説明

検査装置

【課題】検査対象の不良部分を簡易に、かつ高い精度で検出する検査装置。
【解決手段】銅箔検査装置10は、ライト12、CCDカメラ14、ガイドローラ16、及び制御部18を含んで構成されている。
銅箔20に光を照射するライト12は、各ガイドローラ16間の中心部に位置する銅箔20の読取位置Oを照射する位置に設置されており、読取位置Oに光を照射する。ライト12により照射されることにより読取位置Oで正反射された光は、矢印Pの方向に進行する。本実施の形態のCCDカメラ14は、矢印Pの方向とは数度異なる矢印Qの方向に垂直な面で光を受光するように設けられており、受光した光の強度に応じて画素毎に例えば8ビットの輝度信号に変換した画像データを制御部18に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置に関し、特に物品の表面の3次元形状の変形を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄銅板等の検査対象の表面に光を照射して、この検査対象の表面からの反射光を解析することによって、検査対象の表面に存在する欠陥を光学的に検出する検査は従来から種々の手法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、検査対象に光を照射し、検査対象の表面からの正反射光の光量、及び散乱光の光量に基づいて、顕著な凹凸性を持たない銅粉の付着による欠陥を検出する技術が開示されている。
【特許文献1】再公表特許WO2003/054530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、検査対象の表面に存在する欠陥を精度よく検出するためには、特許文献1に記載の技術のように複数の光学系によって検査対象を捉える必要があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、検査対象の不良部分を簡易に、かつ高い精度で検出する検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検査対象に光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射され、かつ前記検査対象で正反射された光の進行方向と異なる方向から受光した光による画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像から、濃度が第1の閾値を超える暗領域、及び濃度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満の明領域を抽出して、前記暗領域と前記明領域との位置関係に基づいて不良部分を検出する検出手段と、を備えている。
【0007】
本発明によれば、照射手段は、検査対象に光を照射して、撮像手段は、照射手段により照射され、かつ検査対象で正反射された光の進行方向と異なる方向から受光した光による画像を撮像する。検出手段は、撮像手段により撮像された画像から、濃度が第1の閾値を超える暗領域、及び濃度が第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満の明領域を抽出して、暗領域と明領域との位置関係に基づいて不良部分を検出する。
【0008】
このように、本発明によれば、検査対象の不良部分を簡易に、かつ高い精度で検出することができる、という効果が得られる。
【0009】
検出手段は、位置関係と、暗領域及び明領域の形状とに基づいて不良部分を検出するとよい。
【0010】
また、検出手段は、暗領域の位置と明領域の位置との距離が所定距離以下の場合に、当該暗領域と当該明領域とを不良部分として検出するとよい。
【0011】
さらに、検出手段は、暗領域の位置に対する明領域の位置が、照射手段が配置された側の場合に、当該暗領域と当該明領域とを検査対象の表面側に出っ張った3次元形状の変形として検出して、暗領域の位置に対する明領域の位置が、撮像手段が配置された側の場合に、当該暗領域と当該明領域とを検査対象の表面がくぼんだ3次元形状の変形として検出することができる。
【0012】
また、検査対象を複数のローラに巻き掛かけられた銅箔として、照射手段が、複数のローラの間の銅箔に光を照射することで、検出手段が、銅箔の不良部分を検出する構成とするとよい。このような構成とすることで、銅箔の表面側に出っ張った3次元形状の変形、及び銅箔の裏面側にへこんだ3次元形状の変形の両方を検出することができる。
【0013】
また、照射手段が、ローラ上の銅箔に光を照射することで、検出手段が、銅箔の不良部分を検出する構成とするとよい。このように構成することで、ローラと銅箔との間に付着した銅粉等の異物を検出することができる。銅粉等の異物はそれ自身を検出することは非常に困難であるが、銅粉等の異物の付着による銅箔の変形を検出することにより、銅粉等の異物の付着の有無の検査を精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検査対象の不良部分を簡易に、かつ高い精度で検出することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る銅箔検査装置10は、図1に示すように、ライト12、CCDカメラ14、ガイドローラ16、及び制御部18を含んで構成されている。
【0016】
検査対象である銅箔20は、図示しない銅箔製造装置より排出されており、複数のローラを経て銅箔検査装置10へと案内されている。銅箔20のサイズとしては、例えば、幅1300mm、1350mm、厚み12μm、18μm、35μm、70μmのものがある。銅箔20は、各ガイドローラ16の上側の外周に沿って、表面を外側にして巻き掛けられている。各ガイドローラ16は、矢印Xの方向に回転して、銅箔20を矢印Yの方向に搬送する。
