説明

洗浄装置および洗浄方法

【課題】超音波エネルギが調整可能な超音波洗浄ユニットを有する洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置は、被洗浄基板を回動させる保持台と、前記被洗浄基板表面に洗浄液を供給し、前記洗浄液の膜を形成する洗浄液ノズルと、前記洗浄液の膜中に超音波を照射する超音波照射ユニットと、を含み、前記超音波照射ユニットは、超音波発生源と、前記超音波発生源で発生された超音波エネルギを伝達する媒体と、前記洗浄液の膜中に挿入され、前記洗浄液の膜中に、前記媒体を伝達された超音波エネルギを放射する放射部材と、を含み、前記媒体は、前記超音波エネルギの伝搬経路に配置された一または複数の振動伝達ブロックよりなる超音波伝達部を含み、前記一または複数の振動伝達ブロックは、前記超音波エネルギの伝搬経路上に、保持手段により保持されて配置され、前記保持手段は、前記一又は複数の振動伝達ブロックの各々を、個別に着脱自在に保持し、前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離が可変である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の製造では、大口径ウェハの使用が進んでいる。これに伴い、ウェハの洗浄工程においても枚葉式のスピン洗浄が主流になりつつある。枚葉式のスピン洗浄では、大型の洗浄槽を用いて行うディップ式洗浄と比べてウェハ面内で均一な洗浄処理が行いやすい。また枚葉式スピン洗浄では、ウェハ表面から除去した汚染物質がウェハ表面に再付着しにくい、洗浄液やリンス用純水の使用量を抑制できる、洗浄装置の立ち上げが短時間で行える、などの好ましい特徴が得られる。
【0003】
スピン洗浄装置では一般に、超音波洗浄によりウェハを洗浄する。このようなスピン洗浄装置はふつう、ウェハの表面に超音波ノズルから洗浄液を噴射し、同時に、超音波ノズル内部の振動子を発振させて超音波を発生させ、超音波ノズルから噴射される洗浄液を媒体として超音波をウェハ表面に伝搬させ、超音波のエネルギを利用してウェハ表面の洗浄を促進する構成を有する。
【0004】
図1に、超音波ノズルを用いて行う従来のスピン洗浄装置の概略を示す。
【0005】
図1を参照するに図示のスピン洗浄装置は超音波ノズル2を有し、前記超音波ノズルには、図示しない供給ラインを介して洗浄液が供給される。前記超音波ノズル2はウェハ1に向けて前記洗浄液をジェット3として噴射し、噴射された洗浄液のジェット3が前記ウェハ1を洗浄する。前記超音波ノズル2は図示しない超音波発振器によりケーブル2Aを介して駆動され、前記超音波ノズル2に内蔵された、図示していない超音波振動子を動作させる。前記超音波振動子により発生した超音波は洗浄液のジェット3に重畳され、前記洗浄液のジェット3を媒体として前記ウェハ1の表面に伝搬する。さらに前記ウェハ1を回転させながら前記超音波ノズル2に、前記超音波ノズル2を保持するアーム2Bにより往復運動をさせれば、前記超音波ノズル2から噴射された洗浄液3がウェハ表面に当たる照射点4が、ウェハの回転中心と外周の間を往復運動し、前記照射点4を、ウェハの全面に渡り通過させることができる。その結果、前記ウェハ1の全面を前記洗浄液で洗浄することが可能となる。
【0006】
ところで近年では、半導体素子の微細化が進んでいる結果、製造工程途中において、表面に非常に壊れやすい微細な構造物(パターン)が形成されたウェハを洗浄しなければならない場合が増えている。例えば、比誘電率の値を下げる目的でポアと呼ばれる微細な空孔を内部に一様に分布させた、多孔質シリカ(ポーラスシリカ)などの、いわゆるlow−K材料から成る層間絶縁膜中に微細な銅配線を有する多層配線構造を、ダマシン法やデュアルダマシン法により形成することが行われている。このような場合、弾性率が低く、また機械強度も低い層間絶縁膜に対し、反応性のドライエッチングによって幅が100nmを下回るような微細な配線溝やビアホールが形成されることがある。このような微細な構造を形成されたウェハに対して超音波ノズルを用いて超音波洗浄を行うと、超音波が与えるダメージによって、ウェハ表面の微細な構造ないしパターンが破壊されることがある。
【0007】
このような問題を回避するためには、ウェハ表面に形成されたパターンの構造的な強度に応じて、ウェハ表面の単位面積当たりに照射される超音波のエネルギを調整することが望ましい。
【0008】
図1に示したような超音波ノズルを利用した洗浄装置においては、超音波がウェハ表面の構造物に与えるダメージを小さくできるように、超音波ノズルに内蔵されている超音波振動子を駆動させるための超音波発振器に、駆動出力を調整できる機構が備えられていることが多く、ある範囲内であれば超音波の出力を調整することが可能である。しかし、上記のように最近の微細な構造を担持したウェハに対しては、このような調整を行っても超音波出力が大き過ぎる場合があり、このような場合には、さらに小さい出力での駆動が可能となるように、超音波発振器の電子回路に修正を加えることが必要になる。
【0009】
しかし、超音波発振器の電子回路の修正によって駆動出力を小さくできたとしても、超音波ノズルに内蔵されている超音波振動子には形状や構造によって決まる固有の振動条件ないし振動モードがあり、駆動出力がある下限を下回ると、安定した振動が成立しないことがある。一方、高い周波数を使用する場合には、超音波振動子の駆動出力が一定値を下回ると、超音波が超音波ノズルから噴射された洗浄液中で急激に減衰し、ウェハ表面に到達しないことがある。
【0010】
このように、超音波ノズルを使用する場合には、非常に小さな駆動出力で振動子を動作させて、ウェハ表面に超音波を照射することは、従来困難であった。
【0011】
このような問題に対して、ウェハに与える超音波のダメージをできるだけ小さくする目的で、振動体を利用した超音波の照射方法が提案されている。図2(A),(B)に、このような振動体を利用する超音波洗浄の例を示す。ただし図2(A)はウェハを含む洗浄装置の全体を示す斜視図、図2(B)は前記ウェハの洗浄部を拡大して示す側面図である。
【0012】
図2(A),(B)を参照するに、三角柱形状の例えばセラミック部材よりなる振動体5の一つの平坦面5Aに超音波振動子6が設置されており、前記振動体5はアーム6Aに保持されて、前記三角柱形状の別の平坦面5Bがウェハ1の被洗浄面と平行に、かつわずかな距離を隔てて向かい合うように保持される。ここで前記ウェハ1に対して前記振動体5の平坦面5Bから超音波が照射されるので、前記振動体5の前記平坦面5Bを、超音波照射面7と呼ぶことにする。前記超音波振動子6は、図示しない超音波発振器により、ケーブル6Bを介して駆動され、超音波を発生する。
【0013】
図2(A),(B)の構成では、さらに前記ウェハ1の被洗浄面上に洗浄液供給ノズル8から洗浄液3を供給され、前記振動体5の超音波照射面7とウェハ1の間にできた空間を洗浄液3によって完全に満たす。この状態で超音波振動子6を駆動させると、発生した超音波は、振動体5の内部を伝搬し、超音波照射面7の全体から洗浄液3へと伝達され、洗浄液3中を伝搬して、被洗浄面であるウェハ1の表面に到達する。超音波照射面7の振動の仕方ないし振動モードは、超音波振動子6の振動モードや振動体5の形状や材質で決まるので、これらは事前にシミュレーションによって予測され、目的に応じて振動体5の設計に反映される。図2には、三角柱形状のセラミック部材を前記振動体5として採用した例を示したが、このような振動体5の材質や形状、構造は、様々である。
【0014】
