説明

画像形成装置

【課題】現像装置のリフレッシュ工程によって起こる記録材担持体或いは中間転写体の現像剤汚れを防止し、記録材担持体或いは中間転写体のクリーニング時間のロスや像担持体へのキズの発生を抑止し、画質劣化を抑止することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】非画像形成時において、現像剤を現像剤担持体41b〜44bから像担持体11〜14上へと現像する動作を行わせる現像剤リフレッシュ工程を備え、リフレッシュ工程時には、像担持体11〜14と記録材担持体8とを離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式或いは静電記録方式にて複数の像担持体に潜像を形成し、この潜像を現像装置にて現像し、現像像(トナー像)とする、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、4色、即ち、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成ユニットを備えたインライン方式とされるカラー電子写真画像形成装置100の一例を示す。
【0003】
本例にて、インライン方式のカラー電子写真画像形成装置100は、縦一列に配置された複数の、本実施例では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)色から成る4つのカラーステーションP(P1、P2、P3、P4)を有しており、各カラーステーションP(P1、P2、P3、P4)には、それぞれ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の画像形成ユニット101、102、103、104が設けられる。
【0004】
また、各画像形成ユニット101、102、103、104に対向して、転写ユニット50が配置される。転写ユニット50は、駆動ローラ112とテンションローラ111との間に張架された記録材担持体としての搬送ベルト8を有する。搬送ベルト8は、給紙装置(図示せず)から送給された記録材Sを吸着搬送し、この記録材Sに、各カラーステーションP(P1、P2、P3、P4)の画像形成ユニット101、102、103、104にて形成されたトナー画像を転写することにより記録材S上にフルカラー画像を形成する。
【0005】
各画像形成ユニット101、102、103、104は、感光体ドラム11、12、13、14、帯電ローラ21、22、23、24、レーザ・スキャナユニット31、32、33、34、現像装置41、42、43、44、クリーニング装置61、62、63、64で構成されている。
【0006】
斯かる構成にて、感光体ドラム11〜14を帯電ローラ21〜24で帯電し、レーザ・スキャナユニット31〜34から送られるレーザ光で静電潜像を形成、現像装置41〜44で静電潜像を現像して現像像、即ち、トナー像を形成する画像形成プロセスが行われる。
【0007】
一方、各画像形成ユニット101〜104と対向配置された搬送ベルト8上に担持され搬送される記録材Sは、転写手段としての転写ブレード51、52、53、54の位置で画像形成ユニット101〜104の感光体ドラム11〜14上に形成されたトナー像を転写され、定着器ユニット9へと搬送される。定着器ユニット9では、記録材Sに転写された現像像が溶融固着される。また、転写後感光体ドラム11〜14上に残留したトナーはクリーニング装置61〜64にて除去される。
【0008】
ここで、図7に、現像装置41〜44の詳細断面図を示す。
【0009】
図7に示されるように、現像装置41〜44は、現像剤Tを収容した現像容器41a〜44aを備え、現像容器41a〜44a内に現像ローラ41b〜44bと、現像剤層厚規制部材としての現像ブレード41c〜44cと、現像ローラ41b〜44bに現像剤Tを供給するためのトナー供給ローラ41d〜44dとを備えている。
【0010】
しかしながら、このような現像装置では、画像形成枚数増加に伴う画像品質の低下が起こる。画質低下は主にトナー劣化によるものであり、現像ローラ41b〜44bと感光体ドラム11〜14表面との摺擦、現像ローラ41b〜44bと現像ブレード41c〜44cとの摺擦、現像ローラ41b〜44bとトナー供給ローラ41d〜44dとの摺擦が主原因である。
【0011】
そこで、特許文献1、2に記載されるように、ある所定のタイミングで画像形成時以外に現像剤を現像ローラ41b〜44bから感光体ドラム11〜14へと現像させる回収(リフレッシュ)工程を行う制御手段を備えるものが提案されている。つまり、斯かる提案では、現像ローラ41b〜44bが回転することにより引き起こされる現像ローラ近傍のトナーの劣化を効率的にリフレッシュすることで画質低下を防止している。
【0012】
しかしながら、リフレッシュ工程にて感光体ドラム11〜14上に現像されたトナーは、転写ブレード51〜54に転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加することにより搬送ベルト8上に転写されないようにしてクリーニング装置61〜64にて回収される構成とされているが、搬送ベルト8を現像剤で汚す原因となる。
