説明

操舵制御装置

【課題】操舵力を発生する電動モータに高出力が要求されるときに、インバータのスイッチング損失を低減することのできる操舵制御装置を提供する。
【解決手段】電動モータ1のPWM制御におけるキャリア周波数を、搬送波生成部28が電動モータ1の回転速度ωに応じて制御する。搬送波生成部28は、電動モータ1を定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域で駆動するときに、電動モータ1を定トルク領域の回転速度で駆動するときよりもキャリア周波数を低く設定することにより、インバータ13bにおけるスイッチング損失を低減して電動モータ1の出力を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の転舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与するための電動モータを、インバータのPWM制御によって駆動制御する操舵制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータのPWM制御によって電動モータを駆動する場合には、インバータがPWM制御のキャリア周波数に応じてスイッチング動作することによって騒音が発生する。このインバータの騒音を低減するためには、キャリア周波数を可聴周波数よりも高い非可聴周波数に設定することが有効であるが、キャリア周波数を高くすると、上記インバータにおけるスイッチング動作の頻度が増加してスイッチング損失が増加するという問題がある。このように、インバータにおける騒音の低減とスイッチング損失の低減とはトレードオフの関係にあるため、例えば特許文献1に記載の技術では、低損失を重視するか静粛性を重視するかを選択するモード選択スイッチを設けている。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、ハイブリッド自動車の駆動輪を駆動する駆動モータを、インバータのPWM制御によって駆動制御するものであって、上記ハイブリッド自動車の走行モードを、上記モード選択スイッチによって静粛性重視モードと燃費重視モードから選択可能になっている。つまり、モード選択スイッチによって運転者が静粛性重視モードを選択している場合には、キャリア周波数を高くしてインバータの騒音を低減する一方、モード選択スイッチによって運転者が燃費重視モードを選択している場合には、キャリア周波数を低くしてインバータのスイッチング損失を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−22671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では運転者が走行モードを選択するようになっているため、仮にこの技術を操舵制御装置へ単に転用すると、キャリア周波数を車両の走行状態に応じて適切に設定することができず、例えば危険回避時や低速走行時など、操舵力を発生する電動モータに高出力が要求されるときに、インバータのスイッチング損失によってその要求を満たすことができない虞がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、操舵力を発生する電動モータに高出力が必要なときに、インバータのスイッチング損失を低減することのできる操舵制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電動モータが最大トルクを発生可能な定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域で電動モータを駆動するときに、上記定トルク領域で電動モータを駆動するときよりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、車両の走行速度が所定の設定走行速度以下であるときに、上記走行速度が上記設定走行速度を超えるときよりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項5に記載の発明は、ステアリングホイールの回転速度である操舵速度が所定の設定操舵速度を超えるときに、上記操舵速度が上記設定操舵速度以下のときよりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,4,5に記載の発明によれば、電動モータに高出力が必要なときに、スイッチング損失を低減して電動モータの出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態として本発明にかかる操舵制御装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略を示す図。
【図2】図1におけるコントロールユニットの詳細を示す図。
【図3】図2におけるインバータの詳細を示す図。
【図4】同図(a)は電動モータのN−T特性を示す図、同図(b)は第1の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図5】第1の実施の形態における電動モータのN−T特性と、比較例における電動モータのN−T特性と、を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図7】電動モータの回転速度と一次電流との関係を示す図。
【図8】第2の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図10】電動モータの回転速度とインバータの入力電圧との関係を示す図。
【図11】第3の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図12】本発明の第4の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図13】電動モータの回転速度とq軸電流偏差の積分値との関係を示す図。
【図14】第4の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図15】本発明の第5の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図16】電動モータの回転速度とd軸目標電流との関係を示す図。
【図17】第4の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図18】本発明の第6の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図19】第6の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図20】本発明の第7の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図21】第7の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図22】本発明の第8の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図23】第8の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図24】本発明の第9の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図25】第9の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図26】本発明の第10の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図27】第10の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図。
【図28】本発明の第11の実施の形態としてコントロールユニットの詳細を示す図。
【図29】第11の実施の形態におけるキャリア周波数マップを示す図であって、同図(a)は走行速度vを横軸としてキャリア周波数マップを示す図、同図(b)は操舵速度を横軸としてキャリア周波数マップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の第1の実施の形態として、本発明にかかる操舵制御装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略を示す図である。