このような振動体を利用する方法では、超音波振動子で発生した超音波振動のエネルギが、振動体中を伝搬する過程で減衰し、また、超音波の照射が前記超音波照射面7の全面においてなされるため、振動のエネルギが分散し、被洗浄面の単位面積当たりに照射される超音波エネルギ密度は、図1のような超音波ノズル2を使った場合に比べて大幅に小さくなり、ウェハ表面に与える超音波のダメージを小さくする効果が得られる。
【0015】
また、前記超音波照射面7から洗浄液に向かって照射された超音波は、厚くても数ミリメートル、多くの場合はわずか1mm前後、あるいはそれ以下の厚さの洗浄液3の膜中を伝搬するだけで被洗浄面に達するので、たとえ振動体の表面での単位面積当たりの超音波振動のエネルギが微小であっても、大きな減衰を伴わずに被洗浄面に超音波を照射することができ、確実に洗浄の効果を発揮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−181394号公報
【特許文献2】特開2003−31540号公報
【特許文献3】特開2005−158913号公報
【特許文献4】特開2002−1247号公報
【特許文献5】特開2008−306108号公報
【特許文献6】特開2006−797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一般に、このような超音波の照射を利用する洗浄においては、超音波が被洗浄物に与えるダメージの大きさと、超音波による洗浄効果の大きさは、互いに相反する関係にある。すなわち、超音波のエネルギ密度を大きくすると、洗浄効果は増すが、被洗浄物、すなわちウェハ上の微細な構造物に与えるダメージは大きくなる。逆に、超音波のエネルギ密度を小さくすると、被洗浄物に与えるダメージを小さくできるが、洗浄効果は小さくなる。しかし、ウェハ表面に形成された微細な構造物を破壊することなく、効率良く洗浄作業を行うためには、ウェハ表面に形成された構造物の機械的強度に応じて、照射する超音波のエネルギ密度を、構造物の破壊を生じない範囲でできるだけ大きく設定できることが望ましい。
【0018】
前記図2(A),(B)に示した振動体5では、前記超音波照射面7の振動の仕方は、超音波振動子6の振動の仕方や振動体5の形状、材質、構造などで決まってしまい、超音波振動子6の出力調整範囲は限られている。また、振動体5中における超音波エネルギ密度の減衰の仕方は変化させることができない。このため、振動体5の超音波照射面7からウェハ1に向けて照射される単位面積当たりの超音波のエネルギ密度を任意に調整することは、従来困難であった。
【0019】
このため、先に図2(A),(B)で説明した振動体5を用いて行う超音波洗浄において、超音波照射面7から照射される超音波の単位面積当たりのエネルギ密度を調整するためには、狙いとするエネルギ密度の値に応じて、その都度、超音波振動子6を交換したり、あるいは振動体5を交換したりしなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一の側面によれば洗浄装置は、被洗浄基板を回動させる保持台と、前記被洗浄基板表面に洗浄液を供給し、前記洗浄液の膜を形成する洗浄液ノズルと、前記洗浄液の膜中に超音波を照射する超音波照射ユニットと、を含み、前記超音波照射ユニットは、超音波発生源と、前記超音波発生源で発生された超音波エネルギを伝達する媒体と、前記洗浄液の膜中に挿入され、前記洗浄液の膜中に、前記媒体を伝達された超音波エネルギを放射する放射部材と、を含み、前記媒体は、前記超音波エネルギの伝搬経路に配置された一または複数の振動伝達ブロックよりなる超音波伝達部を含み、前記一または複数の振動伝達ブロックは、前記超音波エネルギの伝搬経路上に、保持手段により保持されて配置され、前記保持手段は、前記一又は複数の振動伝達ブロックの各々を、個別に着脱自在に保持し、前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離が可変である。
【発明の効果】
【0021】
前記一の側面による洗浄装置では、超音波伝達部を構成する振動伝達ブロックを適宜着脱することにより、前記超音波発生源と放射部材との間の距離を調整することができ、これにより、前記放射部材から洗浄液の膜中に照射される超音波エネルギの密度を適宜調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】超音波ノズルを使ったウェハ洗浄の例を示す図である。
【図2】(A),(B)は、振動体を使った別のウェハ洗浄の例を示す図である。
【図3A】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットの構成を示す側面図である。
【図3B】図3Aの超音波洗浄ユニットで使われる超音波ノズルを示す側面図である。
【図3C】図3Bの超音波ノズルを示す正面図である。
【図3D】図3Aの超音波洗浄ユニットで使われる振動伝達ブロックを示す側面図および正面図である。
【図3E】図3Aの超音波洗浄ユニットで使われる放射部材を示す側面図および正面図である。
【図3F】図3Eの放射部材を超音波洗浄ユニットに装着した状態を示す正面図である。
【図3G】図3Dの振動伝達ブロックを超音波洗浄ユニットに装着した状態を示す正面図である。
【図3H】図3B,図3Cの超音波ノズルを超音波洗浄ユニットに装着した状態を示す正面図である。
【図4】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットを使った基板洗浄の例を示す側面図である。
【図5】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットの原理を説明する図である。
【図6A】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットにおける超音波エネルギの調整原理を説明する図(その1)である。
【図6B】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットにおける超音波エネルギの調整原理を説明する図(その2)である。
【図7】(A)〜(C)は、第1の実施形態による超音波エネルギの調整を示す図である。
【図8A】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットで使われる放射部材の例を示す正面図および側面図である。
【図8B】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットで使われる放射部材の別の例を示す正面図および側面図である。
【図8C】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットで使われる放射部材のさらに例を示す正面図および側面図である。
【図9A】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットが使われる洗浄装置の一部を待機状態について示す図である。
【図9B】第1の実施形態による超音波洗浄ユニットが使われる洗浄装置の一部を動作状態について示す図である。
【図10A】図9A中、矢印Aの方向から見た側面図である。
【図10B】図9B中、矢印Bの方向から見た側面図である。
【図11】(A)〜(C)は、第1の実施形態による超音波洗浄ユニットが使われる洗浄装置の全体を示す、それぞれ上面図、正面図、側面図である。
【図12】(A)〜(C)は、第2の実施形態による超音波エネルギの調整を示す図である。
【図13A】第3の実施形態による超音波洗浄ユニットを示す側面図である。
【図13B】図13Aの超音波洗浄ユニットで使われる超音波振動ユニットを示す側面図および正面図である。
【図13C】図13Aの超音波洗浄ユニットで使われる振動伝達ブロックを示す側面図および正面図である。
