説明

形状測定装置

【課題】振動の影響による3次元形状の測定誤差を低減した形状測定装置を提供する。
【解決手段】形状測定装置は、被測定物をライン光で照明して撮像するプローブと、プローブと被測定物とを相対移動させるリニアモータ17と、照明の状態と撮像の状態から被測定物の形状を測定する形状演算部34と、プローブの振れを検出する振れ検出部28とを備え、振れ検出部28に検出された振れに基づいて測定の補正を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の3次元形状を測定する形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被測定物の3次元形状を測定する方法として、レーザレンジファインダを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この方法は、レーザ光を被測定物の表面に照射して照射方向とは異なる方向から被測定物を観察し、三角測量の原理によりレーザ光が当たっている被測定物の3次元形状を求めるものである。また、この方法では、レーザ光を被測定物上で走査することにより被測定物全体の3次元形状を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−344045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、シート状の光を測定対象物の表面にスキャン照射して、2次元撮像素子により照射方向とは異なる方向から測定対象物に現れたライン光を撮像し、三角測量の原理から測定対象物の3次元形状を測定する方法も知られている。しかしながら、スキャン照射を行う場合、外部から測定装置に振動が加わると、シート状の光が所定の照射角度から外れてしまい、測定した3次元形状に誤差が生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、振動の影響による3次元形状の測定誤差を低減した形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る形状測定装置は、被測定物をライン光で照明する照明部と、前記照明部に照明された前記被測定物を撮像する撮像部と、前記照明部と前記被測定物とを相対移動させる相対移動部と、前記照明の状態と前記撮像の状態から前記被測定物の形状を測定する測定部と、前記照明部および前記撮像部の少なくとも一方の振れを検出する振れ検出部と、前記振れ検出部に検出された振れに基づいて前記測定の補正を行う補正部とを備えて構成される。
【0007】
なお、上述の発明において、前記測定部は、前記撮像部に撮像された前記被測定物上における前記照明の位置情報から前記被測定物の形状を測定し、前記補正部は、前記振れ検出部に検出された振れと前記相対移動とに基づいて前記照明の位置情報を補正することが好ましい。
【0008】
また、上述の発明において、前記振れ検出部は、前記振れとして振れ角度を検出可能であり、前記補正部は、前記振れ角度と前記照明部から前記被測定物までの距離とに基づいて前記測定の補正を行うことが好ましい。
【0009】
また、上述の発明において、前記振れ検出部は、前記照明部または前記撮像部の角速度を検出する角速度検出器および、前記照明部または前記撮像部の加速度を検出する加速度検出器の少なくとも一方を有し、前記角速度および前記加速度の少なくとも一方に基づいて前記振れを検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定装置に振動が加わっても、3次元形状の測定誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】形状測定装置の全体図である。
【図2】形状測定装置の制御ブロック図である。
【図3】第1実施形態の取付部およびプローブの拡大図である。
【図4】照明部および撮像部の概略図である。
【図5】第1実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の形状測定装置における変形例を示す図である。
【図7】第2実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の取付部およびプローブの拡大図である。
【図9】回転補正機構の拡大図である。
【図10】第3実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示す第1のフローチャートである。
【図12】第4実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示す第2のフローチャートである。
【図13】第4実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示す第3のフローチャートである。
【図14】第4実施形態の形状測定装置を用いた3次元形状測定の手順を示す第4のフローチャートである。
【図15】第3実施形態および第4実施形態における照明部の変形例を示す概略図である。
【図16】照明部の変形例における照明補正の一例を示す模式図である。
【図17】シャインプルーフの条件を満足した光学系の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態の形状測定装置を図1に示しており、この形状測定装置1は、被測定物5を支持するステージ6と、ステージ6上に載置された被測定物5の形状を測定する形状測定部10と、形状測定部10から出力された角度情報および測定情報に基づいて被測定物5に関する形状情報を算出する制御部30と、制御部30により算出された形状情報を例えば3次元画像にして出力する表示部40とを備えて構成される。なお、被測定物5がステージ6上に載置されていなくても、形状測定部10の作動範囲内にあれば、被測定物5の形状を測定可能である。
【0013】
形状測定部10は、基台11と、複数のアーム部12a〜12eおよび関節部(連結部)13a〜13fを有して基端部が基台11に取り付けられた多関節構造の移動機構部15と、移動機構部15の先端部(先端アーム部12eの先端部)に取付部16を介して着脱可能に取り付けられたプローブ20とを有して構成される。移動機構部15は、基端側から順に、基端アーム部12aと、第1中間アーム部12bと、第2中間アーム部12cと、第3中間アーム部12dと、先端アーム部12eとを有し、各アーム部12a〜12eの端部にそれぞれ第1〜第6の関節部13a〜13fが設けられる。
【0014】
第1の関節部13aは、基端アーム部12aの基端部と基台11とを連結し、基端アーム部12aが基台11に対し略鉛直方向に伸びる軸を回転軸として回転可能に構成される。第2の関節部13bは、基端アーム部12aの先端部と第1中間アーム部12bの基端部とを連結し、基端アーム部12aおよび第1中間アーム部12bの一方に対して他方が揺動(回転)可能に構成される。第3の関節部13cは、第1中間アーム部12bの先端部と第2中間アーム部12cの基端部とを連結し、第1中間アーム部12bおよび第2中間アーム部12cの一方に対して他方が揺動(回転)可能に構成される。
【0015】
第4の関節部13dは、第2中間アーム部12cの先端部と第3中間アーム部12dの基端部とを連結し、第2中間アーム部12cおよび第3中間アーム部12dの一方に対して他方が揺動(回転)可能に構成される。第5の関節部13eは、第3中間アーム部12dの先端部と先端アーム部12eの基端部とを連結し、第3中間アーム部12dおよび先端アーム部12eの一方に対して他方が揺動(回転)可能に構成される。第6の関節部13fは、先端アーム部12eの先端部とプローブ20の取付部16とを連結し、取付部16に取り付けられたプローブ20が先端アーム部12eに対して揺動(回転)可能に、且つ、先端アーム部12eと平行に伸びる軸を回転軸として回転可能に構成される。なお、各中間アーム部および先端アーム部12b〜12eが同一平面内(略鉛直面内)で揺動できるように、第2〜第5の関節部13b〜13eは、その回転軸が互いに平行な略水平方向に伸びるようになっている。
【0016】
