説明

炎症障害および微生物性疾患を処置するための化合物

本発明は、MMP、アグリカナーゼ、ADMP、LpxC、ADAM、TACE、TNF−αまたはそれらの組み合わせによって媒介される疾患または状態の治療に有用であり得る、式(I)〜(IX)で表される化合物、またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体に関する。本発明の化合物によって治療され得る疾患としては、関節リウマチ、骨関節炎、歯周炎、歯肉炎、角膜潰瘍、固形腫瘍成長および二次転移による腫瘍浸潤、血管新生緑内障、炎症性大腸炎、多発性硬化症および乾癬が挙げられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)、ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ(a disintegrin and metalloprotease:ADAM)、アグリカナーゼもしくはアグリカン分解メタロプロテアーゼ(aggrecan degrading metalloprotease:ADMP)および/または腫瘍壊死因子アルファ−変換酵素(tumor necrosis factor alpha−converting enzyme:TACE)を阻害でき、そうする場合において、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の放出を防止できる酒石酸官能性化合物、このような化合物を含む医薬組成物、およびこのような化合物を用いる治療方法に関する。また、本発明は、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)を阻害することができ、結果として抗菌活性を有する酒石酸官能性化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
説明
骨関節炎および関節リウマチ(それぞれ、osteoarthritis:OAおよびrheumatoid arthritis:RA)は、関節表面の局所的な浸食によって特徴付けられる関節軟骨の破壊的疾患である。OAに罹った患者の大腿骨頭に由来の関節軟骨は、例えば、対照よりも放射性標識した硫酸塩の取り込みが減少することが判明しており、これは、OAでは増加した割合の軟骨分解があるに違いないことを示唆している(Mankinら,J.Bone Joint Surg.52A(1970)424−434)。哺乳動物細胞では、セリン、システイン、アスパラギン酸およびメタロプロテアーゼの4種類のタンパク質分解酵素が存在する。有効な証拠は、OAおよびRAにおける関節軟骨の細胞外マトリックスの分解に関与するのはメタロプロテアーゼであるという確信を支持している。コラゲナーゼおよびストロメライシンの活性が高いことが、OA軟骨では分かっており、その活性は、外傷の重症度と相関している(Mankinら,Arthritis Rheum.21,1978,761−766、Woessnerら,Arthritis Rheum.26,1983,63−68およびIbid.27,1984,305−312)。さらに、アグリカナーゼ(新規に同定されたメタロプロテアーゼ)が同定され、RAおよびOA患者で見られる、プロテオグリカンの特異的な開裂産物を生じる(Lohmander L.S.ら,Arthritis Rheum.36,1993,1214−22)。
【0003】
メタロプロテアーゼ(metalloprotease:MP)は、哺乳動物の軟骨および骨の破壊において重要な酵素として関係している。このような疾患の病原性は、MP阻害剤を投与することによって、有益な方法で緩和することができることが期待され得る(Wahlら,Ann.Rep.Med.Chem.25,175−184,AP,San Diego,1990を参照されたい)。
【0004】
MMPは、プロテオグリカンおよびコラーゲンを含む結合組織の制御されていない破壊において重要な種々の生物学的プロセスに関与する20を超える異なった酵素のファミリーであり、細胞外マトリックスの再吸収をもたらす。これは、多くの病理学的状態、例えばRAおよびOA、角膜、上皮または胃の潰瘍形成;腫瘍転移または浸潤;歯周病および骨疾患の特徴である。通常、これらの異化酵素は、それらの合成のレベル、並びにMMPと不活性な複合体を形成する特定の阻害剤、例えばアルファ−2−マクログロブリンおよびTIMP(MPの組織阻害剤)の作用を介してそれらの細胞外活性レベルで厳重に調節されている。
【0005】
腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)は、26kDaの前駆形態からプロセスされて17kdの活性形態となる、細胞関連のサイトカインである。それぞれが参照により本明細書中に援用される、Black R.A.“Tumor necrosis factor−alpha converting enzyme”Int J Biochem Cell Biol.2002 Jan;34(1):1−5、およびMoss ML,White JM,Lambert MH,Andrews RC.“TACE and other ADAM proteases as targets for drug discovery”Drug Discov Today.2001 Apr 1;6(8):417−426を参照されたい。
【0006】
TNF−αは、免疫応答および炎症応答において中心的な役割を果たすことが判明している。TNF−αの不適当または過剰発現は、RA、クローン病、多発性硬化症、乾癬および敗血症を含む多くの疾患の特徴(hallmark)である。TNF−α産生の阻害は、炎症疾患の多くの前臨床モデルにおいて有益であることが示されており、TNF−α産生の阻害を達成するか、または新規の抗炎症剤の開発のための魅力的な標的に注意が向けられている。
【0007】
TNF−αは、急性感染およびショック中に観察されるのと類似している、炎症、発熱および急性期応答のヒトおよび動物における主要な伝達物質である。過剰なTNF−αは、致死的であることが判明している。特異的な抗体でTNF−αの作用をブロックすることは、自己免疫疾患、例えばRA(Feldmanら,Lancet,(1994)344,1105)、非インスリン依存性真性糖尿病(Lohmander L.S.ら,Arthritis Rheum.36(1993)1214−22)およびクローン病(Macdonald T.ら,Clin.Exp.Immunol.81(1990)301)を含む種々の状態において有益であり得る。
【0008】
したがって、TNF−αの産生を阻害する化合物は、炎症性障害の処置のために治療的に重要なものである。最近、メタロプロテアーゼ、例えばTACEは、TNF−αをその不活性形態から活性形態に変換し得ることが示されている(Gearingら,Nature,1994,370,555)。過剰なTNF−α産生は、MMPを媒介した組織分解によっても特徴付けられる数種の疾患状態において注目されているため、MMPおよびTNF−αの両方の産生を阻害する化合物も、両方の機構が関与する疾患において特定の利点を有する場合がある。
【0009】
TNF−αの有害な効果を阻害するための1つのアプローチは、酵素がTNF−αをその可溶性形態に処理し得る前に、その酵素であるTACEを阻害することである。TACEは、I型膜タンパク質のADAMファミリーのメンバーであり、種々の膜結合シグナル伝達タンパク質および接着タンパク質の外部ドメイン分断を媒介する。TACEは、TNF−αをその「柄(stalk)」配列から切断し、したがってTNF−αタンパク質の可溶性形態を放出する際のその役割のために、炎症性疾患を含む数種の疾患の研究においてますます重要になってきた(Black R.A.Int J Biochem Cell Biol.2002 34,1−5)。
【0010】
アグリカンは、軟骨の主要なプロテオグリカンであり、この組織に圧縮性および弾性の機械的特性を与える。関節炎状態において、軟骨形態において認められる最も初期の変化の1つは、アグリカンの枯渇であり[Mankinら,(1970)J.Bone Joint Surg.52A,424−434]、これは分解速度の増加によるものと考えられる。
【0011】
アグリカン分子は、約150残基の球間ドメイン(interglobular domain:IGD)によって分離されている、2つのN末端球状ドメインであるG1およびG2、次いで長い中央グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan:GAG)結合領域およびC末端球状ドメインであるG3で構成されている[Hardinghamら,(1992)Articular Cartilage and Osteoarthritis:Aggrecan,The Chondroitin Sulfate/Keratan Sulfate Proteoglycan from Cartilage(Kuettnerら)pp.5−20,Raven Press,New YorkおよびPaulsonら,(1987)Biochem.J.245,763−7721。これらのアグリカン分子は、GIドメインを通じてヒアルロン酸およびリンクタンパク質(link protein)と相互作用して、軟骨マトリックス内にトラップされる大きな分子量の凝集体を形成する[Hardinghamら,(1972)Biochim.Biophys.Acta 279,401−405,Heinegardら,(1974)J.Biol.Chem.249,4250−4256、およびHardingham,T.E.(1979)Biochem.J.177,237−247]。関節炎状態における軟骨からのアグリカンの消失は、IGD内のアグリカンコアタンパク質のタンパク質分解性の切断を伴い、マトリックス内のヒアルロン酸およびリンクタンパク質と結合したままのN末端G−1断片を生成し、軟骨マトリックス外に拡散する大きなC末端GAG含有アグリカン断片を放出する。C末端断片の消失は、軟骨に機械的性質の欠乏をもたらす。この欠乏が生ずるのは、アグリカンコアタンパク質のC末端部分に存在するGAGが、それらの高い負電荷および水結合能力によって分子に機械的性質を付与するアグリカンの成分であるためである。
【0012】
したがって、アグリカナーゼまたはアグリカン分解メタロプロテアーゼ(ADMP)に対する阻害を示す化合物は、上記で引用したアグリカナーゼ関連障害を治療するための潜在的な治療薬として役立つことができ、したがって望まれている。
【0013】
リピドAは、リポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)の疎水性アンカーであり、グラム陰性細菌の外膜の外部単層の主要な脂質成分を形成する。リピドAは、細菌増殖に必要であり、その生合成の阻害は、細菌に致死的である。さらに、リピドAの生合成をブロックすることにより、細菌による他の抗生物質への感受性を高める。
【0014】
細菌のリピドAの生合成の主要な酵素の1つは、LpxCである。LpxCは、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミンのN−アセチル基の除去を触媒する。LpxC酵素は、グラム陰性細菌においてはリピドAの生合成に必須であり、哺乳動物のゲノムには明らかに存在しない。LpxCが、リピドAの生合成に必須であり、リピドAの生合成の阻害が細菌に致死的となるため、LpxCの阻害剤は、抗生物質として有用性がある。さらに、哺乳動物のゲノムにLpxCがないので、哺乳動物におけるLpxC阻害剤の潜在的な毒性は減少される。したがって、LpxCは、抗菌剤の発見にとって魅力的な標的である。
【0015】
ヒドロキサメート(hydroxamate)、カルボン酸塩および/またはラクタムベースのMMP阻害剤を開示しているいくつかの特許がある。
【0016】
特許文献1および特許文献2は、ヒドロキサム酸誘導体およびMMP阻害剤である化合物を記載している。
【0017】
特許文献3は、マトリックスメタロプロテアーゼおよび/またはTNF−αの潜在的な阻害剤であるラクタム誘導体を開示している。
【0018】
米国特許出願第11/142601号(2005年6月1日出願)は、有用なTACE阻害剤である酒石酸塩化合物を開示している。
【0019】
特許文献4は、ある種の複素環式ヒドロキサメート化合物、特にオキサゾリン化合物は、LpxCを阻害する能力を有することを教示している。
【0020】
特許文献5は、LpxC阻害活性を有し、したがって抗菌活性を持つN−ヒドロキシアミド誘導体に言及している。
【0021】
特許文献6もLpxCの小分子阻害剤に言及している。
【0022】
抗炎症性化合物および軟骨保護治療薬として有用であり得る、MMP、ADAM、アグリカナーゼ、ADMP、TACE、およびTNF−αの阻害剤の必要性が当該技術分野において存在する。TNF−α、ADMP、TACEおよびまたは他のMMPの阻害は、これらの酵素によって軟骨の分解を防止することができ、それによって、OAおよびRA並びに多くの他の自己免疫疾患の病理学的状態を軽減する。
【0023】
当該技術分野においては、潜在的な抗菌剤としてLpxCの小分子阻害剤も必要である。
【特許文献1】米国特許第6,677,355号明細書
【特許文献2】米国特許第6,534,491号明細書
【特許文献3】米国特許第6,495,565号明細書
【特許文献4】米国特許第5,925,659号明細書
【特許文献5】国際公開第04/000744号パンフレット
【特許文献6】国際公開第04/062601号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の概要
多くの態様では、本発明は、LpxC、TACE、ADMP、アグリカナーゼ、TNF−αの産生、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせの阻害剤としての新規種類の化合物、このような化合物を調製する方法、1以上のこのような化合物を含む医薬組成物、1以上のこのような化合物を含む医薬製剤を調製する方法、およびこのような化合物または医薬組成物を用いて、LpxC、TACE、ADMP、アグリカナーゼ、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせに関連した1以上の疾患を治療、予防、阻害または軽減する方法を提供する。
【0025】
一態様では、本出願は、化合物、あるいは該化合物の医薬として許容される塩または溶媒和物を開示し、該化合物は、式(I):
【0026】
【化4】