【図13D】図13Aの超音波洗浄ユニットで使われる放射部材を示す側面図および正面図である。
【図14A】実施形態による超音波洗浄ユニットを使ったダマシン法による配線構造の形成例を示す断面図(その1)である。
【図14B】実施形態による超音波洗浄ユニットを使ったダマシン法による配線構造の形成例を示す断面図(その2)である。
【図14C】実施形態による超音波洗浄ユニットを使ったダマシン法による配線構造の形成例を示す断面図(その3)である。
【図14D】実施形態による超音波洗浄ユニットを使ったダマシン法による配線構造の形成例を示す断面図(その4)である。
【図14E】実施形態による超音波洗浄ユニットを使ったダマシン法による配線構造の形成例を示す断面図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図3A〜図3Hは、第1の実施形態による洗浄装置で使われる超音波洗浄ユニット20の構成を示す図である。ただし図3Aは前記超音波洗浄ユニット20の側面図を、図3Bおよび図3Cは、前記図3Aの超音波洗浄ユニット20で使われる超音波ノズルのそれぞれ側面図および正面図を示す。図3Dは、前記図3Aの超音波洗浄ユニット20で使われる振動伝達ブロックを側面図および正面図で示す図、図3Eは、前記超音波洗浄ユニット20で使われる放射部材を側面図および正面図で示す図、図3Fは、図3Eに示す放射部材23が超音波洗浄ユニット20中において着脱およびスライド自在に保持されている様子を示す正面図、図3Gは、図3Dに示す振動伝達ブロック22Aが超音波洗浄ユニット20中において着脱およびスライド自在に保持されている様子を示す正面図、図3Hは図3B,図3Cに示す超音波ノズル21が前記超音波洗浄ユニット20中において着脱およびスライド自在に保持されている様子を示す正面図である。
【0024】
最初に図3Aを参照するに、前記超音波照射ユニット20は超音波ノズル21と、超音波を照射する放射部材(ホーン)23とを含み、前記超音波ノズル21と前記放射部材23とは保持部材24により保持されている。前記保持部材24は、枠を構成する四本の互いに平行なガイド部材24a〜24dより構成されている。前記保持部材24は例えばステンレス鋼材、フッ素系樹脂材などより形成することができる。
【0025】
さらに前記超音波照射ユニット20では、前記放射部材23と超音波ノズル21の間に、例えば石英片よりなる複数の振動伝達ブロック22Aを積層した超音波伝達部22が、やはり前記保持部材24により保持されて、設けられている。
【0026】
図3Bおよび図3Cは、前記超音波ノズル21を示す側面図および正面図である。
【0027】
図3Bおよび図3Cを参照するに、前記超音波ノズル21の前面には円錐形状のノズル21Nが形成されており、前記ノズル21Nの頂点には、洗浄液を吐出するノズル開口部21aが形成されている。
【0028】
前記超音波ノズル21には、前記保持部材24上への装着のため、装着部21H,21Hが形成されており、前記装着部21H,21Hの各々は、一辺が15mm〜40mm、例えば20mmの寸法の正方形形状を有し、前記保持部24を構成するガイド部材24a〜24dと係合するため四隅に切欠き21hが形成されている。図3Cの正面図よりわかるように、図示の実施例では前記切欠き21hは、前記ガイド部材24a〜24dに対応して、四箇所に形成されている。
【0029】
図3Dは、前記超音波伝達部22を構成する個々の振動伝達ブロック22Aの側面図および正面図を示す。
【0030】
前記振動伝達ブロック22Aは、厚さが1mm〜20mm、例えば5mmで、先にも述べたように例えば石英片よりなり、前記超音波ノズル21の装着部21H,21Hと、正面図で見て同じ形状、寸法を有している。
【0031】
前記振動伝達ブロック22Aは平坦で平滑な上下端面を有し、隣接する振動伝達ブロック22Aと密着した状態で積層され、前記超音波伝達部22を構成する。その際、前記超音波伝達部22に含まれる振動伝達ブロック22Aの数は可変であり、前記超音波伝達部22は、一又は複数の振動伝達ブロック22Aの積層により構成されている。前記振動伝達ブロック22Aのうち、最下端のものは、前記放射部材23と結合する。
【0032】
このように超音波伝達部22を振動伝達ブロック22Aの積層により構成する場合、一の振動伝達ブロック22Aと次の振動伝達ブロック22Bとの間に水膜を形成しておけば、超音波の伝達を促進することができる。このような水膜は、前記振動伝達ブロックを積層する際に、間に少量の水滴を介在させることにより、形成することができる。
【0033】
図3Eは、前記放射部材23の側面図および平面図を示す。
【0034】
前記放射部材23も、例えば前記振動伝達ブロック22Aと同様な石英片よりなり、先の超音波ノズル21の装着部21H,21Hと同様な装着部23Hが一体的に形成されている。前記装着部23Hは図3Eよりわかるように正面図において前記装着部21H,21Hあるいは振動伝達ブロック22と同じく、一辺が15mm〜40mm、例えば20mmの正方形を有し、四隅には、前記保持部材24の枠を構成するガイド部材24a〜24bと係合するための切欠き23aが形成されている。前記放射部材23の上端面は、対応する振動伝達ブロック22Aの下端面に密着するように、平坦で平滑な平面を形成する。
【0035】
図示の例では、前記放射部材23は、先端が縮小した高さが例えば20mmの円錐形ホーン部23Bを有し、前記円錐形の頂部には、直径が例えば8mmの平坦な円形の放射面23bが形成されている。ただし、以下に説明するように、ホーン部23Bは先端が縮小した円錐形状を有する必要はなく、他の形状を有してもよい。
【0036】
また前記振動伝達ブロック22Aおよび放射部材23は石英片よりなる必要はなく、超音波の伝搬が良好であり、化学薬品に侵されにくく、不純物の溶出が少ない材料であれば、他の材料を使うことも可能である。このような材料としては、石英の他にアルミナや窒化ケイ素,炭化珪素,ステンレス鋼材などが挙げられる。
【0037】
前記保持部材24は、図3Aに示すように前記ガイド部材24a〜24dが基部24Pから上方に平行に延在する構成を有しており、図3Aに示すように超音波洗浄ユニット20ではその最下部において、前記放射部材23が図3Fの正面図に示すように、前記装着部23Hの切欠き23aを前記ガイド部材24a〜24dに係合させ、また前記装着部23Hの端面を前記保持部材23の基部23Pに係合させて保持されている。
【0038】
同様に、前記超音波伝達部22を構成する一または複数の振動伝達ブロック22Aは、その最下端部のものが前記放射部材23に密接して、図3Gに示すように切欠き22aを前記保持部材24のガイド部材24a〜24dに係合させることにより着脱およびスライド自在に保持され、さらに前記最下端部の振動伝達ブロック22A上に、必要に応じて次の振動伝達ブロック22Aが密接して、同様に着脱およびスライド自在に保持される。その際、前記最下端部の振動伝達ブロック22Aと放射部材23との間にも、先に説明したように水膜を形成しておくのが好ましい。このように前記超音波伝達部22を一または複数の振動伝達ブロック22Aの積層により構成することにより、前記超音波伝達ブロック22中に超音波を伝搬させた場合、振動伝達ブロック22Aとこれに隣接する振動伝達ブロック22Aの間の界面、あるいは最下部の振動伝達ブロック22Aと放射部材23との間の界面において上下に、すなわち伝搬方向に対して前後に超音波を複雑に反射あるいは吸収させることができ、これにより前記放射部材23に伝搬する超音波のエネルギを調整することが可能となる。
【0039】
