説明

発泡材の製造方法

【課題】押出機の内部における原料の分散不良を防ぐことができ、押出機を使用して成型品を長時間連続して作ることができるペレット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】成形加工によって作られる成型品の原料を構成するペレット1Aであり、ペレット1Aが、親水性高分子の微粉体、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂の微粉体、植物繊維の微粉体、無機化合物の微粉体、の混合物であって、所定量の水分を含有し、それら微粉体の粒子径が30〜200μmの範囲、ペレット1Aの水分含有量がペレット1Aの全重量に対して5〜30%の範囲にあり、それら微粉体がペレット1Aに略均一に分散しているペレット及びその製造方法並びにその成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機で発泡材を製造する際に、押出機の内部における原料の分散不良を防ぐことができ、押出機を使用して発泡材を長時間連続して作ることができる発泡材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡材として、例えば、先行技術文献には、紙成分と熱可塑性合成樹脂と植物性材料と水とを押出機の内部で加熱しながら混練し、押出機の内部における水の気化を利用して紙成分と合成樹脂と植物性材料とからなる混合物を所定倍率に発泡させた発泡材とその製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
この発泡材は、紙成分として古紙を破砕した破砕物を使用し、合成樹脂としてパウダー状のポリプロピレンホモポリマーを使用するとともに、植物性材料としてコーンスターチを使用している。この発泡材は、それに古紙を破砕した破砕物とコーンスターチとが含まれているので、資源の有効利用に役立つとともに、発泡材が合成樹脂のみから作られている場合と比較し、発泡材の焼却時における燃焼カロリーを低下させることができる。
【0004】
しかし、この種の発泡材では、破砕物やパウダー状ポリプロピレンホモポリマー、コーンスターチ各々の比重や嵩が異なることから、発泡材の製造時に押出機の内部においてそれらが均一に分散せず、製造された発泡材の一部分に破砕物やコーンスターチが偏在する場合がある。破砕物やコーンスターチが発泡材の一部分に偏在すると、その部分における発泡材の強度が著しく低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、この種の発泡材の製造では、押出機の内部における破砕物の分散不良によって、破砕物が押出機のスクリュに集中し、破砕物がスクリュに絡まったり、混合物に対するスクリュの噛み込みが不安定となり、それらによってスクリュの回転に脈動が生じ、混合物が発泡過剰や発泡不良を起こしてしまう場合がある。また、この種の発泡材の製造では、押出機の内部における破砕物の分散不良によって、破砕物がダイの一部分に集中し、ダイが目詰まりを起こす場合があるので、発泡材を長時間連続して製造することが困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−273800公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、押出機で発泡材を製造する際に、押出機の内部における原料の分散不良を防ぐことができ、押出機を使用して発泡材を長時間連続して作ることができる発泡材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、押出機を使用して作られる発泡材の製造方法である。
【0009】
前記前提における本発明の第1の特徴は、製造方法が、親水性天然高分子を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の天然高分子微粉体と、植物性繊維を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の植物性繊維微粉体とに水を加え、混練機を使用してそれら微粉体を水とともに混練してそれら微粉体が均一に分散する流動性混合物を作る混合物製造工程と、造粒機を使用して流動性混合物を湿式造粒した後、乾燥させて所定形状のペレットを製造するペレット成形工程と、ペレット成形工程を介して製造されたペレットとポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂とを押出機に投入して発泡材を製造する発泡材製造工程とを含み、発泡材製造工程では、ペレットと合成樹脂とが押出機によって加熱混練され、天然高分子微粉体と合成樹脂とが溶解して所定温度の高温流動物となり、ペレットに含まれる水分が押出機内で気化して高温流動物の内部に多数の気泡を形成し、高温流動物がダイから押し出される瞬間に、気泡が膨張することにともなって高温流動物が所定倍率に膨張しつつ冷却固化して発泡材となることにある。
【0010】
前記第1の特徴を有する本発明の一例として、混合物製造工程では、流動性混合物の全重量に対する親水性高分子微粉体の重量比が5.0〜69.5%、流動性混合物の全重量に対する植物繊維微粉体の重量比が20.0〜60.0%の範囲にあり、発泡材製造工程では、ペレットの全重量に対する合成樹脂の重量比が10.0〜50.0%の範囲にある。