【0017】
銅箔20に光を照射するライト12は、各ガイドローラ16間の中心部に位置する銅箔20の読取位置Oを照射する位置に設置されており、読取位置Oに光を照射する。ライト12により照射されることにより読取位置Oで正反射された光は、矢印Pの方向に進行する。本実施の形態のCCDカメラ14は、矢印Pの方向とは異なる方向であって正反射された光よりも光の強度が小さくなる矢印Qの方向に垂直な面で光を受光するように設けられており、受光した光の強度に応じて画素毎に例えば8ビットの輝度信号に変換した画像データを制御部18に出力する。
【0018】
図2に示されるように、制御部18は、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)24、RAM(Random Access Memory)26、読取装置28、I/Oポート30、及びHDD(Hard Disk Drive)32を含んで構成されたコンピュータであり、バスを介して各々が信号授受可能に接続されている。
【0019】
CPU22は、銅箔検査装置10の全体の動作を司るものであり、プログラムに従い後述する銅箔20の検査処理を実行する。
【0020】
ROM24は、銅箔検査装置10の起動時に動作するブートプログラムなどが記憶されている不揮発性の記憶装置である。
【0021】
RAM26は、CPU22の実行において使用されるプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ、銅箔検査装置10の作動中に取得される各種のログデータを記憶する揮発性の記憶装置である。
【0022】
読取装置28は、半導体メモリからなるメモリカード、光磁気ディスク、光ディスク、及び磁気ディスク等の記憶媒体が装着され、記憶媒体から記憶内容を読み取るものであり、メモリカードの記憶内容を読み取るためのカードリーダー、光磁気ディスクの記憶内容を読み取るための光磁気ディスク装置、光ディスクの記憶内容を読み取るための光ディスク装置、及び磁気ディスクの記憶内容を読み取るための磁気ディスク装置等を用いることができる。
【0023】
HDD32は、後述する銅箔20の検査処理を実行するためのプログラム、及びプログラムの実行に用いられるデータ等が格納される不揮発性の記憶装置である。CCDカメラ14から出力された画像データはI/Oポート30を介してHDD32に記憶される。
【0024】
このような制御部18において、CPU22は、HDD32に記憶されている検査プログラムを読み出して検査プログラムを実行する。
【0025】
本実施の形態では、CPU22により検査プログラムが実行されることによって、銅箔20の検査処理が実行される。
【0026】
なお、HDD32に記憶されているプログラム、及びプログラムの実行に用いられるデータ等は、記憶媒体に記憶させて、読取装置28に読み取らせてもよい。このようにプログラム、及びプログラムの実行に用いられるデータ等が記憶媒体に記憶されている場合は、記憶媒体が読取装置28に装着されると、CPU22は、記憶媒体に記憶されているプログラム、及びプログラムの実行に用いられるデータ等を読み出してHDD32に格納する。
【0027】
次に、図3及び4を参照して、ライト12により照射され、読取位置Oにより反射される反射光、及びCCDカメラ14により撮像される画像についてについて説明する。
【0028】
図3(A)に示される銅箔20は、銅箔20表面側に出っ張った3次元形状の変形(以下、凸デンツとよぶ)が発生している。なお、図3(A)に示されるように、本実施の形態では逆V字形状の凸デンツを例に挙げて説明するが、銅箔検査装置10により検査される凸デンツの形状は逆V字形状に限らない。
【0029】
図3(A)は、ライト12により銅箔20の搬送方向の上流側から照射され、読取位置Oで反射された光の光路を示している。
【0030】
矢印A1は、ライト12により照射された光ビームが、凸デンツが発生していない領域で反射された場合の光路を示している。矢印A1で示されるように、凸デンツが発生していない領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に対して斜め方向に進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は小さい。
【0031】
矢印A2は、ライト12により照射された光ビームが、凸デンツの上流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A2で示されるように、凸デンツの上流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に沿って進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は大きい。
【0032】
矢印A3は、ライト12により照射された光ビームが、凸デンツの下流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A3で示されるように、凸デンツの下流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に対してほぼ垂直の方向に進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は非常に小さい。
【0033】
