説明

板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法

【課題】板状部材を厚み方向に沿った線を中心として回動させる場合にもタクトを短縮できる板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法を提供する。
【解決手段】搬送装置10は、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することによりガラス基板11を浮上させる浮上部材21を有する浮上手段20と、浮上手段20によりガラス基板11が浮上部材21から浮上した状態でガラス基板11を保持するとともに搬送方向に沿って下流側に向かってガラス基板11を搬送する搬送手段30とを備える。搬送手段30は、搬送方向に沿って移動可能であるとともにガラス基板11の厚み方向に沿った線を中心として軸回転可能な吸着パッド34を有する。パッド34は、ガラス基板11の平面中央部に吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディスプレイに用いられるガラス基板等の板状部材を搬送するための板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスプレイに用いられるガラス基板等の板状部材を搬送するために、基板搬送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1は、複数の空気孔が形成された浮上ブロックによりガラス基板を浮上させ、浮上させたガラス基板の搬送方向に沿った下流側の裏面を吸着パッドにより吸着することにより保持し、引っ張りながら搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−86917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、矩形状のガラス基板の周部に沿って枠状に露光処理を行う場合、まず互いに平行な一対の縁部に対して露光処理を行った後、厚み方向に沿った線を中心としてガラス基板を所定角度回動させ、残りの一対の縁部に対して露光処理を行うことが多い。すなわち、矩形状のガラス基板の周部に沿って枠状に露光処理を行う場合、ガラス基板を所定角度回動させる工程が必須となる。
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1では、ガラス基板の搬送方向に沿った下流側の裏面を吸着パッドにより吸着して支持するため、ガラス基板を所定角度回動させる工程の前に、一時的に吸着パッドをガラス基板から離反させ、ガラス基板を所定角度回動させる工程の後に再び吸着パッドをガラス基板に吸着させる必要があり、タクトを短縮できないという問題がある。
【0006】
以上のような問題は、ディスプレイに用いられるガラス基板を搬送するにあたって露光処理を行う場合にのみ生ずるものではなく、板状部材を搬送するにあたって、搬送経路の途中において生ずるものである。
【0007】
本発明は、前述した問題を解決するためになされたもので、板状部材を厚み方向に沿った線を中心として回動させる場合にタクトを短縮できる板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の板状部材の搬送装置は、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することにより板状部材を浮上させる浮上部材を有する浮上手段と、前記浮上手段により前記板状部材が前記浮上部材から浮上した状態で前記板状部材を保持するとともに前記搬送方向に沿って下流側に向かって前記板状部材を搬送する搬送手段とを備える板状部材の搬送装置であって、前記搬送手段が、前記搬送方向に沿って移動可能であるとともに前記板状部材の厚み方向に沿った線を中心として軸回転可能な吸着パッドを有し、前記吸着パッドが前記板状部材の平面中央部に吸着することを特徴とする。
【0009】
ここで、平面中央部としては、板状部材が矩形状である場合、対角線の交点を中心として所定の半径で描いた円内を指す。
そして、所定の半径とは、厚み方向に沿った線を中心として板状部材を所定角度回動させる工程を行う回動工程領域において、板状部材の角部が他の構造物に干渉しない半径としている。
【0010】
このような本発明においては、吸着パッドが板状部材の平面中央部に吸着するため、板状部材の搬送方向に沿った下流側の裏面を吸着パッドにより吸着する場合に比較して、厚み方向に沿った線を中心として板状部材を所定角度回動させる工程を行うにあたって、一時的に吸着パッドを板状部材から離反させ、再び吸着パッドを板状部材に吸着させる必要がなく、これによりタクトを短縮できることになる。
【0011】
また、本発明の板状部材の搬送装置は、前記搬送手段が前記搬送方向に沿って移動可能な回転軸を有し、前記吸着パッドが前記回転軸に連結されていることを特徴とする。
【0012】