【0011】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例として、混合物製造工程では、無機化合物を微粉砕して作られた30〜200μmの無機化合物微粉体が混入され、流動性混合物の全重量に対する無機化合物微粉体の重量比が0.5〜35.0%の範囲にあり、天然高分子微粉体と植物性繊維微粉体と無機化合物微粉体とに水を加え、それら微粉体を水とともに混練してそれら微粉体が均一に分散する流動性混合物を作る。
【0012】
前記前提における本発明の第2の特徴は、製造方法が、親水性天然高分子を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の天然高分子微粉体と、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂と、植物性繊維を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の植物性繊維微粉体とに水を加え、混練機を使用してそれらを水とともに混練してそれらが均一に分散する流動性混合物を作る混合物製造工程と、造粒機を使用して流動性混合物を湿式造粒した後、乾燥させて所定形状のペレットを製造するペレット成形工程と、ペレット成形工程を介して製造されたペレットを押出機に投入して発泡材を製造する発泡材製造工程とを含み、発泡材製造工程では、ペレットが押出機によって加熱混練され、天然高分子微粉体と合成樹脂とが溶解して所定温度の高温流動物となり、ペレットに含まれる水分が押出機内で気化して高温流動物の内部に多数の気泡を形成し、高温流動物がダイから押し出される瞬間に、気泡が膨張することにともなって高温流動物が所定倍率に膨張しつつ冷却固化して発泡材となることにある。
【0013】
前記第2の特徴を有する本発明の一例として、混合物製造工程では、流動性混合物の全重量に対する親水性高分子微粉体の重量比が5.0〜69.5%、流動性混合物の全重量に対する合成樹脂の重量比が10.0〜50.0%、流動性混合物の全重量に対する植物繊維微粉体の重量比が20.0〜60.0%の範囲にある。
【0014】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、混合物製造工程では、無機化合物を微粉砕して作られた30〜200μmの無機化合物微粉体が混入され、流動性混合物の全重量に対する無機化合物微粉体の重量比が0.5〜35.0%の範囲にあり、天然高分子微粉体とポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂と植物性繊維微粉体と無機化合物微粉体とに水を加え、それらを水とともに混練してそれらが均一に分散する流動性混合物を作る。
【0015】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、混合物製造工程で加えられる水の割合が混合物製造工程で作られる流動性混合物の全重量に対して20〜50%の範囲にある。
【0016】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ペレット成形工程で製造されたペレットの水分含有量がペレットの全重量に対して5.0〜30.0%の範囲にあり、ペレットが100〜490Nの圧力で崩壊するとともに、150〜190℃の温度で溶解する。
【0017】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ペレット成形工程で製造されたペレットの嵩比重が0.2〜1.0の範囲にある。
【0018】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ペレット成形工程で製造されたペレットが略円柱状を呈し、ペレットの長さが0.5〜10.0mmの範囲、ペレットの直径が1.0〜5.0mmの範囲にある。
【0019】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例として、発泡材製造工程では、発泡材の発泡倍率が発泡前の高温流動物の単位体積当たり20〜80倍の範囲にある。
【0020】
前記第1および第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、製造方法によって製造された発泡材の燃焼カロリーが4500〜6000kcal/kgの範囲にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、押出機で発泡材を製造する際に、押出機の内部における原料の分散不良を防ぐことができ、押出機を使用して発泡材を長時間連続して作ることができる発泡材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一例として示すペレットの斜視図である。
【図2】図1のペレットの製造方法の一例を示す工程概略図である。
【図3】図1のペレットから作られる発泡材の製造方法を示す工程概略図である。
【図4】他の一例として示すペレットの斜視図である。
【図5】図4のペレットの製造方法の一例を示す工程概略図である。
【図6】図4のペレットから作られる発泡材の製造方法を示す工程概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面に基づいて、本発明に係る発泡材の製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0024】