図3(B)は、ライト12により照射され、凸デンツを含む領域により反射されて、CCDカメラ14に入射する光の強度の変化の概要を示している。横軸が読取位置Oを示し、縦軸が強度を示す。上流側のスロープ領域で反射された場合の強度は大きく、下流側のスロープ領域で反射された場合の強度は小さくなる。
【0034】
このことから、凸デンツを含む領域をCCDカメラ14で撮像した場合は、図3(C)に例示されるような画像が得られる。明るい領域Lは凸デンツの上流側のスロープ領域部分を示し、暗い領域Dは凸デンツの下流側のスロープ領域を示している。
【0035】
図4(A)に示される銅箔20は、銅箔20裏面側にへこんだ3次元形状の変形(以下、凹デンツとよぶ)が発生している。なお、図4(A)に示されるように、本実施の形態ではV字形状の凹デンツを例に挙げて説明するが、銅箔検査装置10により検査される凹デンツの形状はV字形状に限らない。
【0036】
図4(A)は、ライト12により銅箔20の搬送方向の上流側から照射され、読取位置Oで反射された光の光路を示している。
【0037】
矢印A4は、ライト12により照射された光ビームが、凹デンツが発生していない領域で反射された場合の光路を示している。矢印A4で示されるように、凹デンツが発生していない領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に対して斜め方向に進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は小さい。
【0038】
矢印A5は、ライト12により照射された光ビームが、凹デンツの上流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A5で示されるように、凹デンツの上流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に対してほぼ垂直の方向に進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は大きい。
【0039】
矢印A6は、ライト12により照射された光ビームが、凹デンツの下流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A6で示されるように、凹デンツの下流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Qで示されるCCDカメラ14の光軸に沿って進むため、CCDカメラ14に入射する光の強度は非常に小さい。
【0040】
図4(B)は、ライト12により照射され、凹デンツを含む領域により反射されて、CCDカメラ14に入射する光の強度の変化の概要を示している。横軸が読取位置Oを示し、縦軸が強度を示す。上流側のスロープ領域で反射された場合の強度は小さく、下流側のスロープ領域で反射された場合の強度は大きくなる。
【0041】
このことから、凹デンツを含む領域をCCDカメラ14で撮像した場合は、図4(C)に例示されるような画像が得られる。暗い領域Dは凹デンツの上流側のスロープ領域を示し、明るい領域Lは凹デンツの下流側のスロープ領域部分を示している。
【0042】
従って、本実施の形態では、撮像した画像から、明るい領域と暗い領域とのペアを抽出することで、3次元形状の変形を検出することができる。さらに、明るい領域と暗い領域との位置関係から、3次元形状の変形が凸デンツなのか、凹デンツなのかを判定することができる。
【0043】
次に、図5のフローチャートを参照して、制御部18で行われる、銅箔20の検査処理のルーチンについて説明する。
【0044】
ステップ50では、CCDカメラ14から出力された画像データを受信する。
【0045】
ステップ52では、搬送方向に並ぶ画素の平均輝度値を求め、各画素毎に自身の輝度値と平均輝度値との差を求めて、自身の輝度値をこの差の値と置き換える。これにより、画像中の搬送方向に生じる縞模様を除くことができる。
【0046】
上述したように、銅箔20に3次元形状の変形が発生している場合は、3次元形状の変形に対応する領域の画像には、輝度値の大きい領域と輝度値の小さい領域とのペアが発生する。そこで、ステップ54では、ステップ52で置き換えられた各画素の輝度値を閾値処理する。例えば輝度値を−128から128までの256階調で表す場合、「3」を第1の閾値、「−3」を第2の閾値として、輝度値が第1の閾値を超える画素の輝度値を「128」に変換し、輝度値が第1の閾値以下、かつ第2の閾値以上の画素の輝度値を「0」に変換し、輝度値が第2の閾値未満の画素の輝度値を「−128」に変換する。ステップ54の処理が施された画像データの一例を図6(A)に示す。以下、輝度値が「128」の画素領域を明領域とよび、輝度値が「−128」の画素領域を暗領域とよぶ。
【0047】
ステップ56では、ステップ54で閾値処理された画像データをノイズフィルタにかけて画像データからノイズを除去する。具体的には、明領域又暗領域のうち、搬送方向と直交する方向、又は搬送方向に同じ画素値が連続しない明領域又暗領域の輝度値を「0」に変換する。まず、搬送方向と直交する方向に連続しない明領域又暗領域の輝度値を「0」に変換して図6(B)に示される画像データを得る。さらに搬送方向に連続しない明領域又暗領域の輝度値を「0」に変換して図6(C)に示される画像データを得る。
【0048】
ステップ58では、暗領域、及び明領域の各々をラベリングして識別する。
【0049】
ステップ60では、明領域の位置と暗領域の位置との距離が所定距離以内である、暗領域と明領域とをペアリングする。この所定距離は、対象となる明領域と暗領域とが3次元形状の変形の領域であると判断できる値に設定される。
【0050】
