説明

硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物

【課題】 成型時の流動性が優れ、硬化して、低弾性率の硬化物を形成する硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (I)エポキシ樹脂、(II)エポキシ樹脂用硬化剤、および(III)架橋シリコーン粒子を形成するケイ素原子に、一般式:R1NH−R2−(式中、R1はアリール基またはアラルキル基であり、R2は二価有機基である。)で表される2級アミノ基を結合する架橋シリコーン粒子{前記(I)成分と(II)成分の合計100重量部に対して0.1〜100重量部}から少なくともなる硬化性エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性エポキシ樹脂組成物は電気・電子部品の封止剤、接着剤等に使用されているが、その硬化物は弾性率が高く、剛直であるため、熱膨張や硬化収縮により電気・電子部品に応力が加わりやすいという問題がある。このため、硬化性エポキシ樹脂組成物に、3−アミノプロピル基等の1級アミノ基、あるいはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基等の2級アミノ基基を含有する架橋シリコーン粒子を配合することにより、得られる硬化物の弾性率を低下させることが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
しかし、このような架橋シリコーン粒子は、硬化性エポキシ樹脂組成物への分散性および親和性が十分でなく、得られる硬化物の弾性率を十分に低下させることができず、また、このような架橋シリコーン粒子は反応性が高いため、硬化性エポキシ樹脂組成物の調製時あるいは貯蔵時にゲル化し易いため、得られる硬化性エポキシ樹脂組成物の成型時の流動性が低下するという問題があった。
【特許文献1】特開昭58−219218号公報
【特許文献2】特開平4−266928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、成型時の流動性が優れ、硬化して、低弾性率の硬化物を形成する硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにあり、さらには、半導体用の封止剤もしくは接着剤として好適な硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、低弾性率の硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、下記(I)成分〜(III)成分から少なくともなることを特徴とする。
(I)エポキシ樹脂
(II)エポキシ樹脂用硬化剤
(III)架橋シリコーン粒子を形成するケイ素原子に、一般式:
1NH−R2
(式中、R1はアリール基またはアラルキル基であり、R2は二価炭化水素基である。)
で表される2級アミノ基を結合する架橋シリコーン粒子{前記(I)成分と(II)成分の合計100重量部に対して0.1〜100重量部}
また、本発明の硬化物は、上記の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、成型時の流動性が優れ、硬化して、低弾性率である硬化物を形成することができる。また、本発明の硬化物は、低弾性率である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(I)成分のエポキシ樹脂は本組成物の主剤であり、グリシジル基や脂環式エポキシ基等のエポキシ基を1個以上有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、エポキシ基を2個以上有する化合物である。(I)成分としては、エポキシ基を含有する有機樹脂、シリコーン樹脂が例示され、好ましくは、有機樹脂である。エポキシ基を有する有機樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、スチルベン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂が例示される。(I)成分として、これらのエポキシ樹脂を2種以上組み合わせてもよい。特に、(I)成分はビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル基を含むエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0008】
(I)成分は一般に入手可能であり、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製のYX−4000が例示され、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、新日鐵化学社製のVSLV−80XYが例示され、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂としては、日本化薬社製のNC−3000、CER−3000L(ビフェニル型エポキシ樹脂との混合物)が例示され、ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂として、新日鐵化学社製のESN−175が例示される。
【0009】
本組成物を半導体用の封止剤あるいは接着剤として使用する場合、(I)成分中の加水分解性塩素の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、特に、500ppm以下であることが好ましい。また、(I)成分中のナトリウムおよびカリウムの含有量はそれぞれ10ppm以下であることが好ましい。これは、加水分解性塩素の含有量が上記範囲の上限を超えたり、ナトリウムまたはカリウムの含有量が上記範囲の上限を超える場合には、封止もしくは接着された半導体の高温高湿下での耐湿性が低下する恐れがあるからである。
【0010】
(II)成分は、(I)成分中のエポキシ基と反応して本組成物を硬化するためのエポキシ樹脂用硬化剤である。(II)成分はフェノール性水酸基含有化合物であることが好ましく、フェノールノボラック樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、ビフェニル基含有フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、複素環型フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールFが例示される。(II)成分として、これらのフェノール性水酸基含有化合物を2種以上組み合わせてもよい。特に、(II)成分はビフェニル基含有アラルキル型フェノール樹脂等のビフェニル基含有フェノール樹脂であることが好ましい。