図1は、一例として示すペレット1Aの斜視図である。このペレット1Aは、押出成形の技術を利用して作られる発泡材7(成型品)の原料を構成する(図3参照)。
【0025】
ペレット1Aは、親水性高分子2から形成された微粉体P1(第1微粉体)と、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂3と植物繊維4と無機化合物5とから形成された微粉体P2,P3,P4(第2微粉体)とを所定の割合で混合した混合物である(図2参照)。ペレット1Aは、所定量の水分を含有する。
【0026】
ペレット1Aには、親水性高分子2の微粉体P1、合成樹脂3の微粉体P2、植物繊維4の微粉体P3、無機化合物5の微粉体P4、の各々が略均一に分散している。それらの微粉体P1,P2,P3,P4の粒子径は、30〜200μmの範囲にある。ペレット1Aでは、それら微粉体P1,P2,P3,P4が実質的に目視不能である。
【0027】
ペレット1Aは、円柱状を呈する固形物であり、その長さL1が0.5〜10.0mm、その直径L2が1.0〜5.0mmの範囲にある。ペレット1Aは、その嵩比重が0.2〜1.0の範囲にあり、100〜490Nの圧力で崩壊するとともに、150〜190℃の温度で溶解する。
【0028】
親水性高分子2には、植物系天然高分子と合成高分子とのうちの少なくとも一方が使用されている。親水性高分子2は、合成樹脂3と植物繊維4と無機化合物5とを接着するバインダーとして機能する。
【0029】
植物系天然高分子には、デンプンを使用することができる。デンプンには、馬鈴薯、サツマイモ、コーンスターチ、米デンプン、小麦デンプン、コンニャク、タピオカ、改質デンプン、加工デンプン、のうちの少なくとも1つを使用することができる。植物系天然高分子には、デンプンの他に、ニカワ、寒天、フスマ、ヌカ、オカラ、ゼラチン、のうちの少なくとも1つを使用することもできる。
【0030】
合成高分子には、ポリビニルアルコール、アクリル酸塩、マイレン酸塩、油脂ワックス、のうちの少なくとも1つを使用することができる。親水性高分子2の微粉体P1は、植物系天然高分子と合成高分子とを粉砕機で微粉砕して作ることができる。
【0031】
ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂3には、ポリプロピレンとポリエチレンとのうちのいずれか一方、又は、それらを所定の割合で混合した樹脂が使用されている。
【0032】
ポリプロピレンには、ブロック重合ポリプロピレン、ランダム重合ポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレン、メタロセン触媒ポリプロピレン、変成ポリプロピレン、のうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0033】
ポリエチレンには、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒ポリエチレン、変成ポリエチレン、のうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0034】
合成樹脂3の微粉体P2としては、合成樹脂3の重合過程で生成されるポリマー粒子を使用することができる。また、合成樹脂3の微粉体P2は、塊状の合成樹脂3を粉砕機で微粉砕して作ることもできる。
【0035】
植物繊維4には、紙が使用されている。紙には、バージン紙や古紙を使用することができる。紙には、それを製造するときに発生する破紙や損紙を使用することもできる。紙には、塩素と蛍光増白剤とを非含有のものを使用することが好ましい。古紙を原料とした植物繊維4は、セルロース成分が95%以上であることが好ましい。紙から形成された植物繊維4の微粉体P3は、紙を粉砕機で微粉砕して作ることができる。
【0036】
植物繊維4には、製紙される以前のパルプを使用することもできる。パルプから形成された植物繊維4の微粉体P3は、パルプを粉砕機で微粉砕して作ることができる。パルプから作られた植物繊維4の微粉体P3は、リグニン成分が1%以下のものを使用することが好ましい。
【0037】
パルプには、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプ、化学的パルプ、のうちの少なくとも1つを使用することができる。パルプは、木材パルプを使用することが好ましいが、木材パルプにぼろパルプや茎桿パルプ、靭皮パルプ等のうちの少なくとも1つを混合することもできる。パルプは、塩素と蛍光増白剤とを非含有のものを使用することが好ましい。
【0038】
植物繊維4には、紙やパルプの他に、植物自体を使用することもできる。植物から形成された植物繊維4の微粉体P3は、植物を粉砕機で微粉砕して作ることができる。植物には、パガス、ケナフ、アシ、麻、ミツマタ、コーゾ、ガンビ、竹、のうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0039】
無機化合物5は、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、クレー、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、亜鉛華、貝殻カルシウム、石炭、のうちの少なくとも1つが使用されている。無機化合物5の微粉体P4は、無機化合物5が塊状のものであれば、それを粉砕機で微粉砕して作ることができる。
【0040】
