説明

画像形成装置およびプロセスカートリッジ

【課題】同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量(寿命)の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在する画像形成装置において、カートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供することのできる画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】カートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、攪拌部材の現像剤に対する搬送力、もしくは攪拌部材の形状、もしくは攪拌部材の材質、もしくは攪拌部材の攪拌シートや攪拌棒の数が異なる。もしくは攪拌部材の回転スピード、もしくは現像剤担持体の周速、が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、プロセスカートリッジが着脱可能な電子写真方式を用いた画像形成装置に関する。また、プロセスカートリッジに関する。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタなど)、電子写真ファクシミリ装置などが含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体(像担持体)と、少なくとも現像手段とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものをいう。
【背景技術】
【0004】
上記のようなプロセスカートリッジ方式の画像形成装置によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザー自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。
【0005】
プロセスカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という)に記憶手段としてのメモリを搭載し、カートリッジの情報を記憶する方法も開示されている。そして、従来、メモリにカートリッジの製造ロットや種類、現像剤(トナー)の種類などを記憶し、カートリッジの品質管理を行っている(特許文献1参照)。
【0006】
ところで、最近では、コンピュータの普及により幅広い層のユーザーがプリンタ、FAX等を使用するようになり、メーカーもそれに応じた製品作りを行う必要が出てきた。
【0007】
その中で、消耗品であるカートリッジについては、同じ画像形成装置本体に装着できる数種類のプロセスカートリッジを提供することがある。たとえば、
1)オフィス等のプリントボリュームの多いユーザー向けとしての、トナー容量を比較的大きくした長寿命のカートリッジと、
2)個人などの少ないプリントボリュームや、安さを求めるユーザー向けとしての、トナー容量を比較的小さくした的短寿命のカートリッジ
などである。
【0008】
具体的に、図16は画像形成装置本体100に対してトナー容量が小さいカートリッジAを装着した状態を示している。図17は同じ画像形成装置本体100に対してトナー容量が大きいカートリッジBを装着した状態を示している。
【0009】
図16・図17の画像形成装置は電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンタである。1はスキャナユニット、2は感光ドラム、3は帯電ローラ、4は現像装置、5はブレードクリーニング装置、6は転写帯電器、71は記録材7を収納した給紙カセット、72は給紙ローラ、8は定着器である。現像装置4において、14は現像材担持体としての現像スリーブ、15は現像剤規制部材としての現像ブレード、9・10は現像剤(トナー)41を収容させたトナー容器、16はトナー容器9・10内に配設したトナー攪拌部材である。
【0010】
カートリッジAもBも、感光ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、トナー容器9・10、クリーニング装置5を一括してユニット化されており、これらの構成要素はカートリッジ内で所定の相互配置関係を持って組み付けられている。そして、カートリッジAもBも、画像形成装置本体100内の所定部に対して所定の要領で挿入装着され、また反対に装置本体から抜き外しできるようになっている。
【0011】
トナー容量が小さいカートリッジAと、トナー容量が大きいカートリッジBとの違いは、トナーの収容されるトナー容器9・10の容量と、最初に収容されるトナーの量のみが異なる場合が一般的である。そして、カートリッジAもカートリッジBも同一の画像形成装置本体に選択的に装着して使用することが可能である。
【特許文献1】特開平10−221938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のように、同じ画像形成装置本体100に装着可能な、トナーの容量により寿命の異なるカートリッジAとBにおいては、その寿命に応じてトナーの容量が異なることに起因して、画質に差が出る場合があった。
【0013】
これを図18Aと図18Bを用いて説明する。図18Aは、トナー容量が大きいカートリッジBの場合の図であり、図18Bはトナー容量が小さいカートリッジAの場合の図である。
【0014】
カートリッジBとAは、ともに攪拌部材16がR1方向に回転することによりトナー41を攪拌する構成であり、矢印Hで攪拌された時のトナーの動きを示している。
【0015】
図18Aに示すように、トナー容量が大きいカートリッジBにおいては、その自重Gにより、攪拌部材16の攪拌半径以上にはトナーは動きにくく、トナー容器内の後方からのトナーの入り込みも少ない。そのため、現像剤担持体である現像スリーブ14付近のトナーはあまり循環せずに、同じトナーが現像スリーブ14付近に存在しつづけ、トナーがチャージを持ちやすくなっている。
【0016】