で示される一般的な構造を有し、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルであって、式中:
(i)RおよびRの各々は、独立して、水素またはアルキルであり;
(ii)RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルと縮合され;
式中、RおよびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、1または2個の置換基で置換され、各置換基は、独立して、アリールおよびアルキニルからなる群から選択され;
式中、前記アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル(perhaloalkyl)、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ペルハロアルコキシ(perhaloalkoxy)、およびアルキニル部分からなる群から独立して選択される1または2個の部分で置換され、該アルキニル部分は、アリールラジカルで置換され;
該アルキニル置換基は、アリール部分で置換され、該アリール部分は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から選択される1〜3個のラジカルで置換され;および
(iii)RおよびRの各々は、アルキルであり、あるいはRおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり;
およびRを含む該ヘテロシクリルは、未置換であるか、または場合により、アリール置換基で置換され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で置換され;
ただし、RおよびRは、RおよびRが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルである場合のみ、RおよびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、未置換であり得るか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で置換され得る。
【0027】
別の態様では、本出願は、化合物、あるいは該化合物の医薬として許容される塩、溶媒和物、またはエステルを開示し、該化合物は、式(II)〜(IX):
【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

で表される構造のいずれか1つにおいて示される一般的な構造を有する。
【0031】
式(I)〜(IX)の化合物は、阻害剤として有用であり得、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせに関連した疾患の治療および予防において有用であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
発明の詳細な説明
いくつかの態様では、本発明は、新規種類のLpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−αの産生、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせの阻害剤、1以上の該化合物を含む医薬組成物、1以上のこのような化合物を含む医薬製剤を調製する方法、および炎症の1以上の症状を治療、予防または改善する方法を提供する。
【0033】
一態様では、本発明は、上記の構造式(I)〜(IX)によって示される化合物、またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体を提供し、式中、種々の部分は、上述される通りである。
【0034】
式(I)の一態様では、RおよびRは、ともに水素である。
【0035】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、アルキニル部分で置換され、該アルキニル部分は、アリールラジカルで置換され;および
およびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアルキニル置換基は、アリール部分で置換されている。
【0036】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、ピロリル、ベンゾピロリル、ピペリジニル、ベンゾピペリジニル、ピロロジニル、およびベンゾピロロジニルからなる群から選択される。
【0037】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、フェニルである。
【0038】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、アルキニル部分で置換され、ここで、該アルキニル部分は、アリールラジカルで置換され、該アリールラジカルは、フェニルであり;およびRおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアルキニル置換基は、アリール部分で置換されている。
【0039】
式(I)の別の態様では、RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルである。
【0040】
式(I)の別の態様では、RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルであり、ここで、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、ピロロジニルおよびピペリジニルからなる群から選択される。
【0041】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、未置換である。
【0042】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、アリール置換基で置換され、ここで、該アリール置換基は、ハロ部分で置換されている。
【0043】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、アリール置換基で置換され、ここで、該アリールは、フェニルであり、および該フェニルは、ハロ部分で置換されている。
【0044】
式(I)の別の態様では、RおよびRの各々は、アルキルであり、それらは同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0045】
式(I)の別の態様では、前記RおよびRは、ともにメチルである。
【0046】
式(I)の別の態様では:(i)RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルと縮合され;
ここで、RおよびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、アリール置換基で置換され;
ここで、該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1または2個の部分で置換され;および
(ii)RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素原子とともに一緒になって、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり;
およびRを含む該ヘテロシクリルは、未置換であるか、または場合により、アリール置換基で置換され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で置換されている。
【0047】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、未置換であるか、またはペルハロアルキル(例えば、CF)で置換されている。
【0048】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、フェニルまたはベンジルである。
【0049】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、未置換である。
【0050】
式(I)の別の態様では、RおよびRを含む前記ヘテロシクリルは、未置換であり、ピロロジニルである。
【0051】
別の態様では、式(I)で表される化合物は、下記からなる群から選択される:
【0052】
【化8】

またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル。
【0053】
上記で用いられるように、および本開示を通じて、下記の用語は、特に明記しない限り、下記の意味であると理解しなければならない:
「患者//被験体」とは、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0054】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0055】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、それは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよく、鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝とは、1以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが直鎖状のアルキル鎖に結合されていることを意味する。「低級アルキル」とは、鎖内に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、それは直鎖状であるかまたは分枝状であってもよい。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、同一であるかまたは異なっていてもよい1以上の置換基で置換され得ることを意味し、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から選択される。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。用語「フルオロアルキル」とは、アルキルは前述される通りであり、1以上の水素がフッ素原子で置き換えられているアルキル基を意味する。
【0056】
「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、それは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;および、より好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝とは、1以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが直鎖状のアルキル鎖に結合されていることを意味する。「低級アルケニル」とは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよい鎖内に約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルケニル基の非限定的な例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0057】
「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、それは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;および、より好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝とは、1以上の低級アルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルが直鎖状のアルキニル鎖に結合されていることを意味する。「低級アルキニル」とは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよい鎖内に約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニルの非限定的な例には、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」は、アルキニル基が、同一であるかまたは異なっていてもよい1以上の置換基で置換され得ることを意味し、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0058】
「アリール」とは、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む。アリール基は、場合により、同一であるかまたは異なっていてもよい1以上の「環系置換基」で置換することができ、これらは本明細書において定義される通りである。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0059】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、ここで、その環原子の1以上は、単独であるかまたは組み合わせた、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄である。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、場合により、同一であるかまたは異なっていてもよい1以上の「環系置換基」で置換することができ、本明細書において定義される通りである。ヘテロアリール語根名称(root name)の前の接頭辞であるアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在していることを意味している。ヘテロアリールの窒素原子は、場合により、対応するN−オキシドに酸化することができる。適切なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドン類を含む)、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。また、用語「ヘテロアリール」とは、部分的に飽和したヘテロアリール部分、例えばテトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどを意味する。
【0060】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、アリールおよびアルキルは、前述した通りである。好ましいアラルキル類は、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介する。
【0061】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール−基を意味し、ここで、アルキルおよびアリールは、前述した通りである。好ましいアルキルアリール類は、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。その親部分への結合は、アリールを介する。
【0062】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、場合により、同一であるかまたは異なっていてもよい1以上の「環系置換基」で置換することができ、上記で定義した通りである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、並びに部分的に飽和した種、例えばインダニル、テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。
【0063】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素および臭素である。
【0064】
用語「ペルハロアルキル」とは、特に明記しない限り、(2m’+1)個のハロゲン原子、ここで、m’はアルキル基中の炭素原子の総数である、で置換されたアルキルを意味する。例えば、用語「ペルハロアルキル」には、トリフルオロメチル、ペンタクロロエチル、1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエチルなどが含まれる。
【0065】
用語「ペルハロアルコキシ」とは、特に明記しない限り、(2m’+1)個のハロゲン原子、ここで、m’はアルコキシ基中の炭素原子の総数である、で置換されたアルキルオキシ(即ち、アルコキシ)を意味する。例えば、用語「ペルハロアルコキシ」には、トリフルオロメトキシ、ペンタクロロエトキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエトキシなどが含まれる。
【0066】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族の環系に結合した置換基を意味し、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換えるものである。環系置換基は、同一であるかまたは異なっていてもよく、各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同一であるかまたは異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアラルキルからなる群から独立して選択される。また、「環系置換基」は、環系上の隣接する2個の炭素原子(各炭素上に1個のH)にある2個の利用可能な水素を同時に置き換える単一部分を意味し得る。このような部分の例は、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などであり、これらは、例えば、
【0067】
【化9】

