説明

情報処理装置

【課題】地震などの災害発生時に対するより適切な処置を実行し得る情報処理装置を提
供すること。
【解決手段】目的地までの経路を選定する経路選定手段と、経路選定手段により選定さ
れた経路など、目的地に到達するための情報を使用者へ伝達する伝達手段とを備えた、車
両などの移動体に装備される情報処理装置において、災害種類情報に基づいて、避難場所
を設定する避難場所設定手段を備え、設定された避難場所を目的地として、経路が選定さ
れるように構成すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関し、より詳細には、車両などの移動体に装備される情報処理
装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害が発生した場合は、警戒区域内から脱出することが望ましく、それを実
現するようにした技術が幾つか提案されている。例えば、下記の特許文献1〜3には、警
戒情報などを利用して、車両の現在位置が警戒区域内であるか否かを判断し、前記車両が
警戒区域内に存在する場合、そのことを前記車両の使用者へ知らせたり、警戒区域外の避
難場所まで誘導するといった技術が開示されている。
【0003】
しかしながら、単に前記車両が警戒区域内に存在するといったことを使用者へ知らせる
だけでは、十分な処置とは言えない。また、警戒区域外の避難場所まで誘導することは非
常に有効な処置ではあるが、警戒区域内からの脱出に長時間を要するなど、警戒区域内か
らの脱出が困難である場合には、やはり十分な処置とは言えない。
【0004】
また、電波ビーコンなどにより提供されるVICS(Vehicle Information and Commun
ication System)情報にも、注意警戒情報(地震警戒宣言発令時や通行止めを伴わないト
ンネル内災害発生時等に、速度低下等の注意喚起を行う情報)や、緊急メッセージ情報(
災害発生時において、当該箇所への進入を防止し、緊急停車、避難等の行動指示を行う情
報)などがあり、車載機ではこれら情報を受信すると、これら情報を優先して割り込み表
示を行うようになっている。
【0005】
しかしながら、これら情報についても、単に緊急メッセージなどを使用者へ伝えるだけ
であるので、やはり災害発生時に対する十分な処置とは言えない。また、前記使用者は警
戒区域内にいる場合、前記使用者自身の状況(例えば、安否など)を家族などに連絡した
いが、避難場所などへの移動が最優先事項となるため、連絡作業にあまり手間をかけられ
ない。
【特許文献1】特開平7−220196号公報
【特許文献2】特開2002−63688号公報
【特許文献3】特開2003−177666号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、地震などの災害発生時に対するより適
切な処置を実行し得る、又は家族などへの連絡作業を支援し得る情報処理装置を提供する
ことを目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る情報処理装置(1)は、災害種類情報に基づい
て、避難場所を設定する避難場所設定手段と、該避難場所設定手段により設定された避難
場所までの経路を選定する経路選定手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
通常、学校や役所などが避難場所となるが、津波や洪水などの災害の場合、海抜の低い
ところや河川に近いところにある学校よりも、丘や山、ビルの上階に設けられた駐車場な
どの方が避難場所に適していると思われる。また、警戒区域内からの脱出に長時間を要す
るなど、警戒区域内からの脱出が困難である場合には、警戒区域内で安全な場所へ避難す
ることが大切になる。
【0009】
上記情報処理装置(1)によれば、前記災害種類情報に基づいて、避難場所が設定され
、設定された避難場所までの経路が選定されるので、選定された経路など、前記避難場所
に到達するための情報(例えば、経路、地図、方向)を使用者へ伝達することができるよ
うになる。
【0010】
従って、前記使用者は災害の種類それぞれに応じた適切な場所へ避難することができる
。例えば、津波や洪水などの災害の場合には、海抜の低いところにある学校ではなく、海
抜の高い丘や山、ビルの上階に設けられた駐車場などへ避難することができる。このよう
に、災害の種類それぞれに応じた適切な場所へ避難することができるので、警戒区域内か
らの脱出が困難であり、警戒区域内に留まらなければならない場合であっても、安全な場
所へ避難することができる。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置(2)は、上記情報処理装置(1)において、前記災
害種類情報が、津波を示している場合、前記避難場所設定手段が、所定の高さ以上の場所
