説明

接着剤付き樹脂フィルムおよび金属層付き樹脂フィルム

【課題】芳香族ポリアミドフィルムを用いた、接着性に優れた接着剤付き樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】樹脂フィルムの少なくとも片面に接着剤層を積層した接着剤付き樹脂フィルムであって、樹脂フィルムが芳香族ポリアミドフィルムであり、接着剤層が溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着剤からなることを特徴とする接着剤付き樹脂フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板用材料として利用される接着剤付き樹脂フィルムおよび金属層付き樹脂フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムに銅箔を積層した銅被覆積層板(CCL:Copper Clad Laminate)は、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)用材料として使用される。薄く、屈曲性を有するためにリジッド回路基板よりも高密度な実装や小型化・軽量化が可能になることから、携帯電話、デジタルスチルカメラなどの小型電子機器の普及に伴い急激にその需要が増加している。近年、電子機器の小型化が進み、フレキシブル基板やその材料である銅被覆積層板はさらに薄膜化が求められている。現在、フレキシブル回路基板に用いられるポリイミドフィルムの厚みの主流は25μmから12.5μmへと薄膜化が進みつつあるが、さらに薄膜化が進むと銅箔との積層時に皺や破れが発生するなど取り扱いが困難になる。
【0003】
フィルムを薄くしても皺や破れを防ぎ、取り扱いを容易にするために弾性率の高い樹脂フィルムを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしポリイミドフィルムの弾性率を上げても、取り扱い容易なフィルムの厚さは7.5μm程度であり、さらに薄いフィルムでCCLを製造するにはより高い弾性率のフィルムが必要となる。
【0004】
芳香族ポリアミドフィルムはポリイミドフィルムよりも弾性率が高いことで知られ、非常に薄いフィルムが要求される磁気記録テープ材料で実用化されている(例えば、特許文献2参照)。芳香族ポリアミドフィルムを用いて銅被覆積層板を製造しようとする試みが種々行われている。例えば、芳香族ポリアミドフィルムにスパッタリングやメッキにより直接銅層を形成することが開示されている(例えば、特許文献3〜5参照)。しかし、この方法では銅層と芳香族ポリアミドフィルムの接着力が低く、またスパッタリングは大型の真空装置を必要とするために製造コストが高い。一方、芳香族ポリアミドフィルムにエポキシ接着剤を介して銅箔を積層する方法が開示されている(例えば、特許文献6〜8参照)。スパッタリングによる方法に比べて製造コストが安価であり、高い接着力を有するものであるが、用いられているエポキシ接着剤はアラミドフィルムに比べて耐熱性が低く、アラミドフィルムによる銅被覆積層板の耐熱性は低いものになってしまう。高い耐熱性や機械的特性を有する接着剤として、ポリイミド系接着剤が知られている(例えば、特許文献9参照)。ポリイミド系接着剤は、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤に比べて耐熱性、機械的強度に優れるため、より優れた銅被覆積層板が得られる可能性がある。このポリイミド接着剤を、アラミドフィルムと銅箔の接着に利用することも検討されている(例えば、特許文献10参照)。しかし、ポリイミド系接着剤をどのようにアラミドフィルム上に積層するかについては十分な開示がなされておらず、これまで塗布、乾燥、イミド化温度が高いポリイミド接着剤を、アラミドフィルムに熱ダメージを与えることなく、接着力が得られるように積層する手段については十分に検討されていなかった。
【特許文献1】特開平8−156176号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開2000−351185号公報(第1−2頁)
【特許文献3】特開平4−30442号公報(第1−2頁)
【特許文献4】特開平2−84328号公報(第1頁)
【特許文献5】特開平2−112935号公報(第2頁)
【特許文献6】特開平5−309785号公報(第1−2頁)
【特許文献7】特開平3−227623号公報(第2頁)
【特許文献8】特開2003−25494号公報(第6頁)
【特許文献9】特開平6−346030号公報(第1−2頁)
【特許文献10】特開昭61−248305号公報(第6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ポリイミドは溶剤に不溶であるために、可溶性の前駆体、則ちポリアミック酸溶液を塗布した後に、加熱イミド化することにより製膜される。従ってポリイミド系接着剤をフィルムに塗布するには、ポリアミック酸をイミド化するために300℃〜400℃の温度で長時間加熱する必要がある。基材フィルムもポリイミドフィルムであれば高温処理に問題はないが、芳香族ポリアミドフィルムの場合は耐熱性がポリイミドより低いためにイミド化のための加熱処理に耐えることができず、適用することが困難であった。
【0006】
また、ポリイミド接着剤は、ポリイミド樹脂や銅箔との接着力は高いが、芳香族ポリアミドフィルムとの接着性は十分検討されていなかった。
【0007】
そこで、本発明はかかる課題を解決し、芳香族ポリアミドフィルムを用いた、接着性に優れた接着剤付き樹脂フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、樹脂フィルムの少なくとも片面に接着剤層を積層した接着剤付き樹脂フィルムであって、樹脂フィルムが芳香族ポリアミドフィルムであり、接着剤層が溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着剤からなることを特徴とする接着剤付き樹脂フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高弾性率であり薄膜形成できる芳香族ポリアミドフィルムに対して、熱ダメージを与えることなく高耐熱性ポリイミド接着剤を積層することが可能となり、高耐熱性の薄型金属層付き樹脂フィルムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の接着剤付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムの少なくとも片面に接着剤層を有する。
【0011】
