説明

残留液体除去方法、それを用いた露光装置及びデバイスの製造方法

【課題】液浸法を採用する露光装置において、露光処理後に基板上に残留した液体を好適に除去する。
【解決手段】液浸法により露光処理が施された基板に残留した液体を除去する残留液体除去方法であって、基板に露光処理を施すに際し、基板の位置合わせを行うアライメント装置と、露光処理が施された後、基板に残留した液体を除去する液体除去装置とを備え、液体除去装置が、露光処理直後の基板に残留した液体を除去する第1の液体除去工程S901と、アライメント装置が、第1の液体除去工程S901の後の基板の画像情報を取得し、該画像情報に基づいて、基板に残留液体を検知する残留液体検知工程S905と、該残留液体検知工程S905において基板に残留液体が検知された場合、液体除去装置が、基板に残留した液体を除去する第2の液体除去工程S911と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残留液体除去方法、それを用いた露光装置及びデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの集積密度の向上に伴い、回路パターンの更なる微細化が要求されている。そこで、半導体製造工程におけるリソグラフィ工程に用いられる露光装置としては、解像力を向上させる液浸法を採用した露光装置が提案されている。この液浸露光装置は、投影光学系の端面の少なくとも一部の領域と、基板ステージ上の基板との間の空間に液体を満たした状態で基板を露光する装置である。
【0003】
しかしながら、従来の液浸露光装置では、液体が処理後の基板(ウエハ)に付着したままであると、搬送系に不具合を発生させたり、基板を塗布現像装置に搬送後、加熱処理を行う際に温度ムラが発生し、CD均一性を悪化させたりするという問題がある。更には、液体が残留した基板が再度基板ステージに送りこまれた場合、プリアライメント実行時に、基板外周に付着した液体が異物と判断され、アライメントが実行できない場合がある。そこで、この問題を解決するために、例えば、特許文献1は、従来の投影光学系の周囲に配置された回収ノズルを通して液体を回収する方法に加え、基板の搬送経路の途中に残液を回収する液滴除去ユニットを配置する露光装置を開示している。
【特許文献1】特開2007−109741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に示す露光装置のように、高圧ガスを吹き付けることによって基板に付着した液体を除去する方法では、通常、液体は不活性ガスにより基板端面に移動し、落下して大部分が除去される。しかしながら、撥水性の劣化等に起因し、吹き飛ばしたはずの液体を基板上から完全に除去することができない場合がある。その場合、結果的に、露光装置は、上記のような不具合を発生させ、最終的には、基板搬送を一旦停止させて、オペレータが液体の残留した基板を取り除かねばならず、装置全体にダウンタイムを発生させるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、液浸法を採用する露光装置において、露光処理後に基板上に残留した液体を好適に除去する残留液体除去方法、及び、装置全体のダウンタイムを低減させる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、液浸法により露光処理が施された基板に残留した液体を除去する残留液体除去方法であって、基板に露光処理を施すに際し、基板の位置合わせを行うアライメント装置と、露光処理が施された後、基板に残留した液体を除去する液体除去装置とを備え、液体除去装置が、露光処理直後の基板に残留した液体を除去する第1の液体除去工程と、アライメント装置が、第1の液体除去工程の後の基板の画像情報を取得し、該画像情報に基づいて、基板に残留液体を検知する残留液体検知工程と、該残留液体検知工程において基板に残留液体が検知された場合、液体除去装置が、基板に残留した液体を除去する第2の液体除去工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の液体除去工程において、万一、基板上に液体が残留した場合でも、残留液体検知工程にて残留液体を検知し、第2の液体除去工程にて好適に残留液体を除去することができる。したがって、オペレータが介在することなく、装置自体が自動で基板上に液体が残留しないように処理するので、装置全体のダウンタイムを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0009】