【0011】
(II)成分は一般に入手可能であり、アラルキル型フェノール樹脂としては、三井化学株式会社製のミレックスXLC−3L、明和化成社製のMEH−781が例示され、ナフタレン環含有フェノール樹脂としては、新日鐵化学社製のSN−475、SN−170が例示され、フェノールノボラック樹脂としては、明和化成社製のMEH−7500が例示され、ビフェニル基含有フェノール樹脂としては、明和化成社製のMEH7851Mが例示される。
【0012】
本組成物において、(II)成分の含有量は(I)成分を硬化する量であれば特に限定されないが、(I)成分中のエポキシ基1モルに対して、(II)成分中のエポキシ反応性の官能基が0.5〜2.5モルの範囲内となる量であることが好ましい。例えば、(II)成分がフェノール性水酸基含有化合物である場合、(I)成分中のエポキシ基1モルに対して、(II)成分中のフェノール性水酸基が0.5〜2.5モルの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(II)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、組成物の硬化が不十分となる傾向があり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物の強度が低下する傾向があるからである。
【0013】
(III)成分は、本組成物の成型時の流動性を低下させることなく、得られる硬化物の弾性率を低下させるための成分であり、架橋シリコーン粒子を形成するケイ素原子に、一般式:
1NH−R2
で表される2級アミノ基を結合する架橋シリコーン粒子である。式中、R1はアリール基またはアラルキル基である。R1のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が例示される。R1のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基が例示される。特に、R1はフェニル基が好ましい。また、式中、R2は二価有機基であり、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基、エチレンオキシブチレン基、プロピレンオキシプロピレン基等のアルキレンオキシアルキレン基が例示され、好ましくは、アルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、プロピレン基である。
【0014】
(III)成分の性状は限定されず、例えば、ゲル状、ゴム状、硬質レジン状が挙げられ、好ましくは、ゴム状である。また、(III)成分がゴム状となることから、(III)成分は、一般式:
−(R32SiO)n
で表されるジオルガノシロキサンブロックを有することが好ましい。式中、R3は同じか、または異なる一価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリール基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基であり、特に好ましくは、メチル基である。また、式中、nは3以上の整数であり、好ましくは、3〜500の整数であり、より好ましくは、5〜500の整数であり、特に好ましくは、5〜100の整数である。
【0015】
また、(III)成分の形状は限定されず、例えば、球状、偏平状、不定形状が挙げられ、(I)成分や(II)成分への分散性が著しく優れ、本組成物の成型時の流動性も良好であることから、球状あるいは略球状であることが好ましい。また、(III)成分の平均粒径は限定されないが、好ましくは、0.1〜500μmの範囲内であり、より好ましくは、0.1〜200μmの範囲内であり、さらに好ましくは、0.1〜100μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。これは、平均粒径が上記範囲の下限未満である(III)成分を調製することが難しく、一方、上記範囲の上限を超える(III)成分は、(I)成分や(II)成分への分散性が低下するようになるからである。(III)成分の平均粒径は、例えば、(III)成分の水分散液あるいはエタノール分散液を市販のレーザー回折式粒度分布測定器(例えば、株式会社堀場製作所製のLA−500)等で測定したメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径、50%粒径)で表すことができる。
【0016】
また、(III)成分中の2級アミノ基の含有量は限定されないが、好ましくは、0.3〜3.0重量%の範囲内であり、さらに好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜1.8重量%の範囲内である。これは、2級アミノ基の含有量が上記範囲の下限未満である(III)成分は、(I)成分や(II)成分への分散性が低下したり、(I)成分との反応性が乏しくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超える(III)成分は、硬化性エポキシ樹脂組成物の調製時あるいは貯蔵時の安定性を低下させるからである。なお、(III)成分中の2級アミノ基の含有量は、(III)成分をクロロホルムと酢酸の混合液中で過塩素酸のジオキサン溶液を滴定液として電位差滴定により求めることができる。
【0017】
また、(III)成分の硬さは限定されないが、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータ硬さが15〜90であることが好ましく、さらには、40〜90であることが好ましく、特には、50〜90であることが好ましい。これは、タイプAデュロメータ硬さが上記範囲の下限未満である(III)成分は、(I)成分や(II)成分への分散性が低下したり、硬化性エポキシ樹脂組成物の成型時の流動性が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超える(III)成分は、硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の弾性率を十分に低下させにくくなるからである。このタイプAデュロメータ硬さは、(III)成分を形成するための架橋性シリコーン組成物をシート状に架橋させ、このシート状硬化物の硬さを測定することにより求めることができる。