【0013】
そこで、搬送ベルト8を静電的にクリーニングし、搬送ベルト8上のトナーを感光体ドラムに回収することが特許文献3にて提案されている。また、現像装置41〜44のリフレッシュ制御と搬送ベルト8のクリーニング制御について効率よく行うことが特許文献4に提案されている。
【特許文献1】特開2001−75438号公報
【特許文献2】特開2004−125829号公報
【特許文献3】特開2001−147572号公報
【特許文献4】特開2003−345143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、現像装置のリフレッシュ動作により感光体ドラム上に転移された現像剤は、搬送ベルトと接すると搬送ベルトを現像剤で汚してしまい、画像不良の原因となってしまう。
【0015】
また、転写ブレードに通常の転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加し、搬送ベルト上に転写させない方法でも、物理的に搬送ベルトに転写される現像剤も少なからずあるため、搬送ベルトが現像剤で汚されてしまう。
【0016】
また、搬送ベルトが現像剤で汚れた場合、搬送ベルト上をクリーニング装置でクリーニングする方法もあるが、コストの面や小サイズ化の面で不利である。
【0017】
また、搬送ベルト上の現像剤を静電的に感光体ドラムへ戻すクリーニング方法は、クリーニング時間のロスや、搬送ベルトと感光体ドラムが接触して回転する機会が多くなるため、感光体ドラム表面のキズの誘発など画質面でも有利ではない。また、特にインライン方式の画像形成装置の場合、複数の現像装置が同時にこのリフレッシュ動作を行うと、搬送ベルトの現像剤での汚れが増し、更に搬送ベルトのクリーニングに困難をきたすことがあった。
【0018】
上記諸問題は、上記搬送ベルトが中間転写体とされた中間転写体方式の画像形成装置にも発生した。
【0019】
そこで、本発明の目的は、現像装置のリフレッシュ工程によって起こる記録材担持体或いは中間転写体の現像剤汚れを防止し、記録材担持体或いは中間転写体のクリーニング時間のロスや像担持体へのキズの発生を抑止し、画質劣化を抑止することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、静電潜像が形成される複数の像担持体と、異なる色の現像剤を収容し、該現像剤を担持搬送する現像剤担持体にて、前記像担持体上の静電潜像を現像して現像像とする複数の現像装置と、前記像担持体上の現像像を転写する記録材を担持し搬送する記録材担持体、又は、前記像担持体上の現像像を転写する中間転写体と、を備えた画像形成装置において、
非画像形成時において、前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する動作を行わせる現像剤リフレッシュ工程を備え、
前記リフレッシュ工程時には、前記像担持体と前記記録材担持体又は前記中間転写体とを離間させることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、非画像形成時の、現像剤を現像剤担持体から像担持体上へと現像する動作を行わせる現像剤リフレッシュ工程実施時には、像担持体と記録材担持体又は中間転写体とを離間させる構成とされるので、現像装置のリフレッシュ工程時に起こる記録材担持体或いは中間転写体の現像剤汚れを防止し、記録材担持体或いは中間転写体のクリーニング時間のロスや像担持体へのキズの発生を抑止し画質劣化を抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0023】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真プロセスを利用したインライン方式とされるカラー画像形成装置100の画像形成部の概略構成を示す。
【0024】
本実施例にて、インライン方式の画像形成装置100は、これに限定されるものではないが、縦一列に配置された複数の、本実施例では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)色から成る4つのカラーステーションP(P1、P2、P3、P4)を有しており、各カラーステーションP(P1、P2、P3、P4)には、それぞれ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の画像形成ユニット101、102、103、104が設けられる。
【0025】
また、各画像形成ユニット101、102、103、104に対向して、転写ユニット50が配置される。転写ユニット50は、駆動ローラ112とテンションローラ111との間に張架された記録材担持体としての搬送ベルト8を有する。搬送ベルト8は、給紙装置(図示せず)から送給された記録材Sを吸着搬送し、各カラーステーションP(P1、P2、P3、P4)の画像形成ユニット101、102、103、104にて形成されたトナー画像を、搬送ベルト8上の記録材Sに転写することにより、記録材S上にフルカラー画像を形成する。