本発明において、樹脂フィルムは芳香族ポリアミドフィルムであって、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位を含むことが望ましい。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
ここで、一般式(1)および(2)において、Ar〜Arはそれぞれ同一または異なっていてよく、二価の芳香族基を示す。Ar〜Arとして好ましく用いられる基としては、例えば以下の一般式で表されるものが挙げられる。
【0015】
【化3】

【0016】
式中、X、Yは−O−、−CH−、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−から選ばれる。
【0017】
更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸湿率を低下させ、湿度変化による寸法変化を小さくし、経時的な皺の発生を抑制できるために好ましい。中でも、塩素またはメチル基で置換されているものが特に好ましい。また重合体を構成するアミド結合中の水素が置換されていても良い。
【0018】
本発明における芳香族ポリアミドは、パラ配向性を有する芳香環が全芳香環の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めていることが望ましい。ここで言うパラ配向性とは、芳香環上の主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態を言う。パラ配向性を有する芳香環が80モル%であると、フィルムの剛性および耐熱性が良好となる。
【0019】
本発明に用いられる芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方向の引張りヤング率が9.8GPa以上であることが好ましい。より好ましくは11.7GPa以上、更に好ましくは12.7GPa以上である。ヤング率が高いことにより、巻き取り時の高張力、張力変動に対抗することができ、巻き姿がより良好となる。
【0020】
また、全ての方向のヤング率が9.8GPa以上であることが好ましい。これらの特性を充たすためには、前述したように、本発明に用いる芳香族ポリアミドの芳香環がパラ配向性を有しているものが、好ましくは全芳香環の80%以上、より好ましくは90%以上を占めるようにすることが有効である。
【0021】
本発明に用いられる芳香族ポリアミドフィルムの破断伸度は、10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であるとフィルムが適度な柔軟性を持つので好ましい。
【0022】
本発明に用いられる芳香族ポリアミドフィルムの吸湿率は、5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であると湿度変化によるしわの発生を抑制することができ、良好な外観の銅張り積層フィルムが得られるので好ましい。
【0023】
本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルムを200℃で10分間処理した場合の熱収縮率は0.5%以下が好ましく、より好ましくは0.3%以下である。熱収縮率が0.5%以下であると良好な寸法安定性を有する銅張り積層フィルムが得られるので好ましい。
【0024】
本発明に用いられる芳香族ポリアミドフィルムは、例えば、次のような方法で製造できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
まず、芳香族ポリアミドであるが、芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性有機極性溶媒中、溶液重合で合成される。
【0026】
この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。
【0027】
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には、周期律表I族またはII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤が使用できる。
【0028】
また、芳香族ポリアミドフィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、芳香族ポリアミドの末端を封止してもよい。
【0029】
本発明においては、芳香族ポリアミドの固有粘度(ポリアミド0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0030】
芳香族ポリアミドフィルムの製膜原液としては、中和後の芳香族ポリアミド溶液をそのまま用いても、一旦、芳香族ポリアミドを単離後、有機溶媒に再溶解したものを用いてもよい。製膜原液中の芳香族ポリアミド濃度は2〜40重量%程度が好ましい。
【0031】
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム化が行われるが、表面平滑なフィルムとなり、更に密着性を高める点で、乾湿式法が好ましい。以下、乾湿式法を例にとって説明する。
【0032】
上記の製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いで乾式工程においてかかる薄膜から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温度は、100〜210℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。また、乾燥時間は、4〜12分が好ましく、5〜10分がより好ましい。乾燥温度を210℃以下にすることにより、溶剤の揮発によるボイド発生が低減され、表面の平滑性の優れたフィルムが得られる。次いで、乾式工程を終えた薄膜を支持体から剥離し、湿式工程に導入し、脱塩、脱溶媒などを行う。ここで薄膜中に含有されているイオン性無機化合物が除去される。この湿式工程では、剥離された薄膜は湿式工程の浴中に緊張下で浸漬され、フィルム中のイオン性無機化合物は0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%以下まで抽出される。イオン性無機化合物を0.1重量%未満にすることにより、フィルムの表面平滑性が優れたものとなり、またポリイミド層との密着性が向上する。この浴は一般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機溶媒や無機塩等を含有していてもよい。一般的には、水は30重量%以上、好ましくは50重量%以上含有されるものであり、浴温度は通常0〜100℃、好ましくは40〜80℃、浸漬時間は、1〜20分、好ましくは3〜20分である。更には、フィルム中のイオン性無機化合物を低減するためには、上記条件の範囲にて、ポリマーの組成、厚み等により適切な条件を採ることが重要である。また、この湿式工程を行うことにより、表面形態が良好でカールのないフィルムを得ることも可能となる。