(露光装置)
図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の本体部分(以下、「露光ユニット」と表記する)を示す概略図である。露光ユニット1は、液浸法によりレチクルのパターンをウエハに露光する装置である。なお、ウエハ上に液体を供給する供給ノズル、及び露光処理後に液体を排出する排出ノズル等の図示は省略する。また、図1において、露光ユニット1を構成する投影光学系の光軸に平行にZ軸を取り、該Z軸に垂直な平面内で走査露光時のレチクル(原版)及びウエハ(基板)の走査方向にY軸を取り、該Y軸に直交する非走査方向にX軸を取って説明する。
【0010】
露光ユニット1は、照明光学系2と、パターンが形成されたレチクル3を保持するレチクルステージ系4と、レチクル位置計測ユニット5と、投影光学系6と、感光剤が塗布されたウエハ7を位置決めする基板ステージ系8とを備える。
【0011】
照明光学系2は、内蔵光源(超高圧水銀ランプ等の放電灯)、若しくは露光ユニット1とは別に設置された光源装置(光源部)から、ビームラインを経て照明光を導入し、各種レンズや絞りによってスリット光を生成して、レチクル3を上方から照明する。レチクルステージ系4は、XY方向に移動可能なステージである。レチクル位置計測ユニット5は、レチクル3の位置を計測する装置である。投影光学系6は、レチクル3のパターンをウエハ7に所定の倍率(例えば4:1)で縮小投影する。また、基板ステージ系8は、ウエハ7をXY方向に移動可能なXYステージ9と、ウエハ7をZ方向に移動可能なZステージ10とを含む。更に、露光ユニット1は、XYステージ9のXY方向の位置を計測するレーザ干渉計11と、ウエハ7のZ方向の位置を計測するフォーカスユニット12とを備える。
【0012】
(デバイス製造装置)
図2は、本発明の実施形態に係るデバイス製造装置を示す概略図(平面図)である。デバイス製造装置13は、図1に示す露光ユニット1を有する露光装置15と、塗布現像装置16とから構成される。
【0013】
露光装置15は、露光ユニット1を含む露光処理部17と、処理対象物であるウエハを保持するハンド18を備えた第1搬送ユニット19と、露光装置15を制御する制御部20と、ユーザーインターフェースである入出力装置21とを有する。更に、露光装置15は、主電源22と、副電源23と、第1搬送ユニット19を制御する第1搬送制御部24とを有する。これらの構成部は、露光チャンバ25内にそれぞれ配置されている。
【0014】
ここで、主電源22は、少なくとも、露光処理部17、制御部20、及び入出力装置21にそれぞれ電力を供給する。一方、副電源23は、第1搬送制御部24に電力を供給する。なお、副電源23は、主電源22による電力供給対象に対する電力供給が遮断された場合、代替して電力供給が継続されるように構成されている。具体的には、副電源23は、例えば2次電池を含んで構成されうる。この場合、副電源23は、主電源22が正常である場合には、主電源22から提供される電力によって2次電池を充電し、一方、主電源22の異常や停電等によって主電源22による電力供給が遮断された場合には、2次電池によって電力供給対象に電力を供給する。
【0015】
塗布現像装置16は、ウエハへの感光剤の塗布及び露光済みウエハの現像を行う機能を有する塗布現像ユニットを含む塗布現像部26と、ウエハを保持するハンド27を備えた第2搬送ユニット28と、塗布現像装置16を制御する制御部29とを有する。更に、塗布現像装置16は、主電源30と、副電源31と、第2搬送ユニット28を制御する第2搬送制御部32を有する。これらの構成部は、塗布現像チャンバ33内にそれぞれ配置されている。なお、主電源30及び副電源31の作用は、上記露光装置15に備えられた主電源22及び副電源23の作用と同一である。
【0016】
また、デバイス製造装置13は、露光装置15と塗布現像装置16との間でウエハを受け渡す受渡ステーション34を備える。まず、第2搬送ユニット28は、感光剤が塗布されたウエハを受渡ステーション34内の搬入部35へ搬送する。第1搬送ユニット19は、搬送された搬入部35内のウエハを受け取り、露光処理部17へ搬送する。露光処理の終了後、第1搬送ユニット19は、ウエハを露光処理部17から受渡ステーション34内の搬出部36へ搬送する。そして、第2搬送ユニット28は、搬送された搬出部36内のウエハを受け取り、塗布現像部26へ搬送し、現像処理を行う。
【0017】
(搬送ユニット)