また図3Aの構成では、前記振動伝達ブロック22Aよりなる超音波伝達部22の上方に前記超音波ノズル21を、図3Hの正面図に示すように、前記保持部材24のガイド部材24a〜24dを装着部材21H,21Hの切欠部21hに係合させることにより着脱およびスライド自在に保持した状態で配設している。
【0040】
なお図3Aの構成において前記放射部材23,振動伝達ブロック22Aおよび超音波ノズル21は前記ガイド部材24a〜24dに、摩擦力により保持されており、前記振動伝達ブロック22Aは適宜着脱可能であり、また前記超音波ノズル21も前記ガイド部材24a〜24dの延在方向にスライドさせることが可能である。
【0041】
図4は本実施形態による超音波洗浄ユニット20の動作を説明する側面図である。
【0042】
図4を参照するに、洗浄対象物であるウェハ、すなわち被洗浄基板31が、洗浄装置内の図示しない支持台上に水平に載置された状態で固定されており、この状態で前記支持台を回転させて、ウェハ31を水平に回転させる。
【0043】
図4に示すように、先に図3A〜3Eで説明した超音波洗浄ユニット20は、前記保持部材24に固定された支持アーム25により支持されている。前記支持アーム25は、図示しない駆動機構に接続されており、前記支持アーム25を駆動することにより超音波洗浄ユニット20を前記ウェハ31上で、前記放射部材23先端の放射面23bが、常に前記ウェハ31の表面と一定の間隔を置いて平行に向かい合うように、移動させられる。
【0044】
さらに図4に示すように、前記超音波洗浄ユニット20の近くには洗浄液供給ノズル32が設置されており、前記洗浄液供給ノズル32は前記ウェハ31の表面に、矢印32Aに示すように洗浄液を供給する。その際、前記ウェハ31が回転しているため、ウェハ31の表面に供給された洗浄液は、ウェハ31上に均一に濡れ広がり、ウェハ31上に均一な厚さの洗浄液の膜32Bを形成する。
【0045】
そこで前記放射面23bとウェハ31の表面の間隔は、ウェハ31の表面に形成される洗浄液膜32B中に前記放射面23bが確実に浸漬し、かつ、洗浄動作中に前記放射面23bが前記ウェハ31の表面に接触することがないような範囲で設定される。具体的には、前記間隔は一般に最大でも2〜3mm程度で、多くの場合は1mm前後である。
【0046】
本実施形態では、前記超音波ノズル21の内部に前記ライン21Aを介して一定の流量、例えば1.5リットル/分〜2リットル/分で洗浄液を供給し、前記超音波ノズル21のノズル開口部21aから洗浄液を、矢印21Lのように、前記超音波伝達部22を指向して吐出させる。その結果、前記超音波ノズル21から吐出した洗浄液は、積層されて前記超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック状部材22Aのうち、前記放射部材23から最も遠く前記超音波ノズル21に最も近い振動伝達ブロック22Aの中央部に衝突し、その後、前記保持部材24を構成するガイド部材24a〜24dの間を通って前記ウェハ31の表面へと流れ、前記膜32Bを形成する洗浄液に合流する。
【0047】
そこでこの状態で前記超音波ノズル21に前記ケーブル21Bを介して高周波電力信号を供給し、前記超音波ノズル21に内蔵されている超音波振動子を動作させると、前記超音波振動子で発生した超音波が、前記超音波ノズル21から吐出される矢印21Lで示す洗浄液を媒体として伝搬し、前記振動伝達ブロック22Aのうち、最も超音波ノズル21に最も近いものに照射される。本実施例では、超音波ノズル21には、発振周波数3MHz、出力60Wの物を使用している。
【0048】
なお前記超音波ノズル21から吐出する液体は、前記超音波振動子で発生した超音波を前記振動伝達ブロック22Aに伝達させるだけであるので、超音波の伝搬の媒体と成り得るものであれば、どのような液体でも問題はない。しかし、本実施形態の構造では、超音波ノズル21から前記振動伝達ブロック22Aへと吐出された液体は、前記振動伝達ブロック22Aに衝突したあと、先にも説明したように周囲に飛散して結局ウェハ31の表面へと流れ落ちる。このため、洗浄効果を得ることを目的に洗浄液供給ノズル32からウェハ31上に供給している洗浄液が、この超音波の媒体となった液体と混合することにより、前記膜32Bにおいて洗浄液の洗浄効果が低下する可能性がある。これに対し、超音波ノズル21から吐出させる液体にも、前記膜32Bを構成する洗浄液と同じ洗浄液を使用すれば、このような問題を回避することができる。
【0049】
このようにして積層された振動伝達ブロック22Aのうちの最も超音波ノズル21に近い振動伝達ブロック22Aに照射された超音波は、隣接する振動伝達ブロック22Aへと次々に伝搬しつつ、そのエネルギを、徐々に減衰させていく。その際、本実施形態では、特に前記超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック22Aの個数を着脱自在に変更可能に構成しているため、このような振動伝達ブロック22Aの個数を適宜変更することにより、単に前記超音波ノズル21と放射部材23との距離を変化させて前記放射部材23に供給される超音波エネルギを変化させる効果に加えて、前記振動伝達ブロック22A相互の界面における超音波の反射あるいは吸収の効果が、前記界面の数の変化により大きく変化し、このため、前記放射部材23に到達する超音波エネルギを効果的に調整することが可能となる。
【0050】
前記放射部材23に到達した超音波は、先端の放射面23bから、前記ウェハ31の表面に形成された洗浄液の膜32Bを介してウェハ31の表面へと伝達され、ウェハ31の表面の洗浄を促進する。
【0051】
図5は、上に説明した本実施形態の超音波洗浄ユニット20の原理を簡略化して示す図である。
【0052】
本実施形態では、先に図2で説明した超音波振動子を振動体に固定する構成ではなく、超音波振動子を内蔵した超音波ノズル21を使用し、前記超音波ノズル21から吐出された矢印21Lで示す洗浄液が、前記超音波伝達部22のうち、前記放射部材23とは反対側の端部に位置する振動伝達ブロック22Aに当たる構成を採用する。前記超音波伝達部22は、前記超音波ノズル21から出射して前記放射部材23に至る超音波の経路上に配置されており、その結果、前記超音波伝達部22において前記振動伝達ブロック22Aは、前記超音波の経路上に順次配列されている。
【0053】
そこで前記超音波ノズル21から洗浄液を矢印21Lの方向に吐出させ、同時に前記超音波ノズル21に内蔵された超音波振動子を動作させる。その結果、前記超音波ノズル21から吐出された洗浄液が前記超音波伝達部22のうち、最上端の振動伝達ブロック22Aに衝突すると、前記洗浄液に重畳された超音波が、最初は前記洗浄液3を媒体として、次いで前記超音波伝達部22において積層された振動伝達ブロック22Aを媒体として順次伝搬し、前記放射部材23に到達する。前記放射部材23に到達した超音波は、その先端にある放射面23bから前記ウェハ31の表面に形成された洗浄液の膜32B中へと照射され、さらに前記ウェハ31の表面へと到達し、ウェハ31の表面の洗浄を促進する。その際、前記超音波伝達部22は、互いに独立な振動伝達ブロック22Aを積み重ねているだけなので、その数を自在に変更することができる。
【0054】
本実施形態はまた、図3A〜図3Eで説明した超音波洗浄ユニット20を使った洗浄装置を提供する。
【0055】
