説明

災害情報受信装置

【課題】 ユーザが必ずテストモードを実施する災害情報受信装置を提供する。
【解決手段】 電源がオンされると、テストモードが自動的に起動され(S01〜S03ステップ)、テストモードが完了すると(S04ステップのYES)、装置の全ての機能をユーザが実行可能な状態となると共に、この状態を維持する為のフラグがオンとなる。このフラグがオンとなった状態で再度電源をオフしその後に電源オンすると、次回からテストモードを実行せずに、全ての機能が実行可能な状態から装置が起動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害に関する情報、例えば気象庁等が配信する緊急地震速報等を受信し報知を行う、災害情報受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象庁が緊急地震速報なるサービスの提供を開始した。この緊急地震速報を具体的に説明すると、気象庁が複数の地点に地震計を配置し、地震が発生した際にこの地震計からのデータを収集し、収集したデータから震源地の経度、緯度、震源の深さ、地震の規模(マグニチュード)を計算し、計算したデータを特定の端末や事業者等に報知する。
【0003】
更に具体的に、気象庁から事業者を介して端末にデータを送信する場合について説明する。この場合、気象庁と事業者と端末が接続された構成となっており、地震が発生すると、地震に関するデータを気象庁から事業者、端末へと順に送信されるようになっている。
具体的な動作としては、気象庁から事業者に、震源地の経度、緯度、震源の深さ、地震の規模(マグニチュード)のデータが送信されると、事業者のサーバ側で、事業者のサービスに加入している端末の位置情報に基づいて、端末の存在する位置での震度や揺れが到達するまでの時間を即座に計算し、これらのデータを端末へ送信している。
【0004】
尚、事業者側から端末へ気象庁から送られてきた震源地の情報をそのまま送信し、端末側で予測震度を計算するシステムも存在する。この場合、端末は、端末に予め記録されている地域情報、例えば端末が設置されている場所の緯度・経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに報知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したりする等の避難行動をとることができる。
【0005】
又、このような端末に関連して、本出願人は、災害情報の報知を試験的に実施可能であり、本当の災害情報の報知形態と試験的な災害情報の報知形態とを異ならせた災害情報受信装置を特許文献1で提案した。
【特許文献1】特願2008−183304号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが災害情報受信装置を購入して使用開始し、突然災害情報の報知を聞いて驚く場合がある。このような場合、せっかく災害情報を聞いても突然の災害情報の報知に対して驚いた為に、災害に対する適切な対処を施すことができない可能性がある。
【0007】
このような理由から、災害情報の報知を試験的に実施する機能を設けることは非常に重要である。ユーザは、まず装置を使用開始するにあたり、試験的な災害情報の報知を聞き、実際の災害情報の報知はこのようなものだということを知ることにより、実際の災害情報を聞いた際に落ち着いて災害情報を聞けることになる。その結果ユーザは災害に対しておちついて且つ迅速に対処することができる。
【0008】
しかしながら、ユーザの中には災害情報の試験報知に実施せずに、そのまま使用する場合がある。この場合、せっかくの災害情報の試験報知機能が無駄になるだけでなく、ユーザが突然の災害情報の報知に対して驚く可能性がある。
【0009】
本出願人は、このような課題を解決するために、まず電源をオンすると自動的に災害情報の試験報知を実施し、災害情報の試験報知が完了した時点で始めて様々な機能を使用可能にした災害情報受信装置を提供するに到った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、電源をオンすると、災害情報の報知試験を自動的に開始し、当該災害情報の報知試験が完了した時点で、装置を使用可能な状態にすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、電源をオンすると、災害情報の報知試験を自動的に開始し、当該災害情報の報知試験が完了するまで特定の機能のみ実行可能にし、前記報知試験が完了すると、前記特定の機能を含む全ての機能を実行可能にすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の機能は、電源のオン及びオフの実行であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の機能は、更に災害情報の報知試験を中断する機能であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記入力部からの全ての操作を受け付けるよう制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の操作は、電源のオンオフであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の操作は、更に前記試験報知手段による災害情報の試験的な報知の停止を指示する操作であることを特徴とする災害情報受信装置。