このような本発明においては、搬送方向に沿って移動可能な回転軸に吸着パッドが連結されているため、搬送方向上流側に供給された板状部材に吸着パッドを吸着させれば、搬送方向下流側から板状部材を搬出するまで吸着パッドを離反、再吸着させる必要がなく、これによりタクトを短縮できることになる。
【0013】
さらに、本発明の板状部材の搬送装置は、板状部材を水平に維持する維持手段と、前記板状部材を保持するとともに搬送方向上流側から搬送方向下流側に搬送する搬送手段とを備える板状部材の搬送装置であって、前記搬送手段が、前記搬送方向に沿って移動可能であるとともに前記板状部材に吸着可能な吸着パッドと、前記吸着パッドに連動して前記板状部材を支持する支持部材とを有していることを特徴とする。
【0014】
このような本発明においては、吸着パッドを移動させるために維持手段を配設できない領域があっても、吸着パッドに連動する支持部材により、板状部材を確実に支持させた状態で搬送できることになる。
【0015】
そして、本発明の板状部材の搬送装置は、前記支持手段が、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することにより前記板状部材を浮上させる浮上部材を有し、前記支持部材が、前記浮上部材と同等機能を備える移動浮上部材であることを特徴とする。
【0016】
このような本発明においては、支持部材を移動浮上部材とすることで、板状部材を確実に浮上させた状態で搬送できることになる。
【0017】
また、本発明の板状部材の搬送装置は、前記支持部材が、前記板状部材に対して接触するとともに回動可能な転動体を備えていることを特徴とする。
【0018】
このような本発明においては、支持部材に回動可能な転動体を備えることで、板状部材に対して転動体を接触させ、板状部材を確実に支持させた状態で搬送できることになる。
【0019】
さらに、本発明の板状部材の搬送装置は、前記支持部材が前記搬送方向に沿うとともに前記吸着パッドを挟んで搬送方向上流側および搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする。
【0020】
このような本発明においては、吸着パッドを挟んで支持部材が搬送方向上流側および搬送方向下流側に設けられているため、吸着パッドを板状部材の平面中央部に吸着させた場合にも、板状部材を均等に支持させることができることになる。
【0021】
また、本発明の板状部材の搬送方法は、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射する浮上部材が搬送方向に沿って平行、かつ、前記搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で複数配列された浮上手段における搬送方向上流側に板状部材を投入し、前記浮上手段により前記板状部材が前記浮上部材から浮上した状態で、前記各浮上部材間において吸着パッドを前記板状部材の下面における中央部に吸着させることにより保持し、次いで、前記吸着パッドと、前記吸着パッドを挟んで搬送方向上流側および搬送方向下流側に設けられた移動浮上部材とを前記搬送方向上流側から前記搬送方向下流側に移動させることにより前記板状部材を搬送し、前記搬送手段における搬送経路の途中において前記板状部材の表面平坦度向上手段を設けた領域により、前記板状部材の表面を平坦化させながら処理部により前記板状部材の表面に所定の処理を行い、前記処理部を通過させた後に前記搬送手段の前記吸着パッドを回動させることにより前記板状部材を回動させることを特徴とする。
【0022】
このような本発明においては、吸着パッドが板状部材の平面中央部に吸着するため、厚み方向に沿った線を中心として板状部材を所定角度回動させる工程を行うにあたって、一時的に吸着パッドを板状部材から離反させ、再び吸着パッドを板状部材に吸着させる工程を不要にできる。
【0023】
さらに、本発明の板状部材の搬送方法は、前記吸着パッドを前記搬送方向下流側に移動させている間に、前記搬送方向上流側に次の板状部材を投入することを特徴とする。
【0024】
このような本発明においては、吸着パッドを移動させている間に次の板状部材を投入することで、連続した作業が可能になり、工程タクトの短縮が図れることになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、吸着パッドが板状部材の平面中央部に吸着するため、厚み方向に沿った線を中心として板状部材を所定角度回動させる工程を行うにあたって、一時的に吸着パッドを板状部材から離反させ、再び吸着パッドを板状部材に吸着させる必要がなく、これによりタクトを短縮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る第1実施形態の搬送装置を示す平面図
【図2】第1実施形態の搬送手段を示す要部斜視図
【図3】第1実施形態の処理部を示す側面図
【図4】板状部材の中央部の概念を示す模式平面図
【図5】(A)は第1実施形態のモータに代えて変形例1の回転機構を示す斜視図、(B)は変形例2の回転機構を示す斜視図、(C)は変形例3の回転機構を示す斜視図
【図6】第1実施形態の移動浮上部材に代えて変形例4の移動浮上部材を示す斜視図
【図7】第1実施形態の移動浮上部材に代えて変形例5の支持部材を示す斜視図