本実施形態による洗浄装置は、保持台上で回動される被洗浄基板31の表面に洗浄液を供給し、前記洗浄液の膜32Bを形成する洗浄液供給ノズル32と、前記洗浄液の膜32B中に超音波を照射する超音波照射ユニット20と、を含み、前記超音波照射ユニット20は、超音波発生源となる超音波ノズル21と、前記超音波発生源で発生された超音波エネルギを伝達する媒体と、前記洗浄液の膜32B中に挿入され、前記洗浄液の膜32B中に、前記媒体を伝達された超音波エネルギを放射する放射部材23と、を含み、前記媒体は、前記超音波エネルギの伝搬経路に配置された一または複数の振動伝達ブロック22Aよりなる超音波伝達部22を含み、前記一または複数の振動伝達ブロック22Aは、前記超音波エネルギの伝搬経路上に、保持手段24により保持されて配置され、前記保持手段24は、前記一又は複数の振動伝達ブロック22Aの各々を、個別に着脱自在に保持し、前記超音波発生源21と前記放射部材23との間の距離が可変であることを特徴とする。
【0056】
以下引き続き、第6A,6B図を用いて、本実施形態における超音波エネルギの調整例について説明する。
【0057】
図6Aは、前記超音波伝達部22において積層される振動伝達ブロック22Aの数を10個としているが、このような場合には、まず超音波伝達部22の長さが長くなることから、前記超音波伝達部22内部を伝搬する超音波の経路が長くなり、超音波のエネルギの減衰を大きくすることができる。またその際に前記超音波伝達部22中には、両端を除いても9箇所に振動伝達ブロック22A同士が接する界面が存在し、かかる界面における反射あるいは吸収の効果により、超音波エネルギの減衰をさらに大きくすることができる。これにより、放射部材23の放射面23bから照射される単位面積当たりの超音波のエネルギを減少させることが可能となる。
【0058】
一方図6Bの場合には、前記超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック22Aの個数が4個に減少されており、これに伴って、前記超音波伝達部22における超音波の伝搬経路が短縮されている。その結果、前記超音波伝達部22中における超音波のエネルギの減衰は小さくなり、前記放射部材23の放射面23bから照射される単位面積当たりの超音波エネルギ密度は、図6Aの場合に比べて増大する。また、図6Bの構成では、前記超音波伝達部22中において振動伝達ブロック22A同士が接する界面の数が、両端を除いて3箇所と、図6Aの場合と比べて大きく減少しており、かかる界面における超音波の反射あるいは吸収による減衰の効果が図6Aの場合と比べて大きく減少する。
【0059】
このように本実施形態では、超音波伝達部22において積層される振動伝達ブロック22Aの数を調整することにより、前記放射部材23の放射面23bから照射される単位面積当たりの超音波のエネルギ密度を、自在に、かつ微細に調整することができる。すなわち本実施形態によれば、前記ウェハ31の表面に形成された微細な構造物の機械的強度に応じて、前記超音波洗浄ユニット20のから照射される単位面積当たりの超音波のエネルギ密度を繊細に調整して、前記ウェハ31の表面の構造物の破壊を生じない範囲でできるだけ大きく設定することが可能となり、構造物を破壊させることなく効率良く洗浄作業を行うことが可能となる。
【0060】
なお本実施例において、前記超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック状22Aの界面に薄い樹脂フィルムなどの超音波減衰部材を介在させ、超音波エネルギの吸収を促進することも可能である。また樹脂フィルムに限らず、前記振動伝達ブロック22Aの間に適当な材質と厚さの超音波減衰部材を介在させることにより、前記放射部材23に到達する超音波エネルギを、自在に調整することが可能である。
【0061】
図7(A)〜図7(C)は、図6A,6Bに示した超音波伝達部22中における振動伝達部材22Aの個数を変えることにより,超音波の照射エネルギの大きさを調整する方法の具体例を示す。
【0062】
図7(A)〜(C)を参照するに、図7(A)の例では前記超音波伝達部22が7個の振動伝達ブロック22Aを積層し最も大きな長さを有しているのに対し、図7(B)の例では前記超音波伝達部22が5個の振動伝達ブロック22Aを積層して中間の長さを有しており、図7(C)の例では前記超音波伝達部22がわずか3個の振動伝達ブロック22Aを積層して最も短い長さを有しているが、いずれの例でも前記超音波ノズル21の先端部と超音波伝達部22の端部のうち、前記放射部材23から遠い側の端部、すなわち図示の状態で上端部との間の距離Lは一定に維持されており、その結果、前記超音波ノズル21の先端部と前記放射部材23との間の距離が、図7(A)〜図7(C)で、L,L,L(L>L>L)と変化しているのがわかる。
【0063】
その結果、前記放射部材23から被洗浄基板31表面の洗浄液の膜32B中に放射される超音波のエネルギ密度は、前記超音波ノズル21を同じ出力で駆動した場合、図7(C)の構成が最も大きく、図7(A)の例が最も小さくなる。
【0064】
本実施形態では、このように前記超音波伝達部22の長さに応じて前記超音波ノズル21の位置が移動ないしスライドされるが、このような超音波ノズル21の移動を可能とするため、前記保持部材24は、前記図3Bおよび図3Cで説明したように前記超音波ノズル21の装着部21H,21Hの切欠部21hに係合することで、前記保持部材24をスライド自在に保持している。
【0065】
本実施形態では、超音波ノズル21を使うことにより、前記超音波ノズル21中の超音波振動子で発生した超音波を、前記超音波振動子から前記超音波伝達部22に直接に伝搬させず、変形自在な洗浄液、すなわち液体を媒体として伝搬させるように構成しており、これにより、前記超音波伝達部22の構造、形状、材質などの選択、交換を自由に行うことが可能となる。
【0066】
また本実施形態において前記超音波ノズル21の代わりに、水などの液体を充填し両端を封止した中空シリンダを使い、前記中空シリンダの一端に超音波振動子を設け、他端を前記超音波伝達部22に当接することによっても、本実施形態と同様な超音波エネルギ密度の調整を行うことが可能である。
【0067】
図8A〜図8Cは、本実施形態で使われる様々な放射部材23の例を示す。
【0068】
このうち図8Aは先に図3Eで説明したものに対応しており、放射部材23は円錐形のホーン部23Bを有し、その先端部に平坦な放射面23bが形成されている。また前記放射部材23には、切欠き23aを有する装着部23Hが設けられており、前記切欠き23aを前記保持部24のガイド部材24a〜24dに係合させることにより、前記放射部材23も前記保持部材24に着脱自在に保持される。
【0069】
図8Bに示す例は、前記ホーン部23Bとして円錐台形状のものを使った例で、図8Aの例に比べて放射面23bの面積が増大している。このため、同じ構成の超音波洗浄ユニット20において図8Aの放射部材23を図8Bの放射部材23と交換することにより、前記洗浄液の膜32B中に放射される超音波のエネルギ密度をさらに低減することが可能となる。
【0070】
図8Cに示す例は、前記ホーン部23Bとして円筒形状のものを使った例で、図8Aや図8Bの例に比べて放射面23bの面積がさらに増大している。このため、同じ構成の超音波洗浄ユニット20において図8Aあるいは図8Bの放射部材23を図8Cの放射部材23と交換することにより、前記洗浄液の膜32B中に放射される超音波のエネルギ密度をさらに低減することが可能となる。
【0071】
次に、本実施形態による超音波洗浄ユニット20を使った洗浄装置60について図9A,図9Bを参照しながら説明する。
【0072】
図9A,図9Bは、前記本実施形態による超音波洗浄ユニット20を搭載した洗浄装置60において、ウェハの洗浄が行われる洗浄チャンバ39を示す平面図である。ここで図9A,図9Bの平面図は、いずれも前記洗浄チャンバを、鉛直上方から見ている。以下に説明するように、図9Aは実際の洗浄がなされていない待機状態を示し、図9Bは実際の洗浄がなされている洗浄状態を示す。
【0073】
