説明

粉粒体異物検査装置、異物検査方法

【課題】カラーライン撮像装置のライン撮像部の傾きと回転ドラムの軸方向とを容易且つ正確に調整することができる粉粒体異物検査装置を提供する。
【解決手段】粉粒体を搬送しながら平準化する粉粒体搬送機構3と、該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を外周面で受けて滑落位置まで搬送する透光性の回転ドラム11と、回転ドラム11の粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、少なくとも回転ドラムを軸方向に延長するライン状照明領域12で照明する照明機構13と、ライン状照明領域12を撮像するカラーライン撮像装置14と、回転ドラム11の外周面に着脱自在に載置する傾き検出用パターンを表示した校正部材と、前記校正部材を回転ドラムに載置した状態で、カラーライン撮像装置14で撮像したカラー画像情報に基づいて少なくともカラーライン撮像装置14の傾きを検出する撮像装置傾き検出部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医薬品の原末や顆粒などの粉粒体に混入する異物を検査する粉粒体異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品に使用する粉粒体中に混入する異物を検査する検査としては、選別板あるいは搬送ベルトコンベヤ上に粉粒体を一定の厚さに薄く載せ、検査員が目視により選別していたが、検査員の個人差、疲労などにより、精度と効率とが非常に悪いものであった。
この問題を解決するものとして、粉粒体中に混入する異物を検査する装置が多数提案されている。
【0003】
例えば、被検白色系粉体を振動フィーダに供給し、振動を与えながら移送して被検白色系粉体を所定の幅に拡げるとともに、平準化し、その排出端より下方に設けられたベルトコンベア上に落下させ、ベルトコンベア上を搬送される被検白色系粉体を反射式ガスレーザースキャンニング検査器により検査し、その検査情報を分析して被検白色系粉体の異物を検知する白色系粉体中の着色異物検査方法および装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、一対の透明回転体を前後所定の間隔を空けて設置し、回転体の間にガイド側板を設けて粉粒体の落下通路を形成し、振動フィーダから供給される粉粒体がこの落下通路中を自由落下する際に撮像装置で撮像し、その画像信号を処理することにより粉粒体中の異物を検査し、検出された異物を選別装置により排除するようにした構成を有する粉粒体検査装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、粉粒体を振動フィーダに供給し、振動与えながら搬送し、次いで振動フィーダから回転するドラム上に落下させ、ドラムの外周面をガイドとして、均一な層を形成させながら搬送し、ドラム上面に取付けた光源から粉粒体に光を照射して、粉粒体がドラム上から自由落下するまでに粉粒体の表面を撮像装置で撮像し、その画像信号を画像処理装置により処理することにより粉粒体中の異物の有無を判定する構成を有する粉粒体中の異物検査方法および異物検査装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−49147号公報
【特許文献2】特開昭61−191944号公報
【特許文献3】特開平11−190697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、ベルトコンベアを使用しているため、両端のベルト回転軸とベルトとの間や、ベルトの下に設けられている支持体とベルトとの間に摩擦が生じ、装置自体から異物や汚れが発生し、それらが検査する粉粒体と混じる可能性があり、好適なものではない。
また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、粉粒体を垂直落下するものであるが、例えば医薬品の粉粒体の場合には粒子径が数十μmから数百μmと大きさに幅があり、そのため、この装置を用いる場合は、落下通路の幅を最も大きい粒子径以上に設定しなければならず、小さい粒子径の粉粒体を落下させたとき、落下通路内をランダムに落下するためにその粉粒体を側面から撮像する際、粒に重なりが生じる場合があり、異物の検査を精密に行うことが困難であるという未解決の課題がある。
【0008】
さらに、上記特許文献3に記載の従来例にあっては、上記問題を解決するために回転するドラム上に粉粒体を落下させ、ドラムの外周面をガイドとして搬送し、ドラム上面から光源を照射している。しかしながら上面から光源照射した場合、ドラム上に粉粒体の影が発生してしまうため、ドラムの内面側からも光源照射するようにして粉粒体の大きさのバラツキによる照度のバラツキを補正するようにしているが、ドラム上の粉粒体が存在する部分と存在しない部分とを明確に区別して高精度な異物検査を行うには、ドラム上に落下させて搬送される粉粒体に対してドラムの軸方向に沿うライン状に照明光を照射してライン状照明領域を形成し、このライン状照明領域の粉粒体をライン撮像装置で撮像することが考えられている。
【0009】
この場合には、ライン撮像装置で撮像することから、ライン撮像装置のライン状撮像部の傾きと回転ドラムの軸方向とを厳密に調整する必要があり、その調整を容易に行うことができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、回転ドラム上に落下した粉粒体をライン撮像装置で撮像して異物混入を高精度で検出する場合に、ライン撮像装置のライン撮像部の傾きと回転ドラムの軸方向とを容易且つ正確に調整することができる粉粒体異物検査装置及び粉粒体異物検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る粉粒体異物検査装置は、粉粒体を搬送しながら平準化する粉粒体搬送機構と、該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を外周面で受けて滑落位置まで搬送する回転ドラムと、前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明機構と、前記照明機構で照明された粉粒体を撮像するライン撮像装置と、前記回転ドラムの外周面に着脱自在に載置する傾き検出用パターンを表示した校正部材と、前記校正部材を回転ドラムに載置した状態で、前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて、少なくとも前記ライン撮像装置の撮像範囲と回転ドラムの軸方向との傾きを検出する撮像装置傾き検出部とを備えたことを特徴としている。
【0011】
この請求項1に係る発明では、照明機構によって回転ドラムの外周面を所定の範囲に照明光を照射して所定の照明領域を形成し、この照明領域に傾き検査用パターンを表示した校正部材を載置した状態で、ライン撮像装置により、所定の照明領域を撮像し、その画像情報に基づいて撮像装置傾き検出部で回転ドラムの軸方向に対するライン撮像装置のライン撮像部の傾きを検出するので、ライン撮像装置のライン撮像部の回転ドラムの軸方向に対する傾きを正確に検出することができる。
