説明

液晶表示素子

【課題】画素部の液晶層厚を小さくして応答速度を速くし、且つ、全ての画素部の液晶層厚を均一にして表示むらの無い良好な表示品質を得るとともに、基板間隔の保持強度を高くし、さらにTFTの電流量を多くして画素へのデータ信号の書込み時間を短くし、しかも、基板間への液晶の充填を能率良く行なうことができるアクティブマトリックス型の液晶表示素子を提供する。
【解決手段】液晶層1を挟んで対向する一対の基板2,3の一方の内面に、複数の画素電極4と、画素電極4の幅と同程度のチャンネル長を有する複数のTFT5,5Rと、複数のゲート配線14,14R及びデータ配線15,15Rを設け、他方の基板3の内面に、対向電極19と、複数のTFT5,5Rに対応する部分毎に前記TFTのチャンネル長方向に間隔をおいて形成され、前記TFT5,5R上に当接して一対の基板2,3の間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサ20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)を能動素子とするアクティブマトリックス型の液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTを能動素子とするアクティブマトリックス型の液晶表示素子は、液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに対向する内面のうち、一方の基板の内面に、マトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ対応させて形成され、対応する前記画素電極に接続された複数のTFTと、複数のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、前記複数のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線とを設け、他方の基板の内面に、前記複数の画素電極と対向する対向電極を設けた構成となっている。
【0003】
ところで、液晶表示素子は、応答速度を速くするために、液晶層厚をできるだけ小さくし、且つ表示むらの無い良好な表示品質を得るために、全ての画素部の液晶層厚を均一にすることが望まれている。
【0004】
そのため、従来のアクティブマトリックス型の液晶表示素子では、複数の画素電極とTFT及びゲート配線とデータ配線を形成した一方の基板の内面の各画素電極の側方の部分にそれぞれ、前記TFTと並べて、前記ゲート配線の一部とゲート絶縁膜と前記TFTのドレイン電極から延長させた延長膜とオーバーコート絶縁膜との積層膜からなるスペーサ当接部を形成し、対向電極を設けた他方の基板の内面に、前記スペーサ当接部にそれぞれ対応させて、樹脂膜を柱状にパターニングしたスペーサを設け、これらの柱状スペーサを前記スペーサ当接部にそれぞれ当接させて一対の基板の間隔を規定している(特許文献1参照)。
【0005】
この液晶表示素子は、樹脂膜からなる柱状スペーサにより基板間隔を規定しているため、基板間ギャップを小さくすることができ、したがって、液晶層厚を小さくし、応答速度を速くすることができる。
【0006】
また、この液晶表示素子は、一方の基板の各画素電極の側方の部分にそれぞれスペーサ当接部を形成し、他方の基板に前記スペーサ当接部にそれぞれ対応させて前記柱状スペーサを設けているため、基板間隔を、画素電極の配列ピッチに対応したピッチで規定し、全ての画素部の液晶層厚を均一にすることができる。
【特許文献1】特開2003―107490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の液晶表示素子は、一方の基板の各画素電極の側方の部分にそれぞれ、TFTと並べてスペーサ当接部を形成し、これらのスペーサ当接部に他方の基板に設けた柱状スペーサを当接させたものであるため、前記柱状スペーサによる基板間隔規定点の数が十分とはいえず、したがって、基板間隔の保持強度が弱く、そのために、基板が外部からの圧力等によりスペーサ間において撓み、その部分の液晶層厚が変化して表示むらを発生することがある。
【0008】
しかも、この液晶表示素子は、前記スペーサ当接部をTFTと並べて形成しているため、前記TFTの大きさ(面積)に制約があり、そのために、前記TFTのチャンネル長を大きくして電流量を多くし、画素へのデータ信号の書込み時間(TFTのオン時間)を短くすることが難しい。
【0009】