図9Aを参照するに、前記洗浄チャンバ39は、被洗浄基板であるウェハ31の洗浄を行うべく前記洗浄装置60の上面に設けられた空間であり、カップ40により画成されて鉛直上方に向いて開いた円形の大きな開口部を含む。
【0074】
前記洗浄チャンバ39の中心部には、前記ウェハ31を水平に支持、固定し、さらに回転させるためのウエハチャックが設置されている。前記ウエハチャックは、図9Aの平面図ではウェハ31の下側に隠れているため、図示されていない。また前記洗浄チャンバ39の外縁部には前記カップ40が設けられており、前記カップ40は、前記ウェハ31を回転させながら行う洗浄の際、洗浄液が前記洗浄チャンバ40の外部へと飛散するのを防止する。
【0075】
さらに前記洗浄チャンバ39の両側には、ガイドレール41A,41Bが設置されており、前記ガイドレール41A,41Bに沿ってそれぞれスライダ42A,42Bが自在に往復運動をする。
【0076】
前記2つのスライダ42A,42Bの間には台座43が渡されていて、前記台座43の中央には、支持アーム25を介して先に説明した超音波洗浄ユニット20が設置されている。前記支持アーム25は、第4図において説明したとおり、前記超音波洗浄ユニット20の保持部材24に固定されている。
【0077】
ここで前記超音波洗浄ユニット20は前記図3A〜図3Hで詳細を説明した物と同一であり、図9Aにおいては細部の図示を省略している。また同様に図示は省略するが、前記洗浄チャンバ39内には、前記ウェハ31上に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル32が、台座43を介して前記超音波洗浄ユニット20の近傍に設置されていて、前記超音波洗浄ユニット20の近傍の位置において前記ウェハ31上に洗浄液を供給する。
【0078】
先にも述べたように、図9Aは実際には洗浄作業を行っていない待機状態、例えば前記ウェハ31の交換作業を行っている状態などを示しており、前記超音波洗浄ユニット20は、前記洗浄チャンバ39の外部の待避位置20Tに退避しているのがわかる。
【0079】
一方洗浄作業を開始すると、図9Bに示すように前記超音波洗浄ユニット20は前記洗浄チャンバ39内に移動し、さらに鉛直方向にも移動して、先に図4で説明したように、前記超音波洗浄ユニット20の放射面23bが、洗浄に適した所定の位置まで接近する。
【0080】
さらに図9Bの状態では前記ウェハ31を回転させ、前記ウェハ31上に前記洗浄液供給ノズル32から洗浄液を供給することにより、前記ウェハ31の表面に洗浄液の膜32Bを形成する。さらにこの状態で前記超音波洗浄ユニット20中において前記超音波ノズル21から洗浄液の吐出と超音波の照射が開始され、洗浄作業が開始される。洗浄作業中、前記スライダ42A,42Bをガイドレール41A,41Bに沿って矢印Xに示すように往復運動させることで、前記超音波の放射面23bが前記ウェハ31の全面を掃引し、ウェハ31の全面が洗浄される。
【0081】
図10Aおよび図10Bは、それぞれ前記図9Aおよび図9Bにおける前記被洗浄基板すなわちウェハ31の近傍を、図9Aおよび図9Bにおいて矢印Aおよび矢印Bの方向から見た拡大正面図である。
【0082】
図10Aを参照するに、前記ウェハ31はカップ40により囲まれた洗浄チャンバ39中において、回動軸60M上にチャック60Cにより固定されて保持されているが、図9Aの待機状態では前記ガイドレール41A,41Bが上昇しており、これに伴って前記超音波洗浄ユニット20も台座43共々、前記洗浄チャンバ39を画成するカップ40の上縁よりも高い位置に上昇しているのがわかる。
【0083】
一方図10Bの洗浄作業中には前記超音波洗浄ユニット20は前記高い位置のまま前記カップ40の上縁を超えて洗浄チャンバ39に入り、そのまま下降して前記ウェハ31の上面に近接した、洗浄に適した所定の位置に到達する。この状態で前記スライダ42A,42Bをガイドレール41A,41Bに対して移動させることにより、前記超音波洗浄ユニット20は前記台座43もろとも、前記ウェハ31の表面を移動し、所望の洗浄がなされる。
【0084】
図11(A)〜図11(C)は、本実施形態による洗浄装置60の全体を示す、それぞれ上面図、全面図および側面図である。
【0085】
図11(A)〜図11(C)を参照するに、前記洗浄装置60は筐体65を有し、前記筐体65の上面には、前記図9A,図9Bに示した洗浄チャンバ39やガイドレール41など、洗浄作業に必要な構成要素が配置されている。さらに前記筐体65の上面には、洗浄前後のウェハを収容するためのウェハラック67A,67Bや、前記ウェハラック67A,67Bと洗浄チャンバ39の間でウェハの搬送を行うウェハ搬送機構66などが設置されている。これら前記筐体65上の構成要素が雰囲気中の浮遊異物によって汚染されることを防止するため、前記筐体65の上面には、これらの構成要素を覆ってクリーンブース69が設置されており、前記クリーンブースの内部は、極めて清浄度の高い環境に維持されている。また洗浄装置60の操作は、前記筐体65の上面に設けられた操作パネル68を介してなされるが、実際の洗浄プロセスは、自動化された処理レシピに対応したプログラムに従って、コンピュータの制御下で行われる。
【実施例1】
【0086】
本実施例を用いて、本発明の効果を確認する実験を行った。
【0087】
直径8インチ(200mm)のシリコンウエハの表面に、厚さ200nmのポーラスシリカの膜を形成した。この膜に対してドライエッチングにより加工を行い、L/S=60/60nm、深さ100nmの一様な縞状パターンを形成した。このウェハの表面に平均粒径0.15μmのシリカ(SiO)微粒子を片面当たり3万個程度付着させて試料とした。パターン検査装置を使用して、洗浄によってパターンの破壊が発生していないかを検査するとともに、洗浄前後でウェハ表面に付着しているシリカ粒子の数を計測し、洗浄によってどれだけのシリカ粒子が除去されたか(除去率)を算出した。評価の目安として、付着させた微粒子の99%を洗浄除去できたところで、洗浄が完了したものと判定することとした。
【0088】
本実施例の超音波洗浄ユニット20において、超音波伝達部22を構成している一つの振動伝達ブロック22Aの大きさは、20mm角の正方形で厚さ5mmとした。また、放射部材23は、前記ブロック状部材22Aの一つの片側面中央部に高さ20mmの円錐台形の突起をホーン23Bとして設けた構成とし、前記ホーン23B先端の面、すなわち超音波照射面は、直径8mmの円形とした。前記振動伝達ブロック22Aおよび放射部材23の材質は、いずれも合成石英とした。
【0089】
また前記超音波ノズル21内部の超音波振動子で発生させる超音波の振動周波数は3MHz、出力は60Wとした。洗浄液には、超純水中に水素ガスを1.5m/Lの濃度で溶解させた水素溶解水を使用した。超音波ノズルからは、2.0L/minの流量でこの水素溶解水を噴射させた。超音波ノズル21のノズル開口部21aからこれに最も近い振動伝達ブロック22Aの後端までの距離は、30mmに固定した。
【0090】
実験では前記ウェハ31を150rpmの速度で回転させ、洗浄液供給ノズル32から、超純水中に水素ガスを1.5m/Lの濃度で溶解させた水素溶解水を供給し、ウェハが回転している状態で、ウェハ表面に膜32Bが厚さ2mmで形成されるように流量を調整した。放射面23bとウェハ31の表面の間隔は、1.0mmで一定とした。また実験では、前記超音波洗浄ユニット20をウェハ31上、ウェハ31の中心とウェハの外周のとの間で、50mm/secの速度で往復運動をさせた。
【0091】
最初の実験では前記放射部材23上に前記振動伝達ブロック状22Aを9個積み重ね、前記超音波伝達部22の長さを45mm、前記放射部材23の先端、すなわち放射面23bから超音波伝達部22の後端までの距離を70mmとして洗浄を行った。この構成の場合、洗浄が完了するまでに平均で540秒を要した。また、洗浄終了後に、ウェハ表面のパターンの破壊は一切認められなかった。