などの部分を形成する。
【0068】
「ヘテロシクリル」とは、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含み、ここで、その環系内の1以上の原子は、単独であるかまたは組み合わせた、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄である。この環系には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリル類は、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリル語根名称の前の接頭辞であるアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在していることを意味している。ヘテロシクリル環内の任意の−NHは、例えば−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)などの保護された基で存在してもよい;また、このような保護は、本発明の一部であると考えられる。ヘテロシクリルは、場合により、同一であるかまたは異なっている1以上の「環系置換基」で置換することができ、上記で定義した通りである。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、場合により、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化することができる。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられる。
【0069】
本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接している炭素原子上には水酸基が存在せず、並びに別のヘテロ原子に隣接している炭素上にはNおよびS基が存在しないことに留意しなければならない。このようにして、例えば、環:
【0070】
【化10】

では、2および5と付された炭素に直接結合した−OHは存在しない。
【0071】
互変異性形態、例えば、部分:
【0072】
【化11】

は、本発明のある種の態様において同等であると考えられることに留意しなければならない。
【0073】
「アルキニルアルキル」とは、アルキニル−アルキル−基を意味し、該アルキニルおよびアルキルは、前述した通りである。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。その親部分への結合は、アルキルを介する。適切なアルキニルアルキル基の非限定的な例には、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0074】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、該ヘテロアリールおよびアルキルは、前述した通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチル、およびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介する。
【0075】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル−基を意味し、該アルキルは、前述した通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0076】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、これらの種々の基は、前述した通りである。その親部分への結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例には、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0077】
「アロイル」とは、アリール−C(O)−基を意味し、アリール基は、前述した通りである。その親部分への結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例には、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0078】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、アルキル基は、前述した通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。この親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0079】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基であり、アリール基は、前述した通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。その親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0080】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル−O−基を意味し、アラルキル基は、前述した通りである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが挙げられる。その親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0081】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、アルキル基は、前述した通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、硫黄を介する。
【0082】
「アリールチオ」とは、アリール−S−基を意味し、アリール基は、前述した通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例には、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、硫黄を介する。
【0083】
「アラルキルチオ」とは、アラルキル−S−基を意味し、アラルキル基は、前述した通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例には、ベンジルチオが挙げられる。その親部分への結合は、硫黄を介する。
【0084】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0085】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0086】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例には、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0087】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、該アルキル基が低級アルキルであるものである。その親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0088】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。その親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0089】
用語「置換された」とは、指定された原子上の1以上の水素が指示された基からの選択で置き換えられることを意味するが、ただし、既存状況下での指定された原子の通常の原子価は超えず、結果として、その置換により安定な化合物が生じる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にだけ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度まで単離、および有効な治療剤への調合に耐えるのに十分に堅牢である化合物を意味する。
【0090】
用語「場合により置換された」とは、特定の基、ラジカルまたは部分による任意の置換を意味する。
【0091】
ある化合物について「単離した」または「単離した形態である」なる用語は、合成プロセスもしくは天然源またはそれらの組合せから単離した後の該化合物の物理的状態を意味する。ある化合物について「精製した」または「精製した形態である」なる用語は、本明細書に記載されているかまたは当業者に周知である精製プロセス(単数または複数)から、本明細書に記載されているかまたは当業者に周知である標準的な分析技術によって特徴付けが可能である程度に十分な純度で得た後の該化合物の物理的状態を意味する。
【0092】
任意の炭素原子、並びに本明細書中のテキスト部分、スキーム、実施例および表における満たされていない原子価を有するヘテロ原子は、それらの原子価を満たすのに十分な数の水素原子(単数または複数)を有することが想定されることにも留意しなければならない。
【0093】
化合物中の官能基が「保護された」と言われるとき、これは、その化合物を反応に供したとき、保護部位では望ましくない副反応を防止するために、修飾した形態である。適切な保護基は、当業者に認識されており、標準的なテキスト、例えばT.W.Greeneら,Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkを参照することによって認識される。
【0094】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成要素または式(I)〜(IX)において、1回より多く出現するとき、各々の出現おけるその定義は、いずれの他の出現でのその定義に依存しない。
【0095】
本明細書中で使用するとき、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む生成物、並びに特定の量の特定の成分の組合せに直接的または間接的に起因する任意の生成物を包含することが意図される。
【0096】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も本明細書中に企図される。用語「プロドラッグ」とは、本明細書中で採用するとき、薬物前駆体である化合物を意味し、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受け、式I〜IXの化合物またはその塩および/または溶媒和物を生じるものである。プロドラッグについての検討は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche編集,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供されており、これらの両方は、参照により本明細書中に援用される。
【0097】
「溶媒和物」とは、1以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的結合を意味する。この物理的結合は、様々な程度のイオン結合、および水素結合を含む共有結合を伴う。ある場合では、溶媒和物は、例えば、1以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれると単離することができる。「溶媒和物」には、溶液相および分離可能な溶媒和物の両方が包含される。適切な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0098】
「有効量」または「治療的な有効量」は、CDK(単数または複数)を阻害し、このようにして、所望の治療効果、改善効果、阻害効果または予防効果を生じるのに有効な本発明の化合物または組成物の量を記述することが意図されている。
【0099】
式I〜IXの化合物は、本発明の範囲内にもある塩を形成することができる。本明細書において式I〜IXの化合物への言及は、特に明示がなければ、その塩への言及を含むものとして理解される。用語「塩(単数または複数)」は、本明細書中で採用するとき、無機酸および/または有機酸で形成された酸性塩、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩を指す。さらに、式I〜IXの化合物が塩基性部分、例えば、限定されないが、ピリジンまたはイミダゾール、および酸性部分、例えば、限定されないが、カルボン酸の両方を含むとき、両性イオン(「内部塩」)が形成されてもよく、これは、本明細書中で使用される用語「塩(単数または複数)」に含まれる。医薬として許容される(即ち、非毒性であり、生理学的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式I〜IXの化合物の塩は、例えば、式I〜IXの化合物とある等量の酸または塩基とを、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中で反応させ、続く凍結乾燥により、形成させることができる。
【0100】
典型的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性の医薬化合物から医薬として有用な塩を形成するのに適していると一般に考えられている酸は、例えば、P.Stahlら,Camille G.(編集)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1〜19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.,ウェブサイト上)で検討されている。これらの開示は、参照により本明細書中に援用される。
【0101】
典型的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基(例えば、有機アミン)を有する塩、例えばジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン、およびアミノ酸、例えばアルギニン、リシンを有する塩などが挙げられる。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、およびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、およびジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、およびステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)、およびその他のものなどの薬物を用いて四級化されてもよい。
【0102】
このような全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の医薬として許容される塩であることが意図され、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と同等であると考えられる。
【0103】
式I〜IXの化合物、並びにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性形態(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在してもよい。このような全ての互変異性形態は、本明細書において、本発明の一部として企図されている。
【0104】
本発明の化合物(それらの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、並びにそれらのプロドラッグの塩および溶媒和物も含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)、例えば、鏡像異性形態(不斉炭素がなくても存在し得る)、回転異性形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含む、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るものは、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)と同様に、本発明の範囲内であると企図られる。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよいか、あるいは、例えばラセミ体として、または全ての他の立体異性体もしくは他の選択された立体異性体とともに混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsにより定義されるSまたはR配置を有することができる。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに同様に適用することが意図される。
【0105】
式I〜IXの化合物、並びに式I〜IXの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグの多形態は、本発明に含まれることが意図される。
【0106】
本発明に係る化合物は、薬理学的特性を有する;特に、式I〜IXの化合物は、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、ADAMおよび/またはMMP活性の阻害剤であり得る。
【0107】
一局面では、本発明は、有効成分として、式(I)〜(IX)の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
別の局面では、本発明は、少なくとも1つの医薬として許容される担体をさらに含む、式(I)〜(IX)の医薬組成物を提供する。
【0109】
別の局面では、本発明は、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせまたはそれらの任意の組み合わせに関連した障害を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする患者に、治療的に有効量の式(I)〜(IX)の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与することを包む。
【0110】
別の局面では、本発明は、LpxC、TACE、ADMP、アグリカナーゼ、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせに関連した障害を治療する薬剤を製造するための式(I)〜(IX)の化合物の使用を提供する。
【0111】
式(I)〜(IX)の化合物は、抗炎症活性および/または免疫調節活性を有することができ、限定されないが、敗血症性ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流損傷、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶、皮膚T細胞性リンパ腫などの癌、血管形成を伴う疾患、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、クローン病および結腸炎などの炎症性大腸炎、OAおよびRA、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、成人スティル病、ウレイティス(ureitis)、ヴェグナー肉芽腫症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、坐骨神経痛、複合性局所疼痛症候群、放射線障害、高酸素肺胞性損傷、歯周病、HIV、非インスリン依存性真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、緑内障、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成症、網膜疾患、強皮症、骨粗鬆症、腎虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化肺胞炎、乾癬、移植拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、可逆的気道閉塞、成人呼吸促進症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary diseease:COPD)および/または気管支炎を含む疾患の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、列挙された疾患の1以上の治療に有用であり得ることが企図される。
【0112】
また、式I〜IXの化合物は、抗菌活性も有することができ、グラム陰性感染およびグラム陽性感染を含む微生物感染の治療に有用であり得る。
【0113】
別の局面では、本発明は、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせに関連した障害を治療するための医薬組成物を調製する方法を提供し、該方法は、式I〜IXの少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの医薬として許容される担体とを十分に接触させることを含む。
【0114】
別の局面では、本発明は、被験体における、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせに関連した障害を治療するための医薬組成物を提供し、このような治療を必要とする被験体に、治療的有効量の式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体を投与することを含む。
【0115】
別の局面では、本発明は、精製した形態である式I〜IXの化合物を提供する。
【0116】
別の局面では、本発明は、被験体における、LpxC、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、MMP、TNF−α、アグリカナーゼ(例えば、アグリカナーゼ1、アグリカナーゼ2、アグリカナーゼ3、アグリカナーゼ4もしくはアグリカナーゼ5)、またはそれらの任意の組み合わせによって媒介された状態または疾患を治療するための方法を提供し:該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的有効量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0117】