【0013】
図1に示す電動パワーステアリング装置は、三相交流の電力をもって駆動される電動モータ1の発生したアシストトルクを、減速機2を介してステアリングシャフト3に伝えるいわゆるコラムアシスト型のものであって、ステアリングシャフト3の一端に、当該ステアリングシャフト3と一体に回転するステアリングホイール4が設けられている一方で、ステアリングシャフト3の他端にはピニオンシャフト5がユニバーサルジョイント6を介して連結されている。
【0014】
ピニオンシャフト5は、ラックバー7とともにいわゆるラックアンドピニオン式のステアリングギヤ8を構成している。つまり、ステアリングホイール4をピニオンシャフト5とともに回転させると、ピニオンシャフト5の回転運動がラックバー7の直線運動に変換され、当該ラックバー7と、そのラックバー7の左右両端にそれぞれ接続されたタイロッド9,9とからなる操舵機構としてのリンク機構10を介して車両の前輪である左右の転舵輪11,11がそれぞれ転舵するようになっている。なお、図1における12,12はダストブーツであって、このダストブーツ12内に設けられた図示外のユニバーサルジョイントによってラックバー7の左右両端部と左右のタイロッド9,9とがそれぞれ連結されている。
【0015】
また、運転者がステアリングホイール4を回転操作する手動操舵トルクは、ステアリングシャフト3に設けられたトルクセンサ12によって検出され、そのトルクセンサ12の出力のほか、電動モータ1に付設されたレゾルバ1aの出力に基づいてコントロールユニット13が電動モータ1を駆動することになる。これにより、電動モータ1が手動操舵トルクを補助するアシストトルクを発生し、そのアシストトルクがステアリングシャフト3およびステアリングギア8を介してリンク機構10に操舵力として伝達・付与される。
【0016】
図2はコントロールユニット13の詳細を示す図である。この図2に示すように、コントロールユニット13は、電動モータ1を駆動するためのPWM制御信号PWMu,PWMv,PWMwをトルクセンサ12およびレゾルバ1aの出力に基づいて生成する主制御部13aと、PWM制御信号PWMu,PWMv,PWMwに基づくスイッチング動作により、電源であるバッテリ14から電動モータ1に電力を供給するインバータ13bと、を備えている。なお、バッテリ14は、ケーブル14aを介してインバータ13bに接続されている。
【0017】
インバータ13bは、図3に示すように、U相アーム15uとV相アーム15vおよびW相アーム15wをそれぞれ有している。各アーム15u,15v,15wは、スイッチング素子たるハイサイドFET16u,16v,16wとローサイドFET17u,17v,17wを直列に接続したものであって、それら各アーム15u,15v,15wのうちハイサイドFET16u,16v,16w側の端部がバッテリ14に接続されている一方、各アーム15u,15v,15wのうちローサイドFET17u,17v,17w側の端部が接地されている。さらに、各アーム15u,15v,15wのうちハイサイドFET16u,16v,16wとローサイドFET17u,17v,17wとの間の中間点が、電動モータ1の各相のコイルにそれぞれ接続されている。そして、周知のように、インバータ13bは、各FETのスイッチング動作により、電動モータ1に三相交流の電力を供給することになる。
【0018】
次に、主制御部13aの具体的構成を図2に基づいて説明する。図2に示すように、主制御部13aは、電動モータ1の回転方向であるq軸と、そのq軸に直交するd軸とからなる回転座標系を用いたベクトル制御によって電動モータ1を制御するようになっている。
【0019】
具体的には、主制御部13aのアシストトルク算出部18は、トルクセンサ12の出力に基づいて目標アシストトルクTAを算出し、その目標アシストトルクTAを目標電流算出部19に出力する。
【0020】
目標電流算出部19は、目標アシストトルクTAのほか、電動モータ1の回転速度ω、すなわち電動モータ1における図示外のロータの回転速度ωに基づいてd軸およびq軸の目標電流Id*,Iq*を算出し、その目標電流Id*,Iq*を電流偏差算出部たるd軸およびq軸の第1演算部23d,23qに出力する。なお、回転速度ωは、レゾルバ1aの出力に基づいて算出される。詳しくは、回転位置算出部21がレゾルバ1aの出力に基づいて電動モータ1における図示外のロータの回転位置θを算出するとともに、回転速度算出部22がその回転位置θを微分演算して回転速度ωを算出するようになっている。
【0021】
ここで、周知のように、q軸目標電流Iq*は、回転座標系を用いたベクトル制御におけるq軸成分の電流であって、電動モータ15の発生トルクの大きさを制御するものである。また、d軸目標電流電流Id*は、回転座標系を用いたベクトル制御におけるd軸成分の電流であって、電動モータ15の界磁を弱めるためのものである。つまり、目標電流算出部19では、電動モータ1の回転速度ωが大きくなるのに伴ってd軸目標電流Id*を増大させることで電動モータ1の界磁を弱める、いわゆる弱め界磁制御を行うようになっている。
【0022】
そして、d軸の第1演算部23dは、d軸の目標電流Id*から電動モータ1に流れるd軸の実電流Idを減算することによってd軸の電流偏差ΔIdを算出し、そのd軸の電流偏差ΔIdを操作量算出部たるd軸のPI制御部20dに出力する。一方で、q軸の第1演算部23qは、q軸の目標電流Iq*からq軸の実電流Iqを減算することによってq軸の電流偏差ΔIqを算出し、そのq軸の電流偏差ΔIqを操作量算出部たるq軸のPI制御部20qに出力する。なお、d軸およびq軸の実電流Id,Iqは、電動モータ1に供給されている3相の励磁電流Iu,Iv,Iwを、3相−2相変換部25によって回転座標系に変換したものである。
【0023】
詳しくは、3相の励磁電流Iu,Iv,IwのうちU相およびV相の励磁電流Iu,Ivが実電流センサ25u,25vによって検出される一方、W相の励磁電流IwはU相およびV相の励磁電流Iu,Ivに基づいて3相−2相変換部25で算出される。
【0024】
両PI制御部20d,20qは、いわゆるPI制御(比例積分制御)によってd軸およびq軸の目標供給電圧Vd*,Vq*を算出するようになっている。詳しくは、d軸のPI制御部20dは、d軸の電流偏差ΔIdに比例ゲインKpを乗じた比例項と、d軸の電流偏差ΔIdの積分値に積分ゲインKiを乗じた積分項と、をd軸の第2演算部24dにて加算する比例積分演算により、d軸の目標供給電圧Vd*を算出する。一方、q軸のPI制御部20qは、q軸の電流偏差ΔIqに比例ゲインKpを乗じた比例項と、q軸の電流偏差ΔIqの積分値に積分ゲインKiを乗じた積分項と、をq軸の第2演算部24qにて加算する比例積分演算により、q軸の目標供給電圧Vq*を算出する。
【0025】
そして、d軸およびq軸の目標供給電圧Vd*,Vq*は、d軸電流とq軸電流との相互干渉を防止すべく、相互干渉電圧補償部26によって補正目標供給電圧Vd**,Vq**に補正されてPWM制御部27に出力される。具体的には、相互干渉電圧補償部26は、d軸およびq軸の実電流Id,Iqおよび電動モータ1の回転速度ωに基づいてd軸およびq軸の補償電圧を算出するとともに、その補償電圧をd軸およびq軸の目標供給電圧Vd*,Vq*にそれぞれ加算することでd軸およびq軸の補正目標供給電圧Vd**,Vq**をそれぞれ得るようになっている。
【0026】
PWM制御部27は、d軸およびq軸の補正目標供給電圧Vd**,Vq**を3相の目標供給電圧に変換し、その3相の目標供給電圧と後述する搬送波生成部28で生成した搬送波である三角波状のキャリア信号Cとの比較により、パルス状を呈する3相のPWM制御信号PWMu,PWMv,PWMwを生成してインバータ13bに出力する。そして、インバータ13bの各FETがPWM制御信号PWMu,PWMv,PWMwによってそれぞれスイッチング動作することで電動モータ1に電力が供給され、その電動モータ1が目標アシストトルクTAに応じたアシストトルクを発生することになる。
【0027】
