経路案内システム
【課題】 ユーザの不明確な要望、多様な要望、時間とともに変化する要望に対応可能な経路案内システムを提供する。
【解決手段】 経路案内システムは、ノーマルモード、簡易モード、街巡りモードの3通りでユーザの携帯電話などの端末に経路案内用の情報を提供する。ノーマルモードでは出発地から目的地に至る経路を提示する。簡易案内モードでは、経路は提示せず、ユーザが通行できる通路ごとに、どのような地物等が存在するかという案内表示を行う。街巡りモードでは、通過する経由地が異なる複数の経路をユーザに提示し、各経路周辺に存在する地物の種類に基づきショッピング、レストランなどのジャンルに分けて評価値を示す。簡易案内、街巡りでは、提示された情報に基づいてユーザがその時その時の要望に応じた経路を自身の判断で決定するため、ユーザの要望に沿った実用的な経路案内を実現できる。
【解決手段】 経路案内システムは、ノーマルモード、簡易モード、街巡りモードの3通りでユーザの携帯電話などの端末に経路案内用の情報を提供する。ノーマルモードでは出発地から目的地に至る経路を提示する。簡易案内モードでは、経路は提示せず、ユーザが通行できる通路ごとに、どのような地物等が存在するかという案内表示を行う。街巡りモードでは、通過する経由地が異なる複数の経路をユーザに提示し、各経路周辺に存在する地物の種類に基づきショッピング、レストランなどのジャンルに分けて評価値を示す。簡易案内、街巡りでは、提示された情報に基づいてユーザがその時その時の要望に応じた経路を自身の判断で決定するため、ユーザの要望に沿った実用的な経路案内を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を決定する際に活用できる情報をユーザに提供することで、経路決定をユーザに委ねつつ経路案内を行う経路案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両または歩行者用に、指定された出発地から目的地に至る最適な経路を探索、案内する経路案内システムが提案されている。経路案内システムは、通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照し、各リンクに付された評価値、即ちコストの総和が最小となる経路を探索する。探索される経路に対する種々の要望を指定可能な経路案内システムも提案されている。例えば、特許文献1は、歩行者を対象とした経路案内時に、最短経路、指定時間経路などの条件の他、好みの散策経路という探索条件も指定可能とするシステムを開示している。特許文献2は、車両を対象とした経路探索において、目的地までの所要時間に余裕がある場合に、食事や夜景などの寄り道を含めた経路をユーザに提示するシステムを開示している。特許文献3も同様に、寄り道に好適な景観の良い道路を経由する経路探索が可能なシステムを開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−286491号公報
【特許文献2】特開2003−139553号公報
【特許文献3】特開2003−185453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の経路案内システムは、上述のように目的地に至るまでの特定の経路をユーザに指定するものであった。一旦、経路案内が開始されると、ユーザは経路案内システムの指示された経路を盲目的に追随する状態となりがちであった。このような経路案内では、ユーザが経路を決定する自由が半ば失われた状態となっているため、システムの実用性を向上するためには、ユーザの要望にできる限り合った経路を提示することが要求され、そのために予めユーザの要望を細かく入力しておくことが要求される傾向にあった。しかし、経路探索に当り、経路に対する要望をこのように細かな指定が要求される状態では、経路案内システムの使い勝手が悪くなるという別の課題を招くことになる。
【0005】
また、ユーザの要望に合う経路探索を実現するとは言っても、ユーザの要望は当初から明確に定まっているとは限らないという課題もあった。例えば、観光地などの不慣れな場所では、ユーザは、最終目的地および到着希望時刻は決まっていても、その他は全く意図がないまま、経路探索を行うこともある。このような場合には、最終目的地まで最短経路で速やかに到着すればよいというものではない。ユーザには、時間の許す限り、様々な観光スポット等を見て歩きたいという要望があるからである。特許文献2,および3記載の技術は、寄り道経路を探索するものではあるが、ユーザの要望が明確となっていない状態では、ユーザの要望に十分に沿った経路を提示することはできないという課題があった。
【0006】
更に、仮に経路探索を行った当初は、要望事項がはっきりしていた場合であっても、経路を移動する途中で要望が変わる場合もある。例えば、当初は、ショッピング目的で経路探索を行ったが、その後、経路を移動する間に食事がしたくなることもある。従来の経路案内システムでは、要望が変わった場合には、改めて要望事項を指定して経路探索を再試行する必要があった。
【0007】
このように、従来の経路案内システムのように固定的な経路を提示するという前提では、ユーザの要望に十分に沿った経路を提示することには限界があった。本発明は、かかる課題を解決するため、ユーザに経路決定の自由を残した経路案内を行うことによって、ユーザが、その時その時の自己の要望に適合した経路を採ることが可能となる経路案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の経路案内システムの構成は、ユーザによる経路決定を支援するための情報をユーザに提供することで経路を案内する。経路案内システムは、スタンドアロンで稼働可能な構成としてもよいし、ネットワークで接続された端末と一つ以上のサーバからなる構成としてもよい。本発明の経路案内システムは、ユーザに提示される情報の内容および情報を提示するための処理に応じて、以下に示す3タイプに分類される。ただし、いずれの経路案内システムも、探索された特定の経路に沿ってユーザを案内するものではなく、ユーザが自身で経路を決定する際に有用となる情報を提示するという特徴を有している。本発明の経路案内システムは、このようにユーザ自身が経路を決定するため、経路に対する要望事項を細かく指定するまでもなく、その時その時のユーザの要望に柔軟に対処することが可能となる利点がある。もっとも、3タイプの経路案内システムは、排他的にしか成立し得ないものではなく、複数のタイプの機能を兼ね備えた経路案内システムとして構成することも可能である。
【0009】
第1の経路案内システムは、経路案内のために、案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを用いる。候補地としては、例えば、種々の店舗、公共施設、ランドマークその他の地物、名所その他の景観が良い観光スポットなどが挙げられる。経路案内システムは、また、ユーザの現在位置を取得し、現在位置に基づいてユーザが進行可能な通路、即ち現在位置を含む通路および現在位置に接続する通路を特定する。ユーザが交差点にいる場合には、複数の通路が特定されることになるし、分岐でない場所にいる場合には前方および後方のみが進行可能な通路となる。経路案内システムは、特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて、地図データベースから抽出する。そして、抽出された案内情報を各通路と関連づけてユーザに提示する。例えば、ユーザの現在位置付近の地図を表示するとともに、各通路付近に案内情報を表示する態様を採ることができる。ユーザの現在位置付近の通路名と案内情報のリストを表示する方法を採っても良い。
【0010】
第1の経路案内システムによれば、ユーザは自分が進行可能な各通路に対して、それぞれどのような候補地が存在するのかを知ることができる。従って、ユーザは、その時点において自分の要望に最も適した通路を自分で選択して進めばよい。第1の経路案内システムは、このような情報提示を行うことにより、ユーザの要望に柔軟に対応可能な経路案内を実現することができる。
【0011】
第1の経路案内システムにおいては、案内情報のジャンルに関する指定をユーザから受け付け可能としてもよい。ジャンルは一つだけを指定するようにしてもよいし、複数のジャンルを指定可能としてもよい。後者の場合には、優先順位を含めうるようにしてもよい。経路案内システムは、ジャンルに適合した案内情報を提示することができ、よりユーザの要望に添った情報を効率的に提示可能となる。ジャンルへの適否は、案内情報に格納された種別に基づいて判断する方法を採ることができる。例えば、案内情報の種別自体を「ジャンル」として利用してもよい。また、複数の種別を統合した「ジャンル」という項目を予め案内情報に含めるようにしてもよい。かかる態様としては、例えば、「和食レストラン」、「洋食レストラン」、「博多ラーメン」などの種別を付した店舗に対し、更に「レストラン」という「ジャンル」を付す態様が該当する。更に、案内情報とは別に、「種別」と「ジャンル」とを対応づけるジャンル定義テーブルを用意しておき、これを参照することで指定された「ジャンル」に対応する案内情報を抽出可能としてもよい。
【0012】
第1の経路案内システムは、案内情報を抽出するための抽出条件を自動的に設定可能としてもよい。自動設定の基礎データとして、例えば、ユーザの属性および案内を行う時間帯の少なくとも一方を用いることができる。ユーザの属性としては、例えば、性別、年齢、職業などが挙げられる。時間帯には、日付を含めても良い。これらの基礎データを利用することにより、例えば、「女子高生」が「放課後」の時間帯に経路案内を行っている場合には、「ファーストフード」、「カラオケ」、「ショッピング」、「図書館」などの候補地が要望されていると判断することができる。基礎データと、候補地とを予め対応づける行動パターンテーブルを別途用意しておいてもよい。更に、上述の基礎データに加えて、ショッピング街、観光地など、案内すべき地域の属性を用いてもよい。これらの態様によれば、ユーザが要望を入力するまでもなく、ユーザが活用可能な案内情報を効率的に提示することができ、システムの利便性を向上することができる。
【0013】
ユーザに対する情報の提示は、種々の方法で行うことができる。例えば、抽出された案内情報を直接リスト等の形で列挙して提示してもよい。また、抽出された案内情報に基づいて所定の評価指数を求め、これを提示してもよい。評価指数の算出方法は任意に決定可能であるが、例えば、進行可能な通路ごとに抽出された各案内情報に含まれる種別を活用して求めることができる。一例として、抽出された案内情報を、先に説明した「ジャンル」に分類し、ジャンルごとの案内情報の数を評価指数として用いても良い。それぞれの案内情報に対して、多数のユーザによる人気、話題性などを表す「人気指標」を設定し、ジャンルごとに人気指標を集計した値を評価指数として用いても良い。このように評価指数を用いた情報提示によれば、案内情報が多数存在する場合でも、提示される情報の内容がユーザに把握しやすくなる利点がある。
【0014】
第1の経路案内システムでは、所定の拘束条件に基づいてユーザの移動可能範囲を特定し、移動可能範囲内で案内情報を抽出してもよい。拘束条件としては、例えば、出発地または現在位置から所定の距離内という条件;指定した到着希望時刻までに目的地に到着可能であるという条件などを採ることができる。かかる態様によれば、ユーザは過度に遠回りをしたり、目的地への到着時刻に遅れるなどの心配をしたりすることなく、提示された情報を安心して活用し、経路を決定することが可能となる。
【0015】
第1の経路案内システムでは、案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、2点間の経路を探索する機能を備えても良い。この場合、経路案内システムは、現在位置から各候補地までの経路を探索し、その探索結果を反映させて案内情報の抽出を行うようにしてもよい。例えば、現在位置から一定範囲以上に遠い候補地については情報の提示を控えたり、現在位置から候補地までの距離や所要時間に応じて提示する案内情報をソートするなどの形で反映させることができる。こうすることで、ユーザがより活用しやすい形で情報を提示することが可能となる。
【0016】
第2の経路案内システムは、上述の経路探索機能を活用して情報を提供する。まず、第2の経路案内システムは、ユーザの出発地および目的地の指定を受け付け、出発地から目的地までの経路探索を行う。現在位置を出発地として用いても良い。ただし、第2の経路案内システムは、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で経路探索を行う。最適の経路は、ノード、リンクに付されたコストが最小となる経路を探索するダイクストラ法を用いて探索することができる。上述の経路探索は、ダイクストラ法を用いる際に、最小コストよりも所定値または所定比率で大きいコストまで許容して経路を選択することで実現することができる。こうして選択された経路は、目的地までの経路のうち、最適とは言えないまでも、ユーザが許容可能な範囲での遠回りを認めた経路となり、これらの経路が存在する範囲は、ユーザの移動可能範囲となる。第2の経路案内システムは、ユーザが、移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する。これらの情報提示を行うことで、ユーザは過度な遠回りを懸念することなく、自己の意思で任意に経路を選択することが可能となる。
【0017】
この情報提示は、例えば、移動可能範囲をはみ出す可能性がある通路に対しては、「×」など、ユーザの進入を抑止するための情報を提示する方法を採ることができる。また、情報を提示するタイミングとしては、これらの通路に進入する前に提示するようにしてもよいし、進入した時点で、ユーザに対して、その通路を進行すべきでないことを報知するための情報提示を行うようにしてもよい。
【0018】
情報提示の別の態様として、上述の移動可能範囲内で移動可能な通路に対してのみ「通行可能」であることを示す表示を行う方法を採ることもできる。例えば、このような通行可能な通路のみを青色で表示する態様が含まれる。この情報提示も、ユーザの移動に先立って提示するようにしてもよいし、ユーザが通行可能な通路から外れた時点で提示するようにしてもよい。
【0019】
第2の経路案内システムでは、ユーザの現在位置にかかわらず、全通路を対象として、上述の情報を提示するようにしてもよい。また、ユーザの現在位置に基づいて、ユーザが進行可能な通路、即ち現在位置を含む通路および現在位置に接続した通路を特定し、この通路を対象として情報を提示するようにしてもよい。前者の態様によれば、ユーザは広域図によって、移動可能範囲を広く把握することができる利点がある。後者の態様によれば、ユーザが最も必要としている部分についてに絞って効率的に情報の提示を行うことができる利点がある。更に、上述の情報は、それぞれの通路を対象として表示する態様に限られない。例えば、ユーザが、移動可能範囲をはみ出す方向に進行を始めた時点で、画面全体に大きく「×」を表示したり、警報音を発するなどの態様を採っても良い。
【0020】
第2の経路案内システムにおいて、経路探索の条件を緩和する範囲は、次の方法で設定してもよい。まず、経路案内システムは、ユーザの現在位置から目的地まで最適経路を通行した場合の目的地への到着予測時刻を求める。そして、到着予測時刻とユーザから指定された到着希望時刻との時間差に基づいて、探索時の条件を緩和する範囲を決定するのである。時間差と緩和範囲との関係は、予め実験等によって設定しておくことができる。この態様を採ることで、到着希望時刻に目的地に到着可能な条件下で移動可能範囲を設定することが可能となる。
【0021】
第2の経路案内システムでは、ユーザが通行済みの通路を通行履歴として保持可能としてもよい。こうすることで、ユーザが、通行済みの通路を避けて移動するように支援するための情報を提示することが可能となる。かかる情報提示には、例えば、既に通行済みの通路を対象として、「×」など進入を抑止するための情報を提示する態様や、通行していない通路を対象として、通行可能であることを示す表示を行う態様が含まれる。ユーザは、これらの情報を活用することにより、後戻りしたり、通行済みの通路を再度通行したりするという無駄な移動を避けることができる。
【0022】
第2の経路案内システムでは、案内開始後、所定のタイミングでユーザの現在位置から目的地に至る最適経路を探索可能とし、ユーザに対して、上述の情報提示と併せて、この最適経路を提示してもよい。こうすることで、ユーザは最適経路を意識しながら進行方向を決定することができる。最適経路の探索は、定期的に行うようにしてもよいし、交差点に着いた時点や、通行済みの通路をユーザが再度通行した時点など、ユーザの移動状態に基づいて定まるタイミングで行うようにしてもよい。通行済みの通路を再度通行した場合には、ユーザは道に迷っている可能性があるため、このタイミングで最適経路を提示することにより、経路案内システムの利便性を向上することができる。
【0023】
第2の経路案内システムは、案内開始後、所定のタイミングで、ユーザの現在位置を出発地として用いて移動可能範囲の再策定を実行するようにしてもよい。ユーザの移動速度が当初想定していた速度よりも遅い場合や、ユーザが途中で寄り道をした場合などには、当初策定された移動可能範囲内で移動していたとしても、目的地に到着希望時刻に到着できなくなることがある。このように、移動可能範囲は、ユーザが移動を開始した後の事情に応じて影響を受け得る。上記態様によれば、所定のタイミングで移動可能範囲を更新することができるため、ユーザは安心して経路を決定することが可能となる。
【0024】
第2の経路案内システムに対し、第1の経路案内システムで説明した情報提示を組み合わせてもよい。こうすることで、ユーザには案内情報、評価指標などを提示することができ、より要望に合った経路をユーザが選択可能となる利点がある。
【0025】
第3の経路案内システムは、ユーザが指定した出発地から目的地に至る経路を探索するとともに、この経路を対象として次の方法で求めた評価結果をユーザに提示する。まず、経路案内システムは、探索された経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出し、各案内情報を用いて評価指数を求める。案内情報の抽出および評価指数の算出には、第1の経路案内システムと同様の方法を採ることができる。これによって、内情報の種別やジャンルごとに評価指数が求められる。経路案内システムは、この評価指数をそのまま評価結果として提示してもよいし、評価指数のうち、最も高い種別やジャンルを示すようにしてもよい。また、「ショッピング街」など、評価指数が高い種別やジャンルを表す概括名称を設定し、この名称を情報提示するようにしてもよい。これらの方法により、ユーザは提示された経路が自分の要望に合っているか否かを容易に判断することができ、その経路を選択するか否かを容易に決定することが可能となる。
【0026】
第3の経路案内システムは、経由地の異なる複数の経路を探索可能とし、それぞれの経路を対象として評価指数を提示してもよい。こうすることで、ユーザは提示された経路の中から自分の要望に最も適した経路を容易に選択することが可能となる。
【0027】
第3の経路案内システムは、経路ごとに、複数通りの評価結果を提示してもよい。例えば、「ショッピング街」、「ビジネス街」などの複数種類の概括名称を並列的に提示してもよい。また、概括名称と、評価指数を並列的に提示してもよい。こうすることで、ユーザは、経路の特徴を多面的に把握可能となる。
【0028】
第3の経路案内システムは、経路ごとに、種別との関連が異なる複数種類の評価結果を求めるとともに、所定の規則に基づいて評価結果同士の優劣を設定し、優劣に応じて、それぞれの評価結果の提示態様を変化させてもよい。例えば、各経路について、先に説明した複数のジャンルに対する評価指数を求め、この評価指数に基づいてジャンルの優劣を設定し、この優劣に応じて各ジャンルの提示態様を変化させる方法を採ることができる。例えば、最も優位の評価結果の視認性を高める表示をすることができる。より具体的には、高輝度での表示、赤など視認性の高い色での表示、太字やサイズの大きい文字での表示などを行うことができる。また、最も優位な評価結果のみ、または最も優位なものから所定順位内の評価結果のみを選択して表示する方法を採っても良い。
【0029】
第3の経路案内システムで提示される情報は、案内開始後、所定のタイミングで更新してもよい。つまり、経路案内システムは、各経路についてユーザが未通行の部分に対応づけられた案内情報を求め、こうして求められた案内情報を反映して情報を提示してもよい。未通行の部分に対応づけた案内情報は、ユーザの現在位置や従前の通行履歴に基づいて求めることができる。未通行部分の案内情報を改めて抽出する方法を採っても良いし、案内開始前に抽出された案内情報から通行済み部分に対応づけられた案内情報を削除する方法を採っても良い。
【0030】
一般にそれぞれの経路には、店舗、オフィスなど種々の地物が分布している。従って、例えば、店舗が多数存在する「ショッピング街」と評価された経路であっても、このように店舗が多数存在する区域をユーザが通過した後、その先の経路には店舗はほとんど存在せず「ショッピング街」とは評価し得なくなる場合もある。上述の態様では、ユーザの現在位置または通行履歴に基づいて、経路に対する評価結果を更新するため、ユーザは、案内開始前の初期の評価結果に惑わされず、これから通行すべき経路を決定することが可能となる。
【0031】