この発明は、画素部の液晶層厚を小さくして応答速度を速くし、且つ、全ての画素部の液晶層厚を均一にして表示むらの無い良好な表示品質を得るとともに、基板間隔の保持強度を高くし、さらにTFTの電流量を多くして画素へのデータ信号の書込み時間を短くし、しかも、基板間への液晶の充填を能率良く行なうことができるアクティブマトリックス型の液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の液晶表示素子は、液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに対向する内面のうち、一方の基板の内面に、マトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ対応させて形成され、前記画素電極の幅と同程度のチャンネル長を有し、対応する前記画素電極に接続された複数のTFTと、複数のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、前記複数のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられ、他方の基板の内面に、前記複数の画素電極と対向する対向電極と、前記複数のTFTに対応する部分毎に前記TFTのチャンネル長方向に間隔をおいて形成され、前記TFT上に当接して前記一対の基板の間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサが設けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明の液晶表示素子においては、前記他方の基板の内面に、前記一方の基板に設けられたTFT上に当接する複数の柱状スペーサの間に対応する部分に開口を有する下地膜を設けられ、その上に前記複数の柱状スペーサを形成するのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の液晶表示素子は、一方の基板の内面に、マトリックス状に配列する複数の画素電極にそれぞれ対応させて、前記画素電極の幅と同程度のチャンネル長を有するTFTを設け、他方の基板の内面に、前記TFTに対応する部分毎に前記TFTのチャンネル長方向に間隔をおいて形成され、前記TFT上に当接して前記一対の基板の間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサを設けているため、画素部の液晶層厚を小さくして応答速度を速くし、且つ、全ての画素部の液晶層厚を均一にして表示むらの無い良好な表示品質を得るとともに、基板間隔の保持強度を高くし、さらにTFTの電流量を多くして画素へのデータ信号の書込み時間を短くし、しかも、基板間への液晶の充填を能率良く行なうことができる。
【0013】
この発明の液晶表示素子においては、前記他方の基板の内面に、前記一方の基板に設けられたTFT上に当接する複数の柱状スペーサの間に対応する部分に開口を有する下地膜を設けられ、その上に前記複数の柱状スペーサを形成するのが望ましく、このようにすることにより、前記基板間への液晶の充填をさらに能率良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1〜図3はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶表示素子の一部分の平面図、図2は図1のII―II線に沿う拡大断面図、図3は図1のIII―III線に沿う拡大断面図である。
【0015】
この液晶表示素子は、フィールドシーケンシャル液晶表示装置に用いられるアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、基本的には、液晶層1を挟んで対向する一対の透明基板2,3の互いに対向する内面のうち、一方の基板2の内面に、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の透明な画素電極4と、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて形成され、対応する前記画素電極4に接続された複数のTFT5と、複数のTFT5にゲート信号を供給する複数のゲート配線14と、前記複数のTFT5にデータ信号を供給する複数のデータ配線15とが設けられ、他方の基板3の内面に、前記複数の画素電極4と対向する一枚膜状の透明な対向電極19が設けられた構成となっている。
【0016】
以下、前記画素電極4とTFT5とゲート配線14及びデータ配線15が設けられた一方の基板2をTFT基板といい、対向電極19が設けられた他方の基板3を対向基板という。
【0017】
なお、この実施例の液晶表示素子は、1フィールド毎に、前記複数の画素電極4と対向電極19とが互いに対向する領域からなる複数の画素の書込み状態を一括してリセットするものであり、前記TFT基板2の内面には、前記TFT5とゲート配線14及びデータ配線15(以下、書込み用TFT、書込み用ゲート配線、書込み用データ配線という)の他に、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて形成され、対応する前記画素電極4に接続された複数のリセット用TFT5Rと、前記複数のリセット用TFT5Rにゲート信号を供給する複数のリセット用ゲート配線14Rと、前記複数のリセット用TFT5Rにリセット信号を供給する複数のリセット用データ配線15Rとが設けられている。