ここで、キャリア周波数制御部としての搬送波生成部28によるキャリア信号Cの生成について図4に基づいて説明する。なお、図4の(a)は電動モータ1のN−T特性(回転速度−トルク特性)を示すグラフであって、図4の(b)は、キャリア信号Cのキャリア周波数を設定するためのキャリア周波数マップである。図4の(a)に示すように、電動モータ1は、当該電動モータ1の回転速度ωが基底回転速度ω1以下の低速域である定トルク領域A1で、発生可能なトルクが最大となる。また、電動モータ1の回転速度ωが基底回転速度ω1を超える回転速度領域A2では、回転速度ωの増加にともなって発生可能なトルクが減少するようになっており、この回転速度領域A2で電動モータ1が最大の出力を発生可能になっている。なお、当然のことながら、電動モータ1は上述したように減速器2を介してステアリングシャフト3に連結されているため、当該電動モータ1の回転速度ωは、操舵速度、すなわちステアリングホイール4の回転速度に比例している。また、本実施の形態では、電動モータ1に高出力が要求されることになる操舵速度200deg/sec〜400deg/secの領域が、電動モータ1の回転速度に換算して回転速度領域A2に対応するように減速器2の減速比と電動モータ1の特性とを選定してある。操舵速度が200deg/sec〜400deg/secのときに電動モータ1に高出力が要求される理由は、その操舵速度が危険回避時の操舵速度に相当するからである。
【0028】
そして、搬送波生成部28は、図4の(b)に示すように、自動車の定常走行時の常用域にあたる定トルク領域A1では、インバータのスイッチング動作によって発生する騒音を低減するため、キャリア周波数を可聴周波数よりも高い非可聴周波数である第1設定周波数fc1に設定する一方で、電動モータ1に高出力が要求される回転速度領域A2では、インバータ13bにおけるスイッチング損失を低減するため、定トルク領域A1よりもキャリア周波数を低く設定してスイッチング損失を低減させるようにしている。具体的には、回転速度領域A2のうち、所定の設定回転速度ω2以下の中速域A3をキャリア周波数漸減領域とし、その中速域A3においては回転速度ωの増加に伴ってキャリア周波数を連続的に漸減させるとともに、電動モータ1の回転速度ωが設定回転速度ω2を超える高速域A4においてはキャリア周波数を可聴周波数である第2設定周波数fc2に設定するようにしている。なお、両設定周波数としてより具体的には、インバータ13bにおける騒音とスイッチング損失とのバランスを考慮すると、第1設定周波数を20kHz、第2設定周波数を10kHzにそれぞれ設定することが好ましい。
【0029】
図5は、本実施の形態のN−T特性をC1、回転速度領域A2においてもキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定するようにした第1比較例のN−T特性をC2、スイッチング損失が存在しないものと仮定した第2比較例のN−T特性をC3としてそれぞれ図示したものである。この図5に示すように、本実施の形態では、電動モータ1に高出力が要求されない定トルク領域A1においては、スイッチング損失の増大を許容し、キャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定することでインバータ13bの騒音を低減することになる。一方で、電動モータ1に高出力が要求される回転速度領域A2では、スイッチング損失の増大を許容できないことから、キャリア周波数を第2設定周波数fc2までの範囲で低減することにより、当該インバータ13bにおけるスイッチング損失を低減し、電動モータ1の発生可能なトルクを第1比較例C2よりも増大させている。
【0030】
したがって、本実施の形態によれば、電動モータ1に高出力が要求されない定トルク領域A1ではキャリア周波数を非可聴周波数に設定することでインバータ13bの騒音を低減できる一方、電動モータ1に高出力が要求される回転速度領域A2ではキャリア周波数を可聴周波数まで低減することでスイッチング損失を低減し、電動モータ1の出力を向上させることができるようになる。
【0031】
また、電動モータ1の出力を向上させることで、電動パワーステアリング装置に用いる電動モータ1として小型のものを用いることが可能となり、電動パワーステアリング装置を軽量且つコンパクトなものにすることができるようになるほか、電動パワーステアリング装置を比較的大型の車両に適用可能になるメリットがある。
【0032】
その上で、中速域A3で回転速度ωの増加に伴ってキャリア周波数を連続的に漸減させるようになっているため、キャリア周波数の急変による操舵フィーリングの悪化を防止できるメリットがある。
【0033】
さらに、電動モータ1の運転状態を、電動モータ1に付設されたレゾルバ1aの出力に基づいて算出した回転速度ωによって判定するようになっているため、電動モータ1の運転状態を検出するためのセンサを新たに設ける必要がなく、コスト的に有利になるメリットがある。
【0034】
図6は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。この図6に示す第2の実施の形態は、ケーブル14aを流れる一次電流Ibを検出する電流センサ29を設け、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部30が電流センサ29から受信した一次電流Ibに基づいてキャリア周波数を設定するようにしたものである。なお、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0035】
図7は、発生可能な最大のトルクで電動モータ1を駆動した場合の回転速度ωと一次電流Ibとの関係を、電動モータ1のN−T特性とともに図示したグラフである。ここで、この図7に示すように、一次電流Ibは、電動モータ1における回転速度ωまたは出力の増加にともなって増加することになる。つまり、この第2の実施の形態では、電動モータ1が回転速度領域A2で動作しているか否かを一次電流Ibに基づいて判断し、電動モータ1が回転速度領域A2で動作している場合に、定トルク領域A1で電動モータ1が動作しているときよりもキャリア周波数を低く設定するようにしている。
【0036】
具体的には、図8に示すように、搬送波生成部30は、一次電流が所定の第1設定電流Ib1以下である場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定する一方で、一次電流Ibが所定の第2設定電流Ib2を超える場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようにしている。さらに、搬送波生成部30は、一次電流Ibが第1設定電流Ib1を超え、且つ第2設定電流Ib2以下である場合に、一次電流Ibの増加に伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、当然のことながら、第1設定電流Ib1および第2設定電流Ib2は回転速度領域A2に対応するように設定してある。
【0037】
したがって、この第2の実施の形態では、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作していて、且つ電動モータ1の発生トルクが大きい電動モータ1の高出力時に、電動モータ1の低出力時よりも低いキャリア周波数に設定されることになる。つまり、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作している場合であっても、電動モータ1の発生トルクが低い場合には当該電動モータ1の出力が比較的低いことから、一次電流Ibが第1設定電流Ib1以下となり、キャリア周波数が第1設定周波数fc1に維持されることになる。換言すれば、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作している場合であっても、電動モータ1の発生トルクが低い場合にはスイッチング損失の増大を許容できるため、キャリア周波数を第1設定周波数fc1に維持してインバータ13bの騒音を抑えるようにしている。
【0038】
つまり、この第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と略同様な効果が得られるメリットがある上に、電動モータ1の動作状態をより的確に判断してより適切なキャリア周波数に設定できるようになる。
【0039】