第1〜第6の関節部13a〜13fの回転軸にはそれぞれ、各関節部13a〜13fの基端側に位置するアーム部もしくは基台11と、各関節部13a〜13fの先端側に位置するアーム部もしくはプローブ20とのなす角度を検出するため、各関節部13a〜13fの回転軸の回転量を計測するエンコーダ31が取り付けられている。これらのエンコーダ31による計測値(以下、「角度情報」と呼ぶ)は、図2に示すように、各エンコーダ31から制御部30へ出力される。また、第1〜第6の関節部13a〜13fにはそれぞれ、各関節部13a〜13fの基端側に位置するアーム部もしくは基台11に対し先端側に位置するアーム部もしくはプローブ20を揺動(回転)させて所定の位置で固定(ロック)するロック機構14が設けられている。なお、これらのロック機構14の作動制御は、制御部30により行われる。
【0017】
取付部16は、プローブ20をリニアモータ17(図2を参照)により照明光(後述のライン光)の広がる方向と略垂直な方向へスライド移動可能に保持する。すなわち、取付部16に取り付け保持されたプローブ20のスライド移動方向がスキャン方向となるように構成される。なお、取付部16に設けられたリニアモータ17の作動制御は、制御部30により行われる。また、リニアモータ17にはエンコーダ(図示せず)が内蔵されており、このエンコーダによる計測値は、リニアモータ17の作動に応じたプローブ20の変位情報として、リニアモータ17(エンコーダ)から制御部30へ出力される。また、本実施形態において、プローブ20のスライド移動方向(スキャン方向)をX方向、プローブ20(照明部21)の光軸方向およびX方向と垂直な方向をY方向、X方向およびY方向と垂直な方向をZ方向とそれぞれ称することがある(図1を参照)。
【0018】
プローブ20は、図3に示すように、被測定物5を照明する照明部21と、照明部21に照明された被測定物5を撮像する撮像部25と、外部からの振動の影響によるプローブ20(すなわち、照明部21および撮像部25)の振れを検出する振れ検出部28とを有して構成される。なお、振れ検出部28は、X方向・Y方向・Z方向の振れを検出可能に構成されている。また、図1に示すように、プローブ20の側部には、被測定物5に対する形状測定の開始および停止を制御部30に指示するための操作が行われる測定スイッチ29が設けられている。
【0019】
照明部21は、図4に示すように、LED等の光源22と、照明パターンを形成するパターン形成部23と、パターン形成部23に形成された照明パターンを被測定物5に投影する投影レンズ24とを有して構成される。パターン形成部23は、液晶表示素子等から構成され、本実施形態では、断面がライン状の照明光(以下、ライン光と称する)が得られるように照明パターンを形成する。そのため、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過するとライン光になり、このライン光が投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0020】
撮像部25は、図4に示すように、被測定物5に照射されたライン光の像(以下、ライン像と称する)を結像させる撮像光学系26と、撮像光学系26により結像されたライン像を撮像する撮像素子27とを有して構成される。撮像素子27は、撮像面上に形成されたライン像を光電変換して画像信号を生成し、その画像情報を形状演算部34に出力する。なお、撮像光学系26の像面は、照射されるライン光の照射方向と共役な所謂シャインプルーフの条件を満たしている。そのため、被測定物5の高さによらず常にライン像をシャープに結像することができる。
【0021】
振れ検出部28は、図3に示すように、プローブ20(照明部21および撮像部25)の角速度を検出する角速度センサ28aと、プローブ20の加速度を検出する加速度センサ28bとを有し、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bにそれぞれ検出された角速度および加速度に基づいてプローブ20の振れを検出する。ここで、プローブ20(照明部21および撮像部25)の振れとは、プローブ20を一定速度(または一定角速度)でスライド移動(スキャン)させたときの目標位置(方向を含む)に対するプローブ20(照明部21および撮像部25)のずれ(位置ずれ及び方向ずれ)である。
【0022】
本実施形態の形状測定装置1は、工場のライン等に設置可能な形状測定装置であり、形状測定装置1が防振台(図示せず)等の上に設置されていない場合がある。このような場合、ロック機構14を作動させて各関節部13a〜13fを固定した状態でも、外部からの振動の影響により、被測定物5に対してプローブ20がブレてしまうため、プローブ20をスライド移動(スキャン)させたときに目標位置に対するプローブ20(照明部21および撮像部25)の位置ずれ(振れ)が生じてしまう。また、各アーム部12a〜12eのたわみ等によっても、同様の位置ずれ(振れ)が生じてしまう。
【0023】
振れ検出部28は、このようなプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れを検出するものである。振れ検出部28の角速度センサ28aは、X方向およびY方向に伸びる軸(以下、X回転軸およびY回転軸と称する)を回転軸としたプローブ20の角速度をそれぞれ検出する。加速度センサ28bは、プローブ20のX方向およびY方向の加速度をそれぞれ検出する。なお、プローブ20の振れには、プローブ20の回転による振れと、プローブ20の平行移動による振れが存在する。しかしながら、本実施形態のプローブ20は、複数のアーム部12a〜12eを有した移動機構部15の先端部(先端アーム部12eの先端部)に取り付けられているため、プローブ20の平行移動による振れは、プローブ20の回転(揺動)による振れよりも微小であると考えられ、プローブ20の振れをプローブ20の回転による振れのみに近似することができる。ただし、移動機構部15は多くの関節部を有するため平行リンク機構として作用する場合がある。すなわち、振れによって角速度は検出されないが加速度が検出される場合がある。この場合は、平行移動による振れ(平行な振れ)として処理がなされる。なお、平行移動による振れ(平行な振れ)は、回転中心が十分に遠くにあると考えれば回転(揺動)による振れと同様に処理することもできる。
【0024】
そのため、図3に示すように、プローブ20の回転速度(ベクトル)をVとし、プローブ20の角速度をωとし、プローブ20の回転半径(ベクトル)をrとしたとき、V=r×ωであるので、振れ検出部28は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bにそれぞれ検出された角速度ωおよび加速度dV/dtを用いて、プローブ20の回転半径r(および回転中心)を求めることができる。このとき、回転速度Vは、加速度センサ28bに検出された加速度dV/dtに対し積分処理を行うことで求められ、r=V/(ω+C)の関係式から回転半径rが求まる。ここで、Cは回転半径rが発散しないように設定された定数もしくは関数である。さらに、角速度センサ28aに検出された角速度ωに対し積分処理を行うことでプローブ20の回転角度φを求めることができるので、振れ検出部28は、求めたプローブ20の回転半径rおよび回転角度φを用いて、プローブ20の振れ量(=r×φ)を求めることができる。
【0025】
なお、プローブ20はスキャン時にX方向へ動くので、プローブ20のY回転軸を回転軸とした角速度およびX方向の加速度を用いて求めた振れ量から、プローブ20のスキャンによる影響を減算したものが、プローブ20のX方向の振れ量となる。なお、スキャンによる影響には、スキャンによる平行移動が回転成分として角速度センサに検出される成分がある。この成分は、振動のない環境でスキャン動作を行い予め求めておくことができる。また、プローブ20のスキャン方向はX方向であり、スキャン時にY方向へのスキャンによる移動はないはずなので、プローブ20のX回転軸を回転軸とした角速度およびY方向の加速度を用いて求めた振れ量が、そのままプローブ20のY方向の振れ量となる。
【0026】
制御部30は、図2に示すように、形状測定装置1による被測定物5の形状測定の処理を制御する処理部32と、各エンコーダ31から出力された角度情報およびリニアモータ17から出力された変位情報(スキャン量)を用いてプローブ20の空間座標および姿勢(測定空間内の予め決められた点を原点とする座標および姿勢であって、以下、「位置情報」と称する)を算出する位置演算部33と、位置演算部33から出力された位置情報および撮像素子27から出力されたライン像(被測定物5に投影されたライン光の像)の画像情報を用いて、被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出する形状演算部34とを有して構成される。ここで、測定空間とは、形状測定装置1により、プローブ20を移動させて被測定物5の空間座標を取得できる範囲(空間)を指している。