【0018】
前記書込み用TFT5は、前記画素電極4の一端側(図1において下側)に配置され、前記リセット用TFT5Rは、前記画素電極4の他端縁(図1において上側)に配置されており、隣合う画素電極行の一方の行の画素電極4に対応する書込み用TFT5と、他方の行の画素電極4に対応するリセット用TFT5Rとは互いに隣合っている。
【0019】
前記書込み用TFT5とリセット用TFT5Rは、平面形状が対称形な同じ積層構造のものであり、前記TFT基板2の基板面に形成されたゲート電極6と、このゲート電極6を覆ってTFT基板2の略全体に形成されたゲート絶縁膜7と、前記ゲート絶縁膜7の上に前記ゲート電極6と対向させて形成されたi型半導体膜8と、このi型半導体膜8のチャンネル領域となる中央部の上に設けられたブロッキング絶縁膜9と、前記i型半導体膜8の両側部の上にn型半導体膜10を介して形成されたソース電極11及びドレイン電極12と、オーバーコート絶縁膜13とからなっている。
【0020】
また、前記書込み用ゲート配線14とリセット用ゲート配線14Rは、前記TFT基板2の基板面に、各画素電極行の書込み用TFT5の配置側とリセット用TFT5Rの配置側とにそれぞれ沿わせて設けられており、前記書込み用TFT5及びリセット用TFT5Rのゲート電極6は、前記書込み用ゲート配線14及びリセット用ゲート配線14Rの前記画素電極4に隣接する部分からなっている。
【0021】
さらに、前記書込み用TFT5及びリセット用TFT5Rのi型半導体膜8とブロッキング絶縁膜9とn型半導体膜10とソース電極11及びドレイン電極12は、前記ゲート配線14,14Rの長さ方向に沿わせて、前記画素電極4の行方向の幅と同程度の長さに形成されている。
【0022】
すなわち、前記書込み用TFT5及びリセット用TFT5Rはそれぞれ、前記画素電極4の幅と同程度のチャンネル長を有している。
【0023】
また、前記書込み用データ配線15とリセット用データ配線15Rは、前記ゲート絶縁膜7の上に、各画素電極列の一側と他側(図1において左側と右側)にそれぞれ沿わせて設けられ、前記リセット用データ配線15Rは、前記各画素電極列の他側(図1において右側)にそれぞれ沿わせて設けられており、前記書込み用TFT5のドレイン電極12は、前記書込み用データ配線15と一体に形成され、前記リセット用TFT5Rのドレイン電極12は、前記リセット用データ配線15Rと一体に形成されている。
【0024】
そして、前記画素電極4は、前記ゲート絶縁膜7の上に形成されており、この画素電極4の書込み用TFT5に隣接する縁部に前記書込み用TFT4のソース電極11が接続され、リセット用TFT5Rに隣接する縁部に前記リセット用TFT5Rのソース電極11が接続されている。
【0025】
なお、前記書込み用TFT5及びリセット用TFT5Rのオーバーコート絶縁膜13は、前記複数の画素電極4上の部分を除いてTFT基板2の略全体に形成されており、前記書込み用データ配線15とリセット用データ配線15Rは、前記オーバーコート絶縁膜13により覆われている。
【0026】
また、前記TFT基板2の内面には、前記画素電極4の配列領域の全域にわたって配向膜16が形成されている。
【0027】
一方、前記対向基板3の内面には、前記TFT基板2の複数の画素電極4にそれぞれ対応する複数の開口が設けられた金属膜(基板面に形成された酸化クロム膜とその上に形成されたクロム膜との積層膜)からなる遮光膜17が形成されており、その上に前記対向電極19が設けられている。
【0028】
さらに、この対向基板3の内面には、前記遮光膜17と対向電極19との積層膜の上に、前記TFT基板2の隣合う書込み用及びリセット用TFT5,5Rに対応する部分毎に、前記TFT5,5Rのチャンネル長方向に間隔をおいて形成され、前記TFT5,5R上に当接して前記TFT基板2と対向基板3との間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサ20が設けられており、その上に、前記画素電極4の配列領域の全域にわたって配向膜21が形成されている。
【0029】
前記柱状スペーサ20は、前記遮光膜17と対向電極19との積層膜の上に感光性樹脂を一定厚さに塗布し、その樹脂膜を、前記隣合う書込み用とリセット用のTFT5,5Rの両方の頂部にまたがる幅と、前記TFT5,5Rのチャンネル長を複数分割した長さ、例えば前記チャンネル長の約1/6の長さを有する矩形柱状にパターニングして形成されており、前記隣合う書込み用及びリセット用TFT5,5Rのチャンネル長方向の両端部と中間部とに対応させて等間隔に設けられている。
【0030】