【図8】本発明に係る第2実施形態の表面平坦度向上手段を示す平面図
【図9】第2実施形態の処理部を示す側面図
【図10】第3実施形態の処理部を示す側面図
【図11】第3実施形態の表面平坦度向上手段を示す斜視図
【図12】第4実施形態の処理部を示す側面図
【図13】第4実施形態の表面平坦度向上手段による気体の流れを説明する断面図
【図14】第5実施形態の処理部を示す側面図
【図15】第5実施形態の表面平坦度向上手段による気体の流れを説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態の搬送装置10は、ディスプレイに用いられる板状部材であるガラス基板11を図1中左方から右方に向かって搬送するためのものである。
この搬送装置10は、ガラス基板11を浮上させるための浮上手段20と、ガラス基板11を搬送するための搬送手段30と、搬送手段30における搬送経路の途中に設けられた処理部40とを備える。
【0028】
浮上手段20は、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することによりガラス基板11を浮上させる浮上部材21を複数有する。
浮上部材21は、略扁平角筒状とされ、上面に複数の噴射口が規則的な等間隔で設けられている。これらのような浮上部材21は、搬送方向(図1中、左右方向)に沿って平行、かつ、搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で複数配列されている。
なお、このような浮上手段20は、搬送手段30と干渉しないように、中央部に空隙22が設けられている。
【0029】
図2にも示すように、搬送手段30は、前述した空隙22の直下に設けられたレール31と、レール31に沿って移動可能な案内部材32と、案内部材32に支持されているとともに、回転軸36(図3参照)が垂直に配向されたモータ33と、モータ33の回転軸36に連結された吸着パッド34と、案内部材32に支持された一対の移動浮上部材(支持部材)35,35とを有している。
【0030】
移動浮上部材35,35は、前述した浮上部材と同様に略扁平角筒状とされ、上面に複数の噴射口が規則的な等間隔で設けられている。これらの移動浮上部材35,35は、搬送方向に沿うとともに吸着パッド34を挟んで設けられ、吸着パッド34に連動して搬送方向に沿って移動可能となっている。
図1に戻って、このような搬送手段30は、吸着パッドがガラス基板11の平面中央部に吸着可能に配置されている。
【0031】
図3にも示すように、処理部40は、ガラス基板11の全表面(上向き全面)に露光処理を行うために、搬送方向に対して直交する方向に沿う門型の支持部材41と、支持部材41に沿って移動可能な露光装置42とを備える。
このような処理部40は、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行うために、搬送方向に対して交差する方向に沿って噴射口の密集度を均一としている。
具体的には、処理部40は、支持部材41に沿って、すなわち搬送方向に対して交差する方向に沿って、空隙22を避けて一対の横置浮上部材(表面平坦度向上手段)43,43が設けられている。
【0032】
次に、以上のような搬送装置10における搬送手順を説明する。
図1に示すように、あらかじめ浮上部材21の噴射口から空気を噴射させた状態で、図1中、左上方から下方に向けて浮上手段20における搬送方向上流側(図1中、左方)にガラス基板11を投入し、浮上手段20によりガラス基板11が浮上部材21から浮上した状態で、空隙22に配置された吸着パッド34をガラス基板11の下面における中央部に吸着させることにより保持させる。
【0033】
図4に示すように、吸着パッドをガラス基板の下面における中央部とは、対角線の交点を中心として所定の半径で描いた円A内を指す。
図4における円Bは、吸着パッドをガラス基板の中心、すなわち、対角線の交点に吸着させて回動させた場合のガラス基板の角部の軌跡を示し、図4における円Cは、安全を見込んで、他の構造物にガラス基板が干渉しない半径である。
そして、図4における円Aの半径は、ガラス基板の中心に対してずれた位置に吸着パッドが吸着しても、ガラス基板の角部の軌跡が図4における円Cから突出しない距離に設定されている(図4中、円D参照)。
【0034】
再び図1に戻って、搬送手段30の吸着パッド34を回動させることによりガラス基板11を所定角度回動させた後、吸着パッド34と、吸着パッド34を挟んで搬送方向の上流側および下流側に設けられた移動浮上部材35,35とを搬送方向に沿って上流側から下流側に移動させることによりガラス基板11を搬送し、処理部40の支持部材41に沿って設けられた横置浮上部材43,43によりガラス基板11の表面を平坦化させながら処理部40により露光処理を行う。
【0035】
その後、搬送手段30の吸着パッド34を回動させることによりガラス基板11を回動させ、次工程に搬出する。
なお、搬送手段30が搬送方向下流側に移動している間、搬送方向上流側に次のガラス基板11を投入し、浮上手段20によりガラス基板11が浮上部材21から浮上した状態で、搬送手段30が初期位置(上流側)に復帰するまで待機させる。