別の局面では、本発明は、被験体における、関節リウマチ、骨関節炎、歯周病、歯肉炎、角膜潰瘍、固形腫瘍成長および二次転移による腫瘍浸潤、血管新生緑内障、炎症性腸疾患、多発性硬化症および乾癬からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法を提供し:該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0118】
別の局面では、本発明は、被験体における、発熱、心血管系状態、出血、血液凝固、悪液質、食欲不振、アルコール依存症、急性期反応、急性感染、ショック、移植片対宿主反応、自己免疫疾患およびHIV感染からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0119】
別の局面では、本発明は、被験体における、敗血症性ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流損傷、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶、皮膚T細胞性リンパ腫などの癌、血管形成を伴う疾患、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、クローン病および結腸炎などの炎症性大腸炎、骨関節炎および関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、成人スティル病、ウレイティス、ヴェグナー肉芽腫症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、坐骨神経痛、複合性局所疼痛症候群、放射線障害、高酸素肺胞性損傷、歯周病、HIV、非インスリン依存性真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、緑内障、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成症、網膜疾患、強皮症、骨粗鬆症、腎虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化肺胞炎、乾癬、移植拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、可逆的気道閉塞、成人呼吸促進症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支炎からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0120】
別の局面では、本発明は、COPDに関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0121】
別の局面では、本発明は、関節リウマチに関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0122】
別の局面では、本発明は、クローン病に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0123】
別の局面では、本発明は、乾癬に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物、エステルもしくは異性体を投与することを含む。
【0124】
別の局面では、本発明は、強直性脊椎炎に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0125】
別の局面では、本発明は、坐骨神経痛に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0126】
別の局面では、本発明は、複合性局所疼痛症候群に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0127】
別の局面では、本発明は、乾癬性関節炎に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0128】
別の局面では、本発明は、多発性硬化症に関連した状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、アボネックス(Avonex)□、ベータセロン(Betaseron)、コパキソン(Copaxone)または多発性硬化症の治療用に指定されている他の化合物からなる群から選択される化合物を併用して、治療的に有効な量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0129】
さらに、本発明の化合物は、疾患修飾性抗リウマチ薬(disease−modifying antirheumatic drugs:DMARDS)、例えばメトトレキセート、アザチオプリン、レフルノミド、ペンシリナミン(pencillinamine)、金塩、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミドおよび他の類似薬物と同時投与または併用され得る。また、それらは、NSAIDS、例えばピロキシカム、ナプロキセン、インドメタシン、イブプロフェンなど;COX−2選択的阻害剤、例えばバイオックス(Vioxx)(登録商標)およびセレブレックス(Celebrex)(登録商標);免疫抑制剤、例えばステロイド、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシンなど;生体応答調整剤(biological response modifier:BRM)、例えばエンブレル(Enbrel)(登録商標)、レミケード(Remicade)(登録商標)、IL−1拮抗剤、抗−CD40、抗−CD28、IL−10、抗−接着分子など;および他の抗炎症剤、例えばp38キナーゼ阻害剤、PDE4阻害剤、他の化学的に異なったTACE阻害剤、ケモカイン受容体拮抗剤、サリドマイドおよび前炎症性サイトカイン産生の他の小分子阻害剤と同時投与または併用され得る。
【0130】
また、本発明の化合物は、季節性アレルギー性鼻炎および/または喘息を治療するために、H1拮抗剤と同時投与または併用され得る。適切なH1拮抗剤は、例えばクラリチン(Claritin)(登録商標)、クラリネックス(Clarinex)(登録商標)、アレグラ(Allegra)(登録商標)またはジルテック(Zyrtec)(登録商標)であり得る。
【0131】
別の局面では、本発明は、被験体における、TACE、アグリカナーゼ、ADMP、MMP、TNF−α、アグリカナーゼ、またはそれらの任意の組み合わせによって媒介される状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDS)、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、生体応答調整剤(BRM)、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤を併用して、治療的に有効量の少なくとも1つの式I〜IXの化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0132】
別の局面では、本発明は、被験体における、関節リウマチ、骨関節炎、歯周炎、歯肉炎、角膜潰瘍、固形腫瘍成長および二次転移による腫瘍浸潤、血管新生緑内障、炎症性大腸炎、多発性硬化症および乾癬からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、DMARDS、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、BRM、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤を併用して、治療的に有効量の少なくとも1つの請求項1の化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0133】
別の局面では、本発明は、被験体における、敗血症性ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流損傷、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶、皮膚T細胞性リンパ腫などの癌、血管形成を伴う疾患、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、クローン病および結腸炎などの炎症性大腸炎、骨関節炎および関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、成人スティル病、ウレイティス、ヴェグナー肉芽腫症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、坐骨神経痛、複合性局所疼痛症候群、放射線障害、高酸素肺胞性損傷、歯周病、HIV、非インスリン依存性真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、緑内障、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成症、網膜疾患、強皮症、骨粗鬆症、腎虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化肺胞炎、乾癬、移植拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、可逆的気道閉塞、成人呼吸促進症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支炎からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする被験体に、DMARDS、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、BRM、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤の治療有効量を併用して、治療的に有効量の少なくとも1つの請求項1の化合物またはそれらの医薬として許容される塩、溶媒和物もしくは異性体を投与することを含む。
【0134】
別の局面では、本発明は、RAを治療する方法を提供し、該方法は、COX−2阻害剤、例えばセレブレックス(登録商標)またはバイオックス(登録商標);COX−1阻害剤、例えばフェルデン(Feldene)(登録商標);免疫抑制剤、例えばメトトレキセートまたはシクロスポリン;ステロイド、例えばβ−メタゾン;および抗−TNF−α化合物、例えばエンブレル(登録商標)またはレミケード(登録商標);PDE IV阻害剤、またはRAの治療用に指定されている他の種類の化合物からなるクラスから選択される化合物を併用して、式I〜IXの化合物を投与することを含む。
【0135】
別の局面では、本発明は、多発性硬化症を治療する方法を提供し、該方法は、アボネックス(登録商標)、ベータセロン、コパキソンまたは多発性硬化症の治療用に指定されている他の化合物からなる群から選択される化合物を併用して、式I〜IXの化合物を投与することを含む。
【0136】
別の局面では、本発明は、哺乳動物における微生物感染を治療する方法を提供し、該方法は、治療的に有効量の式I〜IXの化合物またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを該哺乳動物に投与することを含む。一態様では、感染を引き起こす微生物は、細菌であり、別の態様では、それは真菌である。一態様では、微生物感染は、グラム陰性感染であり;別の態様では、それはグラム陰性感染である。
【0137】
別の態様では、本発明は、哺乳動物における微生物感染を治療する方法を提供し、該方法は、1以上の追加の抗菌剤または抗真菌剤を併用して、治療的に有効量の式I〜IXの化合物を投与することを含む。一態様では、該追加の抗菌剤は、グラム陰性細菌に対して活性である。別の態様では、該追加の抗菌剤は、グラム陽性細菌に対して活性である。
【0138】
別の態様では、細菌感染は、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter hydrophila、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Aeromonas hydrophila、Alcaligenes xylosoxidans、Bacteroides distasonis、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus、Bacteroides ovatus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides vulgatus、Bartonella henselae、Bordetella pertussis、Branhamella catarrhalis、Brucella melitensis、Brucella abortus、Brucella canis、Burkholderia cepacia、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Campylobacter coli、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Citrobacter diversus、Citrobacter freundii、Citrobacter koseri、Coxiella burnetli、Edwarsiella tarda、Ehrlichia chafeenis、Eikenella corrondens、Enterobacter aerogenes、Enterobacter agglomerans、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Flavobacterium meningosepticum、Francisella tularensis、Fusobacterium spp.、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Helicobacter pylori、Kingella kingae、Klebsiella oxytoca、Klebsiella ozaenae、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella rhinoscleromatis、Legionella pneumophila、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Plesiomonas shigelloides、Porphyromonas asaccharolytica、Porphyromonas gingivalis、Prevotella bivia、Prevotella buccae、Prevotella corporis、Prevotella endodontalis、Prevotella intermedia、Prevotella melaninogenica、Prevotella oralis、Proteus mirabilis、Proteus myxofaciens、Proteus penner、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuarfii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Ricketsia prowozekii、Salmonella enterica、Serratia marcescens、Shigella boydii、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Stenotrophomonas maltophilia、Streptobacillus moniliformis、Vibrio alginolyticus、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vuluificus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、およびYersinia pseudotuberculosisからなる群から選択される少なくとも1つの生物によって引き起こされる。
【0139】
別の態様では、細菌感染は、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter spp.、Aeromonas hydrophila、Bacteroides fragilis、Bacteroides spp.、Bordetella pertussis、Campylobacter jejuni、Campylobacter spp.、Citrobacter freundii、Citrobacter spp.、Enterobacter cloacae、Enterobacter spp.、Escherichia coli、Fusobacterium spp.、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella spp.、Legionella pneumophila、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Prevotella spp.、Proteus mirabilis、Proteus spp.、Providencia stuartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas spp.、Salmonella enterica、Salmonella typhi、Serratia marcescens、Shigella spp.、Stenotrophomonas maltophilia、Vibrio cholerae、Vibrio spp.、Yersinia spp.からなる群から選択される少なくとも1つの生物によって引き起こされる。
【0140】
TACE活性は、内部でクエンチしたペプチド物質(SPDL−3)のTACE触媒開裂により生じる蛍光強度の増加速度を測定する動力学的アッセイによって決定される。このアッセイでは、組換えヒトTACE(rhTACEc、2個の突然変異(S266AおよびN452Q)を有する残基215〜477、および6×His尾部)の精製した触媒ドメインが用いられる。それは、アフィニティークロマトグラフィーを用いて、バキュロウイルス/Hi5細胞発現系から精製される。この基質SPDL−3は、内部でクエンチしたペプチド(MCA−Pro−Leu−Ala−Gln−Ala−Val−Arg−Ser−Ser−Ser−Dpa−Arg−NH2)であり、その配列は、プロ−TNF−α開裂部位に由来している。MCAは、(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチルである。Dpaは、N−3−(2,4−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニルである。
【0141】
50μlアッセイ混合物は、20mM HEPES、pH7.3、5mM CaCl、100μM ZnCl、2%DMSO、0.04%メチルセルロース、30μM SPDL−3、70pM rhTACEcおよび試験化合物を含む。RhTACEcは、90分間、25℃で、試験化合物とともにプレインキュベートされる。この基質を添加することにより、反応を開始する。蛍光強度(320nmで励起、405nmで発光)は、蛍光分光器(GEMINI XS,Molecular Devices)を用いて、30分間、45秒毎に測定した。酵素反応の速度は、1秒あたりのユニットとして示される。試験化合物の効果は、化合物なしでのTACE活性の%として示される。
【0142】
国際特許出願公開第WO00/05256号(2000年2月3日公開)の手法に従って、ADMP活性を検出し、本発明の化合物のIC50を測定した。これは、デスイントグリン(desintgrin)およびメタロプロテイナーゼトロンボスポリン4および5(ADAMTS−4−5)に対する活性を示した。
【0143】
この酵素は、Calbiochem(カタログ#PF113)から購入し、その特許に記載されているペプチド基質は、AnaSpecに特注した。
【0144】
標準的なLpxCアッセイは、アッセイバッファーおよび2%DMSO中の0.2nM LpxC酵素、1.0μM UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン、および試験化合物からなる。アッセイバッファーは、25mM HEPES、pH7.3、150mM NaCl、2.0mM DTT、および0.01% BSAで構成されている。酵素反応は、96ウェルアッセイプレートで行われ、最終容積は102μLである。試験化合物の溶液は、100%DMSO中で調製される。反応添加物は、順番に、(1)2.0μL化合物溶液、(2)80μLのアッセイバッファー、(3)10μLの10μM UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン(アッセイバッファー中)、および(4)10μLのLpxC酵素(アッセイバッファー中、20nM)であり、反応を開始する。正の対照反応では、添加物(1)は、2.0μLの100%DMSO(化合物を含まない)を有する;これらの反応は、全シグナル(TSB)値として用いられる。反応物は、室温で60分間インキュベートし、その後、10μLの1N HClを添加して反応を停止させる。完全なクエンチングを確実にするために、手でプレートを10秒間振る。アッセイプレートをホイールテープでシールし、分析前に、−80℃で24〜48時間保存される。
【0145】
反応混合物中の基質および生成物の濃度は、BioTrove所有のRapidFire(商標)ハイスループット質量分析(high−throughput mass spectrometry:HTMS)を用いて測定した。アッセイ混合物は、逆相クロマトグラフィーを用いて部分的に精製し、5mMギ酸アンモニウムを含む水で洗浄し、アセトニトリル80%、水20%、および5mMギ酸アンモニウム中で質量分析計上に溶出される。基質および生成物の質量分析のピーク面積を測定して、これらの分析物の濃度を決定する。アッセイシグナルは、生成物に変換される基質の割合である。試験試料中の阻害パーセント、%Iは、下記の方程式:
【0146】
【化12】

