説明

検出装置及び検出システム

【課題】 増幅用TFTと選択用TFTとを含む画素を有する検出装置において選択用TFTのオフリークが十分なされた検出装置を提供する。
【解決手段】 変換素子100と、ゲート114が変換素子100に接続された第1薄膜トランジスタ110と、ゲート124が駆動配線150に接続され、真性半導体領域であり第1領域122と第2領域123との間でゲート124の正投影が位置する第3領域121を有する多結晶半導体層を含み、第1領域122及び第2領域123の一方が第1薄膜トランジスタ110のソース及びドレインの一方113に接続された第2薄膜トランジスタ120と、を有し、多結晶半導体層は、第1領域122と第3領域121との間に、また、第2領域123と第3領域124との間に、それぞれ第1領域122及び第2領域123よりも不純物の濃度が低い第4領域125と第5領域126と、を含む検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像診断装置、非破壊検査装置、放射線を用いた分析装置などに応用される検出装置及び検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜半導体製造技術は、TFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチ素子と光電変換素子等の変換素子とを組み合わせた画素のアレイ(画素アレイ)を有する光検出装置や放射線検出装置等の検出装置にも利用されている。特に近年では、装置の高速化、高感度化の要求に対して、スイッチ素子として多結晶半導体TFTを使用した画素のアレイ(画素アレイ)を有する検出装置の検討がなされている。
【0003】
特許文献1では、複数の画素を有し、複数の画素の夫々は、変換素子と、多結晶半導体の増幅用TFTと、非晶質又は多結晶半導体のリセット用TFTと、多結晶半導体の選択用TFTと、を有する検出装置が開示されている。増幅用TFTのゲートは変換素子に接続され、ソース及びドレインの一方は選択用TFTのソース及びドレインの一方と接続される。リセット用TFTのソース及びドレインの一方は変換素子及び増幅用TFTのゲートと接続され、ソース及びドレインの他方は電源線に接続される。リセット用TFTのゲートにはリセット用の駆動配線が、選択用TFTのゲートには画素選択用の駆動配線が、それぞれ接続される。選択用TFTは、ドレイン側のみにゲートの電極と重ねたLDD構造を有しており、ホットキャリア注入を低減させ且つ動作速度を落とさないための対策を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−298663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の検出装置の選択用TFTの構成では、ゲートに非導通用の電位を供給した状態での抵抗値が十分確保できず、非導通にしたい時でも選択用TFTでのキャリアの移動を阻止しきれない、所謂オフリークの対策が十分ではなかった。そのため、選択用TFTのゲートに導通用の電位が供給された画素から出力された信号に、選択用TFTのゲートに非導通用の電位が供給された画素から出力された信号が重畳されてしまう、所謂クロストークが発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、増幅用TFTと選択用TFTとを含む画素を有する検出装置において選択用TFTのオフリーク対策が向上された検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検出装置は、放射線又は光を電荷に変換する変換素子と、ゲートが前記変換素子に接続された第1薄膜トランジスタと、ゲートが駆動配線に接続され、第1領域と、第2領域と、前記第1領域及び前記第2領域より不純物の濃度が低い真性半導体領域であり前記第1領域と前記第2領域との間で当該ゲートの正射影が位置する第3領域と、を有する多結晶半導体層を含み、前記第1領域及び前記第2領域の一方が前記第1薄膜トランジスタのソース及びドレインの一方に接続された第2薄膜トランジスタと、を有する検出装置であって、前記多結晶半導体層は、前記第1領域と前記第3領域との間に前記第1領域及び前記第2領域よりも前記不純物の濃度が低い第4領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に前記第1領域及び前記第2領域よりも前記不純物の濃度が低い第5領域と、を含む
【発明の効果】
【0008】