上述の経路探索において、経由地は、ユーザが指定してもよいが、経路案内システムが次の方法で自動的に設定可能としてもよい。まず、経路案内システムは、出発地から目的地に至るまでに通過すべき経由地となるべき候補地を地図データベースから所定の条件に従って抽出する。この抽出には、例えば、案内情報と同じ条件を用いることができる。また、案内情報に、先に説明した「人気指標」が付されている場合には、人気指標が上位所定範囲内の候補地を抽出するようにしてもよい。経路案内システムは、こうして抽出された経由地の少なくとも一部を経由する経路を探索すればよい。経路探索時には、抽出された経由地の全部を通過する経路を探索するようにしてもよい。また、所要時間または距離が所定範囲内という条件で、一つの経路探索に用いる経由地を絞り込んでもよい。出発地と目的地とを結ぶ直線に対して右側に属する経由地、左側に属する経由地のように、予め経由地をグループ化し、各グループに対して経由地を通る経路探索を行うようにしてもよい。
【0032】
本発明として説明した上述の3タイプの経路案内システムは、冒頭で述べた通り、必ずしも排他的なシステムとして構成する必要はない。複数タイプの経路案内システムの特徴を兼ね備えたシステムとして構成することもできる。また、各タイプの経路案内システムにおいて述べた特徴は全てを備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり組み合わせたりして適用可能である。本発明は、上述した経路案内システムとしての機能をコンピュータによって提供する経路案内方法として構成してもよいし、これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムとして構成することもできる。更に、このコンピュータプログラムを記録した記録媒体、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体として構成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.経路案内処理:
C.簡易案内処理:
C1.抽出対象設定処理:
C2.地物抽出処理:
C3.情報提示処理:
C4.変形例(1):
C5.変形例(2):
D.街巡り案内処理:
D1.経由地設定処理:
D2.経路探索処理:
D3.情報提示処理:
【0034】
A.システム構成:
図1は実施例としての経路案内システムの構成を示す説明図である。本実施例では、歩行者用の経路案内システムとしての構成例を示すが、車両用の経路案内システムとして構成することもできる。経路案内システムは、携帯電話を利用した端末100とサーバ200とをネットワークINTで接続して構成されている。ネットワークINTは無線通信を利用したネットワークであり、LANやイントラネットのように限定的なものであってもよいし、インターネットのように広域的なものであってもよい。端末100は、携帯電話の他、いわゆる車両用のナビゲーション装置やPDA、ネットワーク通信機能を有するパーソナルコンピュータなどを利用することができる。歩行者用の経路案内システムとして構成する場合、車両用のナビゲーション装置は、車両から取り外して携帯可能としておくことが望ましい。
【0035】
端末100は、ユーザの操作に応じて、経路探索および経路案内に必要な指示をサーバ200に送信するための機能を奏する。図中には、端末100の機能ブロックを併せて示した。端末100は、CPU、RAM、ROMを備えたマイクロコンピュータを制御装置として内蔵しており、このCPUはROMに記憶されたソフトウェアを実行することで、図示する各機能ブロックを構成する。これらの機能ブロックは、このようにソフトウェア的に構成する他、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0036】
通信部120は、ネットワークINTを介してサーバ200と通信する機能を奏する。GPS140は、全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、端末100の現在位置の緯度、経度を検出する。コマンド入力部130は、スイッチ等に対するユーザ操作に基づいて、経路探索や経路案内に関するコマンドを入力する。コマンドとしては、図示した通り、経路探索の目的地の指定や、経路案内のモードによっては案内経路の選択などが挙げられる。表示制御部150は、端末100のディスプレイに、これらのコマンド入力用のメニューを表示したり、サーバ200から受信した経路案内データに基づいて地図を表示させたりする。主制御部110は、上述した各機能ブロックを統括制御することで、端末100の全体機能を制御する。
【0037】
サーバ200は、端末100からのコマンドに基づいて、種々のデータベースを参照しながら、経路探索を行ったり、経路案内を行ったりする。図中には、これらの機能を実現するための機能ブロックおよびデータベースの例を示した。各機能ブロックは、サーバ200のCPUが実行するコンピュータプログラムによって、ソフトウェア的に構成されるが、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0038】
サーバ200が利用するデータベースは地図DB250およびユーザDB260である。地図DB250は、通路を表すリンクデータ251およびノードデータ252(以下、両者を「ネットワークデータ」と総称することもある。)、地図描画用のポリゴンや文字データからなる描画データ254、並びに地物データ253を有している。地物データ253には、経路案内時にユーザに提供する情報を生成するために参照等されるデータであり、種々の店舗、公共施設、ランドマークその他の地物、名所その他の景観が良い観光スポットなどについて、種別、位置その他の情報を格納するデータベースである。地図DB250のデータ構造については、後で改めて例示する。
【0039】
ユーザDB260は、ユーザID、氏名などの書誌的な登録情報と共に、ユーザの性別、住所、年齢などの属性、および探索条件などを記録している。探索条件としては、例えば、距離優先、時間優先などの探索モードに関する条件や、階段や上り坂を回避する経路を優先するなど経路に対する要望事項に関する条件が含まれる。
【0040】
通信部220は、端末100とのネットワークINT経由での通信を制御する。主制御部210は、端末100からの指示に従って、ユーザDB260を管理する機能を奏する。また、主制御部210は、図示する各機能ブロックを統合制御して、以下に示す経路探索および経路案内を実現する。本実施例では、「ノーマル案内」、「簡易案内」、「街巡り案内」の3つのモードを設けた。「ノーマル案内」とはノーマル案内部230によって実現されるモードであり、ユーザが指定した出発地から目的地に至る経路を探索し、探索された経路に沿って移動するようユーザを案内するモードである。「簡易案内」とは簡易案内部232によって実現されるモードであり、交差点などでユーザが進行可能な各通路を対象として、それぞれどのような地物が存在するのかを示す情報を提示することで、ユーザに経路決定の自由を残した経路案内を行うモードである。「街巡り案内」とは街巡り案内部234によって実現されるモードであり、ユーザから指定された出発地から目的地に至る複数の経路を提示し、ショッピング向け、観光向けなどの各経路の特性を表す評価結果を提示するモードである。
【0041】
経路探索部240は、ノーマル案内部230および街巡り案内部234からの指示によって経路探索を行う際には、地図DB250を参照して、指定された2地点間の経路をダイクストラ法によって探索する機能を奏する。ダイクストラ法は、ノード、リンクに付されたコストが最小となる経路を探索する周知の探索方法である。簡易案内部232からの指示によって経路探索を行う場合には、最小よりも所定の範囲コストが大きくなる場合を許容して経路探索を実行する。
【0042】
地図表示部242は、探索された経路を地図上に表示して案内するための経路案内データを生成し、端末100に送信する。上述の通り、経路探索は、種々の探索条件に基づいて行われている。地図表示部242は、これらの条件を反映した案内表示を実現する。表示例については後で示す。
【0043】
案内情報取得部244は、地物データ253から経路案内に用いる案内情報を抽出して簡易案内部232、街巡り案内部234に提供する。案内情報の抽出時にはユーザDB260に格納されたユーザの属性等を利用することもある。また、抽出した情報をそのまま提供することもあれば、情報提示部246によって端末100に表示可能な画像データの形式に加工して提供することもある。
【0044】
図2は地図DB250の内容を例示する説明図である。図の左上に示した地図を例にとってデータ構造について説明する。この地図には、図示する通り、海岸付近に、リンクL1〜L5で示される道路が存在している。道路周辺には、デパートB1、遊園地B2、景観が良い観光スポットB3などが存在している。
【0045】
リンクデータ251は、リンクID、リンクの形状、および種別、距離、地物などの属性を格納する。「リンクID」とは、各リンクの識別情報である。形状は、リンクが通過する点列を示している。図中の例では、リンクL1は、ノードN1、N2を結んでいるため、「形状」には「N1、N2」というノードIDが格納されている。ノード以外の点も通る場合には、緯度、経度など通過点の座標値を格納しておいてもよい。「種別」は国道、県道など道路の種類を表している。「距離」はリンクの距離である。「地物」は、リンク周辺に存在する地物、景観スポット等を表す地物IDを登録している。図の例では、リンクL1の周辺には建物B1が存在するため、「地物」欄にはB1という地物IDが格納されている。「地物」欄には複数の地物を格納可能である。本実施例では、「地物」欄には、建物B1やランドマークB2のような地物の他、観光スポットB3のような名所等も同様の形式で格納する。
【0046】
ノードデータ252は、ノードID、位置、規制、地物などの各情報を格納する。「ノードID」は各ノードの識別情報である。「位置」は、緯度、経度などノードの座標値を格納する。「規制」は右左折禁止など、ノードの通行規制を格納する。図の例では規制は特に格納されていない状態を表している。「地物」は、ノード周辺に位置する地物、景観スポット等を表す地物IDを登録している。図の例では、かかる地物IDは登録されていない状態を表している。
【0047】
地物データ253は、地物ID、種別、名称、評価、位置、リンク、設備などの情報を格納する。「地物ID」は地物、景観スポットなどを表す識別情報である。「種別」は、店舗、レストランなど地物の種類を表す情報や、海辺、川沿いなど景観を表す情報を格納する。「名称」は地物や景観スポットなどの固有名詞である。「評価」は、人気や推奨度などを表す指標である。本実施例では、5段階で評価するものとした。「評価」は、例えば、ユーザが当該地物、景観スポットを目的地として指定した頻度などに基づいて設定することが可能である。「位置」は、地物、景観スポットの座標値である。図の例では、(緯度、経度)の形で座標値が登録されている状態を例示した。
【0048】
「リンク」は、地物、景観スポットが関連づけられているリンクおよびノードの識別情報を格納する。図の例では、建物B1はリンクL1の周辺に位置するため、L1という識別情報が格納されている。「リンク」を用いることにより、建物B1が位置するリンク、ノードの情報を参照することが可能となる。逆に、リンクデータ251に格納された「地物」情報を用いることにより、リンクデータ251から地物データ253を参照することが可能となる。このように、本実施例では、地物データ253と、リンクデータ251、ノードデータ252は、相互に参照可能となっている。
【0049】
「設備」には、地物、景観スポットが有する設備に関する情報を格納している。図の例では、建物B1内には、レストラン、トイレ、ATM、空調が備えられていることが分かる。「設備」情報は、地物、景観スポットが、ユーザの要望に合う場所か否かを判断するのに活用することができる。
【0050】
リンクデータ251、ノードデータ252、地物データ253のデータ構造は、図示した例に限らず、種々の情報を追加してもよいし、図示した情報の一部を省略しても良い。データ形式も種々の設定が可能である。
【0051】
B.経路案内処理:
図3は経路案内処理のフローチャートである。先に図1で説明した通り、本実施例では、「ノーマル案内」、「簡易案内」、「街巡り案内」という3つのモードで経路探索、案内を実行することができる。図3に示したのは、図1の主制御部210の機能が実行するメインルーチンに相当する処理であり、ハードウェア的にはサーバ200のCPUが実行する処理である。
【0052】
この処理では、CPUは端末100から目的地、到着希望時刻を入力する(ステップS10)。端末100の現在位置を目的地として使用してもよい。CPUは、また、案内モードの指定を入力する(ステップS12)。図中に案内モードを指定するためのインタフェース画面例DISPを示した。これは、端末100に表示される画面を表している。図示する通り、ノーマルモード、簡易モード、街巡りモードという3つの案内モードが列挙され、ユーザはポインティングデバイス等を用いていずれかを選択することができる。図の例は、白黒反転している「簡易モード」が選択された状態を表している。
【0053】
CPUは、こうして指定された案内モードに応じた処理をそれぞれ実行する。ノーマルモードが指定されている時は(ステップS14)、出発地の指定、距離優先/時間優先などの探索モードの指定、階段や上り坂回避など経路に対する要望事項を含む経路探索条件を入力する(ステップS16)。図示した以外の条件を指定可能としてもよい。CPUは、指定された条件に従って、出発地から目的地に至る経路を探索して(ステップS18)、探索された経路を誘導する処理を実行する(ステップS20)。経路誘導は、例えば、端末100の画面上にユーザの現在位置近傍の地図、現在位置を示すシンボル、ユーザが進むべき経路を表示する方法で行うことができる。
【0054】
簡易モードが指定されている時は(ステップS14)、簡易案内処理を実行する(ステップS100)。簡易案内とは、図示するように、ユーザの現在位置近傍の地図を表示し、ユーザが進行可能な通路ごとに、どのような地物、景観スポットがあるかの情報を提示する案内を言う。ユーザが進むべき経路は指定されない。簡易案内処理の内容は後述する。
【0055】
街巡りモードが指定されている時は(ステップS14)、街巡り案内処理を実行する(ステップS300)。街巡り案内とは、図示するように、経由地の異なる複数の経路をユーザに提示するとともに、ユーザの経路選択を容易にするために、それぞれの経路を対象として、レストラン、ショップなどのジャンルに応じた評価値を提示する案内である。街巡り案内処理の内容は後述する。
【0056】
C.簡易案内処理:
図4は簡易案内の処理例を示す説明図である。図4(a)に示す地図を例にとって処理例を説明する。図中の黒く塗りつぶした四角R1、R2等はレストランを表しており、黒丸S1〜S3等はショップを表しており、白抜きの三角LM1〜LM3等は名所、景観スポットを表しているものとする。
【0057】
簡易案内では、ユーザの現在位置PPを中心として半径R、角度θの円弧状の領域(以下、「地物抽出エリア」と称する。)が設定され、案内情報の生成対象として、この中に存在する地物が抽出される。図の例は、前方の通路についての地物抽出エリアを示しており、この中にあるレストランR1、ショップS1〜S3が抽出されることになる。
【0058】
図4(b)は簡易案内の表示画面例を示している。ユーザPPの現在位置周辺の地図が表示され、前方および左側の通路には、それぞれサブウィンドウWb1,Wb2が表示される。サブウィンドウWb1には前方の通路に対する案内情報が表示される。前方の通路に対しては、図4(a)で示した方法で抽出されたレストランR1、ショップS1〜S3という地物が存在する旨の案内情報ことを表している。また、これらの地物に至るまでの所要時間も併せて表示される。
【0059】
サブウィンドウWb2に対しても同様の処理で設定された案内情報が表示される。図示を省略したが、左側の通路を含む円弧状の地物抽出エリアが設定され、その中にある地物、景観スポットが表示対象として抽出される。そして、サブウィンドウWb2内に、抽出された地物、景観スポットが表示される。図の例では、左側の通路方向は川沿いの景観スポットとなっており、名所LM1、レストランR2などがあることを表している。これらの地物等への所要時間も併せて表示される。また、地物抽出エリア内に何ら地物および景観スポットが存在しない場合には、図の例で、右側の通路に示したようにサブウィンドウに変えて「?」など情報が存在しないことを示唆するシンボルが表示される。このように、簡易案内では、ユーザが通行可能な各通路に対応づけて、その通路方向にどのような地物、景観スポットがあるのかを表すサブウィンドウが表示される。
【0060】
図4(c)は簡易案内の別の表示画面例を示している。図4(c)では、サブウィンドウWc1,Wc2に表示される。サブウィンドウWc1の中には、前方の通路方向に対し、レストラン、ショップ、観光というジャンルに関し、それぞれの評価値がグラフで示されている。これらの評価値は、前方の通路に対応する地物抽出エリア内に存在する地物、景観スポットの数に基づいて求められる。サブウィンドウWc2には、同様に左側の通路に対する評価値が表示される。
【0061】
本実施例では、図4(b)、図4(c)の画面を選択可能とした。図4(b)の画面は、具体的な地物名等が表示されるため、ユーザはそれぞれの具体的な地物等に着目して、いずれの通路に進むかを決定することができる。図4(c)の画面は、評価値で表示されるため、ユーザ等は具体的な地物名等を知ることはできないが、通路周辺に多数の地物等が存在する場合に提供される情報を簡素化することができ、ユーザは各通路の特徴を概括的に把握することが可能となる。図4(c)の画面は、「食事がしたい」とか「ショッピングがしたい」というように漠然とした目的が定まっているだけで具体的な地物名が特定されていない状況において有用性が高い情報を提示することができる。
【0062】
図5は簡易案内処理のフローチャートである。図3のステップS100に相当する処理であり、簡易案内部232(図1)の機能に相当する処理である。CPUは、まず端末100からユーザの現在位置を入力し(ステップS110)、ユーザが交差点にいるか否かを判断する(ステップS112)。交差点でない場合には、ユーザの進行方向には分岐がなく、新たな進行方向についての案内情報を提示する必要はないと判断されるため、CPUは従前の画面表示を継続する(ステップS180)。CPUは画面表示と併せて、簡易案内処理の過程で、取得した現在位置またはユーザが通行したリンクの履歴を保持しておく。
【0063】
交差点にいる場合には、新たな案内情報を生成するための処理を実行する。CPUは、まず、ユーザの現在位置PPを基準として、地物抽出エリアを設定する(ステップS114)。図中に地物抽出エリアの設置方法を併せて示した。現在位置PPの周りには、リンクL1、L2、L3という3本の通路が存在するものとする。リンクL1に対応する地物抽出エリアαは、リンクL1を含み左右に広がる半径Rの円弧状の領域である。左右の広がり角度θL、θRは、隣接するリンクとのなす角度の半分である。つまり、角度θLはリンクL1とリンクL2のなす角の半分であり、角度θRはリンクL1とリンクL3のなす角の半分である。リンクL2、L3についても同様の方法で地物抽出エリアを設定する。
【0064】
半径Rは種々の方法で設定可能である。半径Rを大きくすれば、地物抽出領域αが広くなり、非常に遠方の地物等に基づいて案内情報が生成される結果となる可能性があるため、前方の通路に対する案内として違和感を生じさせるおそれがある。一方、半径Rを小さくすれば、地物抽出領域αが狭くなり、ほとんど地物等が抽出されなくなって、十分な情報を提示することができなくなるおそれがある。半径Rは、これらのバランスを考慮して、設定すればよい。例えば、予め設定された固定値としてもよいし、ユーザが所定時間内に移動可能な距離としてもよい。また、地物等の密度に応じて可変としてもよい。
【0065】
次にCPUは、抽出対象設定処理を行う(ステップS120)。地物抽出エリア内には、多種多様な地物、景観スポットが存在するが、これらの全てに関する情報がユーザにとって有用とは限らない。抽出対象設定処理は、ユーザに有用な情報を提供するために、抽出対象となる地物、景観スポットの絞り込みを行う処理である。具体的な処理方法は後述するが、この処理によって、例えば、レストラン、ショップ、観光など、抽出対象となるべき地物のジャンルが決定される。
【0066】
CPUはこうして決定されたジャンルに従って、地物抽出処理を実行し、地物、景観スポットの位置等を地物データ253から抽出する(ステップS140)。そして、抽出された情報をユーザに提示するための情報提示処理を実行する(ステップS160)。これは先に図4(b)、図4(c)で示した画面表示を行うための表示データを生成する処理である。地物抽出処理および情報提示処理の内容は後述する。CPUはこうして生成された表示データを端末100に送信し、案内用の画面表示を行う(ステップS180)。CPUは以上の処理を、ユーザが目的地に到着するまで(ステップS182)、繰り返し実行する。
【0067】
C1.抽出対象設定処理:
図6は抽出対象設定処理のフローチャートである。図5のステップS120に相当する処理であり、案内情報取得部244(図1)の機能に相当する。抽出対象設定処理では、「デフォルト」、「ユーザ設定」、「自動」という3つの抽出モードのいずれかをユーザが選択し、選択された抽出モードで案内表示の対象として抽出すべき地物、景観スポットを絞り込む。
【0068】
ユーザは端末100を操作することで、サーバ200に対して上述した3つの抽出モードの新たな指定および従前の指定の変更を行うことができる。CPUは端末100からの信号を受信し、抽出モードの変更が指定されていない場合には(ステップS121)、新たに抽出対象を設定する必要はないと判断し、そのまま抽出対象設定処理を終了する。この処理が初めて実行される場合における抽出モードの新規設定は、抽出モードの変更と同義として扱うものとした。
【0069】
