説明

枠材用ジョイント

【課題】この発明は、ボルトを用いずに縦枠と横枠とを連結固定することのできるジョイントを得ることを課題とするものである。
【解決手段】ジョイントは、枠材の中空部に装着されるインナーケース3に一対の作動板4を内側に付勢して装着する。前記作動板の先端部に他の枠材の係止溝12に係止する係止片7を設け、作動板の基部には一対の作動板を同時に前後方向に移動させるための操作部材6を設け、前記操作部材の操作によって一対の作動板を基部側へ移動させたときに先端部における作動板の間隔が拡がり前記係止片7が枠材の係止溝12に係止するようにして構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の枠材用ジョイントは、見本市などにおける展示スペースを仕切るためのフレームや、商品の展示スペースを構成する際に使用される組み立て式の商品展示台などを構成するために使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、型材として構成されるこの種の枠材は種々提案されている。そして、この種の枠材は縦材と横材とをジョイントで連結固定する必要があるが、いずれのジョイントもボルトを用いており固定作業が煩わしく、組み立て作業のスピード化の妨げともなっている。
【特許文献1】特開2000−64437号公報
【0003】
この発明は、枠材組立用鋼材に長手方向の溝と、この溝に直交する貫通孔を設け、前記貫通孔に挿入して使用するジョイントであって、このジョイントには前記溝の位置に対応する切欠部を設け、この切欠部の外周縁部に前記貫通孔の縁部と係合して軸方向への移動及び回転方向への移動を規制する凸部を設けたものである。
この構成においては、ジョイントの移動は規制されるものの、枠材との結合はボルトを用いなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、ボルトを用いずにワンタッチ操作により縦枠と横枠とを連結固定することのできるジョイントを得ることにより、フレームなどの組み立て作業を効率化することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、外側壁に長手方向の係止溝を有する第一の枠材と、中空部を有する第二の枠材とを直交させて連結固定するジョイントに関するものである。
この枠材用ジョイントは、前記第二の枠材の中空部に装着されるインナーケースに一対の作動板を内側に付勢して装着する。前記作動板の先端部に前記第一の枠材の係止溝に係止する係止片を設け、この一対の作動板の対向間隔は先端側で狭く基部側で広くし、一対の作動板の間には間隔規制部材を配設する。前記一対の作動板の基部には一対の作動板を同時に前後方向に移動させるための操作部材を設け、前記操作部材の操作によって一対の作動板を基部側へ移動させたときに先端部における作動板の間隔が拡がり前記係止片が第一の枠材の係止溝に係止するようにして構成する。
【0006】
前記作動板は、以下の実施例に示すように1枚のバネ板を屈曲させて構成するほか、2枚の作動片を対向させ、両作動片の間にバネを介在させて内側へ付勢するようにすることもできる。要は、作動片の後方移動(作動片の先端がインナーケースから突出する方向と逆方向、すなわち一対の作動板の基部側方向)によって間隔規制部材の作用によって作動板の間隔が拡がり、その係止片が枠材の係止溝に係止し、逆方向の移動により間隔規制部材の作用が解除されることによって作動板が内側に移動して先端部における両作動板の間隔が狭まり、その係止片と枠材の係止溝との係止が解除される構成であればよい。
そして、作動片を前後に移動させるための構成も、実施例に示すカムの他、レバー操作による構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ジョイントを第一の枠材の中空部に装着し、一対の作動板の間隔を狭めた状態で第二の枠材の係止溝に挿入し、この状態で操作部材を操作して作動板を僅かに後退させることにより第一の枠材と第二の枠材とを直交状態で連結固定することができる。
上記において、ボルトを用いることなく操作部材を操作するのみで固定することができるので作業性がよいのみならず、作動板の後退により固定されるので両枠材は密着状態に維持され、強固な組み上がり状態を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1はこの発明のジョイントの実施例を示す分解斜視図である。
枠材1は断面縦長長方形状とした枠材であって、その側壁には工具挿入用の孔2が設けてある。
前記枠材1には上下に2つのインナーケース3が装着してある。このインナーケース3には、作動片4,間隔規制部材としてのシャフト5,操作部材としての偏心カム6が装着してある。
【0010】
図2は前記作動板4の平面図である。この作動板4は、1枚のバネ板を屈曲させて対向する1対の作動板を構成している。そして、先端は外向きに屈曲させて係止片7が形成してあり、この係止片を含む作動板4の先端部は前記インナーケース3から突出させてある。