【0018】
このような(III)成分を調製する方法は限定されず、例えば、
(A)一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するオルガノポリシロキサン
(B)一般式:
1NH−R2−SiR4a(OR5)(3-a)
(式中、R1はアリール基またはアラルキル基であり、R2は二価有機基であり、R4は一価炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、aは0または1である。)
で表される2級アミノ基含有アルコキシシラン
(C)縮合反応用触媒
から少なくともなる架橋性シリコーン組成物を水中に分散状態で架橋させる方法が好ましい。
【0019】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のシラノール基を有する。(A)成分中のシラノール基以外のケイ素原子に結合の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリール基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。(A)成分の分子構造は特に限定されないが、好ましくは、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。また、(A)成分の粘度は、上記組成物を水中に分散させることができるようであれば特に限定されないが、25℃において、20〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0020】
このような(A)成分は、得られる(III)成分中に、一般式:
−(R32SiO)n
で表されるオルガノシロキサンブロックを導入してゴム状とするため、一般式:
HO−(R32SiO)n−H
で表されるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。式中、R3は同じか、または異なる一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、nは3以上の整数であり、前記と同様の範囲の整数であることが好ましい。
【0021】
(B)成分の2級アミノ基含有アルコキシシランは、一般式:
1NH−R2−SiR4a(OR5)(3-a)
で表される。式中、R1はアリール基またはアラルキル基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、フェニル基である。また、式中、R2は二価有機基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、アルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、プロピレン基である。また、式中、R4は一価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリール基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、式中、R5はアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基が例示され、好ましくは、メチル基である。また、式中、aは0または1である。
【0022】
(B)成分の含有量は、上記組成物を架橋し得る量であれば特に限定されないが、好ましくは、(A)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であり、さらに好ましくは、0.01〜50重量部の範囲内であり、特に好ましくは、0.01〜20重量部の範囲内である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる架橋シリコーン粒子の(I)成分や(II)成分への分散性が低下し、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーン組成物が架橋しにくくなるからである。
【0023】
(C)成分の縮合反応用触媒は、上記組成物の縮合反応を促進するための触媒であり、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクテン酸錫、ジブチル錫ジオクテート、ラウリン酸錫等の有機錫化合物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、ジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等の有機チタン化合物;その他、塩酸、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の酸性化合物;アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ性化合物が例示され、好ましくは、有機錫化合物、有機チタン化合物である。
【0024】
(C)成分の含有量は、上記組成物の縮合反応を促進する量であれば特に限定されないが、好ましくは、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲内であり、特に好ましくは、0.05〜5重量部の範囲内である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られるシリコーン組成物が架橋しにくくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる架橋性シリコーン組成物の架橋が著しく促進され、架橋シリコーン粒子の調製が困難になるからである。
【0025】
上記組成物には、その他任意の成分として、(D)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンを含有してもよい。(D)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の脂肪族不飽和結合を含まない一価炭化水素基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。(D)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状が挙げられ、好ましくは、直鎖状である。また、(D)成分の粘度は限定されないが、25℃において、1〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0026】
