説明

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板

【課題】PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物と、熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の絶縁材料等に好適に用いられる樹脂組成物、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板等の絶縁材料には、信号の伝送速度を高め、信号伝送時の損失を低減させるために、誘電率及び誘電正接が低いことが求められる。
【0003】
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れているので、高周波数帯を利用する電子機器のプリント配線板等の絶縁材料に好ましく用いられる。しかしながら、高分子量のPPEは、一般的に融点が高いため、粘度が高く、流動性が低い傾向がある。そして、このようなPPEを用いて、多層プリント配線板等を製造するために使用されるプリプレグを形成し、形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、製造時、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じていた。このような問題を解決するために、例えば、高分子量のPPEを溶媒中でフェノール種とラジカル開始剤との存在下で再分配反応させることによって、分子切断を起こし、PPEを低分子量化する技術が知られている。しかしながら、PPEを低分子量化した場合、硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性等が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、硬化物の耐熱性等を高めるために、下記特許文献1及び下記特許文献2に記載されているように、PPEにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を組み合わせて用いることが考えられる。具体的には、特許文献1には、約3000未満の数平均分子量を有する少なくとも1種のPPE、及び少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2には、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有するエポキシ化合物と、PPEをフェノール類とラジカル開始剤の存在下で再分配反応させて得られたフェノール変性PPEとを予め反応させた予備反応物、及びシアネート化合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−302529号公報
【特許文献2】特開平10−279781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような、ポリフェニレンエーテル樹脂と熱硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を用いても、硬化時に前記ポリフェニレンエーテル樹脂と熱硬化性樹脂との反応性が不充分であり、硬化物の耐熱性を充分に高めることができなかった。
【0007】
また、特許文献2によれば、耐熱性と電気特性を向上させることができることが開示されているが、PPEをフェノール類とラジカル開始剤の存在下で再分配反応させて得られたフェノール変性PPEは、分子量分布が広く、末端の水酸基濃度も低いので反応性が低く、硬化時に熱硬化性樹脂と充分に反応できない傾向があった。そして、特許文献2のように、予めエポキシ化合物と反応させた予備反応物を用いた場合であっても、PPEの反応性が低いため、耐熱性や密着性等が充分に高いとは言えなかった。また、反応性を高めるために、予め反応させるエポキシ化合物として、反応性の高い多官能エポキシ化合物を用いると、粘度が高まりすぎ、場合によっては、ゲル化してしまい、プリント配線板を製造するためのプリプレグ等に利用できないという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の樹脂組成物は、数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物と、熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0011】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0012】
まず、耐熱性の低い傾向のあるPPEの水酸基と予め耐熱性の高いエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させることによって得られた反応生成物を用いることによって、硬化物の耐熱性を高めることができると考えられる。その際、PPEとして、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する、反応性の比較的高いものを用い、エポキシ樹脂として、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂を用いることによって、硬化物の耐熱性を高めることができるだけではなく、粘度の上昇を抑制できると考えられる。そして、その反応生成物と熱硬化性樹脂とを含有することによって、硬化時に、反応生成物と熱硬化性樹脂との反応性が多少低くても、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性を充分に高めることができることによると考えられる。したがって、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を得ることができると考えられる。
【0013】
また、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂の少なくとも1種を含有することが好ましい。この構成によれば、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性により優れたものを得ることができる。このことは、硬化時に、前記熱硬化性樹脂が、前記反応生成物の水酸基やエポキシ基と反応しやすいためであると考えられる。
【0014】
また、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂の、1分子中におけるエポキシ基数が、平均2〜2.3個であることが好ましい。この構成によれば、粘度の上昇を抑制しつつ、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性により優れたものを得ることができる。
【0015】
また、前記反応生成物が、前記低分子量ポリフェニレンエーテル1モルに対して、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂2モル以上反応させることにより得られるものであることが好ましい。この構成によれば、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性により優れたものを得ることができる。
【0016】
また、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、ホスフィン酸塩系難燃剤及びメラミン系難燃剤の少なくとも1種を5〜30質量部含有することが好ましい。この構成によれば、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れているだけではなく、硬化物の難燃性も充分に高いものが得られる。
【0017】
また、前記メラミン系化合物が、ポリリン酸メラミンであることが好ましい。この構成によれば、硬化物の難燃性がより高いものが得られる。
【0018】