抽出モードの変更が指定されている場合(ステップS121)、CPUは指定された抽出モードに応じて、それぞれの処理を実行する。「デフォルト」が指定されている時は(ステップS122)、CPUは予め用意されていた固定のジャンルを抽出対象として設定する(ステップS123)。図中には、「レストラン、ショッピング、観光」が抽出対象として設定されている例を示した。この抽出対象は、全ユーザに共通のジャンルを用いるものとしてもよいし、ユーザDB260に予め登録されたユーザ固有のジャンルを用いるものとしてもよい。
【0070】
「ユーザ設定」が指定されている場合(ステップS122)、CPUはユーザによる抽出対象の指定を入力する(ステップS124)。図中に端末100に表示されるインタフェース画面例を示した。この例では、「レストラン、ショッピング、観光」などのジャンルがリスト表示され、ユーザがチェックを付すことで抽出対象を設定可能となっている。インタフェースは、かかるタイプに限らず任意に設定可能である。
【0071】
「自動」が指定されている場合(ステップS122)、CPUはユーザの属性等に応じて以下の手順で抽出対象を自動設定する。自動設定に使う基礎データとして、CPUはまずユーザDB260からユーザの属性を読込み(ステップS125)、また、現在位置、日時を入力する(ステップS126)。そして、CPUは、これらの情報に基づき行動パターンテーブルを参照して(ステップS127)、行動パターンを決定する。
【0072】
図中に行動パターンテーブルの例を示した。行動パターンテーブルとは、性別、年齢、日時、住所から現在地の距離などの基礎データに基づき、その人がその時点で採っていると想定される行動パターンを対応づけるテーブルである。例えば、「学生」と判断される年齢で、「平日」、「朝」、かつ「住所から所要時間1時間程度の範囲内の距離」にいるという基礎データに対しては、「通勤・通学」という行動パターンを割り当てることができる。行動パターンは複数割り当てても構わない。
【0073】
CPUは決定された行動パターンに基づいて抽出対象を設定する(ステップS128)。図中に設定例を示した。この例では、通勤・通学中にユーザが要望する案内情報のジャンルとして、「レストラン、ショッピング、プレイスポット」が割り当てられている。このような設定では、例えば、通勤・通学のユーザに対しては、「観光」に関する案内情報は抽出対象から除外されることになる。通勤・通学のユーザは、観光に関する案内情報を要望してはいないと考えられるため、無用な案内情報の提示を避けることができる利点がある。
【0074】
本実施例では、上述のように行動パターンテーブルを介して、抽出対象を設定する方法を採ったが、基礎データに対して直接、抽出対象を割り当てる方法を採っても良い。また、基礎データは、ここで例示した項目に限定される訳ではなく、一部を省略してもよいし、他の項目を加えても良い。
【0075】
C2.地物抽出処理:
図7は地物抽出処理のフローチャートである。図5のステップS140に相当する処理であり、案内情報取得部244(図1)の機能に相当する。この処理では、CPUは抽出対象設定処理(図6)における抽出対象の設定結果を読込み(ステップS141)、これに該当する地物、景観スポットを抽出する。
【0076】
本実施例では、現在位置からユーザが進行可能なリンク単位で案内情報を提示することから、地物等の抽出もリンク単位で行う。CPUは現在位置の周囲にあるリンクから、処理対象となるリンクを選択し(ステップS142)、そのリンクに対する地物抽出エリアを読み込む(ステップS143)。地物抽出エリアは、簡易案内処理(図5)のステップS114で設定済みである。
【0077】
次に、CPUは、地物抽出エリア内で、抽出対象に該当する地物等を抽出し(ステップS144)、抽出結果を格納する(ステップS145)。図の右上に、地物等の抽出処理の例を示した。図示する通り、リンクL1に対して地物抽出エリアαが設定されているとする。抽出対象のジャンルが、「レストラン、ショッピング、観光」であったとすれば、CPUは地物抽出エリアα内の「レストランRa、Rb、ショップSa、ランドマークLMa」を抽出する。抽出対象として「レストラン」のみが指定されている場合には、地物抽出エリアα内の「レストランRa、Rb」のみが抽出され、ショップSa、ランドマークLMaは抽出されないことになる。
【0078】
それぞれの地物等が抽出対象に該当するか否かは、地物データ253に格納された種別に基づいて判断することができる。例えば、「レストラン」というジャンルが指定されている場合には、「和食レストラン」、「洋食レストラン」、「博多ラーメン」などの種別が該当する。本実施例では、「種別」と「ジャンル」とを対応づけるジャンル定義テーブルを用意しておき、CPUが、ジャンル定義テーブルを参照することで指定された「ジャンル」に対応する種別を特定可能とした。かかる方法に限らず、例えば、地物データ253に対して、種別とは別にこれらの「ジャンル」を付すようにしてもよいし、種別自体をジャンルとして用いるようにしても良い。
【0079】
こうして地物等を抽出すると、CPUは所定のメモリ領域に結果を格納する(ステップS145)。CPUは以上の処理を全リンクについて終了するまで繰り返し(ステップS146)、地物抽出処理を終了する。
【0080】
本実施例では、図の右下の格納結果TABに示すように、処理対象となったリンクと、抽出された地物等とを対応づけてテーブル形式で格納する。こうすることで、後述する情報提示処理において、各リンクに対応する地物等の情報を容易に利用することができる。格納結果TABには、地物IDを格納すれば足りるが、情報提示処理で利用する情報、例えば地物の位置や種別、名称などを直接格納するようにしてもよい。
【0081】
C3.情報提示処理:
図8は情報提示処理のフローチャートである。図5のステップS160に相当する処理であり、情報提示部240(図1)の機能に相当する。本実施例では、先に図4(b)に示した情報提示(以下、「リストモード」と称する)と、図4(c)に示した情報提示(以下、「グラフィックモード」と称する)の2つの提示モードによって、情報を提示するものとした。提示モードは、ユーザが端末100を操作することで、指定可能であり、案内途中で変更することも可能である。
【0082】
CPUはまず地物抽出結果(図7右下)を読み込む(ステップS161)。そして、端末100から提示モードの変更が指示されている場合には(ステップS162)、新たな提示モードの指定を入力する(ステップS163)。提示モードの新規指定は、変更と同じ扱いとした。
【0083】
先に図4(b)、図4(c)で示した通り、案内情報は、通行可能なリンクに対応づけて表示されるため、情報提示処理では、以下の手順で、CPUが処理対象リンクを選択し(ステップS164)、リンク単位でサブウィンドウの表示データを生成する。
【0084】
CPUは、ユーザが通過済みのリンクを選択した場合には(ステップS165)、通過済みマークを表示するデータを生成し(ステップS172)、次のリンクの処理に移行する(ステップS173)。通行済みであるか否かは、ユーザの通行履歴を確認することにより判断可能である。
【0085】
通行済みでないリンクを選択した場合には、指定された提示モードに応じて案内情報を提示するためのサブウィンドウの表示データを生成する。「リストモード」が指定されている時は(ステップS166)、CPUは地物抽出結果に格納された各地物等について、現在位置から地物等までの所要時間を算出する(ステップS167)。所要時間は、現在位置を出発地とし、地物等を目的地とする経路探索によって求めても良いし、直線距離に基づいて簡易的に求めても良い。
【0086】
そして、CPUは次に抽出された地物を、評価を第1キー、所要時間を第2キーとしてソートし(ステップS168)、ソート結果に従ってサブウィンドウを表示するためのリスト表示データを生成する(ステップS169)。評価とは、人気や推奨度などを表す指標であり、地物データ253(図2)に格納されたデータである。上述のソートによれば、評価が高く、現在位置から近い地物等の情報が優先的に表示されることになる。ソートに用いるキーは、上述の例に限らず、種々の設定が可能である。
【0087】
「グラフィックモード」が指定されている場合(ステップS166)、CPUはジャンル毎に各地物等の地物データ253に格納された評価を集計し(ステップS170)、その結果をグラフィックス表示するための表示データを生成する(ステップS171)。本実施例では、単に総和を求めるものとしたが、現在位置から地物までの距離に応じて重みを変えるようにしてもよい。ジャンル毎の総和とは、例えば、地物抽出対象として「レストラン」、「ショッピング」が指定されている場合には、「レストラン」に該当する地物等の評価の集計と、「ショッピング」に該当する地物等の評価の集計とを個別に行うことを意味する。
【0088】
CPUは以上の処理(ステップS164〜S172)を、全リンクについて実行する(ステップS173)。その後、現在位置周辺の地図と合成をして、端末100に案内画面を表示するための表示データを生成して(ステップS174)、情報提示処理を終了する。
【0089】
以上で説明した簡易案内によれば、ユーザは自分が進行可能な各通路に対して、それぞれどのような地物、景観スポットが存在するのかを知ることができる。従って、ユーザは、その時点において自分の要望に最も適した通路を自分で選択して進むことが可能となる。簡易案内では、特定の経路をユーザに提示せず、案内情報の提示のみに留めることにより、ユーザに経路決定の自由を留保することができ、ユーザの要望に柔軟に対応可能な経路案内を実現することができる。
【0090】
C4.変形例(1):
図9は変形例としての地物抽出処理のフローチャートである。図8の処理に代わる処理である。変形例では、各地物等から目的地までの所要時間を考慮して地物等の抽出を行う。
【0091】
この処理では、実施例(図7)と同様、CPUは抽出対象設定結果を読込む(ステップS141A)。その後、処理対象リンクを選択して(ステップS142A)、選択されたリンクに対応する地物抽出エリアを読込み(ステップS143A)、地物抽出エリア内で抽出対象に該当する地物を抽出する(ステップS144A)。
【0092】
次に、CPUは、抽出された各地物等を経由した場合の目的地到着の予想時刻を算出する(ステップS150)。この予想時刻は、各地物等を経由地とする経路探索によって求めることもできるが、図示する方法で簡易に求めてもよい。CPUは予想時刻の算出対象となる地物等S1と現在位置PPとの直線距離d1、および目的地Gとの直線距離d2を算出する。そして、次式で道のりを求め、道のりを平均移動速度で除することで所要時間、ひいては目的地到着の予想時刻を算出する。
道のり=(d1+d2)×Cd;
ここで、Cdは、「道のり/直線距離」の平均値である。Cdは案内対象となる領域においていくつかの地物等をサンプルとして選択して求めればよい。Cdの値は固定値としてもよいし、現在位置PPと目的地Gとの直線距離や、この直線距離と(d1+d2)との比の関数としてもよい。
【0093】
CPUは、こうして算出された予想時刻に基づき、到着希望時刻までに目的地に到着可能か否かを判断し、到着可能な地物等を、抽出結果として格納する(ステップS151)。結果の格納方法は、実施例(図7)と同様の方法を採ることができる。以上の処理をCPUは全リンクに対して実行する(ステップS152)。変形例の地物抽出処理によれば、目的地に到着希望時刻までに到着可能な範囲で案内情報が提示されるため、ユーザは提示された案内情報に従って、安心して経路を決定することができる利点がある。
【0094】
C5.変形例(2):
実施例では、案内対象となる全領域について地物等の抽出を行う例を示した。これに対し、ユーザが最終的な目的地Gを指定している場合には、過度な遠回りを避ける範囲で案内情報を提示するようにしてもよい。かかる処理について変形例(2)で説明する。
【0095】
図10は通行可能エリアの設定例を示す説明図である。通行可能エリアとは、図10(a)のハッチングを施していない領域に相当し、ユーザが現在位置PPから目的地Gに向かう際に過度に遠回りとならない範囲を意味する。図10(a)の例では、図中に太い矢印で示す経路が目的地に向かう最短経路ROUである。通行可能エリアは、この最短経路ROUを基準として求められる。ハッチングを施した領域PA内の地点を経由する場合には、経路の道のりまたは目的地までの所要時間が、最短経路ROUよりも過度に大きくなることから、通行可能エリア外と判断されるのである。通行可能エリアの設定処理については後述する。
【0096】
図10(a)に示す通り、ユーザの現在位置PPでは直進および左側方向の通路は、通行可能エリア内にあり、右側の通路は通行可能エリアからはみ出すことが分かる。図10(b)は変形例(2)の案内画面例を示している。この画面例では、実施例(図4(b))と同様、直進および左側の通路に対してはサブウィンドウが表示され、案内表示がなされる。右側の通路に対しては、×印など、進行すべきでない旨を表す表示がなされる。このように表示されることにより、ユーザは過度に遠回りとなる経路を採ることになる懸念なく、安心して経路を決定することが可能となる。逆に、通行可能エリア内の通路を青色で着色するなどの表示を行うことで、進行すべきでない通路と進行して構わない通路とを識別可能としてもよい。
【0097】
本実施例では、図10(b)の画面に代えて、図10(a)の表示、またはこの縮尺を変更した表示を、案内画面としてユーザに提示してもよい。つまり、ユーザの現在位置に関わらず、通行可能エリア外となる通路の少なくとも一部を対象として、ユーザが進行すべきでない旨を表す表示をするようにしてもよい。こうすることで、ユーザは通行可能エリアを広域的に把握することができる利点がある。
【0098】
また、図10(a)、10(b)のいずれの案内画面においても最短経路ROUを併せて表示してもよい。最短経路ROUは、常に表示してもよいし、ユーザが交差点に来た時や、通行済みの通路を再度通行した時点などのタイミングで表示してもよい。この場合には、ユーザの現在位置に応じて、目的地までの最短経路ROUを再探索した上で表示することが好ましい。
【0099】
図11は通行可能エリア設定処理のフローチャートである。この処理は、簡易案内処理(図5)において現在位置入力(ステップS110)の前または後に実行することができる。CPUは通行可能エリアを設定するための基準とするため、現在地から目的地までの経路を探索し、目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS101)。この処理は、図10(a)の最短経路ROUの探索に相当する。
【0100】
そして、CPUは到着予想時刻と到着希望時刻との差から、余裕時間を算出し(ステップS102)、余裕時間を次式でコスト余裕Ccに換算する(ステップS103)。
Cc=1+(余裕時間/目的地までの所要時間);
コスト余裕とは、余裕時間に応じて、遠回りを許容する範囲を表す値となる。
【0101】
次に、CPUはダイクストラ法により、通行可能経路を探索する(ステップS104)。この際、最小コストに限定して経路を探索するのではなく、「最小コスト×Cc」となる範囲まで許容して経路を探索する。図中に探索例を示した。地点N1からN2に向かう経路を探索する場合を考える。各経路のコストは、経路RO1が10、経路RO2が15、経路RO3が12と求められたとする。経路RO1が最小コストとなるため、通常のダイクストラ法では、経路RO1が選択されることになる。これに対し、ステップS103に示した演算結果によりコスト余裕Ccが1.3と求まったとすれば、変形例ではコスト13までが経路として選択されることになる。この結果、経路RO1の他、RO3が経路として選択され、経路RO2が経路から除外される。このような考え方によって、通行可能な経路と、そうでない経路とを求めることができる。
【0102】
CPUは得られた通行可能エリアを格納する。本実施例では、各リンクに通行可否を示すフラグを設定する方法を採った(ステップS105)。図10(a)において通行可能エリアを除くエリア(図中のハッチング領域)の各リンクには、「通行否」を示すフラグが設定され、通行可能エリアの各リンクには、「通行可」を示すフラグが設定される。
【0103】
通行可能エリアの設定は上述した方法に限られない。例えば、コスト余裕Ccは任意に設定可能である。本実施例では、コスト余裕Ccを最小コストに乗じる係数として用いたが、最小コストに加える項として用いても良い。
【0104】
通行可能エリアの設定は、簡易案内処理を開始する当初に行うのみとしてもよいし、案内の過程で繰り返し実行するものとしてもよい。図11で示した方法でコスト余裕Ccを設定する場合、余裕時間はユーザに移動に応じて推移するため、通行可能エリアを繰り返し設定することは、より実用的な案内を実現するという点で効果的である。
【0105】
D.街巡り案内処理:
図12は街巡り案内の処理例を示す説明図である。図12(a)に示す地図を例にとって処理例を説明する。図中の黒く塗りつぶした四角はレストラン、黒丸はショップ、白抜きの三角は名所、景観スポットを表しているものとする。また、ユーザが必ず経由すべき経由地としてホテルHHが指定されているものとする。経由地は、後述する通り、ユーザが指定することもできるし、経路案内システムが自動設定することもできる。
【0106】
街巡り案内では、ユーザの現在位置PPから目的地Gまでの経路探索が行われ、探索結果の経路が提示されるとともに、経路ごとにレストラン、ショップなどのジャンルに応じた評価値が提示される。図12(a)の例では、現在位置PPから経由地HHまでの経路としてRO1、RO2が探索され、経由地HHから目的地Gまでの経路としてRO3、RO4が探索された状態を示している。
【0107】
図12(b)は街巡り案内の表示画面例である。ユーザPPの現在位置周辺の地図が表示され、経由地HHまでの経路RO1、RO2が表示される。各経路には、サブウィンドウWr1,Wr2によって、それぞれの経路に対する評価値が併せて表示される。図の例では、経路RO1は、ショップ(黒丸)が多く存在する経路となっているため、ショップの評価値が高くなっている。経路RO2は、景観スポット(白抜きの三角)を多く経由するため、観光に対する評価値が高くなっている。これらの評価値の算出は、簡易案内(図4(c))と同様の方法で行うことができる。街巡り案内の表示画面は、図12(b)のようなグラフィックス表示の他、経路周辺の地物等をリストで示す画面(図4(b)参照)や「ショッピング街」、「観光ルート」など評価値に応じた概括名称を示す画面なども可能である。グラフィックス表示と、リストや概括名称の表示など複数通りの表示を組み合わせてもよい。
【0108】
サブウィンドウWr1,Wr2は、評価値に応じてジャンルごとの表示態様を変えても良い。例えば、サブウィンドウWr1では、評価値が最も高い「ショップ」を他のジャンルよりも強調表示することができる。強調表示とは、高輝度での表示や、赤などの視認性の高い色での表示、太字やサイズの大きい文字での表示など、視認性を向上させる表示を言う。こうすることでユーザは、容易に各経路の特徴を把握することができる。強調表示は、グラフィックス表示の場合のみならず、リスト表示や概括名称の表示にも適用可能である。
【0109】
図13は街巡り案内処理のフローチャートである。経路案内処理(図3)のステップS300に相当する処理であり、街巡り案内部234(図1)の機能に相当する。CPUはまず抽出対象設定処理を行い(ステップS320)、経由地設定処理を行う(ステップS340)。抽出対象設定処理の内容は、簡易案内処理の場合(図6)と同様である。抽出対象の設定結果は、評価値の算出および経由地の自動設定に使用される。経由地設定処理は、ユーザからの指定または自動設定を行うための処理である。その内容については後述する。
【0110】
以上の処理を終えると、CPUはユーザの移動に合わせて経路案内を実行する。まず、ユーザの現在位置を入力し(ステップS360)、案内中の経路を外れたか否かを判断する(ステップS361)。経路を外れていない場合には、従前の案内画面の表示を継続する(ステップS400)。
【0111】
経路を外れている場合には(ステップS361)、案内用の経路探索によって(ステップS370)を改めて設定するための処理を行う。街巡り案内処理を最初に実行する場合、即ち案内用の経路が未設定の場合も同じ扱いとした。この経路探索処理では、到着希望時刻までに目的地に到着可能な範囲で経由地を経由する経路を探索する。複数の経由地が設定されている場合、経路は複数通り得られることになる。経路探索処理の具体的内容については後述する。
【0112】
CPUは経路探索結果に基づき、経路ごとにサブウィンドウを表示するための表示データを生成する情報提示処理を行う(ステップS380)。本実施例では、リストおよびグラフィックスの2通りの提示モードで案内表示を行うものとした。CPUはこうして生成された表示データを端末100に送信して画面表示させる(ステップS400)。CPUは、以上の処理(ステップS360〜S400)をユーザが目的地に到着するまで繰り返し実行する(ステップS401)。
【0113】
本実施例の街巡り案内処理では、上述の通り、ユーザが経路を外れた時点で経路探索および情報提示が行われる。情報提示の更新は、ユーザが経路を外れた時点のみならず、案内開始後に一定時間を経過する度など、種々のタイミングで行うことができる。この情報提示の更新により、ユーザには各経路について最新の評価結果が提示されることになる。
例えば、当初は店舗が多数存在すると評価されていた経路であっても、そのような区域をユーザが通過した後に、上述の経路探索、情報提示が再試行されることにより、店舗の評価が低下する場合もある。このように最新の評価結果をユーザに提示することにより、ユーザは自己の希望に添った経路を適切に選択することが可能となる。
【0114】
D1.経由地設定処理:
図14は経由地設定処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS340に相当する処理であり、街巡り案内部234(図1)の機能に相当する。この処理は、現在位置から目的地に向かう過程で、経由したい地点、経由することが推奨される地点を設定する処理である。本実施例では、ユーザによる「指定」モードと、「自動」モードで経由地の設定が可能とした。また、モードは経路案内過程で変更することも可能である。
【0115】
CPUは端末100からの信号を受信し、経由地変更が指定されていない場合には(ステップS341)、特別な処理を行うことなく経由地設定処理を終了する。経由地変更が指定されている場合、および経由地が未設定の場合には、それぞれユーザが選択したモードに応じて、以下の処理を実行する。
【0116】
ユーザから「指定」モードが選択されている場合には(ステップS342)、CPUはユーザが指定する経由地を入力し(ステップS343)、経由地設定処理を終了する。「指定」モードは、例えば、観光地において、宿泊ホテルに一旦立ち寄ってから目的地に向かいたい場合や、ガイドブック等の情報を元に訪問したい場所が分かっている場合などに利用可能である。
【0117】
ユーザから「自動」モードが選択されている場合には(ステップS342)、CPUは地物の抽出対象の設定結果に基づいて以下の手順で経由地を設定する。まず、CPUは地物抽出エリアを設定する(ステップS344)。図中に地物抽出エリアαの設定例を示した。本実施例では、現在位置PPと目的地Gを結ぶ直線DRを中心として左右に幅Wの矩形領域を地物抽出エリアαとした。幅Wは目的地に向かう際に過度に遠回りとならない範囲で任意に設定可能であり、固定値としてもよいし、現在位置PPから目的地Gまでの距離、到着希望時刻までの余裕時間などの関数としてもよい。幅Wは、通行可能エリア(図10,図11参照)を求め、この範囲に収まるよう幅Wを設定してもよい。地物抽出エリアαは、図示した矩形形状である必然性はなく、例えば、通行可能エリア自体を地物抽出エリアαとして用いても良い。
【0118】
次に、CPUは地物抽出エリア内で、抽出対象に該当する地物等を抽出し(ステップS345)、抽出された地物等を地物データ253に格納された評価に基づいてソートして、上位の所定数を経由地として設定する(ステップS346)。図中には、地物R1,S2が評価5、地物S2が評価4である場合に、上位1位のみを経由地として選択した例を示した。選択すべき経由地の数は、任意に設定可能である。固定値としてもよいし、目的地までの余裕時間の関数としてもよい。
【0119】
D2.経路探索処理:
図15は経路探索処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS370に相当する処理であり、街巡り案内部234および経路探索部240の機能に相当する。この処理では、先に説明した通り、現在位置から、予め設定された経由地を通って目的地に向かう経路が求められる。経由地は一つとは限らないため、通過すべき経由地の組み合わせを変えながら複数の経路が探索される。
【0120】
CPUは、設定された経由地を入力し(ステップS371)、ソートする(ステップS372)。ユーザからの指定を第1キーとし、現在位置からの直線距離を第2キーとして用いる。このソートにより、ユーザから指定された経由地および近距離にある経由地の優先順位が高くなる。
【0121】
次に、CPUはソートされた経由地から、経路探索時に経由すべき経由地を選択し、経路探索を行って、目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS373)。そして、到着希望時刻までに目的地に到着可能な経路を選択する(ステップS374)。
【0122】
図の右側にこの処理例を示した。ここでは、ユーザから指定された経由地A,Bおよび自動設定された経由地C〜Eの5点が経由地として設定されているものとする。経由地C〜Eは現在位置からの距離に基づいてソート済みである。到着希望時刻は1:00に設定されているものとする。
【0123】
CPUは、第1ケースとして、ユーザから指定された経由地A,Bのみを選択して、経路探索を行い、到着予想時刻が12:40と求められたとする。この経路は、到着希望時刻1:00までに目的地に到着可能であるため、採りうる経路として選択される。次にCPUは第2ケースとして、経由地A,Bの他に最も近い経由地Cを選択して、経路探索を行う。この場合、図の例では、到着予想時刻は12:42と求められている。この経路も1:00までに到着可能であるため、選択される。
【0124】
同様にしてCPUは、第3ケースとして経由地C,Dを選択、第4ケースとして経由地C,Eを選択して経路を探索する。第4ケースは1:00までに到着可能な経路として選択されるが、第3ケースは到着予想時刻が1:30となっているため選択されない。
【0125】
CPUは第5ケースとして経由地A〜Eの全てを選択する。この経路に対して経路探索を行い、到着予想時刻を求めれば、第1〜第4ケースと同様にして、選択可否を判断することができる。しかし、第5ケースには、第3ケースで選択された経由地A〜Dが全て含まれている。従って、第3ケースが選択不可の経路となっている以上、第5ケースの経路も選択不可となると考えられる。かかる観点から、本実施例では、既に選択不可と判断された経路と同じ経由地を含む経路については、経路探索を行うまでなく、選択不可と判断するものとした。図中の例で、第5ケースに対して到着予想時刻が記入されていないのは、このことを意味している。
【0126】
CPUは次に第6ケースとして経由地A,B,Dを選択する。この場合は、第3ケースとは、経由地Cが抜けている点で相違する。従って、第5ケースのような処理で選択不可とすることはできない。CPUは第1〜第4ケースと同様、経路探索を行い、到着予想時刻を求めて、選択可否を判断する。
【0127】
D3.情報提示処理:
図16は情報提示処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS380に相当する処理であり、情報提示部246(図1)の機能に相当する。この処理では、経路探索処理の設定結果を読込み(ステップS381)、設定された各経路に対して、経路周辺の地物、景観スポットを抽出し、図12で示した案内表示を実現する処理である。案内表示は、抽出された地物等をリスト表示する「リスト」モード、および抽出された地物等に基づいて算出される評価値をグラフ表示する「グラフィックス」モードのいずれかで行うことができる。
【0128】
ユーザから、提示モードの変更が指定されていない場合には(ステップS382)、CPUは、従前の案内表示を継続する。つまり、従前の案内表示画面と、地図および経路の表示データとを融合し、全体の表示データを生成して(ステップS390)、情報提示処理を終了する。
【0129】
提示モードが未指定の場合も含め、提示モードの変更が指定されている時(ステップS382)には、CPUは端末100から提示モードの指定を入力する(ステップS383)。そして、各経路周辺で抽出対象に該当する地物を抽出する(ステップS384)。抽出対象は、街巡り案内処理(図13)のステップS320での設定に従う。経路を構成する各リンクについてリンクデータ231(図2)を参照し、そこに含まれる「地物」情報を参照することで、経路周辺の地物を特定し、それぞれの地物について地物データ253に格納されている種別を参照することで、抽出対象に該当するか否かを判断することができる。
【0130】
次に、CPUは、抽出された地物等の情報を利用して、提示モードに応じた表示データを生成する。「リスト」モードが指定されている場合には(ステップS385)、CPUは、抽出された地物を、地物データ253に格納されている評価に基づいてソートし(ステップS386)、上位所定数の地物についてリスト表示データを生成する(ステップS387)。所定数は、サブウィンドウの大きさなどを考慮して任意に設定可能である。
【0131】
「グラフィクス」モードが指定されている場合には(ステップS385)、CPUは、ジャンル毎に各地物等の評価を集計し(ステップS388)、集計結果をグラフィックス表示するための表示データを生成する(ステップS389)。評価の集計方法は、簡易案内処理における情報提示処理(図8のステップS170、S171)と同様である。
【0132】
CPUは、「リスト」モード、「グラフィックス」モードのそれぞれでサブウィンドウの表示データの生成が完了すると、地図および経路の表示データとを融合し、全体の表示データを生成して(ステップS390)、情報提示処理を終了する。
【0133】
以上で説明した実施例の経路案内システムによれば、簡易案内および街巡り案内では、経路案内システムが設定した経路をユーザに押しつける形ではなく、経路決定の自由をユーザに残した形での経路案内をすることができる。
【0134】
簡易案内では、経路案内システムは、ユーザが経路を決定するのに有用な情報を提示するだけであり、特定の経路を提示することはない。ユーザは、その時その時の自己の要望に基づいて、提示された情報を活用しながら自身で経路を決定することができる。街巡り案内でも、複数の経路を提示するものの、ユーザは、各経路の評価値を参照して、自己の要望に添った経路を自由に選択することができる。いずれの態様においても経路を決定するための案内情報がユーザに提示されるという点で共通する。簡易案内では、現在位置に比較的近い範囲内で案内表示が生成されるのに対し、街巡り案内では、この案内表示を生成する範囲を目的地に至るまでの広域に拡大した態様に相当するとも言える。
【0135】
このように本実施例では、ユーザに固定的な経路を提示しないという方法を採ることにより、逆に、ユーザの要望が不明確な場合や、要望が途中で変わった場合などにも、ユーザはその時点で自己の要望に最も適した経路を知ることができるという点で実用的な経路案内を達成することができる。
【0136】
実施例では、目的地が指定されている場合を例示したが、本実施例では、目的地が指定されていない場合にも適用可能である。このような経路案内は、例えば、駅を起点として、所定の出発時刻まで観光する状況などに利用することができる。簡易案内では、目的地と無関係に地物抽出エリアを設定可能であるため、本実施例の処理をほぼそのまま適用することが可能である。出発地から目的地までの経路探索を行う場合など、出発地と目的地とが一致していると支障が生じる処理では、経由地設定処理(図14)で設定される経由地を仮の目的地に設定して処理を行えばよい。
【0137】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、本実施例は、以上で説明した種々の処理を全て備えている必要はなく、一部の処理を省略しても差し支えない。本実施例は、歩行者を対象とした経路案内システムを例示したが、車両を対象としたシステムとして構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】実施例としての経路案内システムの構成を示す説明図である。
【図2】地図DB250の内容を例示する説明図である。
【図3】経路案内処理のフローチャートである。
【図4】簡易案内の処理例を示す説明図である。
【図5】簡易案内処理のフローチャートである。
【図6】抽出対象設定処理のフローチャートである。
【図7】地物抽出処理のフローチャートである。
【図8】情報提示処理のフローチャートである。
【図9】変形例としての地物抽出処理のフローチャートである。
【図10】通行可能エリアの設定例を示す説明図である。
【図11】通行可能エリア設定処理のフローチャートである。
【図12】街巡り案内の処理例を示す説明図である。
【図13】街巡り案内処理のフローチャートである。
【図14】経由地設定処理のフローチャートである。
【図15】経路探索処理のフローチャートである。
【図16】情報提示処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0139】
100…端末
110…主制御部
120…通信部
130…コマンド入力部
140…GPS
150…表示制御部
200…サーバ
210…主制御部
220…通信部
230…ノーマル案内部
232…簡易案内部
234…街巡り案内部
240…経路探索部
242…地図表示部
244…案内情報取得部
246…情報提示部
250…地図DB
251…リンクデータ
252…ノードデータ
253…地物データ
254…描画データ
260…ユーザDB
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を決定する際に活用できる情報をユーザに提供することで、経路決定をユーザに委ねつつ経路案内を行う経路案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両または歩行者用に、指定された出発地から目的地に至る最適な経路を探索、案内する経路案内システムが提案されている。経路案内システムは、通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照し、各リンクに付された評価値、即ちコストの総和が最小となる経路を探索する。探索される経路に対する種々の要望を指定可能な経路案内システムも提案されている。例えば、特許文献1は、歩行者を対象とした経路案内時に、最短経路、指定時間経路などの条件の他、好みの散策経路という探索条件も指定可能とするシステムを開示している。特許文献2は、車両を対象とした経路探索において、目的地までの所要時間に余裕がある場合に、食事や夜景などの寄り道を含めた経路をユーザに提示するシステムを開示している。特許文献3も同様に、寄り道に好適な景観の良い道路を経由する経路探索が可能なシステムを開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−286491号公報
【特許文献2】特開2003−139553号公報
【特許文献3】特開2003−185453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の経路案内システムは、上述のように目的地に至るまでの特定の経路をユーザに指定するものであった。一旦、経路案内が開始されると、ユーザは経路案内システムの指示された経路を盲目的に追随する状態となりがちであった。このような経路案内では、ユーザが経路を決定する自由が半ば失われた状態となっているため、システムの実用性を向上するためには、ユーザの要望にできる限り合った経路を提示することが要求され、そのために予めユーザの要望を細かく入力しておくことが要求される傾向にあった。しかし、経路探索に当り、経路に対する要望をこのように細かな指定が要求される状態では、経路案内システムの使い勝手が悪くなるという別の課題を招くことになる。
【0005】
また、ユーザの要望に合う経路探索を実現するとは言っても、ユーザの要望は当初から明確に定まっているとは限らないという課題もあった。例えば、観光地などの不慣れな場所では、ユーザは、最終目的地および到着希望時刻は決まっていても、その他は全く意図がないまま、経路探索を行うこともある。このような場合には、最終目的地まで最短経路で速やかに到着すればよいというものではない。ユーザには、時間の許す限り、様々な観光スポット等を見て歩きたいという要望があるからである。特許文献2,および3記載の技術は、寄り道経路を探索するものではあるが、ユーザの要望が明確となっていない状態では、ユーザの要望に十分に沿った経路を提示することはできないという課題があった。
【0006】
更に、仮に経路探索を行った当初は、要望事項がはっきりしていた場合であっても、経路を移動する途中で要望が変わる場合もある。例えば、当初は、ショッピング目的で経路探索を行ったが、その後、経路を移動する間に食事がしたくなることもある。従来の経路案内システムでは、要望が変わった場合には、改めて要望事項を指定して経路探索を再試行する必要があった。
【0007】
このように、従来の経路案内システムのように固定的な経路を提示するという前提では、ユーザの要望に十分に沿った経路を提示することには限界があった。本発明は、かかる課題を解決するため、ユーザに経路決定の自由を残した経路案内を行うことによって、ユーザが、その時その時の自己の要望に適合した経路を採ることが可能となる経路案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の経路案内システムの構成は、ユーザによる経路決定を支援するための情報をユーザに提供することで経路を案内する。経路案内システムは、スタンドアロンで稼働可能な構成としてもよいし、ネットワークで接続された端末と一つ以上のサーバからなる構成としてもよい。本発明の経路案内システムは、ユーザに提示される情報の内容および情報を提示するための処理に応じて、以下に示す3タイプに分類される。ただし、いずれの経路案内システムも、探索された特定の経路に沿ってユーザを案内するものではなく、ユーザが自身で経路を決定する際に有用となる情報を提示するという特徴を有している。本発明の経路案内システムは、このようにユーザ自身が経路を決定するため、経路に対する要望事項を細かく指定するまでもなく、その時その時のユーザの要望に柔軟に対処することが可能となる利点がある。もっとも、3タイプの経路案内システムは、排他的にしか成立し得ないものではなく、複数のタイプの機能を兼ね備えた経路案内システムとして構成することも可能である。
【0009】
第1の経路案内システムは、経路案内のために、案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを用いる。候補地としては、例えば、種々の店舗、公共施設、ランドマークその他の地物、名所その他の景観が良い観光スポットなどが挙げられる。経路案内システムは、また、ユーザの現在位置を取得し、現在位置に基づいてユーザが進行可能な通路、即ち現在位置を含む通路および現在位置に接続する通路を特定する。ユーザが交差点にいる場合には、複数の通路が特定されることになるし、分岐でない場所にいる場合には前方および後方のみが進行可能な通路となる。経路案内システムは、特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて、地図データベースから抽出する。そして、抽出された案内情報を各通路と関連づけてユーザに提示する。例えば、ユーザの現在位置付近の地図を表示するとともに、各通路付近に案内情報を表示する態様を採ることができる。ユーザの現在位置付近の通路名と案内情報のリストを表示する方法を採っても良い。
【0010】
第1の経路案内システムによれば、ユーザは自分が進行可能な各通路に対して、それぞれどのような候補地が存在するのかを知ることができる。従って、ユーザは、その時点において自分の要望に最も適した通路を自分で選択して進めばよい。第1の経路案内システムは、このような情報提示を行うことにより、ユーザの要望に柔軟に対応可能な経路案内を実現することができる。
【0011】
第1の経路案内システムにおいては、案内情報のジャンルに関する指定をユーザから受け付け可能としてもよい。ジャンルは一つだけを指定するようにしてもよいし、複数のジャンルを指定可能としてもよい。後者の場合には、優先順位を含めうるようにしてもよい。経路案内システムは、ジャンルに適合した案内情報を提示することができ、よりユーザの要望に添った情報を効率的に提示可能となる。ジャンルへの適否は、案内情報に格納された種別に基づいて判断する方法を採ることができる。例えば、案内情報の種別自体を「ジャンル」として利用してもよい。また、複数の種別を統合した「ジャンル」という項目を予め案内情報に含めるようにしてもよい。かかる態様としては、例えば、「和食レストラン」、「洋食レストラン」、「博多ラーメン」などの種別を付した店舗に対し、更に「レストラン」という「ジャンル」を付す態様が該当する。更に、案内情報とは別に、「種別」と「ジャンル」とを対応づけるジャンル定義テーブルを用意しておき、これを参照することで指定された「ジャンル」に対応する案内情報を抽出可能としてもよい。
【0012】
第1の経路案内システムは、案内情報を抽出するための抽出条件を自動的に設定可能としてもよい。自動設定の基礎データとして、例えば、ユーザの属性および案内を行う時間帯の少なくとも一方を用いることができる。ユーザの属性としては、例えば、性別、年齢、職業などが挙げられる。時間帯には、日付を含めても良い。これらの基礎データを利用することにより、例えば、「女子高生」が「放課後」の時間帯に経路案内を行っている場合には、「ファーストフード」、「カラオケ」、「ショッピング」、「図書館」などの候補地が要望されていると判断することができる。基礎データと、候補地とを予め対応づける行動パターンテーブルを別途用意しておいてもよい。更に、上述の基礎データに加えて、ショッピング街、観光地など、案内すべき地域の属性を用いてもよい。これらの態様によれば、ユーザが要望を入力するまでもなく、ユーザが活用可能な案内情報を効率的に提示することができ、システムの利便性を向上することができる。
【0013】
ユーザに対する情報の提示は、種々の方法で行うことができる。例えば、抽出された案内情報を直接リスト等の形で列挙して提示してもよい。また、抽出された案内情報に基づいて所定の評価指数を求め、これを提示してもよい。評価指数の算出方法は任意に決定可能であるが、例えば、進行可能な通路ごとに抽出された各案内情報に含まれる種別を活用して求めることができる。一例として、抽出された案内情報を、先に説明した「ジャンル」に分類し、ジャンルごとの案内情報の数を評価指数として用いても良い。それぞれの案内情報に対して、多数のユーザによる人気、話題性などを表す「人気指標」を設定し、ジャンルごとに人気指標を集計した値を評価指数として用いても良い。このように評価指数を用いた情報提示によれば、案内情報が多数存在する場合でも、提示される情報の内容がユーザに把握しやすくなる利点がある。
【0014】