【0027】
また、制御部30は、例えばコンピュータで実現され、処理部32、位置演算部33、および形状演算部34は、このコンピュータで実行されるプログラムとして実装される。なお、測定スイッチ29からの出力(操作信号)は処理部32に入力され、測定スイッチ29の操作に応じたパターン形成部23等の作動が処理部32により制御される。また、形状演算部34から出力された形状情報は、例えば、制御部30に設けられた記憶部36に記憶され、さらに、この形状情報は処理部32で処理されて表示部40に3次元画像として出力される。
【0028】
各アーム部12a〜12eの長さ等の情報は既知であるため、制御部30の位置演算部33は、各エンコーダ31から出力された角度情報に基づいて、各関節部13a〜13fの基端側に位置するアーム部もしくは基台11と、各関節部13a〜13fの先端側に位置するアーム部もしくはプローブ20とのなす角度を算出し、リニアモータ17(エンコーダ)から出力された変位情報(スキャン量)を加味することで、プローブ20の空間上の3次元座標(空間座標)を求めることができる。同様に、プローブ20における照明部21と撮像部25との相対位置関係(相対座標)も既知であるため、形状演算部34は、三角測量の原理に基づいて撮像部25(撮像素子27)で取得された画像情報(ライン像の画像位置情報)を処理することにより、撮像部25で撮像できる範囲内にある被測定物5の3次元形状(ライン光が投影されている被測定物5の3次元形状(例えば、この範囲の離散的に表される測定空間内での座標群として表現される))を求めることができる。
【0029】
なお、前述したように、プローブ20(照明部21および撮像部25)の振れが生じ得るため、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、振れ検出部28に検出されたプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う。このとき、例えば、画像上におけるライン像のX方向(またはY方向)座標値に対して、プローブ20のX方向(またはY方向)の振れ量を打ち消すように演算する補正を行う。これにより、プローブ20のX方向(またはY方向)の振れによる画像上でのライン像の位置ずれを補正することができる。このように、形状測定装置1に振動が加わっても、3次元形状の測定誤差を低減することが可能になる。
【0030】
以上のように構成される形状測定装置1を用いた被測定物5の3次元形状測定について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、測定スイッチ29に対して所定の測定開始操作(例えば、押し操作)が行われると、制御部30における処理部32の作動制御により、振れ検出部28の角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動する(ステップS101)。次に、測定体制に移動するため、移動機構部15は、ティーチング等により予め設定した所定の測定開始位置へプローブ20を移動させる(ステップS102)。このとき、処理部32の作動制御により、各関節部13a〜13fに設けられたロック機構14がアーム部もしくはプローブ20を揺動(回転)させて所定の測定開始位置で固定(ロック)する。
【0031】
ここで、処理部32は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動してから所定のセンサ安定時間が経過したか否かを判定(ステップS103)し、当該センサ安定時間が経過してから、リニアモータ17によりプローブ20をスライド移動(スキャン)させて測定を開始する(ステップS104)。なお、センサ安定時間とは、角速度センサ28aまたは加速度センサ28bを構成するジャイロ(図示せず)の振動が安定するのに要する時間である。
【0032】
測定が開始されると、処理部32の作動制御により、リニアモータ17がプローブ20をX方向へスライド移動(スキャン)させる。このとき、リニアモータ17の作動に応じたプローブ20の変位情報(スキャン量)がリニアモータ17のエンコーダから制御部30の位置演算部33へ出力される。またこのとき、角速度センサ28aがプローブ20(照明部21および撮像部25)の角速度を検出するとともに、加速度センサ28bがプローブ20の加速度を検出し、振れ検出部28は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bにそれぞれ検出された角速度および加速度に基づいて、前述のようにプローブ20の振れを算出し、処理部32へ出力する。なお、振れ検出部28がプローブ20の振れを検出する際、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bの長周期的な検出信号ずれ(いわゆるドリフト)によるノイズをカットするため、ハイパスフィルタ(図示せず)を用いるようにしてもよい。
【0033】
振れ検出部28がプローブ20の振れを検出すると、処理部32は、プローブ20のX方向の振れ量(前述のように、角速度および加速度を用いて求められるX方向の振れ量からプローブ20のスキャン量を減算したもの)が所定の閾値Th1よりも大きいか否かを判定する(ステップS105)。なお、所定の閾値Th1は、形状演算部34による形状情報(3次元形状)の算出結果に影響を及ぼし始める程度のプローブ20の振れ量である。判定がNoの場合、プローブ20の振れが少ないため安定モードに移行し(ステップS106)、プローブ20の振れに応じた補正を行わない通常の測定が行われる。一方、判定がYesの場合、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS107)。
【0034】
撮像回数NをN=1に設定すると、照明部21によりライン光の照射を行う(ステップS108)。このとき、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0035】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像される。そこで、撮像素子27によりライン像を撮像する(ステップS109)。このとき、処理部32の作動制御により、撮像素子27は、撮像面上に形成されたライン像を光電変換して画像信号を生成し、その画像情報を形状演算部34に出力する。なお、形状演算部34は、被測定物5の形状情報を算出するために複数の画像情報を記録可能な測定テーブル(図示せず)を有しており、ライン像の画像情報とともに、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れが当該測定テーブルに記録される(ステップS110)。
【0036】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS111)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS112)、ステップS108へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS108〜ステップS110が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し、処理を終了する。なお、前述したように、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、振れ検出部28に検出されたプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れに基づいて、当該プローブ20の意図しない振れによる影響を打ち消すようにライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う。
【0037】
このように、第1実施形態によれば、形状測定装置1に振動が加わっても、3次元形状の測定誤差を低減することができる。なお、第1実施形態では、プローブ20の振れによる画像上でのライン像の位置ずれを補正することで、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0038】
