説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】印刷中の急激なトナー濃度の変化に対してタイムラグが少なく地肌汚れの低減を図れる地汚れ改善対策を施した現像装置を提供する。
【解決手段】キャリアとトナーを有する二成分現像剤を収容し、像担持体1上の潜像を現像する現像装置5であって、現像剤を供給する現像剤担持体51と、現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、現像剤を長手方向に搬送して循環させる搬送手段53,54と、搬送手段上に配置され現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度に応じて、現像剤担持体へ供給する直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが制御手段によって制御される現像装置において、画像形成動作中に検知されたトナー濃度が予め設定されたトナー濃度制御基準値よりも高いと判断された場合、現像バイアスにおける交流成分が変更されて印加されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置で用いる現像装置とプロセスカートリッジ及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、像担持体となる感光体の表面に形成された潜像を可視像とするのに現像装置から現像剤を潜像に供給している。現像剤としてキャリアとトナーを備えた二成分現像剤を用いる現像装置では、トナーが消費されるので、トナーの濃度を検知するためのトナー濃度検知手段がトナー搬送経路上に配置されていて、トナー濃度検知手段で検知したトナー濃度が、予め設定した狙いトナー−濃度〔基準値〕に満たない(トナー濃度が低い)場合には、トナー補給装置からトナーが補給されるように構成されている。しかし、この補給されるトナー量は、トナー濃度検知手段で検知したトナー濃度に応じて,その補給量が予め決められているが、補給誤差などによって急に多量のトナーが現像装置に補給された場合、補給されたトナーが十分に帯電できずに弱帯電や逆帯電トナーとなってしまい、感光体に潜像を形成していない部分にトナーが付着してしまう地肌汚れが発生してしまう。とくに印刷中の場合には、トナー濃度の調整などを実施すると印刷が中断するのでユーザーの印刷時間が長くなってしまい生産性が落ちることになる。
【0003】
そこで、特許文献1では、地肌汚れを改善する図るために、トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度が所定の範囲にあるときには現像バイアスの交流成分を基準の値に設定し、所定の範囲を越えたときには画質評価パラメータが許容範囲に収まるように現像バイアスの交流成分を補正する内容が開示されている。
【0004】
特許文献2には、放置時間が基準時間以上になると、初期画像に地肌汚れを生ずる可能性が高いと判断し、初期攪拌時やプリント時に、現像バイアスと通常のVE(−600VのDCバイアス)に代えて、VppA(AC・DC重畳バイアス)を印加させて現像装置の帯電助長能力を高めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、地肌汚れを改善のために、現像バイアスの交流成分の補正を行っているが、補正の時期は画像形成装置の電源を入れた後にトナー濃度の確認を行ってから現像バイアスの交流成分の補正を行っているので、生産性という点では改善の余地がある。特許文献2においては、帯電のために新たな放電電極などを追加する必要があるためにコスト増になりやすい。
本発明は、印刷中の急激なトナー濃度の変化に対してタイムラグが少なく地肌汚れの低減を図れる地汚れ改善対策を施した現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を提案することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、印刷中の急激なトナー濃度の変化に対してタイムラグが少なく地肌汚れの低減を図れる地汚れ改善対策に関する技術的思想を具現化した現像装置として、キャリアとトナーとを有する二成分の現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、像担持体に対向し、現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環させる搬送手段と、搬送手段上に配置され現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度に応じて、現像剤担持体へ供給する直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが制御手段によって制御される現像装置において、制御手段により、画像形成動作中にトナー濃度検知手で検知されたトナー濃度が予め設定されたトナー濃度制御基準値よりも高い場合と判断された場合、現像バイアスにおける交流成分が変更されて印加するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成動作中にトナー濃度検知手で検知されたトナー濃度が予め設定されたトナー濃度制御基準値よりも高い場合と判断された場合、現像バイアスにおける交流成分を変更して印加するので、印刷中の急激なトナー濃度の変化に対してタイムラグが少なく地肌汚れの低減を図れることができ、良好な画像を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一形態を示す要部構成図。
【図2】本発明に係るプロセスカートリッジの構成を示す拡大図。
