説明

樹脂成形体の製造方法および製造システム、樹脂成形体、圧力容器

【課題】高いガスバリア性を有する樹脂成形体を簡便に製造する。
【解決手段】凹型と凸型とを有する金型に形成されたキャビティ内に成形材料を射出する射出工程S102と、金型を冷却し、成形材料が固化した成形中間体を形成する金型冷却工程S104と、金型を型開きし、成形中間体と密着する凸型を凹型から脱離させる型開工程S106と、凸型と成形中間体との間の気密性を維持しつつ、成形中間体の少なくとも一部を凸型から離型させる離型工程S108と、離型させた成形中間体と凸型との間に、凸型の温度よりも高い温度を有する温風を送気して、成形中間体を加熱する温風送気工程S110と、加熱された成形中間体を凸型とともに徐冷する徐冷工程S112と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形体の製造方法および製造システム、樹脂成形体、圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素や窒素など、常温常圧状態における容積の大きな気体を高密度、小容量にて貯蔵するための容器として、所定の圧力により圧縮させて液体または気体として貯蔵する、圧力容器が使用されている。中でも、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの繊維強化樹脂(FRP)を用いたFRP製の圧力容器は一般に、金属製圧力容器よりも軽量であるため、車両などの移動体への搭載には有利であり、また、水素用圧力容器として使用する場合における、従来の鋼鉄製容器の課題であった水素脆化その他の懸念も少ないため、特に注目されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1には、複数のライナ構成部材を接合して形成したライナの表面に多数の溝部を形成し、該ライナの外面に補強材を被覆した構成を有する圧力容器について開示されている。
【0004】
特許文献2には、ライナの内面側に酸化層が形成された圧力容器について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−257355号公報
【特許文献2】特開2010−019315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4は、一般的なFRP製圧力容器の構成の概略を説明するための図である。図4に示す圧力容器10は例えば、6−ナイロン(ナイロン6とも称する)、6,6−ナイロン(ナイロン66とも称する)などのナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂などの高いガスバリア性を有する熱可塑性樹脂に、耐衝撃性を付与するための、例えば、エチレンオレフィン系またはウレタン系などのエラストマーを添加して構成された中空形状のライナ12と、ライナ12の外周部分を被覆する繊維強化樹脂層(FRP層)14とを備え、構成されている。圧力容器10にはまた、少なくとも一つの口金16を有する。口金16は、図示しないバルブを接続可能に構成されており、このバルブ操作により圧力容器10の内外への高圧流体の流通を調節することができる。
【0007】
ライナ12は一般に、例えば略円筒状、略椀形状などのライナ構成部材を複数作製し、これを組み合わせることにより、所望の形状を有するライナ12を作製することができる。成形コスト、耐久性等の観点から、作製する圧力容器10を二分割したものに対応する、二つの略同一形状のライナ構成部材を作製し、これを組み合わせてライナ12を形成することが好適である。
【0008】
繊維強化樹脂層14は例えば、例えばガラス繊維、炭素繊維、ケブラ繊維などからなる、長く連続した糸状の繊維(フィラメント)に、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂からなる樹脂液を含浸させ、必要に応じて乾燥させたいわゆるプリプレグ繊維をライナの外周表面に巻きつけて、その後該樹脂液を硬化させることにより形成することができる。このとき、ライナ12の材質および/または厚みの他、例えば、繊維強化樹脂層14を構成する繊維の太さや巻き数を調整し、繊維強化樹脂層14の厚みを調整することにより、圧力容器10の耐圧性能その他の設計強度を制御することができる。
【0009】
このような構成を有する圧力容器10において、ライナ12の内側部分に貯留された高圧ガスは、口金16に接続されたバルブ(図示せず)を介して、その大半が排出されるが、水素ガスなどの分子量の小さい物質を圧力容器10に高圧充填すると、その一部が、ライナ12を透過する場合がある。圧力容器10の内部圧力が比較的高く、口金16と、その近傍のライナ12および繊維強化樹脂層14とが気密に保たれている場合には、ライナ12を透過したガスは口金16の近傍に滞留し、圧力容器10の外部への漏出はごくわずかである。これに対し、圧力容器10の内部圧力が低下し、口金16とその近傍のライナ12および繊維強化樹脂層14との間のガスシール性が低下すると、ライナ12を透過したガスが口金16の近傍から圧力容器10の外部に高濃度で漏出する場合がありうる。