図2は、図1のペレット1Aの製造方法を示す工程概略図である。ペレット1Aの製造方法は、混練機11を使用して流動性混合物6を製造する混合物製造工程S1と、造粒機12を使用して混合物6からペレット1Aを製造するペレット製造工程S2とから形成されている。
【0041】
混合物製造工程S1では、親水性高分子2とポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂3と植物繊維4と無機化合物5との微粉体P1,P2,P3,P4(第1及び第2微粉体)が混練機11に投入されるとともに、水Wが混練機11に注入される。混練機11では、その内部に設置されたスクリュ(図示せず)の回転によってそれら微粉体P1,P2,P3,P4が水Wとともに混練され、粘性を有する粘土状の流動性混合物6が製造される。
【0042】
混練機11に注入される水Wの割合(混合物製造工程で加えられる水の重量比)は、混練機11に投入される微粉体P1,P2,P3,P4の全重量(混合物製造工程で混練される第1及び第2微粉体の全重量)に対して20〜50%の範囲にある。水Wの温度は、1〜30℃の範囲にある。水Wには、水道水を使用することができる。水Wには、特に限定はなく、軟水や硬水、純水のいずれであってもよい。
【0043】
混練機11に注入される水Wの割合が20%未満では、親水性高分子2や合成樹脂3、植物繊維4、無機化合物5、の微粉体P1,P2,P3,P4を十分に混練することができず、流動性混合物6を作ることができない。混練機11に注入される水Wの割合が50%を超過すると、混合物6の粘性が著しく低下し、後記するペレット製造工程S2において混合物6を加熱して水分を蒸発させる必要が生じる。また、水分を蒸発させるために混合物6を加熱すると、それに含まれる親水性高分子2の微粉体P1が糊状に変質し、混合物6の粘性が著しく増加してしまう。混練機11に注入される水Wの温度が30℃を超過すると、混練される親水性高分子2の種類にもよるが、親水性高分子2の微粉体P1が糊状に変質してしまう場合がある。
【0044】
ペレット製造工程S2では、混練機11から排出された混合物6が配管13を通ってホッパ14からスクリュ押出し造粒機12の内部に流入する。造粒機12の内部では、混合物6がスクリュ(図示せず)の回転によって加圧されながら造粒機12の後端部12aから先端部12bへ向かって移動する。
【0045】
混合物6は、造粒機12の先端部12bに取り付けられたパンチングプレート(図示せず)を通って造粒機12の外部へ排出される。混合物6は、パンチングプレートに形成された円形の多数の開孔によって円柱状に成形されるとともに、所定の長さに切断される。その後、混合物6が自然乾燥され、多数のペレット1Aが製造される。
【0046】
ペレット1Aの製造方法では、親水性高分子2や合成樹脂3、植物繊維4、無機化合物5、の微粉体P1,P2,P3,P4が水Wとともに十分に混練されるので、製造されたペレット1Aにそれらの微粉体P1,P2,P3,P4を略均一に分散させることができる。微粉体P1,P2,P3,P4は、粒子径が30〜200μmの範囲にあるので、それら微粉体P1,P2,P3,P4の比重や嵩が大きく異なることはなく、微粉体P1,P2,P3,P4のいずれかがペレット1Aの一部分に偏在することはない。
【0047】
図3は、図1のペレット1Aから作られる発泡材7の製造方法を示す発泡材製造工程概略図である。発泡材7は、押出機15を使用して製造され、押出機15の先端部15bに取り付けられたダイ(図示せず)によって板状に成型され、所定の形状の成形品に作製される。
【0048】
発泡材7製造工程では、押出機15の後端部15aに取り付けられたホッパ16から多数のペレット1Aが投入され、ペレット1Aが押出機15の内部に進入する。
【0049】
押出機15の内部では、ペレット1Aが加熱されるとともに、押出機15のスクリュ(図示せず)の回転によってペレット1Aが加圧されながら混練される。押出機15の内部では、親水性高分子2と合成樹脂3とが溶解し、ペレット1Aが所定温度の高温流動物(図示せず)になる。流動物には、植物繊維4と無機化合物5との微粉体P3,P4が略均一に分散している。なお、ペレット1Aは、100〜490Nの圧力で崩壊するので、スクリュの回転によってペレット1Aを容易に砕くことができる。
【0050】
押出機15の内部でペレット1Aが高温流動物に変わると、ペレット1Aに含まれる水分が瞬時に気化し、水分が気化前の体積の約1200倍以上の体積を有する蒸気に変化する。流動物の内部には、水分の気化によって多数の気泡8が形成される。流動物は、ダイから押し出された瞬間に、気泡8の膨張にともなって所定の倍率に膨張する。流動物は、ダイから押し出された後、冷却固化して板状の発泡材7となる。
【0051】
図3に示す発泡材7製造工程では、微粉体P1,P2,P3,P4が略均一に分散するペレット1Aを使用しているので、ペレット1Aを加熱、混練することによって形成される流動物に微粉体P3,P4を均一に分散させることができ、微粉体P3,P4のいずれかが製造された発泡材7の一部分に偏在することはなく、発泡材7の強度が部分的に低下することはない。
【0052】
発泡材7では、親水性高分子2が気泡8を包被する膜を形成する。発泡材7の発泡倍率は、発泡前の流動物の単位体積当たり20〜80倍である。発泡材7の燃焼カロリーは、4500〜6000kcal/kgの範囲にある。
【0053】