(D)成分の含有量は任意であるが、(D)成分を含有することにより上記組成物の架橋が促進されることから、好ましくは、(A)成分100重量部に対して100重量部以下であり、さらに好ましくは、0.1〜100重量部の範囲内であり、より好ましくは、0.1〜50重量部の範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜30重量部の範囲内である。これは、(D)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる架橋性シリコーン組成物の架橋が促進しにくく、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーン組成物が架橋しにくくなるからである。
【0027】
また、(III)成分の機械的強度や硬度を高くするために、本発明の目的を損なわない範囲で、エチルシリケート、テトラエトキシシラン、メチルシリケート、テトラメトキシシラン等を配合してもよい。
【0028】
さらに、(III)成分の物理的特性を向上させるために、上記組成物に無機充填材を含有してもよい。この無機充填材としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン等の金属酸化物微粉末;窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物微粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物微粉末;炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;ニッケル、コバルト、鉄、銅、金、銀等の金属微粒子;その他、硫化物微粉末、塩化物微粉末が例示され、入手が容易であることから、金属酸化物微粉末であることが好ましく、特に、シリカ微粉末であることが好ましい。これらの無機質微粉末は、その表面を、予めオルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により疎水化処理してもよい。
【0029】
上記の製造方法において、前記(A)成分〜(C)成分からなる架橋性シリコーン組成物を一旦調製した後、これを水中に分散状態で架橋してもよく、また、前記(A)成分と前記(B)成分からなるシリコーン組成物を調製し、これを水中に分散状態にした後、前記(C)成分を添加して架橋してもよい。後者の場合、前記(C)成分を水中に平均粒径10μm以下に分散させた水系分散液として添加することが好ましい。
【0030】
上記の製造方法において、(III)成分の粒径を調節する方法としては、架橋性シリコーン組成物の粘度を調節したり、架橋性シリコーン組成物を水中に分散させるための界面活性剤の種類を選択したり、また、攪拌速度を調節する方法が例示される。また、前記(A)成分と前記(B)成分からなるシリコーン組成物を水等の分散媒に分散した後、これに前記(C)成分を添加して架橋させることにより、(III)成分の粒径を容易に調整することができる。また、(III)成分を篩い分けすることにより、その粒径を調節することもできる。
【0031】
この界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、ベタイン系が例示される。界面活性剤の種類や配合量により、得られる(III)成分の粒径が異なる。粒径の小さい(III)成分を調製するためには、この界面活性剤の添加量は、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して0.5〜50重量部の範囲内であることが好ましい。一方、粒径の大きい(III)成分を調製するためには、この界面活性剤の添加量は、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。なお、分散媒として水を用いる場合には、この水の添加量は、架橋性シリコーン組成物100重量部に対して20〜1500重量部の範囲内であることが好ましい。
【0032】
架橋性シリコーン組成物を分散媒に均一に分散させるため乳化機を用いることが好ましい。この乳化機としては、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機が例示される。このようにして得られた架橋性シリコーン組成物の分散液あるいはスラリーに、必要により縮合反応用触媒を添加することにより架橋させ、(III)成分の分散液あるいはスラリーを調製し、次いで、この分散液あるいはスラリーから分散媒を除去することにより(III)成分を得ることができる。
【0033】
上記の製造方法では、(III)成分の分散液またはスラリーから分散媒を除去してもよい。分散媒が水である場合、その水の除去方法としては、例えば、加熱脱水、ろ過、遠心分離、デカンテーション等の方法により分散液を濃縮した後、必要に応じて水洗を行ない、さらに常圧もしくは減圧下での加熱乾燥する方法、加熱気流中に分散液を噴霧して加熱乾燥する方法、あるいは流動熱媒体を使用して加熱乾燥する方法が挙げられる。分散媒を除去して得られる(III)成分が凝集している場合には、それを乳鉢等やジェットミルなどで粉砕してもよい。
【0034】
本組成物において、(III)成分の含有量は、(I)成分と(II)成分の合計100重量部に対して0.1〜100重量部の範囲内であり、好ましくは0.1〜50重量部の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜20重量部の範囲内である。これは、(III)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、硬化物の弾性率が高くなる傾向があり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物の強度が著しく低下する傾向があるからである。
【0035】
本組成物には(IV)成分の無機充填材を含有してもよい。(IV)成分の無機充填材は、硬化物に強度を付与するための成分である。一般に、硬化性エポキシ樹脂組成物に無機充填材を配合した場合、硬化物の強度を高めることができるが、組成物の流動性が著しく低下して成形性が悪化し、また、硬化物の弾性率が著しく高くなる。これに対して、本組成物は、前記(III)成分と(IV)成分を併用しているので、流動性や成形性を損なうことなく、硬化して、低弾性率であるにもかかわらず、高強度の硬化物を形成することができる。
【0036】