【0010】
水素ガスなどの分子量の小さい物質がライナ12を透過する要因の一つとして、エラストマーの存在を挙げることができる。ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂を含有するライナ12の高いガスバリア性は、その熱可塑性樹脂が有する高い結晶性に由来するとされている。これに対し、耐衝撃性の付与のためにライナ12の成形材料に添加することができるエラストマーは一般に、非晶性であり、その添加量によっては、作製されたライナのガスバリア性の低下に繋がる場合がある。また、ライナ12の成形材料へのエラストマーの添加は、場合によっては、ライナ12成形時における熱可塑性樹脂の結晶化を阻害する要因ともなり得た。
【0011】
従来、熱可塑性樹脂の結晶化を促進させることによるガスバリア性の向上を目的として、成形温度を上げることや再加熱してアニールすることが知られている。アニールはまた、成形されたライナ12の応力緩和に有用であることも知られている。しかしながら、金型温度や樹脂温度を上げて成形することは、耐圧性などの他の物性を低下させる要因となり得た。一方、後工程で実施されるアニールは一般に、所定の時間、温度管理をするために加熱スペースを確保する必要があり、生産性低下の要因ともなり得た。
【0012】
本発明は、高いガスバリア性を有する樹脂成形体を簡便に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0014】
(1)凹型と凸型とを有する金型に形成された、作製する樹脂成形体の形状に対応するキャビティ内に前記樹脂成形体を作製するための成形材料を射出する射出工程と、前記金型を冷却し、前記成形材料が固化した成形中間体を形成する金型冷却工程と、前記金型を型開きし、前記成形中間体と密着する凸型を前記凹型から脱離させる型開工程と、前記凸型と前記成形中間体との間の気密性を維持しつつ、前記成形中間体の少なくとも一部を前記凸型から離型させる離型工程と、離型させた前記成形中間体と前記凸型との間に、前記凸型の温度よりも高い温度を有する温風を送気して、前記成形中間体を加熱する温風送気工程と、加熱された前記成形中間体を前記凸型とともに徐冷する徐冷工程と、を含む、樹脂成形体の製造方法。
【0015】
(2)上記(1)に記載の製造方法において、前記成形材料が、熱可塑性樹脂とエラストマーとを含み、前記温風送気工程および前記徐冷工程により、前記熱可塑性樹脂の少なくとも一部を結晶化させる、樹脂成形体の製造方法。
【0016】
(3)上記(2)に記載の製造方法において、前記熱可塑性樹脂が、ナイロン樹脂であり、前記温風の送気温度が、100℃以上である、樹脂成形体の製造方法。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の製造方法により作製される樹脂成形体であって、前記樹脂成形体が、加圧ガスを貯留するための圧力容器を構成するライナ構成部材である、樹脂成形体。
【0018】
(5)凹型および凸型を含み、作製する樹脂成形体の形状に対応するキャビティを有する金型と、前記キャビティ内に前記樹脂成形体を作製するための成形材料を射出する射出手段と、前記金型を冷却し、前記成形材料が固化した成形中間体を形成する金型冷却手段と、少なくとも凸型または凹型のいずれか一方を型開きして、前記成形中間体を前記凹型から脱離させる型開手段と、前記凸型と前記成形中間体との間の気密性を維持しつつ、前記成形中間体の少なくとも一部を前記凸型から離型させる離型手段と、離型させた前記成形中間体と前記凸型との間に、前記凸型の温度よりも高い温度を有する温風を送気するための温風送気手段と、を備える、樹脂成形体の製造システム。
【0019】
(6)上記(5)に記載の製造システムにより作製される樹脂成形体であって、前記樹脂成形体が、加圧ガスを貯留するための圧力容器を構成するライナ構成部材である、樹脂成形体。
【0020】
(7)中空形状のライナと、前記ライナの外周を被覆する繊維強化樹脂層と、を含み、前記ライナが、上記(4)または(6)に記載の樹脂成形体を含む、圧力容器。
【発明の効果】
【0021】
高いガスバリア性を有する樹脂成形体を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】樹脂成形体の製造システムの構成の概略を説明するための図である。
【図2】図1に示す樹脂成形体の製造システムによる成形工程について説明するための図である。
【図3】樹脂成形体の製造方法を例示したブロック図である。