押出機15では、その内部に進入したペレット1Aを150〜190℃に加熱している。ペレット1Aの加熱温度が150℃未満では、押出機15の内部において親水性高分子2と合成樹脂3との微粉体P1,P2が溶解せず、ペレット1Aを高温流動物にすることができない。ペレット1Aの加熱温度が190℃を超過すると、親水性高分子2や合成樹脂3、植物繊維4の性状が変化し、特に、植物繊維4が黄ばんだり、黒ずんだりすることで、発泡材7が変色してしまう場合がある。
【0054】
ペレット1Aでは、その全重量に対する親水性高分子2の重量比が5〜69.5%、その全重量に対する合成樹脂3の重量比が10〜50%の範囲にある。ペレット1Aでは、その全重量に対する植物繊維4の重量比が20〜60%、その全重量に対する無機化合物5の重量比が0.5〜35%の範囲にある。ペレット1Aの全重量に対する親水性高分子2の重量比は、20〜69.5%の範囲にあることが好ましい。
【0055】
なお、このペレット1Aの製造方法では、混練機11で製造される流動性混合物6の全重量に対する親水性高分子2の重量比が5〜69.5%、流動性混合物6の全重量に対する合成樹脂3の重量比が10〜50%、流動性混合物6の全重量に対する植物繊維4の重量比が20〜60%、流動性混合物6の全重量に対する無機化合物5の重量比が0.5〜35%の範囲にある。
【0056】
親水性高分子2の重量比が5%未満では、親水性高分子2の接着機能を十分に利用することができないので、親水性高分子2によって合成樹脂3と植物繊維4と無機化合物5とを接着することができず、所定形状のペレット1Aを製造することができない。
【0057】
合成樹脂3の重量比が10%未満では、ペレット1Aから製造された発泡材7の強度が著しく低下し、発泡材7が容易に破損してしまう。合成樹脂3の重量比が50%を超過すると、ペレット1Aの燃焼カロリーが増加し、その結果、ペレット1Aから製造される発泡材7の燃焼カロリーが6000kcal/kgを超えてしまう。
【0058】
植物繊維4の重量比が20%未満かつ無機化合物5の重量比が0.5%未満では、ペレット1Aの燃焼カロリーを低下させることができず、ペレット1Aから製造された発泡材7の燃焼カロリーを低下させることができない。
【0059】
植物繊維4の重量比が60%超過し、又は、無機化合物5の重量比が35%を超過すると、加熱しても流動性を示さない植物繊維4や無機化合物5が押出機15の内部における流動物の流動性を妨げ、定量の流動物をダイから押し出すことができず、流動物の押出不良が生じる。また、ペレット1Aから発泡材7を製造するときに、植物繊維4がダイの一部分に集中し、それによってダイが目詰まりを起こす場合があるので、発泡材7を長時間連続して製造することが困難になる。更に、ペレット1Aから製造される発泡材7の強度が低下してしまう。
【0060】
ペレット1Aは、その全重量に対する水分量が5〜30%の範囲にある。ペレット1Aの水分量が5%未満では、ペレット1Aを使用して発泡材7を製造するときに、押出機15の内部における高温流動物の発泡が不十分となり、ペレット1Aから製造される発泡材7の発泡倍率が20%以下になってしまう。ペレット1Aの水分量が30%を超過すると、ペレット1Aが著しく脆弱となり、それが100N未満の圧力で容易に崩壊し、その形態を保持することができない。
【0061】
ペレット1Aの長さが10.0mmを超過かつ直径が5.0mmを超過すると、ペレット1Aが必要以上に大きくなり、押出機15の内部においてペレット1Aが迅速に崩壊かつ溶解せず、押出機15のスクリュの噛み込み不良やスクリュの回転に脈動が生じ、押出機15の内部において流動物が発泡過剰や発泡不良を起こしてしまう場合がある。ペレット1Aの嵩比重が0.2未満では、押出機15のスクリュが空回りを起こし、スクリュの回転に脈動が生じる場合がある。
【0062】
親水性高分子2や合成樹脂3、植物繊維4、無機化合物5、の微粉体P1,P2,P3,P4の粒子径が30μm未満では、それらを30μm未満の粒子径に加工するために複数の粉砕工程を必要とするので、ペレット1Aの生産コストが上昇してしまう。それらの微粉体P1,P2,P3,P4の粒子径が200μmを超過すると、ペレット1Aの製造時に微粉体P1,P2,P3,P4が分散不良を起こし、ペレット1Aにそれら微粉体P1,P2,P3,P4を均一に分散させることができない。
【0063】
図4は、他の一例として示すペレット1Bの斜視図である。このペレット1Bは、図1のそれと同様に、押出成形の技術を利用して作られる発泡材7(成型品)の原料を構成する(図6参照)。
【0064】
このペレット1Bは、親水性高分子2から形成された微粉体P1(第1微粉体)と、植物繊維4と無機化合物5とから形成された微粉体P3,P4(第2微粉体)とを所定の割合で混合した混合物である(図5参照)。ペレット1Bは、角柱状を呈する固形物であり、所定量の水分を含有する。
【0065】
ペレット1Bの全重量に対する水分量やペレット1Bの嵩比重は、図1のそれらと同一である。ペレット1Bは、100〜490Nの圧力で崩壊するとともに、150〜190℃の温度で溶解する。
【0066】
ペレット1Bには、親水性高分子2の微粉体P1、植物繊維4の微粉体P3、無機化合物5の微粉体P4、の各々が略均一に分散している。それら微粉体P1,P3,P4は、その粒子径が30〜200μmの範囲にある。親水性高分子2や植物繊維4、無機化合物5には、図1のそれらと同一の素材が使用されている。
【0067】
図5は、図4のペレット1Bの製造方法を示す工程概略図である。このペレット1Bの製造方法は、図1のそれと同様に、混練機11を使用して流動性混合物6を製造する混合物製造工程S1と、造粒機12を使用して混合物6からペレット1Bを製造するペレット製造工程S2とから形成されている。