(IV)成分は、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に含有し得る無機充填材であれば特に限定されず、ガラス繊維、石綿、アルミナ繊維、アルミナとシリカを成分とするセラミック繊維、ボロン繊維、ジルコニア繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維等の繊維状充填材;非晶性シリカ、結晶性シリカ、沈澱シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化亜鉛、焼成クレイ、カーボンブラック、ガラスビーズ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム、カオリン、雲母、ジルコニア等の粉粒状充填材が例示される。(IV)成分として、これらの無機充填材を2種以上組み合わせてもよい。また、(IV)成分の形状は限定されず、球状、針状、扁平形状、破砕状(不定形状)等が挙げられ、成形性が良好であることから、球状であることが好ましい。特に、(IV)成分は球状非晶性シリカであることが好ましい。(IV)成分の平均粒子径は限定されないが、成形性が良好であることから、0.1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、(IV)成分として、平均粒子径の異なる2種類以上の無機充填材を組み合わせてもよい。
【0037】
また、(I)成分との親和性を向上させるために(IV)成分の表面を予めシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤で処理してもよい。このシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン;その他、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランが例示される。また、このチタネートカップリング剤としては、i−プロポキシチタントリ(i−イソステアレート)が例示される。これらのカップリング剤を2種以上組み合わせてもよい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量、および表面処理方法は制限されない。
【0038】
本組成物において、(IV)成分の含有量は、本組成物中で好ましくは、少なくとも20重量%であり、さらに好ましくは、少なくとも30重量%であり、より好ましくは、少なくとも50重量%であり、特に好ましくは、少なくとも80重量%である。これは、上記範囲の下限未満であると、得られる硬化物の強度が不十分となる傾向があるからである。
【0039】
本組成物において、(I)成分や(II)成分中に(IV)成分を良好に分散させ、また(I)成分や(II)成分と(IV)成分との親和性を向上させるためにシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤を含有してもよい。このカップリング剤としては、前記と同様のものが例示される。
【0040】
本組成物には、その他の成分として、(V)エポキシ樹脂用硬化促進剤を含有してもよい。(V)成分として、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフイン・トリフェニルボレート、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・キノン付加物などのリン系化合物;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の第3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が例示される。
【0041】
本組成物において、(V)成分の含有量は限定されないが、(I)成分100重量部に対して0.001〜20重量部に範囲内であることが好ましい。これは、(V)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、(I)成分と(II)成分の反応を促進しにくくなる傾向があり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる硬化物の強度が低下する傾向があるからである。
【0042】
本組成物には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力化剤;カルナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等のワックス類;カーボンブラック等の着色剤;ハロゲントラップ剤、イオン捕捉剤等を含有してもよい。
【0043】
本組成物を調製する方法は限定されないが、(I)成分〜(III)成分、およびその他任意の成分を均一に混合することにより調製される。予め(I)成分と(II)成分を混合した組成物に(III)成分を混合すると、(III)成分の分散性を向上することができる。また、(I)成分に(IV)成分を混合した後、(II)成分、(III)成分、およびその他任意の成分を均一に混合する方法が例示され、その際、(I)成分と(IV)成分にカップリング剤を添加してインテグラルブレンドする方法、予め(IV)成分をカップリング剤で表面処理した後、(I)成分と混合する方法が例示される。また、本組成物を調製するための装置としては、一軸または二軸の連続混合機、二本ロール、ロスミキサー、ニーダミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合攪拌機が例示される。
【実施例】
【0044】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を実施例、比較例により詳細に説明する。実施例中の粘度は25℃における値である。
【0045】
架橋シリコーン粒子の特性は下記の測定法に従った。
[平均粒径]
架橋シリコーン粒子の水系分散液をレーザー回折式粒度分布測定器(株式会社堀場製作所のLA−500)により測定し、そのメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径、50%粒径)を平均粒径とした。
[ダイプAデュロメータ硬さ]
架橋シリコーン粒子を形成するための縮合架橋性シリコーン組成物を脱泡した後、25℃に約1日間放置して厚さ約1mmの架橋シリコーンシートを作製した。このシートのJIS K 6253に規定のタイプAデュロメータ硬さをウォーレス微小硬度計(H.W.Wallace社製のゴム用測微硬度計H5B型)により測定した。