【0012】
また、請求項2に係る粉粒体異物検査装置は、粉粒体を搬送しながら平準化する粉粒体搬送機構と、該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を外周面で受けて滑落位置まで搬送する回転ドラムと、前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明機構と、前記照明機構で照明された粉粒体を撮像するライン撮像装置と、前記回転ドラムの外周面に着脱自在に載置する傾き検出用パターンを表示した校正部材と、前記校正部材を回転ドラムに載置した状態で、前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて少なくとも前記ライン撮像装置の撮像範囲と回転ドラムの軸方向との傾きを検出する撮像装置傾き検出部と、前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて前記照明機構の照度分布を検出する照明機構照度分布検出部とを備えたことを特徴としている。
【0013】
この請求項2に係る発明では、前述した請求項1に記載の粉粒体異物検査装置の構成に加えて、照明機構の照度分布を検出する照度分布検出部を備えているので、この照度分布検出部で検出した照度分布に基づいて照明機構の照度調整を正確に行うことができる。
また、請求項3に係る粉粒体異物検査装置は、請求項1または2に係る発明において、前記撮像装置傾き検出部で検出したライン撮像装置の傾きを正規の傾きに調整する撮像装置傾き調整部を備えていることを特徴としている。
【0014】
この請求項3に係る発明では、撮像装置傾き検出部で検出したライン撮像装置の傾きに基づいて撮像装置傾き調整部でライン撮像装置の撮像範囲の傾きを回転ドラムの軸方向と正確に一致させることができる。
また、請求項4に係る粉粒体異物検査装置は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記校正部材は、傾き検出用パターンが前記ライン撮像装置の撮像範囲内に回転ドラムの円周方向に延びる直線が所定間隔で表示され、両端の直線が二重線で表示された構成を有することを特徴としている。
【0015】
この請求項4に係る発明では、校正部材の傾き検出用パターンの両端部が二重線で表示されているので、画像情報から傾き検出用パターンの両端を容易且つ確実に検出することができ、ライン撮像装置のライン状撮像部の傾きを容易に検出することができる。
また、請求項5に係る粉粒体異物検査装置は、請求項4に係る発明において、前記撮像装置傾き調整部は、前記校正部材の両端の二重線間の間隔が最小となるように前記ライン撮像装置の傾きを調整するように構成されていることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、校正部材の両端の二重線間の間隔が最小となるようにライン撮像装置の傾きを調整することにより、ライン撮像装置のライン撮像部の傾きを回転ドラムの軸方向と正確に一致させることができる。
また、請求項6に係る粉粒体異物検査装置は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、前記ライン撮像装置は複数台並列に配設され、前記校正部材に、前記ライン撮像装置に対応する数の傾き検出用パターンが表示されていることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、並列に配設された複数台のライン撮像装置で回転ドラムの所定の照明領域を撮像するので、回転ドラム上の粉粒体検査領域を広くすることができ、検査対象とする粉粒体の検査処理量を増加させることができる。
また、請求項7に係る粉粒体異物検査方法は、粉粒体を搬送しながら平準化する該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を回転ドラムの外周面で受けて滑落位置まで搬送する粉粒体搬送ステップと、前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、照明機構によって、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明ステップと、前記回転ドラムの外周面における所定の照明領域に傾き検出用パターンを表示した校正部材を着脱自在に載置するステップと、前記照明機構で照明された前記校正部材の傾き検出用パターンをライン撮像装置で撮像する撮像ステップと、該ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて少なくとも前記ライン撮像装置の傾きを撮像装置傾き検出部で検出する傾き検出ステップとを備えた撮像装置傾き検出方法を異物検査前処理として実行することを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、ライン撮像装置のライン撮像部の回転ドラムの軸方向に対する傾きを正確に検出することができる。
なお、本明細書中で、粉粒体に混入した異物とは、粉粒体とは異なる異物に限らず、粉粒体自身が変色又は汚れた場合も異物として取り扱う。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、少なくとも回転ドラムを照明機構で軸方向に延びる所定の照明領域を形成して照明し、この照明領域に傾き検出用パターンを表示した校正部材を配置した状態で、この傾き検出用パターンをライン撮像装置で撮像するようにしたので、ライン撮像装置のライン撮像部の回転ドラムの軸方向に対する傾きを正確に検出することができるという効果が得られる。この検出結果に基づいて、ライン撮像装置のライン撮像部の傾きを回転ドラムの軸方向に正確に一致させることができる。
【0020】
また、照明機構照度分布検出部を設けることにより、照明機構の所定の照明領域の照度分布を正確に検出することができる。この検出結果に基づいて照明機構を調整することにより、均一な照度の所定の照明領域を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】図1の粉粒体異物検査機構をその一部を断面として示す左側面図である。
【図3】図1の粉粒体異物検査機構の正面図である。
【図4】図2の回転ドラムを示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図5】図4(b)のA−A線拡大断面図である。
【図6】図4(a)のB−B線拡大断面図である。
【図7】カバーを取り外した第1の照明部を示す図であって、(a)は一部を断面とする正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【図8】カバーを装着した第1の照明部を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【図9】カラーライン撮像装置を示す底面図である。