【図3】本発明に係る現像装置の構成を示す拡大図。
【図4】本発明に係る現像装置の構成を示す図であり、(a)は現像装置の平面視図、(b)は搬送手段の構成を示す断面図。
【図5】本発明に係る現像装置内での現像剤の堆積の様子を示す概略図。
【図6】本発明の主要部となる現像バイアスの交流成分の変更による特性を示す図であり、(a)は現像バイアスの交流成分の周波数と画像濃度の関係を示し、(b)は交流成分のVppと画像濃度の関係を示し、(c)は現像バイアスの交流成分のDutyと画像濃度の関係を示す。
【図7】現像装置内での現像剤担持体による現像剤と流れを示す概略図。
【図8】現像装置内での現像剤担持体による現像剤と流れを示す概略図。
【図9】現像バイアスの交流成分として周波数を変更前後の地肌汚れの結果を示す図。
【図10】トナー濃度検知手段の出力値とトナー濃度の関係を示す図。
【図11】トナー濃度検知手段の出力値の出力変化と現像バイアスの交流成分の変化の一形態を示すタイミングチート。
【図12】本発明に係る現像装置内での現像剤の搬送速度を説明するための概略図。
【図13】現像バイアスの交流成分の変更の制御の一形態を示すフローチャート。
【図14】現像剤で使用したトナーの形状係数を説明する図であり、(a)は形状係数SF−1を説明する図、(b)は形状係数SF−2を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴は、画像形成装置の画像形成動作中にトナー濃度検知手段で検知したトナー濃度がトナー濃度制御基準値となる狙いのトナー濃度よりも高い場合に、現像剤担持体へ印加する現像バイアスのうち、交流成分を変更する点にある。以下、この特徴を備えた各装置の構成について説明する。
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。最初に本発明の技術思想の適用対象となる画像形成装置の全体構成と動作を説明し、次に画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジ及び現像装置の構成と、特徴部分について説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は極力省略する。
【0011】
図1は、画像形成装置の一形態である、電子写真方式でカラー画像を形成可能な複写機を示す。画像形成装置としては複写機に限らず、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、プリンタ、ファクシミリ,スキャナなどの、複合機のうち、少なくとも2つの機能を備えた複合機等であってよい。
【0012】
図1に示すように、複写機は装置本体100の上部に排紙部となる排紙トレイ30と、その上方に原稿読取部32を備え、装置本体100の化法に給紙部33を備えている。中間転写ユニット10と、中間転写ユニット10が備えている中間転写体となる中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部となるプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kがベルト移動方向に並設されている。プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kは、大きくは現像装置5Y、5M、5C、5Kと像担持体となる感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを備えている。
【0013】
感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kには、中間転写ベルト8を間にして1次転写部材となる1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kが対向配置されていて、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト8上に転写する1次転写ニップを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に形成している。
【0014】
中間転写ベルト8には、2次転写部材を構成する2次転写ローラ19がベルトに接触して配置されていて、中間転写ベルト8との間に、中間転写ベルト8上に転写されたトナー像を記録媒体となる用紙Pに転写する2次転写ニップを構成している。2次転写ニップと排紙トレイ30の間には、2次転写ニップを通過した用紙Pにトナー像を定着する定着装置20が配置されている。
【0015】
次に図2、図3を用いてプロセスカートリッジの構成と現像装置の構成について、詳細に説明する。なお、各色に対応した4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2において、1つのプロセスカートリッジ6の構成を、符号のアルファベット(Y、M、C、K)を省略して図示している。また、図3においても符号のアルファベット(Y、M、C、K)の表記を省略して現像装置単体の構成を示している。
【0016】
図2に示すプロセスカートリッジ6は、感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部を構成する帯電ローラ4、現像部を構成する現像装置5、感光体クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5の概略だけを表示している)。感光体ドラム1上では、周知の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