請求項8に記載の発明は、災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記入力部からの全ての操作を受け付け、以降の電源オン時における自動的な災害情報の試験報知の開始を禁止することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、前記試験報知手段による試験報知が終了したか否かを示すフラグを有し、前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記フラグをオンすると共に前記入力部からの全ての操作を受け付けるよう制御することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の災害情報受信装置であり、前記制御手段は、前記フラグがオンの状態で前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると、装置の電源オン時の前記試験報知手段による試験的な災害情報の報知の開始を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試験的な災害情報の報知を完了した後に装置を使用可能な状態にし、一方、試験的な災害情報の報知を完了しなければ、装置を使用できない状態に維持したままとなる為、ユーザは装置を使用する前に必ず災害情報の試験報知を聞くことになる。従って、ユーザは装置を使用する前に災害情報の報知がどういうものかを知ることになり、本当の災害情報の報知があった際に、突然の災害情報の報知に驚くことを回避することが可能である。
【0012】
又、一度試験的な災害情報の報知が完了すれば、電源オン時に自動的に試験的な災害情報の報知が開始されない為、一々災害情報の試験報知が実施されずとも通常の災害情報受信報知として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明の災害情報受信装置(例えば災害情報を受信可能なコードレス電話装置)を含んだシステム図を示している。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0014】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。又、親機1は図示しないが、一般の電話回線(アナログコードレス電話やデジタルコードレス電話で使用する回線)とも接続可能である。
【0015】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0016】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0017】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0018】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0019】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0020】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0021】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0022】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
【0023】
図2は、本実施例装置の親機1と子機2の外観図である。図2において親機1は、図示していないが、表示部13と入力部14を有し、更に緊急地震速報を報知する為のスピーカ18を搭載している。表示部13等は筐体を開けることにより可視可能な状態になる。
一方、子機2は、通常のコードレス電話の子機と同様な機能と緊急地震速報を報知する機能を有しており、充電器に載置することによりバッテリ部31を充電可能である。
〈1−2.親機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、入力部14、通信制御部15、アンテナ装置16、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19、及びフラッシュメモリ20を含むように構成されている。
【0024】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、速報受信部11a、地震検知送信部11b、地震速報報知部11cを備えている。
【0025】
速報受信部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信することにより、地震発生を検知したと判断する。地震発生を検知した場合、次の地震検知送信部11b及び地震速報報知部11cに対して、緊急地震速報を与える。
【0026】
地震検知送信部11bは、速報受信部11aから緊急地震速報を与えられた際に、通信制御部15を用いて緊急地震速報を子機2へ送信する。地震速報報知部11cは、緊急地震速報を与えられた際に、フラッシュメモリ20に記録されている緊急地震速報の報知画像及び緊急地震速報の音声メッセージを読み出す。そして読み出したデータを表示部13及びスピーカ18を用いて出力することにより、地震報知を行う。
【0027】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0028】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)や、予測震度や主要動到達までの時間等をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0029】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0030】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0031】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。尚、スピーカ18は、予測震度や主要動到達までの時間等を音声で出力する機能も有する。