【0092】
次の実験では、前記超音波ノズル21からこれに最も近い振動伝達ブロック22Aまでの距離を一定にしたまま、前記振動伝達ブロック状22Aの個数を1個にまで減らし、前記放射部材23の先端から超音波伝達部22の後端までの距離を30mmとして洗浄を行った。この場合には、少なくとも30秒間の洗浄で、ウェハ表面のパターンに破壊が発生するのが確認された。
【0093】
次に、前記振動伝達ブロック22Aの数を一つずつ増やし、すなわち超音波伝達部22の長さを5mmずつ長くして、洗浄実験を行った。その結果、前記振動伝達ブロック22Aの数が5個になったところで、すなわち、放射部材23の先端から超音波伝達部22の後端までの距離が50mmになったところで、洗浄時間の長さにかかわらず、パターンの破壊が発生しなくなった。そして、その場合の洗浄完了までの所要時間は、90秒であった。
【0094】
このように、超音波伝達部22の長さを、振動伝達ブロック22Aを追加削除することで調整することにより、前記ウェハ31の表面に形成されたパターンを破壊しない範囲で照射する超音波のエネルギの大きさをほぼ最大限まで大きくすることができ、調整前と比較して、洗浄時間を大幅に短縮することが確認された。
【0095】
以上のように、本実施形態により、洗浄処理時に洗浄液中に放射される超音波のエネルギ密度の微調整が実際に可能であり、これにより、ウェハ表面に形成されたパターンの破壊を生じさせることなく、ウェハ表面に付着した異物の除去効率を大幅に向上させられることが、実験的に確認された。
【0096】
なお本実施形態において、使用可能な洗浄液は、実験に使った水素溶解水に限定されるものではなく、本実施形態は、界面活性剤、キレート剤、pH調整剤、有機溶剤等の成分を含む様々な組成の洗浄液についても有効である。
【0097】
(第2の実施形態)
図12(A)〜図12(C)は,前記図3A〜図3Hで説明した超音波洗浄ユニット20において、超音波ノズル21から超音波伝達部22までの距離をl1,l2,l3と変化させ、これにより前記放射部材23から放射される超音波エネルギを調整する、第2の実施形態にかかる超音波エネルギの調整方法を示す。図中、先に説明した部分には対応する参照符号を付し、説明を省略する。
【0098】
図12(A)〜図12(C)を参照するに、本実施形態では超音波伝達部22に含まれる振動伝達ブロック22Aの個数はいずれの場合も同じで3個であるが、前記超音波ノズル21の先端部、すなわちノズル開口部21aから超音波伝達部22の後端、すなわち前記放射部材23から遠い側の端面までの距離が、l,l,l(l>l>l)と変化しており、本実施形態では、前記超音波ノズル21から吐出された洗浄液を伝搬して前記超音波伝達部22に到達する超音波エネルギが,洗浄液中を伝搬する距離が長くなるほど大きく減衰する現象を使って、前記放射部材23から放射される超音波エネルギ、従って超音波エネルギ密度を調整する。
【0099】
本実施形態では、超音波伝達部22中の振動伝達ブロック22Aについては変更をしないため、隣接する振動伝達ブロック22Aの界面における反射吸収により超音波エネルギを調整することはできないが、前記保持部材24上にスライドおよび着脱自在に保持されている超音波ノズル21の位置を前後にスライドさせて変更するだけでよいため、前記超音波伝達部22に到達する超音波エネルギ、従って放射部材23から放射せる超音波エネルギあるいは超音波エネルギ密度を、簡単に調整することができる。
【0100】
(第3の実施形態)
図13A〜図13Dは、第3の実施形態による超音波洗浄ユニット20Bの構成を示す図である。ただし図13Aは前記超音波洗浄ユニット20Bの側面図を、図13Bは、前記図13Aの超音波洗浄ユニット20Bで使われる超音波源のそれぞれ側面図および正面図を示し、図3Cは、前記図3Aの超音波洗浄ユニット20Bで使われる振動伝達ブロックを側面図および正面図で示す図、図13Dは前記図13Aの超音波洗浄ユニット20Bで使われる放射部材23を側面図および正面図で示す図である。
【0101】
図13Cの振動伝達ブロック22Aおよび図13Dの放射部材23については、先の実施形態と同じであり説明を省略する。
【0102】
本実施形態では、超音波源として前記超音波ノズル21の代わりに、平坦な振動面を有する超音波振動子71Aと、これに接合された、図13Cの振動伝達ブロック22Aと同じ構成の振動体71Bとよりなる超音波振動ユニット71を使う。ここで超音波振動子71Aと振動体71Bとは切り離さず、一体の部材とすることで、安定な超音波振動を持続することが可能となる。
【0103】
本実施形態では、この超音波振動ユニット71にも、前記保持部材24を構成するガイド部材24a〜24dと係合する切欠きを形成しておくことにより、前記超音波振動ユニット71を前記保持部材24上に、前記超音波ノズル21の場合と同様に、スライドおよび着脱自在に保持することができる。
【0104】
そこでこのような超音波振動ユニット71を、前記超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック22Aのうち、前記放射部材23から遠い側の端部に当接することで、発生した超音波を前記放射部材23から、洗浄液の膜32B中に放射することができる。
【0105】
またこの場合に、先の実施形態と同様に超音波伝達部22を構成する振動伝達ブロック22Aの個数を変更することにより、前記放射部材23に到達し、放射される超音波エネルギ、従ってその密度を、自在に調整することができる。
【0106】
(第4の実施形態)
図14A〜図14Eは、先の実施形態による超音波洗浄ユニット20あるいは20Bを使った、ダマシン法による配線構造の形成例を示す図である。
【0107】
図14Aを参照するに、low−K誘電体膜、例えば多孔質膜などよりなる層間絶縁膜81中にはレジストパターンRをマスクとしたドライエッチングにより配線溝81Aが形成される。
【0108】
次に図14Bの工程において、このようにして配線溝81Aが形成された層間絶縁膜81の表面を、先の超音波洗浄ユニット20あるいは20Bを使って洗浄し、ドライエッチングの際に付着した異物や不純物を除去する。
【0109】
次に図14Cの工程において前記図14Bの構造上に、前記配線溝81Aを含むようにTaやTiなどの高融点金属よりなるバリアメタル膜82がスパッタ法などにより形成され、さらに図14Dの工程において前記バリアメタル膜82上に前記配線溝81Aを充填するようにCu層83が、電解メッキ法により形成される。
【0110】
さらに図14Eの工程において、前記層間絶縁膜81上のCu層83を、前記層間絶縁膜81の表面が露出するまで化学機械研磨(CMP)を行うことにより、層間絶縁膜81中にCu配線パタ―ン83Aがバリアメタル82膜を介して充填された配線構造が得られる。
【0111】
さらに図14Eの構造に対し、図14Bと同様な超音波洗浄を行った後、図14A〜図14Eのプロセスを繰り返すことにより、所望の多層配線構造を形成することができる。
【0112】
本実施形態では、図14Bの工程、あるいは図14Eの工程の後の洗浄工程において図3A〜図3Hで説明した超音波洗浄ユニット20あるいは図13A〜図13Dで説明した超音波洗浄ユニット20Bを使い、かつ洗浄の際の超音波エネルギないし超音波エネルギ密度を、層間絶縁膜81上に形成された配線溝81Aなど、微細なパターンないし構造物を損傷させない範囲で可能な限り大きく設定することにより、効率的な洗浄を短時間で行うことが可能となる。
【0113】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