また、本発明の樹脂組成物の製造方法は、数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との混合物を加熱することによって、低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させる工程と、低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させた反応生成物に熱硬化性樹脂を配合する工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0020】
また、本発明のプリプレグは、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させて得られることを特徴とする。この構成によれば、誘電特性及び耐熱性が優れ、銅箔等の金属箔との密着性にも優れた金属張積層板を製造するのに好適に用いられるものであり、さらに、樹脂組成物の粘度が低く、流動性が高いので、金属張積層板や金属張積層板を用いたプリント配線板を製造する際の成形不良の発生を抑制できる信頼性に優れたものが得られる。
【0021】
また、本発明の金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする。この構成によれば、誘電特性及び耐熱性が優れ、銅箔等の金属箔やプリプレグ間の密着性にも優れたプリント配線板を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる、信頼性に優れた金属張積層板が得られる。
【0022】
また、本発明のプリント配線板は、前記金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られることを特徴とする。この構成によれば、誘電特性及び耐熱性が優れ、金属箔やプリプレグ間の密着性にも優れ、さらに、成形不良の発生を抑制されたものが得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の樹脂組成物は、数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物と、熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする。すなわち、前記樹脂組成物は、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と予め反応させるプレリアクトさせた後に、前記熱硬化性樹脂を配合することによって、得られるものである。
【0025】
前記樹脂組成物は、前述のように、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物を含有する。前記反応生成物としては、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基(OH基)と前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応(プレリアクト)させて得られる生成物であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記低分子量ポリフェニレンエーテル1モルに対して、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂2モル以上反応させて得られるもの等が挙げられる。より具体的には、例えば、以下のように反応させることによって得られる。まず、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とが所定の比率となるように、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とを、10〜60分間有機溶媒中で攪拌して混合させる。その際、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂との比率としては、例えば、モル比で、1:2〜1:4であることが好ましい。そして、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とを混合した後、80〜110℃で2〜12時間加熱させることによって、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とを反応させる。そうすることによって、前記反応生成物が得られる。なお、前記有機溶媒としては、前記低分子量ポリフェニレンエーテル及び前記低エポキシ基数エポキシ樹脂等を溶解させ、これらの反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン等が挙げられる。
【0026】
前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とを反応させる際、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂との混合物に、触媒を混合してもよい。前記触媒としては、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基との反応を促進することができるものであれば、特に制限することなく使用することができる。具体的には、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸のZn、Cu、及びFe等の有機金属塩;トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等の3級アミン;2−エチル−4−イミダゾール(2E4MZ)、及び4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン類等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、イミダゾール類、特に2−エチル−4−イミダゾールが、反応時間を短くすることができ、さらに、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂同士の重合(エポキシ樹脂の自重合)を抑制できる点から、特に好ましく用いられる。また、前記触媒の含有量は、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂との合計100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。触媒の含有量が少なすぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基との反応に非常に時間がかかる傾向があり、また、多すぎると、前記反応の制御が困難となり、ゲル化しやすくなる傾向がある。
【0027】
前記低分子量ポリフェニレンエーテルとしては、数平均分子量(Mn)が800〜2000であり、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有するポリフェニレンエーテルであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、重合反応により直接得られた数平均分子量が800〜2000のもの等が挙げられる。また、数平均分子量が800未満であると、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と反応させても、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られず、数平均分子量が2000を超えると、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と反応させた反応生成物を含有させた場合、樹脂組成物の粘度が高くなり、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない。よって、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを用いることによって、広い周波数領域において誘電特性が良好であるだけではなく、成形不良を抑制できる充分な流動性を有する。水酸基が1.5個未満であると、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と反応させて得られる反応生成物の反応性が低下し、得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下するという傾向があり、また、水酸基が2個を超えると、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基との反応性が高くなりすぎ、ゲル化してしまうおそれがある。