逆に、トナー容量が小さいカートリッジAでは、図18Bに示すように、攪拌部材16の回転半径以上の部分にも攪拌の影響が及び、現像スリーブ14付近に、トナー容器内の後方のチャージをあまり持っていないトナーが送り込まれやすくなっている。
【0017】
これらのことより、寿命の異なるカートリッジBとAにおいて、現像スリーブ14上のトナーのチャージがことなり、画質に差が出る場合があった。
【0018】
図18Cに、トナー容量が大きいカートリッジBにおいて、攪拌部材に弾性シート17を用いた場合を示す。トナー41の自重により弾性シート17が撓む事で、カートリッジ使用初期のトルクが低減される。一方、トナー41の自重Gによる攪拌への影響は大きいため、よりトナーの循環が不足し、画質の差も大きくなることになる。
【0019】
このトナーの循環の差に起因した画質の差とは、具体的に、ゴーストと呼ばれる画像不良、カートリッジ使用初期の濃度、寿命間際の濃度低下に大きな差が出る。
【0020】
ゴーストとは、現像した履歴が現像剤担持体上に残る現象で、図19A、図19B、図19Cのように、記録材7上の画像上の一部にベタ部分があり、その後がハーフトーンの画像である場合に顕著に発生する。ゴーストが発生していない正常な画像は図19Aのようになる。図19Bのようにベタ部の現像スリーブ14の一周期aだけあとの部分が、周りのハーフトーンより濃くなる場合をポジゴーストと呼ぶ。逆に、図19Cのように、薄くなる場合をネガゴーストと呼ぶ。現像スリーブ14から感光ドラム2へ、現像された部分と現像されていない部分とで、現像スリーブ14上のトナーの電荷や乗り量がことなるため、それらの部分で現像性が異なるために発生する。現像された部分の現像性がその他の部分より高い場合、ポジゴーストになり、低い場合はネガゴーストになる。
【0021】
以下にトナー容量差に起因した、画質の差について詳しく述べる。
【0022】
1)ゴーストに関しては、トナー容量が大きいカートリッジBでは、ポジゴーストが発生しやすい傾向にあり、トナー容量が少ないカートリッジAではネガゴーストになりやすい傾向にある。
【0023】
これはトナー容量が大きいカートリッジBでは、上記したように、現像スリーブ14上のトナーがチャージを持ちやすく、チャージアップによる現像性の低下を招きやすくなっている。その結果、現像された部分には新しいトナーが供給され、現像されていない部分よりチャージアップが抑えられるため、現像性が高くなるからである。
【0024】
また、トナー容量が小さいカートリッジAでは、上記したように現像スリーブ14上でトナーはチャージを持ちにくく、チャージ不足による現像性の低下を招きやすくなっている。その結果、現像された部分には新しいトナーが供給され、現像されていない部分よりチャージが低くなるため、現像された部分はその他の部分に比べ現像性が低くなるからである。
【0025】
2)初期濃度に関しては、トナー容量が大きいカートリッジBでは、初期のチャージの立ち上がりも良く、初期から安定した濃度が得られる。トナー容量が小さいカートリッジAにおいては、初期のチャージの立ち上がりが悪く、初期の濃度が出にくい傾向にあった。
【0026】
3)寿命間際の濃度低下に関しては、トナー容量が大きいカートリッジBは、寿命が長く、長い間トナーが現像スリーブ14上で現像ブレード15により周擦されたり、トナー容器9内で攪拌されたりすることでトナーの劣化を引き起こす。そのため、寿命間際で濃度低下が発生しやすい傾向にある。トナー容量が小さいカートリッジAでは、トナー劣化が引き起こされるまでにカートリッジ寿命になり、トナーを使い切ってしまうので、寿命間際の濃度低下は起こりにくい傾向にあった。
【0027】
以上に述べたように、寿命の異なるカートリッジAとBにおいては、画質に差が出る場合があり、寿命が異なるカートリッジ間においても均一で安定した画質を提供するという観点から見ると改善される余地があった。
【0028】
本発明の目的は、上記課題を解決するためのものであり、寿命の異なる数種類のカートリッジにおいて、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
1)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の現像剤に対する搬送力が異なることを特徴とする。
【0030】
2)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な他の構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の形状が異なることを特徴とする。
【0031】
3)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な他の構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の材質が異なることを特徴とする。
【0032】
4)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な他の構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記攪拌部材は、攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に設けた攪拌シートもしくは攪拌棒が回転することにより現像剤を攪拌する攪拌部材であり、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌回転軸に対する攪拌シートもしくは攪拌棒の数が異なることを特徴とする。
【0033】
5)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な他の構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の回転スピードが異なることを特徴とする。
【0034】
6)上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な他の構成は、