本発明により、増幅用TFTと選択用TFTとを含む画素を有する検出装置において選択用TFTのオフリーク対策が向上された検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検出装置の1画素あたりの平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検出装置の断面図である。
【図3】本発明に係る検出装置の概略的等価回路である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る検出装置の1画素あたりの平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る検出装置の断面図である。
【図6】本発明の検出装置を用いた放射線検出システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。なお、本願明細書において放射線は、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども、含まれるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
先ず、図1及び図2(a),(b)を用いて本発明の第1の実施形態に係る検出装置の一画素の構成について説明する。図1は1画素あたりの平面図である。なお、図1では、簡便化の為、変換素子100については第1電極101のみを示している。図2(a)は図1のA−A’での断面図であり、図2(b)は図1のB−B’での断面図である。
本発明の検出装置における1つの画素は、放射線又は光を電荷に変換する変換素子100と、変換素子100の電荷に応じた信号を増幅する第1薄膜トランジスタ(TFT)110と、を含む。また、画素は、電荷に応じて増幅された信号を選択的に出力する第2薄膜トランジスタ(TFT)120と、変換素子100及び第1TFT110のゲートをリセットするための第3薄膜トランジスタ(TFT)130と、を含む。
【0012】
本実施形態では、変換素子100は、光電変換素子であるPIN型のフォトダイオードを用いている。変換素子100は、ガラス基板等の絶縁性の基板190の上に設けられた第1〜第3TFTの上に層間絶縁層195を挟んで積層されて配置されている。変換素子100は、層間絶縁層195の上に、層間絶縁層側から順に設けられた、第1電極101と、第1導電型の不純物半導体層102と、半導体層103と、第2導電型の不純物半導体層104と、第2電極105と、を含む。ここで、第1導電型の不純物半導体層102は、半導体層103及び第2導電型の不純物半導体層104よりも第1導電型の不純物の濃度が高いものである。また、第2導電型の不純物半導体層104は、第1導電型の不純物半導体層102及び半導体層103よりも第2導電型の不純物の濃度が高いものである。第1導電型と第2導電型とは互いに異なる導電型であり、例えば第1導電型がn型であれば第2導電型はp型である。第2電極105には電極配線(不図示)が電気的に接続される。第1電極101は、第1パッシベーション層193、第2パッシベーション層194、及び、層間絶縁層195に設けられたコンタクトホールCH1において、第1TFT110のゲート114に電気的に接続される。また、第1電極101は、第1パッシベーション層193、第2パッシベーション層194、及び、層間絶縁層195に設けられたコンタクトホールCH2において、第3TFT130のソース及びドレインの一方である不純物半導体領域133に電気的に接続される。なお、本実施形態では、非晶質シリコンを主材料とした第1導電型の不純物半導体層102、半導体層103、第2導電型の不純物半導体層104を用いたフォトダイオードを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば非晶質セレンを主材料とした第1導電型の不純物半導体層102、半導体層103、第2導電型の不純物半導体層104を用いた、放射線を直接電荷に変換する素子も用いることができる。
【0013】
第1TFT110は、基板190の上に設けられた第1絶縁層191の上に、基板側から順に、多結晶半導体層としての多結晶シリコン層と、ゲート絶縁層192と、ゲート114と、を含む。第1TFT110の多結晶半導体層は、チャネル領域111と、チャネル領域111よりも不純物の濃度が高い不純物領域112と、チャネル領域111よりも不純物の濃度が高い不純物領域113と、を含む。チャネル領域111は真性半導体領域であり、チャネル領域111となる多結晶半導体層の真性半導体領域には、ゲート114の正射影が位置する。不純物領域112と不純物領域113は同じ導電型の不純物がドープされたものであり、一方がソースとなり他方がドレインとなる。ゲート114は、第1パッシベーション層193、第2パッシベーション層194、及び、層間絶縁層195に設けられたコンタクトホールCH1において、変換素子100の第1電極101と電気的に接続されている。本実施形態では、不純物領域112は第1電源配線140と電気的に接続されている。
