40】
請求項39に記載のコンピュータシステムであって、前記異常値は、前記試料のエッジおよび大きいブロブ欠陥に対応する輝度値を含むコンピュータシステム。
【請求項41】
請求項39または40に記載のコンピュータシステムであって、前記異常値を除外することは、
前記ヘイズデータについての平均および標準偏差を決定すること、
前記平均および標準偏差に依存するスレッショルドを決定すること、および
前記スレッショルドに届かないヘイズデータを前記あてはめプランから除外すること
を含むコンピュータシステム。
【請求項42】
請求項32ないし41のいずれかに記載のコンピュータシステムであって、前記プロセッサおよびメモリの少なくとも1つは、前記残差データを分析することによって前記試料が任意の欠陥を有するかを決定するよう構成されるコンピュータシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のコンピュータシステムであって、前記残差データは、
a)前記残差データの一部を含むウィンドウを得ること、
b)前記得られたウィンドウ内で最低の輝度を有する最小ピクセルおよび最大の輝度を有する最大ピクセルを決定すること、および
c)前記ウィンドウが欠陥を有するかを、前記最小ピクセル、前記最大ピクセル、および所定のスレッショルドに基づいて決定すること
によって分析されるコンピュータシステム。
【請求項44】
請求項43に記載のコンピュータシステムであって、前記最小ピクセルから前記最大ピクセルを引いたものが前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定されるコンピュータシステム。
【請求項45】
請求項43に記載のコンピュータシステムであって、(A)前記ウィンドウの中心ピクセルから前記最小ピクセルを引いたもの、および(B)前記最大ピクセルから前記中心ピクセルを引いたものの最大が、前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定されるコンピュータシステム。
【請求項46】
請求項43ないし45のいずれかに記載のコンピュータシステムであって、前記所定のスレッショルドは、
前記残差データに基づいてヒストグラムを決定すること、
前記残差データから残差値の範囲を選択すること、および
前記選択された範囲に基づいてスレッショルドを決定すること
によって決定されるコンピュータシステム。
【請求項47】
請求項46に記載のコンピュータシステムであって、前記スレッショルドは、前記範囲を所定の係数倍することによって決定され、前記所定の係数は、ヘイズデータを提供するそれぞれのシステムについて変化することによって、前記スレッショルドが前記異なるシステム間で正規化されるコンピュータシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のコンピュータシステムであって、前記所定の係数は0.5であるコンピュータシステム。
【請求項49】
請求項46ないし48のいずれかに記載のコンピュータシステムであって、前記選択された範囲は、約5および95パーセントの間であるコンピュータシステム。
【請求項50】
請求項32ないし49のいずれかに記載のコンピュータシステムであって、前記ヘイズデータから低周波数のバラツキを除去することは、フィルタを用いて達成されるコンピュータシステム。
【請求項51】
試料の表面から与えられるヘイズデータを分析するコンピュータプログラム製造物であって、
少なくとも1つのコンピュータで読み取り可能な媒体、
前記少なくとも1つのコンピュータで読み取り可能な媒体内に記憶されたコンピュータプログラム命令を備え、
前記コンピュータプログラム命令は、
試料の表面粗さに対応するヘイズデータを提供すること、および
低周波数のバラツキを前記ヘイズデータから除去することによって、前記試料の前記表面中に存在する任意の欠陥に対応する残差データを形成すること
を行うよう構成されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項52】
請求項51に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記ヘイズデータからの低周波数のバラツキを除去することは、
前記ヘイズデータの前記低周波数のバラツキをあてはめプランにあてはめること、および
前記あてはめプランを前記ヘイズデータから引くことによって、前記残差データを形成すること
によって達成されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項53】
請求項52に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記あてはめプランは、2次元(2D)多項式方程式の形式をとるコンピュータプログラム製造物。
【請求項54】
請求項53に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記2D多項式方程式は、ゼルニケ多項式であるコンピュータプログラム製造物。
【請求項55】
請求項52ないし54のいずれかに記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記ヘイズデータを前処理することによって、前記あてはめプランから前記ヘイズデータの一部を除外することをさらに含むコンピュータプログラム製造物。
【請求項56】
請求項55に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記異常値を除外することは、
前記ヘイズデータについての平均および標準偏差を決定すること、
前記平均および標準偏差に依存するスレッショルドを決定すること、および
前記スレッショルドに届かないヘイズデータを前記あてはめプランから除外すること
を含むコンピュータプログラム製造物。
【請求項57】
請求項51ないし56のいずれかに記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記少なくとも1つのコンピュータで読み取り可能な媒体内に記憶された前記コンピュータプログラム命令は、前記残差データを分析することによって、前記試料が任意の欠陥を有するかを決定するようさらに構成されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項58】
請求項57に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記残差データは、
a)前記残差データの一部を含むウィンドウを得ること、
b)前記得られたウィンドウ内で最低の輝度を有する最小ピクセルおよび最大の輝度を有する最大ピクセルを決定すること、および
c)前記ウィンドウが欠陥を有するかを、前記最小ピクセル、前記最大ピクセル、および所定のスレッショルドに基づいて決定すること
によって分析されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項59】
請求項58に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記最小ピクセルから前記最大ピクセルを引いたものが前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項60】
請求項58に記載のコンピュータプログラム製造物であって、(A)前記ウィンドウの中心ピクセルから前記最小ピクセルを引いたもの、および(B)前記最大ピクセルから前記中心ピクセルを引いたものの最大が、前記所定のスレッショルドより大きいとき、前記ウィンドウは欠陥を有すると決定されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項61】
請求項58ないし60のいずれかに記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記所定のスレッショルドは、
前記残差データに基づいてヒストグラムを決定すること、
前記残差データから残差値の範囲を選択すること、および
前記選択された範囲に基づいてスレッショルドを決定すること
によって決定されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項62】
請求項61に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記スレッショルドは、前記範囲を所定の係数倍することによって決定され、前記所定の係数は、ヘイズデータを提供するそれぞれのシステムについて変化することによって、前記スレッショルドが前記異なるシステム間で正規化されるコンピュータプログラム製造物。
【請求項63】
請求項61または62に記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記選択された範囲は、約5および95パーセントの間であるコンピュータプログラム製造物。
【請求項64】
請求項51ないし63のいずれかに記載のコンピュータプログラム製造物であって、前記ヘイズデータから低周波数のバラツキを除去することは、フィルタを用いて達成されるコンピュータプログラム製造物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−501944(P2007−501944A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533009(P2006−533009)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014926
【国際公開番号】WO2004/105087
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】