プロセスカートリッジ6を構成する、感光体ドラム1、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング部2は、1つのユニットとして構成されていて、装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。このため、プロセスカートリッジ6のメンテナンスを行なう際の作業性がよい。プロセスカートリッジ6としては、現像装置5とそれ以外の構成の2つのユニットとし、現像装置5を他の構成とは分離して交換可能としても良い。
【0017】
なお、本実施形態では、プロセスカートリッジ6を1つあるいは2つのユニット構成としたが、感光体ドラム1、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング部2を、それぞれ単独のユニットとし、何れかの構成が寿命に達したときに、新品のものに交換できるようにしてもよい。
【0018】
図2を参照して、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電ローラ4との対向位置で、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程である)。
【0019】
感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって原稿画像に応じた静電潜像が形成される(露光工程である)。
【0020】
感光体ドラム1の表面は、現像装置5が備える現像剤担持体となる現像ローラ51の対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程である)。
【0021】
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び第1転写ローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0022】
感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程である)。クリーニング後の感光体ドラム1の表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
【0023】
こうして、感光体ドラム1上で行なわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0024】
なお、上述した作像プロセスは、4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kで、それぞれ行なわれる。すなわち、図1を参照して、作像部の下方に配設された露光部から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0025】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが図示しない電源部から印加される。
【0026】
複数のローラ部材に巻き掛けられて、図1において反時計回りに走行する中間転写ベルト8は、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0027】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙P上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、用紙Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。中間転写ベルト上に残存する未転写トナーは、図示せぬクリーニングユニットによって除去されることで初期状態に復帰する。
【0028】
こうして、中間転写ベルト8上で行なわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0029】
給紙部33は、給紙トレイ26内に収納された用紙Pを給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されることによって1つずつ装置本体100内の2次転写ニップに向かって給紙している。この給紙された用紙Pは給紙ローラ27と2次転写ニップを結ぶ搬送経路上に配置されたレジストローラ28によって一端停止され、2次転写ニップにトナー像が位置するタイミングで作動するレジストローラ28によって2次転写ニップに送られる。そして2次転写ニップにおいて、用紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0030】
2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された用紙Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、周知の定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が用紙P上に定着される。カラー画像が定着された用紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置本体100外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された用紙Pは、出力画像として、排紙トレイ30上に順次スタックされる。
【0031】
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0032】
次に、図3〜図5を用いて現像装置5の構成と動作について、さらに詳しく説明する。
(代表的の構成)