【0028】
前記低分子量ポリフェニレンエーテルの具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等が挙げられる。
【0029】
前記低エポキシ基数エポキシ樹脂としては、エポキシ基が1分子中に平均2.3個以下のエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルとの相溶性が良い点から好ましく用いられる。なお、前記樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ樹脂を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて配合してもよい。
【0030】
また、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂は、1分子中のエポキシ基が平均2.3個以下であればよいが、平均2個以上であることが好ましい。エポキシ基が少なすぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと反応させて得られる反応生成物の反応性が低下し、得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下するという傾向があり、また、エポキシ基が多すぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基との反応性が高くなりすぎ、ゲル化してしまうおそれがあった。
【0031】
なお、ここでの前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基数や前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基数は、使用する前記低分子量ポリフェニレンエーテルや前記低エポキシ基数エポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基数としては、具体的には、例えば、前記低分子量ポリフェニレンエーテル1モル中に存在する全ての低分子量ポリフェニレンエーテルの1分子あたりの水酸基の平均値を表した数値等が挙げられる。また、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、具体的には、例えば、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂1モル中に存在する全ての前記低エポキシ基数エポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値を表した数値等が挙げられる。そして、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂は、そのエポキシ基数が2.3個以下のものである。
【0032】
前記熱硬化性樹脂としては、特に限定なく使用でき、具体的には、例えば、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂等が挙げられる。
【0033】
前記エポキシ樹脂としては、特に限定なく使用できる。また、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。具体的には、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と同様のものを用いることができ、より具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ビフェニル型エポキシ樹脂が、前記反応生成物との相溶性が良い点から好ましく用いられる。なお、前記樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ樹脂を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて配合してもよい。
【0034】
シアネート樹脂としては、特に限定なく使用できる。また、1分子中に2個以上のシアネート基を有するものが好ましい。具体的には、例えば、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(ビスフェノールA型シアネート樹脂)、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等またはこれらの誘導体等の芳香族系シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
前記熱硬化性樹脂としては、前記エポキシ樹脂及び前記シアネート樹脂をそれぞれ単独で用いてもよいし、両者を組み合わせて用いてもよい。また、前記熱硬化性樹脂の含有量としては、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、20〜80質量部であることが、充分な耐熱性と優れた誘電特性を維持することができる点から好ましい。
【0036】
また、前記樹脂組成物には、前記反応生成物と前記熱硬化性樹脂との架橋反応(硬化反応)を促進させるための硬化触媒を配合することが好ましい。配合しなくても、高温にすれば、反応は進み得るが、プロセス条件によっては高温にすることができない場合があるので、前記硬化触媒を配合するほうが好ましい。このような硬化触媒の具体例としては、例えば、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸のZn、Cu、及びFe等の有機金属塩、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、及び4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、有機金属塩、特にオクタン酸亜鉛が高い耐熱性が得られる点から、特に好ましく用いられる。
【0037】
前記硬化触媒の配合割合は、特に限定されないが、例えば、有機金属塩を用いる場合には、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、0.005〜5質量部であることが好ましく、イミダゾール類を用いる場合には、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましい。
【0038】
前記樹脂組成物には、さらに、難燃剤を配合することが好ましい。前記難燃剤としては、特に限定なく使用できる。具体的には、例えば、ホスフィン酸塩系難燃剤やメラミン系難燃剤等が挙げられる。前記ホスフィン酸塩系難燃剤の具体例としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等が挙げられる。また、前記メラミン系難燃剤としては、リン酸メラミン、及びポリリン酸メラミン等が挙げられ、前記メラミン系難燃剤としては、ポリリン酸メラミンが好ましく用いられる。前記難燃剤としては、上記難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記樹脂組成物は、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、前記ホスフィン酸塩系難燃剤及び前記メラミン系難燃剤の少なくとも1種を5〜30質量部含有させることが難燃性と耐熱性に優れる点から好ましい。前記ホスフィン酸塩系難燃剤及び前記メラミン系難燃剤が少なすぎる場合には、難燃性が不充分になる傾向があり、多すぎる場合には耐熱性やTgが低下する傾向がある。
【0039】
また、前記樹脂組成物には、加熱時における寸法安定性を高めたり、難燃性を高める等の目的で、必要に応じてさらに無機充填材を配合してもよい。
【0040】