【0014】
第2TFT120は、基板190の上に設けられた第1絶縁層191の上に、基板側から順に設けられた、多結晶半導体層としての多結晶シリコン層と、ゲート絶縁層192と、ゲート124と、を含む。第2TFT120の多結晶半導体層は、チャネル領域121と、チャネル領域121よりも不純物の濃度が高い不純物領域122と、チャネル領域121よりも不純物の濃度が高い不純物領域123と、を含む。本発明の第3領域に相当するチャネル領域121は真性半導体領域であり、チャネル領域111となる多結晶半導体層の真性半導体領域には、ゲート124の正射影が位置する。不純物領域122及び123は本発明の第1領域及び第2領域に相当する。ここで、不純物領域122にドープされた不純物と不純物領域123にドープされた不純物とは、同じ導電型の不純物である。なお、本実施形態では、第1TFT110の不純物領域113と第2TFTの不純物領域122とが共有化されている。
【0015】
ただし、本発明はそれに限定されるものではなく、不純物領域113と不純物領域122とが分離されていてもよく、不純物領域113と不純物領域122とが電気的に接続されていればよい。ここで、本実施形態の多結晶半導体層は、チャネル領域121と不純物領域122との間に、不純物領域122及び123と同じ導電型で不純物領域122及び123よりも不純物の濃度が低い第4領域125を有する。この第4領域125は、チャネル領域121よりも不純物の濃度が高い。また、本実施形態の多結晶半導体層は、チャネル領域121と不純物領域123との間に、不純物領域122及び123と同じ導電型で不純物領域122及び123よりも不純物の濃度が低い第5領域126を有する。この第5領域126は、チャネル領域121よりも不純物の濃度が高い。第4領域125及び第5領域126は、所謂LDD(Lightly−Doped Drain)領域である。本実施形態の第2TFT120は、このようなLDD構造を有するため、ゲート124に非導通用の電位を供給した状態での抵抗値(オフ抵抗)が十分確保できる。それにより他の画素の変換素子とのクロストークを低減することが可能となる。これらの各領域の不純物の濃度は、第2TFT120の移動度が、10〜600(cm/Vs)となるように、設定されることが望ましい。ここで、第2TFT120の移動度μ(cm/Vs)は、以下の式(1)で規定される。
【0016】
Ids=μ×Ci×(Vgs−Vth)×Vds×W/L (1)
ここで、W(cm)はチャネル幅、L(cm)はチャネル長、Ci(F)はチャネルの単位面積当たりの容量、Vgs(v)は第2TFT120全体のゲート−ドレイン間電圧、Vth(v)は閾値電圧である。また、Vds(v)は第2TFT120全体のドレイン−ソース間電圧、Ids(A)は第2TFT120全体のドレイン−ソース間電流である。
【0017】
また、第2TFT120のチャネル領域121の移動度μc(cm/Vs)は、以下の式(2)で規定される。
【0018】
Ids=μc×Ci×(vgs−Vth)×vds×W/L (2)
ここで、vgs(v)は第2TFT120のチャネルのゲート−ドレイン間電圧、vds(v)は第2TFT120のチャネルのドレイン−ソース間電圧である。
【0019】
また、Vgsとvgs、Vdsとvdsは、以下の式(3)及び(4)で規定される。
【0020】
Vgs=vgs+Ids×RLDD (3)
Vds=vds+2×Ids×RLDD (4)
ここで、RLDD(Ω)はLDD領域の抵抗値である。
【0021】
また、RLDDは、以下の式(5)で規定される。
【0022】
LDD=R×LLDD/W (5)
ここで、R(Ω/sq)はLDD領域のシート抵抗、LLDD(cm)はLDD領域の長さ(LDD長)である。
【0023】
また、第2TFT120全体のオン抵抗Ron(Ω)は、以下の式(6)で規定される。
【0024】
Ron=Vds/Ids (6)
以上の式(1)〜(6)により、以下の式(7)及び(8)が導出される。
【0025】
μ=μc×{(Vgs‐Vth−Ids×R×LLDD/W)×(Ron−2×R×LLDD/W)}/{(Vgs−Vth)×Ron} (7)
μc=1/{Ci×(Vgs−Ids×R×LLDD/W)×(Ron−2×R×LLDD/W)×W/L} (8)