図3は本発明に係る現像装置5を長手方向から見たときの断面図を示す。現像装置5は、そのケーシング内に、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤G、感光体ドラム1に対向配置された現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51と対向配置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、ケーシング内に形成された第一搬送経路となる現像剤収容部58と第二搬送経路となる現像剤収容部58内に配設された第一及び第二の搬送部材となる2本の供給スクリュ53、回収スクリュ54、現像剤収容部58内に配置され、現像剤G中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段となるトナー濃度検知センサ56を備えている。
【0033】
現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像ローラ51のマグネットには、P1極〜P5極の5つの磁極が形成されている。そして、5つの磁極が形成されたマグネットの周囲をスリーブが回転することで、その回転にともない現像剤Gが現像ローラ51上(スリーブ上)を移動することになる。なお、図3の現像ローラ51に付した放射状の線分は、P1極〜P5極のそれぞれの磁力がピークになる位置を示すものである。
【0034】
ケーシング内には、ポリエステル樹脂を主成分とするトナー(5.8μm)と磁性微粒子であるキャリア(35μm)を7wt%に均一混合した現像剤Gが一定量充填されている。
【0035】
互いに並列に配置され、現像ローラ51の長手方向に延びる供給スクリュ53と回収スクリュ54は、図示しない駆動源からの回転駆動力によって600〜800rpmで回転駆動されることで、現像剤Gを長手方向に搬送するものである。供給スクリュ53と回収スクリュ54は、補給後のトナー攪拌と搬送を同時に行い、トナーとキャリアの均一混合と帯電付与を行っている。均一混合された現像剤Gは、現像ローラ51に近接して平行に設けられた供給スクリュ53より現像ローラ51(現像スリーブ)に内包されたマグローラ55のP4,P5磁力によってスリーブ外周部の表面に搬送される。搬送された現像剤Gは、現像ローラ51が図中矢印の通り回転することによって感光体ドラム1と現像ローラ51によって作られる現像領域に運ばれ、図示しない高圧電源から現像ローラ51に印加して現像バイアスによる現像電界を形成することによってトナーが感光体ドラム1上の潜像を現像する。現像後の現像剤は現像ローラ51の回転に伴って現像装置5内に回収されるようになっており、回収ガイド(分離板)57を介して回収スクリュ54が配置された現像剤収容部58に回収されるようになっている。
【0036】
図4(a)は現像装置5の平面図(現像容器上壁を取り除いた状態)、図4(b)は、現像剤収容部58、59近傍の長手方向の断面図である。図中の矢印は現像剤Gの流れ(スクリュ間および現像ローラから回収スクリュへの流れ)を示すものである。
【0037】
図4(b)に示す、供給スクリュ53と回収スクリュ54の両端に位置する領域a及び領域bでは、上段の回収スクリュ54と下段の供給スクリュ53による攪拌・搬送室となる現像剤収容部58、59が連通口580,590によって上下に連通しており、a部では上段から下段(現像剤収容部59から現像剤収容部58)へ、b部では下段から上段(現像剤収容部58から現像剤収容部59)へ現像剤が搬送されるようになっている。領域a及び領域bに位置する回収スクリュ54と下段の供給スクリュ53のスクリュの形状は、パドルや逆巻きのスクリュ形状を成し、搬送方向に対して垂直方向への搬送能力を持たせている。
【0038】
図5は現像装置5中における現像剤Gの堆積の様子を示す概略図である。この現像装置5では、供給スクリュ53にて攪拌搬送を行いつつ現像ローラ51に現像剤供給を行い回収スクリュ54にすべて回収する方式を取っているため、現像剤Gの堆積状態が斜めになる。すなわち、供給スクリュ53中の現像剤量が下流方向に従って減少する。供給スクリュ53の径、ピッチと回転数から求まる現像剤搬送量能力:Wmと現像ローラ51上の現像剤搬送量:Wsの関係がWm>Wsとなる場合に、現像剤Gが一様に現像ローラ51上に搬送されるようになる。この条件が成立しないと、供給スクリュ53の下流側において現像剤Gが不足してしまい現像ローラ51への現像剤Gの供給が不可能となってしまう。また、同様に現像ローラ51から回収スクリュ54へ現像剤を回収するが、嵩が高くなることにより回収されない現像剤Gが分離板57と現像ローラ51の隙間(図3参照)から供給スクリュ53側へ入り込み、供給スクリュ53にて十分に攪拌される事なく再び現像ニップへ供給されてしまう。即ち供給スクリュ53及び回収スクリュ54の回転数を現像ローラ51上の現像剤搬送量を上回るように設定する必要が有り、必然的にスクリュは高回転に設定になってしまう。
【0039】
すなわち、現像装置5(Y、M、C、K)は、キャリアとトナーとを有する現像剤Gを収容するとともに、感光体ドラム1(Y、M、C、K)上に形成される潜像を現像するものであって、像担持体に対向し、現像剤Gを搬送する現像ローラ51と、現像ローラ51に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード52と、装置内に収容された現像剤を感光体ドラム1(Y、M、C、K)の長手方向に搬送して循環経路を形成する搬送手段50を有し、搬送手段50は、現像ローラ51に略下方に対向配置され、現像剤Gを長手方向に搬送しながら現像ローラ51に現像剤を供給する第一搬送部材となる搬送スクリュ53と、現像ローラ51から離脱した現像剤を搬送する第二搬送部材となる搬送スクリュ54と、搬送スクリュ53と搬送スクリュ54の両端部に配置され、搬送スクリュ53、54間で現像剤を受け渡す連通口580,590とを備え、搬送スクリュ53における搬送経路上流部に、トナー濃度検知手段56を配設し、直流成分に交流成分を重畳する現像バイアスを現像ローラ51に印加される構成とされている。