【0033】
この後、延伸、乾燥、熱処理を行いフィルムを作製する。延伸倍率は、面倍率で1.2〜3.5の範囲、より好ましくは1.2〜3.0の範囲とすることが好ましい。ここで、面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。
【0034】
通常、フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理を行うが、熱処理温度は200〜400℃が好ましく、より好ましくは250〜350℃の範囲である。また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することが熱収縮によるしわの発生を抑制するために有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
【0035】
乾湿式法を採用する場合は、乾燥工程で各液が混合する場合がある。支持体上へキャストされた原液は、加熱されると一旦粘度が低下し、その後、溶媒の蒸発に伴って粘度が上昇する。このとき、粘度が1Pa・sより下がると各液が混合しやすくなるので、好ましくは1Pa・s、より好ましくは5Pa・sより粘度が下がらないように乾燥条件を十分調節することが好ましい。
【0036】
例えば、乾燥温度が220℃を超えない温度で乾燥させる、あるいは乾燥温度を少なくとも2段階に分けて上げていく方法が有効である。
【0037】
本発明における芳香族ポリアミドフィルムの厚みは、1〜10μmであることが好ましい。より好ましくは3〜5μmである。フィルム厚みが1μm以上であれば、製膜時や使用時にフィルム切れが起きにくく、取り扱いに優れたフィルムとなる。またフィルム厚を10μm以下にすることでこれを用いたフレキシブル回路材料を非常に薄型にすることができる。
【0038】
本発明における接着剤層は溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とするものである。本発明において主成分とは、接着剤層中の50重量%以上を占める成分をいい、80重量%以上が溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドであることが好ましい。溶剤可溶性とは、イミド閉環後のポリイミドが有機溶剤に可溶であることを指し、重量濃度にして10%、より好ましくは15%以上溶解することが好ましい。ポリイミドを溶解する有機溶媒としては特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどが挙げられる。熱可塑性とは、ポリイミドがガラス転移点を示し、ガラス転移点前後で弾性率が大きく変化することを指し、ガラス転移点以上に加熱加圧して銅箔とフィルムを接着することが可能となる。CCLの耐熱性を損なわないために、ポリイミド系接着剤のガラス転移点は250℃以上あることが望ましい。また、芳香族ポリアミドフィルムが熱分解や変形を起こさないために、銅箔との接着は350℃以下、数秒以内で行うことが望ましく、そのためにはポリイミド接着剤のガラス転移点は300℃以下、より好ましくは280℃以下であることが好ましい。
【0039】
上記のような可溶性、熱可塑性を有するポリイミドとしては、酸二無水物残基とジアミン残基を有し、全ジアミン残基中、一般式(3)で示されるシロキサン系ジアミンの残基を2〜40モル%、一般式(4)で表されるフルオレン系ジアミンの残基を4〜82モル%以上含むことが好ましい。
【0040】
【化4】

【0041】
一般式(3)中、nは1〜30の範囲を示す。また、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてよく、炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R〜Rはそれぞれ同一または異なっていてよく、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。
【0042】
【化5】

【0043】
一般式(4)中、R〜R22はそれぞれ同一または異なっていてよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる。
【0044】
一般式(3)で表されるシロキサン系ジアミンは長鎖のものを用いると反応性が悪くなるため、ポリマーの重合度が低くなり、耐熱性などが悪くなるので好ましくない。一般式(3)中のnの数は1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜5の範囲である。
【0045】
一般式(3)で表されるシロキサン系ジアミンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサンなどが挙げられる。上記シロキサン系ジアミンは単独でも良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0046】
一般式(4)で表されるフルオレン系ジアミンの具体例としては、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メトキシ−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−カルボン酸、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−メチル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−メトキシ、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−エチル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−4−スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−3−カルボン酸、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−3−メチルなどが挙げられる。上記フルオレン系ジアミンは単独でも良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0047】
本発明に用いられる溶媒可溶性熱可塑性ポリイミドには、シロキサン系ジアミンとフルオレン系ジアミンの他に、その有機溶剤可溶性、耐熱性などの特性を損なわない程度にその他の脂肪族ジアミン、環状炭化水素を含む脂環式ジアミン、芳香族ジアミンを含有することができる。
【0048】