[アミノ基の含有量]
ビーカーに架橋シリコーン粒子0.2gを精秤し、クロロホルム30ml、酢酸10mlを加え混合した後、0.01N−過塩素酸のジオキサン溶液(過塩素酸溶液のファクター:F)を滴定液として用い、電位差滴定装置で得られた終点、すなわち当量点(ml)から、次式により、架橋シリコーン粒子中のアミノ基の含有量を求めた。
【数1】

【0046】
硬化性エポキシ樹脂組成物の成型時の流動性、およびその硬化物の特性は下記の方法で評価した。なお、硬化物は、硬化性エポキシ樹脂組成物を175℃、2分間、70kgf/cm2の条件下でトランスファープレス成形した後、180℃、5時間の条件でポストキュアして調製した。
[成型時の流動性]
・スパイラルフロー:175℃、70kgf/cm2の条件で、EMMI規格に準じた方法により測定した。
[硬化物の特性]
・曲げ弾性率:JIS K 6911に準拠した。
・曲げ強さ:JIS K 6911に準拠した。
【0047】
[参考例1]
平均式:
HO−[Si(CH3)2O]12−H
で表される、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(シラノール基の含有量=4.0重量%)86.4重量部、粘度10mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.5重量%)9.1重量部、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン4.5重量部を均一に混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。この組成物とエチレンオキサイド(7モル付加)の2級ドデシルエーテルと2級トリデシルエーテルの混合物(ドデシル基43重量%、トリデシル基57重量%、HLB=12.8)5重量部、および水97重量部を予備混合した後、これをコロイドミルにより乳化し、次いで、純水100重量部で希釈してシリコーン混合物の水系エマルジョンを調製した。
【0048】
次に、オクチル酸錫(II)1重量部をエチレンオキサイド(7モル付加)の2級ドデシルエーテルと2級トリデシルエーテルの混合物(ドデシル基43重量%、トリデシル基57重量%、HLB=12.8)1重量部と純水10重量部により乳化して調製した、平均粒径が約1.2μmであるオクチル酸錫の水系エマルジョンを、上記のシリコーン組成物の水系エマルジョン中にそれぞれ添加して均一に混合した後、1日間静置して、水中に乳化している架橋性シリコーン組成物を硬化させて、ゲル状物のない、均一なシリコーンゴム粒子の水系サスペンジョンを調製した。これを熱風乾燥機で乾燥して、シリコーンゴム粒子を捕集して、平均式:
−[Si(CH3)2O]12
で表されるジメチルシロキサンブロックを有するシリコーンゴム粒子を調製した。このシリコーンゴム粒子の平均粒径、タイプAデュロメータ硬さ、およびアニリノ基の含有量を表1に示した。
【0049】
[参考例2]
参考例1において、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサンの代わりに、平均式:
HO−[Si(CH3)2O]40−H
で表される、粘度80mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(シラノール基の含有量=1.1重量%)86.4重量部を用い、さらに、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン4.5重量部の代わりに3−アミノプロピルトリメトキシシラン3.2重量部を用いた以外は参考例1と同様にして、平均式:
−[Si(CH3)2O]40
で表されるジメチルシロキサンブロックを有するシリコーンゴム粒子を調製した。このシリコーンゴム粒子の平均粒径、タイプAデュロメータ硬さ、およびアミノ基の含有量を表1に示した。
【0050】
[参考例3]
参考例1において、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン86.4重量部の代わりに、平均式:
HO−[Si(CH3)2O]40−H
で表される、粘度80mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(シラノール基の含有量=1.1重量%)86.4重量部を用い、さらに、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン4.5重量部を使用しない以外は参考例1と同様にして、平均式:
−[Si(CH3)2O]40
で表されるジメチルシロキサンブロックを有するシリコーンゴム粒子を調製した。このシリコーンゴム粒子の平均粒径、およびタイプAデュロメータ硬さを表1に示した。
【0051】
[参考例4]
参考例1において、粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサンの代わりに、平均式:
HO−[Si(CH3)2O]40−H
で表される、粘度80mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(シラノール基の含有量=1.1重量%)86.4重量部を用い、さらに、3−アニリノプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.55重量部を用いた以外は参考例1と同様にして、平均式:
−[Si(CH3)2O]40
で表されるジメチルシロキサンブロックを有するシリコーンゴム粒子を調製した。このシリコーンゴム粒子の平均粒径、およびタイプAデュロメータ硬さを表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
[実施例1]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)39.0重量部、参考例1で調製したシリコーンゴム粒子9重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1重量部、カルナバワックス1重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0054】
[実施例2]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)39.0重量部、参考例1で調製したシリコーンゴム粒子18重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1重量部、カルナバワックス1重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0055】