を避難場所に設定するものであることを特徴としている。
【0012】
上記情報処理装置(2)によれば、前記災害種類情報が、津波を示している場合、前記
所定の高さ以上の場所(例えば、丘や山、ビルの上階に設けられた駐車場)が避難場所に
設定される。従って、津波災害から避難するのに適した場所へ避難することができる。
【0013】
また、本発明に係る情報処理装置(3)は、上記情報処理装置(2)において、使用者
が操作し得る操作手段から得られた情報に基づいて、前記所定の高さ以上の場所を登録す
る登録手段を備え、前記災害種類情報が、津波を示している場合、前記避難場所設定手段
が、前記登録手段により登録されている前記所定の高さ以上の場所の中から、避難場所を
設定するものであることを特徴としている。
【0014】
上記情報処理装置(3)によれば、前記災害種類情報が、津波を示している場合、予め
前記使用者により登録が指示された前記所定の高さ以上の場所の中から、避難場所が設定
される。従って、津波災害時の避難場所を前記使用者が予め指定しておくことできるので
、より適切な避難場所へ避難することができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る情報処理装置(4)は、上記情報処理装置(1)〜(3)のいずれ
かにおいて、前記災害種類情報が、地震を示している場合、前記避難場所設定手段が、建
造物倒壊による被害を受ける危険性の低い場所を避難場所に設定するものであることを特
徴としている。
【0016】
上記情報処理装置(4)によれば、前記災害種類情報が、地震を示している場合、建造
物倒壊による被害を受ける危険性の低い場所(例えば、高架になっている鉄道や道路から
離れている場所)が避難場所に設定される。従って、地震災害から避難するのに適した場
所へ避難することができる。
【0017】
また、本発明に係る情報処理装置(5)は、上記情報処理装置(4)において、前記災
害種類情報が、地震を示している場合、前記避難場所設定手段が、高架になっている鉄道
及び道路付近を避難場所に設定しないものであることを特徴としている。
【0018】
上記情報処理装置(5)によれば、前記災害種類情報が、地震を示している場合、高架
になっている鉄道及び道路付近は避難場所に設定されない。すなわち、地震によって建造
物倒壊による被害に遭うおそれのある場所は避難場所に設定されない。従って、地震災害
があったとしても、倒壊による被害に遭うのを防止することができる。
【0019】
また、本発明に係る情報処理装置(6)は、上記情報処理装置(1)〜(5)のいずれ
かにおいて、前記避難場所設定手段により設定された前記避難場所を示した情報を、使用
者が携帯し得る携帯用端末装置へ転送する転送手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
地震などの災害が発生した場合や、警戒宣言が発令された場合には、道路が混雑したり
、交通が規制されて、車両などでの移動ができなくなったり、難しくなることが予想され
る。その場合は、車両から降りて、徒歩や鉄道などの交通機関を使って、避難する必要が
ある。
【0021】
上記情報処理装置(6)によれば、前記災害種類情報に基づいて設定された避難場所(
すなわち、災害の種類それぞれに応じた適切な避難場所)を示した情報が、前記使用者が
携帯し得る携帯用端末装置へ転送される。従って、車両などの移動体での移動ができなく
なって、徒歩や鉄道などの交通機関を使って避難しなければならなくなったとしても、前
記使用者は前記携帯用端末装置を参照することによって避難場所への経路などを知ること
ができる。
【0022】
また、本発明に係る情報処理装置(7)は、上記情報処理装置(6)において、車両な
どの移動体に装備されるものであり、該移動体による移動が可能であるか否かを判断する
移動可否判断手段を備え、該移動可否判断手段により、前記移動体による移動が不可能で
あると判断された場合、前記転送手段による前記避難場所を示した情報の前記携帯用端末
装置への転送が行われるように構成されていることを特徴としている。
【0023】
上記したように、前記避難場所を示した情報が前記携帯用端末装置へ転送されると、徒
歩や鉄道などの交通機関を使って避難しなければならなくなったとしても、前記使用者は
前記携帯用端末装置を参照することによって避難場所への経路などを知ることができる。
換言すれば、前記使用者が前記移動体を使って避難場所まで移動することができる場合に
は、前記避難場所を示した情報は前記携帯用端末装置へ送信されなくても良い。
【0024】
上記情報処理装置(7)によれば、前記移動体による移動が不可能であると判断された
場合、前記避難場所を示した情報が前記携帯用端末装置へ転送される。従って、必要以上
に情報の転送が行われるのを防止することができる。
【0025】