【0032】
フラッシュメモリ20は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性半導体メモリである。フラッシュメモリ20はEEPROMの一種であるが、EEPROMとは異なり1バイト単位の書き換えはできず、予めブロック単位で消去してから書き込みを行う。又、フラッシュメモリ20には、試験的に地震報知を行う際にスピーカ18から出力する音声メッセージや表示部13に表示するメッセージデータも格納されている。尚、図6の(A)に示す表示は、実際に緊急地震速報を受信した際の表示画面であり背景が赤となっている。一方、図6(B)に示す表示は、試験的に緊急地震速報を報知する際の表示画面であり、背景が緑になっている。このように、実際の緊急地震速報と、テストモードにおける緊急地震速報とで背景色を変えている)。尚、テストモードとは、試験的に緊急地震速報の報知を行うモードである。
【0033】
又、後述するが、本実施例装置において、まず電源がオンされるとスピーカ18から送出するメッセージ(例えば、「装置を使用する前にテストモードを実行致します。テストモード完了後に装置が使用できます。」)や、テストモードが完了した際にスピーカ18から送出するメッセージ(例えば、「テストモードが完了しました。これから装置が使用できます。」)や、テストモードが途中で終了した際にスピーカ18から送出するメッセージ(例えば、「テストモードを完了できませんでした。再度テストモードを実行して下さい。」)を格納する。
【0034】
更に、フラッシュメモリ20にはフラグが格納されており、工場出荷時には、このフラグはオフの状態である。このフラグがオフの状態では、電源をオンする度に自動的にテストモードが起動される。一方、このフラグがオンの状態では、電源をオンする度に自動的にテストモードが起動されることがなく、即座に装置を使用できる状態になる。
【0035】
即ち、換言すれば、フラグがオンの状態は装置が一度テストモードの実施を完了したことを意味し、一方、フラグがオフの状態は、装置が未だ一度もテストモードの実施を完了していないことを意味しているとも言える。
〈1−3.子機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22、表示部23、入力部24、通信制御部25、アンテナ装置26、音声信号処理部27、スピーカ28、マイク29、フラッシュメモリ30、バッテリ部31、CCDカメラ32、及びSDカードスロット33を含むように構成されている。
【0036】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震検知受信部21a、地震速報報知部21bを備えている。
【0037】
地震検知受信部21aは、親機1から受信する各種情報の中に、緊急地震速報が含まれているかどうかの判定を行う。そして緊急地震速報が含まれていると判定された場合に、地震検知を示す電文を地震速報報知部21bに与える。
【0038】
地震速報報知部21bは、地震検知受信部21aから地震検知を示す電文を与えられた際に、フラッシュメモリ30に記録されている地震速報用データを読み出す。そして読み出したデータを表示部23及びスピーカ28を用いて出力することにより、地震速報を行う。
【0039】
又、フラッシュメモリ30には、試験的に地震報知を行う際にスピーカ18から出力する音声メッセージや表示部13に表示するメッセージデータも格納されている。
【0040】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0041】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0042】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線通信網42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して、PSTN網63を介した着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0043】
アンテナ装置26〜フラッシュメモリ30ついては、親機1のアンテナ装置16〜フラッシュメモリ20と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。バッテリ部31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
【0044】
CCDカメラ32は、画像撮像素子としてCCDを用いた撮影部である。CCDは撮影レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーター(不図示)により駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。CCDカメラ32により得られた画像データは、フラッシュメモリ30に記録される。
【0045】
SDカードスロット33は、外部記録媒体であるSDカードメモリ99を接続して情報の伝送を行うインタフェースである。SDカードメモリ99には例えば、デジタルカメラで撮影した静止画や動画が記録されている。SDカードスロット33は避難指示登録部21cからの指示により、これらのデータをフラッシュメモリ30にコピーする。これにより避難指示登録部21cは、外部から入力した画像や音声を避難指示用データとして登録することができる。
〈1−4.本実施例装置の動作の説明〉