[比較例1]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)39.0重量部、参考例2で調製したシリコーンゴム粒子9重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1重量部、カルナバワックス1重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0056】
[比較例2]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)39.0重量部、参考例3で調製したシリコーンゴム粒子9重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1重量部、カルナバワックス1重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0057】
[比較例3]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)39.0重量部、参考例4で調製したシリコーンゴム粒子9重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1重量部、カルナバワックス1重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0058】
[比較例4]
ビフェニル・アラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000;エポキシ当量=275、軟化点=56℃)51.5重量部、ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製MEH7851M;フェノール性水酸基当量=207、軟化点=80℃)38.5重量部、平均粒径14μmの非晶性球状シリカ(電気化学工業株式会社製のFB−48X)510重量部、およびトリフェニルホスフィン1.0重量部、カルナバワックス1.0重量部を熱2本ロールにより均一に溶融混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物の特性を測定して、それらの結果を表2に示した。
【0059】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、成型時の流動性が良好であり、硬化して、低弾性率の硬化物を形成するので、トランスファーモールド、インジェクションモールド、ポッティング、キャスティング、粉体塗装、浸漬塗布、滴下等の方法によって、電気・電子部品の封止剤、塗料、充填剤、コーティング剤、接着剤等に使用することができ、特に、半導体の封止剤や接着剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(I)成分〜(III)成分から少なくともなる硬化性エポキシ樹脂組成物。
(I)エポキシ樹脂
(II)エポキシ樹脂用硬化剤
(III)架橋シリコーン粒子を形成するケイ素原子に、一般式:
1NH−R2
(式中、R1はアリール基またはアラルキル基であり、R2は二価有機基である。)
で表される2級アミノ基を結合する架橋シリコーン粒子{前記(I)成分と(II)成分の合計100重量部に対して0.1〜100重量部}
【請求項2】
(I)成分がビフェニル基含有エポキシ樹脂である、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(II)成分がフェノール性水酸基含有化合物である、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(II)成分のフェノール性水酸基含有化合物がビフェニル基含有フェノール樹脂である、請求項3記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
(II)成分の含有量が、(I)成分中のエポキシ基1モルに対して、(II)成分中のエポキシ反応性の官能基が0.5〜2.5モルとなる量である、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
(III)成分中の基R1がフェニル基である、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
(III)成分が、一般式:
−(R32SiO)n
(式中、R3は同じか、または異なる一価炭化水素基であり、nは3以上の整数である。)
で表されるジオルガノシロキサンブロックを有する、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
(III)成分の平均粒径が0.1〜500μmである、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
(III)成分中の2級アミノ基の含有量が0.3〜3.0重量%である、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
さらに、(IV)無機充填材を含む、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
(IV)成分が球状の無機充填材である、請求項8記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
(IV)成分が球状非晶性シリカである、請求項9記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
さらに、(V)エポキシ樹脂用硬化促進剤を含む、請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
半導体用の封止剤もしくは接着剤である請求項1乃至13のいずれか1項記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれか1項記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

【公開番号】特開2008−285553(P2008−285553A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130547(P2007−130547)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】