また、本発明に係る情報処理装置(8)は、上記情報処理装置(1)〜(7)のいずれ
かにおいて、車両などの移動体に装備されるものであり、該移動体を使用しての前記避難
場所までの到達が可能であるか否かを判断する到達可否判断手段と、該到達可否判断手段
により前記移動体を使用しての前記避難場所までの到達が不可能であると判断された場合
、前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段から得られる現在位置情報に基づい
て、最寄駅を設定する最寄駅設定手段を備えると共に、前記経路選定手段が、前記最寄駅
設定手段により設定された前記最寄駅を前記目的地として、経路を選定するものであるこ
とを特徴としている。
【0026】
地震などの災害が発生した場合や、警戒宣言が発令された場合には、道路が混雑したり
、交通が規制されて、車両などでの移動ができなくなったり、難しくなることが予想され
る。その場合は、車両などの移動体を使用しての避難場所までの到達ができなくなるおそ
れがある。
【0027】
上記情報処理装置(8)によれば、前記移動体を使用しての避難場所までの到達が不可
能であると判断された場合、最寄駅までの経路が選定されるので、前記最寄駅に到達する
ための情報(例えば、経路、地図、方向)を使用者へ伝達することができるようになる。
従って、前記使用者は前記移動体を使用して避難場所まで到達することができなかったと
しても、行くべき場所へ適切に向かうことができる。
【0028】
また、本発明に係る情報処理装置(9)は、災害が発生した場合における使用者の安否
などの状況を特定者へ連絡すべき所定の条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手
段と、該条件成立判断手段により、前記所定の条件が成立したと判断された場合、前記使
用者の状況を特定者へ連絡するための連絡作業を支援する支援手段とを備えていることを
特徴としている。
【0029】
上記情報処理装置(9)によれば、地震などの災害が発生した場合における前記使用者
の安否などの状況を前記特定者(例えば、家族など)へ連絡すべき前記所定の条件が成立
したと判断された場合、前記使用者が本来ならば自身でしなければならない、前記使用者
の状況を前記特定者へ連絡するための連絡作業(例えば、電話を掛ける作業)か支援され
る。これにより、前記使用者は家族などへの連絡作業にあまり手間をかけなくて良くなる
ので、避難場所などへの移動をより素早く行うことができる。
【0030】
また、本発明に係る情報処理装置(10)は、上記情報処理装置(9)において、前記
所定の条件に、前記使用者が警戒区域内に存在することが含まれていることを特徴として
いる。
【0031】
上記情報処理装置(10)によれば、前記所定の条件に、前記使用者が警戒区域内に存
在することが含まれているので、災害が発生した場合における前記使用者の安否などの状
況を前記特定者へ連絡すべき条件が成立しているか否かの判断をより適切に行うことがで
きる。
【0032】
また、本発明に係る情報処理装置(11)は、上記情報処理装置(9)又は(10)に
おいて、前記支援手段が、伝言を指定先へ通知するサービスを実施しているサービス機関
へアクセスするアクセス手段を含んで構成され、前記使用者が前記サービス機関へ伝言登
録し得る状態が自動で実現されることを特徴としている。
【0033】
上記情報処理装置(11)によれば、前記使用者の安否などの状況を前記特定者へ連絡
すべき前記所定の条件が成立した場合、伝言を指定先へ通知するサービス(例えば、伝言
ダイアルサービス)を実施している前記サービス機関(例えば、電話会社)へアクセスさ
れ(例えば、電話を掛ける)、前記使用者が前記サービス機関へ伝言登録し得る状態が自
動で実現される。従って、前記使用者は前記サービス機関における伝言サービスをあまり
手間をかけずに利用することができる。
【0034】
また、本発明に係る情報処理装置(12)は、上記情報処理装置(9)又は(10)に
おいて、前記支援手段が、伝言を指定先へ通知するサービスを実施しているサービス機関
へアクセスするアクセス手段と、予め登録されている伝言情報を前記サービス機関へ出力
する伝言出力手段とを含んで構成され、前記サービス機関への伝言登録が自動で実現され
ることを特徴としている。
【0035】
上記情報処理装置(12)によれば、前記使用者の安否などの状況を前記特定者へ連絡
すべき前記所定の条件が成立した場合、伝言を指定先へ通知するサービス(例えば、伝言
ダイアルサービス)を実施している前記サービス機関(例えば、電話会社)へアクセスさ
れ(例えば、電話を掛ける)、さらに予め登録されている伝言情報が前記サービス機関へ
出力される。すなわち、前記サービス機関への伝言登録が自動で実現される。従って、前
記使用者は前記サービス機関における前記サービスを全く手間をかけずに利用することが
できる。