【0026】
ここで、画像形成ユニット101、102、103、104は、それぞれ、像担持体として繰り返し使用されると共に、矢示の反時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される回転ドラム型の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)11、12、13、14と、感光体ドラム11、12、13、14の表面を一様に帯電処理する1次帯電手段としての1次帯電ローラ21、22、23、24と、一様に帯電された感光体ドラム11、12、13、14上を露光して静電潜像を形成するレーザ・スキャナユニットのような画像露光手段31、32、33、34と、感光体ドラム11、12、13、14上に形成された静電潜像をそれぞれ現像する現像手段である現像装置41、42、43、44と、感光体ドラム上の転写残りトナーを取り除くクリーニング手段としてのクリーニング装置61、62、63、64とを備えている。
【0027】
本実施例では、画像形成ユニット101、102、103、104はそれぞれ、感光体ドラム11、12、13、14と、1次帯電ローラ21、22、23、24、現像装置41、42、43、44、クリーニング装置61、62、63、64は、一体にカートリッジ化され、プロセスカートリッジを構成している。従って、本実施例にて、プロセスカートリッジとされる画像形成ユニット101、102、103、104は、各カラーステーションP(P1、P2、P3、P4)に設けた装着手段(図示せず)により画像形成装置本体に対して着脱可能とされる。
【0028】
なお、本実施例において、感光体ドラム11〜14は、直径30mmの負帯電OPC感光体とされ、また周速度は100mm/secである。
【0029】
また、1次帯電ローラ21〜24は、感光体ドラム11〜14に総圧9.8Nで従動当接して帯電を行うDC接触帯電方式の帯電手段を構成し、−1.2KvのDC電圧が印加された実抵抗1×106Ωのローラである。本実施例では、この1次帯電ローラ21〜24により感光体ドラム表面は−600vに帯電される。
【0030】
また、本実施例にて現像装置41〜44は、それぞれ、図2に示すように、現像剤としてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)色の、所謂、ノンマグトナーと呼ばれる磁性体を含まない現像剤(非磁性トナー)が収納される現像剤容器であるトナー収納部41a〜44aを有する。トナー収納部41a〜44aには、感光体ドラム11〜14と対向する位置に現像ローラ41b〜44bが配置されており、更に、現像剤層厚規制部材としての現像ブレード41c〜44cと、現像ローラ41b〜44bに現像剤Tを供給するためのトナー供給ローラ41d〜44dとが配置されている。
【0031】
現像ローラ41b〜44bは、不図示の回転駆動装置によって感光体ドラム11〜14に対して順方向に170%の周速で回転する。また、本実施例では、現像ローラ41b〜44bには、不図示のコントローラの信号によって可変電圧が印加され、接触一成分接触現像方式によって感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する。
【0032】
一方、搬送ベルト8は、上述したように、駆動ローラ112とテンションローラ111との間に張架され、矢示方向に感光体ドラム11〜14と実質的に同じ周速度をもって回転駆動される。
【0033】
なお、本実施例において、転写ユニット50の搬送ベルト8は、1×1011Ωcmに抵抗調整された厚み100μmのPVDFの単層樹脂ベルトであり、背面両側に接着された不図示のリブによってベルトの蛇行や、寄りを規制する構成となっている。また、トナー像の中抜け現象を防止するために、転写位置における感光体ドラム11〜14と搬送ベルト8の速度を所定量だけ異ならせても良い。
【0034】
なお、転写ユニット50は、本実施例では、転写部材として転写ブレード51、52、53、54を備えており、この転写ブレード51〜54は、搬送ベルト8の背面から搬送ベルト8を介して感光体ドラム11〜14に当接している。勿論、転写部材として転写ローラを使用しても良い。
【0035】
なお、本実施例にて、この転写ブレード51〜54は、体積抵抗率1×105Ωcmに調整した高圧印加可能のウレタン樹脂製のものである。具体的には、厚み100μm、長さ(自由長)5mmのカーボンブラックで、抵抗値を1×105Ωcmに調整されたPVDFのシートである。
【0036】
また、この転写ブレード51〜54は、搬送ベルト8に対しては侵入量2mmで当接しており、この条件下でベルト進行方向への転写ブレード51〜54と搬送ベルト8の当接ニップ幅は1.5mmとなっている。さらに、各転写ブレード51〜54には+1.5KvのDCバイアスが不図示の高圧電源から印加されている。
【0037】
次に、このように構成された画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0038】