像担持体と、現像剤収納部と回転駆動されて現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体を現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記現像剤担持体の周速が異なることを特徴とする。
【0035】
7)上記目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の現像剤に対する搬送力が異なることを特徴とする。
【0036】
8)上記目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の形状が異なることを特徴とする。
【0037】
9)上記目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の材質が異なることを特徴とする。
【0038】
10)上記目的を達成するための本発明に係るプロセスカートリッジの代表的な構成は、
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
前記攪拌部材は、攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に設けた攪拌シートもしくは攪拌棒が回転することにより現像剤を攪拌する攪拌部材であり、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌回転軸に対する攪拌シートもしくは攪拌棒の数が異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
以上の手段により、本発明では、寿命の異なる数種類のカートリッジにおいて、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供することのできる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0041】
(第1の実施例)
図1は本実施例の画像形成装置の概略図である。この画像形成装置は前述の図16・図17の画像形成装置と同様に、電子写真プロセスを用いた、プロセスカートリッジ着脱式のレーザービームプリンタである。
【0042】
この画像形成装装置にはパソコン・画像読取装置等の外部ホスト装置(不図示)を接続してある。そして、画像形成装装置はホスト装置からコントローラ部(不図示)に入力する画像情報をプリントする。コントローラ部はホスト装置と信号の授受をする。また作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
【0043】
画像形成装装置本体(以下、装置本体と記す)100には、トナー容量(現像剤容量)が小さいプロセスカートリッジAと、トナー容量が大きいプロセスカートリッジB(図2)を選択的に装着して使用することができる。
【0044】
本実施例において、プロセスカートリッジA(以下、カートリッジAと記す)は、トナー寿命6,000枚、トナー容量300gである。また、プロセスカートリッジB(以下、カートリッジBと記す)は、トナー寿命12,000枚、トナー容量500gである。カートリッジAとBは、トナー容量、現像剤収納部としてのトナー容器9と10の容積、攪拌部材20と21の構成のみ異なり、その他は互いに同じ構成である。
【0045】
カートリッジAまたはBは、装置本体100の開閉カバー102をヒンジ軸部103を中心に2点鎖線示のようにを開いて装置本体100内を開放し、その開放部からガイド部(不図示)に案内されて着脱される。
【0046】
像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)2は矢印R1の時計方向に所定の回転スピードで回転駆動される。その感光ドラム2は帯電バイアスが印加される一次帯電器(帯電ローラ)3により所定の極性・電位に一様に帯電される。
【0047】
その帯電面に対して、レーザー・ポリゴンミラー・レンズ系を含むスキャナユニット1により画像情報のレーザー走査露光Lがなされる。スキャナユニット1から出力されたレーザー光Lはレーザー反射ミラー11を介して、カートリッジ上面の露光窓部12からカートリッジ内に入光して感光ドラム2の面を露光する。スキャナユニット1はホスト装置からコントローラ部へ入力された画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ変換)されたレーザー光を出力して、感光ドラム2の一様帯電面を走査露光する。レーザー光が照射されたドラム面部分(露光明部)の電位が減衰して画像情報に対応した静電潜像がドラム面に形成される。
【0048】
その静電潜像は、現像装置(現像手段)4の現像剤担持体としての現像スリーブ(現像ローラ)14上のトナー(現像剤)によって現像される。なお、画像情報部を露光するイメージ露光方式と反転現像方式との組み合わせ構成が一般的である。
【0049】
本実施例では、現像スリーブ14には、直径16mmの円筒状のアルミ素管の表面をトナーを適度に搬送できるよう所定の表面粗さに加工したものを用いた。現像スリーブ14は、感光ドラム2に接触させて、あるいは僅少な隙間(50〜500μm)を存して対向させてあり、矢印R3の反時計方向に回転駆動される。本実施例では、現像スリーブ14の回転スピードは240rpmで、現像スリーブ14と感光ドラム2との周速差は無しである。
【0050】
現像スリーブ14には現像剤規制部材としての現像ブレード15を接触させて配設してある。本実施例では、現像ブレード15には厚さ1.2mmのウレタンゴムブレードを用い、これを現像スリーブ14の回転に対して逆らう方向(カウンター方向)で当接させた。現像スリーブ14と現像ブレード15との当接圧(線圧)は30gf/cmとした。
【0051】