前記無機充填材としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、前記無機充填材としては、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものが、特に好ましい。前記のようなシランカップリング剤で表面処理された無機充填材が配合された樹脂組成物を用いて得られる金属張積層板は、吸湿時における耐熱性が高く、また、層間ピール強度も高くなる傾向がある。
【0041】
前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料や顔料、滑剤等の添加剤を配合してもよい。
【0042】
なお、本発明における、前記低分子量ポリフェニレンエーテル、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂、前記反応生成物、及び前記熱硬化性樹脂の数平均分子量は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
【0043】
前記樹脂組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的でワニス状に調製して用いられることが多い。すなわち、前記樹脂組成物は、通常、ワニス状に調製されたものであることが多い。このようなワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
【0044】
まず、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂等を、有機溶媒等に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。さらに、必要に応じて用いられる、硬化触媒、難燃剤や無機充填材を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。前記有機溶媒としては、前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン等が挙げられる。
【0045】
得られたワニス状の樹脂組成物を用いてプリプレグを製造する方法としては、例えば、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
【0046】
前記繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、前記繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
【0047】
前記含浸は、浸漬(ディッピング)、及び塗布等によって行われる。前記含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
【0048】
前記樹脂組成物が含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
【0049】
このようにして得られたプリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、前記プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を170〜210℃、圧力を3.5〜4.0Pa、時間を60〜150分間とすることができる。
【0050】
前記樹脂組成物は、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂とを予め反応させた反応生成物を含有するので、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れたものである。そのため、得られたプリプレグを用いた金属張積層板は、プリント配線板を成形不良の発生が抑制しつつ製造できる。
【0051】
そして、作製された積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。このように得られるプリント配線板は、誘電特性に優れており、また、高い耐熱性を備えたものである。
【0052】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
[反応生成物の調製]
本実施例において、反応生成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
【0054】
(ポリフェニレンエーテル)
PPE1:ポリフェニレンエーテル(SABIC社製のMX90、数平均分子量Mn1000、1分子中の平均水酸基数1.7)
PPE2:高分子量のポリフェニレンエーテルを公知の分子量低減方法(分子切断方法)により分子量を低減させて得られたポリフェニレンエーテル(数平均分子量Mn1500、1分子中の平均水酸基数1.1)
(エポキシ樹脂)
1官能エポキシ樹脂:アルキルフェノールグリシジルエーテル(DIC株式会社製のエピクロン520、数平均分子量Mn210、1分子中の平均エポキシ基数1.0)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製のYDF8170、数平均分子量Mn310、1分子中の平均エポキシ基数2.0)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC3100、数平均分子量Mn620、1分子中の平均エポキシ基数2.3)
ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂:ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンHP5000、数平均分子量Mn780、1分子中の平均エポキシ基数2.5)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC3000H、数平均分子量Mn910、1分子中の平均エポキシ基数3.4)
(プレリアクト時の触媒)
触媒:2−エチル−4−イミダゾール(2E4MZ)
[調製方法]
表1に記載の配合割合となるように、各成分をトルエンに添加した後、100℃で6時間攪拌させた。そうすることによって、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記低エポキシ基数エポキシ樹脂と予め反応(プレリアクト)させることによって、前記反応生成物を調製した。
【0055】
[反応生成物の数平均分子量Mn]
前記反応生成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー株式会社製のHLC−8210、カラム構成:東ソー株式会社製の、SuperHM−M(1本)+SuperHM−H(1本)]にて分子量分布を測定し、数平均分子量を求めた。なお、反応生成物がゲル化している場合は、測定できず、表1中、「−」と示す。
【0056】
[プレリアクトの結果]
得られた反応生成物を目視で評価して、ゲル化しているか否かを判断し、ゲル化しておらず、反応生成物のMnがPPEのMnより増加していれば、表1中、「OK」と示す。また、ゲル化している場合は、表1中、「ゲル化」と示す。ゲル化した場合は、後述する樹脂組成物の調製ができないので、以下の組成及び評価は、表1中、「−」と示す。そして、プレリアクトを行わなかった場合、表1中、「なし」と示す。
【0057】
[樹脂組成物の調製]
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
【0058】
(熱硬化性樹脂)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC3000H、数平均分子量Mn910、1分子中の平均エポキシ基数3.4)
ビスフェノールA型シアネート樹脂:2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(ロンザジャパン社製のBADCY)
ホスフィン酸塩系難燃剤:ジアルキルホスフィン酸アルミニウム(クラリアントジャパン社製のOP935)
メラミン系難燃剤:ポリリン酸メラミン(Ciba社製のMelapur200)
硬化触媒:オクタン酸亜鉛(DIC株式会社製)
[調製方法]
表1に記載の配合割合となるように、得られた反応生成物の溶液に熱硬化性樹脂を添加した後、室温で30分間攪拌させた。そうすることによって、得られた反応生成物の溶液に前記熱硬化性樹脂が完全に溶解分散した。そして、熱硬化性樹脂以外の成分を添加して、ボールミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