画像形成の際は、先ず、感光体ドラム11〜14の表面を、感光体ドラム11〜14の回転過程において1次帯電ローラ21〜24により所定の極性、電位に一様に帯電処理する。次に、画像露光手段31〜34により画像信号によって変調されたレーザビームを露光し、感光体ドラム11〜14上に静電潜像を形成する。そして、この後、この静電潜像を現像装置41〜44により現像する。
【0039】
一方、不図示の給紙装置によりカセットから記録材Sを給紙すると共に、この記録材Sを、不図示のレジストローラ、転写入口ガイドを通過させた後、搬送ベルト8に吸着させ、この後、搬送ベルト8の移動に伴って第1色目のカラーステーションP1の画像形成ユニット101に向かわせる。これにより、この記録材Sには、搬送ベルト8の背面に設けた転写ブレード51により、第1色目イエロー(Y)の画像形成ユニット101の感光体ドラム11に形成されたトナー像が転写される。
【0040】
以下、各カラーステーションP2〜P4の画像形成ユニット102〜104を通過する毎に、記録材Sには感光体ドラム12〜14から異なる各マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色のトナー像が転写され、フルカラー画像が形成される。そして、このようにして全色の転写が終了すると、記録材Sは搬送ベルト8の後端から曲率によって分離された後、熱ローラ定着器9によってトナー像が定着され、この後、装置外に排出されて最終プリントが得られる。
【0041】
画像露光手段31〜34は、画像形成装置本体制御コントローラ1に設けられた現像剤消費量検知手段である画素カウンタが接続されており、画像露光手段31〜34に入力される画像データの画素をカウントする。もちろん、画素カウンタは、画像形成装置に接続されたコンピュータなどとされるホスト3からの信号を受信する画像形成コントローラ4に設けてもよい。
【0042】
また、画像形成装置本体制御コントローラ1には、各色の画素数及びイメージ枚数を積算する電気的又は磁気的記憶手段2が設けられている。具体的には、電気的記憶手段としては、例えばRAMや、書き換え可能なROMなどが用いられる。また、磁気的記憶手段としては、磁気記録媒体や磁気バブルメモリ、光磁気メモリなどが用いられる。本実施例においては、取り扱いやすさやコストの点からNV(NonVolatile)RAMを使用した。
【0043】
ところで、上記のイメージ枚数とは、各色ごとに見た場合の印字数のことであり、4色用いたフルカラー画像を印字した場合、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各色それぞれが1イメージ印字したとされ、ブラック(K)色のみを用いたモノカラー画像を印字した場合は、ブラック(K)色のみ1イメージ印字したとされる。
【0044】
また、画素数とは、画像形成装置100の基本解像度単位で、実際印字する画像の画素数であり、画像形成装置本体制御コントローラ1においては、通常、走査イメージに変換された状態でのみ画像を把握できるので、各走査ごとに画素をカウントすればよい。画像形成コントローラ4で画素をカウントする場合は、上述したように走査イメージに変換した場合で画素をカウントしてもよいし、走査イメージに変換する前の画像形状から演算してもよい。例えば基本解像度600dpiで、2インチ×3インチのべた画像を印字した場合は、2×600×3×600=2160000画素となる。
【0045】
ここで、現像剤の消費量は、画素数に比例するため、画素数をカウントすることにより、現像剤の消費量を検知することができる。
【0046】
次に、画像品位が劣化した場合のリフレッシュ動作について述べる。
【0047】
現像装置41〜44において、現像ローラ41b〜44b近傍の現像剤の帯電特性が劣化した際に、現像ローラ41b〜44b近傍に新しい帯電特性の劣化していない現像剤を供給する必要がある。そのため、非画像形成時において現像ローラ41b〜44b近傍の劣化トナーを感光体ドラム11〜14に転移(現像)させ、所謂、リフレッシュ工程が実施される。
【0048】
この転移量は、感光体ドラム11〜14の長手方向の長さに相当する幅(L)は現像ローラ41b〜44b上の長手方向の現像剤塗布領域と同じ程度がよく、感光体ドラム11〜14の周方向の長さに相当する長さ(D)は、感光体ドラム1上での現像ローラ41b〜44bの1回転分以上の合計周方向長さが好ましい。
【0049】
各現像ローラ41b〜44b近傍の帯電特性の劣化した現像剤は、このリフレッシュ工程を実施することにより消費され、現像ローラ41b〜44b近傍には新しい帯電特性の劣化していない現像剤が供給される。
【0050】