【0068】
混合物製造工程S1では、親水性高分子2と植物繊維4と無機化合物5との微粉体P1,P3,P4が混練機11に投入されるとともに、水Wが混練機11に注入される。混練機11の内部では、スクリュの回転によってそれら微粉体P1,P3,P4が水Wとともに混練され、粘性を有する粘土状の流動性混合物6が製造される。混練機11に注入される水Wの割合(混合物製造工程で加えられる水の重量比)や水Wの温度は、図2のそれらと同一である。
【0069】
ペレット製造工程S2では、混合物6が配管13を通ってホッパ14からスクリュ押出し造粒機12の内部に流入する。造粒機12の内部では、混合物6がスクリュ(図示せず)の回転によって加圧されながら造粒機12の先端部12bへ向かって移動する。混合物6は、造粒機12の先端部12bに取り付けられたパンチングプレート(図示せず)から造粒機12の外部へ排出される。混合物6は、パンチングプレートに形成された四角形の多数の開孔によって角柱状に成形されるとともに、所定の長さに切断される。その後、混合物6が自然乾燥され、多数のペレット1Bが製造される。
【0070】
ペレット1Bの製造方法では、親水性高分子2や植物繊維4、無機化合物5、の微粉体P1,P3,P4が水Wとともに十分に混練されるので、製造されたペレット1Bにそれらの微粉体P1,P3,P4を略均一に分散させることができる。微粉体P1,P3,P4は、粒子径が30〜200μmの範囲にあるので、それら微粉体P1,P3,P4の比重や嵩が大きく異なることはなく、微粉体P1,P3,P4のいずれかがペレット1Aの一部分に偏在することはない。
【0071】
図6は、図4のペレット1Bから作られる発泡材7の製造方法を示す発泡材製造工程概略図である。発泡材7は、押出機15を使用して製造され、押出機15に取り付けられたダイ(図示せず)から押し出すことによって板状に成型され、所定の形状の成形品が作製される。
【0072】
押出機15のホッパ16には、多数のペレット1Bとともに所定量のポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂3の微粉体P2が投入される。押出機15の内部では、ペレット1Bと合成樹脂3の微粉体P2とが加熱されるとともに、押出機15のスクリュ(図示せず)の回転によってそれらが混練され、親水性高分子2と合成樹脂3との微粉体P1,P2が溶解して所定温度の高温流動物になる。
【0073】
押出機15の内部では、ペレット1Bに含まれる水分が瞬時に気化し、水分が気化前の単位体積の約1200倍以上の体積を有する気体に変化することで、流動物の内部に多数の気泡8が形成される。流動物は、ダイから押し出される瞬間に、気泡8が膨張することにともなって所与倍率に膨張する。流動物は、ダイから押し出された後、冷却固化して板状の発泡材7となる。
【0074】
発泡材7では、親水性高分子2が気泡8を包被する膜を形成する。発泡材7の発泡倍率は、発泡前の流動物の単位体積当たり20〜80倍である。発泡材7の燃焼カロリーは、4500〜6000kcal/kgの範囲にある。ペレット1Bと微粉体P2とに対する押出機15の加熱温度は、図3のそれと同一である。
【0075】
図6に示す発泡材7の製造方法では、微粉体P1,P3,P4が略均一に分散するペレット1Bと合成樹脂3の微粉体P2とを使用しているので、ペレット1Aを加熱、混練することによって形成される流動物に微粉体P3,P4を均一に分散させることができ、製造された発泡材7の一部分に微粉体P3,P4のいずれかが偏在することはなく、発泡材7の強度が部分的に低下することはない。
【0076】
このペレット1Bでは、その全重量に対する親水性高分子2の重量比が5〜69.5%、その全重量に対する植物繊維4の重量比が20〜60%、その全重量に対する無機化合物5の重量比が0.5〜35%の範囲にある。ペレット1Bの全重量に対する親水性高分子2の重量比は、20〜69.5%の範囲にあることが好ましい。
【0077】
なお、このペレット1Bの製造方法では、混練機11で製造される流動性混合物6の全重量に対する親水性高分子2の重量比が5〜69.5%、流動性混合物6の全重量に対する植物繊維4の重量比が20〜60%、流動性混合物6の全重量に対する無機化合物5の重量比が0.5〜35%の範囲にある。
【0078】
親水性高分子2の重量比が5%未満では、親水性高分子2の接着力が低下し、親水性高分子2によって植物繊維4と無機化合物5とを接着することができず、所定形状のペレット1Bを製造することができない。
【0079】
植物繊維4の重量比が20%未満かつ無機化合物5の重量比が0.5%未満では、ペレット1Bの燃焼カロリーを低下させることができず、その結果、ペレット1Bから製造される発泡材7の燃焼カロリーが6000kcal/kgを超えてしまう。
【0080】
植物繊維4の重量比が60%超過し、又は、無機化合物5の重量比が35%を超過すると、加熱しても流動性を示さない植物繊維4や無機化合物5が押出機15の内部における流動物の流動性を妨げ、定量の流動物をダイから押し出すことができず、流動物の押出不良が生じる。また、ペレット1Bから発泡材7を製造するときに、植物繊維4がダイの一部分に集中し、それによってダイが目詰まりを起こす場合があるので、発泡材7を長時間連続して製造することが困難になる。
【0081】