なお、上述の第1実施形態において、外部からの振動の影響によりプローブ20にX方向の振れが生じると、図6に示すように、プローブ20は被測定物5に対してX方向に振動しながらスキャンするため、プローブ20に振れが生じない場合よりも撮像位置Pの密度が高くなる。そこで、複数の撮像位置Pのうち、プローブ20の振れ量が所定量よりも大きくなる撮像位置Pでの画像情報を、測定対象から除外するようにしてもよい。これにより、形状演算部34は、プローブ20の振れが少ない画像情報を用いて形状情報を算出するため、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0039】
また、上述の第1実施形態において、画像上におけるライン像のX方向(またはY方向)座標値に対して、プローブ20のX方向(またはY方向)の意図しない振れ量の影響を打ち消すように演算する補正を行う例を示したが、これに限られるものではない。例えば、振れ検出部28によりプローブ20のZ方向の振れを検出し、画像上におけるライン像のX方向座標値に対して、プローブ20のZ方向の振れ量を打ち消すように演算する補正を行うようにしてもよい。これにより、プローブ20のZ方向(被測定物5の高さ方向)の振れによる画像上でのライン像の位置ずれを補正することができ、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0040】
ここで、第1実施形態においてライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う例について、図16および図17を参照しながら説明する。まず、撮像素子27(像面)上の座標と物体(物体面)上の座標との関係について述べる。なお、図17に示すように、光軸Iを原点とする像面S3上の座標を(H,V)とし、光軸Iを原点とする物体面S1上の座標を(h,v)とする。前述したように、撮像光学系26の像面はシャインプルーフの条件を満たしている。そのため、図17に示すように、光軸I上の物体面S1の位置から主平面S2までの距離をaとし、主平面S2から光軸I上の像面S3の位置までの距離をbとし、b/a=βとし、光軸Iと垂直な面に対する物体面S1の傾きをθとし、光軸Iと垂直な面に対する像面S3の傾きをθ´とすると、次の(1)式および(2)式で表される条件を満足する。
【0041】
【数1】

【0042】
【数2】

【0043】
次に、照明ずれによる被測定物5上の座標変化について説明する。図16に示すように、スキャン原点における照明部21の光軸と撮像部25の光軸との交点の座標をA(x0,y0,z0)とすると、シャインプルーフの条件を満足する物体面(図16の例において、YZ平面とする)上の座標を(h0,v0)としたとき、このときの被測定物5表面におけるライン光の座標はa(x0,y0+h0,z0+v0)となる。プローブ20がX方向へスキャン量Δxだけスライド移動すると、照明部21の光軸と撮像部25の光軸との交点の座標はB(x0+Δx,y0,z0)となる。さらに、物体面上の座標を(h1,v1)としたとき、このときの被測定物5表面におけるライン光の座標はb(x0+Δx,y0+h1,z0+v1)となる。プローブ20がX方向へスキャン量Δxだけスライド移動したときに、プローブ20の回転による振れが回転半径rで回転角度φだけ生じたとすると、照明部21の光軸と撮像部25の光軸との交点の座標はC(x0+Δx−r×sinφ,y0,z0+r×(1−cosφ))となる。さらに、物体面上の座標を(h2,v2)としたとき、このときの被測定物5表面におけるライン光の座標はc(x0+Δx−r×sinφ,y0+h2,z0+r×(1−cosφ)+v2×cosφ)となる。
【0044】
そして、ライン像の画像位置情報の補正、すなわち、被測定物5表面に照射されたライン光の座標補正について説明する。撮像素子27(像面)上で得られたライン像の座標を(H,V)とすると、前述したプローブ20の振れ量が所定の閾値Th1よりも大きい場合、ライン像の画像位置情報の補正を行い、上述の座標cを用いて、補正後の被測定物5表面におけるライン光の座標を(x0+Δx−r×sinφ,y0+h,z0+r×(1−cosφ)+v×cosφ)として求めることができる。一方、前述したプローブ20の振れ量が所定の閾値Th1以下の場合、ライン像の画像位置情報の補正を行わずに、上述の座標bを用いて、被測定物5表面におけるライン光の座標を(x0+Δx,y0+h,z0+v)として求めることができる。
【0045】
なお、物体面上の座標(h,v)は、ライン像の座標(H,V)から、上述の(1)式および(2)式を用いて求めることができる。ここで、(1)式および(2)式中のパラメータb,β,θ´は、光学系によって決まる値で既知である。また、回転半径rおよび回転角度φは、前述のように振れ検出部28で求めることができる。また、スキャン量Δxは、リニアモータ17のエンコーダの出力から求めることができる。
【0046】
次に、形状測定装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の形状測定装置は、制御部30における一部の処理を除いて、第1実施形態の形状測定装置1と同様の構成であり、各部に第1実施形態の場合と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
そこで、第2実施形態の形状測定装置を用いた被測定物5の3次元形状測定について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、測定スイッチ29に対して所定の測定開始操作(例えば、押し操作)が行われると、制御部30における処理部32の作動制御により、振れ検出部28の角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動する(ステップS201)。次に、測定体制に移動するため、移動機構部15は、第1実施形態の場合と同様に、ティーチング等により予め設定した所定の測定開始位置へプローブ20を移動させる(ステップS202)。
【0048】
ここで、処理部32は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動してから所定のセンサ安定時間が経過したか否かを判定(ステップS203)し、第1実施形態の場合と同様に、当該センサ安定時間が経過してから、リニアモータ17によりプローブ20をスライド移動(スキャン)させて測定を開始する(ステップS204)。
【0049】
測定を開始すると、第1実施形態の場合と同様に、処理部32は、プローブ20のX方向の振れ量(前述のように、角速度および加速度を用いて求められるX方向の振れ量からプローブ20のスキャン量を減算したもの)が所定の閾値Th2よりも大きいか否かを判定する(ステップS205)。なお、所定の閾値Th2は、形状演算部34による形状情報(3次元形状)の算出結果に影響を及ぼし始める程度のプローブ20の振れ量である。判定がNoの場合、プローブ20の振れが少ないため安定モードに移行し(ステップS206)、プローブ20の振れに応じた補正を行わない通常の測定が行われる。一方、判定がYesの場合、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS207)。
【0050】
撮像回数NをN=1に設定すると、処理部32は、プローブ20の(例えばX方向の)振れの周期を求め、プローブ20の振れの位相がN×πのときに撮像素子27がライン像を撮像するように制御を行う(ステップS208)。このとき、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0051】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像されるので、処理部32の作動制御により、プローブ20の振れの位相がN×πのときに、撮像素子27が撮像面上のライン像を撮像する(ステップS209)。このとき、第1実施形態の場合と同様に、撮像素子27から出力されたライン像の画像情報は、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れとともに、形状演算部34の測定テーブル(図示せず)に記録される(ステップS210)。