線圧の測定はいわゆる引き抜き圧を測定している。その測定方法は、現像ブレードと現像スリーブの当接領域に、二つに折ったSUS製の薄板(厚さ50μm)を挟み込み、更にそのSUS板の間にもう一枚SUS板を挟む。その一枚を引き抜くときの力をバネはかりで測定して、その読み値から当接圧を計算している。計算するにあたって、二つに折ったSUS板からもう一枚のSUS板を引き抜く時の摩擦係数が必要になるので予め測定しておく。
【0052】
トナー容器9または10に収容されたトナー41は矢印R2の時計方向に回転駆動される攪拌部材20または21によって攪拌されて、現像スリーブ14の付近に運ばれる。攪拌部材20または21の回転スピードは60rpmとした。現像スリーブ14上のトナーは現像スリーブの回転で搬送されて現像ブレード15によってトリボの付与を受けるとともに、適量に規制されて薄層として層厚規制を受ける。そのトナー層は引き続く現像スリーブ14の回転で感光ドラム2と現像スリーブ14との対向部である現像領域部へ搬送されて、感光ドラム面の静電潜像の現像に供される。現像スリーブ14には現像バイアス電源(不図示)から所定の現像バイアスが印加される。現像に供されずに現像スリーブ14上に残ったトナーは引き続く現像スリーブの回転でトナー容器9または10に戻し搬送される。そして現像スリーブ14はトナー容器部でトナーの再供給を受ける。
【0053】
一方、所定の制御タイミングにて、給紙カセット71の給紙ローラ72が駆動されて、給紙カセット71に積載収納されている記録材7が1枚分離給送される。記録材7は搬送ローラ対・ガイド板(不図示)で構成されたシートパスを通って、感光ドラム2と転写ローラ6との当接部である転写ニップ部に所定の制御タイミングにて導入される。そして、記録材7が転写ニップ部を挟持搬送されていく過程において、転写ローラ6にトナーと逆極性の転写バイアスが印加されて、感光ドラム2面のトナー像が記録材7の面に順次に静電転写されていく。
【0054】
転写ニップ部を出た記録材7は、感光ドラム2面から分離され、ガイド(不図示)で案内されて定着器8の定着ローラと加圧ローラの当接部である定着ニップ部へ導入される。記録材分離後の感光ドラム面はクリーニング装置5の弾性クリーニングブレードにより転写残トナー等の残留汚染物の除去を受けて清掃され、再び、帯電から始まる作像に繰り返して供される。
【0055】
定着器8に導入された記録材7は定着ニップ部を挟持搬送されていく過程において、トナー像の加熱・加圧定着処理を受ける。定着器8を出た記録材7はプリンタ外に排紙される。
【0056】
カートリッジAとBは何れも、感光ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、トナー容器9なたは10、クリーニング装置5を一括してユニット化されており、これらの構成要素はカートリッジ内で所定の相互配置関係を持って組み付けられている。そして、カートリッジAまたはBは、前記のように、装置本体100内の所定部に対して所定の要領で挿入装着され、また反対に装置本体100から抜き外しできるようになっている。
【0057】
カートリッジは装置本体に対して所定に装着されることで、装置本体と所定に機械的・電気的に結合した状態になる。これにより、カートリッジ側の被駆動部が装置本体側の駆動機構により駆動可能状態になる。また、カートリッジ側の必要部材に対して装置本体側の電源部からバイアスを印加することが可能状態になる。また、カートリッジ側のセンサーや記憶装置が装置本体側の制御部と導通状態になる。
【0058】
トナーなし、ドラム寿命などによりカートリッジAまたはBが寿命となった場合には、ユーザ自身がカートリッジを交換すれば良く、トナーの補給作業による汚れなどのない、メンテナンスフリーが実現できる。
【0059】
前記したように、本実施例において、カートリッジAとカートリッジBの両者の違いは、トナー容量、トナー容器9と10の容積、攪拌部材20・21の構成のみである。
【0060】
以下に、本実施例における、カートリッジAの攪拌部材20と、カートリッジBの攪拌部材21について説明する。
【0061】
ここで、以下の説明において、長手方向とは、記録剤7の搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また、短手方向とは、記録材7の搬送路面内において記録材搬送方向に並行な方向である。
【0062】
1)カートリッジAの攪拌部材20
カートリッジAの攪拌部材20は、カートリッジ長手方向に並行な攪拌回転軸(支持軸)23を回転中心として矢印R2の時計方向に回転することによりトナーを攪拌する部材である。図3に示すように、攪拌回転軸23と、その攪拌回転軸23に基端部がビス24で固定され、先端部が自由端である、湾曲可能な弾性シート部材(以下、攪拌シートと記す)22とで形成されている。
【0063】
攪拌シート22には、厚み75μmのPETシート(ヤング率1×10Pa)を用いた。攪拌シートとして弾性シートを用いることで、剛体の攪拌シートに比べ、トナーの自重によりシートが撓む事で、カートリッジ使用初期のトルクが低減される一方、トナーの自重による攪拌への影響は、大きくなる。
【0064】
(2)カートリッジBの攪拌部材21
カートリッジBの攪拌部材21も、カートリッジAの攪拌部材20と基本的に同様であるが、攪拌シート22を厚み100μmのPETシートにした。
【0065】
カートリッジAにおいて攪拌シート22として用いた厚み75μmのPETシートと、カートリッジBにおいて攪拌シート22として用いた厚み100μmのPETシートの反力を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
反力は次のように測定した値である。図4を用いて測定要領を説明する。弾性シート部材である攪拌シート22の回転軸固定端から自由端までの長さは23mmであり、(a)のように、固定端から5mmのところまでを固定冶具Sで固定する。この状態で、(b)のように自由端から1.5mmのところを、フォースゲージFを用いて1.5mm押し込んだ時のフォースゲージFの値を反力(gf)として測定した。表1の値は攪拌シート22の長手中央部を3回測定した時の平均値である。
【0068】