ペレット1Bから発泡材7を製造する製造方法において、押出機15に投入する合成樹脂3の重量比は、押出機15に投入するペレット1Bの全重量に対して10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0082】
合成樹脂3の重量比が10%未満では、ペレット1Aから製造された発泡材7の強度が著しく低下し、発泡材7が容易に破損してしまう。合成樹脂3の重量比が50%を超過すると、ペレット1Aの燃焼カロリーが増加し、その結果、ペレット1Aから製造される発泡材7の燃焼カロリーが6000kcal/kgを超えてしまう。
【0083】
ペレットは、親水性高分子2の微粉体P1(第1微粉体)と、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂3と植物繊維4と無機化合物5とのうちから選択された少なくとも1つの微粉体P2,P3,P4(第2微粉体)とを混合した混合物であればよい。たとえば、ペレットが親水性高分子2の微粉体P1と合成樹脂3の微粉体P2との混合物、ペレットが親水性高分子2の微粉体P1と植物繊維4の微粉体P3との混合物、ペレットが親水性高分子2の微粉体P1と無機化合物5の微粉体P4との混合物であってもよい。更に、ペレットが親水性高分子2の微粉体P1と合成樹脂3および植物繊維4の微粉体P2,P3との混合物、ペレットが親水性高分子2の微粉体P1と合成樹脂3および無機化合物5の微粉体P2,P4との混合物であってもよい。
【0084】
ペレットは、その形状を図示の円柱状や角柱状に限定するものではなく、ペレットの製造工程においてその形状を変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係るペレットは、親水性高分子から形成された微粉体(第1微粉体)と、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂と植物繊維と無機化合物とのうちの少なくとも1つから形成された微粉体(第2微粉体)とを混合した混合物であり、それら微粉体がペレットに略均一に分散している。このペレットは、それを形成する微粉体の粒子径が30〜200μmの範囲にあり、それら微粉体の比重や嵩が大きく異なることはなく、親水性高分子や合成樹脂、植物繊維、無機化合物の微粉体のいずれかがペレットの一部分に偏在することはない。
【0086】
このペレットは、それを使用して成型品を製造するときに、押出機の内部における微粉体の分散不良を防ぐことができ、植物繊維と無機化合物との微粉体のいずれかが成型品の一部分に偏在することはなく、成型品の強度の低下を防ぐことができる。
【0087】
このペレットは、その全重量に対する水分含有量が5〜30%の範囲にあり、ペレットを押出機に投入すると、ペレットが溶解して高温の流動物になるとともに水分が気化し、流動物に多数の気泡が形成されるので、ペレットを使用して容易に発泡材を製造することができる。この発泡材及びその成形品は、例えば、緩衝材、断熱材等として広汎な分野で利用することができる。
【0088】
植物繊維と無機化合物とを含有するペレットは、それが合成樹脂のみから形成されている場合と比較し、ペレットから製造された成型品の焼却時における燃焼カロリーを低下させることができる。
【0089】
本発明に係るペレットの製造方法では、ペレットを形成する微粉体を均一に分散させることができ、ペレットにおける微粉体の偏在を防ぐことができる。それゆえに、押出機を使用してペレットから成型品を製造するときに、押出機の内部で流動する流動物に微粉体が均一に分散し、定量の流動物を押出機のダイから円滑に押し出すことができ、ダイが目詰まりを起こすこともなく、押出機を使用して成型品を長時間連続して作ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1A ペレット
1B ペレット
2 親水性高分子
3 ポリオレフィン系合成樹脂
4 植物繊維
5 無機化合物
6 流動性混合物
7 発泡材(成型品)
11 混練機
12 造粒機
15 押出機
L1 長さ
L2 直径
P1 親水性高分子の微粉体(第1微粉体)
P2 ポリオレフィン系合成樹脂の微粉体(第2微粉体)
P3 植物繊維の微粉体(第2微粉体)
P4 無機化合物の微粉体(第2微粉体)
S1 混合物製造工程
S2 ペレット製造工程
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機を使用して作られる発泡材の製造方法において、
前記製造方法が、親水性天然高分子を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の天然高分子微粉体と、植物性繊維を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の植物性繊維微粉体とに水を加え、混練機を使用してそれら微粉体を前記水とともに混練してそれら微粉体が均一に分散する流動性混合物を作る混合物製造工程と、造粒機を使用して前記流動性混合物を湿式造粒した後、乾燥させて所定形状のペレットを製造するペレット成形工程と、前記ペレット成形工程を介して製造されたペレットとポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂とを押出機に投入して前記発泡材を製造する発泡材製造工程とを含み、