その具体例としては、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,6−ジアミノ安息香酸、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、2,2′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニル、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0049】
上記ジアミンの中でも、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルなどが好ましく用いられる。
【0050】
本発明に用いられる溶媒可溶性熱可塑性ポリイミドの酸二無水物残基には、一般式(5)で表される、屈曲構造を分子内に有するテトラカルボン酸二無水物の残基を少なくとも1種含むことが好ましく、その含有量は全酸二無水物残基中40モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
【0051】
【化6】

【0052】
Xは、O、CO、S、SO、SO、CH、C(CH)、C(CF)から選ばれ、R23〜R28はそれぞれ同一または異なっていてよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる。
【0053】
一般式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホキシドテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルエメチレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−イソプロピリデンジフタル酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。上記テトラカルボン酸二無水物は単独でも良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0054】
本発明に用いられる溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドには、上記テトラカルボン酸二無水物の他に、その有機溶剤可溶性、耐熱性などの特性を損なわない程度にその他のテトラカルボン酸二無水物残基を含有することができる。その具体例は、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3″,4,4″−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。
【0055】
本発明に用いられる溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドの分子量の調節は、酸二無水物残基またはジアミン残基を当モルにする、または、いずれかを過剰にすることにより行うことができる。酸二無水物残基またはジアミン残基のどちらかを過剰とし、ポリマー鎖末端を酸成分またはアミン成分などの末端封止剤で封止することもできる。酸成分の末端封止剤としてはジカルボン酸またはその無水物が好ましく用いられ、アミン成分の末端封止剤としてはモノアミンが好ましく用いられる。このとき、酸成分またはアミン成分の末端封止剤を含めた酸二無水物成分の酸当量とジアミン成分のアミン当量を等モルにすることが好ましい。
【0056】
酸二無水物残基が過剰、あるいはジアミン残基が過剰になるようにモル比を調整した場合は、安息香酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、アニリンなどのジカルボン酸またはその無水物、モノアミンを末端封止剤として含有しても良い。
【0057】
本発明において、溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドの酸二無水物残基/ジアミン残基のモル比は、通常100/100とするが、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎる場合は100/100〜95、あるいは100〜95/100の範囲で酸二無水物残基/ジアミン残基のモルバランスを崩して調整し、樹脂溶液の粘度が塗工性などに問題の出ない範囲に入るようにするのが好ましい。ただし、モルバランスを崩していくと、樹脂の分子量が低下して形成した膜あるいは成形体の機械的強度が低くなり、例えば金属層付き積層フィルムの接着剤層として用いた場合、金属層あるいは樹脂フィルムとの接着力も弱くなる傾向にあるので、接着力が弱くならない範囲でモル比を調整するのが好ましい。
【0058】
本発明に用いられる溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを合成する方法には特に制限は無い。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを有機溶剤中で重合し、加熱脱水、イミド化する熱イミド化法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを縮合触媒存在下の有機溶媒中で化学閉環、イミド化する化学イミド化法、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンの代わりにジイソシアナートを有機溶媒中で反応させ、一段階でイミド環を形成させるジイソシアナート法などの公知の方法を用いることができる。ポリイミドの濃度は、5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0059】
本発明において、溶剤可溶性熱可塑性ポリイミド樹脂を合成する際に用いられる溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタムなどのアミド系極性溶媒、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン系極性溶媒、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、乳酸ブチル、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0060】
熱イミド化法では、まず室温〜100℃で1〜100時間撹拌してポリアミド酸を形成する。その後、温度を120〜300℃に上げて1〜100時間撹拌し、ポリイミドに変換する。この時、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどを反応溶液中に添加し、イミド化反応で出る水をこれら溶媒と共沸させて除去しても良い。化学イミド化法では、室温〜200℃で、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、p−ヒドロキシフェニル酢酸などのイミド化触媒とピリジン、ピコリン、イミダゾール、キノリン、トリエチルアミンを添加して反応させる。イミド化触媒を単独で使用しても良い。イソシアナート法では、80〜300℃で加熱し、反応させると二酸化炭素の脱離を伴ってポリイミドが形成される。