続いて、本発明を適用してなる実施例装置の動作について図5のフロー図を用いながら説明する。
【0046】
図5は親機1の動作を示すフロー図である。まず、ユーザが装置を購入し、初めて電源オンしたときの動作を以下に説明する。尚、本実施例装置は工場出荷時には、フラッシュメモリ20に格納されているフラグがオフの状態である。このフラグがオフの状態では、電源をオンする度に自動的にテストモードが起動される。一方、このフラグがオンの状態では、電源をオンする度に自動的にテストモードが起動されることがなく、即座に装置を使用できる状態になる。
ステップS01において、制御部11は、入力部14から電源オンの操作指示があると判定すると、電源をオンしS02ステップへ処理を進める。
【0047】
S02ステップでは、制御部11は、フラッシュメモリ20に格納されているメッセージ(例えば、「装置を使用する前にテストモードを実行致します。テストモード完了後に装置が使用できます。」)を読込、スピーカ18から出力する。
【0048】
続くS03ステップでは、制御部11はテストモードを実行する。具体的には、フラッシュメモリ20に格納されているテストモード用の表示(図6の(B))データを読み込み、表示部13に表示する。尚、図6(B)の表示データは、震度を示す文字の色は黒色であり背景の色は緑色としている。又、この表示データは震度を示す文字だけではなく、揺れが来るまでのカウントダウン表示(例えは、揺れが来るまであと5秒です)でも良い。
【0049】
又、制御部11はテストモードを実行する際に、フラッシュメモリ20からテストモード用の音声メッセージ(例えば、「緊急地震速報の試験を行います。震度5の地震が来ます。」や、「緊急地震速報の試験を行います。震度5の地震があと5秒できます。」)を読み込み、スピーカ18から出力する。
【0050】
S04ステップでは、制御部11は、テストモードの実行が完了したと判定すると、フラッシュメモリ20に格納されているフラグをオンし、S05ステップへ処理を進め、そうでなければS07ステップへ処理を進める。
【0051】
尚、ここでフラグがオンとなった為、以降、装置の電源をオフし、再度電源オンとした場合には、テストモードを実行することなく、即座に装置を使用できる。又、S04ステップでテストモードが完了すると、制御部11はアンテナ装置16を制御することにより子機2に対して、子機2のフラッシュメモリ30に格納されているフラグをオンするように指示する信号を送信する。これにより、親機1と子機2のフラッシュメモリ20、30に格納されているフラグがオンとなる。
【0052】
S05ステップでは、制御部11は、フラッシュメモリ20に格納されているメッセージ(例えば、「テストモードが完了しました。これから装置が使用できます。」)をスピーカ18から出力し、S06ステップへ処理を進める。
【0053】
S06ステップでは、制御部11は、各種機能が使用可能な状態にする。具体的には、S01〜S05ステップでは、電源オンオフを実行する為のキー操作やテストモードの中止や実行を指示する為のキー操作は許可してきたが、S06ステップ以降では、他のキー操作も全て受け付ける状態にする。尚、S06ステップ以降は、フラグがオンとなっている為、電源オフし再度電源オンした場合でもテストモードが実行されず、全ての装置の機能が実施可能な状態になる。
【0054】
一方、S04ステップでテストモードが完了しなければ(例えば、ユーザがテストモードの中断を指示するキー操作を行ったり、装置の電源を途中でオフした場合)には、制御部11はS07ステップへ処理を進める。
【0055】
S07ステップでは、制御部11は、フラッシュメモリ20から例えば、「テストモードを完了できませんでした。再度テストモードを実行して下さい。」というメッセージを読込、スピーカ18から出力させる。
【0056】
続くS08ステップでは、制御部11は、入力部14から電源オフの操作があると判定すると装置の電源をオフし、S01ステップへ処理を戻す。一方、電源オフの操作がなければ、S09ステップへ処理を進める。
【0057】
S09ステップでは、制御部11は、入力部14からテストモードの実行指示操作があると判定すると、S03ステップへ処理を戻し、そうでなければS08ステップへ処理を戻す。
【0058】
このように、本実施例装置では、ユーザが装置を購入すると自動的にテストモードが起動され、このテストモードの実行が完了されなければ、ユーザは装置の他の機能(例えば通話等)を実行することができない。この為、ユーザは装置を使用する為には必ず緊急地震速報のテストモードを実行し最後まで完了する必要がある。それゆえに、ユーザは緊急地震速報がどういうものか実感することが可能であり、本当の緊急地震速報を受信した際に驚き慌てるといった事態を回避することが可能である。
【0059】
尚、本実施例では親機1の場合で実施したが、子機2においても同様に実施可能である。例えば、子機2でテストモードを実施すると、子機2の制御部21はアンテナ装置26を制御することにより親機1に対して、親機1のフラッシュメモリ20に格納されているフラグをオンするように指示する信号を送信する。これにより、親機1と子機2のフラッシュメモリ20、30に格納されているフラグがオンとなる。
【0060】
又、親機1を単なる中継器として使用する場合には、子機2のみテストモードの機能を搭載する構成としても良い、この場合、子機2でテストモードを実行すれば子機2のフラッシュメモリ30のフラグのみオンとし(親機1のフラッシュメモリ20のフラグはオンしない)、以降全ての機能が使用できる状態としても良い。
【0061】
更に以下の構成としても良い。例えば、テストモードの実行を完了してから所定期間(例えば半年)が経過すればフラグを自動的にオフし、再度テストモードを実行しなければ装置の全ての機能を実行できない構成としても良い。このような構成とすることにより、ユーザが緊急地震速報の報知形態を忘れた時に再度報知形態がどういうものか知らせることが可能である。