【0036】
また、本発明に係る情報処理装置(13)は、上記情報処理装置(9)又は(10)に
おいて、前記支援手段が、予め登録されている所定の連絡先へダイアルアップするダイア
ル手段を含んで構成され、前記使用者が前記特定者と会話し得る状態が自動で実現される
ことを特徴としている。
【0037】
上記情報処理装置(13)によれば、予め登録されている前記所定の連絡先(例えば、
自宅)へダイアルアップされる。すなわち、前記使用者が前記特定者と会話し得る状態が
自動で実現される。従って、前記使用者はあまり手間をかけずに家族などと連絡をとるこ
とができる。
【0038】
また、本発明に係る情報処理装置(14)は、上記情報処理装置(9)又は(10)に
おいて、前記支援手段が、予め登録されている伝言情報を、予め登録されている所定の送
信先へ電子メールで送信する送信手段を含んで構成され、前記特定者への伝言送信が自動
で実現されることを特徴としている。
【0039】
上記情報処理装置(14)によれば、前記使用者の安否などの状況を前記特定者へ連絡
すべき前記所定の条件が成立した場合、予め登録されている伝言情報が、予め登録されて
いる前記所定の送信先(例えば、家族のアドレス)へ電子メールで送信される。すなわち
、前記特定者(例えば、家族)への伝言送信が自動で実現される。従って、前記使用者は
手間をかけずに家族などへ安否などを知らせることができる。
【0040】
また、本発明に係る情報処理装置(15)は、上記情報処理装置(9)〜(14)のい
ずれかにおいて、前記使用者が生存しているか否かを判断する安否判断手段を備え、該安
否判断手段により、前記使用者が生存していると判断された場合、前記支援手段による支
援処理が行われるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
上記情報処理装置(9)〜(14)では、家族などへの連絡にあまり手間がかからない
ようにするために、前記支援手段による処理が実行され、例えば、予め登録されている伝
言情報がサービス機関へ自動で出力されたりするようになっているが、このような処理は
、前記使用者が生存していることが前提であり、もし前記使用者が生存していない(又は
生存の確認ができていない)にも拘らず、前記使用者は元気に生きているなどといった伝
言が家族へ連絡されるのは決して好ましいことではない。
【0042】
上記情報処理装置(15)によれば、前記安否判断手段により、前記使用者が生存して
いると判断された場合、前記支援手段による支援処理が行われる。従って、前記使用者が
生存していない(又は生存の確認ができていない)にも拘らず、前記使用者は元気に生き
ているなどといった伝言が家族へ連絡されるのを防止することができる。
【0043】
また、本発明に係る情報処理装置(16)は、上記情報処理装置(15)において、車
両などの移動体へ装備されるものであり、前記安否判断手段が、前記移動体が移動してい
るか否かを判断する移動有無判断手段を含んで構成され、前記移動体が移動している場合
、前記使用者が生存していると判断されるように構成されていることを特徴としている。
【0044】
上記情報処理装置(16)によれば、前記移動体が移動している場合、前記使用者が生
存していると判断される。前記使用者が乗っている車両などの前記移動体が移動している
場合、すなわち走行している場合には、前記使用者が元気であり、車両を運転している可
能性が極めて高い。従って、前記使用者の安否の確認を適切に行うことができる。なお、
車両などの移動体が移動しているか否かを判断する方法としては、例えば、車両パルスの
有無から判断するといった方法や、車両の現在位置情報に基づいて、車両位置の変化有無
から判断するといった方法などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明に係る情報処理装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実
施の形態(1)に係る情報処理装置の要部を概略的に示したブロック図である。図中1は
車両Mに装備された情報処理装置を示しており、情報処理装置1はCPU(図示せず)な
どを有したマイコン2と、地図データや施設データなどが記憶されたDVD−ROM3か
ら地図データなどを読み出すためのDVDドライブ4と、ボタンスイッチ5aを有したリ
モコン5と、ディスプレイ6とを含んで構成されている。
【0046】
マイコン2に接続されているGPS受信機7は、アンテナ8を介して衛星からのGPS
信号を受信するものであり、マイコン2はGPS信号に基づいて自車位置を割り出すこと
ができるようになっている。また、マイコン2には携帯電話などの移動体通信装置9が接
続されており、この移動体通信装置9を使って、外部装置との間でデータのやり取りを行
うことができるようになっている。また、この移動体通信装置9を使って、通話もできる