【0040】
一般的にトナー濃度の検知は、2成分現像方式では、トナーとキャリアの重量比をトナー濃度とし、なるべくトナー濃度を一定に制御することで、安定した画像濃度を得ることができる。本形態において、トナー濃度検知センサ56には透磁率センサを用いる。そして、本実施形態において、トナー濃度検知センサ56は、第2現像剤搬送経路となる現像剤収容部59の下部に配設した。
【0041】
トナー濃度検知センサ(透磁率センサ)56と、トナー濃度の関係を図10に示す。トナー濃度には、トナー濃度検知センサ56の出力値を用いる。トナー濃度が高いとトナー濃度検知センサ56からの出力値が小さくなるので、トナー濃度検知センサ56からの出力値をVtとし、トナー濃度制御基準値をVrefとしたとき、出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vrefよりも大きい場合はトナー濃度が現在の狙いよりも低い状態にあることを示し、トナーを補給する制御を行う。また、出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vrefよりも小さい場合には、トナーの補給を実施しないように制御する。本形態においては、上記のトナー濃度検知手段56によるトナー濃度制御で行うため、トナー濃度を下げるにはトナー濃度制御基準値Vrefを大きくする。トナーの補給とは、図1に示すように装置本体100内に配置した各色のトナーが収納されたトナー補給ボトル34(Y、M、C、K)から各現像装置5(Y、M、C、K)に対してトナーを補給することを指す。
(第1の実施形態)
本形態では、複写機の動作中にトナー濃度検知センサ56から得られたトナー濃度情報となる出力値Vtが、トナー濃度制御基準値Vrefよりも高い場合に、現像ローラ51に対する現像バイアスの交流成分を変更するものである。
【0042】
トナー濃度検知センサ56は、現像装置5内の現像剤Gのトナー濃度を検知しており、出力値Vtを複写機が備える制御手段200により狙い値となるトナー濃度制御基準値Vrefと比較を行い、トナー濃度(出力値Vt)が低いと判断した場合は、トナーを補給する動作を実施する。本制御を実施するに辺り、制御手段200には、演算機能とメモリ機能、計測機能を備えた周知のコンピュータが用いられる。
【0043】
制御手段200によりトナー濃度が高いと判断された場合には現像剤G中のトナーが消費されるまでトナーを補給しないか、印刷動作以外のタイミングで現像剤中のトナーを強制消費するかが行われるのが一般的である。しかし、このような補給形態では、印刷中の急激なトナー濃度の変化に対応したトナー補給動作の実現が難しく、感光体ドラムにおける地肌汚れの要因となる。
【0044】
地肌汚れが改善する手法としては、現像ローラ51に印加する現像バイアスを制御することが挙げられる。特に、直流成分に交流成分を重畳する現像バイアスにおいては、交流成分をトナー濃度(出力値Vt)に応じて変更(補正)するのが好ましい。
【0045】
現像バイアスにおける交流成分の補正方法には次の3つがある。
【0046】
周波数を大きくする。
【0047】
交流成分のプラス(+)とマイナス(−)側への出力幅となるピークトゥピーク値Vppを小さくする。
【0048】
交流成分にプラスとマイナス側の比率Dutyをプラス側に大きくする。
【0049】
以下に、これら3つの補正方法の検討結果を示す。
(評価条件)
・評価機
リコーimagio MP C5000改造機。
【0050】
具体的には、本発明が適用された現像装置5をセットできるようにし、
外部電源より交流成分を重畳した現像バイアスを印加できるようにした。
【0051】
・現像剤 imagio MP C5000で使用する現像剤
トナー濃度 7wt%
単位重量当たりのトナー帯電量Q/M 30μC/g
・交流成分
周波数 1kHz,4kHz,7kHz
Vpp 500V,1000V
Duty(マイナス側成分比率) 35%、43%、50%
波形 矩形波
(評価方法)
印刷途中で評価機を強制停止し、感光体ドラムの白部(地肌部)を粘着式の透明テープで採取し、画像濃度をXマイナスrite社製の分光測色計939を用いて測定した。地肌汚れを採取した透明テープの画像濃度(ΔID)が感光体ドラムの白部のトナー付着量を示しており、この値が小さいほど地肌汚れ量が少ないこととなる。
【0052】
図6(a)は周波数を変更したときの測定結果を示す。
周波数を大きくしていくと地肌汚れを採取した透明テープの画像濃度(ΔID)が小さくなっており、地肌汚れが改善することがわかった。
図6(b)は、所謂交流成分のピークトゥピーク値(Vpp)を変更したときの測定結果を示す。
ピークトゥピーク値(Vpp)を小さくすることで、地肌汚れを採取した透明テープの画像濃度(ΔID)が小さくなっており、地肌汚れが改善することがわかった。
図6(c)は交流成分のDutyを変更したときの測定結果を示す。
Dutyは、マイナス成分側の比率が小さくなるほど、地肌汚れが改善することがわかった。
【0053】
このような測定結果から、現像ローラ51に供給する現像バイアスの交流成分を上記に示した地肌汚れが改善する側に変更することで、印刷中の急激なトナー濃度の変化に対応したトナー補給動作を実現することができる。
【0054】
図7に示すように、現像ローラ51に供給された現像剤Gを供給側の搬送経路となる現像剤収納部58(供給スクリュ53)側に戻す通常の2成分現像方式の現像装置では、印刷する画像によりトナーの使用量が異なるので、画像によりトナー濃度が長手方向で偏差を持つ。
【0055】