【0061】
上記方法で得られたポリイミド溶液はそのまま使用しても良く、あるいは水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエン、キシレンなどの貧溶媒中に注入してポリイミドを析出させてもよい。これら貧溶媒の使用量に制限は無いが、合成に使用した溶媒の5〜100倍が好ましく、さらに好ましくは10〜50倍を使用する。析出したポリイミド粉末は、濾過、洗浄し、乾燥する。
【0062】
本発明においては、得られたポリイミド粉末を再度有機溶媒に溶解させて使用することができる。この時用いる有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタムなどのアミド系極性溶媒、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン系極性溶媒、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、乳酸ブチル、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテートなどが挙げられ、これらの溶媒は単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。
【0063】
本発明においては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチルが好ましく用いられる。
【0064】
本発明における接着剤層には、溶剤可溶性熱可塑性ポリイミド樹脂の他にも、本発明の効果を損なわない範囲でその他の樹脂や充填材を含有してもよい。その他の樹脂としては、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などの耐熱性高分子樹脂が挙げられる。充填材は、有機あるいは無機からなる微粒子、フィラーなどが挙げられる。微粒子、フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクなどが挙げられる。
【0065】
本発明の金属層付き樹脂フィルムは、少なくとも前記接着剤付き樹脂フィルムと金属層とを積層したものである。金属層は、金属箔のラミネート、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、無電解メッキ、電解メッキなどの方法を単独あるいは2種以上を組み合わせて形成される。本発明においては、生産性、コスト面から、接着剤付き樹脂フィルムの接着剤層側に金属箔を張り合わせて、加熱圧着することにより金属層を形成し、金属層付き積層フィルムを製造するラミネート法で金属層を形成することが好ましい。
【0066】
本発明において、金属層は銅箔、アルミ箔、SUS箔など金属箔から形成されるもので、通常銅箔が用いられる。銅箔には電解銅箔と圧延銅箔があり、どちらでも用いることができる。
【0067】
銅箔などの金属箔は樹脂等との接着性を向上させるために、接着面側を粗化処理することがある。銅箔の両面は一般的にそれぞれS面(光沢面)、M面(粗化面)と言い分けられ、樹脂等を形成する場合、通常M面側に樹脂等を接着させる。したがって、粗化処理は通常M面側に施されることが多い。銅箔の両面に樹脂等を接着させる場合は、S面、M面両方とも粗化処理することもある。粗化処理とは、例えば銅箔の場合、電解メッキで製膜した原箔の片面または両面に1〜5μmの銅の微細粒子を電着等で析出させて表面に凹凸を形成する工程である。
【0068】
FPCの配線パターンが微細化されていくに伴い、銅箔表面の凹凸はS面はもちろんのこと、M面もできるだけ小さい方が好ましく、銅箔表面を粗化処理していない両面平滑面の銅箔がより好ましい。銅箔表面の粗さは、S面でRa(中心線平均粗さ)が0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下であり、Rz(十点平均粗さ)が2.0μm以下、好ましくは1.8μm以下である。また、M面でRaが0.7μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下であり、Rzが3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.8μm以下である。
【0069】
金属箔の膜厚は通常1〜150μmの範囲のもので、用途にあわせて適宜用いることができる。FPCの配線パターンが微細化されていくに伴い、金属箔の膜厚もより薄い方が好ましい。しかし、金属箔が薄くなると単体で取り扱うのが困難になるため、例えば3μmや5μm厚の銅箔は20〜50μm程度厚みの樹脂または金属箔などの支持体(キャリア)に付着したキャリア付き銅箔として取り扱われ、樹脂等に加熱圧着した後で支持体を剥離して用いられる。本発明における金属箔の厚みは20μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。また、1μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
【0070】
銅箔は変色防止等のために表面が防錆処理されていても良い。防錆処理は一般的にニッケル、亜鉛、クロム化合物などの薄膜層を銅箔表面に積層することにより施される。また、樹脂等との接着性改良のために、さらに銅箔表面がシランカップリング処理されていても良い。
【0071】
本発明の接着剤付き樹脂フィルム、あるいは、金属層付き樹脂フィルムの接着剤層のガラス転移温度は200〜320℃の範囲が好ましく、より好ましくは220〜300℃、さらに好ましくは240〜280℃の範囲である。接着剤層のガラス転移温度が200℃以上であると、ICのボンディングあるいは高温でのプレスにおける配線の沈み込みなどのトラブルがなく、機械的耐熱性に優れる。一方、320℃以下であると、金属層との接着性が良好となる。
【0072】
本発明における接着剤層のガラス転移温度の測定には種々の方法を用いることができる。例えば、示差走査熱量分析装置を用いた測定法(DSC法)、熱機械的分析装置を用いた測定法(TMA法)、動的熱機械測定装置を用いた動的粘弾性測定法(DMA法)が挙げられる。DMA法では、tanδの極大値がガラス転移温度として表される。
【0073】