【図10】校正部材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【図11】校正部材を示す斜視図である。
【図12】画像処理装置で実行する傾き検出処理手順を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置で実行するピント調整処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像処理装置で実行する照度分布調整処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】検査前処理手順を示すフローチャートである。
【図16】1ライン分のカラーライン画像の波形を示す図である。
【図17】ピント調整時の液晶タッチパネルの表示画面を示す図である。
【図18】カラー粉粒体異物検査装置の他の実施形態を示す一部を断面として示す左側面図である。
【図19】カラー粉粒体異物検査装置のさらに他の実施形態を示す一部を断面として示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すシステム構成図であって、図中、1は医薬品の原末や顆粒等の比較的微細な粒径が数十μm〜数百μm程度の粉粒体に混入する異物を検査するカラー粉粒体異物検査装置である。
このカラー粉粒体異物検査装置1は、粉粒体貯留ホッパー2、フィーダ3、異物検査機構4、良品回収槽5、サイクロン6、不良品回収槽7、ブロア8及び中性フィルタ9を有する。
【0023】
粉粒体貯留ホッパー2は、検査対象となる粉粒体を貯留する。フィーダ3は、ホッパー2から切り出された粉粒体を上下方向に重ならないように平準化して搬送する2段の振動コンベヤ3a及び3bを有する。
異物検査機構4は、フィーダ3から平準化されて搬送される粉粒体が外周面に落下されて粉粒体を搬送する回転ドラム11と、この回転ドラム11上の粉粒体に対して軸方向に延長するライン状照明領域12を形成する照明機構13と、この照明機構13で形成されたライン状照明領域12のカラー画像情報をライン状に撮像するカラーライン撮像装置14とを備えている。
【0024】
ここで、回転ドラム11は、図2〜図6に示すように、垂直支持板部15に片持ち状態で回転自在に支持されている。この回転ドラム11は、図5に示すように、垂直支持板部15に形成された透孔16内に回転自在に支持された基部11Aと、この基部11Aに装着される有底円筒部11Bとで構成されている。
基部11Aは、透孔16内に挿通され且つ後述する支持軸11hに転がり軸受11aを介して回転自在に支持された内筒部11bと、この内筒部11bの垂直支持板部15の表面側端部に一体に形成された円板状のフランジ部11cと、このフランジ部11cの外周縁から垂直支持板部15側に延長する外筒部11dとで構成されている。
【0025】
また、有底円筒部11Bは、基部11Aのフランジ部11cと外筒部11dとの連接部の外周面に装着される透光性を有する例えば乳白色のアクリル板で形成された透光性円筒部11fと、この透光性円筒部11fの自由端側を閉塞する端板部11gとで構成されている。なお、端板部11gの外周縁が透光性円筒部11fの外周面より外方に突出されて後述する校正部材が装着される係合突部11xを形成している。
【0026】
そして、端板部11gが、垂直支持板部15の裏面側で固定支持され且つ基部11Aの内筒部11b内を挿通して延長する支持軸11hの自由端に転がり軸受11iを介して回転自在に支持された回転円板11jの外周側に取付ネジ11kによって装着されている。
一方、垂直支持板部15の裏面側の透孔16の周囲にスタッド11mが固定され、このスタッド11mにユニットベース板11nが取付けられ、このユニットベース板11nに固定フランジ11oがボルト留めされ、この固定フランジ11oに支持軸11hがカラー11pによって固定支持されている。
【0027】
また、ユニットベース板11nには速度制御可能な駆動モータ11qが取付けられ、この駆動モータ11qの出力軸11rに装着された駆動平歯車11sが回転ドラム11の基部11Aに装着された従動歯車11tに噛合されている。したがって、駆動モータ11qを駆動制御することにより、回転ドラム11が所定回転速度(例えば40min-1程度)で図1において反時計方向に回転駆動される。このため、回転ドラム11はその最上部でフィーダ3の振動コンベヤ3bから落下する粉粒体を受け取り、この粉粒体を反時計方向に搬送して略90度回転した滑落位置で良品回収ホッパー11uを介して良品回収槽5に回収される。
【0028】
なお、透光性円筒部11fは、清掃・点検時に基部11Aから着脱する際に、支持軸11hに固定された先端に案内ローラ11vを有する支持部材11wによって内周面が後述する調光照明部22の外周側端部に接触しないように案内される。
また、回転ドラム11の粉粒体滑落位置よりライン状照明領域12側における回転ドラム11によって搬送される粉粒体に対向する位置に軸方向に延長する異物が混入した粉粒体を吸引除去する異物吸引ノズル17が配設されている。この異物吸引ノズル17には、図1に拡大図示するように回転ドラム11の回転方向下流側に空気を噴射するエアーカーテン機構17aが形成されている。
【0029】
照明機構13は、図2及び図3から特に明らかなように、前述した垂直支持板部15に片持ち状態で支持されて回転ドラム11の外側に配設された外側照明部21と、回転ドラム11の内側に支持された調光照明部22とを有する。
外側照明部21は、回転ドラム11の回転中心を通る垂直線L1に対して所定角度θ(例えばθ≒10°)傾斜した回転ドラム11の回転中心を通る傾斜線L2を挟んで左右対象位置に配設された一対の例えば白色光を出射する発光ダイオードで構成された第1及び第2の照明部21A及び21Bを有する。各照明部21A及び21Bは、図7及び図8に示すように、回転ドラム11の軸方向に延びる透光性円筒部11fに対向する照明光源21aと、この照明光源21aの出射側に配設された同様に回転ドラム11の軸方向に延びる透光性円筒部11fに対向するシリンドリカルレンズ21bとが一体に連結された構成を有する。そして、シリンドリカルレンズ21bの上端寄りで且つ軸方向中央位置が断面L字状のベース部材21cに形成された支持突部21dに揺動可能にボルト21eによって固定されている。また、ベース部材21cにシリンドリカルレンズ21bの底面を外部に望ませる窓21fを形成したカバー21gがノブ21hによって固定されている。さらにベース部材21cは、垂直支持板部15に対向する側面に支持軸21iが突出形成され、この支持軸21iが垂直支持板部15を貫通して裏面側に突出し、この支持軸21iに形成された雄ねじに固定ナット21jが螺合されて垂直支持板部15に回動可能に取付けられている。
【0030】
そして、第1及び第2の照明部21A及び21Bの照明光源21aからシリンドリカルレンズ21bを介して出射される照明光が、前記傾斜線L2と回転ドラム11の外周面との交点を基準として軸方向に所定幅のライン状照明領域12を形成するように照射される。