から決定される。
【0147】
本発明の典型的な化合物の阻害活性は、下記の表に記載されている。この下記の表では、30%を超える阻害には、評価「A」が割り当てられ、10〜30%阻害には、評価「B」が割り当てられ、10%未満の阻害には、評価「C」が割り当てられる。
【0148】
【化13】

【0149】
【化14】

【0150】
【化15】

【0151】
【化16】

【0152】
【化17】

【0153】
【化18】

【0154】
【化19】

代表的な化合物についてのADMP阻害活性は、下記の表に示される。5μMを超える(>5μM)IC50値を有する化合物は、「D」類と指定される。IC50値が1μMを超えるが、最大5μM(>0.1M〜5μM)である化合物は、「C」類と指定される。0.25μMと1.0μMとの間(0.25μM〜1μM)のIC50値は、「B」類と指定される。0.25μM未満(<0.25μM)のIC50値は、「A」類と指定される。
【0155】
【化20】

【0156】
【化21】

【0157】
【化22】

【0158】
【化23】

【0159】
【化24】

【0160】
【化25】

【0161】
【化26】

【0162】
【化27】

【0163】
【化28】

特定のIC50値(ADMP阻害)を有する本発明の化合物の代表的な例は、下記の表に列挙されている。
【0164】
【化29】

【0165】
【化30】

有効成分を含む医薬組成物は、経口使用、例えば錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、乳濁液、硬質もしくは軟質カプセル、あるいはシロップまたはエリキシル剤に適した形態であってもよい。経口使用のために意図される組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、医薬として洗練され、口当たりが良い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤からなる群から選択される1以上の薬物を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の医薬として許容される賦形剤とともに混合した有効成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えばスターチ、ゼラチンまたはアカシア、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであってもよい。これらの錠剤は、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させるために、公知技術によって被覆することができ、それにより、長期間にわたった持続作用を提供する。例えば、時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンが採用されてもよい。また、それらは、放出制御された浸透圧治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載されている技術によって被覆することができる。
【0166】
また、経口使用のための製剤は、硬質ゼラチンカプセル、ここで、有効成分は、不活性な固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される、あるいは軟質ゼラチンカプセル、ここで、有効成分は、水または油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合される、として提供され得る。
【0167】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤とともに活性物質を含む。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガム、アカシアガム;分散剤または湿潤剤は、天然に存在しているホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびへキシトール由来の部分エステル類との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水へキシトール由来の部分エステル類との縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい、である。水性懸濁液は、1以上の防腐剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル、1以上の着色剤、1以上の香味剤、および1以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテームも含んでもよい。
【0168】
油性懸濁液は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または鉱油、例えば流動パラフィンに有効成分を懸濁することにより調合され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含んでもよい。甘味剤、例えば上述されるもの、および香味剤は、口当たりがいい経口調合物を提供するために添加されてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸の添加によって保存可能である。
【0169】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1以上の防腐剤とともに混合して有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上述したものによって例示されている。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在してもよい。
【0170】
また、本発明の医薬組成物は、水中油型乳濁液の形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば流動パラフィンあるいはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在しているホスファチド、例えば大豆、レシチン、脂肪酸と無水へキシトールとに由来するエステル類または部分エステル類、例えばソルビタンモノオレエート、および該部分エステル類とエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。また、乳化剤は、甘味剤および香味剤を含むことができる。
【0171】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースとともに製剤化されてもよい。また、このような製剤は、粘滑剤(demulcent)、防腐剤および香味剤および着色剤を含んでもよい。
【0172】
また、医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述された適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知技術に従って製剤化することができる。また、無菌の注射可能な調合物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールの溶液であり得る。採用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁媒体として、無菌の不揮発性油が慣習的に採用される。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のブランドの不揮発性油を採用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能物の調製において利用される。
【0173】
また、本発明の化合物は、薬物を直腸投与するための坐薬の形態で投与することもできる。組成物は、薬物を適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができ、該賦形剤は、常温では固体であるが、直腸温度では液体となり、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する。このような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0174】
局所的な使用に関しては、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが採用される(この用途の目的のために、局所的用途は、マウスウォッシュおよび咽頭洗浄剤を含む)。
【0175】
本発明の化合物は、当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を用いて、適切な鼻内ビヒクルの局所的使用を介して、または経皮経路を介して鼻内形態で投与することができる。経皮送達システムの形態で投与するために、用量投与は、当然、服用投与計画を通じて断続的というよりはむしろ連続的となる。また、本発明の化合物は、基剤、例えばココアバター、グリセリン化ゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物およびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを採用する坐薬として送達することができる。
【0176】
本発明の化合物を利用する服用投与計画は、種々の因子に従って選択され、これらの因子には、患者のタイプ、種、体重、性別および病状;治療されるべき状態の重症度;投与経路;患者の腎臓および肝臓の機能;および採用される特定の化合物が含まれる。通常の技術を有する医師または獣医師は、状態の進行を防止し、対抗し、阻止しまたは逆行するのに必要な有効量の薬物を容易に決定し処方することができる。毒性なしに有効性を生む範囲内で薬物の濃度を達成させる最適な精度は、標的部位に対する薬物の利用性の動力学に基づいた処方計画を必要とする。これは、薬物の分布、平衡、および排出の検討を伴う。好ましくは、本発明の方法に有用な式I〜IXの化合物の服用量は、0.01〜1000mg/日の範囲である。より好ましくは、服用量は、0.1〜1000mg/日の範囲である。最も好ましくは、服用量は、0.1〜500mg/日の範囲である。経口投与に関して、組成物は、治療されるべき患者への服用量を対症的に調節するために、好ましくは、0.01〜1000ミリグラムの有効成分、特に0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラムの有効成分を含む錠剤の形態で提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.0002mg/kg体重〜約50mg/kg体重の服用レベルで供給される。この範囲は、より具体的には、1日当たり約0.001mg/kg体重〜1mg/kg体重である。
【0177】
有利には、本発明の活性剤は、1日1回の用量で投与されてもよく、または1日の全服用量は、1日2回、3回または4回に分割した服用量で投与されてもよい。
【0178】
単回の剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に依存して変更される。
【0179】
しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な服用レベルは、種々の因子に依存し、これらの因子には、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食習慣、投与時間、経路または投与、排出速度、薬物の組み合わせおよび治療中の特定の疾患の重症度が含まれることは理解される。
【0180】
本発明の化合物は、以下の反応スキーム並びに下記の製造例および実施例に示されるように、当業者に知られているプロセスによって製造することができる。
【実施例】
【0181】
下記の省略形は、手順およびスキームにおいて用いられている:
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
ADDP 1,1−(アゾジカルボニル)ジピペリジン
Anh. 無水
Aq 水性
BOC tert−ブトキシカルボニル
℃ 摂氏温度
CBZCl クロロギ酸ベンジル
CDI カルボジイミド
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
(DHQ)2PHAL ヒドロキニン1,4−フタラジンジイルジエーテル
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DME ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMFDMA N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
DMPU 1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1h)−ピリミジノン
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EI 電子イオン化
Eq 当量
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
h. 時間
H プロトン
HATU N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
Hex ヘキサン
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LAH 水素化リチウムアルミニウム
LDA リチウムジイソプロピルアミド
M モル濃度
mCPBA メタ−クロロペルオキシ安息香酸
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
ml ミリリットル
MS 質量分析
NMM N−メチルモルホリン
NMP 1−メチル−2−ピロリドン
ON 一晩
Pd(BuP) ビス−(トリ−tert−ブチロホスフィン)パラジウム
Pd(TPP) テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム
Pd(Oac) 酢酸パラジウム(II)
PdCl(TPP) 塩化ビス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
PdCl(ddppf) ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(ii)ジクロリド
Pd(dba) トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
PyBrOP ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Pyr ピリジン
RT 室温
SiO シリカゲル60クロマトグラフィー
sgc シリカゲル60クロマトグラフィー
tBOC tert−ブトキシカルボニル
TACE TNF−アルファ変換酵素
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TPP トリフェニルホスフィン
保持時間。
【0182】
NMRスペクトルは、溶媒としてCDCl3またはDMSO−d6を用いて、Mercuryplus 400MHz NMR Spectrometer(Varian)で獲得した。LC−MSデータは、3500Vに設定された毛細管電圧を備えたAgilent 1100 Series LC/MSD(四極子、API−ES(Atmospheric Pressure Interface Electrospray))を用いて、ポジティブモードで可動することで得られた。報告された分析用HPLC(LC/MS)の保持時間は、C18(150×4.6mm)逆相カラムを用いて、3mL/分の流速で、水中の0.1%トリフルオロ酢酸〜95:5のアセトニトリル:水の5分または10分の勾配で溶出して得られた。
【0183】
逆相クロマトグラフィーによる精製は、C18逆相カラムを用いて、20mL/分の流速で、水中の0.1%トリフルオロ酢酸〜95:5のアセトニトリル:水の勾配で達成された。試料は、UV(Gilson、254nm)または質量スペクトル(Agilent 1100 Series LC/MSDモデルSL)シグナルを用いて回収した。
【0184】
Biotage機器での順相シリカゲルクロマトグラフィーは、フラッシュカートリッジ12+Mまたは25+Mを備えたKP−SIL 32−63μmカラム、60Åを利用して、Quad UV System(P/N07052)を用いて達成された。
【0185】
式(I)〜(IX)の化合物は、下記の反応スキーム並びに下記の製造例および実施例に示されるように、当業者に知られているプロセスによって製造することができる。これらの製造例および実施例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者に明確であり得る。これらの化合物のあらゆる種類の異性形態は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0186】
実施例:
実施例1:
【0187】
【化31】