式(7)及び(8)を満たすように、第2TFT120のチャネル幅W、チャネル長L、LDD領域のシート抵抗R、LDD領域の長さ(LDD長)LLDDを適宜設定することが好ましい。また、LDD領域のシート抵抗Rを得るために、LDD領域の不純物濃度や厚さを適宜設定することがより望ましい。ゲート124は選択用駆動配線150に電気的に接続されており、不純物領域123は信号配線160と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1TFT110の不純物領域112に第1電源配線140が、第2TFT120の不純物領域123に信号配線160が、それぞれ接続されている形態を説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。第1TFT110の不純物領域112に信号配線160が、第2TFT120の不純物領域123に第1電源配線140が、それぞれ接続されている形態でもよい。
【0026】
第3TFT130は、基板190の上に設けられた第1絶縁層191の上に、基板側から順に設けられた、多結晶半導体層としての多結晶シリコン層と、ゲート絶縁層192と、ゲート134と、を含む。第3TFT130の多結晶半導体層は、チャネル領域131と、チャネル領域131よりも不純物の濃度が高い不純物領域132と、チャネル領域131よりも不純物の濃度が高い不純物領域133と、を含む。チャネル領域131は多結晶半導体層のゲート134の正投影が位置する真性半導体領域であり、不純物領域132にドープされた不純物と不純物領域133にドープされた不純物とは、同じ導電型の不純物である。ここで、第3TFT130の多結晶半導体層は、チャネル領域131と不純物領域132との間に、不純物領域132及び133と同じ導電型で不純物領域132及び133よりも不純物の濃度が低いLDD領域135を有する。このLDD領域135は、チャネル領域131よりも不純物の濃度が高い。また、第3TFT130の多結晶半導体層は、チャネル領域131と不純物領域133との間に、不純物領域132及び133と同じ導電型で不純物領域132及び133よりも不純物の濃度が低いLDD領域136を有する。このLDD領域136は、チャネル領域131よりも不純物の濃度が高い。本実施形態の第3TFT130は、このようなLDD構造を有するため、ゲート134に非導通用の電位を供給した状態での抵抗値(オフ抵抗)が十分確保できる。それにより変換素子100の第1電極101の電位の保持の確実性が向上する。ゲート134はリセット用駆動配線170に電気的に接続されており、不純物領域133は第2電源配線180と電気的に接続されている。また、不純物領域132は、第1パッシベーション層193、第2パッシベーション層194、及び、層間絶縁層195に設けられたコンタクトホールCH2において、変換素子100の第1電極101と電気的に接続されている。なお、第3TFT130のオフ抵抗は、第2TFT120のオフ抵抗よりも高いことが望ましい。第2TFT120では信号出力に相応の速度が要求されるが、第3TFT130では速度よりも電位保持の確実性が要求されるためである。そのため、第3TFT130のLDD領域135及び136の不純物の濃度を、第2TFT120の第4領域125及び第5領域126の不純物の濃度よりも低くすることが有効である。また、第3TFT130のチャネル領域131のW/Lを第2TFT120のチャネル領域のW/Lよりも大きくしたり、第3TFTのゲート134を第2TFTのゲート124よりも多く設けたりすることが好ましい。また、第3TFT130を第2TFT120とは別に形成された非晶質シリコン等の非晶質半導体層を有するTFTで形成してもよい。
【0027】
ゲート絶縁層192は、各TFTの多結晶半導体層を覆うように設けられており、第1パッシベーション層193はゲート絶縁層192及び各ゲートを覆うように設けられている。第2パッシベーション層194は各TFT、第1電源配線140、信号配線160、及び第2電源配線180を覆うように設けられており、層間絶縁層195は第2パッシベーション層194を覆うように設けられている。第3パッシベーション層196は変換素子110を覆うように設けられており、第4パッシベーション層197は第3パッシベーション層196を覆うように設けられている。ゲート絶縁層192、第1パッシベーション層193、第2パッシベーション層194、及び、第3パッシベーション層196は、窒化シリコン等の無機絶縁材料を用いることが好ましい。また、層間絶縁層195及び第4パッシベーション層197は、表面平坦性確保のために厚い膜厚での形成が容易な有機絶縁材料を用いることが好ましい。
【0028】