被洗浄基板を回動させる保持台と、
前記被洗浄基板表面に洗浄液を供給し、前記洗浄液の膜を形成する洗浄液ノズルと、
前記洗浄液の膜中に超音波を照射する超音波照射ユニットと、
を含み、
前記超音波照射ユニットは、
超音波発生源と、
前記超音波発生源で発生された超音波エネルギを伝達する媒体と、
前記洗浄液の膜中に挿入され、前記洗浄液の膜中に、前記媒体を伝達された超音波エネルギを放射する放射部材と、
を含み、
前記媒体は、前記超音波エネルギの伝搬経路に配置された一または複数の振動伝達ブロックよりなる超音波伝達部を含み、
前記一または複数の振動伝達ブロックは、前記超音波エネルギの伝搬経路上に、保持手段により保持されて配置され、
前記保持手段は、前記一又は複数の振動伝達ブロックの各々を、個別に着脱自在に保持し、
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離が可変であることを特徴とする洗浄装置。
(付記2)
前記超音波伝達部は一端が前記放射部材に結合され、他端に前記超音波発生源からの超音波エネルギが供給されることを特徴とする付記1記載の洗浄装置。
(付記3)
前記超音波伝達部は前記振動伝達ブロックを複数個含み、前記保持手段は前記複数個の振動伝達ブロックを、相互に密接した状態で保持することを特徴とする付記1または2記載の洗浄装置。
(付記4)
前記超音波伝達部は前記振動伝達ブロックを複数個含み、前記保持手段は前記複数個の振動伝達ブロックを、間に超音波の減衰部材を介在させて保持することを特徴とする付記1または2記載の洗浄装置。
(付記5)
前記保持部材は前記超音波発生源を、前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離が可変となるように保持することを特徴とする付記1〜4のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
(付記6)
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離を設定する際、前記超音波発生源と前記超音波伝達部との間の距離は、前記超音波伝達部において前記振動ブロックを着脱することで一定に維持されることを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
(付記7)
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離を設定する際、前記超音波発生源と前記超音波伝達部との間の距離が変化されることを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
(付記8)
前記超音波発生源は、前記洗浄液を供給される超音波ノズルを含み、前記超音波ノズルは前記超音波伝達部に、前記超音波ノズルに供給された前記洗浄液を、前記超音波を重畳して吐出することを特徴とする付記1〜7のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
(付記9)
前記超音波ノズルから吐出した洗浄液は、前記超音波伝達部と共に、前記媒体の一部を構成することを特徴とする付記8記載の洗浄装置。
(付記10)
前記超音波発生源は、前記超音波伝達部のうち、前記放射部材に結合された一端とは反対側の他端に固着されていることを特徴とする付記1〜6のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
(付記11)
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離の設定は、前記超音波伝達部において前記振動伝達ブロックを、一または複数個着脱することによりなされることを特徴とする付記10記載の洗浄装置。
(付記12)
付記1〜11のいずれか一項記載の洗浄装置を使った基板の洗浄方法。
【符号の説明】
【0114】
1 ウェハ
2,21 超音波ノズル
2A,21B ケーブル
2B アーム
3 洗浄液ジェット
4 照射点
5 振動体
5A,5B 平坦面
6 超音波振動子
6A アーム
6B ケーブル
7 超音波照射面
8,32 洗浄液供給ノズル
20,20B 超音波洗浄ユニット
20T 待避位置
21A 洗浄液供給ライン
21L,32A 洗浄液
21N ノズル
21H,21H 装着部
21a ノズル開口部
21h,22a,23a 切欠き
22 超音波伝達部
22A 振動伝達ブロック
23 放射部材
23B ホーン部
23H 装着部
23b 照射面
24 保持部材
24P 基部
24a〜24d ガイド部材
25 アーム
31 ウェハ
32B 洗浄液膜
39 洗浄チャンバ
40 カップ
41A,41B ガイドレール
42A,42B スライダ
43 台座
60 洗浄装置
60C チャック
60M 回動軸
65 筐体
66 ウェハ搬送機構
67A,67B ウェハラック
68 操作パネル
69 クリーンブース
71 超音波振動ユニット
71A 超音波振動子
71B 振動体
71H 装着部
71a 切欠き
81 層間絶縁膜
81A 配線溝
82 バリアメタル膜
83 Cu層
83A Cu配線パタ―ン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄基板を回動させる保持台と、
前記被洗浄基板表面に洗浄液を供給し、前記洗浄液の膜を形成する洗浄液ノズルと、
前記洗浄液の膜中に超音波を照射する超音波照射ユニットと、
を含み、
前記超音波照射ユニットは、
超音波発生源と、
前記超音波発生源で発生された超音波エネルギを伝達する媒体と、
前記洗浄液の膜中に挿入され、前記洗浄液の膜中に、前記媒体を伝達された超音波エネルギを放射する放射部材と、
を含み、
前記媒体は、前記超音波エネルギの伝搬経路に配置された一または複数の振動伝達ブロックよりなる超音波伝達部を含み、
前記一または複数の振動伝達ブロックは、前記超音波エネルギの伝搬経路上に、保持手段により保持されて配置され、
前記保持手段は、前記一又は複数の振動伝達ブロックの各々を、個別に着脱自在に保持し、
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離が可変であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記超音波伝達部は前記振動伝達ブロックを複数個含み、前記保持手段は前記複数個の振動伝達ブロックを、相互に密接した状態で保持することを特徴とする付記1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記超音波伝達部は前記振動伝達ブロックを複数個含み、前記保持手段は前記複数個の振動伝達ブロックを、間に超音波の減衰部材を介在させて保持することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記超音波発生源と前記放射部材との間の距離を設定する際、前記超音波発生源と前記超音波伝達部との間の距離が変化されることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の洗浄装置を使った基板の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【公開番号】特開2012−43830(P2012−43830A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180914(P2010−180914)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】