パートA:
0℃(氷浴)でのメタノール(60mL)中のL−酒石酸ジメチルエステル(1)(29.8g、136mmol)の撹拌溶液に、水(20mL)中の水酸化カリウム(6.9g、123mmol)の溶液を30分かけて添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、水(40mL)を添加し、塩基性溶液をジエチルエーテル(30mL×3)で洗浄した。この塩基性溶液は、6N HClを用いて酸性にしてpH2.0とし、固体の塩化ナトリウムを用いて飽和させ、ジエチルエーテル(40mL×4)に生成物を抽出した。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮して、化合物2(22.2g、79%収率)を無色の油状物として得た。
【0188】
パートB:
DMF(20mL)中の化合物2(1.13g、5.53mmol)およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(3.2g、8.3mmol)の混合物に、アミン構成要素(building block)(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(2.89mL、16.59mmol)を添加した。反応混合物は、室温で3時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を真空中で除去し、酢酸エチルを添加し、この有機溶液を、続けて、飽和NaHCO(×1)、水(×1)、ブライン(×1)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中の20%酢酸エチル)による精製によって、化合物3(60〜80%収率)を得た。
【0189】
パートC:
THF(30mL)および水(10mL)中の化合物3(850mg、3.9mmol)およびLiOH(1M、5.85mL、5.85mmol)の混合物を室温で5時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を真空中で除去し、水を添加し、水溶液を1N HClを用いて酸性にしpH4.0とした。酸性溶液は、固体の塩化ナトリウムを用いて飽和させ、酢酸エチル(×2)に生成物を抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮して、化合物4〜7(60〜70%収率)を得た。
【0190】
下記の骨格(scaffold)は、この手順を用いて合成した:
【0191】
【化32】

実施例2:
実施例2A:
【0192】
【化33】

パートA:
THF(5mL)中の4−ヨードアニリン(8)(440mg、2mmol)、ヨウ化銅(7.6mg、0.04mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(14mg、0.02mmol)の混合物に、フェニルアセチレン(244.8mg、2.4mmol)およびトリエチルアミン(556μL、4mmol)を添加した。反応容器にアルゴンを流し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。酢酸エチル(5mL)を添加し、セライトのプラグを通過させて沈殿物を除去した。ろ液を濃縮し、粗生物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中の6%酢酸エチル)によって精製し、化合物9を茶色の固体として得た(321mg、82%収率)。HPLC−MS t=1.88分(UV254nm);式C14H11Nに対して計算した質量193.1、実測したLCMS m/z 194.1(M+H)。
【0193】
実施例2B:
【0194】
【化34】

パートA:
化合物11は、実施例2AのパートAに記載したSonogashira Coupling条件を用いて、5−ヨードインドール(10)から調製した。HPLC−MS t=2.06分(UV254nm);式C16H11Nに対して計算した質量217.1、実測したLCMS m/z 218.1(M+H)。
【0195】
実施例2C:
【0196】
【化35】

パートA:
DMF(3mL)中の3−ブロモ−N−メチルベンジルアミン(12)(400mg、2mmol)、ヨウ化銅(15.2mg、0.08mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(28mg、0.04mmol)の混合物に、フェニルアセチレン(244.8mg、2.4mmol)およびトリエチルアミン(556μL、4mmol)を添加した。反応容器にアルゴンを流し、反応混合物を5分間、110℃で電子レンジで加熱した。揮発性物質を真空中で除去し、酢酸エチルを添加し、この有機溶液を、続けて飽和NaHCO(×1)、水(×1)、ブライン(×1)で洗浄し、次に1N HClで抽出した。酸性溶液を1M NaOHを用いて塩基性にしてpH9.0とし、続いて、酢酸エチルで再抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。化合物13は、さらに精製することなしに使用された。HPLC−MS t=1.24分(UV254nm);式C16H15Nに対して計算した質量221.1、実測したLCMS m/z 222.1(M+H)。
【0197】
実施例2D:
【0198】
【化36】

パートA:
化合物15は、実施例2AのパートAに記載したSonogashira Coupling条件を用いて、2−ヨードアニリン(14)から調製した。HPLC−MS t=2.01分(UV254nm);式C14H11Nに対して計算した質量193.1、実測したLCMS m/z 194.1(M+H)。
【0199】
実施例2E:
【0200】
【化37】

パートA:
化合物17は、実施例2AのパートAに記載したSonogashira Coupling条件を用いて、3−ヨードアニリン(16)から調製した。HPLC−MS t=1.94分(UV254nm);式C14H11Nに対して計算した質量193.1、実測したLCMS m/z 194.1(M+H)。
【0201】
実施例2F:
【0202】
【化38】

パートA:
NMP(2mL)中のBoc−D−Thr(t−Bu)−OH(100mg、0.36mmol)およびHATU(207mg、0.54mmol)の混合物に、化合物9(77mg、0.4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(209μL、1.2mmol)を添加した。反応混合物を55℃で16時間加熱した。酢酸エチル(5mL)を添加し、この有機溶液を、続けて、飽和NaHCO(×1)、ブライン(×1)、0.5N HCl(×1)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中の20%酢酸エチル)による精製により、化合物19を白色固体として得た。HPLC−MS t=2.52分(UV254nm);式C27H34N2O4に対して計算した質量450.3、実測したLCMS m/z 339.1(M−(2×t−Bu)+H)。
【0203】
パートB:
0℃(氷浴)でのジオキサン(1mL)中の化合物19(0.1mmol)の溶液に、ジオキサン(2mL)および水(0.2mL)中の4N HClを添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を真空中で除去し、アセトニトリルを添加し、濃縮し、乾燥させて、化合物20(100%収率)を白色固体として得た。HPLC−MS t=1.32分(UV254nm);式C18H18N2O2に対して計算した質量294.1、実測したLCMS m/z 295.1(M+H)。
【0204】
実施例2G:
【0205】
【化39】

パートA
化合物22は、実施例2FのパートAに記載したカップリング条件を用いて、Boc−L−Thr(t−Bu)−OH(21)および化合物9から調製した。HPLC−MS t=2.62分(UV254nm);式C27H34N2O4に対して計算した質量450.3、実測したLCMS m/z 339.1(M−(2×t−Bu)+H)。
【0206】
パートB:
化合物23は、実施例2FのパートBに記載した加水分解条件を用いて、化合物22から調製した。HPLC−MS t=1.35分(UV254nm);式C18H18N2O2に対して計算した質量294.1、実測したLCMS m/z 295.1(M+H)。
【0207】
実施例3:
【0208】
【化40】