しかし、本形態に係る現像装置5では、図8に示すように、現像ローラ51に汲み上げられた現像剤Gが回収側の搬送経路となる現像剤収納部59(回収スクリュ54)側に戻されるため、現像ローラ51の長手方向のトナー濃度が安定する。よって、トナー濃度検知センサ56を現像剤供給側となる現像剤収納部58(供給スクリュ53)の上流部に配設することで、供給側の現像剤収納部58にある現像剤Gはトナー濃度検知センサ56から得られたトナー濃度が把握しやすい。よって、トナー濃度が狙いトナー濃度の範囲になれば、すぐに現像バイアスの交流成分の補正を通常値に戻すことで、画像への影響も最小限となる。
【0056】
よって、トナー濃度検知センサ56がトナー濃度を狙いのトナー濃度よりも高いと制御手段200が判断した場合は、現像バイアスの交流成分を地肌汚れ改善する出力値に変更するようにバイアス電源の出力を制御手段で補正制御すればい。この補正制御は現像バイアスの交流成分の周波数、ピークトゥピーク値(Vpp)、Dutyのいずれか1つを変更しても良いし、2つ以上の要素を組み合わせて変更するようにしても良い。
【0057】
例えば、地肌汚れが悪化するトナー濃度が8wt%以上を越えた場合とすると、トナー濃度制御基準値Vrefとしては8wt%相当の(出力値Vt)を設定し、トナー濃度検知センサ56から得られたトナー濃度情報Vtが8wt%を越えていると判断された場合には、現像バイアスの交流成分を変更することで地肌汚れを改善できる。現像バイアスの交流成分の制御方法は、上記に示した周波数、ピークトゥピーク(Vpp)、Dutyを地肌汚れ改善するように変更する。
【0058】
以下に上記の評価機にトナー濃度8.5wt%の現像剤をセットし、交流成分の各パラメータを変更したときの地肌汚れ(感光体ドラム上の白部を採取した透明テープの画像濃度ΔID)を示す。
【0059】
図9は、周波数を変更したときの地汚れの状態を示す。現像バイアスにおける交流成分の周波数としては、通常の画像形成動作中は4kHzとし、補正制御中は7kHzとしたとき、それぞれ0.03と0.01となり、地肌汚れ(ΔID)の低下が確認された。
【0060】
図10は、トナー濃度検知センサ56として、透磁率センサの出力値と現像剤のトナー濃度の関係を図10に示すもので、透磁率センサとトナー濃度の関係には直線関係が得られている。このため、透磁率センサ(トナー濃度検知センサ)56の値からトナー濃度を算出することができる。
【0061】
図11は、トナー濃度検知センサ56の出力に応じて、現像バイアスの交流成分の切替えタイミングの様子を示すタイミングチャートを示す。この例では、図11より、トナー濃度検知センサ56の出力値が3.0Vはトナー濃度7wt%であり、2.2Vでトナー濃度8wt%となっている。そこで、トナー濃度が8wt%になる前に地肌汚れの余裕度を上げるために、例えば、トナー濃度検知センサ56の出力値が2.5V以下になった場合に現像バイアスの交流成分の変更を行なうことにより、地肌汚れの発生が改善され、安定した画像を得ることができる。
(第2の実施形態)
本形態では、第1の実施形態で説明した現像バイアスの交流成分の変更(補正)時期に特徴がある。すなわち、図12に示すように、トナー濃度検知センサ56で検知されたトナー濃度が、狙いのトナー濃度となるトナー濃度制御基準値Vrefよりも大きい場合には、供給スクリュ53により現像ローラ51に現像剤Gを供給する現像剤収容部58での現像剤の搬送時間以上、交流成分の変更制御を実施する。
【0062】
現像剤収容部58の経路長をL、現像剤の搬送速度をVdとしたときに、現像剤が現像剤収容部58を移動する時間は、Td=L/Vdで求められるので、少なくともTd以上の時間、交流成分の変更するように制御手段200で制御する。
【0063】
このような制御は、画像形成中に現像装置5内のトナー濃度が高い部分に対してのみ確実に、地肌汚れを改善する現像バイアスの交流成分の補正実行時間を最小限に押さるためである。これは、現像バイアスの交流成分を変更することは、狙いの画像から大きくではないが画像濃度やその他の画像品質がずれてしまうことから、変更を恒常的に行なうことは望ましくなく、できるだけ必要な時期に最小限の時間だけ行うことが望ましいためです。
【0064】
具体的には、ここでは、実施的に画像に影響を与える現像ローラ51の長手方向の長さをL、予め分かっている供給側の現像剤収容部58内の現像剤の搬送速度をVdとすると、L/Vdにより、現像剤収容部58内を現像剤が移動する移動時間Tdとなる。
また、本形態に係る現像装置5は、現像ローラ51に現像剤を供給する現像剤収容部58では、トナー濃度の変動を受けないので、供給側の現像剤収容部58の最上流部から最下流部まで、トナー濃度検知センサ56で検知されたトナー濃度の現像剤が、現像剤収容部58の最下流領域aまでそのトナー濃度で搬送される。このため現像ローラ51への供給側の現像剤量が減少するがトナー濃度は変動しない。よって、トナー濃度検知センサ56で高濃度のトナー濃度が検知された場合は、狙いのトナー濃度となるトナー濃度制御基準値Vrefよりも高いトナー濃度の現像剤が現像剤収容部58の最下流まで搬送されることになる。つまり、トナー濃度検知センサ56で検知された現像剤が供給側の搬送経路最下流までその現像剤が移動するまで間は地肌汚れが発生すると言える。よって、そのトナー濃度検知センサ56で検知されたトナー濃度が現像剤が、検知位置から現像剤収容部58の最下流に到達するまでは、地肌汚れ改善のための現像バイアスの交流成分の変更を行なう必要がある。よって、トナー濃度検知センサ56でトナー濃度制御基準値Vrefよりも高く検知された最後の時点からTd後まで現像バイアスの交流成分の変更を実行する。具体的には、少し余裕を持たせるためにTdよりも長い時間実行するのが好ましい。
【0065】