図3は、本発明の実施形態に係る露光装置15内の第1搬送ユニット19の構成を示す概略図(平面図)である。図3において、図2と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0018】
第1搬送ユニット19は、基板搬送ロボット40と、プリアライメントユニット(アライメント装置)41と、残留液体除去ユニット(液体除去装置)42と、供給ロボット43と、回収ロボット44と、回収ステーション45とを備える。
【0019】
基板搬送ロボット40は、受渡ステーション34内の搬入出部、及び各ユニット部等へのウエハの搬送を行うためのロボットである。
【0020】
プリアライメントユニット41は、露光処理部17で露光処理を行うに際し、供給ロボット43上に載置するウエハの位置合わせを行うための装置である。図4は、プリアライメントユニットの構成を示す概略図(側面図)である。プリアライメントユニット41は、ウエハ7を保持する基板保持機構50と、ウエハ7を回転させる基板回転機構51と、XY方向で基板保持機構50の位置を調整する2次元駆動機構52と、ウエハ7の外周部を計測する計測装置53とを備える。更に、計測装置53は、計測光源54と、イメージセンサ55とで構成される。まず、計測装置53は、基板回転機構51が基板保持機構43で保持されたウエハ7を回転中に、ウエハ7の外周部のデータを取得する。次に、該取得したデータに基づいて、不図示の画像処理部及び演算部は、ウエハの位置を算出し、基板保持機構50及び基板回転機構51は、ウエハ7を特定の位置に合わせる。
【0021】
残留液体除去ユニット42は、露光処理部17にて一旦液体を排出したものの、表面に残留した液体をウエハ7から除去するための装置である。図5は、残留液体除去ユニットの構成を示す概略図(側面図)である。残留液体除去ユニット42は、ウエハ7を保持する基板保持機構60と、ウエハ7を回転させる基板回転機構61と、ウエハ7上に高圧ガスを吹き付けるエアナイフ62と、該エアナイフ62により吹き飛ばされた液体の飛散を防止するための防護壁63とを備える。なお、エアナイフ62は、吹き付ける高圧ガス(不活性ガス)が均一化するように駆動させる不図示の駆動機構を備える。まず、基板回転機構61は、基板保持機構60で保持されたウエハ7を回転させる。その後、エアナイフ62は、ウエハ7の回転中に高圧ガスを吐出し、ウエハ7の表面の残留液体を吹き飛ばすことにより除去する。なお、吹き飛ばされ、ユニット内に残った液体は、不図示のポンプ等により外部に排出される。
【0022】
供給ロボット43は、プリアライメントユニット41にて位置合わせされたウエハ7を露光処理部17内の基板ステージ系8へ搬送するためのロボットである。また、回収ロボット44は、基板ステージ系8からウエハ7を回収し、露光処理後のウエハ7を一旦保持するための回収ステーション45へ搬送するためのロボットである。
【0023】
次に、第1搬送ユニット19におけるウエハの搬送について説明する。まず、基板搬送ロボット40は、受渡ステーション34内の搬入部35に載置されたウエハを、プリアライメントユニット41に搬入する。次に、プリアライメントユニット41は、ウエハの位置合わせ動作を実行し、その後、供給ロボット38は、位置合わせされたウエハを、プリアライメントユニット41から露光処理部17内の基板ステージ系8へ搬入する。次に、ウエハは、基板ステージ系8に保持された状態で投影光学系6の真下の露光位置に設置される。その後、ウエハ上に不図示の液体供給ノズルから液体が供給され、液浸露光処理が実施される。
【0024】
露光処理後、液体を回収する不図示の液体排出ノズルによりウエハ上の液体を回収し、ウエハは、基板ステージ系8に保持された状態で、露光処理部17内の基板回収位置に移動される。次に、回収ロボット44は、ウエハを基板回収位置から回収ステーション45に搬送し、その後、搬送ロボット40は、ウエハを回収ステーション45から残留液体除去ユニット42に搬入する。次に、残留液体除去ユニット42は、ウエハ上に残留した液体を除去する処理を実行し、その後、搬送ロボット40は、ウエハを残留液体除去ユニット42から受渡ステーション34内の搬出部36へ搬送する。ここで、一旦露光処理部17内で液浸露光処理を施されたウエハを回収し、再度露光処理部17に搬入する場合は、搬送ロボット40は、液体の除去処理を行ったウエハを残留液体除去ユニット42からプリアライメントユニット41へ搬送する。なお、ウエハを、受渡ステーション34(塗布現像装置16)からではなく、FOUP等の基板キャリアユニット46から供給し、露光処理後、ウエハを再度基板キャリアユニット46へ収納する搬送方法を用いても良い。