ようになっている。
【0047】
また、マイコン2には自車の速度に関するデータを検出するための車速センサ10と、
自車の水平面内における方位に関するデータを検出するためのジャイロセンサ11とが接
続されている。また、マイコン2には各種データを記憶しておくためのメモリ12が接続
され、伝言情報や電話番号情報、電子メールのアドレス情報などが記憶されるようになっ
ている。
【0048】
また、マイコン2に接続されているFM多重受信機13、電波ビーコン受信機14、及
び光ビーコン受信機15は、FM多重アンテナ16、電波ビーコン受信アンテナ17、光
ビーコン受光部18それぞれを介してVICS情報を受信するものであり、マイコン2は
VICS情報を取得することができるようになっている。
【0049】
VICS情報の主なものは、渋滞情報や所要時間情報、交通障害情報、交通規制情報な
どの交通情報であるが、その他、災害に関する情報もある。この災害情報については、将
来、様々な情報が付加されるものと思われる。例えば、災害の種類(例えば、津波、地震
)を示した災害種類情報や、警戒区域に関する警戒区域情報などが挙げられる。なお、こ
こでは、付加されることが予想される災害種類情報や警戒区域情報を利用している。
【0050】
実施の形態(1)に係る情報処理装置1におけるマイコン2の行う処理動作[1]を図
2に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作[1]はVISC情
報を受信した場合に行われる動作である。まず、受信したVICS情報が災害情報である
か否かを判断し(ステップS1)、災害情報であると判断すれば、次に、受信したVIC
S情報(ここでは災害情報)の提供元がビーコン(電波ビーコン、光ビーコン)であるか
否かを判断する(ステップS2)。一方、災害情報でない(例えば、交通情報である)と
判断すれば、VICS情報を受信した場合の従来通りの処理を行う(ステップS3)。
【0051】
ビーコンの特徴の一つは、情報の送り手が使用者の必要とする情報だけを提供するとい
う点にある。換言すれば、情報提供地点に車両Mが存在するという点にある。従って、災
害情報の提供元がビーコンである場合、情報を受信した場所は警戒区域内であると判断す
ることができる。他方、FM多重放送の特徴の一つは、広いエリアをカバーできることで
ある。従って、災害情報の提供元がFM多重放送である場合、情報を受信した場所が警戒
区域内であるとは限らない。
【0052】
受信したVICS情報(ここでは、災害情報)の情報提供元がビーコンである(すなわ
ち、車両Mは警戒区域内に存在する)と判断すれば、次に、受信した災害情報に基づいて
、災害が発生していることや、車両Mが警戒区域内に存在していることなどをディスプレ
イ6などを使って使用者へ知らせ(ステップS4)、その後、ステップS6へ進む。
【0053】
一方、情報提供元がビーコンではない(すなわち、FM多重放送である)と判断すれば
、次に、受信した災害情報に含まれている警戒区域情報と、車両Mの現在位置情報とに基
づいて、車両Mが警戒区域内に存在しているか否かを判断する(ステップS5)。車両M
が警戒区域内に存在していると判断すれば、ステップS4へ進んで、災害が発生している
ことや、車両Mが警戒区域内に存在していることなどをディスプレイ6などを使って使用
者へ知らせ、その後、ステップS6へ進む。一方、車両Mが警戒区域内に存在していない
と判断すれば、避難場所まで誘導する必要はないので、ステップS3へ進んで、VICS
情報を受信した場合の従来通りの処理を行う。
【0054】
ステップS6では、受信した災害情報に災害種類情報が含まれているか否かを判断し、
災害種類情報が含まれていると判断すれば、ステップS7へ進んで、『災害種類別処理』
(図3参照)を行い、災害の種類それぞれに応じた適切な場所を避難場所として設定し、
経路を選定し、そして避難場所までの誘導を開始する。その後、ステップS8へ進んで、
使用者の安否状況などを特定者(例えば、家族)へ連絡するための連絡作業を支援する『
連絡支援処理』(図4参照)を行う。
【0055】
一方、受信した災害情報に災害種類情報が含まれていないと判断すれば、災害の種類に
関係なく、避難するに相応しい場所(例えば、学校)を避難場所として設定し(ステップ
S9)、設定した避難場所を目的地として経路を選定し(ステップS10)、避難場所ま
での誘導を開始する(ステップS11)。その後、ステップS8へ進んで、使用者の安否
状況などを特定者(例えば、家族)へ連絡するための連絡作業を支援する『連絡支援処理
』(図4参照)を行う。
【0056】
ステップS8での連絡支援処理の後、車両Mによる移動が可能であるか否かを判断し(
ステップS12)、車両Mによる移動が不可能である(すなわち、車両Mから降りて徒歩