調光照明部22は、光の三原色であるRGBの三色の発光ダイオードで構成された光源色を調光可能な照明光源22Aを有し、前述したライン状照明領域12に対して回転ドラム11内から照明光を照射することにより、検査対象となる粉粒体の色と背景となる透光性円筒部11fの色とを同系色化して、背景を異物として誤認識することを防止する。この調光照明部22は、図5及び図6に示すように、支持軸11hに固定された支持板部22B,22Cによって固定支持され、照明光源22Aが透光性円筒部11fに形成されたライン状照明領域に近接対向されている。
【0031】
また、カラーライン撮像装置14は、図2、図3及び図9に示すように、前述した垂直支持板部15に片持ち状態で角度調整可能にボルト締めされた支持部材14aを有し、この支持部材14aに3ライン形のカラーライン撮像カメラ14bがその光軸を傾斜線L2に一致させるように配設されている。ここで、カラーライン撮像カメラ14bの支持部材14aへの支持は、カラーライン撮像カメラ14bの基部14cが、支持板部14aに傾斜線L2の方向すなわち図2の矢印Zaの方向に位置調整可能に支持された支持基板14d上に形成された門形支持部14eに、長穴14fによって傾斜線L2方向に位置調整可能に支持されている。また、カラーライン撮像カメラ14bの光学レンズを含む撮像部14gは、支持基板14dに固定支持された回動規制板部14hによって回動可能に支持されている。ここで、回動規制板部14hは、図9に示すように、中央部に撮像部14gを挿通する挿通孔14iを形成し、上端部に空隙14jを形成して対向するフランジ部14m及び14nを形成し、これらフランジ部14m及び14n間に締付ボルト14oが挿通されてナット締めされた構成を有する。そして、締付ボルト14oを緩めることにより、フランジ部14m及び14n間の空隙14jを広げて撮像部14gの回動が可能となり、この状態から締付ボルト14oを締付けると空隙14jが狭くなって挿通孔14iで撮像部14gを挟持してその回動を阻止する。
【0032】
そして、カラーライン撮像装置14の図示しないライン撮像部で照明機構13によって照明されたライン状照明領域12をライン状に撮像してカラーライン画像情報を後述する制御装置30に出力する。
サイクロン6は、その出力側がブロア8に設けられた粗フィルタ8aに接続され、入力側が異物吸引ノズル17及び回転ドラム11の下側に溜まる未回収粉粒体を吸引する粉粒体吸引ノズル18が接続された構成を有する。そして、ブロア8の吸引力で、サイクロン6を介して異物吸引ノズル17及び粉粒体吸引ノズル18で回収された異物が混入された粉粒体と未回収粉粒体とを吸引し、サイクロン6で固気分離する。
【0033】
ブロア8の出力側には中性フィルタ9が接続され、この中性フィルタ9で空気に含まれる残留粒子を除去して大気に放出する。
また、良品回収槽5で回収された良品粉粒体は、良品回収槽5の上部側のホッパー部5aに貯留され、このホッパー部5aに所定量の良品粉粒体が貯留されると、ホッパー部5aの下側に配設された開閉弁5bが開状態に制御されて、下側の加圧室5cに落下され、この加圧室5cで加圧された良品粉粒体が例えば混合容器10に空気輸送される。
【0034】
制御装置30は、フィーダ3の粉粒体搬送速度、回転ドラム11の粉粒体搬送速度及び異物吸引ノズル17の異物吸引動作を制御するプログラマブルコントローラ31と、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報に基づいて画像処理を行って異物検査を行う画像処理装置32と、異物検査結果等を表示するとともに、異物検査を指示する液晶タッチパネル33と、プログラマブルコントローラ31、画像処理装置32及び液晶タッチパネル33を統括管理する管理用パーソナルコンピュータ34とを備えている。
【0035】
そして、画像処理装置32は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成され、カラーライン撮像装置14から入力されるカラーライン画像情報に基づいてカラーライン撮像装置14のライン撮像部の回転ドラム11の中心軸に対する傾きを検出する異物検査前処理として撮像装置傾き検出処理を実行する。
この撮像装置傾き検出処理を実行する前に、先ず、回転ドラム11を停止させた状態で、その外周面の照明機構13によるライン状照明領域12に校正部材41を装着する。この校正部材41は、図10及び図11に示すように、回転ドラム11の透光性円筒部11fの外周面と密接するように湾曲し、厚みが比較的薄い湾曲板部41aと、この湾曲板部41aの左端側位置に形成された、端板部11gに形成された係合突部11xに係合する係合凹部41bと、この係合凹部41bの左端側から下方に延長する端板部41cとで構成されている。そして、湾曲板部41aの表面には、粉粒体の検査範囲に対応して、回転ドラム11の円周方向に延びる直線41dが所定間隔を保って平行に描かれ、これら直線の左右両端の直線が直線41dに比較して太い二重線41eとされた傾き検出用パターン41fが表示されている。
【0036】
そして、校正部材41を回転ドラム11の透光性円筒部11fのライン状照明領域12に円周方向の中央部が位置するように、係合凹部41b内に回転ドラム11の端板部11gに形成された係合突部11xを係合させる。そして、端板部41cに形成した雌ねじ孔41gに取付ねじ41hを螺合させてその先端を回転ドラム11の端板部11gに当接させることにより、校正部材41を回転ドラム11に装着保持する。
【0037】
この校正部材41の装着保持状態で、画像処理装置32で撮像装置傾き検出処理を実行する。この撮像装置傾き検出処理は、図12に示すように、先ず、ステップS1で、照明機構13の少なくとも外側照明部21の第1及び第2の照明部21A及び21Bの照明光源21aを点灯させる点灯指令をプログラマブルコントローラ(PLC)31に出力する。
【0038】
次いで、ステップS2に移行して、カラーライン撮像装置14で撮像した校正部材11の傾き検出用パターン41fのカラーライン画像情報を読込み、次いでステップS3に移行して、読込んだカラーライン画像情報に基づいて左右の二重線41e間の距離L1を例えば輝度情報をもとに算出し、算出した距離L1を最小値Lminとして図示しないメモリの距離記憶領域に記憶するとともに、液晶タッチパネル33の距離表示領域に現在値を表示する。
【0039】
次いで、ステップS4に移行して、カラーライン撮像装置14の光学レンズ14dを例えば時計方向に回動させる指示をおこなうガイダンス情報を液晶タッチパネル33に表示する。
次いで、ステップS5に移行して、再度カラーライン撮像装置14のカラーライン画像情報を読込み、次いでステップS6に移行して、前述したステップS3と同様にカラーライン画像情報に基づいて左右の二重線41e間の距離L1′を例えば輝度情報をもとに算出し、算出した距離L1′を一時記憶するとともに、液晶タッチパネル33の距離表示領域に現在値を表示し、さらに距離記憶領域に記憶されている最小値Lminを最小値表示領域に表示する。