次に、図3を用いて本発明に係る検出装置の概略的等価回路を説明する。なお、図3の検出装置はn行m列(n,mはいずれも2以上の自然数)の画素アレイを有する。本実施形態における検出装置は、基板190の上に、行方向及び列方向に配列された複数の画素301を画素アレイが設けられている。各画素301は、変換素子100と第1TFT110と第2TFT120と第3TFT130とを含む。変換素子の第2電極105側の表面に、放射線を可視光に波長変換するシンチレータ(不図示)が配置されてもよい。バイアス電源305は、複数の変換素子100の第2電極105に共通に接続され、変換素子100が逆バイアスとなる電位Vsを第2電極105に供給する。選択用駆動配線150は、行方向に配列された複数の第2TFT120のゲート124に共通に接続され、選択用駆動回路302に電気的に接続される。選択用駆動回路302が列方向に複数配列された選択用駆動配線150に、導通用と非導通用の電位を含む駆動パルスを順次に又は同時に供給することにより、増幅された信号が行単位で画素から、行方向に配列された複数の信号配線160に並列に出力される。信号配線160は、列方向に配列された複数の第2TFT120の第3領域121に共通に接続され、読出回路304に電気的に接続される。リセット用駆動配線170は、行方向に配列された複数の第3TFT130のゲート134に共通に接続され、リセット用駆動回路303に電気的に接続される。リセット用駆動回路303が列方向に複数配列されたリセット用駆動配線170に、導通用の電位と非導通用の電位とを含む駆動パルスを順次に又は同時に供給する。それにより、変換素子100の第1電極101に第2電源配線180を介して第2電源回路307から初期電位Vssが供給される。また、第1TFT110の第2領域112には、第1電源配線140を介して第1電源回路306から電位Vddが供給される。なお、電位Vssと電位Vddとが同じ電位である場合には、各電源及び各電源配線を共通化してもよい。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、図4及び図5(a),(b)を用いて本発明の第2の実施形態に係る検出装置の一画素の構成について説明する。図4は1画素あたりの平面図である。なお、図4では、簡便化の為、変換素子100については第1電極101のみを示している。図5(a)は図4のA−A’での断面図であり、図5(b)は図4のB−B’での断面図である。また、第1の実施形態で説明したものと同じものは同じ番号を付与し、詳細な説明は割愛する。
【0030】
第1の実施形態における第2TFT120の多結晶半導体層は、LDD領域である第4領域125とLDD領域である第5領域126とを有するものである。一方、本実施形態における第2TFT120’の多結晶半導体層は、チャネル領域121と不純物領域122との間に、不純物領域122及び123よりも不純物の濃度が低く、且つ、チャネル領域121と不純物の濃度が略同等の、第4領域‘127を有する。また、本実施形態における第2TFT120’の多結晶半導体層は、チャネル領域121と不純物領域123との間に、不純物領域122及び123よりも不純物の濃度が低く、且つ、チャネル領域121と不純物の濃度が略同等である、第5領域128を有する。つまり、第4領域125’と第5領域126’は、不純物領域122及び123と同じ導電型の不純物がドープされていない真性半導体領域であり、ゲート124の正射影が位置する領域の外側に存在する真性半導体領域である。一方、チャネル領域121は、ゲート124の正投影が位置する領域の内側に存在する真性半導体領域である。第4領域125’と第5領域126’は、LDD領域である第4領域125や第5領域126と比べてオフ抵抗を更に高くすることができる。それにより第1の実施形態に比べてよりクロストークを低減することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の第3TFT130’の多結晶半導体層は、第2TFT120’と同様に、チャネル領域131と不純物領域132との間に真性半導体領域137’を、チャネル領域131と不純物領域133との間に真性半導体領域‘138を、それぞれ有する。それにより第1の実施形態に比べて、変換素子110の第1電極111の電位の保持の確実性がより向上する。
【0032】
(応用実施形態)
次に、図6を用いて、本発明の検出装置を用いた放射線検出システムを説明する。
【0033】
放射線源であるX線チューブ6050で発生したX線6060は、患者あるいは被験者6061の胸部6062を透過し、放射線検出装置6040に含まれる変換部3の各変換素子12に入射する。この入射したX線には患者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応して変換部3で放射線を電荷に変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタルデータに変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。