【0036】
以上のような第1実施形態によれば、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行う処理部40おいて、搬送方向に対して交差する方向に沿って噴射口の密集度を均一としたため、従来に比較して処理部40においてガラス基板11の表面が波打つ虞が少なく、露光処理等を高精度に行える。
特に、搬送方向に対して交差する方向に沿って横置浮上部材43,43を配設することにより噴射口の密集度を均一としたため、処理部40においてガラス基板11の表面が波打つ虞を確実に少なくできる。
【0037】
また、吸着パッド34がガラス基板11の平面中央部に吸着するため、厚み方向に沿った線を中心としてガラス基板11を所定角度回動させる工程を行うにあたって、一時的に吸着パッド34をガラス基板11から離反させ、再び吸着パッド34をガラス基板11に吸着させる必要がなく、これによりタクトを短縮できる。
【0038】
特に、搬送方向に沿って移動可能なモータ33の回転軸36(図3参照)に吸着パッド34が連結されているため、搬送方向上流側に供給されたガラス基板11を搬送方向下流側から搬出するまで吸着パッド34を離反、再吸着させる必要がなく、これにより更にタクトを短縮できる。
さらに、搬送手段30が搬送方向下流側に移動している間、搬送方向上流側に次のガラス基板11を投入することで、連続した作業が可能になり、タクトを一層短縮できる。
【0039】
また、搬送手段30が、吸着パッド34に連動して搬送方向に沿って移動可能な移動浮上部材35,35を有しているため、搬送経路に空隙22があっても、ガラス基板11を確実に浮上させた状態で搬送できる。
特に、吸着パッド34を挟んで移動浮上部材35,35が一対設けられているため、吸着パッド34をガラス基板11の平面中央部に吸着させ場合にも、ガラス基板11を均等に浮上させることができる。
【0040】
つぎに、第1実施形態の搬送装置10に対する変形例1〜変形例5を図5〜図7に基づいて説明する。なお、変形例1〜変形例5において、搬送装置10と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
(変形例1)
第1実施形態の搬送装置10は、回転軸36を回転させる手段としてモータ33で回転軸36を直接回転させるダイレクトドライブモータ構成について説明したが、図5(A)に示す回転機構50を用いることも可能である。
回転機構50は、モータ51およびギヤ52を組み合わせたものである。回転機構50によれば、モータ51を回転することでギヤ52が回転し、ギヤ52が回転することで回転軸36とともに吸着パッド34が回転する。
変形例1の回転機構50によれば、ダイレクトドライブモータを使用する必要がないため、搬送装置10の製造コストを低くできるという効果が得られる。
【0041】
(変形例2)
また、第1実施形態の搬送装置10に用いたダイレクトドライブモータ構成に代えて、図5(B)に示す回転機構55を用いることも可能である。
回転機構55は、エア駆動源56およびギヤ57を組み合わせたものである。回転機構55によれば、エア駆動源56を駆動することでギヤ57が回転し、ギヤ57が回転することで回転軸36とともに吸着パッド34が回転する。
変形例2の回転機構55によれば、ダイレクトドライブモータを使用する必要がないため、搬送装置10の製造コストを低くできるという効果が得られる。
【0042】
(変形例3)
さらに、第1実施形態の搬送装置10に用いたダイレクトドライブモータ構成に代えて、図5(C)に示す回転機構60を用いることも可能である。
回転機構60は、モータ61および無端状ベルト62を組み合わせたものである。回転機構60によれば、モータ61を回転することで無端状ベルト62が回転し、無端状ベルト62が回転することで回転軸36とともに吸着パッド34が回転する。
変形例3の回転機構60によれば、ダイレクトドライブモータを使用する必要がないため、搬送装置10の製造コストを低くできるという効果が得られる。
【0043】
(変形例4)
第1実施形態の搬送装置10は、吸着パッド34を挟んで搬送方向上流側および搬送方向下流側に一対の移動浮上部材35,35を設けたが、これに限らないで、例えば、図6に示すように、搬送方向上流側に移動浮上部材35,35を並列に複数本配置し、かつ、搬送方向下流側に移動浮上部材35,35を並列に複数本配置することも可能である。
変形例4によれば、搬送方向上流側および搬送方向下流側にそれぞれ移動浮上部材35,35が並列に複数本配置されているため、浮上部材21間の隙間を広く確保でき、その結果、吸着パッド34を大きくでき、ガラス基板11に対する吸着力をあげることができる。
また、これらにより、より大きなガラス基板11も回転させることが可能となる。
【0044】
(変形例5)
また、第1実施形態の搬送装置10の移動浮上部材35,35に代えて、図7(A),(B)に示すように、支持部材65を用いることも可能である。
支持部材65は、ガラス基板11に対して接触するとともに回動可能な複数の転動体66と、複数の転動体66を回転可能に支持するベース67とを備えている。