【0059】
次に、得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製のWEA116E)に含浸させた後、150℃で3〜5分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。
【0060】
そして、得られた各プリプレグを6枚重ねて積層し、さらに、その両外層にそれぞれ銅箔(古河サーキットフォイル株式会社製のGT−MP、厚み18μm)を配し、温度220℃、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより、厚み0.75mmの銅張積層板を得た。
【0061】
上記のように調製された各プリプレグ及び銅張積層板を、以下に示す方法により評価を行った。
【0062】
[プリプレグの溶融粘度]
株式会社島津製作所製のフローテスタ「CFT−500A」を用いて、プリプレグの130℃における溶融粘度を測定した。
【0063】
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、プリプレグのTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして測定を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanαが極大を示す温度をTgとした。
【0064】
[銅箔密着強度]
銅張積層板の表面の銅箔の引きはがし強さ(銅箔密着強度)を、JIS C 6481に準拠して測定した。このとき、幅20mm、長さ100mmの試験片上に幅10mm、長さ100mmのパターンを形成し、銅箔を引っ張り試験器により50mm/分の速度で引きはがし、その時の引きはがし強さを測定した。
【0065】
[層間密着強度]
銅張積層板のプリプレグ間の引きはがし強さ(層間密着強度)を、JIS C 6481に準拠して測定した。このとき、幅20mm、長さ100mmの試験片上に幅10mm、長さ100mmのパターンを形成し、最上面にあるプリプレグを引っ張り試験器により50mm/分の速度で引きはがし、その時の引きはがし強さを測定した。
【0066】
[耐熱性(T288)]
IPC TM650に準拠して、銅張積層板の耐熱性(T288)を評価した。
【0067】
[誘電特性(誘電率及び誘電正接)]
株式会社関東電子応用開発製の空洞共振器「CP461」を用い、2GHzにおける銅張積層板の誘電率及び誘電正接を測定した。
【0068】
[難燃性]
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94”に準じて行い、評価した。
【0069】
これらの結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1からわかるように、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテル(PPE1)と、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物と、熱硬化性樹脂として、ビフェニル型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型シアネート樹脂の少なくとも1種を含有する場合(実施例1〜5)は、1分子中に平均2.3個を超えるエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いてプレリアクトさせた場合(比較例1〜3)、1分子中に平均1.5個未満の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテル(PPE2)を用いてプレリアクトさせた場合(比較例4,5)、及びプレリアクトさせなかった場合(比較例6)と比較して、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、粘度が低く、硬化物の耐熱性及び銅箔等との密着性に優れた樹脂組成物が得られた。なお、1分子中に平均2.3個を超えるエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いてプレリアクトさせた場合(比較例1〜3)は、反応生成物を調製するプレリアクトの際、ゲル化してしまい、樹脂組成物を構成することができなかった。
【0072】
さらに、低分子量ポリフェニレンエーテル(PPE1)1モルに対して、1分子中に平均2〜2.3個のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂を2モル以上反応させることにより得られた反応生成物を用いた場合(実施例2,3,5)は、1分子中に平均2個未満のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂を用いた場合(実施例1)や低分子量ポリフェニレンエーテル1モルに対して低エポキシ基数エポキシ樹脂を2モル未満反応させることにより得られた反応生成物を用いた場合(実施例4)と比較して、より耐熱性が高まったことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との反応生成物と、
熱硬化性樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記低エポキシ基数エポキシ樹脂の、1分子中におけるエポキシ基数が、平均2〜2.3個である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記反応生成物が、前記低分子量ポリフェニレンエーテル1モルに対して、前記低エポキシ基数エポキシ樹脂2モル以上反応させることにより得られるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記反応生成物及び前記熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、ホスフィン酸塩系難燃剤及びメラミン系難燃剤の少なくとも1種を5〜30質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記メラミン系難燃剤が、ポリリン酸メラミンである請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
数平均分子量が800〜2000の、1分子中に平均1.5〜2個の水酸基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルと、1分子中に平均2.3個以下のエポキシ基を有する低エポキシ基数エポキシ樹脂との混合物を加熱することによって、低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させる工程と、
低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と低エポキシ基数エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させた反応生成物に熱硬化性樹脂を配合する工程とを備えることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を繊維質基材に含浸させて得られることを特徴とするプリプレグ。
【請求項9】
請求項8に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする金属張積層板。
【請求項10】
請求項9に記載の金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られることを特徴とするプリント配線板。

【公開番号】特開2010−275341(P2010−275341A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126278(P2009−126278)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】