【0040】
次いでステップS7に移行して、算出した距離L1′が距離記憶領域に記憶されている最小値Lmin未満であるか否かを判定し、L1′<Lminであるときには最小値であると判断して、ステップS8に移行して、算出した距離L1′を最小値Lminとして距離記憶領域に更新記憶する。
次いで、ステップS9に移行して、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報を読込み、次いでステップS10に移行して、前述したステップS3及びS6と同様に左右の二重線41e間の距離L1′を算出し、次いでステップS11に移行して、算出した距離L1′が距離記憶領域に記憶されている最小値Lmin以上になったか否かを判定し、L1′<Lminの状態を継続しているときには前記ステップS8に戻り、L1′≧Lminとなったときには、最小値Lminと等しいか超えたばかりであると判断してステップS12に移行し、撮像部14dの回動の停止を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネル33に表示してから傾き検出処理を終了する。
【0041】
一方、前記ステップS7の判定結果が、ステップS6で算出した二重線間距離L1′が距離記憶領域に記憶されている最小値Lminを超えている場合には、撮像部14dの反時計方向への回動を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネル33に表示してから前記ステップS9に移行する。
また、画像処理装置32では、撮像装置傾き検出処理が終了した後に、カラーライン撮像カメラ14bのピント調整処理を実行する。このピント調整処理は、図13に示すように、先ず、ステップS21で、先ず、液晶タッチパネル33に、図17に示すように、ピント調整を開始するための開始ボタン51及びピント調整を終了するための終了ボタン52を表示する。
【0042】
次いで、ステップS22に移行して、開始ボタン51にタッチすることにより、開始ボタン51が選択されたか否かを判定し、選択されていないときには選択されるまで待機し、選択されたときにはステップS23に移行する。
このステップS23では、校正部材41をカラーライン撮像装置14で撮像したときのカラーライン画像情報を読込でカラーライン画像情報のうち傾き検出用パターンの直線41d及び41eに相当する1ライン分のスキャンデータを読込み、次いでステップS24に移行して、読込んだスキャンデータを液晶タッチパネル33に表示する。
【0043】
次いで、ステップS25に移行して、表示されたスキャンデータに基づいて傾き検出用パターンの直線41d又は41eの立ち上がり及び立ち下がりの信号波形が最大となるように支持基板14dを傾斜線L2方向に位置調整してカラーライン撮像カメラ14bのピント調整を行う旨を指示するとともに、調整終了後に終了ボタンをタッチする旨のガイダンス情報を液晶タッチパネル33に表示する。
【0044】
次いで、ステップS26に移行して、ピント調整の終了ボタン52にタッチすることにより、終了ボタン52が選択されたか否かを判定し、終了ボタン52が選択されていないときには前記ステップS23に戻り、終了ボタン52が選択されたときにはピント調整処理を終了する。
【0045】
さらに、画像処理装置32は、校正部材41を回転ドラム11から取り外した状態で、照明機構13の照度分布調整処理を実行する。この照度分布調整処理は、図14に示すように、先ず、ステップS31に移行して、照明機構13のうちの例えば外側照明部21における第1の照明部21Aのみを点灯させる点灯指令をプログラマブルコントローラ31に出力し、次いでステップS32に移行して、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報を読込み、次いでステップS33に移行して、読込んだカラーライン画像情報の例えば左右端の輝度データが略一致しているか否かを判定し、両者が略一致していないときには、ステップS34に移行して、左端側の輝度データが右端側の輝度データより大きいか否かを判定し、左端側の輝度データが大きい場合には、ステップS35に移行して、第1の照明部21Aのシリンドリカルレンズ22bの左端側を回転ドラム11から離す方向への回動を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネル33に出力してから前記ステップS32に移行する。
【0046】
また、ステップS34の判定結果が、右端の輝度データが左端の輝度データより大きい場合には、ステップS35に移行して、第1の照明部21Aのシリンドリカルレンズ22bの右端側を回転ドラム11から離す方向への回動を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネルに出力してから前記ステップS32に戻る。
一方、ステップS33の判定結果が、左右端の輝度データが略一致する場合には、ステップS37に移行して、第1の照明部21Aの照明光源21aを消灯し、第2の照明部21Bの照明光源21aを点灯させる消灯・点灯指令をプログラマブルコントローラ31に出力してからステップS38に移行し、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報を読込む。
【0047】
次いで、ステップS39に移行して、読込んだカラーライン画像情報の例えば左右端の輝度データが略一致しているか否かを判定し、両者が略一致していないときには、ステップS40に移行して、左端側の輝度データが右端側の輝度データより大きいか否かを判定し、左端側の輝度データが大きい場合には、ステップS41に移行して、第2の照明部21Bのシリンドリカルレンズ21bの左端側を回転ドラム11から離す方向への回動を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネル33に出力してから前記ステップS38に移行する。
【0048】
また、ステップS40の判定結果が、右端の輝度データが左端の輝度データより大きい場合には、ステップS42に移行して、第2の照明部21Bのシリンドリカルレンズ21bの右端側を回転ドラム11から離す方向への回動を指示するガイダンス情報を液晶タッチパネルに出力してから前記ステップS38に戻る。
一方、前記ステップS39の判定結果が、左右端の輝度データが略一致する場合には、ステップS43に移行して、照度分布調整処理の終了を指示するガイダンス情報を液晶タッとパネル33に表示してから照度分布調整処理を終了する。
【0049】
この図12〜図14の処理で、図12の処理が撮像装置傾き検出部に対応し、図13の処理がピント調整部に対応し、図14の処理が照明機構傾き調整部に対応している。