第1の経路案内システムでは、所定の拘束条件に基づいてユーザの移動可能範囲を特定し、移動可能範囲内で案内情報を抽出してもよい。拘束条件としては、例えば、出発地または現在位置から所定の距離内という条件;指定した到着希望時刻までに目的地に到着可能であるという条件などを採ることができる。かかる態様によれば、ユーザは過度に遠回りをしたり、目的地への到着時刻に遅れるなどの心配をしたりすることなく、提示された情報を安心して活用し、経路を決定することが可能となる。
【0015】
第1の経路案内システムでは、案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、2点間の経路を探索する機能を備えても良い。この場合、経路案内システムは、現在位置から各候補地までの経路を探索し、その探索結果を反映させて案内情報の抽出を行うようにしてもよい。例えば、現在位置から一定範囲以上に遠い候補地については情報の提示を控えたり、現在位置から候補地までの距離や所要時間に応じて提示する案内情報をソートするなどの形で反映させることができる。こうすることで、ユーザがより活用しやすい形で情報を提示することが可能となる。
【0016】
第2の経路案内システムは、上述の経路探索機能を活用して情報を提供する。まず、第2の経路案内システムは、ユーザの出発地および目的地の指定を受け付け、出発地から目的地までの経路探索を行う。現在位置を出発地として用いても良い。ただし、第2の経路案内システムは、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で経路探索を行う。最適の経路は、ノード、リンクに付されたコストが最小となる経路を探索するダイクストラ法を用いて探索することができる。上述の経路探索は、ダイクストラ法を用いる際に、最小コストよりも所定値または所定比率で大きいコストまで許容して経路を選択することで実現することができる。こうして選択された経路は、目的地までの経路のうち、最適とは言えないまでも、ユーザが許容可能な範囲での遠回りを認めた経路となり、これらの経路が存在する範囲は、ユーザの移動可能範囲となる。第2の経路案内システムは、ユーザが、移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する。これらの情報提示を行うことで、ユーザは過度な遠回りを懸念することなく、自己の意思で任意に経路を選択することが可能となる。
【0017】
この情報提示は、例えば、移動可能範囲をはみ出す可能性がある通路に対しては、「×」など、ユーザの進入を抑止するための情報を提示する方法を採ることができる。また、情報を提示するタイミングとしては、これらの通路に進入する前に提示するようにしてもよいし、進入した時点で、ユーザに対して、その通路を進行すべきでないことを報知するための情報提示を行うようにしてもよい。
【0018】
情報提示の別の態様として、上述の移動可能範囲内で移動可能な通路に対してのみ「通行可能」であることを示す表示を行う方法を採ることもできる。例えば、このような通行可能な通路のみを青色で表示する態様が含まれる。この情報提示も、ユーザの移動に先立って提示するようにしてもよいし、ユーザが通行可能な通路から外れた時点で提示するようにしてもよい。
【0019】
第2の経路案内システムでは、ユーザの現在位置にかかわらず、全通路を対象として、上述の情報を提示するようにしてもよい。また、ユーザの現在位置に基づいて、ユーザが進行可能な通路、即ち現在位置を含む通路および現在位置に接続した通路を特定し、この通路を対象として情報を提示するようにしてもよい。前者の態様によれば、ユーザは広域図によって、移動可能範囲を広く把握することができる利点がある。後者の態様によれば、ユーザが最も必要としている部分についてに絞って効率的に情報の提示を行うことができる利点がある。更に、上述の情報は、それぞれの通路を対象として表示する態様に限られない。例えば、ユーザが、移動可能範囲をはみ出す方向に進行を始めた時点で、画面全体に大きく「×」を表示したり、警報音を発するなどの態様を採っても良い。
【0020】
第2の経路案内システムにおいて、経路探索の条件を緩和する範囲は、次の方法で設定してもよい。まず、経路案内システムは、ユーザの現在位置から目的地まで最適経路を通行した場合の目的地への到着予測時刻を求める。そして、到着予測時刻とユーザから指定された到着希望時刻との時間差に基づいて、探索時の条件を緩和する範囲を決定するのである。時間差と緩和範囲との関係は、予め実験等によって設定しておくことができる。この態様を採ることで、到着希望時刻に目的地に到着可能な条件下で移動可能範囲を設定することが可能となる。
【0021】
第2の経路案内システムでは、ユーザが通行済みの通路を通行履歴として保持可能としてもよい。こうすることで、ユーザが、通行済みの通路を避けて移動するように支援するための情報を提示することが可能となる。かかる情報提示には、例えば、既に通行済みの通路を対象として、「×」など進入を抑止するための情報を提示する態様や、通行していない通路を対象として、通行可能であることを示す表示を行う態様が含まれる。ユーザは、これらの情報を活用することにより、後戻りしたり、通行済みの通路を再度通行したりするという無駄な移動を避けることができる。
【0022】
第2の経路案内システムでは、案内開始後、所定のタイミングでユーザの現在位置から目的地に至る最適経路を探索可能とし、ユーザに対して、上述の情報提示と併せて、この最適経路を提示してもよい。こうすることで、ユーザは最適経路を意識しながら進行方向を決定することができる。最適経路の探索は、定期的に行うようにしてもよいし、交差点に着いた時点や、通行済みの通路をユーザが再度通行した時点など、ユーザの移動状態に基づいて定まるタイミングで行うようにしてもよい。通行済みの通路を再度通行した場合には、ユーザは道に迷っている可能性があるため、このタイミングで最適経路を提示することにより、経路案内システムの利便性を向上することができる。
【0023】
第2の経路案内システムは、案内開始後、所定のタイミングで、ユーザの現在位置を出発地として用いて移動可能範囲の再策定を実行するようにしてもよい。ユーザの移動速度が当初想定していた速度よりも遅い場合や、ユーザが途中で寄り道をした場合などには、当初策定された移動可能範囲内で移動していたとしても、目的地に到着希望時刻に到着できなくなることがある。このように、移動可能範囲は、ユーザが移動を開始した後の事情に応じて影響を受け得る。上記態様によれば、所定のタイミングで移動可能範囲を更新することができるため、ユーザは安心して経路を決定することが可能となる。
【0024】
第2の経路案内システムに対し、第1の経路案内システムで説明した情報提示を組み合わせてもよい。こうすることで、ユーザには案内情報、評価指標などを提示することができ、より要望に合った経路をユーザが選択可能となる利点がある。
【0025】
第3の経路案内システムは、ユーザが指定した出発地から目的地に至る経路を探索するとともに、この経路を対象として次の方法で求めた評価結果をユーザに提示する。まず、経路案内システムは、探索された経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出し、各案内情報を用いて評価指数を求める。案内情報の抽出および評価指数の算出には、第1の経路案内システムと同様の方法を採ることができる。これによって、内情報の種別やジャンルごとに評価指数が求められる。経路案内システムは、この評価指数をそのまま評価結果として提示してもよいし、評価指数のうち、最も高い種別やジャンルを示すようにしてもよい。また、「ショッピング街」など、評価指数が高い種別やジャンルを表す概括名称を設定し、この名称を情報提示するようにしてもよい。これらの方法により、ユーザは提示された経路が自分の要望に合っているか否かを容易に判断することができ、その経路を選択するか否かを容易に決定することが可能となる。
【0026】
第3の経路案内システムは、経由地の異なる複数の経路を探索可能とし、それぞれの経路を対象として評価指数を提示してもよい。こうすることで、ユーザは提示された経路の中から自分の要望に最も適した経路を容易に選択することが可能となる。
【0027】
第3の経路案内システムは、経路ごとに、複数通りの評価結果を提示してもよい。例えば、「ショッピング街」、「ビジネス街」などの複数種類の概括名称を並列的に提示してもよい。また、概括名称と、評価指数を並列的に提示してもよい。こうすることで、ユーザは、経路の特徴を多面的に把握可能となる。
【0028】
第3の経路案内システムは、経路ごとに、種別との関連が異なる複数種類の評価結果を求めるとともに、所定の規則に基づいて評価結果同士の優劣を設定し、優劣に応じて、それぞれの評価結果の提示態様を変化させてもよい。例えば、各経路について、先に説明した複数のジャンルに対する評価指数を求め、この評価指数に基づいてジャンルの優劣を設定し、この優劣に応じて各ジャンルの提示態様を変化させる方法を採ることができる。例えば、最も優位の評価結果の視認性を高める表示をすることができる。より具体的には、高輝度での表示、赤など視認性の高い色での表示、太字やサイズの大きい文字での表示などを行うことができる。また、最も優位な評価結果のみ、または最も優位なものから所定順位内の評価結果のみを選択して表示する方法を採っても良い。
【0029】
第3の経路案内システムで提示される情報は、案内開始後、所定のタイミングで更新してもよい。つまり、経路案内システムは、各経路についてユーザが未通行の部分に対応づけられた案内情報を求め、こうして求められた案内情報を反映して情報を提示してもよい。未通行の部分に対応づけた案内情報は、ユーザの現在位置や従前の通行履歴に基づいて求めることができる。未通行部分の案内情報を改めて抽出する方法を採っても良いし、案内開始前に抽出された案内情報から通行済み部分に対応づけられた案内情報を削除する方法を採っても良い。
【0030】
一般にそれぞれの経路には、店舗、オフィスなど種々の地物が分布している。従って、例えば、店舗が多数存在する「ショッピング街」と評価された経路であっても、このように店舗が多数存在する区域をユーザが通過した後、その先の経路には店舗はほとんど存在せず「ショッピング街」とは評価し得なくなる場合もある。上述の態様では、ユーザの現在位置または通行履歴に基づいて、経路に対する評価結果を更新するため、ユーザは、案内開始前の初期の評価結果に惑わされず、これから通行すべき経路を決定することが可能となる。
【0031】
上述の経路探索において、経由地は、ユーザが指定してもよいが、経路案内システムが次の方法で自動的に設定可能としてもよい。まず、経路案内システムは、出発地から目的地に至るまでに通過すべき経由地となるべき候補地を地図データベースから所定の条件に従って抽出する。この抽出には、例えば、案内情報と同じ条件を用いることができる。また、案内情報に、先に説明した「人気指標」が付されている場合には、人気指標が上位所定範囲内の候補地を抽出するようにしてもよい。経路案内システムは、こうして抽出された経由地の少なくとも一部を経由する経路を探索すればよい。経路探索時には、抽出された経由地の全部を通過する経路を探索するようにしてもよい。また、所要時間または距離が所定範囲内という条件で、一つの経路探索に用いる経由地を絞り込んでもよい。出発地と目的地とを結ぶ直線に対して右側に属する経由地、左側に属する経由地のように、予め経由地をグループ化し、各グループに対して経由地を通る経路探索を行うようにしてもよい。
【0032】
本発明として説明した上述の3タイプの経路案内システムは、冒頭で述べた通り、必ずしも排他的なシステムとして構成する必要はない。複数タイプの経路案内システムの特徴を兼ね備えたシステムとして構成することもできる。また、各タイプの経路案内システムにおいて述べた特徴は全てを備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり組み合わせたりして適用可能である。本発明は、上述した経路案内システムとしての機能をコンピュータによって提供する経路案内方法として構成してもよいし、これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムとして構成することもできる。更に、このコンピュータプログラムを記録した記録媒体、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体として構成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.経路案内処理:
C.簡易案内処理:
C1.抽出対象設定処理:
C2.地物抽出処理:
C3.情報提示処理:
C4.変形例(1):
C5.変形例(2):
D.街巡り案内処理:
D1.経由地設定処理:
D2.経路探索処理:
D3.情報提示処理:
【0034】
A.システム構成:
図1は実施例としての経路案内システムの構成を示す説明図である。本実施例では、歩行者用の経路案内システムとしての構成例を示すが、車両用の経路案内システムとして構成することもできる。経路案内システムは、携帯電話を利用した端末100とサーバ200とをネットワークINTで接続して構成されている。ネットワークINTは無線通信を利用したネットワークであり、LANやイントラネットのように限定的なものであってもよいし、インターネットのように広域的なものであってもよい。端末100は、携帯電話の他、いわゆる車両用のナビゲーション装置やPDA、ネットワーク通信機能を有するパーソナルコンピュータなどを利用することができる。歩行者用の経路案内システムとして構成する場合、車両用のナビゲーション装置は、車両から取り外して携帯可能としておくことが望ましい。
【0035】
端末100は、ユーザの操作に応じて、経路探索および経路案内に必要な指示をサーバ200に送信するための機能を奏する。図中には、端末100の機能ブロックを併せて示した。端末100は、CPU、RAM、ROMを備えたマイクロコンピュータを制御装置として内蔵しており、このCPUはROMに記憶されたソフトウェアを実行することで、図示する各機能ブロックを構成する。これらの機能ブロックは、このようにソフトウェア的に構成する他、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0036】
通信部120は、ネットワークINTを介してサーバ200と通信する機能を奏する。GPS140は、全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、端末100の現在位置の緯度、経度を検出する。コマンド入力部130は、スイッチ等に対するユーザ操作に基づいて、経路探索や経路案内に関するコマンドを入力する。コマンドとしては、図示した通り、経路探索の目的地の指定や、経路案内のモードによっては案内経路の選択などが挙げられる。表示制御部150は、端末100のディスプレイに、これらのコマンド入力用のメニューを表示したり、サーバ200から受信した経路案内データに基づいて地図を表示させたりする。主制御部110は、上述した各機能ブロックを統括制御することで、端末100の全体機能を制御する。
【0037】
サーバ200は、端末100からのコマンドに基づいて、種々のデータベースを参照しながら、経路探索を行ったり、経路案内を行ったりする。図中には、これらの機能を実現するための機能ブロックおよびデータベースの例を示した。各機能ブロックは、サーバ200のCPUが実行するコンピュータプログラムによって、ソフトウェア的に構成されるが、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0038】
サーバ200が利用するデータベースは地図DB250およびユーザDB260である。地図DB250は、通路を表すリンクデータ251およびノードデータ252(以下、両者を「ネットワークデータ」と総称することもある。)、地図描画用のポリゴンや文字データからなる描画データ254、並びに地物データ253を有している。地物データ253には、経路案内時にユーザに提供する情報を生成するために参照等されるデータであり、種々の店舗、公共施設、ランドマークその他の地物、名所その他の景観が良い観光スポットなどについて、種別、位置その他の情報を格納するデータベースである。地図DB250のデータ構造については、後で改めて例示する。
【0039】
ユーザDB260は、ユーザID、氏名などの書誌的な登録情報と共に、ユーザの性別、住所、年齢などの属性、および探索条件などを記録している。探索条件としては、例えば、距離優先、時間優先などの探索モードに関する条件や、階段や上り坂を回避する経路を優先するなど経路に対する要望事項に関する条件が含まれる。
【0040】
通信部220は、端末100とのネットワークINT経由での通信を制御する。主制御部210は、端末100からの指示に従って、ユーザDB260を管理する機能を奏する。また、主制御部210は、図示する各機能ブロックを統合制御して、以下に示す経路探索および経路案内を実現する。本実施例では、「ノーマル案内」、「簡易案内」、「街巡り案内」の3つのモードを設けた。「ノーマル案内」とはノーマル案内部230によって実現されるモードであり、ユーザが指定した出発地から目的地に至る経路を探索し、探索された経路に沿って移動するようユーザを案内するモードである。「簡易案内」とは簡易案内部232によって実現されるモードであり、交差点などでユーザが進行可能な各通路を対象として、それぞれどのような地物が存在するのかを示す情報を提示することで、ユーザに経路決定の自由を残した経路案内を行うモードである。「街巡り案内」とは街巡り案内部234によって実現されるモードであり、ユーザから指定された出発地から目的地に至る複数の経路を提示し、ショッピング向け、観光向けなどの各経路の特性を表す評価結果を提示するモードである。
【0041】
経路探索部240は、ノーマル案内部230および街巡り案内部234からの指示によって経路探索を行う際には、地図DB250を参照して、指定された2地点間の経路をダイクストラ法によって探索する機能を奏する。ダイクストラ法は、ノード、リンクに付されたコストが最小となる経路を探索する周知の探索方法である。簡易案内部232からの指示によって経路探索を行う場合には、最小よりも所定の範囲コストが大きくなる場合を許容して経路探索を実行する。
【0042】
地図表示部242は、探索された経路を地図上に表示して案内するための経路案内データを生成し、端末100に送信する。上述の通り、経路探索は、種々の探索条件に基づいて行われている。地図表示部242は、これらの条件を反映した案内表示を実現する。表示例については後で示す。
【0043】
案内情報取得部244は、地物データ253から経路案内に用いる案内情報を抽出して簡易案内部232、街巡り案内部234に提供する。案内情報の抽出時にはユーザDB260に格納されたユーザの属性等を利用することもある。また、抽出した情報をそのまま提供することもあれば、情報提示部246によって端末100に表示可能な画像データの形式に加工して提供することもある。
【0044】
図2は地図DB250の内容を例示する説明図である。図の左上に示した地図を例にとってデータ構造について説明する。この地図には、図示する通り、海岸付近に、リンクL1〜L5で示される道路が存在している。道路周辺には、デパートB1、遊園地B2、景観が良い観光スポットB3などが存在している。
【0045】
リンクデータ251は、リンクID、リンクの形状、および種別、距離、地物などの属性を格納する。「リンクID」とは、各リンクの識別情報である。形状は、リンクが通過する点列を示している。図中の例では、リンクL1は、ノードN1、N2を結んでいるため、「形状」には「N1、N2」というノードIDが格納されている。ノード以外の点も通る場合には、緯度、経度など通過点の座標値を格納しておいてもよい。「種別」は国道、県道など道路の種類を表している。「距離」はリンクの距離である。「地物」は、リンク周辺に存在する地物、景観スポット等を表す地物IDを登録している。図の例では、リンクL1の周辺には建物B1が存在するため、「地物」欄にはB1という地物IDが格納されている。「地物」欄には複数の地物を格納可能である。本実施例では、「地物」欄には、建物B1やランドマークB2のような地物の他、観光スポットB3のような名所等も同様の形式で格納する。
【0046】
ノードデータ252は、ノードID、位置、規制、地物などの各情報を格納する。「ノードID」は各ノードの識別情報である。「位置」は、緯度、経度などノードの座標値を格納する。「規制」は右左折禁止など、ノードの通行規制を格納する。図の例では規制は特に格納されていない状態を表している。「地物」は、ノード周辺に位置する地物、景観スポット等を表す地物IDを登録している。図の例では、かかる地物IDは登録されていない状態を表している。
【0047】
地物データ253は、地物ID、種別、名称、評価、位置、リンク、設備などの情報を格納する。「地物ID」は地物、景観スポットなどを表す識別情報である。「種別」は、店舗、レストランなど地物の種類を表す情報や、海辺、川沿いなど景観を表す情報を格納する。「名称」は地物や景観スポットなどの固有名詞である。「評価」は、人気や推奨度などを表す指標である。本実施例では、5段階で評価するものとした。「評価」は、例えば、ユーザが当該地物、景観スポットを目的地として指定した頻度などに基づいて設定することが可能である。「位置」は、地物、景観スポットの座標値である。図の例では、(緯度、経度)の形で座標値が登録されている状態を例示した。
【0048】
「リンク」は、地物、景観スポットが関連づけられているリンクおよびノードの識別情報を格納する。図の例では、建物B1はリンクL1の周辺に位置するため、L1という識別情報が格納されている。「リンク」を用いることにより、建物B1が位置するリンク、ノードの情報を参照することが可能となる。逆に、リンクデータ251に格納された「地物」情報を用いることにより、リンクデータ251から地物データ253を参照することが可能となる。このように、本実施例では、地物データ253と、リンクデータ251、ノードデータ252は、相互に参照可能となっている。
【0049】