で避難しなければならない)と判断すれば、使用者が携帯している携帯用端末装置(例え
ば、携帯電話)へ避難場所を示した情報を転送する(ステップS13)。
【0057】
なお、車両Mによる移動が可能であるか否かを判断する方法としては、例えば、車両M
の停止時間が所定の時間以内であるか否かを判断するといった方法(例えば、停止時間が
5分以上である場合、移動不能と判断する)や、所定の期間における移動距離が所定の距
離以上であるか否かを判断するといった方法(例えば、5分間での移動距離が100m以
下である場合、移動不能と判断する)が挙げられる。
【0058】
また、ここでは車両Mによる移動が不可能であると判断した場合、使用者が携帯してい
る携帯用端末装置へ避難場所を示した情報を転送するようにしているが、別の実施の形態
では、使用者が車両Mから降車したか否か(又は降車しようとしているか否か)を判断す
るようにし、使用者が車両Mから降車した場合(又は降車しようとしている場合)に、前
記携帯用端末装置へ前記情報を転送するようにしても良い。なお、使用者が車両Mから降
車したか否かを判断する方法としては、例えば、車両Mのドア開閉などを検知し、ドアの
開閉から判断するといった方法が挙げられる。
【0059】
一方、ステップS12において、車両Mによる移動が可能である(すなわち、車両Mで
の避難が可能である)と判断すれば、次に、車両Mでの避難場所までの到達が可能である
か否かを判断する(ステップS14)。車両Mでの避難場所までの到達が可能であると判
断すれば、ステップS12へ戻り、車両Mでの避難場所までの到達は不可能である(すな
わち、途中までは移動できるが、途中からは移動ができない)と判断すれば、車両Mの現
在位置情報に基づいて、最寄駅を設定し(ステップS15)、設定した最寄駅を目的地と
して経路を選定し(ステップS16)、そして最寄駅までの誘導を開始する(ステップS
17)。なお、車両Mでの避難場所までの到達が可能であるか否かを判断する方法として
は、例えば、渋滞情報や交通規制情報に基づいて、避難場所まで所定の期間内に到達し得
るか否かを判断するといった方法が挙げられる。
【0060】
次に、実施の形態(1)に係る情報処理装置1におけるマイコン2の行う処理動作『災
害種類別処理』(図2のステップS7)を図3に示したフローチャートに基づいて説明す
る。まず、受信した災害情報に含まれている災害種類情報に基づいて、災害が津波である
か否かを判断し(ステップS21)、災害が津波であると判断すれば、地図データに基づ
いて、所定の高さ以上の場所(例えば、丘や山、ビルの上階に設けられた駐車場)であり
、その他の避難場所条件(例えば、所定の期間内に到達可能)を満たす場所を避難場所に
設定し(ステップS22)、設定した避難場所を目的地として経路を選定し(ステップS
23)、そして避難場所までの誘導を開始する(ステップS24)。なお、前記所定の高
さ以上の場所については、リモコン5などを操作することによって、使用者が予め指定し
ておくことができるようにしても良い。
【0061】
一方、ステップS21において、災害が津波でないと判断すれば、次に、災害種類情報
に基づいて、災害が地震であるか否かを判断し(ステップS25)、災害が地震であると
判断すれば、地図データに基づいて、建造物倒壊による被害を受ける危険性の低い場所(
例えば、高架になっている鉄道や道路から離れている場所)であり、その他の避難場所条
件を満たす場所を避難場所に設定し(ステップS26)、その後、ステップS23へ進む
。また、ステップS25において、災害が地震でないと判断すれば、ステップS21、S
25と同様に、災害種類情報に基づいて、災害の種類を特定し、その災害に応じた適切な
避難場所を設定し(ステップS27)、その後、ステップS23へ進む。
【0062】
次に、実施の形態(1)に係る情報処理装置1におけるマイコン2の行う処理動作『連
絡支援処理』(図2のステップS8)を図4に示したフローチャートに基づいて説明する
。まず、使用者が生存しているか否かを判断し(ステップS31)、使用者が生存してい
ると判断すれば、次に、移動体通信装置9を使って、伝言を指定先へ通知するサービスを
実施しているサービス機関へアクセスし(ステップS32)、その後、予め登録されてい
る伝言情報(例えば、「私は無事である。避難場所へ向かっている」といった伝言情報)
と、伝言通知先情報(例えば、自宅の電話番号)とを前記サービス機関へ出力する(ステ
ップS33)。これにより、伝言が前記サービス機関に蓄積され、使用者の家族はその伝
言を聞くことができるようになる。一方、使用者は生存していない(又は生存しているか
確認できない)と判断すれば、そのまま処理動作『連絡支援処理』を終了する。
【0063】
なお、使用者が生存しているか否かを判断する方法としては、例えば、車両Mが移動し
ているか否かを判断するといった方法(車両Mが移動していれば、使用者は生存している