表1の結果より、カートリッジBの攪拌部材21の方がカートリッジAの攪拌部材20よりも反力が強い。そのために、同じ攪拌部材回転スピードにおいて、カートリッジBの攪拌部材21の方がカートリッジAの攪拌部材20よりもカートリッジ内でのトナーの搬送力も強いことがわかる。すなわち、カートリッジAとBは、それぞれの現像剤容量に応じて、攪拌部材20と21の現像剤に対する搬送力を異ならせている。
【0069】
(3)ゴーストの評価
次に本実施例の効果を示すため、カートリッジAと、カートリッジBと、比較例として、カートリッジBにカートリッジAの攪拌部材20を取り付けたカートリッジC(図5)と、の3種のカートリッジA・B・Cについて、ゴーストの評価を行った。攪拌部材回転スピードはカートリッジA・B・Cの何れも同じ(60rpm)である。
【0070】
ゴーストの評価方法は以下のようにして行った。図6を用いて説明する。まず、図6に示すサンプル画像Tをプリントする。このサンプル画像Tは、横200mm、縦25mmのベタ画像のあとに、孤立ドットで形成される印字率33%の均一ハーフトーン画像が印刷されたものである。現像スリーブ14の直径が16mmであるので、現像スリーブ1周期は50.2mm(直径×π)になる。よって、このサンプル画像Tにおいて、ゴーストが発生するのは、ベタ先端位置から、50.2mm〜75.2mmの間の部分になる。
【0071】
そこで、ゴーストが発生する可能性がある位置として、ベタ先端位置から67mmの測定点Mと、ゴーストが発生しない位置としてベタ先端位置から92mmの測定点Nの反射濃度を測定(マクベス反射濃度計RD918を使用)する。その濃度差Z(M点での濃度−N点での濃度)でゴーストを評価した。
【0072】
各点の濃度は5回測定し、その平均濃度を使用した。プラスの値になればポジゴーストが発生しており、マイナスの値になればネガゴーストが発生していることになる。また、ゼロに近いほどゴーストのレベルは良い。
【0073】
カートリッジA、カートリッジB、比較例としてカートリッジCを用いた各画像形成装置について、通紙1枚目にサンプル画像Tをプリントする。それからカートリッジ寿命まで1000枚置きにサンプル画像Tを1枚プリントし、評価を行った。サンプル画像Tの間には4%の横線画像をプリントし、全てのプリントは室温23℃、湿度50%の環境で行った。
【0074】
評価結果のグラフを図7に示す。横軸が通紙枚数を示し、縦軸が反射濃度の差を示している。カートリッジAとカートリッジBは、濃度差Zは概ねゼロに近い値で推移し、ゴーストはほとんど発生しておらず、同じレベルである。カートリッジCにおいては、ポジゴーストのレベルが悪いことがわかる。
【0075】
カートリッジAは、トナー容量が小さいものの、攪拌部材20の攪拌シート22を厚み75μmの薄めのシートにすることで、トナー容器9内の後方のチャージをあまり持っていないトナーの送り込みが抑えられる。そのため、現像スリーブ14上のトナーのチャージが適度に高めに保たれているため、ネガゴーストはほとんど発生していないと考えられる。
【0076】
また、カートリッジCのゴーストのレベルが悪い。このことから、寿命1200枚、トナー容量570gのカートリッジにおいては、カートリッジAの攪拌部材20に用いた厚み75μmの攪拌シート22では、トナーの循環が小さくなりすぎて、ポジゴーストが悪くなっていることがわかる。
【0077】
また、カートリッジBのゴーストレベルがカートリッジAと同等になっている。このことから、カートリッジBでは、攪拌部材21の攪拌シート22の厚みを100μmと厚くし反力を大きくすることで、自重の影響があってもカートリッジA並みにトナーの循環が大きくなり、カートリッジAと同レベルの画質になっていることがわかる。
【0078】
以上の結果により、本実施例の構成にすることで、寿命の異なるカートリッジAとBの種類差を小さくして安定した画質を提供できることがわかる。
【0079】
本実施例では、攪拌部材20と21の攪拌シート22の厚みを変える事で、シートの反力変え、トナーの搬送力を異ならせたが、攪拌シート22の材質を違えることで反力変え、トナーの搬送力を異ならせても同様の効果が得られえる。
【0080】
また、攪拌部材20と21のトナーの搬送力を異ならせる手段として、攪拌部材の攪拌シートの回転半径を違えたり、一つの回転軸23に対する攪拌シート22の数を違えることでも同様の効果が得られる。図8に、攪拌シート22を2枚にしたときの攪拌部材20または21の側面図を示す。また、攪拌シート22を攪拌棒にして、その数を違えることでも同様の効果が得られる。
【0081】
なお、本発明において、攪拌部材20と21のトナーの搬送力を異ならせる手段構成は、上記の形態例に限定されるものではない。
【0082】
上記の実施例ではカートリッジの種類はAとBの2種類であるが、3種類以上多種類用意されてもよい。そのようなカートリッジ種類間において、トナー容量が小さいプロセスカートリッジほど、攪拌部材の現像剤に対する搬送力を小さくする。具体的には、トナー容量が小さいプロセスカートリッジほど、攪拌部材を構成する弾性シート部材の厚みを薄くする。トナー容量が小さいプロセスカートリッジほど、攪拌部材を構成する弾性シート部材の反力を小さくする。トナー容量が小さいプロセスカートリッジほど、攪拌シートもしくは攪拌棒の数を少なくする。このような構成にすることにより、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供できることできる。
【0083】
(第2の実施例)
以下、本発明の第2の実施例を説明する。
【0084】
本実施例に用いたカートリッジについて説明をする。本実施例に用いるカートリッジは、図9と図10のように、カートリッジ寿命に関する情報が記憶されたメモリ(メモリタグ、ICチップなど)MEを搭載している。現像ブレード15の厚みが1.1mmで、現像スリーブ14と現像ブレード15と当接圧が23gf/cmであり、第1の実施例におけるカートリッジに比べて低くなっている。
【0085】