芳香族ポリアミドフィルムと、ポリイミド系接着剤層を積層するには、(a)芳香族ポリアミドフィルムの表面に、ポリイミド系接着剤の溶液を塗布乾燥する方法、(b)自立フィルムが取れる程度に溶媒を乾燥させた芳香族ポリアミドのゲルフィルムに、ポリイミド系接着剤を塗布してから乾燥させる方法、(c)芳香族ポリアミドの溶液と、ポリイミド系接着剤の溶液を、公知の方法、例えば特開昭56−162617号公報に記載の方法のように合流管内で積層するか、口金内で積層して形成する方法がある。特に(b)や(c)の方法を採る場合、芳香族ポリアミドフィルムとポリイミド接着剤が互いに拡散して界面が消失し、フィルム/接着剤の界面での剥離が事実上発生しなくなるのでより接着力の強い接着剤付き樹脂フィルムが得られる。特にフィルム製膜時に同時に積層体を形成できて接着剤塗工の工程を省略できる(c)の方法が好ましい。
【0074】
本発明の接着剤付き樹脂フィルムを(c)の方法により形成するには、樹脂フィルムを形成する芳香族ポリアミドフィルムの製膜原液と、接着剤層を形成する溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドの製膜原液を公知の方法、例えば特開昭56−162617号公報に記載の方法のように合流管で積層するか、口金内で積層して形成することができる。また、芳香族ポリアミドの製膜原液でフィルムを形成しておき、その上に溶媒可溶性熱可塑性ポリイミドの製膜原液を流延して脱溶媒を行い積層フィルムとすることもできる。
【0075】
また、合流管や口金内で積層する場合は、芳香族ポリアミド原液の粘度が10〜500Pa・s、好ましくは50〜400Pa・s、より好ましくは100〜300Pa・sになるように調節することが好ましい。粘度を10Pa・s以上にすることにより、原液が口金から出る前に原液同士の混合を防ぎ、合流管内や口金内で均一な膜厚で積層することができる。また粘度を500Pa・s以下にすることにより、厚みムラ、表面性の優れたフィルムが得られる。
【0076】
更に、熱可塑性ポリイミド接着剤の粘度は芳香族ポリアミドフィルムの製造原液と同じ程度の粘度であることが好ましいが、多少粘度差があってもよく、押出時温度において、粘度差は50%以内、より好ましくは30%以内を目安にすると乾燥速度の違いによるカールの発生の抑制、メルトフラクチャーの抑制ができる点で好ましい。
【0077】
接着剤層は芳香族ポリアミドフィルムの片面、両面のいずれにでも積層できるが、いずれの場合にも好ましい厚さは1〜5μmである。接着剤層厚を1μm以上とすることにより銅箔積層時に銅箔粗化面に対する埋め込み性の優れたものが得られる。また、接着剤層厚を5μm以下にすることで、これを用いたフレキシブル回路材料を非常に薄型にすることができる。
【0078】
次に、上記方法で得られた接着剤付き樹脂フィルムの接着剤層に銅箔などの金属箔を張り合わせて加熱圧着し、金属層付き積層フィルムを得る。
【0079】
加熱圧着は、熱プレス、加熱ロールラミネーター等を用いて行うことができる。加熱ロールラミネーターは長尺状のフィルム、金属箔を連続で加熱圧着できるので、生産性の点から好ましく用いることができる。加熱ロールラミネーターによる加熱圧着は、図1に示すように1対以上の加熱ロールに金属箔3、接着剤付き樹脂フィルム4を通して加熱圧着する。ここで、図1(a)は片面金属層付き樹脂フィルム、図1(b)は両面金属層付き樹脂フィルムそれぞれの加熱ロールラミネーターを用いての加熱圧着方法である。
【0080】
加熱ロールラミネーターのロールは金属ロール−金属ロール、金属ロール−ゴムロール、ゴムロール−ゴムロールなど種々の組み合わせで使用することができる。通常、片面銅層付き積層フィルムの場合は金属ロール−ゴムロールの組み合わせが用いられ、金属ロール側に銅箔、ゴムロール側に接着剤付き樹脂フィルムが接するように加熱圧着される。ただし、ロール温度が200℃以上では金属ロール−金属ロールの組み合わせが好ましい。また、両面銅層付き樹脂フィルムの場合は金属ロール−金属ロールの組み合わせが用いられる。
【0081】
加熱ロールラミネーターのロール温度、ロールニップ圧、搬送速度などの条件は、用いる接着剤層の種類、組成、製造方法等により適宜選択されるものである。一般的にロール温度は50〜500℃、好ましくは100〜450℃、さらに好ましくは150〜400℃の範囲で設定される。ロールの加熱は片方のロールのみが加熱できるものでも良いが、両ロールとも加熱できるものが好ましい。より好ましくは両ロールとも加熱できるもので、それぞれ独立して温度制御できるものである。加熱ロールラミネーターのロールニップ圧は、線圧で一般的に0.5〜200N/mm、好ましくは2〜150N/mm、さらに好ましくは5〜100N/mmの範囲で設定される。搬送速度は一般的に0.1〜50m/分、好ましくは0.4〜30m/分、さらに好ましくは1〜10m/分の範囲で設定される。
【0082】
ロール温度を300℃以上にしてラミネートする場合は、銅箔などの金属箔が酸化するのを防止するために、窒素雰囲気中または真空中で行っても良い。また、図2に示すように、ポリイミドフィルムなどの耐熱性樹脂フィルム、SUS、アルミなどの金属箔を保護フィルム6として加熱ロール表面と金属箔3または接着剤付き樹脂フィルム4の間に介在させて加熱圧着しても良い。ここで、図2(a)は片面金属層付き樹脂フィルム、図2(b)は両面金属層付き樹脂フィルムそれぞれの加熱ロールラミネーターを用いての加熱圧着方法である。
【0083】
本発明においては、加熱圧着した後、さらに加熱処理をしても良く、このときの熱処理方法は、銅層付き樹脂フィルムをロール巻きにしてのバッチ方式処理、ロールtoロール方式での連続処理、カットシートでの枚葉処理のいずれを用いても良い。熱処理は200〜400℃、好ましくは240〜350℃、さらに好ましくは260〜320℃の温度範囲で、1〜48時間熱処理を行い、目標温度まで段階的に上げても良い。また、銅層の酸化を防止するために真空中または窒素雰囲気中で処理することが好ましい。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。有機溶剤への可溶性、接着力の測定方法について述べる。
【0085】
(1)ポリイミド樹脂の有機溶剤可溶性
ポリアミド酸の15重量%NMP溶液に対して、トルエンを添加し、200℃で加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。3時間後イミド化完了後まで溶液状態が保たれるものを溶解性良好、イミド化反応途中で溶液がゲル化してしまったものを不溶とした。表1には、溶解性良好を○、不溶を×と記載した。
【0086】
(2)接着力の測定
各実施例で得られた銅層付き樹脂フィルムを塩化第2鉄溶液で2mm幅にエッチングし、2mm幅の銅層をTOYO BOLDWIN社製“テンシロン”UTM−4−100にて引っ張り速度50mm/分で90゜方向に剥離したときの剥離力を測定した。
【0087】
以下の合成例に示す酸二無水物、ジアミンの略記号の名称は下記の通りである。
OPDA :3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