前記発泡材製造工程では、前記ペレットと前記合成樹脂とが押出機によって加熱混練され、前記天然高分子微粉体と前記合成樹脂とが溶解して所定温度の高温流動物となり、前記ペレットに含まれる水分が押出機内で気化して前記高温流動物の内部に多数の気泡を形成し、前記高温流動物がダイから押し出される瞬間に、前記気泡が膨張することにともなって前記高温流動物が所定倍率に膨張しつつ冷却固化して前記発泡材となることを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
前記混合物製造工程では、前記流動性混合物の全重量に対する親水性高分子微粉体の重量比が5.0〜69.5%、前記流動性混合物の全重量に対する植物繊維微粉体の重量比が20.0〜60.0%の範囲にあり、前記発泡材製造工程では、前記ペレットの全重量に対する合成樹脂の重量比が10.0〜50.0%の範囲にある請求項1記載の発泡材の製造方法。
【請求項3】
前記混合物製造工程では、無機化合物を微粉砕して作られた30〜200μmの無機化合物微粉体が混入され、前記流動性混合物の全重量に対する無機化合物微粉体の重量比が0.5〜35.0%の範囲にあり、前記天然高分子微粉体と前記植物性繊維微粉体と前記無機化合物微粉体とに水を加え、それら微粉体を前記水とともに混練してそれら微粉体が均一に分散する流動性混合物を作る請求項1または請求項2に記載の発泡材の製造方法。
【請求項4】
押出機を使用して作られる発泡材の製造方法において、
前記製造方法が、親水性天然高分子を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の天然高分子微粉体と、ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂と、植物性繊維を微粉砕して作られた30〜200μmの粒径の植物性繊維微粉体とに水を加え、混練機を使用してそれらを前記水とともに混練してそれらが均一に分散する流動性混合物を作る混合物製造工程と、造粒機を使用して前記流動性混合物を湿式造粒した後、乾燥させて所定形状のペレットを製造するペレット成形工程と、前記ペレット成形工程を介して製造されたペレットを押出機に投入して前記発泡材を製造する発泡材製造工程とを含み、
前記発泡材製造工程では、前記ペレットが押出機によって加熱混練され、前記天然高分子微粉体と前記合成樹脂とが溶解して所定温度の高温流動物となり、前記ペレットに含まれる水分が押出機内で気化して前記高温流動物の内部に多数の気泡を形成し、前記高温流動物がダイから押し出される瞬間に、前記気泡が膨張することにともなって前記高温流動物が所定倍率に膨張しつつ冷却固化して前記発泡材となることを特徴とする前記製造方法。
【請求項5】
前記混合物製造工程では、前記流動性混合物の全重量に対する親水性高分子微粉体の重量比が5.0〜69.5%、前記流動性混合物の全重量に対する合成樹脂の重量比が10.0〜50.0%、前記流動性混合物の全重量に対する植物繊維微粉体の重量比が20.0〜60.0%の範囲にある請求項4記載の発泡材の製造方法。
【請求項6】
前記混合物製造工程では、無機化合物を微粉砕して作られた30〜200μmの無機化合物微粉体が混入され、前記流動性混合物の全重量に対する無機化合物微粉体の重量比が0.5〜35.0%の範囲にあり、前記天然高分子微粉体と前記ポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂と前記植物性繊維微粉体と前記無機化合物微粉体とに水を加え、それらを前記水とともに混練してそれらが均一に分散する流動性混合物を作る請求項4または請求項5に記載の発泡材の製造方法。
【請求項7】
前記混合物製造工程で加えられる前記水の割合が、前記混合物製造工程で作られる流動性混合物の全重量に対して20〜50%の範囲にある請求項1ないし請求項6いずれかに記載の発泡材の製造方法。
【請求項8】
前記ペレット成形工程で製造されたペレットの水分含有量が、前記ペレットの全重量に対して5.0〜30.0%の範囲にあり、前記ペレットが、100〜490Nの圧力で崩壊するとともに、150〜190℃の温度で溶解する請求項1ないし請求項7いずれかに記載の発泡材の製造方法。
【請求項9】
前記ペレット成形工程で製造されたペレットの嵩比重が、0.2〜1.0の範囲にある請求項1ないし請求項8いずれかに記載の発泡材の製造方法。
【請求項10】
前記ペレット成形工程で製造されたペレットが、略円柱状を呈し、前記ペレットの長さが、0.5〜10.0mmの範囲、前記ペレットの直径が、1.0〜5.0mmの範囲にある請求項1ないし請求項9いずれかに記載の発泡材の製造方法。
【請求項11】
前記発泡材製造工程では、前記発泡材の発泡倍率が発泡前の前記高温流動物の単位体積当たり20〜80倍の範囲にある請求項1ないし請求項10いずれかに記載の発泡材の製造方法。
【請求項12】
前記製造方法によって製造された発泡材の燃焼カロリーが、4500〜6000kcal/kgの範囲にある請求項1ないし請求項11いずれかに記載の発泡材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−263675(P2009−263675A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146415(P2009−146415)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【分割の表示】特願2004−7400(P2004−7400)の分割
【原出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【出願人】(597022540)株式会社環境経営総合研究所 (23)
【Fターム(参考)】