なお、本実施の形態では、一次電流Ibに応じてキャリア周波数を設定するようになっているが、電動モータ1の動作状態をさらに的確に判断可能とすべく、上述した第1の実施の形態で用いた電動モータ1の回転速度ωと一次電流Ibとの両者に応じてキャリア周波数を設定するようになっていてもよいことは言うまでもない。
【0040】
図9は本発明の第3の実施の形態を示す図である。この図9に示す第3の実施の形態は、インバータ13bに供給される入力電圧Viを検出する電圧センサ31を設け、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部32がその電圧センサ31の出力に応じてキャリア周波数を設定するようにしたものである。なお、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0041】
図10は、発生可能な最大のトルクで電動モータ1を駆動した場合の回転速度ωと入力電圧Viとの関係を、電動モータ1のN−T特性とともに図示したグラフである。ここで、図10に示すように、電動モータ1における回転速度ωまたは出力が増加すると、ハーネス14aに流れる電流が大きくなってハーネス14aにおける電圧降下量が増大するため、これによって入力電圧Viが低下することになる。このように、入力電圧Viは電動モータ1の回転速度ωまたは出力に応じて変化することから、第3の実施の形態では、電動モータ1が回転速度領域A2で動作しているか否かを入力電圧Viに基づいて判断し、電動モータ1が回転速度領域A2で動作している場合に、電動モータ1が定トルク領域A1で動作しているときよりもキャリア周波数を低く設定するようにしている。
【0042】
具体的には、図11に示すように、搬送波生成部32は、入力電圧Viが所定の第1設定電圧Vi1以下である場合に場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定する一方で、入力電圧Viが所定の第2設定電圧Vi2を超える場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定するようになっている。さらに、搬送波生成部32は、入力電圧Viが第1設定電圧Vi1を超え、且つ第2設定電圧Vi2以下である場合に、入力電圧Viの減少に伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、当然のことながら、第1設定電圧Vi1および第2設定電圧Vi2は回転速度領域A2に対応するように設定してある。
【0043】
したがって、この第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作していて、且つ電動モータ1の発生トルクが大きい高出力時に、電動モータ1の低出力時よりも低いキャリア周波数に設定されることになるため、第2の実施の形態と略同様な効果が得られるメリットがある。
【0044】
なお、本実施の形態では、搬送波生成部32が入力電圧Viに応じてキャリア周波数を設定するようにしているが、バッテリ14の劣化やその充電状態に応じた電圧変化に起因して入力電圧Viが変化する場合も考えられるため、電動モータ1の運転状態をより的確に判定すべく、バッテリ14の電圧と入力電圧Viとの差、すなわちハーネス14aにおける電圧降下量に応じてキャリア周波数を設定するように構成してもよい。
【0045】
図12に示す第4の実施の形態は、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部33が、q軸のPI制御部20qで算出されるq軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtに基づいてキャリア周波数を設定するようになっているものであって、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0046】
図13は、電動モータ1を発生可能な最大のトルクで駆動した場合の回転速度ωとq軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtとの関係を、電動モータ1のN−T特性とともに図示したグラフである。ここで、図13に示すように、電動モータ1の回転速度ωまたは出力が増加すると、回転速度領域A2で出力飽和によりq軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが立ち上がり、電動モータ1の回転速度ωがさらに増加するのに伴ってq軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが増大することになる。このように、q軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtは電動モータ1の回転速度ωに応じて変化することから、第5の実施の形態では、電動モータ1が回転速度領域A2で動作しているか否かをq軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtに基づいて判断し、電動モータ1が回転速度領域A2で動作している場合に、電動モータ1が定トルク領域A1で動作しているときよりもキャリア周波数を低く設定するようにしている。
【0047】
具体的には、図14に示すように、搬送波生成部34は、q軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが所定の第1設定電流偏差Iq1以下である場合に場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定する一方で、q軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが所定の第2設定電流偏差Iq2を超える場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、搬送波生成部34は、q軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが第1設定電流偏差Iq1を超え、且つ第2設定電流偏差Iq2以下である場合に、q軸電流偏差の積分値∫ΔIqdtが増大するのに伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、当然のことながら、第1設定電流偏差Iq1および第2設定電流偏差Iq2は、回転速度領域A2に対応するように設定してある。
【0048】
したがって、この第4の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作していて、且つ電動モータ1の発生トルクが大きい高出力時に、電動モータ1の低出力時よりも低いキャリア周波数に設定されることになるため、第2の実施の形態と略同様な効果が得られるメリットがある。
【0049】
図15に示す第5の実施の形態は、キャリア周波数制御部としての搬送波生成部34がd軸目標電流Id*に基づいてキャリア周波数を変化させるようになっているものであって、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0050】
ここで、d軸目標電流Id*は、上述したように、電動モータ1の回転速度ωが大きくなるのに伴って増大する、いわゆる弱め界磁電流とも称されるものであって、本実施の形態では下記の式によって目標電流算出部19で算出されることになる。
Id*=(ω−ωd)×Iq*×制御係数
なお、上記式におけるωdは、弱め界磁制御を開始する弱め界磁制御開始回転速度である。つまり、目標電流算出部19は、電動モータ1の回転速度ωが弱め界磁制御開始回転速度ωdを超える場合に、d軸目標電流Id*を発生させるようになっている。
【0051】
図16は、電動モータ1を発生可能な最大のトルクで電動モータ1を駆動した場合の回転速度ωとd軸目標電流Id*との関係を、電動モータ1のN−T特性とともに図示したグラフである。この図16を参照してd軸目標電流Id*についてより詳しく説明すると、電動モータ1における回転速度ωが増加し、回転速度領域A2の回転速度に設定された界磁制御開始回転速度ωdに達すると弱め界磁制御が開始され、その界磁制御開始回転速度ωdから電動モータの回転速度ωが大きくなるのに伴ってd軸目標電流の絶対値|Id*|が増大することになる。このように、d軸目標電流Id*は電動モータ1の回転速度ωに応じて変化することから、第5の実施の形態では、電動モータ1が回転速度領域A2で動作しているか否かをd軸目標電流Id*に基づいて判断し、電動モータ1が回転速度領域A2で動作している場合に、電動モータ1が定トルク領域A1で動作しているときよりもキャリア周波数を低く設定することになる。