【0052】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS211)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS212)、ステップS208へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS208〜ステップS210が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し、処理を終了する。なお、本実施形態では、プローブ20の振れの位相がN×πのときに撮像素子27がライン像を撮像するように制御が行われるため、初期位相におけるプローブ20の振れが零だとすると、プローブ20の振れが零となる位相タイミングで撮像素子27がライン像を撮像することになる。そのため、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、ライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う必要はない。なお、位相がN×πのときとは振れの大きさが小さいときであり、N×πを含む範囲であればよい。
【0053】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態では、プローブ20の振れが零となる位相タイミングで撮像素子27がライン像を撮像するように制御が行われることで、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0054】
なお、上述の第2実施形態において、処理部32は、プローブ20の振れの位相がN×πのときに撮像素子27がライン像を撮像するように制御を行うが、これに限られるものではなく、ステップS208において、プローブ20の振れの位相が(N−1/2)×πのときに撮像素子27がライン像を撮像するように制御を行ってもよい。この場合、初期位相におけるプローブ20の振れが零だとすると、プローブ20の振れ(絶対値)が極大となる位相タイミングで撮像素子27がライン像を撮像することになる。そのため、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、ライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う必要はあるが、プローブ20の振れ(絶対値)が極大となるときには、プローブ20の振れによる速度変化がない状態で撮像を行うことができ、より明瞭なライン像を撮像できることから、3次元形状の測定誤差をより低減することが可能である。
【0055】
次に、形状測定装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の形状測定装置は、取付部の構成および制御部30における一部の処理を除いて、第1実施形態の形状測定装置1と同様の構成であり、各部に第1実施形態の場合と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第3実施形態の取付部50は、図8に示すように、プローブ20を着脱可能に保持して回転によりプローブ20の向きを補正可能な回転補正機構60と、平行移動によりプローブ20のY方向の位置を補正可能なY平行補正機構80と、平行移動によりプローブ20のX方向の位置を補正可能なX平行補正機構90とを有して構成され、X平行補正機構90のX方向リニアモータ(図示せず)によりプローブ20をX方向へスライド移動(スキャン)可能に保持する。
【0056】
なお、第3実施形態では、振れ検出部28に検出されたプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を駆動する形態について説明する。ところで、プローブ20の振れの回転半径が大きく振れが小さい場合、プローブ20の平行移動による振れと近似することができるので、プローブ20を平行移動させるだけでプローブ20の振れを補正することが可能である。しかしながら、前述したように、プローブ20の振れには、プローブ20の平行移動による振れと、プローブ20の回転による振れが存在する。そのため、プローブ20の振れが大きくなると、プローブ20を平行移動させるだけではプローブ20の振れを補正することができない。そこで、第3実施形態の取付部50は、上述のように、X平行補正機構90およびY平行補正機構80に加え、回転補正機構60を備えている。
【0057】
回転補正機構60は、図9に示すように、プローブ20を着脱可能に保持するプローブ保持部61と、X方向に伸びる軸を回転軸としてプローブ保持部61を回転可能に支持するX回転支持部65と、Y方向に伸びる軸を回転軸としてX回転支持部65を回転可能に支持するY回転支持部70とを有して構成される。プローブ保持部61は、先端に平面部を有した略球形に形成される。プローブ保持部61の先端部には、プローブ20を保持するための保持孔62が形成されており、例えば、プローブ20の基端部に形成された係合突起(図示せず)をこの保持孔62に係合させることで、プローブ20がプローブ保持部61に着脱可能に取り付けられて保持される。
【0058】
X回転支持部65は、プローブ保持部61を回転自在に支持する枠部材67と、プローブ保持部61を回転駆動するX回転モータ68とを有して構成される。枠部材67は、X方向に伸びる回転シャフト66を介して、当該回転シャフト66の中心軸Axを回転軸として枠部材67の内側に位置するプローブ保持部61を回転自在に支持する。X回転モータ68は、例えば、エンコーダを内蔵したサーボモータであり、回転シャフト66の中心軸Axを回転軸としてプローブ保持部61を回転駆動するとともに、このときのプローブ保持部61の回転角度、すなわち、プローブ20のX方向に伸びる軸を回転軸とした回転角度を検出する。
【0059】
Y回転支持部70は、プローブ保持部61とともにX回転支持部65を回転自在に支持する左右一対のブラケット72a,72bと、当該ブラケット72a,72bを支持する板状のベースプレート73と、X回転支持部65を回転駆動するY回転モータ74とを有して構成される。左右一対のブラケット72a,72bは、Y方向に伸びる回転シャフト71を介して、当該回転シャフト71の中心軸Ayを回転軸としてX回転支持部65を回転自在に支持する。ベースプレート73は、各ブラケット72a,72bを支持する状態で、Y平行補正機構80に取り付けられる。Y回転モータ74は、例えば、エンコーダを内蔵したサーボモータであり、回転シャフト71の中心軸Ayを回転軸としてX回転支持部65を回転駆動するとともに、このときのX回転支持部65の回転角度、すなわち、プローブ20のY方向に伸びる軸を回転軸とした回転角度を検出する。
【0060】
これにより、回転補正機構60は、プローブ20をXY方向に伸びる軸を回転軸として回動可能に保持し、プローブ20の回転による振れを補正可能となる。なお、X回転モータ68およびY回転モータ74の作動制御は、制御部30により行われる。また、X回転モータ68およびY回転モータ74に内蔵されたエンコーダによる計測値は、各モータ(エンコーダ)からそれぞれ制御部30へ出力される。
【0061】
Y平行補正機構80は、図8に示すように、第1保持プレート81と、第1保持プレート81に取り付けられてY方向に伸びる左右一対のY方向リニアガイド82a,82bと、回転補正機構60をY方向に駆動するY方向リニアモータ83とを有して構成される。第1保持プレート81は、略直角に折り曲げられた板状に形成され、その底部がY方向へ伸びるとともに側部がZ方向へ伸びるように配置される。左右一対のY方向リニアガイド82a,82bは、第1保持プレート81の壁部に互いに平行に取り付けられ、回転補正機構60をY方向へスライド移動(平行移動)可能に保持する。Y方向リニアモータ83は、第1保持プレート81の底部にY方向に伸びるように取り付けられ、Y方向リニアガイド82a,82bに沿って回転補正機構60をY方向に駆動する。
【0062】
これにより、Y平行補正機構80は、回転補正機構60に保持されたプローブ20のY方向の平行移動による振れを補正可能となる。なお、Y方向リニアモータ83の作動制御は、制御部30により行われる。また、Y方向リニアモータ83にはエンコーダ(図示せず)が内蔵されており、このエンコーダによる計測値は、Y方向リニアモータ83(エンコーダ)から制御部30へ出力される。