DSDA :3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
PMDA :ピロメリット酸無水物
BPDA :3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
SiDA :1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン
FDA :9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
44DAE:4,4′−ジアミノジフェニルエーテル
34DAE:3,4′−ジアミノジフェニルエーテル
PDA :p−フェニレンジアミン
BAPP :2,2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
NMP :N−メチル−2−ピロリドン。
【0088】
合成例1(フィルム製膜原液1の調製)
重合槽にNMPを仕込み、この中に芳香族ジアミン成分として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、20モル%に相当する44DAEとを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、30℃での溶液粘度を250Pa・sに調整してフィルム製膜原液1とした。
【0089】
合成例2(フィルム製膜原液2の調製)
重合槽にNMPを仕込み、この中に芳香族ジアミン成分として100モル%に相当する44DAEを溶解させ、これに100モル%に相当するPMDAを添加し、60℃で3時間撹拌して重合を完了した。ポリマ濃度15重量%、30℃での溶液粘度を250Pa・sに調整してフィルム製膜原液2とした。
【0090】
合成例3(接着剤溶液1の調製)
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置および攪拌装置を付した重合槽中、ジアミン成分の25モル%に相当する44DAEと、75モル%に相当するBAPPをNMPに溶解させ、芳香族テトラカルボン酸として100モル%に相当するDSDAを添加し、70℃で4時間反応させてポリアミド酸を重合し、15重量%のポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液にトルエンを添加し、200℃で加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。その後、トルエンを留去し、得られたポリイミドワニスを水中に注いで、得られた沈殿物を分離、粉砕、洗浄および乾燥することにより、ポリイミド粉末を得た。これをNMPに15重量%で溶解したものを接着剤溶液1とした。
【0091】
合成例4(接着剤溶液2の調製)
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置および攪拌装置を付した重合槽中、ジアミン成分の15モル%に相当するSiDAと、40モル%に相当するFDAと、45モル%に相当する34DAEをNMPに溶解させ、芳香族テトラカルボン酸として100モル%に相当するOPDAを添加し、70℃で4時間反応させてポリアミド酸を重合し、15重量%のポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液にトルエンを添加し、200℃で加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。その後、トルエンを留去し、得られたポリイミドワニスを水中に注いで、得られた沈殿物を分離、粉砕、洗浄および乾燥することにより、ポリイミド粉末を得た。これをNMPに15重量%で溶解したものを接着剤溶液2とした。
【0092】
合成例5(接着剤溶液3の調製)
温度計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装置および攪拌装置を付した重合槽中、ジアミン成分の4モル%に相当するPDAと、52%に相当する44DAEと、44%に相当するBAPPをNMPに溶解させ、芳香族テトラカルボン酸成分の57モル%に相当するPMDAと43モル%に相当するBPDAを添加し、70℃で4時間反応させてポリアミド酸を重合し、15重量%のポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液にトルエンを添加し、200℃で加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行ったところ、イミド化の進行と共に粘度が急上昇し、最終的にはゲル化してしまった。従ってこのポリイミドはNMPに不溶であったため、ポリアミド酸の15重量%溶液を接着剤溶液3とした。
【0093】
実施例1
合成例1で得られたフィルム製膜原液1をBとし、合成例3で得られた接着剤溶液1をAとして、これらの製膜原液を5μmカットのフィルタ−を通した後、矩形の3層積層用フィードブロックを用いてA/B/Aの3層に積層して金属ベルト上に流延した。最終フィルムのA層の厚みが2μm、B層の厚みが4μmになるように押し出し量を調整した。この流延されたフィルムを180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMPの濃度勾配をつけた温度45℃の水槽内(20重量%、10重量%、0重量%の順)へ5分間フィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。この時の残存無機塩濃度は0.01重量%であった。その後、テンタ−で水分の乾燥と280℃での最終熱処理を行った。この間にフィルム長手方向と幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸を行った後、20℃/秒の速度で徐冷し、芳香族ポリアミドフィルムの両面に接着剤層を積層した接着剤付き樹脂フィルムを得た。
【0094】
上記のように作製した接着剤付き樹脂フィルムに、接着面側を粗化処理した厚さ12μmの圧延銅箔(BHY日鉱マテリアルズ(株)製)を張り合わせ、ロールの表面温度を360℃に加熱したロールラミネーターで、図2(a)のように保護フィルムとして厚さ125μmのポリイミドフィルム(“カプトン”500H東レ・デュポン(株)製)を両ロールと接着剤付き樹脂フィルム、銅箔の間にそれぞれ介在させ、線圧70N/mm、速度1m/分で加熱圧着し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。得られた片面銅層付き樹脂フィルムの接着力を測定したところ、10N/cmであった。
【0095】
実施例2