作動板4中央部は一部を切り分けて外向きに突出させてバネ片8としてある。このバネ片8は前記インナーケース3の内壁に押圧接触し、係止片7を含む作動板4を内側に付勢する作用をしている。
前記作動板4の対向間隔は、先端側で狭く、中央部より基部側で広くしてあり、幅狭部と幅広部の境界に前記シャフト5が位置している。そして、作動板4の基部には前記偏心カム6が装着される丸孔9が設けてあり(図3)、この丸穴に偏心カム6が装着してある。
前記作動板4の基部下方は先端側に屈曲して受けバネ4aとしてあり、この受けバネ4aの上面に小突起4bが形成してある。
【0011】
前記偏心カム6は、図4に示すように平面視において回転軸Oよりも前方側が長く後方側が短くしてある。そして、一方の端面にレンチを係止させるためにレンチ穴10が設けてある。
この偏心カム6の軸方向中央には環状の溝6aが形成してあり、溝6aには1箇所の不完結部6bが形成してある。
この偏心カム6は取付軸(図示しない)によってインナーケース3に取り付けてあり、前記レンチ穴10の位置は前記枠材1の工具挿入用の孔2に対応させてあり、枠材1の外からレンチを挿入して偏心カムを回転できるようにしてある。
【0012】
図5は作動板4の係止片7の間隔が狭まっている状態である。このとき偏心カム6は軸より長い側が前方(係止片側)に位置している。すなわち、作動板4は前方に位置しており、シャフト5の規制を受けず、バネ片8の作用によって内側に押されて係止片7の間隔は狭まる。このとき、前記受けバネ4aの小突起4bは偏心カム6の溝6aに嵌まり、偏心カム6の抜け止めとなる。
この状態から前記偏心カム6をレンチによって180度回転させると、偏心カムの軸より長い側が後方に位置するので、作動板4は僅かに後方へ移動する。この後方移動により対向する作動板4の間をシャフト5が広げるので、係止片7は外に開き枠材の係止溝11に係止固着する。
偏心カム6の回転時には、前記受けバネ4aの小突起4bが偏心カムの溝の不完結部6bを越えて移動する。そして、前記小突起4bが前記不完結部6bを越えたときに偏心カム6がロックされるようにしてある。
したがって、インナーケース3を他の枠材1の中空部に装着した状態で上記操作を行うと、二つの枠材を連結固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
この発明によれば、ジョイントのカムを操作するのみで、すなわちボルトなどを使用することなく、柱と梁とを固定することができ、フレームなどの組み立て作業の作業性が向上することができ、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明のジョイントの枠材への装着状態を示す分解斜視図
【図2】同じく作動片の平面図
【図3】同じく作動片の正面図
【図4】同じく偏心カムの平面図
【図5A】同じく係止片が閉じた状態の平面側斜視図
【図5B】同じく底面側斜視図
【図6A】同じく係止片が開いた状態の平面側斜視図
【図6B】同じく底面側斜視図
【符号の説明】
【0015】
1 枠材
2 孔
3 インナーケース
4 作動片
5 シャフト
6 偏心カム
7 係止片
8 バネ片
9 丸孔
10 レンチ穴
11 枠材
12 係止溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側壁に長手方向の係止溝を有する第一の枠材と、中空部を有する第二の枠材とを直交させて連結固定するジョイントであって、
前記第二の枠材の中空部に装着されるインナーケースに一対の作動板を内側に付勢して装着し、作動板の先端部に前記第一の枠材の係止溝に係止する係止片を設け、前記一対の作動板の対向間隔は先端側で狭く基部側で広くし、前記一対の作動板の間には間隔規制部材を配設し、前記一対の作動板の基部には一対の作動板を同時に前後方向に移動させるための操作部材を設け、
前記操作部材の操作によって前記一対の作動板を基部側へ移動させたときに先端部における作動板の間隔が拡がり前記係止片が第一の枠材の係止溝に係止するようにした、枠材用ジョイント。
【請求項2】
操作部材は偏心カムとした、請求項1記載の枠材用ジョイント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2008−89183(P2008−89183A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318422(P2007−318422)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【分割の表示】特願2006−57225(P2006−57225)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(596041788)株式会社ケノス (3)
【出願人】(390006530)松本金属株式会社 (3)
【Fターム(参考)】