【0063】
X平行補正機構90は、第2保持プレート91と、第2保持プレート91に取り付けられてX方向に伸びるX方向リニアガイド92と、回転補正機構60とともにY平行補正機構80をX方向に駆動するX方向リニアモータ(図示せず)とを有して構成される。第1保持プレート81は、略直角に折り曲げられた板状に形成され、その底部がY方向へ伸びるとともに側部がZ方向へ伸びるように配置される。また、第2保持プレート91は第1保持プレート81と重なるように配置されるが、第2保持プレート91のX方向の長さは、Y平行補正機構80がX方向へスライド移動(スキャン)できるように、第1保持プレート81よりも長くなっている。X方向リニアガイド92は、第2保持プレート91の底部に取り付けられ、Y平行補正機構80をX方向へスライド移動(平行移動)可能に保持する。X方向リニアモータ(図示せず)は、第2保持プレート91の底部にX方向に伸びるように取り付けられ、X方向リニアガイド92に沿ってY平行補正機構80をX方向に駆動する。
【0064】
これにより、X平行補正機構90は、回転補正機構60に保持されたプローブ20をX方向へスライド移動(スキャン)させることができるとともに、プローブ20のX方向の平行移動による振れを補正可能となる。なお、X方向リニアモータ(図示せず)の作動制御は、制御部30により行われる。また、X方向リニアモータにはエンコーダ(図示せず)が内蔵されており、このエンコーダによる計測値は、X方向リニアモータ(エンコーダ)から制御部30へ出力される。
【0065】
第3実施形態の形状測定装置を用いた被測定物5の3次元形状測定について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、測定スイッチ29に対して所定の測定開始操作(例えば、押し操作)が行われると、制御部30における処理部32の作動制御により、振れ検出部28の角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動する(ステップS301)。次に、測定体制に移動するため、移動機構部15は、第1実施形態の場合と同様に、ティーチング等により予め設定した所定の測定開始位置へプローブ20を移動させる(ステップS302)。
【0066】
ここで、処理部32は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動してから所定のセンサ安定時間が経過したか否かを判定(ステップS303)し、第1実施形態の場合と同様に、当該センサ安定時間が経過してから、X平行補正機構90のX方向リニアモータ(図示せず)によりプローブ20をスライド移動(スキャン)させて測定を開始する(ステップS304)。
【0067】
測定を開始すると、第1実施形態の場合と同様に、処理部32は、プローブ20のX方向の振れ量(前述のように、角速度および加速度を用いて求められるX方向の振れ量からプローブ20のスキャン量を減算したもの)が所定の閾値Th3よりも大きいか否かを判定する(ステップS305)。なお、所定の閾値Th3は、形状演算部34による形状情報(3次元形状)の算出結果に影響を及ぼし始める程度のプローブ20の振れ量である。判定がNoの場合、プローブ20の振れが少ないため安定モードに移行し(ステップS306)、プローブ20の振れに応じた補正を行わない通常の測定が行われる。一方、判定がYesの場合、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS307)。
【0068】
撮像回数NをN=1に設定すると、処理部32は、照明部21による照明を行うとともに、振れ検出部28に検出されたプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を駆動する制御を行う(ステップS308)。このとき、処理部32の作動制御により、回転補正機構60、Y平行補正機構80、およびX平行補正機構90は、振れ検出部28に検出されたプローブ20の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を回転または平行移動させ、照明部21によるライン光の照射位置を補正するとともに、照明部21との相対位置が変わらないように撮像部25による撮像位置を補正する。
【0069】
なお、前述したように、回転補正機構60はプローブ20の回転による振れを補正し、Y平行補正機構80はプローブ20のY方向の平行移動による振れを補正する。また、X平行補正機構90は、プローブ20をX方向へスライド移動(スキャン)させながら、プローブ20のX方向の平行移動による振れを補正する。このように照明部21によるライン光の照射位置が補正された状態で、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0070】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像されるので、処理部32の作動制御により、撮像素子27が撮像面上のライン像を撮像する(ステップS309)。このとき、第1実施形態の場合と同様に、撮像素子27から出力されたライン像の画像情報は、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れとともに、形状演算部34の測定テーブル(図示せず)に記録される(ステップS310)。
【0071】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS311)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS312)、ステップS308へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS308〜ステップS310が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し、処理を終了する。なお、本実施形態では、プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を回転または平行移動させて、照明部21によるライン光の照射位置を補正しているため、当該補正によりプローブ20の振れを全て打ち消すことができれば、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、第1実施形態で述べたようなライン像の画像情報(画像位置情報)の補正を行う必要はない。
【0072】
このように、第3実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、第3実施形態では、プローブ20(照明部21および撮像部25)を駆動して、プローブ20の振れによるライン光(照明光)の位置ずれを補正することで、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0073】
次に、形状測定装置の第4実施形態について説明する。第4実施形態の形状測定装置は、取付部の構成および制御部30における一部の処理を除いて、第1実施形態の形状測定装置1と同様の構成であり、また取付部の構成は、第3実施形態の取付部50と同様の構成であるため、各部に第1実施形態(取付部を除く)および第3実施形態の場合と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
第4実施形態では、第1実施形態で述べた形状演算部34によるライン像の画像情報(画像位置情報)の補正と、第3実施形態で述べたプローブ20の駆動によるライン光の照射位置の補正とを組み合わせた形態について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態で述べた形状演算部34によるライン像の画像情報(画像位置情報)の補正をパッシブ補正と称し、第3実施形態で述べたプローブ20の駆動によるライン光の照射位置の補正をアクティブ補正と称することにする。
【0075】