【図4】圧力容器10の構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態における樹脂成形体の製造システムの構成の概略について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1に示す樹脂成形体の製造システム100は、シリンダ20と、金型26と、押上げコア28,30と、開きコア32,34と、制御部44と、を備える。
【0025】
シリンダ20は、その先端部分に設けられたノズル36から、図示しない射出装置内で加熱溶融された、熱可塑性樹脂およびエラストマーを含む成形材料を、設定された射出条件で金型26に向けて射出することができるよう構成されている。
【0026】
金型26は、凹型22と凸型24とを含む。図1に示すように金型26を閉じて凹型22および凸型24を接近させた状態において、凹型22と凸型24との間に、作製する樹脂成形体の形状に対応するキャビティ38が形成されるように凹型22および凸型24の表面形状がそれぞれ加工されている。また、凹型22および凸型24はそれぞれ、加熱手段(図示せず)および冷却媒体流路(図示せず)を含む温度調節機構(図示せず)により、所望の温度に調節可能に構成されている。さらに、シリンダ20側に配置された凹型22には、射出時にノズル36の先端と当接するスプルゥブッシュ42を設けることができる。以下、凹型22を固定型、凸型24を可動型として説明するが、凹型22を可動型、凸型24を固定型として用いることも可能である。
【0027】
凸型24には、その内部を貫通し、温風供給源および/または温風供給手段(図示せず)から送られた温風を凹型22側に送気することができる温風送気流路40が形成されている。必要に応じて、キャビティ38からの成形材料の侵入を防止するように逆止機構を設けることもできる。
【0028】
押上げコア28,30は、凸型24側であって、凹型22の近傍、より具体的にはキャビティ38の凸型24側端部近傍に設けられている。図1に示す押上げコア28,30はいずれも、金型26を型開きし、凹型22と凸型24とを離脱させた際には水平方向に移動することにより凹型22側に突出し、キャビティ38内の成形中間体(後述)を押し上げることができるように構成されている。
【0029】
一方、開きコア32,34は、凸型24側であって、凹型22の近傍、より具体的には押上げコア28,30よりもノズル36に近い中央部分またはその近傍に設けることができる。図1に示す開きコア32,34はいずれも、金型26を型開きし、凹型22と凸型24とを離脱させた際には鉛直方向に移動することにより凹型22側に突出し、キャビティ38内の成形中間体(後述)を凸型24の外側方向に開くことができるように構成されている。
【0030】
図1に示す樹脂成形体の製造システム100は、開閉機構(図示せず)および型締機構(図示せず)を備えることができる。開閉機構は、可動型(ここでは凸型24)を固定型(ここでは凹型22)に対し離接するように水平移動させることにより、金型26を開閉可能に構成されている。一方、型締機構は、密接した凹型22および凸型24を緊密状態で固定し、キャビティ38内に成形材料を射出可能な状態に保持することができるよう構成されている。
【0031】
本発明の実施の形態において、凹型22および凸型24は、例えばステンレス鋼など、剛性を有し、熱安定性の高い金属材料または金属合金材料で構成することができる。また、押上げコア28,30や開きコア32,34もまた、例えばステンレス鋼など、剛性を有し、熱安定性の高い金属材料または金属合金材料で構成することができるが、凹型22および凸型24とは同じ材料であっても異なるものであってもよい。
【0032】
制御部44は、例えば、内部に信号処理を行うCPUとプログラムや制御データを格納する記憶部とを備えるコンピュータである。シリンダ20または射出装置、凹型22および凸型24(温度調節機構を含む)、押上げコア28,30、開きコア32,34、温風供給源および/または温風供給手段、開閉機構、および型締機構はそれぞれ制御部44に接続され、制御部44の指令によって動作するよう構成されている。また、凹型22および凸型24の温度やシリンダ20内の成形材料の温度を検出するための温度センサ(図示せず)の出力信号が制御部44に入力されるよう構成されている。
【0033】
図1〜3を参照して、圧力容器10の製造方法の一例について説明する。まず、金型を型締めし(S100)、次いで、成形材料を射出する(S102)。図2(a)に例示するように、凹型22と凸型24との間に形成されたキャビティ38内に、熱可塑性樹脂およびエラストマーを含有する成形材料46が射出され、充填される。
【0034】
実施の形態において、熱可塑性樹脂としては例えば、ナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂などを適用することができる。ナイロン樹脂を適用した場合のノズル36から金型26への射出温度は例えば、250℃〜300℃程度とすることができ、ポリプロピレン樹脂を適用した場合の射出温度は例えば、200℃〜250℃程度とすることができるが、これに限定されるものではない。また、凹型22および凸型24の温度(金型温度)は、例えば、後述する型開きする際の金型温度よりも数℃〜数十℃程度高い温度とすることができるが、これに限定されるものではなく、成形材料の射出温度や成形時間に応じて適宜設定することができる。