合成例1で得られたフィルム製膜原液1をBとし、合成例4で得られた接着剤溶液2をAとした以外は実施例1と同様に接着剤付き樹脂フィルムを作製し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。得られた片面銅層付き樹脂フィルムの接着力を測定したところ、12N/cmであった。
【0096】
実施例3
合成例1で得られたフィルム製膜原液1を金属ベルト上に流延し、最終フィルム厚みが4μmになるように押し出し量を調整した。この流延されたフィルムを180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次にNMPの濃度勾配をつけた水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行い、テンタ−で水分の乾燥と280℃で最終熱処理を行った。この間にフィルム長手方向と幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸を行った後、20℃/秒の速度で徐冷し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0097】
このフィルムの両面に、ロールコーターを用いて接着剤溶液2を乾燥後膜厚が2μmとなるように塗布、乾燥し、280℃で1分の熱処理を行った。
【0098】
上記のように作製した接着剤付き樹脂フィルムに、接着面側を粗化処理した厚さ12μmの圧延銅箔(BHY日鉱マテリアルズ(株)製)を張り合わせ、ロールの表面温度を360℃に加熱したロールラミネーターで、図2(a)のように保護フィルムとして厚さ125μmのポリイミドフィルム(“カプトン”500H東レ・デュポン(株)製)を両ロールと接着剤付き樹脂フィルム、銅箔の間にそれぞれ介在させ、線圧70N/mm、速度1m/分で加熱圧着し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。得られた片面銅層付き樹脂フィルムの接着力を測定したところ、9N/cmであった。
【0099】
実施例4
製膜時に水浴を通さない他は、実施例1と同様に接着剤付き樹脂フィルムを作製し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。得られた片面銅層付き樹脂フィルムの接着力を測定したところ、6N/cmであった。
【0100】
比較例1
合成例1で得られたフィルム製膜原液1をBとし、合成例5で得られた接着剤溶液3をAとした以外は実施例1と同様に接着剤付き樹脂フィルムを作製し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。接着剤溶液としたポリアミド酸溶液のイミド化が十分でないため、ロールラミネート時に発泡が生じ、接着力は5N/cmであった。
【0101】
比較例2
製膜時の最終熱処理温度を280℃から400℃に上げた以外は比較例1と同様に接着剤樹脂フィルムを作製し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。B層である芳香族ポリアミドフィルムの熱収縮が起きて良好な片面銅層付き樹脂フィルムが得られなかった。
【0102】
比較例3
合成例2で得られたフィルム製膜原液2をBとし、合成例4で得られた接着剤溶液2をAとした以外は実施例1と同様に接着剤付き樹脂フィルムを作製し、片面銅層付き樹脂フィルムを得た。フィルム切れ、巻きしわが多発した。
【0103】
実施例1〜3および比較例1〜3の結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に用いられるロールラミネーターの一態様を示した概略図
【図2】本発明に用いられるロールラミネーターの他の態様を示した概略図
【符号の説明】
【0106】
1 加熱ロール(上)
2 加熱ロール(下)
3 金属箔
4 接着剤付き樹脂フィルム
5 金属層付き樹脂フィルム巻取り
6 保護フィルム
7 保護フィルム巻取り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの少なくとも片面に接着剤層を積層した接着剤付き樹脂フィルムであって、樹脂フィルムが芳香族ポリアミドフィルムであり、接着剤層が溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着剤からなることを特徴とする接着剤付き樹脂フィルム。
【請求項2】
芳香族ポリアミドフィルムが少なくとも一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求項1記載の接着剤付き樹脂フィルム。
【化1】

【化2】

(式中、Ar〜Arはそれぞれ同一または異なっていてよく、二価の芳香族基を示す。)
【請求項3】
溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドが少なくとも酸二無水物残基とジアミン残基を有し、全ジアミン残基中、一般式(3)で表されるシロキサン系ジアミンの残基を2〜40モル%、および一般式(4)で表されるフルオレン系ジアミンの残基を4〜82モル%含むことを特徴とする請求項1記載の接着剤付き樹脂フィルム。
【化3】

(nは1〜30の範囲を示す。また、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてよく、炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基を示す。R〜Rはそれぞれ同一または異なっていてよく、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
【化4】

(R〜R22はそれぞれ同一または異なっていてよく、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる。)
【請求項4】
芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着剤からなる接着剤層を積層した接着剤付き樹脂フィルムの製造方法であって、芳香族ポリアミドからなる樹脂溶液と溶剤可溶性熱可塑性ポリイミドを主成分とする接着剤溶液を積層して同時に加熱乾燥することを特徴とする接着剤付き樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
金属層と、請求項1に記載の接着剤付き樹脂フィルムを積層してなる金属層付き樹脂フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−56201(P2007−56201A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245711(P2005−245711)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】