この制御内容を、図13のフローチャートに沿って説明する。この制御は、図1に示した制御手段200によって実行される。制御手段200としては複写機の装置本体100に搭載されているものに限定されるものでは無く、例えば、各現像装置あるいは各プロセスカートリッジのしなくとも1つに制御手段200を搭載する場合には、この搭載された制御手段200によって制御を実行すれば良く、コスト的な問題を除くのであれば各現像装置あるいは各プロセスカートリッジに専用の制御手段200を搭載して制御することも可能である。
【0066】
図13において、制御手段200は、ステップST1において、図示しない電源ステッチがオン状態となり、図示しない複写スタートボタンが押されて画像形成動作が開始されると、ステップST2において、トナー濃度を検知する。ここではトナー濃度検知センサ56からの出力値Vtを読み込む。ステップST3では、読み込んだ出力値Vtとトナー濃度制御基準値Vrefとを比較してトナー濃度を判定する。ここでトナー濃度(Vt)がトナー濃度制御基準値Vrefよりも低くない場合には、テップST4において画像形成動作が終了か否かを判定する。例えば設定枚数分の画像形成行なわれたか否かを給紙枚数や印刷枚数等を用いて判断する。画像形成動作が終了の場合には、この制御を終え、終了してない場合にはステップST2に戻る。
【0067】
ステップST3において、読み込んだ出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vref寄りも低い場合には、濃度補正の必要があるものと判断しステップ判定し、ステップST5に進む。ステップST5では、上述した現像バイアスの交流成分の補正制御を実行し、ステップST6において、実行開始時間を計測する。この計測は制御手段200の計測機能を用いても良いし、タイマーなどの計測手段を制御手段200に接続して計測しても良い。
【0068】
ステップST7では、読み込んだ出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vrefとからトナー濃度の高低を判断し、出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vrefを超えるまでは交流成分の補正制御を実行し、出力値Vtがトナー濃度制御基準値Vrefを超えると、ステップST8に進む。
【0069】
ステップST8では、交流成分に対する補正時間を計測し、当該計測時間tが現像剤の移動時間Tdを超えるまでは交流成分に対する補正を実行し、計測時間tが現像剤の移動時間Tdを超える、交流成分に対する補正を停止するので、補正実行時間を最小限にすることができ、画像品質に対する現像バイアスの変更による影響を最小限に抑えることができる。
【0070】
上記各形態において、現像バイアスの交流成分の変更のパラメータとして、周波数、ピークトゥピーク(Vpp)、Dutyを挙げたが、この中で画像形成動作中の交流成分の補正は、周波数を変更することで行なうのが好ましい。
【0071】
これは、画像形成動作途中での現像バイアスの交流成分の変更は、画像品質への影響もあることから、とくに画像濃度への影響が大きい。ピークトゥピーク(Vpp)を小さくすると画像濃度は低下し、Dutyもプラス側が大きくなると画像濃度が低下することから、画像濃度への影響が少ない周波数を変更することが望ましい。
【0072】
上記各形態で用いた現像剤には、トナーの形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用いる。
【0073】
これは、図14(a),図14(b)は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0074】
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0075】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0076】
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0077】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(Sマイナス800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0078】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと各感光体ドラムとの接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなる。このため、流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0079】
現像装置5は、供給側の現像剤収容部58および回収側の現像剤収容部59において、現像剤量の偏差を生じる。そこで現像剤の量のバランスを保つためにはある程度の現像剤の流動性を確保する必要があり、流動性はトナーの形状が寄与していることから、トナーの形状係数SF−1が100〜180、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用いるのが望ましい。
【0080】
図1に示す複写機はカラー画像を形成するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応した現像装置5Y、5M、5C、5Kを備えている。つまり、現像装置やプロセスカートリッジを複数個具備していることになるので、一回のプロセスでカラー画像を印刷することが可能となり、印刷時間の短時間化を図ることができる。
【0081】
現像装置5と感光体ドラム1、帯電ローラ3及びクリーニング手段2のうち、少なくとも1つを装置本体100に対して着脱自在とすることで、交換性を向上することができる。