現像スリーブ14と現像ブレード15との当接圧を低くすることで、寿命間際や高温多湿環境で使用した場合のトナーの劣化による濃度低下を防止できる。その反面、トナーへの帯電性が下がるため、ネガゴーストが悪い傾向になる。
【0086】
上記の事項以外は、第1の実施例で用いたカートリッジAと同じ構成のものをカートリッジD(図9)、カートリッジCと同じ構成のものをカートリッジE(図10)として本実施例として用いる。
【0087】
つまり、カートリッジDとカートリッジEは、トナー容器9・10の容積とトナー容量のみが異なり、その他は同じ構成のカートリッジである。
【0088】
また、本実施例で用いる画像形成装置は、装着されたカートリッジDまたはEに搭載されたメモリMEからカートリッジ寿命に関する情報を読み取り、攪拌部材20の駆動スピードを変化させる機構を搭載している。それ以外は実施例1の画像形成装置と同じ構成である。同じ攪拌部材20でも駆動スピードすなわち回転スピードを大小異ならせることで、攪拌部材20の現像剤に対する搬送力を大小異ならせることができる。
【0089】
図9・図10において、104はメモリMEに対する情報読取り・書き込みユニット、105はコントローラ部(制御手段)、106は攪拌部材駆動機構部であり、すべて装置本体100側の機器である。
【0090】
本実施例の特徴は、装置本体100に装着されたカートリッジDまたはEについて、それに搭載されたメモリMEに記憶されているカートリッジ寿命についての情報(カートリッジ種類)を、ユニット104を介してコントローラ部105が読み取る。そして、コントローラ部105は、読み取った装着カートリッジの種類に対応するトナー容量に応じて、攪拌部材駆動機構部106を制御して、攪拌部材20の回転スピードを変えることにある。
【0091】
具体的には、コントローラ部105は、装置本体100に装着されたカートリッジの寿命の情報をメモリMEから読み取り、寿命が6,000枚のカートリッジDが装着されている場合は、攪拌部材20の回転スピード(攪拌スピード)を30rpmに制御する。寿命が12,000枚のカートリッジEが装着されている場合は、攪拌部材20の回転スピードをスピードを60rpmに制御する。
【0092】
このような制御を行った時に、カートリッジDとカートリッジEについて、第1の実施例と同様のゴーストの評価を行った。比較例としてカートリッジDにおいて、攪拌スピードをカートリッジEと同じ60rpmとしての評価も同時に行った。
【0093】
結果を図11に示す。第1の実施例と同様、横軸が通紙枚数を示し、縦軸が反射濃度の差を示している。
【0094】
カートリッジDで攪拌スピード30rpmの場合と、カートリッジEで攪拌スピード60rpmの場合で、ゴーストとのレベルは良く、ほぼ同じレベルである。
【0095】
カートリッジDで60rpmの場合においては、ネガゴーストのレベルが悪いことがわかる。このことから、トナー容量が少ないカートリッジDの構成においては、60rpmの攪拌スピードでは攪拌が速すぎ、次々とトナー容器9の後方から現像スリーブ14のほうにチャージをあまり持っていないトナーが送り込まれる。そのために、ネガゴーストが悪くなっていることがわかる。
【0096】
また、カートリッジDで攪拌スピード30rpmの場合に、ゴーストレベルが、カートリッジEで攪拌スピード60rpmの場合と同等になっている。このことから、カートリッジDでは、攪拌スピードを30rpmに落とすことで、現像スリーブ周辺のトナーの送り込みが少なくなってトナーのチャージが適度に上がる。そのために、カートリッジEで攪拌スピード60rpmの場合と同レベルの画質になっていることがわかる。
【0097】
以上の結果により、本実施例の構成にすることで、寿命の異なるカートリッジD・Eの種類差を小さくして安定した画質を提供できることがわかる。
【0098】
本実施例では、画像形成装置本体が、装着されたカートリッジに搭載されたメモリMEから寿命に関する情報を読み取り、トナー容量の異なるカートリッジD・E間で、攪拌部材20の攪拌スピード(トナー搬送力)を変化させた。しかし、メモリが搭載されていないカートリッジにおいても、例えば、次のようなカートリッジ構成にすることで、同様の効果が得られる。すなわち、トナー容量の異なるカートリッジD・E間で、カートリッジ内部に配置された、画像形成装置本体からの駆動を攪拌部材20へ伝えるギヤトレインのギア比を変更しておく。これにより、カートリッジD・E間において攪拌スピードを変えて、同様の効果を得る。
【0099】
上記の実施例ではカートリッジの種類はDとEの2種類であるが、3種類以上多種類用意されてもよい。そのようなカートリッジ種類間において、トナー容量が小さいプロセスカートリッジほど、攪拌部材の回転スピードを小さくする構成にすることにより、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供できることできる。
【0100】
(第3の実施例)
以下、本発明の第3の実施例について説明する。
【0101】
本実施例のカートリッジについて説明する。本実施例において、寿命が短い方のカートリッジは、第1の実施例1のカートリッジAの現像スリーブ14の回転スピード(周速)を270rpmにしたものである。第1の実施例のカートリッジAの現像スリーブ14の回転スピード240rpmに比べ速くなっている。これは、カートリッジ内部に配置された、装置本体100からの駆動を現像スリーブ14へ伝えるギヤを変える事で回転スピードを変更している。その他の部分においては、本実施例のカートリッジは、第1の実施例1のカートリッジAと同じ構成である。
【0102】
また、本実施例の寿命が長い方のカートリッジには、第1の実施例のカートリッジCを用いる。
【0103】
つまり、本実施例においてカートリッジAとカートリッジCは、カートリッジ寿命の違いによるトナー容器9または10の容積、トナー容量、現像スリーブ14の回転スピードが異なり、その他は同じ構成のカートリッジである。
【0104】
比較例として第1の実施例で用いたカートリッジA(現像スリーブ14の回転スピード240rpm)と、カートリッジ内のギヤを変更し、カートリッジCのスリーブ周速を270rpmにした物を用いて、それぞれの通紙枚数によるベタ濃度の推移を測定した。