【0035】
また、成形材料に対するエラストマーの配合量は例えば、5質量%〜30質量%、より好ましくは10質量%〜20質量%程度とすることができる。エラストマーの配合量が5質量%に満たない場合には、耐衝撃性が十分でない場合があり得る。また、エラストマーの配合量が30質量%を超えると、ガスの種類によってはガスバリア性に不具合が生じる場合があり得る。
【0036】
その後、金型を冷却し(S104)、次いで、金型を型開きする(S106)。凹型22および凸型24が冷却されるにしたがって、キャビティ38内に充填された成形材料46は固化し、成形中間体48が形成される。図2(b)に例示するように、成形中間体48と密着する凸型24を凹型22から脱離させるように水平方向に移動させる。本実施の形態において、型開きする際の金型温度は例えば、50℃〜80℃程度とすることができる。
【0037】
次いで、成形中間体48を凸型24から離型させる(S108)。図2(c)に例示するように、押上げコア28,30および開きコア32,34を作用させることにより、より具体的には、各コアの近傍に形成された成形中間体48に当接させ、さらに押圧することにより、凸型24から成形中間体48を離型させることができる。実施の形態において、押上げコア28,30により離型される、成形中間体48の端部と凸型24に形成された凹型22との当接面52との間隔は概ね10mm程度とすることができる。一方、開きコア32,34により離型される、成形中間体48の中央部分と凸型24との間隔は概ね0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm〜0.3mm程度である。このとき、凸型24と成形中間体48との間に形成される空間54は、気密性が維持されることが好ましく、場合によっては開きコア32,34を不要とすることができる。
【0038】
次いで、温風を送気する(S110)。図2(c)に例示するように、温風送気流路40を経由して流通する温風50を、凸型24と成形中間体48との間に形成された空間54内に送気し、内部温度がほぼ均等となるように流通させる。実施の形態において、温風50としては例えば、加熱された空気を利用することができるが、他の実施の形態として、窒素や二酸化炭素等であってもよい。温風50の温度は、少なくとも凸型24の温度よりも高い温度とすることができ、例えば、100℃以上、より具体的には、120℃〜150℃程度とすることができる。また、温風50の送気時間は、金型温度や成形中間体48の材料にもよるが、例えば、2分〜3分程度とすることができる。必要に応じて、空間54内に送気した温風を排気する温風排気流路(図示せず)を凸型24内に形成してもよい。なお、S110の実施は、S108の終了前に開始してもよく、重複する時間があってもよい。
【0039】
次いで、徐冷する(S112)。実施の形態において、押上げコア28,30および開きコア32,34を元の状態(図2(b)参照)に戻すとともに凸型24を移動させることにより成形中間体48を凸型24と密着させる。本実施の形態によれば、空間54内の温風50を速やかに排出させることもでき、凸型24とほぼ同様の緩やかな速度で冷却させることができる。このとき、成形中間体48を金型温度(例えば、50℃)から常温(例えば、25℃)まで冷却させる時間は、例えば、1分〜30分とすることができるが、これに限らず、成形材料その他の諸条件に応じて変更可能である。
【0040】
S110において、成形中間体48が温風50で熱せられ、次いで、S112において、徐冷されることにより、成形中間体48の少なくとも一部、特に温風50に接触した部分における熱可塑性樹脂の結晶化の程度がより高まり、ガスバリア性が向上する。
【0041】
最後に、樹脂成形体を取り出す。図2(d)に例示するように、凸型24をさらに移動させることにより、および/または図示しないエジェクタピンを作用させることにより、作製された樹脂成形体56をシステムから取り出すことができる。作製された樹脂成形体56がライナ構成部材である場合には、成形端面を溶着することにより、ライナ12(図4参照)を作製することができる。作製されたライナ12は、図4に示すような圧力容器10の作製に供することができる。実施の形態において、樹脂成形体56またはライナ構成部材の溶着には例えば、所定の出力条件に設定したレーザ装置によるレーザ溶着が好適である。他の実施の形態として、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着などを適用して溶着することも可能である。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、高いガスバリア性を有する樹脂成形体を、従来のアニール工程を適用した場合と比較してより簡便に製造することができ、また、生産性も向上する。また、従来の樹脂成形体と同等程度の厚みであっても、高いガスバリア性を有する樹脂成形体を、簡便に製造することができる。