【0082】
図1に示す複写機はカラー画像を形成するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応した複数のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kが装置本体に100に対して着脱自在とされているので、寿命や故障による交換が必要なプロセスカートリッジのみを交換でき、ユーザーにとってコストがかからず、安定した画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
G 二成分現像剤
1(Y、M、C、K) 像担持体
2 クリーニング手段
4 帯電手段
5(Y、M、C、K) 現像装置
6(Y、M、C、K) プロセスカートリッジ
51 現像剤担持体
53 第一搬送部材
54 第二搬送部材
56 トナー濃度検知手段
59 第二搬送経路
58 第一搬送経路
200 制御手段
580,590 連通口
Vt トナー濃度
Vref トナー濃度制御基準値
Td 現像剤の移動時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2007−057617号公報
【特許文献2】特開2000−293022号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する二成分の現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向し、前記現像剤を供給する現像剤担持体と、
装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環させる搬送手段と、
前記搬送手段上に配置され現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
前記トナー濃度検知手段によって検知されたトナー濃度に応じて、前記現像剤担持体へ供給する直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが制御手段によって制御される現像装置において、
前記制御手段により、画像形成動作中に前記トナー濃度検知手で検知されたトナー濃度が予め設定されたトナー濃度制御基準値よりも高い場合と判断された場合、前記現像バイアスにおける交流成分が変更されて印加されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記現像剤担持体の略下方に対向して形成された第一搬送経路内に配置され、前記現像剤を長手方向に搬送しながら前記現像剤担持体に現像剤を供給する第一搬送部材と、第一搬送経路と対向して形成された第二搬送経路内に配置され、前記現像剤担持体から離脱した現像剤を長手方向に搬送する第二搬送部材と、前記第一および第二搬送部材の両端部に配置され、前記第一搬送経路と第二搬送経路間で前記現像剤を受け渡す連通口とを備え、
前記トナー濃度検知手段は、第一搬送経路の上流部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー濃度検知手で検知されたトナー濃度が、予め設定されたトナー濃度制御基準値よりも高い場合、
前記第一搬送経路内を移動する現像剤の移動時間以上、前記現像バイアスにおける交流成分が変更されて印加されることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記第一搬送経路の経路長をL、前記第一搬送経路内での現像剤の搬送速度をVdとしたときに、現像剤の移動時間は、Td=L/Vdであることを特徴とする請求項2または3記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1および2において、
前記現像バイアスの交流成分の変更は、交流成分の周波数を変更することで行なわれることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤に用いるトナーは、その形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、その形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載の現像装置を複数備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも像担持体と現像装置とを備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として請求項1ないし6の何れか1項に記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
像担持体と、像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体に形成された潜像を可視化する現像装置、前記像担持体表面を清掃するクリーニング手段のうち、現像装置とこれ以外の少なくとも一つが一体化されてして、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として請求項1ないし6の何れか1項に記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項8または9のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−114222(P2013−114222A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262750(P2011−262750)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】