【0105】
カートリッジAの270rpm(実施例)と240rpm(比較例)の結果を図12に、カートリッジCの240rpm(実施例)と270rpm(比較例)の結果を図13に示す。
【0106】
トナー容量が小さいカートリッジAにおいては、寿命間際の濃度低下はどちらも見られないが、初期濃度の立ち上がりは270rpmのほうが良いことがわかる。これは、カートリッジAはトナー容量が少ないため、攪拌部材20の攪拌によるトナーの循環が大きく、チャージをあまり持っていないトナー容器後方のトナーが現像スリーブ周辺に送り込まれる。そのため、現像スリーブ14上のトナーがチャージをもちにくく、初期濃度が立ち上がりにくい傾向にあるが、現像スリーブ14の回転スピードを上げることで、トナーのチャージの立ち上がりが良くなり、初期濃度も改善されている。
【0107】
トナー容量が大きなカートリッジCにおいては、初期濃度の立ち上がりはどちらも良好であるが、270rpmでは、寿命間際の濃度低下が見られる。これは、270rpmにすることで、トナーが現像スリーブ14と現像ブレード15で摺擦される回数が増えることで、トナーの劣化が促進されて濃度低下が発生している。
【0108】
以上のことから、本実施例の寿命6,000枚のカートリッジAは、現像スリーブ14の回転スピードを270rpmにすることで、通紙枚数に関わらず、良好なベタ濃度が得られることがわかる。寿命12,000枚のカートリッジCは、現像スリーブ14の回転スピードを240rpmにすることで、通紙枚数に関わらず、良好なベタ濃度が得られることがわかる。すなわち、ともに、通紙枚数に関わらず、良好なベタ濃度が得られることがわかる。
【0109】
以上の結果により、本実施例の構成にすることで、寿命の異なるカートリッジA・Cの種類差を小さくして安定した画質を提供できることがわかる。
【0110】
上記の実施例ではカートリッジの種類は2種類であるが、3種類以上用意されてもよいことは勿論である。多種類のカートリッジ間においても、現像剤容量の大きいプロセスカートリッジほど、前記現像スリーブ14の回転スピード(周速)を速くすることにより、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供できることができる。
【0111】
トナー容量の異なるカートリッジ間での現像スリーブ14の回転スピードの変更は、第2の実施例のように、カートリッジに搭載のメモリに記憶されたカートリッジ寿命に関する情報により行なわせるようにすることもできる。
【0112】
図14と図15はその例を示したものである。コントローラ部105は、装置本体100に装着されたカートリッジの寿命の情報をユニット104を介してメモリMEから読み取る。図14のように、寿命が6,000枚のカートリッジAが装着されている場合は、コントローラ部105は、現像スリーブ駆動機構部107を制御して、現像スリーブ14の回転スピードを270rpmに制御する。図15のように、寿命が12,000枚のカートリッジCが装着されている場合は、コントローラ部105は、現像スリーブ駆動機構部107を制御して、現像スリーブ14の回転スピードを240rpmに制御する。
【0113】
このように、画像形成装置本体に装着されたカートリッジの種類を判別する種類判別手段を備え、判別されたカートリッジ種類の現像剤容量によって現像剤担持体の周速を変更する。これにより、寿命の異なるカートリッジの種類差を小さくして安定した画質を提供できることができる。
【0114】
画像形成装置は、像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略図(トナー容量が少ないカートリッジAが装着されている状態時)
【図2】トナー容量が多いカートリッジBの概略図
【図3】攪拌部材の構成説明図
【図4】攪拌部材の反力測定の説明図
【図5】比較例の、トナー容量が多いカートリッジCの概略図
【図6】ゴースト評価画像の説明図
【図7】通紙枚数とゴーストのレベルの推移を示したグラフ
【図8】攪拌部材の攪拌シートが2枚の場合の説明図
【図9】第2の実施例における、メモリによるカートリッジ種類の検知と攪拌部材回転制御系の説明図(トナー容量が少ないカートリッジDの場合)
【図10】第2の実施例における、メモリによるカートリッジ種類の検知と攪拌部材回転制御系の説明図(トナー容量が多いカートリッジEの場合)トナー容量が少ないカートリッジA
【図11】通紙枚数とゴーストのレベルの推移を示したグラフ
【図12】第3の実施例に係る通紙枚数とベタ濃度の推移を示したグラフ(その1)
【図13】第3の実施例に係る通紙枚数とベタ濃度の推移を示したグラフ(その2)
【図14】第3の実施例における、メモリによるカートリッジ種類の検知と攪拌部材回転制御系の説明図(トナー容量が少ないカートリッジAの場合)
【図15】第4の実施例における、メモリによるカートリッジ種類の検知と攪拌部材回転制御系の説明図(トナー容量が多いカートリッジCの場合)
【図16】従来技術に係る、トナー容量が少ないカートリッジAが装着された画像形成装置の概略図
【図17】従来技術に係る、トナー容量が多いカートリッジBが装着された画像形成装置の概略図
【図18A】従来技術に係る、トナー容量が多いカートリッジのトナー攪拌の説明図
【図18B】従来技術に係る、トナー容量が少ないカートリッジのトナー攪拌の説明図
【図18C】従来技術に係る、トナー容量が多いカートリッジのトナー攪拌の説明図
【図19A】ゴースト画像の説明図(その1)
【図19B】ゴースト画像の説明図(その2)
【図19C】ゴースト画像の説明図(その3)
【符号の説明】
【0116】