【0025】
(残留液体除去方法)
次に、本発明の特徴である残留液体除去方法について説明する。まず、本実施形態における、ウエハ7上の残留液体の位置及び大きさを判定する液体検知処理部と、残留液体の除去動作を制御する液体除去制御部との関係について説明する。なお、液体検知処理部及び液体除去制御部は、露光装置15内の制御部20、若しくは、不図示であるが、別途設置されたシーケンサ又はコンピュータ等の制御装置に備えられる。
【0026】
図6は、液体検知処理部70と液体除去制御部80との関係を示すブロック図である。まず、液体検知処理部70は、基板外周検出部71と、記憶部72と、CPU(中央演算装置)73と、画像処理部74と、液体位置検出部75とで構成される。また、液体除去制御部80は、CPU81と、回転駆動制御部82と、エアナイフ制御部83とで構成される。
【0027】
まず、プリアライメントユニット41の計測装置53により取り込まれたウエハ7の画像は、基板外周検出部71に送られ、画像データ(画像情報)として記憶部72に保存される。次に、該画像データは、画像処理部74において外周部データに変換され、液体位置検出部75は、該外周部データと予め記憶部72に記憶された外周部データモデルとを比較し、位置データを抽出する。該抽出された位置データは、CPU73に送信される。次に、該CPU73は、データ通信機構84を介して、位置データを液体除去制御部80のCPU81へ送信する。該CPU81は、位置データを回転駆動制御部82に送信し、残留液体除去ユニット42の基板回転機構61は、受信した位置データに基づいて、ウエハ7を位置変化させる。同時に、CPU81は、位置データをエアナイフ制御部83に送信し、残留液体除去ユニット42のエアナイフ62は、高圧ガスの吐出を実行し、ウエハ7に残留した目標となる液体の除去を行う。
【0028】
ここで、上記外周部データの一例を示す。図7は、外周部データの一例であり、図7(A)は、ウエハ7の外周部に液体の付着が無い場合のデータであり、図7(B)は、ウエハ7の外周部に液体が付着している場合のデータである。なお、図7において、横軸θは、ウエハの回転角度を示し、縦軸Lは、イメージセンサ55の出力に基づいて得られる、ウエハの回転中心から外周端部までの距離を示す。
【0029】
図7において、グラフ上の急峻な変化点65は、ウエハ7のノッチ(切り欠き)部を示している。図7(A)に示すように、外周部に液体の付着が無い場合、変化点は1箇所のみであり、ノッチ部の位置を判断することが可能である。一方、外周部に液体が付着している場合は、図7(B)に示すように、ノッチ部と同じような変化点66が生じる。したがって、ノッチ部の位置に加え、液体が付着している位置も判断することが可能となる。
【0030】
なお、ノッチ部と液体付着部との位置の区別は、上述のとおり、予め基準となるノッチデータを取得し、比較することで可能であるが、取得したデータの急峻な変化点に閾値を設け、該閾値を超えた場合には、ノッチ部と判断する方法を用いてもよい。また、液体付着部の変化点データが、ノッチ部の変化点データと類似しているため、ノッチ部の位置を正確に判断することができない場合でも、急峻な変化点が少なくとも2箇所以上ある場合は、ウエハ7上に液体が付着していると判断してよい。
【0031】
次に、本発明の残留液体除去方法に基づく処理の流れについて説明する。図8は、本実施形態における残留液体の検知処理及び除去処理を示すフローチャートである。
【0032】
まず、露光処理終了後、残留液体除去ユニット42は、露光処理直後のウエハ7上に残留する液体の除去処理を実行する(第1の液体除去工程:ステップS901)。次に、搬送ロボット40は、残留液体除去ユニット42から液体除去処理を施したウエハ7を搬出し(ステップS902)、プリアライメントユニット41へ搬入する(ステップS903)。
【0033】
次に、プリアライメントユニット41は、搬入された露光処理済のウエハ7のアライメントを実行し(アライメント工程:ステップS904)、ウエハ7の画像を取得する。次に、液体検知処理部70は、得られた画像に基づいて上述のデータ処理を実行する(残留液体検知工程:ステップS905)。
【0034】
ここで、液体検知処理部70が、ウエハ7上に残留液体が検知されない、若しくは、検知されたがアライメントには影響がないと判断した場合には(ステップS906)、露光装置15は、ウエハ7のプリアライメント処理を継続する(ステップS916)。その後、アライメントを終了させ(ステップS917)、供給ロボット43は、ウエハ7をプリアライメントユニット41から搬出する(ステップS918)。