【0052】
具体的には、図17に示すように、搬送波生成部34は、d軸目標電流の絶対値|Id*|が所定の第1設定目標電流Id1以下である場合に場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定する一方で、d軸目標電流の絶対値|Id*|が所定の第2設定目標電流Id2を超える場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、搬送波生成部34は、d軸目標電流の絶対値|Id*|が第1設定目標電流Id1を超え、且つ第2設定目標電流Id2以下である場合に、d軸目標電流の絶対値|Id*|が増大するのに伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、両設定目標電流Id1,Id2は回転速度領域A2に対応するように設定してあることは言うまでもない。
【0053】
したがって、この第5の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作していて、且つ電動モータ1の発生トルクが大きい高出力時に、電動モータ1の低出力時よりも低いキャリア周波数に設定されることになるため、第2の実施の形態と略同様な効果が得られるメリットがある。
【0054】
図18に示す第6の実施の形態は、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部35が、PWM制御部27においてPWM制御信号PWMu,PWMv,PWMw生成の基礎となる変調率M、すなわち電動モータ1への目標供給電圧に応じてキャリア周波数を変化させるようにしたものであって、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。つまり、変調率Mは、電動モータ1の回転速度ωまたは出力が高くなるにしたがって増大することになるため、本実施の形態では、電動モータ1が回転速度領域A2で動作しているか否かを変調率Mに基づいて判断し、電動モータ1が回転速度領域A2で動作している場合に、電動モータ1が定トルク領域A1で動作しているときよりもキャリア周波数を低く設定するようにしている。
【0055】
具体的には、図19に示すように、搬送波生成部35は、変調率Mが所定の第1設定変調率M1以下である場合に場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定する一方で、変調率Mが所定の第2設定変調率M2を超える場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、搬送波生成部35は、変調率Mが第1設定変調率M1を超え、且つ第2設定変調率M2以下である場合に、変調率Mが増大するのに伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、当然のことながら、両設定変調率M1,M2は回転速度領域A2に対応するように設定してある。また、両設定変調率M1,M2としてより具体的には、第1設定変調率M1を100%、第2設定変調率M2を120%にそれぞれ設定するとよい。
【0056】
したがって、この第6の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、回転速度領域A2の回転速度ωで電動モータ1が動作していて、且つ電動モータ1の発生トルクが大きい高出力時に、電動モータ1の低出力時よりも低いキャリア周波数に設定されることになるため、第2の実施の形態と略同様な効果が得られるメリットがある。
【0057】
図20に示す第7の実施の形態は、車両の走行速度vを検出する車速センサ36を設けたものであって、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部37が、その車速センサ36の出力に基づいてキャリア周波数を変化させるようになっている。また、車速センサ36の出力はアシストトルク算出部18にも提供され、アシストトルク算出部18は、車両が低速走行中または停止状態のときにおける手動操舵トルクを低減すべく、走行速度vの低下に伴って目標アシストトルクTAを増大させるようになっている。なお、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0058】
この第7の実施の形態における搬送波生成部37は、図21に示すように、車両の走行速度vが所定の第1設定走行速度v1以下である場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定する一方で、車両の走行速度vが所定の第2設定走行速度v2を超える場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定するようにしている。さらに、搬送波生成部37は、車両の走行速度vが第1設定走行速度v1を超え、且つ第2設定走行速度v2以下である場合に、走行速度vの低下に伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。
【0059】
つまり、車両の低速走行時および停止時には、大きなアシストトルクを発生させるべく電動モータ1に高出力が要求されることになるから、このときにキャリア周波数を低減することでインバータ13bにおけるスイッチング損失を低減し、電動モータ1の出力を高めるようになっている。なお、第1設定走行速度v1および第2設定走行速度v2としてより具体的には、車両の走行速度と操舵力との関係を考慮すると、第1設定走行速度v1を5km/h,第2設定走行速度v2を10km/hにそれぞれ設定することが好ましい。
【0060】
したがって、この第7の実施の形態によれば、電動モータ1に高出力が要求される車両の低速走行時および停止時にキャリア周波数を低く設定することで、このときに電動モータ1の出力を向上させることができる一方で、電動モータ1に高出力が要求されない車両の高速走行時にはキャリア周波数を高く設定することでインバータの騒音を低減させることができる。
【0061】
図22に示す第8の実施の形態は、第7の実施の形態を基本として第3の実施の形態における電圧センサ31を加えたものであって、搬送波生成部38が、車速センサ36と電圧センサ31のそれぞれの出力に応じてキャリア周波数を変化させるようになっている。他の部分は上述した第7の実施の形態と同様である。
【0062】
具体的には図23に示すように、搬送波生成部38は、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下である場合のキャリア周波数を、入力電圧Viの低下に伴って低減させるようになっている。つまり、電動モータ1の高出力時には上述したように入力電圧Viが低下することになるため、この入力電圧Viに応じてキャリア周波数を設定するようにしている。
【0063】
より詳しくは、入力電圧Viが第2設定電圧Vi2を超える場合には、電動モータ1に高出力が要求されていないことから、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下であってもキャリア周波数を第1設定周波数fc1に維持し、インバータ13bの騒音を低減するようになっている。一方で、車両の走行速度vが第1設定走行速度v1以下であって、且つ入力電圧Viが第1設定電圧Vi1以下である場合には、電動モータ1に高出力が要求されることになるから、キャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下であるとともに、入力電圧Viが第1設定電圧Vi1を超え、且つ第2設定電圧V2以下である場合には、入力電圧Viの低下に伴ってキャリア周波数を連続的に低下させるようになっている。
【0064】