「設備」には、地物、景観スポットが有する設備に関する情報を格納している。図の例では、建物B1内には、レストラン、トイレ、ATM、空調が備えられていることが分かる。「設備」情報は、地物、景観スポットが、ユーザの要望に合う場所か否かを判断するのに活用することができる。
【0050】
リンクデータ251、ノードデータ252、地物データ253のデータ構造は、図示した例に限らず、種々の情報を追加してもよいし、図示した情報の一部を省略しても良い。データ形式も種々の設定が可能である。
【0051】
B.経路案内処理:
図3は経路案内処理のフローチャートである。先に図1で説明した通り、本実施例では、「ノーマル案内」、「簡易案内」、「街巡り案内」という3つのモードで経路探索、案内を実行することができる。図3に示したのは、図1の主制御部210の機能が実行するメインルーチンに相当する処理であり、ハードウェア的にはサーバ200のCPUが実行する処理である。
【0052】
この処理では、CPUは端末100から目的地、到着希望時刻を入力する(ステップS10)。端末100の現在位置を目的地として使用してもよい。CPUは、また、案内モードの指定を入力する(ステップS12)。図中に案内モードを指定するためのインタフェース画面例DISPを示した。これは、端末100に表示される画面を表している。図示する通り、ノーマルモード、簡易モード、街巡りモードという3つの案内モードが列挙され、ユーザはポインティングデバイス等を用いていずれかを選択することができる。図の例は、白黒反転している「簡易モード」が選択された状態を表している。
【0053】
CPUは、こうして指定された案内モードに応じた処理をそれぞれ実行する。ノーマルモードが指定されている時は(ステップS14)、出発地の指定、距離優先/時間優先などの探索モードの指定、階段や上り坂回避など経路に対する要望事項を含む経路探索条件を入力する(ステップS16)。図示した以外の条件を指定可能としてもよい。CPUは、指定された条件に従って、出発地から目的地に至る経路を探索して(ステップS18)、探索された経路を誘導する処理を実行する(ステップS20)。経路誘導は、例えば、端末100の画面上にユーザの現在位置近傍の地図、現在位置を示すシンボル、ユーザが進むべき経路を表示する方法で行うことができる。
【0054】
簡易モードが指定されている時は(ステップS14)、簡易案内処理を実行する(ステップS100)。簡易案内とは、図示するように、ユーザの現在位置近傍の地図を表示し、ユーザが進行可能な通路ごとに、どのような地物、景観スポットがあるかの情報を提示する案内を言う。ユーザが進むべき経路は指定されない。簡易案内処理の内容は後述する。
【0055】
街巡りモードが指定されている時は(ステップS14)、街巡り案内処理を実行する(ステップS300)。街巡り案内とは、図示するように、経由地の異なる複数の経路をユーザに提示するとともに、ユーザの経路選択を容易にするために、それぞれの経路を対象として、レストラン、ショップなどのジャンルに応じた評価値を提示する案内である。街巡り案内処理の内容は後述する。
【0056】
C.簡易案内処理:
図4は簡易案内の処理例を示す説明図である。図4(a)に示す地図を例にとって処理例を説明する。図中の黒く塗りつぶした四角R1、R2等はレストランを表しており、黒丸S1〜S3等はショップを表しており、白抜きの三角LM1〜LM3等は名所、景観スポットを表しているものとする。
【0057】
簡易案内では、ユーザの現在位置PPを中心として半径R、角度θの円弧状の領域(以下、「地物抽出エリア」と称する。)が設定され、案内情報の生成対象として、この中に存在する地物が抽出される。図の例は、前方の通路についての地物抽出エリアを示しており、この中にあるレストランR1、ショップS1〜S3が抽出されることになる。
【0058】
図4(b)は簡易案内の表示画面例を示している。ユーザPPの現在位置周辺の地図が表示され、前方および左側の通路には、それぞれサブウィンドウWb1,Wb2が表示される。サブウィンドウWb1には前方の通路に対する案内情報が表示される。前方の通路に対しては、図4(a)で示した方法で抽出されたレストランR1、ショップS1〜S3という地物が存在する旨の案内情報ことを表している。また、これらの地物に至るまでの所要時間も併せて表示される。
【0059】
サブウィンドウWb2に対しても同様の処理で設定された案内情報が表示される。図示を省略したが、左側の通路を含む円弧状の地物抽出エリアが設定され、その中にある地物、景観スポットが表示対象として抽出される。そして、サブウィンドウWb2内に、抽出された地物、景観スポットが表示される。図の例では、左側の通路方向は川沿いの景観スポットとなっており、名所LM1、レストランR2などがあることを表している。これらの地物等への所要時間も併せて表示される。また、地物抽出エリア内に何ら地物および景観スポットが存在しない場合には、図の例で、右側の通路に示したようにサブウィンドウに変えて「?」など情報が存在しないことを示唆するシンボルが表示される。このように、簡易案内では、ユーザが通行可能な各通路に対応づけて、その通路方向にどのような地物、景観スポットがあるのかを表すサブウィンドウが表示される。
【0060】
図4(c)は簡易案内の別の表示画面例を示している。図4(c)では、サブウィンドウWc1,Wc2に表示される。サブウィンドウWc1の中には、前方の通路方向に対し、レストラン、ショップ、観光というジャンルに関し、それぞれの評価値がグラフで示されている。これらの評価値は、前方の通路に対応する地物抽出エリア内に存在する地物、景観スポットの数に基づいて求められる。サブウィンドウWc2には、同様に左側の通路に対する評価値が表示される。
【0061】
本実施例では、図4(b)、図4(c)の画面を選択可能とした。図4(b)の画面は、具体的な地物名等が表示されるため、ユーザはそれぞれの具体的な地物等に着目して、いずれの通路に進むかを決定することができる。図4(c)の画面は、評価値で表示されるため、ユーザ等は具体的な地物名等を知ることはできないが、通路周辺に多数の地物等が存在する場合に提供される情報を簡素化することができ、ユーザは各通路の特徴を概括的に把握することが可能となる。図4(c)の画面は、「食事がしたい」とか「ショッピングがしたい」というように漠然とした目的が定まっているだけで具体的な地物名が特定されていない状況において有用性が高い情報を提示することができる。
【0062】
図5は簡易案内処理のフローチャートである。図3のステップS100に相当する処理であり、簡易案内部232(図1)の機能に相当する処理である。CPUは、まず端末100からユーザの現在位置を入力し(ステップS110)、ユーザが交差点にいるか否かを判断する(ステップS112)。交差点でない場合には、ユーザの進行方向には分岐がなく、新たな進行方向についての案内情報を提示する必要はないと判断されるため、CPUは従前の画面表示を継続する(ステップS180)。CPUは画面表示と併せて、簡易案内処理の過程で、取得した現在位置またはユーザが通行したリンクの履歴を保持しておく。
【0063】
交差点にいる場合には、新たな案内情報を生成するための処理を実行する。CPUは、まず、ユーザの現在位置PPを基準として、地物抽出エリアを設定する(ステップS114)。図中に地物抽出エリアの設置方法を併せて示した。現在位置PPの周りには、リンクL1、L2、L3という3本の通路が存在するものとする。リンクL1に対応する地物抽出エリアαは、リンクL1を含み左右に広がる半径Rの円弧状の領域である。左右の広がり角度θL、θRは、隣接するリンクとのなす角度の半分である。つまり、角度θLはリンクL1とリンクL2のなす角の半分であり、角度θRはリンクL1とリンクL3のなす角の半分である。リンクL2、L3についても同様の方法で地物抽出エリアを設定する。
【0064】
半径Rは種々の方法で設定可能である。半径Rを大きくすれば、地物抽出領域αが広くなり、非常に遠方の地物等に基づいて案内情報が生成される結果となる可能性があるため、前方の通路に対する案内として違和感を生じさせるおそれがある。一方、半径Rを小さくすれば、地物抽出領域αが狭くなり、ほとんど地物等が抽出されなくなって、十分な情報を提示することができなくなるおそれがある。半径Rは、これらのバランスを考慮して、設定すればよい。例えば、予め設定された固定値としてもよいし、ユーザが所定時間内に移動可能な距離としてもよい。また、地物等の密度に応じて可変としてもよい。
【0065】
次にCPUは、抽出対象設定処理を行う(ステップS120)。地物抽出エリア内には、多種多様な地物、景観スポットが存在するが、これらの全てに関する情報がユーザにとって有用とは限らない。抽出対象設定処理は、ユーザに有用な情報を提供するために、抽出対象となる地物、景観スポットの絞り込みを行う処理である。具体的な処理方法は後述するが、この処理によって、例えば、レストラン、ショップ、観光など、抽出対象となるべき地物のジャンルが決定される。
【0066】
CPUはこうして決定されたジャンルに従って、地物抽出処理を実行し、地物、景観スポットの位置等を地物データ253から抽出する(ステップS140)。そして、抽出された情報をユーザに提示するための情報提示処理を実行する(ステップS160)。これは先に図4(b)、図4(c)で示した画面表示を行うための表示データを生成する処理である。地物抽出処理および情報提示処理の内容は後述する。CPUはこうして生成された表示データを端末100に送信し、案内用の画面表示を行う(ステップS180)。CPUは以上の処理を、ユーザが目的地に到着するまで(ステップS182)、繰り返し実行する。
【0067】
C1.抽出対象設定処理:
図6は抽出対象設定処理のフローチャートである。図5のステップS120に相当する処理であり、案内情報取得部244(図1)の機能に相当する。抽出対象設定処理では、「デフォルト」、「ユーザ設定」、「自動」という3つの抽出モードのいずれかをユーザが選択し、選択された抽出モードで案内表示の対象として抽出すべき地物、景観スポットを絞り込む。
【0068】
ユーザは端末100を操作することで、サーバ200に対して上述した3つの抽出モードの新たな指定および従前の指定の変更を行うことができる。CPUは端末100からの信号を受信し、抽出モードの変更が指定されていない場合には(ステップS121)、新たに抽出対象を設定する必要はないと判断し、そのまま抽出対象設定処理を終了する。この処理が初めて実行される場合における抽出モードの新規設定は、抽出モードの変更と同義として扱うものとした。
【0069】
抽出モードの変更が指定されている場合(ステップS121)、CPUは指定された抽出モードに応じて、それぞれの処理を実行する。「デフォルト」が指定されている時は(ステップS122)、CPUは予め用意されていた固定のジャンルを抽出対象として設定する(ステップS123)。図中には、「レストラン、ショッピング、観光」が抽出対象として設定されている例を示した。この抽出対象は、全ユーザに共通のジャンルを用いるものとしてもよいし、ユーザDB260に予め登録されたユーザ固有のジャンルを用いるものとしてもよい。
【0070】
「ユーザ設定」が指定されている場合(ステップS122)、CPUはユーザによる抽出対象の指定を入力する(ステップS124)。図中に端末100に表示されるインタフェース画面例を示した。この例では、「レストラン、ショッピング、観光」などのジャンルがリスト表示され、ユーザがチェックを付すことで抽出対象を設定可能となっている。インタフェースは、かかるタイプに限らず任意に設定可能である。
【0071】
「自動」が指定されている場合(ステップS122)、CPUはユーザの属性等に応じて以下の手順で抽出対象を自動設定する。自動設定に使う基礎データとして、CPUはまずユーザDB260からユーザの属性を読込み(ステップS125)、また、現在位置、日時を入力する(ステップS126)。そして、CPUは、これらの情報に基づき行動パターンテーブルを参照して(ステップS127)、行動パターンを決定する。
【0072】
図中に行動パターンテーブルの例を示した。行動パターンテーブルとは、性別、年齢、日時、住所から現在地の距離などの基礎データに基づき、その人がその時点で採っていると想定される行動パターンを対応づけるテーブルである。例えば、「学生」と判断される年齢で、「平日」、「朝」、かつ「住所から所要時間1時間程度の範囲内の距離」にいるという基礎データに対しては、「通勤・通学」という行動パターンを割り当てることができる。行動パターンは複数割り当てても構わない。
【0073】
CPUは決定された行動パターンに基づいて抽出対象を設定する(ステップS128)。図中に設定例を示した。この例では、通勤・通学中にユーザが要望する案内情報のジャンルとして、「レストラン、ショッピング、プレイスポット」が割り当てられている。このような設定では、例えば、通勤・通学のユーザに対しては、「観光」に関する案内情報は抽出対象から除外されることになる。通勤・通学のユーザは、観光に関する案内情報を要望してはいないと考えられるため、無用な案内情報の提示を避けることができる利点がある。
【0074】
本実施例では、上述のように行動パターンテーブルを介して、抽出対象を設定する方法を採ったが、基礎データに対して直接、抽出対象を割り当てる方法を採っても良い。また、基礎データは、ここで例示した項目に限定される訳ではなく、一部を省略してもよいし、他の項目を加えても良い。
【0075】
C2.地物抽出処理:
図7は地物抽出処理のフローチャートである。図5のステップS140に相当する処理であり、案内情報取得部244(図1)の機能に相当する。この処理では、CPUは抽出対象設定処理(図6)における抽出対象の設定結果を読込み(ステップS141)、これに該当する地物、景観スポットを抽出する。
【0076】
本実施例では、現在位置からユーザが進行可能なリンク単位で案内情報を提示することから、地物等の抽出もリンク単位で行う。CPUは現在位置の周囲にあるリンクから、処理対象となるリンクを選択し(ステップS142)、そのリンクに対する地物抽出エリアを読み込む(ステップS143)。地物抽出エリアは、簡易案内処理(図5)のステップS114で設定済みである。
【0077】
次に、CPUは、地物抽出エリア内で、抽出対象に該当する地物等を抽出し(ステップS144)、抽出結果を格納する(ステップS145)。図の右上に、地物等の抽出処理の例を示した。図示する通り、リンクL1に対して地物抽出エリアαが設定されているとする。抽出対象のジャンルが、「レストラン、ショッピング、観光」であったとすれば、CPUは地物抽出エリアα内の「レストランRa、Rb、ショップSa、ランドマークLMa」を抽出する。抽出対象として「レストラン」のみが指定されている場合には、地物抽出エリアα内の「レストランRa、Rb」のみが抽出され、ショップSa、ランドマークLMaは抽出されないことになる。
【0078】
それぞれの地物等が抽出対象に該当するか否かは、地物データ253に格納された種別に基づいて判断することができる。例えば、「レストラン」というジャンルが指定されている場合には、「和食レストラン」、「洋食レストラン」、「博多ラーメン」などの種別が該当する。本実施例では、「種別」と「ジャンル」とを対応づけるジャンル定義テーブルを用意しておき、CPUが、ジャンル定義テーブルを参照することで指定された「ジャンル」に対応する種別を特定可能とした。かかる方法に限らず、例えば、地物データ253に対して、種別とは別にこれらの「ジャンル」を付すようにしてもよいし、種別自体をジャンルとして用いるようにしても良い。
【0079】
こうして地物等を抽出すると、CPUは所定のメモリ領域に結果を格納する(ステップS145)。CPUは以上の処理を全リンクについて終了するまで繰り返し(ステップS146)、地物抽出処理を終了する。
【0080】
本実施例では、図の右下の格納結果TABに示すように、処理対象となったリンクと、抽出された地物等とを対応づけてテーブル形式で格納する。こうすることで、後述する情報提示処理において、各リンクに対応する地物等の情報を容易に利用することができる。格納結果TABには、地物IDを格納すれば足りるが、情報提示処理で利用する情報、例えば地物の位置や種別、名称などを直接格納するようにしてもよい。
【0081】
C3.情報提示処理:
図8は情報提示処理のフローチャートである。図5のステップS160に相当する処理であり、情報提示部240(図1)の機能に相当する。本実施例では、先に図4(b)に示した情報提示(以下、「リストモード」と称する)と、図4(c)に示した情報提示(以下、「グラフィックモード」と称する)の2つの提示モードによって、情報を提示するものとした。提示モードは、ユーザが端末100を操作することで、指定可能であり、案内途中で変更することも可能である。
【0082】
CPUはまず地物抽出結果(図7右下)を読み込む(ステップS161)。そして、端末100から提示モードの変更が指示されている場合には(ステップS162)、新たな提示モードの指定を入力する(ステップS163)。提示モードの新規指定は、変更と同じ扱いとした。
【0083】
先に図4(b)、図4(c)で示した通り、案内情報は、通行可能なリンクに対応づけて表示されるため、情報提示処理では、以下の手順で、CPUが処理対象リンクを選択し(ステップS164)、リンク単位でサブウィンドウの表示データを生成する。
【0084】
CPUは、ユーザが通過済みのリンクを選択した場合には(ステップS165)、通過済みマークを表示するデータを生成し(ステップS172)、次のリンクの処理に移行する(ステップS173)。通行済みであるか否かは、ユーザの通行履歴を確認することにより判断可能である。
【0085】
通行済みでないリンクを選択した場合には、指定された提示モードに応じて案内情報を提示するためのサブウィンドウの表示データを生成する。「リストモード」が指定されている時は(ステップS166)、CPUは地物抽出結果に格納された各地物等について、現在位置から地物等までの所要時間を算出する(ステップS167)。所要時間は、現在位置を出発地とし、地物等を目的地とする経路探索によって求めても良いし、直線距離に基づいて簡易的に求めても良い。
【0086】
そして、CPUは次に抽出された地物を、評価を第1キー、所要時間を第2キーとしてソートし(ステップS168)、ソート結果に従ってサブウィンドウを表示するためのリスト表示データを生成する(ステップS169)。評価とは、人気や推奨度などを表す指標であり、地物データ253(図2)に格納されたデータである。上述のソートによれば、評価が高く、現在位置から近い地物等の情報が優先的に表示されることになる。ソートに用いるキーは、上述の例に限らず、種々の設定が可能である。
【0087】
「グラフィックモード」が指定されている場合(ステップS166)、CPUはジャンル毎に各地物等の地物データ253に格納された評価を集計し(ステップS170)、その結果をグラフィックス表示するための表示データを生成する(ステップS171)。本実施例では、単に総和を求めるものとしたが、現在位置から地物までの距離に応じて重みを変えるようにしてもよい。ジャンル毎の総和とは、例えば、地物抽出対象として「レストラン」、「ショッピング」が指定されている場合には、「レストラン」に該当する地物等の評価の集計と、「ショッピング」に該当する地物等の評価の集計とを個別に行うことを意味する。
【0088】
CPUは以上の処理(ステップS164〜S172)を、全リンクについて実行する(ステップS173)。その後、現在位置周辺の地図と合成をして、端末100に案内画面を表示するための表示データを生成して(ステップS174)、情報提示処理を終了する。
【0089】
以上で説明した簡易案内によれば、ユーザは自分が進行可能な各通路に対して、それぞれどのような地物、景観スポットが存在するのかを知ることができる。従って、ユーザは、その時点において自分の要望に最も適した通路を自分で選択して進むことが可能となる。簡易案内では、特定の経路をユーザに提示せず、案内情報の提示のみに留めることにより、ユーザに経路決定の自由を留保することができ、ユーザの要望に柔軟に対応可能な経路案内を実現することができる。
【0090】
C4.変形例(1):
図9は変形例としての地物抽出処理のフローチャートである。図8の処理に代わる処理である。変形例では、各地物等から目的地までの所要時間を考慮して地物等の抽出を行う。
【0091】
この処理では、実施例(図7)と同様、CPUは抽出対象設定結果を読込む(ステップS141A)。その後、処理対象リンクを選択して(ステップS142A)、選択されたリンクに対応する地物抽出エリアを読込み(ステップS143A)、地物抽出エリア内で抽出対象に該当する地物を抽出する(ステップS144A)。
【0092】
次に、CPUは、抽出された各地物等を経由した場合の目的地到着の予想時刻を算出する(ステップS150)。この予想時刻は、各地物等を経由地とする経路探索によって求めることもできるが、図示する方法で簡易に求めてもよい。CPUは予想時刻の算出対象となる地物等S1と現在位置PPとの直線距離d1、および目的地Gとの直線距離d2を算出する。そして、次式で道のりを求め、道のりを平均移動速度で除することで所要時間、ひいては目的地到着の予想時刻を算出する。
道のり=(d1+d2)×Cd;
ここで、Cdは、「道のり/直線距離」の平均値である。Cdは案内対象となる領域においていくつかの地物等をサンプルとして選択して求めればよい。Cdの値は固定値としてもよいし、現在位置PPと目的地Gとの直線距離や、この直線距離と(d1+d2)との比の関数としてもよい。
【0093】
CPUは、こうして算出された予想時刻に基づき、到着希望時刻までに目的地に到着可能か否かを判断し、到着可能な地物等を、抽出結果として格納する(ステップS151)。結果の格納方法は、実施例(図7)と同様の方法を採ることができる。以上の処理をCPUは全リンクに対して実行する(ステップS152)。変形例の地物抽出処理によれば、目的地に到着希望時刻までに到着可能な範囲で案内情報が提示されるため、ユーザは提示された案内情報に従って、安心して経路を決定することができる利点がある。