そこで、第4実施形態の形状測定装置を用いた被測定物5の3次元形状測定について、図11〜図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、図11に示すように、測定スイッチ29に対して所定の測定開始操作(例えば、押し操作)が行われると、制御部30における処理部32の作動制御により、振れ検出部28の角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動する(ステップS401)。次に、測定体制に移動するため、移動機構部15は、第1実施形態の場合と同様に、ティーチング等により予め設定した所定の測定開始位置へプローブ20を移動させる(ステップS402)。
【0076】
ここで、処理部32は、角速度センサ28aおよび加速度センサ28bがオン作動してから所定のセンサ安定時間が経過したか否かを判定(ステップS403)し、第1実施形態の場合と同様に、当該センサ安定時間が経過してから、X平行補正機構90のX方向リニアモータ(図示せず)によりプローブ20をスライド移動(スキャン)させて測定を開始する(ステップS404)。
【0077】
測定を開始すると、第1実施形態の場合と同様に、処理部32は、プローブ20のX方向の振れ量(前述のように、角速度および加速度を用いて求められるX方向の振れ量からプローブ20のスキャン量を減算したもの)が所定の閾値Th4よりも大きいか否かを判定する(ステップS405)。判定がYesの場合、処理部32はさらに、プローブ20の振れの周波数(プローブ20の振れが生じる周期の逆数)が所定の第1周波数f1よりも大きいか否かを判定する(ステップS406)。
【0078】
このステップS406で判定がYesの場合、すなわち、プローブ20の振れ量が所定の閾値Th4よりも大きく、かつ、プローブ20の振れの周波数が所定の第1周波数f1よりも大きい場合、処理部32は、以降の測定においてパッシブ補正とアクティブ補正の両方を行うように決定する(ステップS410)。一方、このステップS406で判定がNoの場合、すなわち、プローブ20の振れ量が所定の閾値Th4よりも大きく、かつ、プローブ20の振れの周波数が所定の第1周波数f1よりも小さい場合、処理部32は、以降の測定においてパッシブ補正だけを行うように決定する(ステップS420)。
【0079】
なお、前のステップS405で判定がNoの場合、処理部32は同様に、プローブ20の振れの周波数(プローブ20の振れが生じる周期の逆数)が所定の第2周波数f2よりも大きいか否かを判定する(ステップS407)。このステップS407で判定がYesの場合、すなわち、プローブ20の振れ量が所定の閾値Th4よりも小さく、かつ、プローブ20の振れの周波数が所定の第2周波数f2よりも大きい場合、処理部32は、以降の測定においてアクティブ補正だけを行うように決定する(ステップS430)。一方、このステップS407で判定がNoの場合、すなわち、プローブ20の振れ量が所定の閾値Th4よりも小さく、かつ、プローブ20の振れの周波数が所定の第2周波数f2よりも小さい場合、安定モードに移行し(ステップS408)、プローブ20の振れに応じた補正を行わない通常の測定が行われる。
【0080】
なお、所定の閾値Th4は、形状演算部34による形状情報(3次元形状)の算出結果に影響を及ぼし始める程度のプローブ20の振れ量である。また、所定の第1周波数f1は、例えば、撮像部25による撮像周波数(サンプリング周波数)よりも大きい値に設定され、パッシブ補正では十分に補正できない周波数の高いプローブ20の振れを、アクティブ補正により補正することができる。一方、アクティブ補正によるプローブ20の駆動量が限られているため、アクティブ補正では十分に補正できない振れ量の大きなプローブ20の振れを、パッシブ補正により補正することができる。また、所定の第2周波数f2は、第1周波数f1と同じ値に設定するようにしてもよく、必要に応じて第1周波数f1と異なる値に設定するようにしてもよい。
【0081】
さて、パッシブ補正とアクティブ補正の両方を行う場合、図12に示すように、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS411)。
【0082】
撮像回数NをN=1に設定すると、処理部32は、照明部21による照明を行うとともに、第3実施形態で述べたアクティブ補正を行うように制御を行う(ステップS412)。このとき、処理部32の作動制御により、回転補正機構60、Y平行補正機構80、およびX平行補正機構90は、振れ検出部28に検出されたプローブ20の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を回転または平行移動させ、照明部21によるライン光の照射位置を補正するとともに、照明部21との相対位置が変わらないように撮像部25による撮像位置を補正する。このように照明部21によるライン光の照射位置が補正された状態で、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0083】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像されるので、処理部32の作動制御により、撮像素子27が撮像面上のライン像を撮像する(ステップS413)。このとき、第1実施形態の場合と同様に、撮像素子27から出力されたライン像の画像情報は、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れとともに、形状演算部34の測定テーブル(図示せず)に記録される(ステップS414)。
【0084】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS415)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS416)、ステップS412へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS412〜ステップS414が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、第1実施形態で述べたパッシブ補正を行いながら被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し(ステップS417)、処理を終了する。
【0085】
また、パッシブ補正だけを行う場合、図13に示すように、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS421)。
【0086】
撮像回数NをN=1に設定すると、アクティブ補正を行わずに、照明部21によりライン光の照射を行う(ステップS422)。このとき、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0087】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像されるので、処理部32の作動制御により、撮像素子27が撮像面上のライン像を撮像する(ステップS423)。このとき、撮像素子27から出力されたライン像の画像情報は、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れとともに、形状演算部34の測定テーブル(図示せず)に記録される(ステップS424)。
【0088】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS425)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS426)、ステップS422へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS422〜ステップS424が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、第1実施形態で述べたパッシブ補正を行いながら被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し(ステップS427)、処理を終了する。
【0089】
また、アクティブ補正だけを行う場合、図14に示すように、撮像回数NをN=1に設定する(ステップS431)。
【0090】
撮像回数NをN=1に設定すると、処理部32は、照明部21による照明を行うとともに、第3実施形態で述べたアクティブ補正を行うように制御を行う(ステップS432)。このとき、前述したように照明部21によるライン光の照射位置が補正された状態で、処理部32の作動制御により光源22が点灯し、光源22から射出された光は、パターン形成部23を透過してライン光になり、投影レンズ24によりステージ6上の被測定物5に照射(投影)される。