また、画像処理装置32では、予め良品のみの粉粒体で構成される良品粉粒体を回転ドラムに供給した状態で、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報をRGB、HSI(HSL)、YUV等の3次元色空間に変換し、変換した3次元色空間での分布に応じた判別条件3次元テーブルを生成しておく。そして、実際に異物の混入が予想される粉粒体を粉粒体貯留ホッパー2に貯留して、フィーダ3を介して回転ドラム11上に載置したときに、カラーライン撮像装置14で撮像する。撮像したカラーライン画像情報を上記と同様の3次元色空間に変換し、そのときの分布と判別条件3次元テーブルの正常時の分布に内包される場合には良品と判定し、判別条件3次元テーブルの正常時の分布に内包されない分布が生じたときに異物が混入していると判定する異物検査処理を実行する。この異物検査処理が異物検査部に対応している。
【0050】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、カラー粉粒体異物検査装置1の製造時における組み立て完了時又は定期点検時、さらには操業開始時に、粉粒体に混入する異物検査を実施する前に、カラー撮像装置14、及び照明機構13の調整を行う検査前処理を行う。
この検査前処理では、図15に示すように、先ず、ステップS51で、回転ドラム11、照明機構13の外側照明部21の第1及び第2の照明部21A,21B、カラーライン撮像装置14を、予め定められた物理的に定められた組立基準に基づいて組立調整を行う。なお、各装置の各部品は公差があるため、組立基準に従って組立調整しても、回転ドラム11の中心軸、照明範囲、カラーライン撮像装置の撮像範囲、の各相対関係にズレが生じている。
【0051】
次いで、ステップS52に移行して、回転ドラム11への粉粒体の供給を停止している状態で、回転ドラム11を停止させ、この回転ドラムの透光性円筒部11fの照明機構13で照明されるライン状照明領域12上に校正部材41を載置して密着させ、この状態で取付ねじ41hによって固定する。
次いで、ステップS53に移行して、回転ドラム11と照明機構13の外側照明部21における第1及び第2の照明部21A,21Bとの大まかな調整を行う仮調整を行う。この仮調整では、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報を液晶タッチパネル33に表示して明るい部分と傾き検出用パターン41fの直線41dの部分とが区別できる程度であればよく、カラーライン撮像装置14の調整を行う際に変化する撮像範囲が照明機構13で照明できていればよい。
【0052】
次いで、ステップS54に移行して、カラーライン撮像装置14の撮像範囲と回転ドラム11の軸方向との傾き調整を行う。このカラーライン撮像装置14の撮像範囲と回転ドラム11の軸方向との傾き調整は、前述した図12に示す傾き検出処理を実行することにより行う。すなわち、第1及び第2の照明部21A及び21Bを点灯させる点灯指令をプログラマブルコントローラ31に出力することにより、プログラマブルコントローラ31で第1及び第2の照明部21A及び21Bを点灯制御して、校正部材41の傾き検出用パターン41fを照明する。
【0053】
次いで、カラーライン撮像装置14で撮像した傾き検出用パターン41fのカラーライン画像情報を読込む。このカラーライン画像情報は、図16に示すように、傾き検出用パターン41fの直線41d及び二重線41eに相当する位置の輝度が低下し、他の部分での輝度が大きな1ライン分の波形データとなる。ここで、二重線41eについては線幅が他の直線41dに比較して大きいので、輝度の低下も他の直線41dに比較して大きくなり、判別を容易に行うことができる。
【0054】
そして、左右の二重線41eの外側の線に相当する画素位置を抽出することにより、二重線41eの外側線間の二重線間距離L1を容易に算出することができ、算出した二重線間距離を最小値Lminとして図示しないメモリの距離記憶領域に記憶する。
次いで、カラーライン撮像カメラ14bの撮像部14gの例えば時計方向への回動を指示するガイダンス情報が液晶タッチパネル33に表示される。
【0055】
このため、オペレータが予め回動規制板部14hの締付ボルト14oを緩めて撮像部14gが回動可能としておくことにより、撮像部14gを時計方向に回動させる。これにより、カラーライン撮像装置14で撮像された傾き検出用パターン41fが回転することになり、この回転によって算出される二重線間距離L1′が短くなる方向に変化する場合には、距離記憶領域に記憶されている最小値Lminを順次更新しながら回転を継続し、算出される二重線間距離L1′が距離記憶領域に記憶されている最小値Lminを超える状態となると、回転停止を指示するガイダンス情報が液晶タッチパネル33に表示される。
【0056】
このため、オペレータが撮像部14gの回動を停止させることにより、撮像部14gの傾きを回転ドラム11の中心軸に一致させることができ、回転ドラム11のライン状照明領域12を正確に撮像することが可能となる。この状態で、回動規制板部14hの締付ボルト14oを締めつけて撮像部14gを挟持固定する。
【0057】
一方、撮像部14gを時計方向に回動させたときに、算出された二重線間距離L1′が最初に距離記憶領域に記憶した最小値Lminより大きくなる場合には、図12の処理において、ステップS7からステップS13に移行して、撮像部14gの反時計方向への回動を指示するガイダンス情報が液晶タッチパネル33に表示される。このため、オペレータが撮像部14gを反時計方向に回動させると、算出される二重線間距離L1′が徐々に小さくなり、最小値Lminを更新して行き、算出される二重線間距離L1′が最小値Lminを超えたときに、撮像部の回動の停止を指示するガイダンス情報が液晶タッチパネル33に表示されて傾き検出処理を終了する。このとき、オペレータが撮像部14gの反時計方向の回動を停止させることにより、撮像部14gの傾きを回転ドラム11の中心軸に一致させることができ、回転ドラム11のライン状照明領域12を正確に撮像することが可能となる。この状態で、回動規制板部14hの締付ボルト14oを締めつけて撮像部14gを挟持固定する。
【0058】
次いで、ステップS55でカラーライン撮像装置14のカラーライン撮像カメラ14bのピント調整を、画像処理装置32で図13のピント調整処理を実行することにより行う。このピント調整処理では、支持基板14dの支持部材14aへのボルト締めを緩めて、カラーライン画像カメラ14b全体を光軸方向すなわち傾斜線L2方向に位置調整可能とした状態で、カラーライン撮像装置14で撮像した傾き検出用パターンのカラーライン画像情報に基づいて直線41d及び41eに対応する1スキャンデータの信号波形を液晶タッチパネル33に表示して、直線41d又は41eの立ち上がり及び立ち下がりの信号波形が最大となるようにカラーライン撮像カメラ14bを傾斜線L2方向に移動させてピント調整を行う。
【0059】
次いで、ステップS56に移行して、カラーライン撮像装置14の位置調整が完了したか否かを確認する。この確認は、カラーライン撮像装置14で撮像されている傾き検出用パターン41fの二重線間距離L1′が予め設定された設定距離に含まれているか否かを判定することにより行い、二重線間距離L1′が設定距離に含まれていない場合には、前記ステップS54に戻ってカラーライン撮像装置14の傾き調整及びピント調整を再度実行し、二重線間距離L1′が設定距離に含まれていた場合には、カラーライン撮像装置14の調整が完了したものと判断してステップS57に移行する。