パートA:
NMP(2mL)中の一塩基酸(4〜7)(25mg、0.12mmol)およびHATU(68mg、0.18mmol)の混合物に、アミン構成要素(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(69μL、0.40mmol)を添加した。反応混合物を55℃で16時間加熱した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を真空中で除去し、酢酸エチルを添加し、この有機溶液を、続けて、飽和NaHCO(×1)、水(×1)、ブライン(×1)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。Prep.LCによる精製により、化合物24(80〜90%収率)を得た。
【0209】
パートB:
0℃(氷浴)でのジオキサン(1mL)中の化合物24(0.1mmol)の溶液に、ジオキサン(2mL)および水(0.2mL)中の4N HClを添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。揮発性物質を真空中で除去し、アセトニトリルを添加し、濃縮し、乾燥させて、化合物25〜101(100%収率)を得た。Prep−LCによる精製および塩酸塩への変換によって、化合物25〜101を白色固体として得た。
【0210】
下記のリガンドをこの手順を用いて合成した:
【0211】
【化41】

【0212】
【化42】

【0213】
【化43】

【0214】
【化44】

【0215】
【化45】

【0216】
【化46】

【0217】
【化47】

【0218】
【化48】

実施例4:
【0219】
【化49】

パートA:
THF(2mL)中の化合物80(28mg、0.071mmol)およびヨードメタン(13.4μL、0.21mmol)の混合物に、水素化ナトリウム(油中60%分散、3.1mg、0.079mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物のLC−MS分析は、反応が完了したことを示した。酢酸エチルを添加し、この有機溶液を、続けて、飽和NaHCO(×1)、水(×1)、ブライン(×1)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。さらに精製することなしに化合物102を用いた。
【0220】
パートB:
化合物103および104は、実施例3のパートBに記載した手順を用いて調製した。
【0221】
下記のリガンドをこの手法を用いて合成した:
【0222】
【化50】

下記の表−2中の化合物は、実施例1のパートA、B、C、および実施例3のパートAおよびBにおいて説明した手順に本質的に従って調製することができる。
【0223】
【化51】

【0224】
【化52】

【0225】
【化53】

【0226】
【化54】

【0227】
【化55】

【0228】
【化56】

【0229】
【化57】

【0230】
【化58】

【0231】
【化59】

【0232】
【化60】

【0233】
【化61】

【0234】
【化62】

【0235】
【化63】

【0236】
【化64】

【0237】
【化65】

【0238】
【化66】

【0239】
【化67】

【0240】
【化68】

実施例−5
【0241】
【化69】

パートA、B(化合物105)、およびC(化合物106)は、実施例1に記載したように行われる。
【0242】
パートD:
化合物106(1.0gm)を無水THFに溶解し、−40℃に冷却し、窒素雰囲気下で維持した。これに2当量のBHのTHF(2.0M)溶液を滴加し、この溶液を−40℃で1時間撹拌し、反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌し続けた。
【0243】
溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(200m)で抽出した。有機相を水、ブラインで洗浄し、無水MgSO上で乾燥させた。ろ過し、乾燥するまで濃縮することにより、生成物107を得た。溶出液ヘキサンおよび酢酸エチル(8:2)を用いてシリカカラム上で精製した。
【0244】
パートE:
化合物107(250mg)をジクロロメタンに溶解させ、大過剰(10当量)のTEMPOレジンをそれに添加した。反応混合物は、室温で一晩撹拌した。LCMS分析は完了を示した。混合物をろ過し、有機相を真空下で溶媒蒸発させた。さらに精製することなしに化合物108を用いた。HPLC−MS t=1.50分(UV254nm);式C1619NOに対して計算した質量289.33、実測したLCMS m/z 290.1(M+H)。
【0245】
パートF:
化合物108(145mg、0.5mmol)および4−ter−ブトキシベンジルアミン(0.6mmol、98mg、1.1当量)をジクロロメタンに溶解させ、この溶液に100μLの酢酸を添加し、続いて水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(3当量)を添加し、溶液を室温で一晩撹拌した。分析は、反応の完了を示した。反応混合物に200mLのジクロロメタンを添加し、水、ブラインで洗浄し、DCM相を無水MgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空下で溶媒蒸発させ、化合物109を得た。これを溶出液ヘキサン−酢酸エチルを用いたシリカゲルカラム上で精製した。HPLC−MS t=2.75分(UV254nm);式C2736に対して計算した質量452.27、実測したLCMS m/z 453.1(M+H)。
【0246】
パートG:
化合物109(110mg、0.25mmol)および4−ブロモイソシアネート(0.3mmol、60mg、1.2当量)をジクロロメタンに溶解し、溶液を室温で一晩撹拌した。分析は、反応の完了を示した。反応混合物に100mLのジクロロメタンを添加し、水、ブラインで洗浄し、DCM相を無水MgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空下で溶媒蒸発させ、化合物110を得た。これを溶出液ヘキサン−酢酸エチルを用いたシリカゲルカラム上で精製した。HPLC−MS t=3.25分(UV254nm);式C3440Brに対して計算した質量649.22、実測したLCMS m/z 650.0(M+H)。
【0247】
パートH:
化合物110(25mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、90%のトリフルオロ酢酸水溶液を添加し、室温で45分間攪拌した。溶媒を真空下で溶媒蒸発させ、得られた物質をPrep HPLC上で精製して、生成物111を得た。HPLC−MS t=1.80分(UV254nm);式C2728Brに対して計算した質量553.12、実測したLCMS m/z 554.1(M+H)。
【0248】
実施例6:
【0249】
【化70】

パートA、B、Cは、実施例1(パートa、b、c)に記載したように調製することができる。
【0250】
パートD:
化合物106(2mmol、610mg)をTHF(50mL)に溶解させ、0℃に冷却し、窒素雰囲気下で維持した。撹拌している上記溶液に、THf中のN,N’カルボニルジイミダゾール(2.2mmol、356mg)の溶液を添加し、一晩撹拌し続けた。溶媒除去により、定量的な収率で活性化したエステルが得られ、精製することなしに次のステップに用いる。
HPLC−MS t=3.25分(UV254nm);式C1921に対して計算した質量371.15、実測したLCMS m/z 372.10(M+H)。
【0251】
パートE:
インサイチュ(in situ)で生じた化合物113[−78℃でTHF中のマロン酸水素エチルにジブチルマグネシウムを添加し、−78℃で1時間撹拌する]をTHF中の化合物112を含む溶液に添加し、室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(100mL)を添加した。有機相を水、ブラインで洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させ、ガム状物質を得て、シリカゲルカラム上で精製して、化合物114を得た。HPLC−MS t=1.95分(UV254nm);式C2025NOに対して計算した質量375.17、実測したLCMS m/z 376.10(M+H)。
【0252】
パートF:
エタノール(5mL)中の化合物114(0.2mmol、75mg)に3−ヒドロキシベンジルヒドラジド・二塩酸塩(0.22mmol、50mg)およびトリエチルアミン(140μL、1mmol、5当量)を添加し、一晩還流した。LCMS分析は、生成物形成を示した。エタノールを蒸発させ、化合物を調製用HPLCによって精製し、生成物115を得た。HPLC−MS t=1.50分(UV254nm);式C2527N3Oに対して計算した質量449.17、実測したLCMS m/z 450.10(M+H)。
【0253】
パートG:
化合物116は、実施例3のパートBに記載した手順を用いて調製した。HPLC−MS t=1.40分(UV254nm);式C2527N3Oに対して計算した質量409.16、実測したLCMS m/z 410.10(M+H)。
【0254】
実施例7
化合物117
【0255】
【化71】

化合物117は、化合物116の合成、実施例6(パートA〜F)に記載した手順に準じて合成した。HPLC−MS t=1.40分(UV254nm);式C2222BrNに対して計算した質量471.08、実測したLCMS m/z 472.00(M+H)。
【0256】
実施例8:
化合物119:
【0257】
【化72】

パートA:
化合物106は、実施例6に記載したように作製した。
【0258】
化合物106(305mg、1mmol)をジメチルホルムアミドおよびHATU(408mg、1.1mmol)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミンアミン(525uL、3mmol)を添加し、室温で撹拌した。10分後、4−ブロモo−フェニレンジアミンを反応混合物に添加し、一晩撹拌し続けた。LCMS分析は、反応の完了を示した。反応混合物を希釈した。
【0259】
実施例9
化合物121
【0260】
【化73】

化合物120:
3−キノリン−2−イル−アクリル酸(400mg、2mmol)をジメチルホルムアミドおよびHATU(800mg、2.2mmol)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(1.2ml、6mmol)をそれに添加し、室温で撹拌した。この溶液に、4−メチルスルホニルベンジルアミン塩酸塩を添加し、4時間撹拌し続けた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄し、無水MgSO上で乾燥させた。ろ過し、有機溶媒を蒸発させて、生成物120を得る。
【0261】
化合物121:
化合物120(185mg、0.5mmol)をジクロロメタンに溶解させ、四酸化オスミウム(254mg、1mmol)をそれに添加し、混合物を一晩撹拌させる。LC分析は、反応の完了を示した。溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラム、続く調製用HPLCを通過させることによって生成物を精製し、生成物121を得る。
【0262】
実施例10:
下記の表に列挙した化合物は、Sonogashiraカップリング、続く化合物5または7とHATUとのカップリングを利用する実験2Aまたは2Cに記載した手順、および実施例3AおよびBに記載した加水分解から調製することができる。
【0263】
【化74】