そして、前記TFT基板2と対向基板3は、前記対向基板3の内面に設けた前記複数の柱状スペーサ20を、前記TFT基板2の各TFT5,5R上(オーバーコート絶縁膜13の上)に、両基板2,3の内面の配向膜16,21を介して当接させることにより、両基板2,3の間隔を規定され、前記画素電極4の配列領域を囲む図示しない枠状シール材を介して接合されており、これらの基板2,3間の前記枠状シール材により囲まれた領域に液晶層1が設けられている。
【0031】
なお、この液晶表示素子は、例えば非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子であり、前記液晶層1の液晶分子は、一方向に分子長軸を揃えて基板2,3面と実質的に平行に配向している。
【0032】
この液晶表示素子は、前記TFT基板2の内面に、マトリックス状に配列する複数の画素電極4にそれぞれ対応させて書込み用及びリセット用TFT5,5Rを設け、対向基板3の内面に、前記TFT5,5R上に当接して前記一対の基板2,3の間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサ20を設けているため、画素部の液晶層厚を小さくして応答速度を速くすることができる。
【0033】
すなわち、この液晶表示素子は、樹脂膜からなる柱状スペーサ20により基板間隔を規定しているため、画素部の基板間ギャップを小さくすることができ、したがって、前記画素部の液晶層厚を小さくし、応答速度を速くすることができる。
【0034】
なお、前記TFT基板2の内面に設けられた書込み用及びリセット用TFT5,5Rのゲート電極6の膜厚は0.23μm、ゲート絶縁膜7の膜厚は0.25μm、i型半導体膜8の膜厚は0.05μm、ブロッキング絶縁膜9の膜厚は0.10μm、n型半導体膜10の膜厚は0.025μm、ソース電極11及びドレイン電極12の膜厚は0.425μm、オーバーコート絶縁膜13の膜厚は0.20μmであり、したがって前記TFT5,5Rの厚さは、1.28μmである。
【0035】
また、前記ゲート絶縁膜7上に形成された画素電極4の膜厚は0.05μm、対向基板3の内面に設けられた遮光膜17の膜厚は0.17μm、対向電極19の膜厚は0.14μm、両基板2,3の内面に設けられた配向膜16,21の膜厚はそれぞれ0.05μmである。
【0036】
そして、この実施例では、前記柱状スペーサ20を0.40μmの厚さに形成しており、したがって、前記柱状スペーサ20を前記TFT5,5R上に前記配向膜16,21を介して当接させることにより規定された両基板2,3の基板面間の間隔dは2.07μm、各画素部の基板間ギャップ(配向膜16,21間の間隙)dは1.55μmである。
【0037】
また、この液晶表示素子は、TFT基板2の内面に、前記複数の画素電極4にそれぞれ対応させて、前記画素電極4の幅と同程度のチャンネル長を有する書込み用及びリセット用TFT5,5Rを設け、対向基板3の内面に、前記TFT5,5Rに対応する部分毎に前記TFT5,5Rのチャンネル長方向に間隔をおいて複数の柱状スペーサ20を設けているため、前記柱状スペーサ20による基板間隔規定点の数を十分に多くし、全ての画素部の液晶層厚を均一にして表示むらの無い良好な表示品質を得るとともに、基板間隔の保持強度を高くし、基板2,3が外部からの圧力等によりスペーサ20間で撓んで表示むらを発生するのを防ぐことができる。
【0038】
さらに、この液晶表示素子は、前記書込み用及びリセット用TFT5,5Rのチャンネル長を前記画素電極4の幅と同程度に長くしているため、これらのTFT5,5Rの電流量を多くし、画素へのデータ信号の書込み時間(書込み用TFT5のオン時間)及び書込み状態のリセット時間(リセット用TFT5Rのオン時間)を短くすることができ、したがって、フィールドシーケンシャル液晶表示装置の書込み周期(1フィールドの長さ)を短くし、ちらつきの無い高品質の画像を表示することができる。
【0039】
しかも、この液晶表示素子は、前記画素電極4の幅と同程度のチャンネル長を有する書込み用及びリセット用TFT5,5Rに、そのチャンネル長方向に間隔をおいて形成された複数の柱状スペーサ20を当接させているため、一対の基板2,3間の前記枠状シール材により囲まれた領域に液晶を充填する際に、前記枠状シール材の一辺を部分的に欠落させて形成した液晶注入口(図示せず)から注入された液晶を、前記書込み用及びリセット用データ配線15,15Rに対応する部分の基板2,3間の間隙部と、前記書込み用及びリセット用TFT5,5R上の柱状スペーサ20間の部分の基板2,3間の間隙部との両方を通して液晶充填領域の全体に流入させることができ、したがって、前記基板2,3間への液晶の充填を能率良く行なうことができる。
【0040】
なお、前記書込み用及びリセット用データ配線15,15Rに対応する部分の基板間ギャップ(配向膜16,21間の間隙)は、0.575μm、前記書込み用及びリセット用TFT5,5R上の柱状スペーサ20間の部分の基板間ギャップ(配向膜16,21間の間隙)は、前記柱状スペーサ20の厚さと同じ0.40μmであり、いずれの部分も、液晶をスムーズに流通させる。