【0060】
このステップS57では、回転ドラム11上に載置されている校正部材41を取り除き、次いでステップS58に移行して照明機構13の照度分布調整を行う。この照度分布調整は、画像処理装置32で、前述した図14の照度分布調整処理を実行することにより、第1の照明部21A及び第2の照明部21Bの夫々について個別に点灯させて、左右での輝度分布が等しくなるようにシリンドリカルレンズ21bの長手方向の中央位置を中心として回動させて調整する。
【0061】
このように、上記検査前処理を実行することにより、カラーライン撮像装置14及び照明機構13の位置調整を正確に行うことができ、高精度の異物検査を行うことができる。
しかも、カラーライン撮像装置14及び照明機構13の位置調整をオペレータが液晶タッチパネル33に表示されるガイダンス情報を視認しながら調整するだけで容易且つ正確に調整することができる。
【0062】
なお、光源色調整照明部22については、外側照明部21の第1及び第2の照明部21A,21Bによるライン状照明領域12を裏側から光源色を調整して透光性円筒部11fの色と検査対象の粉粒体の色とを同系色化させるためのものであり、光軸調整は特に行わなくても問題がない。
そして、以上のカラーライン撮像装置14及び照明装置13の調整が完了すると検査前処理を終了して、異物検査を開始する。
【0063】
このとき、粉粒体ホッパー2に検査対象となる異物を含む可能性がある粉粒体を貯留し、この粉粒体ホッパー2から検査対象粉粒体を定量切出して、フィーダ3の振動コンベヤ3a及び3bで粉粒体が上下方向に重ならないように平準化しながら搬送し、回転ドラム11の透光性円筒部11f上に落下させることにより、粉粒体を透光性円筒部11f上を搬送することができる。
【0064】
そして、粉粒体が照明機構13によって照明光が照射されたライン照明領域12に達すると、カラーライン撮像装置14で粉粒体及背景が混在するカラーライン画像が撮像され、撮像されたカラーライン画像情報が画像処理装置32に入力されることにより、この画像処理装置32で上述した異物検査処理が行われて、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報を3次元色空間に変換し、この3次元色空間の分布が予め生成した判別条件3次元テーブルの正常時の分布に包含される場合には良品であると判断し、正常時の分布に包含されない分布が存在する場合に異物が混入しているものと判断する。
【0065】
このとき、前述したように調光制御処理で調光照明部22によって背景と粉粒体とが同系色化されているので、粉粒体とは異なる色の異物が混入されている場合に、異物と他の背景及び粉粒体とを正確に判別することが可能となり、高精度で異物検査を行うことができる。
しかも、透光性円筒部11fの内側から調光照明部22の照明光源22Aで照明するので、カラーライン撮像装置14から見たときの透光性円筒部11fの表面色を正確に調整することができると共に、調光照明部22の照明光源22Aから出射される照明光が粉粒体や異物のカラーライン撮像装置14側の表面を照射することはないので、粉粒体や異物の色を正確に撮像することができる。
【0066】
そして、異物検査処理で、異物が検出されたときには、検出された異物が異物吸引ノズル17に達する直前から異物吸引ノズル17での吸引動作を開始させることにより、異物を確実に吸引することができる。
吸引された異物は、サイクロン6で固気分離されて、不良品回収槽7に回収され、固気分離された空気は、ブロア8を通じて中性フィルタ9で残留粒体を除去して大気に放散される。
【0067】
一方、異物が混入されていない良品粉粒体は、異物吸引ノズル17で吸引されることがないので、滑落位置に達したときには透光性円筒部11fから滑落して良品回収槽5に回収される。
そして、回収された良品粉粒体は回収ホッパー5a貯留され、その貯留量が所定値に達すると開閉弁5bが開操作されて下部の加圧室5cに落下され、開閉弁5bを閉じた後に加圧室5cを加圧して、混合容器10に空気輸送される。
【0068】
また、このような異物検査を継続すると回転ドラム11の透光性円筒部11fの外表面が汚れて検査精度が低下する場合があり、このためには、定期的に回転ドラム11のメンテナンスや清掃を行う必要がある。この場合には、回転ドラム11の取付ネジ11kを外して、端板部11gと回転円板11jとの連結状態を解除することにより、有底円筒部11Bの透光性円筒部11fを支持部材11wの案内ローラ11vで案内しながら基部11Aから引き離すことにより、容易に取り外すことができる。
【0069】
そして、メンテナンスを終了した有底円筒部11B又は新たな有底円筒部11Bをその開口部側から案内ローラ11vで案内しながら基部11Aに装着し、端板部11gを取付ネジ11kで回転円板11jに取付けるだけで、回転ドラム11を着脱することができる。そして、有底円筒部11Bの取付けが完了した後には、前述した検査前処理を実行することが好ましい。
【0070】
しかも、回転ドラム11は垂直支持板部15に片持ち支持された支持軸11hが内部に配設され、この支持軸11hに回転自在に基部11A及び有底円筒部11Bが支持されているので、回転ドラム11の支持部が外部に露出しておらず、支持部で発生する塵埃が外部に飛散することを確実に防止することができる。
なお、上記実施形態においては、照明機構13を外側照明部21及び内側の調光照明部22で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、回転ドラム11の表面の照度が明るい場合には、外側照明部21を省略することもできるし、外側照明部21を発光ダイオードに代えて蛍光灯のような長尺光源を適用することができる。
【0071】
また、調光照明部22も、検査対象の粉粒体の色と透光性円筒部11fの色とが略一致している場合には、図18に示すように省略したり、図19に示すように、第1及び第2の照明部21A及び21Bからの照明光を反射する反射部51を形成するようにしたりしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、異物吸引ノズル17をライン状に配置し、異物混入領域の粉粒体をライン状に吸引する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、カラーライン撮像装置14で撮像したカラーライン画像情報から異物混入位置を検出することができるので、この異物混入位置を含む所定範囲で粉粒体を吸引するようにしてもよい。このためには、異物吸引ノズル17を回転ドラム11の軸方向に所定領域毎に分割して配置するか、又は異物吸引ノズル17内に軸方向に複数の吸引領域を形成すればよい。
【0072】
さらにまた、上記実施形態においては、回転ドラム11の透光性円筒部11fを乳白色のアクリル板で形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、任意の色の透光性部材で形成することができる。