可能性が高い)が挙げられる。また、車両Mが移動しているか否かを判断する方法として
は、例えば、車両パルスの有無から判断するといった方法や、車両Mの現在位置情報に基
づいて、車両位置の変化有無から判断するといった方法が挙げられる。
【0064】
また、ここでは前記サービス機関へのアクセス、そして予め登録されている伝言情報と
伝言通知先情報との前記サービス機関へ出力を自動で行うようにしているが、別の実施の
形態では、前記サービス機関へのアクセスについては自動で行うようにするが、伝言情報
や伝言通知先情報の出力については使用者が手動で行えるようにしても良い。例えば、使
用者が伝言を登録し得る状態までを自動で実現するようにする。
【0065】
また、さらに別の実施の形態では、前記サービス機関における伝言サービスを用いるの
ではなく、移動体通信装置9を使って、予め登録されている伝言情報を、予め登録されて
いる所定の送信先へ電子メールで送信したり、単に予め登録されている所定の連絡先へダ
イアルアップするようにしても良い。
【0066】
上記実施の形態(1)に係る情報処理装置によれば、災害種類情報に基づいて、避難場
所が設定され、設定された避難場所を前記目的地として経路が選定され、選定された経路
など、前記目的地(すなわち、避難場所)に到達するための情報(例えば、経路、地図、
方向)が前記使用者へ伝達される。
【0067】
従って、前記使用者は災害の種類それぞれに応じた適切な場所へ避難することができる
。例えば、津波や洪水などの災害の場合には、海抜の低いところにある学校ではなく、海
抜の高い丘や山、ビルの上階に設けられた駐車場などへ避難することができる。このよう
に、災害の種別それぞれに応じた適切な場所へ避難することができるので、警戒区域内か
らの脱出が困難であり、警戒区域内に留まらなければならない場合であっても、安全な場
所へ避難することができる。
【0068】
また、前記使用者が本来ならば自身でしなければならない、前記使用者の状況を前記特
定者(例えば、家族)へ連絡するための連絡作業(例えば、電話を掛ける作業)か支援さ
れる。これにより、前記使用者は家族などへの連絡作業にあまり手間をかけなくて良くな
るので、避難場所などへの移動をより素早く行うことができる。
【0069】
なお、上記実施の形態(1)に係る情報処理装置では、VICSの災害情報を利用する
ようにしているが、災害情報の情報提供元はVICSに限定されるものではなく、例えば
、インターネットなどのネットワークから得られる災害情報を利用するようにしても良い

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る情報処理装置の要部を概略的に示したブロック図である。
【図2】実施の形態(1)に係る情報処理装置のマイコンにおける処理動作を示したフローチャートである。
【図3】実施の形態(1)に係る情報処理装置のマイコンにおける処理動作を示したフローチャートである。
【図4】実施の形態(1)に係る情報処理装置のマイコンにおける処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 情報処理装置
2 マイコン
7 GPS受信機
9 移動体通信装置
13 FM多重受信機
14 電波ビーコン受信機
15 光ビーコン受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害種類情報に基づいて、避難場所を設定する避難場所設定手段と、
該避難場所設定手段により設定された避難場所までの経路を選定する経路選定手段とを
備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記災害種類情報が、津波を示している場合、
前記避難場所設定手段が、所定の高さ以上の場所を避難場所に設定するものであること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
使用者が操作し得る操作手段から得られた情報に基づいて、前記所定の高さ以上の場所
を登録する登録手段を備え、
前記災害種類情報が、津波を示している場合、
前記避難場所設定手段が、前記登録手段により登録されている前記所定の高さ以上の場
所の中から、避難場所を設定するものであることを特徴とする請求項2記載の情報処理装
置。
【請求項4】
前記災害種類情報が、地震を示している場合、
前記避難場所設定手段が、建造物倒壊による被害を受ける危険性の低い場所を避難場所
に設定するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の情報処理装
置。
【請求項5】
前記災害種類情報が、地震を示している場合、
前記避難場所設定手段が、高架になっている鉄道及び道路付近を避難場所に設定しない
ものであることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記避難場所設定手段により設定された避難場所を示した情報を、使用者が携帯し得る
携帯用端末装置へ転送する転送手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
かの項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
車両などの移動体に装備されるものであり、
該移動体による移動が可能であるか否かを判断する移動可否判断手段を備え、
該移動可否判断手段により、前記移動体による移動が不可能であると判断された場合、
前記転送手段による前記避難場所を示した情報の前記携帯用端末装置への転送が行われる
ように構成されていることを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
車両などの移動体に装備されるものであり、
該移動体を使用しての前記避難場所までの到達が可能であるか否かを判断する到達可否
判断手段と、
該到達可否判断手段により前記移動体を使用しての前記避難場所までの到達が不可能で
あると判断された場合、前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段から得られる
現在位置情報に基づいて、最寄駅を設定する最寄駅設定手段を備えると共に、
前記経路選定手段が、前記最寄駅設定手段により設定された前記最寄駅までの経路を選
定するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
災害が発生した場合における使用者の安否などの状況を特定者へ連絡すべき所定の条件
が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
該条件成立判断手段により、前記所定の条件が成立したと判断された場合、前記使用者
の状況を特定者へ連絡するための連絡作業を支援する支援手段とを備えていることを情報
処理装置。
【請求項10】
前記所定の条件に、前記使用者が警戒区域内に存在することが含まれていることを特徴
とする請求項9記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記支援手段が、伝言を指定先へ通知するサービスを実施しているサービス機関へアク
セスするアクセス手段を含んで構成され、
前記使用者が前記サービス機関へ伝言登録し得る状態が自動で実現されることを特徴と
する請求項9又は請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記支援手段が、伝言を指定先へ通知するサービスを実施しているサービス機関へアク
セスするアクセス手段と、
予め登録されている伝言情報を前記サービス機関へ出力する伝言出力手段とを含んで構
成され、
前記サービス機関への伝言登録が自動で実現されることを特徴とする請求項9又は請求
項10記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記支援手段が、予め登録されている所定の連絡先へダイアルアップするダイアル手段
を含んで構成され、
前記使用者が前記特定者と会話し得る状態が自動で実現されることを特徴とする請求項
9又は請求項10記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記支援手段が、予め登録されている伝言情報を、予め登録されている所定の送信先へ
電子メールで送信する送信手段を含んで構成され、
前記特定者への伝言送信が自動で実現されることを特徴とする請求項9又は請求項10
記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記使用者が生存しているか否かを判断する安否判断手段を備え、
該安否判断手段により、前記使用者が生存していると判断された場合、前記支援手段に
よる支援処理が行われるように構成されていることを特徴とする請求項9〜14のいずれ
かの項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
車両などの移動体へ装備されるものであり、
前記安否判断手段が、前記移動体が移動しているか否かを判断する移動有無判断手段を
含んで構成され、
前記移動体が移動している場合、前記使用者が生存していると判断されるように構成さ
れていることを特徴とする請求項15記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−72416(P2006−72416A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251352(P2004−251352)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】