【0034】
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。
【符号の説明】
【0035】
100 変換素子
101 第1電極
110 第1TFT(増幅用)
111 チャネル領域
112、113 不純物領域
114 ゲート
120 第2TFT(選択用)
121 第3領域
122 第1領域
123 第2領域
124 ゲート
125、125’ 第4領域
126、126’ 第5領域
130 第3TFT(リセット用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線又は光を電荷に変換する変換素子と、
ゲートが前記変換素子に接続された第1薄膜トランジスタと、
ゲートが駆動配線に接続され、第1領域と、第2領域と、前記第1領域及び前記第2領域より不純物の濃度が低い真性半導体領域であり前記第1領域と前記第2領域との間で当該ゲートの正射影が位置する第3領域と、を有する多結晶半導体層を含み、前記第1領域及び前記第2領域の一方が前記第1薄膜トランジスタのソース及びドレインの一方に接続された第2薄膜トランジスタと、
を有する検出装置であって、
前記多結晶半導体層は、前記第1領域と前記第3領域との間に前記第1領域及び前記第2領域よりも前記不純物の濃度が低い第4領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に前記第1領域及び前記第2領域よりも前記不純物の濃度が低い第5領域と、を含む検出装置。
【請求項2】
前記第4領域及び前記第5領域は、前記第3領域よりも前記不純物の濃度が高い請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第4領域と前記第5領域は、前記多結晶半導体層の前記ゲートの正投影が位置する領域の外側に存在する真性半導体領域である請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
ゲートが前記駆動配線とは異なる他の駆動配線に接続され、第1領域と第2領域との間で当該ゲートの正投影が位置する領域に当該第1領域及び当該第2領域より不純物の濃度が低い真性半導体領域であるチャネル領域を有する半導体層を含み、当該第1領域及び当該第2領域の一方が前記第1薄膜トランジスタのゲートに接続された第3薄膜トランジスタを、更に有する請求項1から3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第3薄膜トランジスタの半導体層は多結晶半導体層であり、当該多結晶半導体層は、前記第3薄膜トランジスタの第1領域と前記チャネル領域との間に、及び、前記第3薄膜トランジスタの第2領域と前記チャネル領域との間に、前記第3薄膜トランジスタの第1及び第2領域よりも前記不純物の濃度が低い領域を含む請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第3薄膜トランジスタの第1及び第2領域よりも前記不純物の濃度が低い領域は、前記チャネル領域よりも前記不純物の濃度が高い請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第3薄膜トランジスタの第1及び第2領域よりも前記不純物の濃度が低い領域は、前記第3薄膜トランジスタの多結晶半導体層の前記第3薄膜トランジスタのゲートの正射影が位置する領域の外側に存在する真性半導体領域である請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第3薄膜トランジスタの半導体層は非晶質半導体層である請求項4に記載の検出装置。
【請求項9】
前記第3薄膜トランジスタは、前記第2薄膜トランジスタよりもオフ抵抗が高い請求項4から8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の検出装置と、
前記検出装置からの信号を処理する信号処理手段と、
前記信号処理手段からの信号を記録するための記録手段と、
前記信号処理手段からの信号を表示するための表示手段と、
前記信号処理手段からの信号を伝送するための伝送処理手段と、
を具備する検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−33945(P2013−33945A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140740(P2012−140740)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】