【0041】
(第2の実施形態)
図4〜図6はこの発明の第2の実施例を示しており、図4は液晶表示素子の一部分の平面図、図5は図4のV―V線に沿う拡大断面図、図6は図4のVI―VI線に沿う拡大断面図である。なお、この実施例において、上述した第1の実施例に対応するものについては図に同符号を付してその説明を省略する。
【0042】
この実施例の液晶表示素子は、対向基板3の内面に、TFT基板2に設けられた書込み用及びリセット用TFT5,5R上に当接する複数の柱状スペーサ20の間に対応する部分に開口18aを有する透明な下地膜(絶縁膜)18を設け、その上に前記複数の柱状スペーサ20を形成したものであり、他の構成は上述した第1の実施例の液晶表示素子と同じである。
【0043】
この実施例の液晶表示素子は、前記対向基板2の内面に前記下地膜18を設け、その上に前記複数の柱状スペーサ20を形成しているため、前記書込み用及びリセット用TFT5,5R上の柱状スペーサ20間の部分の基板間ギャップ(配向膜16,21間の間隙)を大きくし、前記基板2,3間への液晶の充填をさらに能率良く行なうことができる。
【0044】
この実施例の液晶表示素子において、前記下地膜18は、前記柱状スペーサ20の厚さ(この実施例では0.40μm)以上、より好ましくは前記柱状スペーサ20の厚さの2〜4倍の膜厚に形成するのが望ましく、このようにすることにより、液晶をほとんど抵抗無く流通させることができる。
【0045】
この実施例では、前記下地膜18を、1.30μm、つまり前記柱状スペーサ20の厚さの3.25倍の膜厚に形成し、前記TFT5,5R上の柱状スペーサ20間の部分の基板間ギャップを1.70μmとしている。
【0046】
(他の実施形態)
また、上記第1及び第2の実施例の液晶表示素子は、書込み用とリセット用のTFT5,5Rを備えたものであるが、この発明は、リセット用TFTを備えないアクティブマトリックス型液晶表示素子にも適用することができ、また、非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子に限らず、例えばTNまたはSTN型液晶表示素子、強誘電性または反強誘電性液晶表示素子等のアクティブマトリックス液晶表示素子にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の一部分の平面図。
【図2】図1のII―II線に沿う拡大断面図。
【図3】図1のIII―III線に沿う拡大断面図。
【図4】この発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の一部分の平面図。
【図5】図4のV―V線に沿う拡大断面図。
【図6】図4のVI―VI線に沿う拡大断面図。
【符号の説明】
【0048】
1…液晶層、2,3…基板、4…画素電極、5…書込み用TFT、5R…リセット用TFT、14…書込み用ゲート配線、14R…リセット用ゲート配線、15…書込み用データ配線、15R…リセット用ゲート配線、17…遮光膜、18…下地膜、18a…開口、19…対向電極、20…柱状スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を挟んで対向する一対の基板の互いに対向する内面のうち、一方の基板の内面に、マトリックス状に配列する複数の画素電極と、前記複数の画素電極にそれぞれ対応させて形成され、前記画素電極の幅と同程度のチャンネル長を有し、対応する前記画素電極に接続された複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、前記複数の薄膜トランジスタにデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられ、他方の基板の内面に、前記複数の画素電極と対向する対向電極と、前記複数の薄膜トランジスタに対応する部分毎に前記薄膜トランジスタのチャンネル長方向に間隔をおいて形成され、前記薄膜トランジスタ上に当接して前記一対の基板の間隔を規定する複数の樹脂膜からなる柱状スペーサが設けられていることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
他方の基板の内面に、一方の基板に設けられた薄膜トランジスタ上に当接する複数の柱状スペーサの間に対応する部分に開口を有する下地膜が設けられ、その上に前記複数の柱状スペーサが形成されていることを特徴とする液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−25262(P2007−25262A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207267(P2005−207267)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】