変形例5によれば、浮上部材を用いないため、部材コストを低減できるとともに、エア消費量を抑えることができる。
【0045】
つぎに、第2実施形態〜第5実施形態の板状部材の搬送装置および板状部材の搬送方法を図8〜図15に基づいて説明する。なお、第2実施形態〜第5実施形態において、第1実施形態の搬送装置10と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
(第2実施形態)
図8、図9に示す第2実施形態の搬送装置70は、第1実施形態の横置浮上部材43,43に代えて、表面平坦度向上手段71を備えたものであり、その他の構成は第1実施形態の搬送装置10と同じである。
表面平坦度向上手段71は、処理部40において、浮上部材21が搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で連続的に複数配列され、浮上部材21間に区間浮上部材72が備えられている。
【0047】
区間浮上部材72は、図9に示すように、処理部40の領域40Aのみに配置されるように長さ寸法がLと短く形成されている。
この区間浮上部材72は、第1実施形態の横置浮上部材43,43と同様に、上面72Aの複数の噴射口から上方に向かって気体を噴射することによりガラス基板11を浮上させる機能を備えている。
よって、浮上部材21間に区間浮上部材72を備えることで、第1実施形態の横置浮上部材43,43と同様に、噴射口の密集度を均一として処理部40においてガラス基板11の表面が波打つ虞を確実に少なくできる。
【0048】
これにより、第2実施形態の搬送装置70によれば、第1実施形態と同様に、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行う処理部40おいて、ガラス基板11の表面が波打つ虞が少なく、露光処理等を高精度に行える。
【0049】
(第3実施形態)
図10、図11に示す第3実施形態の搬送装置80は、第1実施形態の横置浮上部材43,43に代えて、表面平坦度向上手段81を備えたものであり、その他の構成は第1実施形態の搬送装置10と同じである。
表面平坦度向上手段81は、処理部40において、浮上部材21が搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で連続的に複数配列されるとともに、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射するサポートパッド82を複数有し、各サポートパッド82が各浮上部材21間に敷設されている。
【0050】
各サポートパッド82は、処理部40の領域40A(図8参照)のみに配置されている。
このサポートパッド82は、第1実施形態の横置浮上部材43,43と同様に、上面82Aの複数の噴射口から上方に向かって気体を噴射することによりガラス基板11を浮上させる機能を備えている。
よって、浮上部材21間にサポートパッド82を複数敷設することで、第1実施形態の横置浮上部材43,43と同様に、噴射口の密集度を均一として処理部40においてガラス基板11の表面が波打つ虞を確実に少なくできる。
【0051】
これにより、第3実施形態の搬送装置80によれば、第1実施形態と同様に、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行う処理部40おいて、ガラス基板11の表面が波打つ虞が少なく、露光処理等を高精度に行える。
【0052】
(第4実施形態)
図12、図13に示す第4実施形態の搬送装置90は、第1実施形態の横置浮上部材43,43に代えて、表面平坦度向上手段91を備えたものであり、その他の構成は第1実施形態の搬送装置10と同じである。
表面平坦度向上手段91は、浮上手段20における処理部40に対応する領域40A(図8参照)において、上面92Aに、気体を上方に噴射する噴射口と、外気を吸引する吸引口とをそれぞれ備える噴射吸引部材92を有している。
噴射吸引部材92に外気を吸引する吸引口を備えることで、ガラス基板11の下方の気体を適正に保ち、領域40Aにおいてガラス基板11の表面が波打つ虞を確実に少なくできる。
【0053】
これにより、第4実施形態の搬送装置90によれば、第1実施形態と同様に、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行う処理部40おいて、ガラス基板11の表面が波打つ虞が少なく、露光処理等を高精度に行える。
【0054】
(第5実施形態)
図14、図15に示す第5実施形態の搬送装置100は、第1実施形態の横置浮上部材43,43に代えて、表面平坦度向上手段101を備えたものであり、その他の構成は第1実施形態の搬送装置10と同じである。
表面平坦度向上手段101は、浮上手段20における処理部40に対応する領域40A(図8参照)において、浮上部材21が、搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で複数配列されているとともに、各浮上部材21間の隙間を覆う被覆部材102を有している。