又、本実施例では、緊急地震速報を受信可能なコードレス電話において実施したが、緊急地震速報を受信可能なファクシミリ装置、携帯電話装置、他緊急地震速報のみ受信可能な災害情報受信装置等においても同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】は、本発明の電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の外観図である。
【図3】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図5】は、本実施例装置の親機1の動作を示すフロー図である。
【図6】は、本実施例装置の表示部の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 親機
11a 速報受信部
11b 地震検知送信部
11c 地震速報報知部
13 表示部
15 通信制御部
16 アンテナ装置
18 スピーカ
20 フラッシュメモリ
2 子機
21a 地震検知受信部
21b 地震速報報知部
23 表示部
25 通信制御部
26 アンテナ装置
28 スピーカ
30 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、
電源をオンすると、災害情報の報知試験を自動的に開始し、当該災害情報の報知試験が完了した時点で、装置を使用可能な状態にすることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項2】
災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、
電源をオンすると、災害情報の報知試験を自動的に開始し、当該災害情報の報知試験が完了するまで特定の機能のみ実行可能にし、前記報知試験が完了すると、前記特定の機能を含む全ての機能を実行可能にすることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の機能は、電源のオン及びオフの実行であることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の災害情報受信装置であり、前記特定の機能は、更に災害情報の報知試験を中断する機能であることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項5】
災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、
前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記入力部からの全ての操作を受け付けるよう制御することを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の災害情報受信装置であり、
前記特定の操作は、電源のオンオフであることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の災害情報受信装置であり、
前記特定の操作は、更に前記試験報知手段による災害情報の試験的な報知の停止を指示する操作であることを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項8】
災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、
前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、
前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記入力部からの全ての操作を受け付け、以降の電源オン時における自動的な災害情報の試験報知の開始を禁止することを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項9】
災害情報の受信に応じて災害情報を報知する災害情報受信装置であって、
前記災害情報受信装置は、入力手段と、災害情報を報知する報知手段と、当該報知手段による災害情報の報知を試験的に行う試験報知手段と、制御手段と、前記試験報知手段による試験報知が終了したか否かを示すフラグを有し、
前記制御手段は、前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると装置の電源をオンすると共に自動的に前記試験報知手段に試験的な災害情報の報知を開始させ、前記試験報知手段による試験報知が完了するまで、前記入力部からの特定の操作のみ受け付け、前記試験報知手段による試験報知が完了すると、前記フラグをオンすると共に前記入力部からの全ての操作を受け付けるよう制御することを特徴とする災害情報受信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の災害情報受信装置であり、
前記制御手段は、前記フラグがオンの状態で前記入力手段から電源オンの操作があると判定すると、装置の電源オン時の前記試験報知手段による試験的な災害情報の報知の開始を禁止することを特徴とする災害情報受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26755(P2010−26755A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186884(P2008−186884)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】