したがって、この第8の実施の形態によれば、上述した第7の実施の形態と略同様な効果が得られる上に、搬送波生成部38が車両の走行速度vのほか入力電圧Viに応じてキャリア周波数を設定するようになっているため、そのキャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0065】
図24に示す第9の実施の形態は、ステアリングホイール4の回転位置を検出する操舵角センサ39と、その操舵角センサ39の出力である操舵角θsに基づいてステアリングホイール4の回転速度である操舵速度ωsを算出する操舵速度検出部としての操舵速度算出部40と、をそれぞれ設けたものであって、キャリア周波数制御部たる搬送波生成部41が操舵速度ωsに基づいてキャリア周波数を変化させるようになっている。なお、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0066】
つまり、本実施の形態では、例えば危険回避時など操舵速度ωsが大きいときに電動モータ1に高出力が要求されるため、このような場合にキャリア周波数を低く設定することでスイッチング損失を低減し、もって電動モータ1の出力を高める一方、通常走行時のように操舵速度ωsが小さいときにはキャリア周波数を高く設定してインバータ13bの騒音を低減するようになっている。
【0067】
より具体的には図25に示すように、搬送波生成部41は、操舵速度ωsが所定の第1設定操舵速度ωs1以下である場合にキャリア周波数を第1設定周波数fc1に設定する一方で、操舵速度ωsが所定の第2操舵速度ωs2を超える場合にキャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようにしている。さらに、搬送波生成部41は、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1を超え、且つ第2設定送舵速度ωs2以下である場合に、操舵速度ωsの増加に伴ってキャリア周波数を連続的に低減させるようになっている。なお、両設定操舵速度ωs1,ωs2としてより具体的には、危険回避時の操舵速度ωsが200deg/sec〜400deg/secであることから、第1設定操舵速度ωs1を200deg/sec、第2設定操舵速度ωs2を300deg/secに設定するとよい。
【0068】
したがって、この第9の実施の形態によれば、電動モータ1に高出力が要求される危険回避時に、キャリア周波数を低く設定することで電動モータ1の出力を向上させることができる一方で、通常運転時にはキャリア周波数を高く設定することでインバータ13bの騒音を低減することができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、操舵速度算出部40が操舵角センサ39の出力に基づいて操舵速度ωsを算出しているが、この操舵速度ωsは、上述したように電動モータ1の回転速度ωに比例しているため、この回転速度ωに基づいて操舵速度ωsを算出することも可能である。この場合には、舵角センサ39が不要になるため、コスト的に有利となる上、操舵制御装置のコンパクト化および軽量化を図る上で有利となるメリットがある。
【0070】
図26に示す第10の実施の形態は、第9の実施の形態を基本として第3の実施の形態における電圧センサ31を加えたものであって、搬送波生成部42が、操舵速度ωsと入力電圧Viとのそれぞれに応じてキャリア周波数を変化させるようになっている。なお、当然のことながら、他の部分は上述した第9の実施の形態と同様である。
【0071】
具体的には図27に示すように、搬送波生成部38は、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1以上である場合のキャリア周波数を、入力電圧Viの低下に伴って低減させるようになっている。つまり、電動モータ1の高出力時には上述したように入力電圧Viが低下することになるため、この入力電圧Viに応じてキャリア周波数を設定するようにしている。
【0072】
より詳しくは、入力電圧Viが第2設定電圧Vi2を超える場合には、電動モータ1に高出力が要求されていないことから、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1を超えていてもキャリア周波数を第1設定周波数fc1に維持し、インバータ13bの騒音を低減するようになっている。一方で、操舵速度ωsが第2設定操舵速度ωs2以下であって、且つ入力電圧Viが第1設定電圧Vi1以下である場合には、電動モータ1に高出力が要求されることになるから、キャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1を超えているとともに、入力電圧Viが第1設定電圧Vi1を超え、且つ第2設定電圧V2以下である場合には、入力電圧Viの低下に伴ってキャリア周波数を連続的に低下させるようになっている。
【0073】
したがって、この第10の実施の形態によれば、上述した第9の実施の形態と略同様な効果が得られる上に、搬送波生成部42が操舵速度ωsのほか入力電圧Viに応じてキャリア周波数を設定するようになっているため、そのキャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0074】
図28に示す第11の実施の形態は、第7の実施の形態における車速センサ36と、第9の実施の形態における操舵角センサ39および操舵速度算出部40と、を組み合わせて用いたものであって、キャリア周波数制御部である搬送波生成部43が、車両の走行速度vと操舵速度ωsのそれぞれに応じてキャリア周波数を変化させるようになっている。なお、他の部分は上述した第7の実施の形態と同様である。
【0075】
具体的には図29の(a),(b)に示すように、搬送波生成部43は、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下である場合のキャリア周波数を、操舵速度ωsの増大に伴って低減させるようになっている。なお、図29の(a)は、走行速度vを横軸としたキャリア周波数マップを示すグラフであって、図29の(b)は、操舵速度ωsを横軸としたキャリア周波数マップを示すグラフである。
【0076】
より詳しくは、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1以下である場合には、電動モータ1に高出力が要求されていないことから、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下であってもキャリア周波数を第1設定周波数fc1に維持し、インバータ13bの騒音を低減するようになっている。一方で、車両の走行速度vが第1設定走行速度v1以下であって、且つ操舵速度ωsが第2設定操舵速度ωs2を超える場合には、電動モータ1に高出力が要求されることになるから、キャリア周波数を第2設定周波数fc2に設定するようになっている。さらに、車両の走行速度vが第2設定走行速度v2以下であるとともに、操舵速度ωsが第1設定操舵速度ωs1を超え、且つ第2設定操舵速度ωs2以下である場合には、操舵速度ωsの増大に伴ってキャリア周波数を連続的に低下させるようになっている。
【0077】
したがって、この第11の実施の形態によれば、上述した第7の実施の形態と略同様な効果が得られる上に、搬送波生成部43が車両の走行速度vのほか操舵速度ωsに応じてキャリア周波数を設定するようになっているため、そのキャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0078】
ここで、上記各実施の形態から把握される技術的思想であって、特許請求の範囲に記載していないものを、その効果とともに以下に記載する。
【0079】
(1)上記回転速度検出部は、電動モータに付設されたレゾルバの出力信号に基づいて上記電動モータの回転速度を算出するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
【0080】
この構成によれば、上記電動モータの回転速度を検出するためのセンサを新たに設ける必要がないため、コスト的に有利となるメリットがある。
【0081】