広範な発明の概念から逸脱することなしに、上述した態様について変更がなされ得ることは当業者によって承認される。したがって、本発明は、開示した特定の態様に限定されないが、添付される特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神および範囲にある修飾を保護することが意図される。
【0264】
本特許出願に言及されている各々のおよび全ての文献は、全ての目的のために全体として参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
(i)RおよびRの各々は、独立して、水素またはアルキルであり;
(ii)RおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルと縮合され;
およびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、1または2個の置換基で置換され、各置換基は、独立して、アリールおよびアルキニルからなる群から選択され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル(perhaloalkyl)、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ペルハロアルコキシ(perhaloalkoxy)、およびアルキニル部分からなる群から独立して選択される1または2個の部分で置換され、該アルキニル部分は、アリールラジカルで置換され;
該アルキニル置換基は、アリール部分で置換され、該アリール部分は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から選択される1〜3個のラジカルで置換され;および
(iii)RおよびRの各々は、アルキルであり、あるいはRおよびRは、それらが上記のように結合している窒素とともに一緒になって、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり;
およびRを含む該ヘテロシクリルは、未置換であるか、または場合により、アリール置換基で置換され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で置換され;
ただし、RおよびRは、RおよびRが上記のように結合している該窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルである場合のみ、RおよびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、未置換であり得るか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で独立して置換され得る〕
で表わされる化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項2】
およびRは、ともに水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、アルキニル部分で置換され、該アルキニル部分は、アリールラジカルで置換され;
およびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアルキニル置換基は、アリール部分で置換される、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、ピロリル、ベンゾピロリル、ピペリジニル、ベンゾピペリジニル、ピロロジニル、およびベンゾピロロジニルからなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
前記RおよびRを含むヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、フェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記アルキニル部分のアリールラジカルは、フェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
前記RおよびRは、それらが上記のように結合している前記窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
およびRを含む前記ヘテロシクリルは、ピロロジニルおよびピペリジニルからなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
およびRを含む前記ヘテロシクリルは、未置換である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
およびRを含む前記ヘテロシクリルは、アリール置換基で置換され、該アリール置換基は、ハロ部分で置換される、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
前記アリール置換基は、フェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
およびRの各々は、アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
前記RおよびRは、ともにメチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
(i)RおよびRは、それらが上記のように結合している前記窒素とともに一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、場合により、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルと縮合され;
およびRを含む該ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、アリール置換基で置換され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1または2個の部分で置換され;
(ii)RおよびRは、それらが上記のように結合している前記窒素とともに一緒になって、該窒素を含む1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり;
およびRを含む該ヘテロシクリルは、未置換であるか、または場合により、アリール置換基で置換され;
該アリール置換基は、未置換であるか、または場合により、ペルハロアルキル、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびペルハロアルコキシからなる群から独立して選択される1〜3個の部分で置換される、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項15】
およびRを含む前記ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのアリール置換基は、未置換であるか、またはペルハロアルキルで置換される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記アリール置換基は、フェニルまたはベンジルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
およびRを含む前記ヘテロシクリルは、未置換である、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
およびRを含む前記ヘテロシクリルは、ピロロジニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物は、
【化2】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項20】
【化3】

からなる群から選択される化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項21】
有効成分として、請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを含む医薬組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの医薬として許容される担体をさらに含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
腫瘍壊死因子−アルファ−変換酵素(tumor necrosis factor−alpha−converting enzyme:TACE)、アグリカナーゼ、アグリカン分解メタロプロテアーゼ(aggrecan degrading metallo protease:ADMP)、UDP−3−O−(R−3−ヒドロキシミリストイル)−N−アセチルグルコサミン・デアセチラーゼ(LpxC)、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)、ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ(a disintegrin and metalloprotease:ADAM)またはそれらの任意の組み合わせと関連した障害を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、治療的に有効量の請求項1、19もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項24】
TACE、LpxC、アグリカナーゼ、ADMP、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせと関連した障害を治療するための薬剤を製造するための請求項1、19、もしくは20に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルの使用。
【請求項25】
TACE、アグリカナーゼ、ADMP、LpxC、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせと関連した障害を治療するための医薬組成物を調製する方法であって、請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル、および少なくとも1つの医薬として許容される担体を十分に接触させることを含む方法。
【請求項26】
被験体におけるTACE、アグリカナーゼ、ADMP、LpxC、TNF−α、MMP、ADAMまたはそれらの任意の組み合わせと関連した障害を治療するための医薬組成物であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む医薬組成物。
【請求項27】
精製した形態である請求項1、19、もしくは20に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステル。
【請求項28】
被験体におけるTACE、MMP、ADMP、LpxC、TNF−α、アグリカナーゼ、またはそれらの任意の組み合わせによって媒介される状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項29】
前記アグリカナーゼは、アグリカナーゼ1、アグリカナーゼ2、アグリカナーゼ3、アグリカナーゼ4、またはアグリカナーゼ5である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
被験体における関節リウマチ、骨関節炎、歯周炎、歯肉炎、角膜潰瘍、固形腫瘍成長および二次転移による腫瘍浸潤、血管新生緑内障、炎症性大腸炎、多発性硬化症および乾癬からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項31】
被験体における発熱、心血管系状態、出血、血液凝固、悪液質、食欲不振、アルコール依存症、急性期反応、急性感染、ショック、移植片対宿主反応、自己免疫疾患およびHIV感染からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項32】
被験体における敗血症性ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流損傷、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶、皮膚T細胞性リンパ腫などの癌、血管形成を伴う疾患、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、クローン病および結腸炎などの炎症性大腸炎、骨関節炎および関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、成人スティル病、ウレイティス(ureitis)、ヴェグナー肉芽腫症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、坐骨神経痛、複合性局所疼痛症候群、放射線障害、高酸素肺胞性損傷、歯周病、HIV、非インスリン依存性真性糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、緑内障、サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成症、網膜疾患、強皮症、骨粗鬆症、腎虚血、心筋梗塞、脳卒中、脳虚血、腎炎、肝炎、糸球体腎炎、特発性線維化肺胞炎、乾癬、移植拒絶、アトピー性皮膚炎、脈管炎、アレルギー、季節性アレルギー性鼻炎、可逆的気道閉塞、成人呼吸促進症候群、喘息、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)および気管支炎からなる群から選択される状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項33】
COPDと関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項34】
関節リウマチと関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項35】
クローン病と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項36】
乾癬と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項37】
強直性脊椎炎と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項38】
坐骨神経痛と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項39】
複合性局所疼痛症候群と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項40】
乾癬性関節炎と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項41】
多発性硬化症と関連した状態または疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする該被験体に、アボネックス(Avonex)(登録商標)、ベータセロン(Betaseron)、コパキソン(Copaxone)もしくは多発性硬化症の治療のために指定されている他の化合物を併用して、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の少なくとも1つの化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む方法。
【請求項42】
疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti−rheumatic drug:DMARD)、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、生物応答修飾剤(biological response modifier:BRM)、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤を前記被験体に投与することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
DMARD、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、BRM、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤を前記被験体に投与することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
DMARD、NSAID、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、BRM、抗炎症剤およびH1拮抗剤からなる群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの薬剤を前記被験体に投与することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物における微生物感染を治療する方法であって、治療的に有効量の請求項1、19、もしくは20に記載の化合物、またはその医薬として許容される塩、溶媒和物もしくはエステルを該哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項46】
前記微生物感染は、細菌感染または真菌乾癬である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細菌感染は、グラム陰性菌感染である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記細菌感染は、グラム陽性菌感染である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
1以上の追加の抗菌剤を投与することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記抗菌剤は、グラム陰性細菌に対して活性である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記抗菌剤は、グラム陽性細菌に対して活性である、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記微生物感染は、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter calcoaceticus、Acinetobacter haemolyticus、Acinetobacter hydrophila、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Aeromonas hydrophila、Alcaligenes xylosoxidans、Bacteroides distasonis、Bacteroides fragilis、Bacteroides melaninogenicus、Bacteroides ovatus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides vulgatus、Bartonella henselae、Bordetella pertussis、Branhamella catarrhalis、Brucella melitensis、Brucella abortus、Brucella canis、Burkholderia cepacia、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Campylobacter coli、Campylobacter fetus、Campylobacter jejuni、Citrobacter diversus、Citrobacter freundii、Citrobacter koseri、Coxiella burnetli、Edwarsiella tarda、Ehrlichia chafeenis、Eikenella corrondens、Enterobacter aerogenes、Enterobacter agglomerans、Enterobacter cloacae、Escherichia coli、Flavobacterium meningosepticum、Francisella tularensis、Fusobacterium spp.、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Helicobacter pylori、Kingella kingae、Klebsiella oxytoca、Klebsiella ozaenae、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella rhinoscleromatis、Legionella pneumophila、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Plesiomonas shigelloides、Porphyromonas asaccharolytica、Porphyromonas gingivalis、Prevotella bivia、Prevotella buccae、Prevotella corporis、Prevotella endodontalis、Prevotella intermedia、Prevotella melaninogenica、Prevotella oralis、Proteus mirabilis、Proteus myxofaciens、Proteus penner、Proteus vulgaris、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、Providencia stuarfii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Ricketsia prowozekii、Salmonella enterica、Serratia marcescens、Shigella boydii、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Stenotrophomonas maltophilia、Streptobacillus moniliformis、Vibrio alginolyticus、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vuluificus、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、およびYersinia pseudotuberculosisからなる群から選択される少なくとも1つの生物によって引き起こされる、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記細菌因子は、Acinetobacter baumannii、Acinetobacter spp.、Aeromonas hydrophila、Bacteroides fragilis、Bacteroides spp.、Bordetella pertussis、Campylobacter jejuni、Campylobacter spp.、Citrobacter freundii、Citrobacter spp.、Enterobacter cloacae、Enterobacter spp.、Escherichia coli、Fusobacterium spp.、Haemophilus influenzae、Haemophilus parainfluenzae、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella spp.、Legionella pneumophila、Moraxella catarrhalis、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Pasteurella multocida、Prevotella spp.、Proteus mirabilis、Proteus spp.、Providencia stuartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas spp.、Salmonella enterica、Salmonella typhi、Serratia marcescens、Shigella spp.、Stenotrophomonas maltophilia、Vibrio cholerae、Vibrio spp.、およびYersinia spp.からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。

【公表番号】特表2009−520689(P2009−520689A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543434(P2008−543434)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045739
【国際公開番号】WO2007/064732
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】