各浮上部材21間の隙間を覆う被覆部材102を備えることで、ガラス基板11の下方の気体を適正に保ち、領域40Aにおいてガラス基板11の表面が波打つ虞を確実に少なくできる。
【0055】
これにより、第4実施形態の搬送装置101によれば、第1実施形態と同様に、ガラス基板11の表面平坦度が求められる処理を行う処理部40おいて、ガラス基板11の表面が波打つ虞が少なく、露光処理等を高精度に行える。
【0056】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、前述した実施形態において例示した板状部材,浮上部材,浮上手段,搬送手段,処理部,吸着パッド,モータ,移動浮上部材,回転機構,支持部材,表面平坦度向上手段等の適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0057】
10,70,80,90,100 搬送装置
11 ガラス基板(板状部材)
20 浮上手段
21 浮上部材
30 搬送手段
40 処理部
33 モータ
34 吸着パッド
35 移動浮上部材(支持部材)
43 横置浮上部材(表面平坦度向上手段)
65 支持部材
71,81,91,101 表面平坦度向上手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することにより板状部材を浮上させる浮上部材を有する浮上手段と、
前記浮上手段により前記板状部材が前記浮上部材から浮上した状態で前記板状部材を保持するとともに前記搬送方向に沿って下流側に向かって前記板状部材を搬送する搬送手段とを備える板状部材の搬送装置であって、
前記搬送手段が、前記搬送方向に沿って移動可能であるとともに前記板状部材の厚み方向に沿った線を中心として軸回転可能な吸着パッドを有し、
前記吸着パッドが前記板状部材の平面中央部に吸着することを特徴とする板状部材の搬送装置。
【請求項2】
前記搬送手段が前記搬送方向に沿って移動可能な回転軸を有し、
前記吸着パッドが前記回転軸に連結されていることを特徴とする請求項1に記載した板状部材の搬送装置。
【請求項3】
板状部材を水平に維持する維持手段と、
前記板状部材を保持するとともに搬送方向上流側から搬送方向下流側に搬送する搬送手段とを備える板状部材の搬送装置であって、
前記搬送手段が、前記搬送方向に沿って移動可能であるとともに前記板状部材に吸着可能な吸着パッドと、
前記吸着パッドに連動して前記板状部材を支持する支持部材とを有していることを特徴とする板状部材の搬送装置。
【請求項4】
前記支持手段が、上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射することにより前記板状部材を浮上させる浮上部材を有し、
前記支持部材が、前記浮上部材と同等機能を備える移動浮上部材であることを特徴とする請求項3に記載した板状部材の搬送装置。
【請求項5】
前記支持部材が、前記板状部材に対して接触するとともに回動可能な転動体を備えていることを特徴とする請求項3に記載した板状部材の搬送装置。
【請求項6】
前記支持部材が前記搬送方向に沿うとともに前記吸着パッドを挟んで搬送方向上流側および搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載した板状部材の搬送装置。
【請求項7】
上方に向かって複数の噴射口から気体を噴射する浮上部材が搬送方向に沿って平行、かつ、前記搬送方向に対して直交する方向に沿って所定間隔で複数配列された浮上手段における搬送方向上流側に板状部材を投入し、
前記浮上手段により前記板状部材が前記浮上部材から浮上した状態で、前記各浮上部材間において吸着パッドを前記板状部材の下面における中央部に吸着させることにより保持し、
次いで、前記吸着パッドと、前記吸着パッドを挟んで搬送方向上流側および搬送方向下流側に設けられた移動浮上部材とを前記搬送方向上流側から前記搬送方向下流側に移動させることにより前記板状部材を搬送し、
前記搬送手段における搬送経路の途中において前記板状部材の表面平坦度向上手段を設けた領域により、前記板状部材の表面を平坦化させながら処理部により前記板状部材の表面に所定の処理を行い、
前記処理部を通過させた後に前記搬送手段の前記吸着パッドを回動させることにより前記板状部材を回動させることを特徴とする板状部材の搬送方法。
【請求項8】
前記吸着パッドを前記搬送方向下流側に移動させている間に、前記搬送方向上流側に次の板状部材を投入することを特徴とする請求項7に記載の板状部材の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−132460(P2010−132460A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4977(P2010−4977)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【分割の表示】特願2008−105736(P2008−105736)の分割
【原出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】