ステップ62では、ステップ60でペアリングされた各々の暗領域及び明領域の、サイズ(例えば面積)及び形状に基づき、各々の暗領域と明領域とのペアが3次元形状の変形の領域か否かを判定する。例えば、暗領域と明領域とのサイズが違いすぎる場合、例えば暗領域と明領域との面積が所定値以上異なる場合は3次元形状の変形ではないと判定する。この所定値は、対象となる明領域と暗領域とが3次元形状の変形の領域であると判断できる値に設定される。また、形状に基づく判定では、例えば、暗領域又は明領域の少なくとも一方が細すぎる場合に3次元形状の変形ではないと判定する。
【0051】
さらに、ステップ62では、暗領域と明領域の位置関係に基づいて、3次元形状の変形が凸デンツか凹デンツかの判定を行う。すなわち、暗領域の位置に対する明領域の位置が、読取位置Oのライト12が設置されている側の場合、この暗領域と明領域とは凸デンツと判定する。また、明領域の位置に対する暗領域の位置が、読取位置Oのライト12が設置されている側の場合、この暗領域と明領域とは凹デンツと判定する。
【0052】
また、制御部18は、暗領域及び明領域のサイズに基づき、3次元形状の変形の大きさを判定することができる。例えば、暗領域及び明領域の面積と、3次元形状の変形の大きさとの対応関係を予め求めておくことにより、暗領域及び明領域の面積から3次元形状の変形の大きさを求めることができる。
【0053】
また、3次元形状の変形のスロープの角度によって、反射光の輝度値(ステップ54の閾値処理前)は異なる。このことから、反射光の輝度値と、3次元形状の変形のスロープの角度との対応関係を予め求めておくことにより、反射光の輝度値から3次元形状の変形のスロープの角度を求めることができる。さらに、制御部18は、3次元形状の変形の大きさ、及び3次元形状の変形のスロープの角度から、3次元形状の変形の高さを判定することができる。
【0054】
なお、ライト及びCCDカメラを銅箔の搬送方向の上流側と下流側の対向する位置に設置する構成としたが、ライト及びCCDカメラは読取位置を中心として対向する位置に設置されていればよい。例えば、ライト及びCCDカメラの設置位置を入れ替えた場合、暗領域の現れる位置と明領域の現れる位置との位置関係が入れ替わる。また、ライト及びCCDカメラを銅箔の搬送方向に直交する方向の対向する位置に設置した場合、暗領域の現れる位置と明領域の現れる位置とは銅箔の搬送方向に直交する方向に並ぶ。
【0055】
このように、正反射された光の光軸の方向と異なる方向に垂直な面で光を受光するように設けたCCDカメラにより撮像された画像において輝度値が大きい領域と輝度値が小さい領域とを抽出し、抽出した各々の位置関係に基づいて判定を行うことで、銅箔に3次元形状の変形が発生しているか否かを精度よく検査することができる。
<第2の実施の形態>
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る銅箔検査装置について説明する。
【0056】
第1の実施の形態では、ガイドローラ間を搬送されている銅箔の画像に基づいて銅箔に3次元形状の変形が発生しているか否かを検査する場合について説明したが、第2の実施の形態では、ガイドローラに巻きかけられている銅箔の画像に基づいて銅箔に3次元形状の変形が発生しているか否かを検査する場合について説明する。以下では、第1の実施の形態に対する差異を説明する。
【0057】
第2の実施の形態に係る銅箔検査装置100は、図7に示すように、ライト102、CCDカメラ104、ガイドローラ106、及び制御部18を含んで構成されている。
【0058】
銅箔20は、ガイドローラ106の上側の外周に沿って、表面を外側にして巻き掛けられている。ガイドローラ106は、矢印Xの方向に回転して、銅箔20を矢印Yの方向に搬送する。
【0059】
銅箔20に光を照射するライト102は、ガイドローラ16の中心部の水平方向より上側に位置する銅箔20の読取位置Rを照射する位置に設置されており、読取位置Rに光を照射する。ライト102により照射されることにより読取位置Rで正反射された光は、矢印Sの方向に進行する。本実施の形態のCCDカメラ104は、矢印Sの方向とは数度異なる矢印Tの方向に垂直な面で光を受光するように設けられており、受光した光の強度に応じて画素毎に例えば8ビットの輝度信号に変換した画像データを制御部18に出力する。
【0060】
このように構成された銅箔検査装置100は、ガイドローラ106と銅箔20との間に付着した銅粉等の異物を検出することができる。
【0061】
次に、図8を参照して、ライト102により照射され、読取位置Rにより反射される反射光、及びCCDカメラ104により撮像される画像についてについて説明する。
【0062】
図8(A)に示される銅箔20は、銅粉等108の異物の付着により銅箔20表面側に出っ張った3次元形状の変形(以下、銅粉部とよぶ)が発生している。なお、図8(A)に示されるように、本実施の形態では逆V字形状の銅粉部を例に挙げて説明するが、銅箔検査装置100により検査される銅粉部の形状は逆V字形状に限らない。
【0063】
図8(A)は、ライト102により銅箔20の搬送方向の上流側から照射され、読取位置Rで反射された光の光路を示している。
【0064】
矢印A7は、ライト102により照射された光ビームが、銅粉部ではない領域で反射された場合の光路を示している。矢印A7で示されるように、銅粉部ではない領域で反射された反射光は、矢印Tで示されるCCDカメラ104の光軸に対して斜め方向に進むため、CCDカメラ104に入射する光の強度は小さい。
【0065】