(2)上記インバータにケーブルを介して接続され、そのインバータに電力を供給する電源と、上記インバータの入力電圧を検出する電圧センサと、をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記インバータの入力電圧が所定の設定電圧以下である場合に、上記インバータの入力電圧が上記設定電圧を超える場合よりもキャリア周波数を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0082】
この構成では、上記電動モータに高出力が要求されるときに、上記ケーブルに流れる電流の増大によって当該ケーブルにおける電圧降下量が増大し、上記インバータの入力電圧が電源電圧よりも低下することになるため、上記定トルク領域よりも回転速度の高い回転速度領域で電動モータが動作しているか否かを上記インバータの入力電圧に基づいて判断するようにしている。したがって、この構成によれば、電動モータの運転状態に応じて適切にキャリア周波数を設定できるようになる。
【0083】
(3)上記インバータにケーブルを介して接続され、そのインバータに電力を供給する電源と、上記ケーブルに流れる一次電流を検出する電流センサと、をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記一次電流が所定の設定電流を超える場合に、上記一次電流が上記設定電流以下である場合よりもキャリア周波数を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0084】
この構成では、上記電動モータに高出力が要求されるときに上記一次電流が増大することになるため、上記定トルク領域よりも回転速度の高い回転速度領域で電動モータが動作しているか否かを上記一次電流に基づいて判断するようにしている。したがって、この構成によれば、電動モータの運転状態に応じて適切にキャリア周波数を設定できるようになる。
【0085】
(4)上記電動モータに供給すべき目標電流を算出する目標電流算出部と、上記電動モータに流れる実電流を検出する実電流センサと、上記目標電流と実電流との差であって、且つ上記操作量算出の基礎となる電流偏差を算出する電流偏差算出部と、をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記電流偏差が所定の設定電流偏差を超えた場合に、上記電流偏差が上記設定電流偏差以下である場合よりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0086】
この構成では、上記電動モータに高出力が要求されるときには上記電流偏差が増大することになるため、上記定トルク領域よりも回転速度の高い回転速度領域で電動モータが動作しているか否かを上記電流偏差に基づいて判断するようにしている。したがって、この構成によれば、電動モータの運転状態に応じて適切にキャリア周波数を設定できるようになる。
【0087】
(5)回転座標系における上記電動モータの回転方向であるq軸の目標電流と、上記回転座標系においてq軸に直交するd軸の目標電流と、を上記操作量算出の基礎としてそれぞれ算出する目標電流算出部をさらに備え、その目標電流算出部が、電動モータの回転速度に応じてd軸目標電流を変化させ、もって電動モータの界磁を弱める弱め界磁制御を行うようになっている一方、上記キャリア周波数制御部は、上記d軸の目標電流に基づいてキャリア周波数を設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0088】
この構成では、d軸の目標電流が電動モータの回転速度に応じて変化するようになっているため、上記定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域で電動モータが動作しているか否かを上記d軸の目標電流に基づいて判断するようにしている。したがって、この構成によれば、電動モータの運転状態に応じて適切にキャリア周波数を設定できるようになる。
【0089】
(6)上記目標電流算出部は、電動モータの回転速度が所定の弱め界磁制御開始回転速度を超える場合にd軸の目標電流を発生させるようになっているとともに、上記弱め界磁制御開始回転速度を上記定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域に設定していることを特徴とする(5)に記載の操舵制御装置。
【0090】
この構成では、上記弱め界磁制御開始回転速度を上記定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域に設定しているため、上記定トルク領域よりも回転速度が高い領域で電動モータが動作しているか否かをより確実に判断できるようになる。
【0091】
(7)上記キャリア周波数制御部は、上記PWM制御部におけるPWM制御の変調率が所定の設定変調率を超える場合に、上記変調率が設定変調率以下である場合よりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0092】
この構成では、上記電動モータに高出力が要求されるときに上記変調率が増大することになるため、上記定トルク領域よりも回転速度の高い回転速度領域で電動モータが動作しているか否かを上記変調率に基づいて判断するようにしている。したがって、この構成によれば、電動モータの運転状態に応じて適切にキャリア周波数を設定できるようになる。
【0093】
(8)上記キャリア周波数制御部は、上記電動モータを上記定トルク領域で駆動するときに、可聴周波数よりも周波数の高い非可聴周波数にキャリア周波数を設定することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【0094】
この構成では、上記電動モータに高出力が要求されない定トルク領域で、スイッチング損失の増大を許容してキャリア周波数を非可聴周波数に設定することにより、上記電動モータの駆動に伴って発生するインバータの騒音を低減することができる。
【0095】
(9)上記操舵機構に連結されたステアリングホイールと、そのステアリングホイールの回転角速度である操舵速度を検出または算出する操舵速度検出部と、をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、車両の走行速度が上記設定走行速度以下である場合に、上記操舵速度の増加に伴ってキャリア周波数を低減させるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の操舵制御装置。
【0096】
この構成では、上記操舵速度の増加に伴って上記電動モータに要求される出力が増大することになるため、車両の走行速度に加えて上記操舵速度を考慮してキャリア周波数を設定するようにしている。したがって、この構成によれば、キャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0097】
(10)上記インバータにケーブルを介して接続され、そのインバータに電力を供給する電源と、上記インバータの入力電圧を検出する電圧センサと、をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記走行速度が上記設定走行速度以下である場合に、上記入力電圧の低下に伴ってキャリア周波数を低減させるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の操舵制御装置。
【0098】
この構成では、上記入力電圧が低くなると電動モータの発生可能なトルクが低下するため、車両の走行速度に加えて上記入力電圧を考慮してキャリア周波数を設定するようにしている。したがって、この構成によれば、キャリア周波数を車両の運転状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0099】
(11)上記キャリア周波数制御部は、上記走行速度が上記設定走行速度を超える場合に、可聴周波数よりも周波数の高い非可聴周波数にキャリア周波数を設定することを特徴とする請求項4に記載の操舵制御装置。
【0100】
この構成では、車両の走行速度が上記設定走行速度を超える場合には上記電動モータに高出力が要求されないことから、この場合に、スイッチング損失の増大を許容してキャリア周波数を非可聴周波数に設定することで、上記電動モータの駆動に伴って発生するインバータの騒音を低減することができる。
【0101】