【0035】
一方、液体検知処理部70が、ウエハ7上に残留液体を検知し、アライメント不可と判断した場合には、残留液体除去ユニット42における液体除去処理が、予め定めた制限回数(N回)に到達しているかを確認する(ステップS907)。なお、制限回数は、装置スループット、並びに露光後の後工程までに許容される時間等を考慮して決定する。ここで、液体除去処理の回数が、制限回数に達していない場合は、液体検知処理部70は、ステップS905におけるデータ処理で得られた情報に基づいて、液体の付着位置情報を液体除去制御部80へ通知する(ステップS908)。その後、搬送ロボット40は、プリアライメントユニット41からウエハ7を搬出し(ステップS909)、ウエハ7を残留液体除去ユニット42に搬入する(ステップS910)。なお、上記付着位置情報の通知(ステップS908)及びウエハ7の搬送(ステップS909、S910)は、同時に実行してもよい。
【0036】
次に、残留液体除去ユニット42は、プリアライメントユニット41より通知された液体の付着位置情報に基づいて、ウエハ7を所望の位置に駆動し、残留位置を重点的に除去する(第2の液体除去工程:ステップS911)。次に、除去処理終了後、露光装置15は、上記除去ステップ(ステップS902〜S911)の回数を+1追加し(ステップS912)、再度、搬送ロボット40は、残留液体除去ユニット42よりウエハ7を搬出し、プリアライメントユニット41へ搬入する。
【0037】
次に、ステップS907において、露光装置15が上記除去ステップを繰り返し、残留液体の除去を実行するステップ回数が制限回数に到達した場合には、残留液体除去ユニット42は、ウエハ7の付着物を完全に除去することは不可能である。この場合、露光装置15は、ウエハ7の付着物を異物と判断し(ステップS913)、エラーとしてアライメント処理を終了する(ステップS914)。ここで、露光装置15は、エラー通知としてウエハ7上の異物付着位置を装置コンソール等に表示し、オペレータ等に通知する。その後、搬送ロボット40は、ウエハ7を回収し、装置搬出部、若しくは、基板キャリアユニット46に搬送する(ステップS915)。
【0038】
次に、ステップS911において、残留液体除去ユニット42が、ウエハ7上の残留液体を重点的に除去する方法について説明する。図9は、残留液体除去ユニット42の液体除去過程の一例を示す概略図である。
【0039】
まず、基板回転機構61は、残留液体の付着位置情報に基づいて、ウエハ7に付着している残留液体90に対して最も高圧ガスが吹きかかるように、ウエハ7を回転させて液体付着位置を位置決めする。次に、エアナイフ62は、高圧ガス91を吐出し、同時に、基板回転機構61は、高圧ガス91に対してウエハ7上の液体付着部分を往復させる駆動を行い、重点的に残留液体の除去を行う。ここで、基板回転機構61がウエハ7を逆方向に回転させ、再度、高圧ガス91が最も吹きかかる位置に液体付着部分を戻す場合には、残留液体が飛び散ってしまうことを考慮し、エアナイフ62は、高圧ガス91の供給を停止する。
【0040】
以上のように、本発明によれば、露光処理直後の液体除去工程において、基板上に液体が残留した場合でも、残留液体検知工程にて残留液体を自動で検知し、再度、液体除去工程を実行することにより好適に残留液体を除去することができる。このように、露光装置は、オペレータを介在させることなく、自動で基板上に液体が残留しないように処理するので、結果的に、装置全体のダウンタイムを低減することが可能となる。
【0041】
(デバイスの製造方法)
次に、上記の露光装置を利用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0042】
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等のデバイスは、レジスト(感光剤)が塗布された基板(ウエハ、ガラスプレート等)を、上記の露光装置を用いて露光する工程を経る。続いて、露光された前記基板を現像する工程と、その他の周知の工程と、を行うことによってデバイスが製造される。該周知の工程は、例えば、酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、及びパッケージング等の少なくとも1つの工程を含む。