【0091】
被測定物5に照射されたライン光の像(ライン像)は、撮像光学系26により撮像素子27の撮像面上に結像されるので、処理部32の作動制御により、撮像素子27が撮像面上のライン像を撮像する(ステップS433)。このとき、撮像素子27から出力されたライン像の画像情報は、位置演算部33により算出された撮像時のプローブ20の位置情報(目標位置)や、振れ検出部28により検出された撮像時のプローブ20の振れとともに、形状演算部34の測定テーブル(図示せず)に記録される(ステップS434)。
【0092】
全撮像回数をNeとすると、処理部32は、N=Neか否かを判定する(ステップS435)。判定がNoの場合、N=N+1とし(ステップS436)、ステップS432へ戻る。すなわち、全ての撮像が終わるまで、ステップS432〜ステップS434が繰り返されることになる。一方、判定がYesの場合、形状演算部34は、測定テーブル(図示せず)に記録されたライン像の画像情報および位置情報を用いて、パッシブ補正を行わずに被測定物5の形状情報(3次元形状)を算出し(ステップS437)、処理を終了する。
【0093】
このように、第4実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、第4実施形態では、必要に応じてパッシブ補正とアクティブ補正を使い分けることで、3次元形状の測定誤差をより低減することができる。
【0094】
なお、上述の各実施形態において、プローブ20による被測定物5の形状情報の取得方法は、上述の光切断による三角測量による方法だけでなく、明視野画像を取得してコンピュータ解析により形状を測定する方法や、ステレオ画像を用いた三角測量による方法等を適宜用いることができる。
【0095】
また、上述の各実施形態において、リニアモータを用いてプローブ20(照明部21および撮像部25)をスライド移動(スキャン)させているが、これに限られるものではなく、例えば、ボールネジやモータ等を利用した直動機構を用いて、プローブ20をスライド移動(スキャン)させるようにしてもよい。
【0096】
また、上述の各実施形態において、プローブ20の振れ量が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する際、振れ検出部28で検出したX方向の振れ量からプローブ20のスキャン量を減算したものをプローブ20の振れ量としているが、予め振動のない環境でスキャン動作を行ったときに角速度センサ28aで角速度が検出されない場合には、振れ検出部28で検出したX方向の振れ量を(プローブ20のスキャン量を減算しないでそのまま)プローブ20の振れ量とすることができる。
【0097】
また、上述の第3実施形態および第4実施形態において、振れ検出部28に検出されたプローブ20(照明部21および撮像部25)の振れに基づいて、当該プローブ20の振れを打ち消すようにプローブ20を駆動するように構成されているが、これに限られるものではなく、プローブ20を構成する照明部21または撮像部25の少なくとも一部を駆動するようにしてもよい。例えば、図15に示すように、プローブの照明部121が、LED等の光源122と、集光レンズ123と、シリンドリカルレンズ124と、光軸方向およびシリンドリカルレンズ124の長手方向と垂直な方向に伸びる軸を回転軸αとして集光レンズ123を回転させる回転駆動部125とを有して構成されてもよい。なお、プローブ20全体を駆動する構成は、比較的遅い速度で大きな振幅の振れに対して有効であり、光学系の一部を駆動する構成は、比較的速い速度で小さな振幅の振れに対して有効である。なお、この照明部121から回転駆動部125を除いた構成は、第3実施形態および第4実施形態の照明部にも適用可能である。
【0098】
このような照明部121において、光源122から射出された光は、集光レンズ123およびシリンドリカルレンズ124を透過することでシート状の光(シート光)となり、ステージ6上の被測定物5に照射されると、被測定物5上にライン像が現れる。このとき、回転駆動部125により回転軸αを中心に集光レンズ123を回転させると、例えば図16に示す場合、Y方向に伸びる軸を回転軸としてライン像を回転させることができるため、プローブの振れによるライン像(照明光)の位置ずれ(主に回転ずれ)を補正することが可能である。
【0099】
なおこの場合、X方向(スキャン方向)にオフセット(位置ずれ)が残ることもあるが、シリンドリカルレンズ124と被測定物5との間に平行平面板(ハービング:図示せず)を挿入することにより、ライン像をX方向に平行移動させて、X方向のオフセットを解消することが可能である。また、このようにライン像を回転もしくは平行移動させてしまうと、撮像部25の検出角度(照明光に対する相対角度)が変化し、シャインプルーフの条件を満たさなくなってしまう。この場合、ライン光の進行面の移動に合わせて(同期して)シャインプルーフの条件を維持する(満足する)ように撮像部の光学系も駆動する必要がある。また、シャインプルーフの条件を維持することに加え撮像倍率も維持することが望ましいが、撮像倍率に関しては演算処理による補正も可能である。また、形状演算部34が被測定物5の形状情報を算出する際、回転駆動部125による集光レンズ123の回転角等に応じて、ライン像の画像情報(画像位置情報)を補正するようにすれば、被測定物5の形状情報(3次元形状)を求めることができる。
【0100】
また、照明部21または撮像部25の一部を駆動してプローブ20の振れを補正する場合、振幅の大きい振れを補正するときには、補正駆動範囲が限定されるため、予め駆動方向と逆方向にオフセットさせてから、助走を行うように補正駆動を開始してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 形状測定装置 5 被測定物
16 取付部(第1実施形態) 17 リニアモータ(相対移動部)
20 プローブ
21 照明部 25 撮像部
28 振れ検出部
28a 角速度センサ(角速度検出器) 28b 加速度センサ(加速度検出器)
30 制御部
32 処理部 33 位置演算部
34 形状演算部(測定部、補正部)
50 取付部(第2実施形態)
60 回転補正機構 80 Y平行補正機構
90 X平行補正機構
121 照明部(変形例)
125 回転駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物をライン光で照明する照明部と、
前記照明部に照明された前記被測定物を撮像する撮像部と、
前記照明部と前記被測定物とを相対移動させる相対移動部と、
前記照明の状態と前記撮像の状態から前記被測定物の形状を測定する測定部と、
前記照明部および前記撮像部の少なくとも一方の振れを検出する振れ検出部と、
前記振れ検出部に検出された振れに基づいて前記測定の補正を行う補正部とを備えて構成されることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記撮像部に撮像された前記被測定物上における前記照明の位置情報から前記被測定物の形状を測定し、
前記補正部は、前記振れ検出部に検出された振れと前記相対移動とに基づいて前記照明の位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記振れ検出部は、前記振れとして振れ角度を検出可能であり、
前記補正部は、前記振れ角度と前記照明部から前記被測定物までの距離とに基づいて前記測定の補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記振れ検出部は、前記照明部または前記撮像部の角速度を検出する角速度検出器および、前記照明部または前記撮像部の加速度を検出する加速度検出器の少なくとも一方を有し、前記角速度および前記加速度の少なくとも一方に基づいて前記振れを検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−232101(P2011−232101A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101286(P2010−101286)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】