【0043】
なお、図1に例示した樹脂成形体の製造システム100は、射出装置と金型とが水平方向に配置されたいわゆる横型の製造システムである。他の実施の形態として、上方に配置された射出装置から下方に配置され、上下方向に可動型が移動する立型の製造システムであってもよいが、設備投資の観点から、より好ましくは横型の製造システムである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、熱可塑性樹脂とエラストマーとを含む樹脂成形体の作製のために利用することができる。
【0045】
本発明はまた、水素タンクなど、FRP製の圧力容器の作製のために利用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 圧力容器、12 ライナ、14 繊維強化樹脂層、16 口金、20 シリンダ、22 凹型、24 凸型、26 金型、28,30 押上げコア、32,34 開きコア、36 ノズル、38 キャビティ、40 温風送気流路、42 スプルゥブッシュ、44 制御部、46 成形材料、48 成形中間体、50 温風、52 当接面、54 空間、56 樹脂成形体、100 製造システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹型と凸型とを有する金型に形成された、作製する樹脂成形体の形状に対応するキャビティ内に前記樹脂成形体を作製するための成形材料を射出する射出工程と、
前記金型を冷却し、前記成形材料が固化した成形中間体を形成する金型冷却工程と、
前記金型を型開きし、前記成形中間体と密着する凸型を前記凹型から脱離させる型開工程と、
前記凸型と前記成形中間体との間の気密性を維持しつつ、前記成形中間体の少なくとも一部を前記凸型から離型させる離型工程と、
離型させた前記成形中間体と前記凸型との間に、前記凸型の温度よりも高い温度を有する温風を送気して、前記成形中間体を加熱する温風送気工程と、
加熱された前記成形中間体を前記凸型とともに徐冷する徐冷工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記成形材料が、熱可塑性樹脂とエラストマーとを含み、
前記温風送気工程および前記徐冷工程により、前記熱可塑性樹脂の少なくとも一部を結晶化させることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法において、
前記熱可塑性樹脂が、ナイロン樹脂であり、
前記温風の送気温度が、100℃以上であることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法により作製される樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体が、加圧ガスを貯留するための圧力容器を構成するライナ構成部材であることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項5】
凹型および凸型を含み、作製する樹脂成形体の形状に対応するキャビティを有する金型と、
前記キャビティ内に前記樹脂成形体を作製するための成形材料を射出する射出手段と、
前記金型を冷却し、前記成形材料が固化した成形中間体を形成する金型冷却手段と、
少なくとも凸型または凹型のいずれか一方を型開きして、前記成形中間体を前記凹型から脱離させる型開手段と、
前記凸型と前記成形中間体との間の気密性を維持しつつ、前記成形中間体の少なくとも一部を前記凸型から離型させる離型手段と、
離型させた前記成形中間体と前記凸型との間に、前記凸型の温度よりも高い温度を有する温風を送気するための温風送気手段と、
を備えることを特徴とする樹脂成形体の製造システム。
【請求項6】
請求項5に記載の製造システムにより作製される樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体が、加圧ガスを貯留するための圧力容器を構成するライナ構成部材であることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項7】
中空形状のライナと、
前記ライナの外周を被覆する繊維強化樹脂層と、
を含み、
前記ライナが、請求項4または6に記載の樹脂成形体を含むことを特徴とする圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240667(P2011−240667A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116661(P2010−116661)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】