(12)上記操舵速度検出部は、上記ステアリングホイールの回転位置を検出する操舵角センサの出力に基づいて上記操舵速度を算出するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の操舵制御装置。
【0102】
この構成によれば、上記操舵速度を容易に得ることができるようになる。
【0103】
(13)車両の走行速度を検出して上記キャリア周波数制御部に出力する車速センサをさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記操舵速度が上記設定操舵速度を超える場合に、上記走行速度が低くなるのに伴ってキャリア周波数を低減させるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の操舵制御装置。
【0104】
この構成では、車両の走行速度が低くなるのに伴って電動モータに要求される出力が増大することになるため、上記操舵速度に加えて車両の走行速度を考慮してキャリア周波数を設定するようにしている。したがって、この構成によれば、キャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになるメリットがある。
【0105】
(14)上記インバータにケーブルを介して接続され、そのインバータに電力を供給する電源と、上記インバータの入力電圧を検出して上記キャリア周波数制御部に出力する電圧センサと、を備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記操舵速度が上記設定操舵速度を超える場合に、上記入力電圧が低くなるのに伴ってキャリア周波数を低減させるようになっていることことを特徴とする請求項5に記載の操舵制御装置。
【0106】
この構成では、上記入力電圧が低くなると電動モータの発生可能なトルクが低下するため、上記操舵速度に加えて上記入力電圧を考慮してキャリア周波数を設定するようにしている。したがって、この構成によれば、キャリア周波数を車両の走行状態に応じてより適切に設定できるようになる。
【0107】
(15)上記キャリア周波数制御部は、上記操舵速度が上記設定操舵速度以下である場合に、可聴周波数よりも周波数の高い非可聴周波数にキャリア周波数を設定することを特徴とする請求項5に記載の操舵制御装置。
【0108】
この構成では、上記操舵速度が上記設定操舵速度以下である場合には上記電動モータに高出力が要求されないことから、この場合に、スイッチング損失の増大を許容してキャリア周波数を非可聴周波数に設定することで、上記電動モータの駆動に伴って発生するインバータの騒音を低減することができる。
【符号の説明】
【0109】
1…電動モータ
1a…レゾルバ(回転位置センサ)
4…ステアリングホイール
10…リンク機構(操舵機構)
11…転舵輪
13b…インバータ
14…バッテリ(電源)
14a…ケーブル
18…アシストトルク算出部
19…目標電流算出部
20d…d軸のPI制御部(操作量算出部)
20q…q軸のPI制御部(操作量算出部)
22…回転速度算出部(回転速度検出部)
27…PWM制御部
28…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
30…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
32…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
33…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
34…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
35…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
36…車速センサ
37…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
38…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
40…操舵速度算出部(操舵速度検出部)
41…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
42…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)
43…搬送波生成部(キャリア周波数制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の転舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与するための電動モータを駆動制御する操舵制御装置において、
上記電動モータの操作量を算出する操作量算出部と、
上記操作量に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部と、
上記PWM制御信号に基づくスイッチング動作をもって上記電動モータに電力を供給するインバータと、
上記PWM制御信号のキャリア周波数を制御するキャリア周波数制御部と、
を備えていて、
上記キャリア周波数制御部は、上記電動モータが最大トルクを発生可能な定トルク領域よりも回転速度が高い回転速度領域で電動モータを駆動するときに、上記定トルク領域で電動モータを駆動するときよりもキャリア周波数を低く設定するようになっていることを特徴とする操舵制御装置。
【請求項2】
上記電動モータの回転速度を検出または算出する回転速度検出部をさらに備えていて、上記キャリア周波数制御部は、上記回転速度検出部の出力に基づいてキャリア周波数を設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
【請求項3】
上記キャリア周波数制御部は、上記定トルク領域よりも上記電動モータの回転速度が高速な回転速度領域に、上記電動モータの回転速度の増加に伴ってキャリア周波数を漸次減少させるキャリア周波数漸減領域を設定していることを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
【請求項4】
車両の転舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与するための電動モータを駆動制御する操舵制御装置において、
車両の走行速度を検出する車速センサと、
上記電動モータの操作量を算出する操作量算出部と、
上記操作量に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部と、
上記PWM制御信号に基づくスイッチング動作をもって上記電動モータへ電力を供給するインバータと、
上記走行速度に基づいて上記PWM制御信号のキャリア周波数を制御するキャリア周波数制御部と、
を備えていて、
上記キャリア周波数制御部は、上記走行速度が所定の設定走行速度以下であるときに、上記走行速度が上記設定走行速度を超えるときよりもキャリア周波数を低く設定することを特徴とする操舵制御装置。
【請求項5】
車両の転舵輪を転舵する操舵機構に操舵力を付与するための電動モータを、ステアリングホイールの回転操作に応じて駆動制御する操舵制御装置において、
上記ステアリングホイールの回転速度である操舵速度を検出または算出する操舵速度検出部と、
上記電動モータの操作量を算出する操作量算出部と、
上記操作量に基づいてPWM制御信号を生成するPWM制御部と、
上記PWM制御信号に基づくスイッチング動作をもって上記電動モータへ電力を供給するインバータと、
上記操舵速度に基づいて上記PWM制御信号のキャリア周波数を制御するキャリア周波数制御部と、
を備えていて、
上記キャリア周波数制御部は、上記操舵速度が所定の設定操舵速度を超えるときに、上記操舵速度が上記設定操舵速度以下のときよりもキャリア周波数を低く設定することを特徴とする操舵制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−221856(P2010−221856A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71555(P2009−71555)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】