ところが、感光体ドラム11〜14上に転移された現像剤は、搬送ベルト8と接すると搬送ベルト8を現像剤で汚してしまい、画像不良の原因となってしまう。また、転写ブレード51〜54に通常の転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加し、搬送ベルト8上に転写させない方法もあるが、物理的に搬送ベルト8に転写される現像剤も少なからずあるため、搬送ベルト8が現像剤で汚されてしまう。また、搬送ベルト8が現像剤で汚れた場合、搬送ベルト8上をクリーニング装置でクリーニングする方法もあるが、コストの面や小サイズ化の面で不利である。また、搬送ベルト8上の現像剤を静電的に感光体ドラムへ戻すクリーニング方法もあるが、クリーニング時間のロスや、搬送ベルト8と感光体ドラムが接触して回転する機会が多くなるため、感光体ドラム表面のキズの誘発など画質面でも有利ではない。
【0051】
また、特にインライン方式の画像形成装置の場合、複数の現像装置41〜44が同時にこのリフレッシュ動作を行うと、搬送ベルト8の現像剤による汚れが増し、更に搬送ベルト8のクリーニングに困難をきたすことがあった。
【0052】
そこで、本実施例では搬送ベルト8を感光体ドラム11〜14から離間方向に移動するよう解除機構90を設けている。この解除機構90は、任意の機構とすることができ、例えば、カム機構とすることができる。
【0053】
つまり、本実施例によると、解除機構90の作動により支持ローラ112を揺動中心として支持ローラ111側を、図3にて矢印Aに示すように移動させることによって、転写ユニット50を各画像形成ユニット101〜104から離間させることができる。
【0054】
このように、転写ユニット50と各画像形成ユニット101〜104とを離間させることにより、搬送ベルト8が感光体ドラム11〜14から離間する。つまり、現像装置41〜44のリフレッシュ動作時に、感光体ドラム11〜14と搬送ベルト8を離間させる。この構成によれば、現像装置41〜44に対して同時にリフレッシュ工程を実施することができる。
【0055】
更に説明すると、現像装置41〜44のリフレッシュ動作を行う際、転写ユニット50の解除機構90が作動し、搬送ベルト8と感光体ドラム11〜14が離間される。尚、搬送ベルト8と感光体ドラム11〜14の離間時は、搬送ベルト8の回転の有無は限定されるものではない。
【0056】
また、感光体ドラム11〜14と搬送ベルト8が離間された時、感光体ドラム11〜14が停止している場合は、感光体ドラム11〜14は回転を開始する。
【0057】
上記方法により、現像装置41〜44内の帯電特性の劣化した現像剤は、感光体ドラム11〜14上へ転移(現像)される。感光体ドラム11〜14上の現像剤は、そのままクリーニング装置61〜64へと回収される。
【0058】
実施例2
図4は、本発明の画像形成装置の第2の実施例を示す。
【0059】
本実施例の画像形成装置は、先に説明した実施例1の画像形成装置と同様の構成とされ、本実施例の画像形成装置は、感光体ドラム11〜14と搬送ベルト8との離間態様において異なる。従って、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0060】
次に、本実施例の特徴部分について説明する。
【0061】
本実施例の画像形成装置では、各カラーステーションP1〜P4に配置された画像形成ユニット101〜104が、図中矢印にて示すように、転写ユニット50から離間移動する方式となっている。プロセスカートリッジの構成を採用した各画像形成ユニット101〜104は、例えば、各画像形成ユニット毎に設けたカム機構などによりそれぞれ独立して個々に移動することもでき、又、一つの画像形成ユニット101を移動することにより、他の画像形成ユニット102〜104が連動して移動する構成とすることもできる。
【0062】
更には、図示するように、各画像形成ユニット101〜104を一つの可動筐体200に保持する構成とし、この筐体200が、先の実施例1と同様にカム機構などとされる解除機構90により転写ユニット50から移動し離間する構成とし、各画像形成ユニット101〜104を同時に転写ユニット50、即ち、搬送ベルト8から離間させることもできる。勿論、このとき、必要に応じて、転写ユニット50も又移動させることも可能である。
【0063】
実施例3
図5に本発明の画像形成装置の他の実施例を示す。
【0064】
本実施例の画像形成装置は、実施例1、2で説明した画像形成装置と同様の構成とされる。従って、実施例1、2に記載する画像形成装置と同じ構成及び機能を有する部材には、同じ参照番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0065】
本実施例の画像形成装置は、実施例1、2の画像形成装置にて使用した転写ユニット50における記録材Sを搬送するための搬送ベルト8の代わりに、中間転写体としての中間転写ベルト80が設けられた中間転写体方式の画像形成装置である点において異なる。
【0066】
つまり、画像形成ユニット101、102、103、104にて形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色のトナー像は、一旦中間転写ベルト80上に転写ブレード51〜54により転写され、フルカラー画像が形成される。その後、中間転写ベルト80上のフルカラーのトナー像は、二次転写手段としてのローラ113、114により記録材Sに一括転写される。
【0067】