100・・画像形成装置本体、A〜E・・トナー容量が少ない又は多いプロセスカートリッジ、1・・レーザービームスキャナ、2・・像担持体(感光ドラム)、3・・帯電ローラ、4・・現像装置(現像手段)、14・・現像剤担持体(現像スリーブ)、15・・現像剤規制部材(現像ブレード)、22・・攪拌部材、41・・現像剤(トナー)、10・・現像剤収納部(トナー容器)、5・・クリーニング装置、6・・転写ローラ、7・・記録材、71・・給紙カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の現像剤に対する搬送力が異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記搬送力が小さいことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの種類を判別する種類判別手段を備え、判別されたプロセスカートリッジ種類の現像剤容量によって前記搬送力が変更されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の形状が異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記攪拌部材を構成する弾性シート部材の厚みが薄いことを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記攪拌部材を構成する弾性シート部材の反力が小さいを特徴とする請求項4または5の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の材質が異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記攪拌部材を構成する弾性シート部材の反力が小さいことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記攪拌部材は、攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に設けた攪拌シートもしくは攪拌棒が回転することにより現像剤を攪拌する攪拌部材であり、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌回転軸に対する攪拌シートもしくは攪拌棒の数が異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記攪拌シートもしくは攪拌棒の数が少ないことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の回転スピードが異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
現像剤容量が小さいプロセスカートリッジほど、前記回転スピードが小さいことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの種類を判別する種類判別手段を備え、判別されたプロセスカートリッジ種類の現像剤容量によって前記回転スピードが変更されることを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
像担持体と、現像剤収納部と回転駆動されて現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体を現像手段と、を備えたプロセスカートリッジが装着自在な画像形成装置において、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジが存在し、
前記プロセスカートリッジの種類間で、現像剤容量に応じて、前記現像剤担持体の周速が異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
現像剤容量の大きいプロセスカートリッジほど、前記周速が速くなることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの種類を判別する種類判別手段を備え、判別されたプロセスカートリッジ種類の現像剤容量によって前記周速が変更されることを特徴とする請求項14または15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の現像剤に対する搬送力が異なることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項18】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の形状が異なることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項19】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌部材の材質が異なることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項20】
像担持体と、現像剤収納部と該現像剤収納部の現像剤を攪拌する攪拌部材を有していて前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、を備え、画像形成装置本体に対して装着自在なプロセスカートリッジにおいて、
前記攪拌部材は、攪拌回転軸を有し、その攪拌回転軸に設けた攪拌シートもしくは攪拌棒が回転することにより現像剤を攪拌する攪拌部材であり、
同一の画像形成装置本体に装着可能で、現像剤容量の異なる数種類のプロセスカートリッジ間で、現像剤容量に応じて、前記攪拌回転軸に対する攪拌シートもしくは攪拌棒の数が異なることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図12】
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【図13】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【公開番号】特開2007−108506(P2007−108506A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300292(P2005−300292)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】