矢印A8は、ライト102により照射された光ビームが、銅粉部の上流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A8で示されるように、銅粉部の上流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Tで示されるCCDカメラ104の光軸に沿って進むため、CCDカメラ104に入射する光の強度は大きい。
【0066】
矢印A9は、ライト102により照射された光ビームが、銅粉部の下流側のスロープ領域で反射された場合の光路を示している。矢印A9で示されるように、銅粉部の下流側のスロープ領域で反射された反射光は、矢印Tで示されるCCDカメラ104の光軸に対してほぼ垂直の方向に進むため、CCDカメラ104に入射する光の強度は非常に小さい。
【0067】
図8(B)は、ライト102により照射され、銅粉部を含む領域により反射されて、CCDカメラ104に入射する光の強度の変化の概要を示している。横軸が読取位置Rを示し、縦軸が強度を示す。上流側のスロープ領域で反射された場合の強度は大きく、下流側のスロープ領域で反射された場合の強度は小さくなる。
【0068】
このことから、銅粉部を含む領域をCCDカメラ104で撮像した場合は、図8(C)に例示されるような画像が得られる。明るい領域Lは銅粉部の上流側のスロープ領域ベース部分を示し、暗い領域Dは銅粉部の下流側のスロープ領域を示している。
【0069】
制御部18は、前述の図5のフローチャートで示された銅箔20の検査処理を行なう。
【0070】
このように、正反射された光の光軸の方向と異なる方向に垂直な面で光を受光するように設けたCCDカメラにより撮像された画像において輝度値が大きい領域と輝度値が小さい領域とを抽出し、抽出した各々の位置関係に基づいて判定を行うことで、銅箔に銅粉等の異物が付着しているか否かを精度よく検査することができる。
【0071】
銅粉はそれ自身を検出することは非常に困難であるが、本実施の形態では、銅粉等の異物の付着による銅箔の変形を検出することにより、精度よく検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる銅箔検査装置の要部を示す図である。
【図2】銅箔検査装置の制御部の概略構成図である。
【図3】銅箔に発生した凸デンツにより反射された反射光について説明する図である。
【図4】銅箔に発生した凹デンツにより反射された反射光について説明する図である。
【図5】銅箔の検査処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図6】撮像された画像に画像処理を施した画像の一例を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる銅箔検査装置の要部を示す図である。
【図8】銅分により変形した銅箔により反射された反射光について説明する図である。
【符号の説明】
【0073】
10 銅箔検査装置
12 ライト
14 CCDカメラ
16 ガイドローラ
18 制御部
20 銅箔
100 銅箔検査装置
102 ライト
104 CCDカメラ
106 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射され、かつ前記検査対象で正反射された光の進行方向と異なる方向から受光した光による画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像から、濃度が第1の閾値を超える暗領域、及び濃度が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満の明領域を抽出して、前記暗領域と前記明領域との位置関係に基づいて不良部分を検出する検出手段と、
を備えた検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記位置関係と、前記暗領域及び前記明領域の形状に基づいて不良部分とを検出することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記暗領域の位置と前記明領域の位置との距離が所定距離以下の場合に、当該暗領域と当該明領域とを前記不良部分として検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記暗領域の位置に対する前記明領域の位置が、前記照射手段が配置された側の場合に、当該暗領域と当該明領域とを前記検査対象の表面側に出っ張った3次元形状の変形として検出することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記暗領域の位置に対する前記明領域の位置が、前記撮像手段が配置された側の場合に、当該暗領域と当該明領域とを前記検査対象の表面がくぼんだ3次元形状の変形として検出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検査対象は複数のローラに巻き掛かけられた銅箔であり、
前記照射手段は、前記複数のローラの間の銅箔に光を照射することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査対象はローラに巻き掛かけられた銅箔であり、
前記照射手段は、前記ローラ上の銅箔に光を照射することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−47513(P2009−47513A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212995(P2007−212995)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】