なおさらに、上記実施形態においてはフィーダ3として2台の振動コンベア3a,3bで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1台の振動コンベアや3台以上の振動コンベヤで構成することもでき、振動コンベヤ以外にも粉粒体を上下に重なることなく平準化できるものであれば任意のフィーダを適用することができる。
【0073】
さらに、上記実施形態においては、カラーライン撮像装置14及び照明機構13の調整をオペレータが液晶タッチパネル33に表示されるガイダンス情報に従って手動で調整する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、カラーライン撮像装置14の撮像部14dを回動させる電動回動機構及びピント調整を行う電動直動機構を設けるとともに、照明機構13の第1及び第2の照明部21A及び21Bのシリンドリカルレンズ21bを回動させる電動回動機構を設け、これらを前述した図12の傾き検査処理、図13のピント調整処理及び図14の照度分布調整処理で、ガイダンス情報を表示する処理で該当する電動機構を駆動する駆動指令を出力することにより、カラーライン撮像装置14及び照明機構13の調整を自動化することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…カラー粉粒体異物検査装置、2…粉粒体貯留ホッパー、3…フィーダ、3a,3b…振動コンベヤ、4…異物検査機構、5…良品回収槽、6…サイクロン、7…不良品回収槽、8…ブロア、9…中性フィルタ、10…混合容器、11…回転ドラム、11A…基部、11B…有底円筒部、11q…駆動モータ、12…ライン状照明領域、13…照明機構、14…カラーライン撮像装置、14a…支持部材、14b…カラーライン撮像カメラ、14d…支持基板、14g…撮像部、14h…回動規制板部、15…垂直支持板部、17…異物吸引ノズル、21…外側照明部、21A…第1の照明部、21B…第2の照明部、21a…照明光源、21b…シリンドリカルレンズ、22…調光照明部、22A…照明光源、30…制御装置、31…プログラマブルコントローラ、32…画像処理装置、33…液晶タッチパネル、41…校正部材、41f…傾き検出用パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を搬送しながら平準化する粉粒体搬送機構と、
該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を外周面で受けて滑落位置まで搬送する回転ドラムと、
前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明機構と、
前記照明機構で照明された粉粒体を撮像するライン撮像装置と、
前記回転ドラムの外周面に着脱自在に載置する傾き検出用パターンを表示した校正部材と、
前記校正部材を回転ドラムに載置した状態で、前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて、少なくとも前記ライン撮像装置の撮像範囲と回転ドラムの軸方向との傾きを検出する撮像装置傾き検出部と
を備えたことを特徴とする粉粒体異物検査装置。
【請求項2】
粉粒体を搬送しながら平準化する粉粒体搬送機構と、
該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を外周面で受けて滑落位置まで搬送する回転ドラムと、
前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明機構と、
前記照明機構で照明された粉粒体を撮像するライン撮像装置と、
前記回転ドラムの外周面に着脱自在に載置する傾き検出用パターンを表示した校正部材と、
前記校正部材を回転ドラムに載置した状態で、前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて、少なくとも前記ライン撮像装置の撮像範囲と回転ドラムの軸方向との傾きを検出する撮像装置傾き検出部と、
前記ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて前記照明機構の照度分布を検出する照明機構照度分布検出部と
を備えたことを特徴とする粉粒体異物検査装置。
【請求項3】
前記撮像装置傾き検出部で検出したライン撮像装置の撮像範囲の傾きを正規の傾きに調整する撮像装置傾き調整部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒体異物検査装置。
【請求項4】
前記校正部材は、傾き検出用パターンが前記前記ライン撮像装置の撮像範囲内に回転ドラムの円周方向に延びる直線が所定間隔で表示され、両端の直線が二重線で表示された構成を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の粉粒体異物検査装置。
【請求項5】
前記撮像装置傾き調整部は、前記校正部材の両端の二重線間の間隔が最小となるように前記ライン撮像装置の撮像範囲の傾きを調整するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の粉粒体異物検査装置。
【請求項6】
前記ライン撮像装置は複数台並列に配設され、前記校正部材に、前記ライン撮像装置に対応する数の傾き検出用パターンが表示されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の粉粒体異物検査装置。
【請求項7】
粉粒体を搬送しながら平準化する該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を回転ドラムの外周面で受けて滑落位置まで搬送する粉粒体搬送ステップと、
前記回転ドラムの粉粒体落下位置から前記滑落位置までの間で、照明機構によって、少なくとも当該回転ドラムを軸方向に延びる所定の照明領域で照明する照明ステップと、
前記回転ドラムの外周面における所定の照明領域に傾き検出用パターンを表示した校正部材を着脱自在に載置するステップと、
前記照明機構で照明された前記校正部材の傾き検出用パターンをライン撮像装置で撮像する撮像ステップと、
該ライン撮像装置で撮像した画像情報に基づいて少なくとも前記ライン撮像装置の撮像範囲と回転ドラムの軸方向との傾きを撮像装置傾き検出部で検出する傾き検出ステップと
を備えた撮像装置傾き検出方法を異物検査前処理として実行することを特徴とする粉粒体異物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−197240(P2010−197240A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42978(P2009−42978)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】