このようにしてフルカラー画像が転写された記録材Sは、熱ローラ定着器9によってトナー像が定着され、この後、装置外に排出されて最終プリントが得られる。
【0068】
このような中間転写体方式の画像形成装置にても、実施例1で説明したと同様の方法にて、各画像形成ユニット101〜104の現像装置41〜44に対して現像剤のリフレッシュ工程が実施される。
【0069】
このリフレッシュ工程を実施することにより、現像装置41〜44内の帯電特性の劣化した現像剤は、感光体ドラム11〜14上へ転移(現像)され、その後、感光体ドラム11〜14上の現像剤は、そのままクリーニング装置61〜64へと回収される。
【0070】
各現像ローラ41b〜44b近傍の帯電特性の劣化した現像剤は、このリフレッシュ工程を実施することにより消費され、現像装置41〜44の現像ローラ41b〜44b近傍には新しい帯電特性の劣化していない現像剤が供給される。
【0071】
本実施例においても、実施例1、2と同様に、解除機構を設けることにより、リフレッシュ工程時には、中間転写ベルト80と感光体ドラム11〜14とが互いに離間するように、いずれか一方が、場合によっては、両者が移動するよう解除機構90を設けることができる。
【0072】
つまり、中間転写ベルト80と感光体ドラム11〜14の離間方法は、実施例1、2で説明したと同様にして行い、同様の効果を達成することができる。
【0073】
又、上記各実施例1、2、3では、画像形成ユニット101、102、103、104はそれぞれ、感光体ドラム11、12、13、14と、1次帯電ローラ21、22、23、24、現像装置41、42、43、44、クリーニング装置61、62、63、64は、一体にカートリッジ化され、プロセスカートリッジを構成しているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、現像装置41、42、43、44だけがそれぞれ一体的にカートリッジ化された構成の現像カートリッジとし、画像形成装置本体に対して着脱可能とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】画像形成ユニットの一実施例の概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置にて搬送ベルトと感光体ドラムが離間した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置にて搬送ベルトと感光体ドラムが離間した状態を示す図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成図である。
【図6】従来の画像形成装置を説明する概略構成図である。
【図7】従来の現像装置を説明する概略構成図である。
【符号の説明】
【0075】
8 搬送ベルト(記録材担持体)
11〜14 感光体ドラム(像担持体)
21〜24 1次帯電ローラ
31〜34 画像露光手段
41〜44 現像装置
41b〜44b 現像ローラ(現像剤担持体)
50 転写ユニット
51〜54 転写ブレード
61〜64 クリーニング装置
80 中間転写ベルト(中間転写体)
100 画像形成装置
101〜104 画像形成ユニット
P1〜P4 カラーステーション
S 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される複数の像担持体と、異なる色の現像剤を収容し、該現像剤を担持搬送する現像剤担持体にて、前記像担持体上の静電潜像を現像して現像像とする複数の現像装置と、前記像担持体上の現像像を転写する記録材を担持し搬送する記録材担持体、又は、前記像担持体上の現像像を転写する中間転写体と、を備えた画像形成装置において、
非画像形成時において、前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する動作を行わせる現像剤リフレッシュ工程を備え、
前記リフレッシュ工程時には、前記像担持体と前記記録材担持体又は前記中間転写体とを離間させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
全ての前記現像装置に対して同時に前記現像剤リフレッシュ工程が実施され、全ての前記像担持体と前記記録材担持体又は前記中間転写体とを離間させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体とこの像担持体に現像作動を行なう前記現像装置とは一体的に構成され、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像装置が一体的に構成され、画像形成装置本体に着脱自在な現像カートリッジを構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−91314(P2006−91314A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275489(P2004−275489)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】