【0094】
C5.変形例(2):
実施例では、案内対象となる全領域について地物等の抽出を行う例を示した。これに対し、ユーザが最終的な目的地Gを指定している場合には、過度な遠回りを避ける範囲で案内情報を提示するようにしてもよい。かかる処理について変形例(2)で説明する。
【0095】
図10は通行可能エリアの設定例を示す説明図である。通行可能エリアとは、図10(a)のハッチングを施していない領域に相当し、ユーザが現在位置PPから目的地Gに向かう際に過度に遠回りとならない範囲を意味する。図10(a)の例では、図中に太い矢印で示す経路が目的地に向かう最短経路ROUである。通行可能エリアは、この最短経路ROUを基準として求められる。ハッチングを施した領域PA内の地点を経由する場合には、経路の道のりまたは目的地までの所要時間が、最短経路ROUよりも過度に大きくなることから、通行可能エリア外と判断されるのである。通行可能エリアの設定処理については後述する。
【0096】
図10(a)に示す通り、ユーザの現在位置PPでは直進および左側方向の通路は、通行可能エリア内にあり、右側の通路は通行可能エリアからはみ出すことが分かる。図10(b)は変形例(2)の案内画面例を示している。この画面例では、実施例(図4(b))と同様、直進および左側の通路に対してはサブウィンドウが表示され、案内表示がなされる。右側の通路に対しては、×印など、進行すべきでない旨を表す表示がなされる。このように表示されることにより、ユーザは過度に遠回りとなる経路を採ることになる懸念なく、安心して経路を決定することが可能となる。逆に、通行可能エリア内の通路を青色で着色するなどの表示を行うことで、進行すべきでない通路と進行して構わない通路とを識別可能としてもよい。
【0097】
本実施例では、図10(b)の画面に代えて、図10(a)の表示、またはこの縮尺を変更した表示を、案内画面としてユーザに提示してもよい。つまり、ユーザの現在位置に関わらず、通行可能エリア外となる通路の少なくとも一部を対象として、ユーザが進行すべきでない旨を表す表示をするようにしてもよい。こうすることで、ユーザは通行可能エリアを広域的に把握することができる利点がある。
【0098】
また、図10(a)、10(b)のいずれの案内画面においても最短経路ROUを併せて表示してもよい。最短経路ROUは、常に表示してもよいし、ユーザが交差点に来た時や、通行済みの通路を再度通行した時点などのタイミングで表示してもよい。この場合には、ユーザの現在位置に応じて、目的地までの最短経路ROUを再探索した上で表示することが好ましい。
【0099】
図11は通行可能エリア設定処理のフローチャートである。この処理は、簡易案内処理(図5)において現在位置入力(ステップS110)の前または後に実行することができる。CPUは通行可能エリアを設定するための基準とするため、現在地から目的地までの経路を探索し、目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS101)。この処理は、図10(a)の最短経路ROUの探索に相当する。
【0100】
そして、CPUは到着予想時刻と到着希望時刻との差から、余裕時間を算出し(ステップS102)、余裕時間を次式でコスト余裕Ccに換算する(ステップS103)。
Cc=1+(余裕時間/目的地までの所要時間);
コスト余裕とは、余裕時間に応じて、遠回りを許容する範囲を表す値となる。
【0101】
次に、CPUはダイクストラ法により、通行可能経路を探索する(ステップS104)。この際、最小コストに限定して経路を探索するのではなく、「最小コスト×Cc」となる範囲まで許容して経路を探索する。図中に探索例を示した。地点N1からN2に向かう経路を探索する場合を考える。各経路のコストは、経路RO1が10、経路RO2が15、経路RO3が12と求められたとする。経路RO1が最小コストとなるため、通常のダイクストラ法では、経路RO1が選択されることになる。これに対し、ステップS103に示した演算結果によりコスト余裕Ccが1.3と求まったとすれば、変形例ではコスト13までが経路として選択されることになる。この結果、経路RO1の他、RO3が経路として選択され、経路RO2が経路から除外される。このような考え方によって、通行可能な経路と、そうでない経路とを求めることができる。
【0102】
CPUは得られた通行可能エリアを格納する。本実施例では、各リンクに通行可否を示すフラグを設定する方法を採った(ステップS105)。図10(a)において通行可能エリアを除くエリア(図中のハッチング領域)の各リンクには、「通行否」を示すフラグが設定され、通行可能エリアの各リンクには、「通行可」を示すフラグが設定される。
【0103】
通行可能エリアの設定は上述した方法に限られない。例えば、コスト余裕Ccは任意に設定可能である。本実施例では、コスト余裕Ccを最小コストに乗じる係数として用いたが、最小コストに加える項として用いても良い。
【0104】
通行可能エリアの設定は、簡易案内処理を開始する当初に行うのみとしてもよいし、案内の過程で繰り返し実行するものとしてもよい。図11で示した方法でコスト余裕Ccを設定する場合、余裕時間はユーザに移動に応じて推移するため、通行可能エリアを繰り返し設定することは、より実用的な案内を実現するという点で効果的である。
【0105】
D.街巡り案内処理:
図12は街巡り案内の処理例を示す説明図である。図12(a)に示す地図を例にとって処理例を説明する。図中の黒く塗りつぶした四角はレストラン、黒丸はショップ、白抜きの三角は名所、景観スポットを表しているものとする。また、ユーザが必ず経由すべき経由地としてホテルHHが指定されているものとする。経由地は、後述する通り、ユーザが指定することもできるし、経路案内システムが自動設定することもできる。
【0106】
街巡り案内では、ユーザの現在位置PPから目的地Gまでの経路探索が行われ、探索結果の経路が提示されるとともに、経路ごとにレストラン、ショップなどのジャンルに応じた評価値が提示される。図12(a)の例では、現在位置PPから経由地HHまでの経路としてRO1、RO2が探索され、経由地HHから目的地Gまでの経路としてRO3、RO4が探索された状態を示している。
【0107】
図12(b)は街巡り案内の表示画面例である。ユーザPPの現在位置周辺の地図が表示され、経由地HHまでの経路RO1、RO2が表示される。各経路には、サブウィンドウWr1,Wr2によって、それぞれの経路に対する評価値が併せて表示される。図の例では、経路RO1は、ショップ(黒丸)が多く存在する経路となっているため、ショップの評価値が高くなっている。経路RO2は、景観スポット(白抜きの三角)を多く経由するため、観光に対する評価値が高くなっている。これらの評価値の算出は、簡易案内(図4(c))と同様の方法で行うことができる。街巡り案内の表示画面は、図12(b)のようなグラフィックス表示の他、経路周辺の地物等をリストで示す画面(図4(b)参照)や「ショッピング街」、「観光ルート」など評価値に応じた概括名称を示す画面なども可能である。グラフィックス表示と、リストや概括名称の表示など複数通りの表示を組み合わせてもよい。
【0108】
サブウィンドウWr1,Wr2は、評価値に応じてジャンルごとの表示態様を変えても良い。例えば、サブウィンドウWr1では、評価値が最も高い「ショップ」を他のジャンルよりも強調表示することができる。強調表示とは、高輝度での表示や、赤などの視認性の高い色での表示、太字やサイズの大きい文字での表示など、視認性を向上させる表示を言う。こうすることでユーザは、容易に各経路の特徴を把握することができる。強調表示は、グラフィックス表示の場合のみならず、リスト表示や概括名称の表示にも適用可能である。
【0109】
図13は街巡り案内処理のフローチャートである。経路案内処理(図3)のステップS300に相当する処理であり、街巡り案内部234(図1)の機能に相当する。CPUはまず抽出対象設定処理を行い(ステップS320)、経由地設定処理を行う(ステップS340)。抽出対象設定処理の内容は、簡易案内処理の場合(図6)と同様である。抽出対象の設定結果は、評価値の算出および経由地の自動設定に使用される。経由地設定処理は、ユーザからの指定または自動設定を行うための処理である。その内容については後述する。
【0110】
以上の処理を終えると、CPUはユーザの移動に合わせて経路案内を実行する。まず、ユーザの現在位置を入力し(ステップS360)、案内中の経路を外れたか否かを判断する(ステップS361)。経路を外れていない場合には、従前の案内画面の表示を継続する(ステップS400)。
【0111】
経路を外れている場合には(ステップS361)、案内用の経路探索によって(ステップS370)を改めて設定するための処理を行う。街巡り案内処理を最初に実行する場合、即ち案内用の経路が未設定の場合も同じ扱いとした。この経路探索処理では、到着希望時刻までに目的地に到着可能な範囲で経由地を経由する経路を探索する。複数の経由地が設定されている場合、経路は複数通り得られることになる。経路探索処理の具体的内容については後述する。
【0112】
CPUは経路探索結果に基づき、経路ごとにサブウィンドウを表示するための表示データを生成する情報提示処理を行う(ステップS380)。本実施例では、リストおよびグラフィックスの2通りの提示モードで案内表示を行うものとした。CPUはこうして生成された表示データを端末100に送信して画面表示させる(ステップS400)。CPUは、以上の処理(ステップS360〜S400)をユーザが目的地に到着するまで繰り返し実行する(ステップS401)。
【0113】
本実施例の街巡り案内処理では、上述の通り、ユーザが経路を外れた時点で経路探索および情報提示が行われる。情報提示の更新は、ユーザが経路を外れた時点のみならず、案内開始後に一定時間を経過する度など、種々のタイミングで行うことができる。この情報提示の更新により、ユーザには各経路について最新の評価結果が提示されることになる。
例えば、当初は店舗が多数存在すると評価されていた経路であっても、そのような区域をユーザが通過した後に、上述の経路探索、情報提示が再試行されることにより、店舗の評価が低下する場合もある。このように最新の評価結果をユーザに提示することにより、ユーザは自己の希望に添った経路を適切に選択することが可能となる。
【0114】
D1.経由地設定処理:
図14は経由地設定処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS340に相当する処理であり、街巡り案内部234(図1)の機能に相当する。この処理は、現在位置から目的地に向かう過程で、経由したい地点、経由することが推奨される地点を設定する処理である。本実施例では、ユーザによる「指定」モードと、「自動」モードで経由地の設定が可能とした。また、モードは経路案内過程で変更することも可能である。
【0115】
CPUは端末100からの信号を受信し、経由地変更が指定されていない場合には(ステップS341)、特別な処理を行うことなく経由地設定処理を終了する。経由地変更が指定されている場合、および経由地が未設定の場合には、それぞれユーザが選択したモードに応じて、以下の処理を実行する。
【0116】
ユーザから「指定」モードが選択されている場合には(ステップS342)、CPUはユーザが指定する経由地を入力し(ステップS343)、経由地設定処理を終了する。「指定」モードは、例えば、観光地において、宿泊ホテルに一旦立ち寄ってから目的地に向かいたい場合や、ガイドブック等の情報を元に訪問したい場所が分かっている場合などに利用可能である。
【0117】
ユーザから「自動」モードが選択されている場合には(ステップS342)、CPUは地物の抽出対象の設定結果に基づいて以下の手順で経由地を設定する。まず、CPUは地物抽出エリアを設定する(ステップS344)。図中に地物抽出エリアαの設定例を示した。本実施例では、現在位置PPと目的地Gを結ぶ直線DRを中心として左右に幅Wの矩形領域を地物抽出エリアαとした。幅Wは目的地に向かう際に過度に遠回りとならない範囲で任意に設定可能であり、固定値としてもよいし、現在位置PPから目的地Gまでの距離、到着希望時刻までの余裕時間などの関数としてもよい。幅Wは、通行可能エリア(図10,図11参照)を求め、この範囲に収まるよう幅Wを設定してもよい。地物抽出エリアαは、図示した矩形形状である必然性はなく、例えば、通行可能エリア自体を地物抽出エリアαとして用いても良い。
【0118】
次に、CPUは地物抽出エリア内で、抽出対象に該当する地物等を抽出し(ステップS345)、抽出された地物等を地物データ253に格納された評価に基づいてソートして、上位の所定数を経由地として設定する(ステップS346)。図中には、地物R1,S2が評価5、地物S2が評価4である場合に、上位1位のみを経由地として選択した例を示した。選択すべき経由地の数は、任意に設定可能である。固定値としてもよいし、目的地までの余裕時間の関数としてもよい。
【0119】
D2.経路探索処理:
図15は経路探索処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS370に相当する処理であり、街巡り案内部234および経路探索部240の機能に相当する。この処理では、先に説明した通り、現在位置から、予め設定された経由地を通って目的地に向かう経路が求められる。経由地は一つとは限らないため、通過すべき経由地の組み合わせを変えながら複数の経路が探索される。
【0120】
CPUは、設定された経由地を入力し(ステップS371)、ソートする(ステップS372)。ユーザからの指定を第1キーとし、現在位置からの直線距離を第2キーとして用いる。このソートにより、ユーザから指定された経由地および近距離にある経由地の優先順位が高くなる。
【0121】
次に、CPUはソートされた経由地から、経路探索時に経由すべき経由地を選択し、経路探索を行って、目的地への到着予想時刻を算出する(ステップS373)。そして、到着希望時刻までに目的地に到着可能な経路を選択する(ステップS374)。
【0122】
図の右側にこの処理例を示した。ここでは、ユーザから指定された経由地A,Bおよび自動設定された経由地C〜Eの5点が経由地として設定されているものとする。経由地C〜Eは現在位置からの距離に基づいてソート済みである。到着希望時刻は1:00に設定されているものとする。
【0123】
CPUは、第1ケースとして、ユーザから指定された経由地A,Bのみを選択して、経路探索を行い、到着予想時刻が12:40と求められたとする。この経路は、到着希望時刻1:00までに目的地に到着可能であるため、採りうる経路として選択される。次にCPUは第2ケースとして、経由地A,Bの他に最も近い経由地Cを選択して、経路探索を行う。この場合、図の例では、到着予想時刻は12:42と求められている。この経路も1:00までに到着可能であるため、選択される。
【0124】
同様にしてCPUは、第3ケースとして経由地C,Dを選択、第4ケースとして経由地C,Eを選択して経路を探索する。第4ケースは1:00までに到着可能な経路として選択されるが、第3ケースは到着予想時刻が1:30となっているため選択されない。
【0125】
CPUは第5ケースとして経由地A〜Eの全てを選択する。この経路に対して経路探索を行い、到着予想時刻を求めれば、第1〜第4ケースと同様にして、選択可否を判断することができる。しかし、第5ケースには、第3ケースで選択された経由地A〜Dが全て含まれている。従って、第3ケースが選択不可の経路となっている以上、第5ケースの経路も選択不可となると考えられる。かかる観点から、本実施例では、既に選択不可と判断された経路と同じ経由地を含む経路については、経路探索を行うまでなく、選択不可と判断するものとした。図中の例で、第5ケースに対して到着予想時刻が記入されていないのは、このことを意味している。
【0126】
CPUは次に第6ケースとして経由地A,B,Dを選択する。この場合は、第3ケースとは、経由地Cが抜けている点で相違する。従って、第5ケースのような処理で選択不可とすることはできない。CPUは第1〜第4ケースと同様、経路探索を行い、到着予想時刻を求めて、選択可否を判断する。
【0127】
D3.情報提示処理:
図16は情報提示処理のフローチャートである。街巡り案内処理(図13)のステップS380に相当する処理であり、情報提示部246(図1)の機能に相当する。この処理では、経路探索処理の設定結果を読込み(ステップS381)、設定された各経路に対して、経路周辺の地物、景観スポットを抽出し、図12で示した案内表示を実現する処理である。案内表示は、抽出された地物等をリスト表示する「リスト」モード、および抽出された地物等に基づいて算出される評価値をグラフ表示する「グラフィックス」モードのいずれかで行うことができる。
【0128】
ユーザから、提示モードの変更が指定されていない場合には(ステップS382)、CPUは、従前の案内表示を継続する。つまり、従前の案内表示画面と、地図および経路の表示データとを融合し、全体の表示データを生成して(ステップS390)、情報提示処理を終了する。
【0129】
提示モードが未指定の場合も含め、提示モードの変更が指定されている時(ステップS382)には、CPUは端末100から提示モードの指定を入力する(ステップS383)。そして、各経路周辺で抽出対象に該当する地物を抽出する(ステップS384)。抽出対象は、街巡り案内処理(図13)のステップS320での設定に従う。経路を構成する各リンクについてリンクデータ231(図2)を参照し、そこに含まれる「地物」情報を参照することで、経路周辺の地物を特定し、それぞれの地物について地物データ253に格納されている種別を参照することで、抽出対象に該当するか否かを判断することができる。
【0130】
次に、CPUは、抽出された地物等の情報を利用して、提示モードに応じた表示データを生成する。「リスト」モードが指定されている場合には(ステップS385)、CPUは、抽出された地物を、地物データ253に格納されている評価に基づいてソートし(ステップS386)、上位所定数の地物についてリスト表示データを生成する(ステップS387)。所定数は、サブウィンドウの大きさなどを考慮して任意に設定可能である。
【0131】
「グラフィクス」モードが指定されている場合には(ステップS385)、CPUは、ジャンル毎に各地物等の評価を集計し(ステップS388)、集計結果をグラフィックス表示するための表示データを生成する(ステップS389)。評価の集計方法は、簡易案内処理における情報提示処理(図8のステップS170、S171)と同様である。
【0132】
CPUは、「リスト」モード、「グラフィックス」モードのそれぞれでサブウィンドウの表示データの生成が完了すると、地図および経路の表示データとを融合し、全体の表示データを生成して(ステップS390)、情報提示処理を終了する。
【0133】
以上で説明した実施例の経路案内システムによれば、簡易案内および街巡り案内では、経路案内システムが設定した経路をユーザに押しつける形ではなく、経路決定の自由をユーザに残した形での経路案内をすることができる。
【0134】
簡易案内では、経路案内システムは、ユーザが経路を決定するのに有用な情報を提示するだけであり、特定の経路を提示することはない。ユーザは、その時その時の自己の要望に基づいて、提示された情報を活用しながら自身で経路を決定することができる。街巡り案内でも、複数の経路を提示するものの、ユーザは、各経路の評価値を参照して、自己の要望に添った経路を自由に選択することができる。いずれの態様においても経路を決定するための案内情報がユーザに提示されるという点で共通する。簡易案内では、現在位置に比較的近い範囲内で案内表示が生成されるのに対し、街巡り案内では、この案内表示を生成する範囲を目的地に至るまでの広域に拡大した態様に相当するとも言える。
【0135】
このように本実施例では、ユーザに固定的な経路を提示しないという方法を採ることにより、逆に、ユーザの要望が不明確な場合や、要望が途中で変わった場合などにも、ユーザはその時点で自己の要望に最も適した経路を知ることができるという点で実用的な経路案内を達成することができる。
【0136】
実施例では、目的地が指定されている場合を例示したが、本実施例では、目的地が指定されていない場合にも適用可能である。このような経路案内は、例えば、駅を起点として、所定の出発時刻まで観光する状況などに利用することができる。簡易案内では、目的地と無関係に地物抽出エリアを設定可能であるため、本実施例の処理をほぼそのまま適用することが可能である。出発地から目的地までの経路探索を行う場合など、出発地と目的地とが一致していると支障が生じる処理では、経由地設定処理(図14)で設定される経由地を仮の目的地に設定して処理を行えばよい。
【0137】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、本実施例は、以上で説明した種々の処理を全て備えている必要はなく、一部の処理を省略しても差し支えない。本実施例は、歩行者を対象とした経路案内システムを例示したが、車両を対象としたシステムとして構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】実施例としての経路案内システムの構成を示す説明図である。
【図2】地図DB250の内容を例示する説明図である。
【図3】経路案内処理のフローチャートである。
【図4】簡易案内の処理例を示す説明図である。
【図5】簡易案内処理のフローチャートである。
【図6】抽出対象設定処理のフローチャートである。
【図7】地物抽出処理のフローチャートである。
【図8】情報提示処理のフローチャートである。
【図9】変形例としての地物抽出処理のフローチャートである。
【図10】通行可能エリアの設定例を示す説明図である。
【図11】通行可能エリア設定処理のフローチャートである。