【0043】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定するものでなく、本発明の目的が達成される範囲において、各構成が代替的に置換されても良い。
【0044】
上記実施形態では、基板上に残留液体の付着位置が1箇所存在する場合について説明した。ここで、例えば、基板上の2箇所以上で残留液体の付着が検出された場合には、基板回転機構61が各液体付着位置まで基板を逐一回転させ、上記同様の除去処理を行うことで対応可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、基板を回転させることにより残留液体を除去する残留液体除去ユニットを採用したが、残留液体除去ユニットの構造は、これに限定されるものではなく、エアノズルを移動させる方法でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の本体部分の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデバイス製造装置の構成を示す概略図である。
【図3】デバイス製造装置における搬送ユニットの構成を示す概略図である。
【図4】プリアライメントユニットの構成を示す概略図である。
【図5】残留液体除去ユニットの構成を示す概略図である。
【図6】液体検知処理部と液体除去制御部の関係を示すブロック図である。
【図7】プリアライメントユニットにより得られるデータの一例である。
【図8】残留液体除去方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】残留液体除去ユニットの作用の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0047】
2 照明光学系
3 レチクル
4 レチクルステージ系
6 投影光学系
7 ウエハ
8 基板ステージ系
15 露光装置
19 第1搬送ユニット
41 プリアライメントユニット
42 残留液体除去ユニット
S901 第1の液体除去工程
S905 残留液体検知工程
S911 第2の液体除去工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸法により露光処理が施された基板に残留した液体を除去する残留液体除去方法であって、
前記基板に露光処理を施すに際し、前記基板の位置合わせを行うアライメント装置と、
露光処理が施された後、前記基板に残留した液体を除去する液体除去装置と、を備え、
前記液体除去装置が、露光処理直後の前記基板に残留した液体を除去する第1の液体除去工程と、
前記アライメント装置が、前記第1の液体除去工程の後の前記基板の画像情報を取得し、該画像情報に基づいて、前記基板に残留液体を検知する残留液体検知工程と、
前記残留液体検知工程において前記基板に残留液体が検知された場合、前記液体除去装置が、前記基板に残留した液体を除去する第2の液体除去工程と、
を有することを特徴とする残留液体除去方法。
【請求項2】
前記残留液体除去工程は、前記画像情報を前記基板の外周部データに変換し、該外周部データと、予め記憶された前記基板の外周部データモデルとを比較して位置データを抽出し、前記液体除去装置は、前記位置データに基づいて、前記基板上の残留液体が検知された位置を重点的に除去することを特徴とする請求項1に記載の残留液体除去方法。
【請求項3】
前記残留液体除去工程及び前記第2の液体除去工程は、前記残留液体除去工程において、前記基板に残留液体が検出されない、若しくは、予め定めた制限回数に到達するまで、繰り返し実行することを特徴とする請求項1及び2に記載の残留液体除去方法。
【請求項4】
光源部からの光でレチクルを照明する照明光学系と、前記レチクルを載置して移動可能なレチクルステージ系と、前記レチクルからの光を基板に導く投影光学系と、前記基板を載置して移動可能な基板ステージ系と、該基板ステージ系へ前記基板を搬送する搬送ユニットとを有する露光装置であって、
前記搬送ユニットは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の残留液体除去方法を採用することを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−147335(P2010−147335A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324536(P2008−324536)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】