【図12】街巡り案内の処理例を示す説明図である。
【図13】街巡り案内処理のフローチャートである。
【図14】経由地設定処理のフローチャートである。
【図15】経路探索処理のフローチャートである。
【図16】情報提示処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0139】
100…端末
110…主制御部
120…通信部
130…コマンド入力部
140…GPS
150…表示制御部
200…サーバ
210…主制御部
220…通信部
230…ノーマル案内部
232…簡易案内部
234…街巡り案内部
240…経路探索部
242…地図表示部
244…案内情報取得部
246…情報提示部
250…地図DB
251…リンクデータ
252…ノードデータ
253…地物データ
254…描画データ
260…ユーザDB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
前記ユーザの現在位置を取得する入力部と、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定部と、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部と、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項2】
請求項1記載の経路案内システムであって、
前記入力部は、前記ユーザが要求する前記案内情報のジャンルに関する指定を受け付け、
前記案内情報取得部は、前記案内情報に格納された種別に基づき前記指定されたジャンルに該当する案内情報を抽出する経路案内システム。
【請求項3】
請求項1記載の経路案内システムであって、
前記入力部は前記ユーザの属性および案内を行う時間帯の少なくとも一方を、抽出条件を設定するための基礎データとして取得でき、
前記基礎データに基づいて前記抽出条件を設定する抽出条件設定部が備えられた経路案内システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記進行可能な通路ごとに抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価指数を提示する経路案内システム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の経路案内システムであって、
所定の拘束条件に基づいて前記ユーザの移動可能範囲を特定する移動可能範囲特定部を有し、
前記案内情報取得部は、前記移動可能範囲内で前記案内情報を抽出する経路案内システム。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の経路案内システムであって、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、2点間の経路を探索する経路探索部を有し、
前記案内情報取得部は、前記経路探索部を用いて現在位置から前記各候補地までの経路を探索し、該探索の結果に基づいて前記案内情報の抽出を行う経路案内システム。
【請求項7】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力部と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索部と、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項8】
請求項7記載の経路案内システムであって、
前記ネットワークデータに基づき、前記現在位置を含む通路および前記現在位置に接続する通路を特定する通路特定部を有し、
前記情報提示部は、前記特定された通路を対象として前記情報の提示を行う経路案内システム。
【請求項9】
請求項7または8記載の経路案内システムであって、
前記入力部は、前記ユーザの現在位置および前記目的地への到着希望時刻の指定を入力し、
前記経路探索部は、前記ユーザの現在位置から前記目的地まで最適経路を通行した場合の目的地への到着予測時刻を求め、該到着予測時刻と前記到着希望時刻との時間差に基づいて、探索時の条件を緩和する範囲を決定する経路案内システム。
【請求項10】
請求項7〜9いずれか記載の経路案内システムであって、
前記ユーザが通行済みの通路を保持する通行履歴保持部を有し、
前記情報提示部は、前記ユーザが、前記通行済みの通路を避けて移動するよう支援するための情報を提示する経路案内システム。
【請求項11】
請求項7〜10いずれか記載の経路案内システムであって、
前記経路探索部は、案内開始後、所定のタイミングで前記ユーザの現在位置から目的地に至る最適経路を探索可能であり、
前記情報提示部は、前記探索された最適経路を併せて提示する経路案内システム。
【請求項12】
請求項7〜11いずれか記載の経路案内システムであって、
前記経路探索部は、案内開始後、所定のタイミングで前記ユーザの現在位置を出発地として用いて前記移動可能範囲の再策定を実行する経路案内システム。
【請求項13】
請求項7〜12いずれか記載の経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
前記地図データベースから、前記情報の提示対象となる各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部とを備え、
前記情報提示部は、更に、前記抽出された案内情報を、前記各通路と関連づけてユーザに提示する経路案内システム。
【請求項14】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力部と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部と、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項15】
請求項14記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記経路ごとに、複数通りの評価結果を提示する経路案内システム。
【請求項16】
請求項14または15記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記経路ごとに、前記種別との関連が異なる複数種類の評価結果を求めるとともに、所定の規則に基づいて評価結果同士の優劣を設定し、該優劣に応じて、それぞれの評価結果の提示態様を変化させる経路案内システム。
【請求項17】
請求項14〜16いずれか記載の経路案内システムであって、
前記案内情報取得部は、案内開始後、所定のタイミングで、前記各経路について前記ユーザが未通行の部分に対応づけられた案内情報を求め、
前記情報提示部は、前記所定のタイミングで求められた案内情報を反映して前記情報を提示する経路案内システム。
【請求項18】
請求項14〜17いずれか記載の経路案内システムであって、
前記出発地から目的地に至るまでに通過すべき経由地となるべき候補地を前記地図データベースから所定の条件に従って抽出する経由地設定部を備え、
前記経路探索部は、該抽出された経由地の少なくとも一部を経由する経路を探索する経路案内システム。
【請求項19】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照工程と、
前記ユーザの現在位置を取得する入力工程と、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定工程と、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得工程と、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項20】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力工程と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索工程と、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項21】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照工程と、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力工程と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索工程と、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得工程と、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項22】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照サブプログラムと、
前記ユーザの現在位置を取得する入力サブプログラムと、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定サブプログラムと、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得サブプログラムと、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項23】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力サブプログラムと、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索サブプログラムと、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項24】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照サブプログラムと、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力サブプログラムと、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索サブプログラムと、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得サブプログラムと、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項1】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
前記ユーザの現在位置を取得する入力部と、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定部と、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部と、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項2】
請求項1記載の経路案内システムであって、
前記入力部は、前記ユーザが要求する前記案内情報のジャンルに関する指定を受け付け、
前記案内情報取得部は、前記案内情報に格納された種別に基づき前記指定されたジャンルに該当する案内情報を抽出する経路案内システム。
【請求項3】
請求項1記載の経路案内システムであって、
前記入力部は前記ユーザの属性および案内を行う時間帯の少なくとも一方を、抽出条件を設定するための基礎データとして取得でき、
前記基礎データに基づいて前記抽出条件を設定する抽出条件設定部が備えられた経路案内システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記進行可能な通路ごとに抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価指数を提示する経路案内システム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の経路案内システムであって、
所定の拘束条件に基づいて前記ユーザの移動可能範囲を特定する移動可能範囲特定部を有し、
前記案内情報取得部は、前記移動可能範囲内で前記案内情報を抽出する経路案内システム。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の経路案内システムであって、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、2点間の経路を探索する経路探索部を有し、
前記案内情報取得部は、前記経路探索部を用いて現在位置から前記各候補地までの経路を探索し、該探索の結果に基づいて前記案内情報の抽出を行う経路案内システム。
【請求項7】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力部と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索部と、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項8】
請求項7記載の経路案内システムであって、
前記ネットワークデータに基づき、前記現在位置を含む通路および前記現在位置に接続する通路を特定する通路特定部を有し、
前記情報提示部は、前記特定された通路を対象として前記情報の提示を行う経路案内システム。
【請求項9】
請求項7または8記載の経路案内システムであって、
前記入力部は、前記ユーザの現在位置および前記目的地への到着希望時刻の指定を入力し、
前記経路探索部は、前記ユーザの現在位置から前記目的地まで最適経路を通行した場合の目的地への到着予測時刻を求め、該到着予測時刻と前記到着希望時刻との時間差に基づいて、探索時の条件を緩和する範囲を決定する経路案内システム。
【請求項10】
請求項7〜9いずれか記載の経路案内システムであって、
前記ユーザが通行済みの通路を保持する通行履歴保持部を有し、
前記情報提示部は、前記ユーザが、前記通行済みの通路を避けて移動するよう支援するための情報を提示する経路案内システム。
【請求項11】
請求項7〜10いずれか記載の経路案内システムであって、
前記経路探索部は、案内開始後、所定のタイミングで前記ユーザの現在位置から目的地に至る最適経路を探索可能であり、
前記情報提示部は、前記探索された最適経路を併せて提示する経路案内システム。
【請求項12】
請求項7〜11いずれか記載の経路案内システムであって、
前記経路探索部は、案内開始後、所定のタイミングで前記ユーザの現在位置を出発地として用いて前記移動可能範囲の再策定を実行する経路案内システム。
【請求項13】
請求項7〜12いずれか記載の経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
前記地図データベースから、前記情報の提示対象となる各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部とを備え、
前記情報提示部は、更に、前記抽出された案内情報を、前記各通路と関連づけてユーザに提示する経路案内システム。
【請求項14】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内システムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照部と、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力部と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得部と、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示部とを備える経路案内システム。
【請求項15】
請求項14記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記経路ごとに、複数通りの評価結果を提示する経路案内システム。
【請求項16】
請求項14または15記載の経路案内システムであって、
前記情報提示部は、前記経路ごとに、前記種別との関連が異なる複数種類の評価結果を求めるとともに、所定の規則に基づいて評価結果同士の優劣を設定し、該優劣に応じて、それぞれの評価結果の提示態様を変化させる経路案内システム。
【請求項17】
請求項14〜16いずれか記載の経路案内システムであって、
前記案内情報取得部は、案内開始後、所定のタイミングで、前記各経路について前記ユーザが未通行の部分に対応づけられた案内情報を求め、
前記情報提示部は、前記所定のタイミングで求められた案内情報を反映して前記情報を提示する経路案内システム。
【請求項18】
請求項14〜17いずれか記載の経路案内システムであって、
前記出発地から目的地に至るまでに通過すべき経由地となるべき候補地を前記地図データベースから所定の条件に従って抽出する経由地設定部を備え、
前記経路探索部は、該抽出された経由地の少なくとも一部を経由する経路を探索する経路案内システム。
【請求項19】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照工程と、
前記ユーザの現在位置を取得する入力工程と、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定工程と、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得工程と、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項20】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力工程と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索工程と、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項21】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内する経路案内方法であって、
コンピュータが実行する工程として、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照工程と、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力工程と、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索工程と、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得工程と、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示工程とを備える経路案内方法。
【請求項22】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照サブプログラムと、
前記ユーザの現在位置を取得する入力サブプログラムと、
前記現在位置に基づいて、前記地図データベースから、ユーザが進行可能な通路を特定する通路特定サブプログラムと、
前記地図データベースから、前記特定された各通路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得サブプログラムと、
前記抽出された案内情報を前記各通路と関連づけてユーザに提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項23】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力サブプログラムと、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から目的地に至る経路を、最適経路よりも所定範囲で緩和された条件下で探索することにより、前記ユーザの移動可能範囲を特定する経路探索サブプログラムと、
前記ネットワークデータに基づき、前記ユーザが前記移動可能範囲内で移動するように支援するための情報を提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項24】
ユーザによる経路決定を支援するための情報を該ユーザに提供することで経路を案内するためのコンピュータプログラムであって、
案内対象となる領域において、ユーザが訪問する候補地の種別および位置を含む案内情報を該領域内の通路と対応づけて記憶した地図データベースを参照する地図データベース参照サブプログラムと、
ユーザの現在位置、出発地および目的地の指定を受け付ける入力サブプログラムと、
前記案内対象となる領域内の通路をノード、リンクで表したネットワークデータを参照して、前記出発地から少なくとも一部が異なる経由地を経て目的地に至る複数の経路を探索する経路探索サブプログラムと、
前記地図データベースから、前記探索された各経路に対応づけられた案内情報を、所定の抽出条件に基づいて抽出する案内情報取得サブプログラムと、
前記経路ごとに、前記抽出された各案内情報に含まれる前記種別との関連で定まる所定の評価を行い、該評価結果を前記探索結果とともにユーザに提示する情報提示サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−205947(P2007−205947A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26398(P2006−26398)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
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