説明

繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造装置およびその製造方法

【課題】繊維状強化材をフィードホッパーへ供給するに際し、繊維状強化材がフィードホッパーの内壁へ衝突し解繊物が発生するのを抑制し、フィードホッパー内壁へ解繊物や樹脂成分が付着、蓄積しブリッジ現象を起こしたり、付着物の塊が落下したりすることなく、原料を混練装置へ安定して供給することができる、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造装置およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】繊維状強化材供給口、熱可塑性樹脂成分供給口および混練装置への材料投入口を備え、さらに、繊維状強化材供給口には、投入された繊維状強化材を混練装置への材料投入口方向に向かってガイドする繊維状強化材供給ガイドを設けてなることを特徴とする、繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造装置およびその製造方法に関し、特にガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分とを混練装置のフィードホッパーに供給し、混練装置内で繊維状強化材と熱可塑性樹脂とを加熱下に混練し複合化する、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱可塑性樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材を配合し混練して複合化した繊維強化熱可塑性樹脂組成物が知られている。例えば、混練装置として押出機を用いて、混練、複合化し、繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては、(1)ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材と熱可塑性樹脂とを予め混合し、得られた混合物を押出機のフィードホッパーに供給し、押出機内で加熱下に混練、複合化して押出機のノズルから紐状に押出し、切断してペレットとする方法、(2)ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材と熱可塑性樹脂とを予め混合することなく、それぞれ個別にフィードホッパーに供給し、押出機内で加熱下に混練、複合化して押出機のノズルから紐状に押出し、切断してペレットとする方法、(3)押出機フィードホッパーから熱可塑性樹脂を供給し、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材を押出機の途中から供給(所謂サイドフィード)し、押出機内で熱可塑性樹脂と加熱下に混練、複合化して押出機のノズルから紐状に押出し、切断してペレットとする方法等が知られている。
【0003】
しかし、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材を多量に含む繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造する場合は、前記(1)繊維状強化材と熱可塑性樹脂とを予め混合した混合物を押出機等の混練装置のフィードホッパーに供給する方法では、予め両者を混合する際、多量の繊維状強化材と熱可塑性樹脂を均一に混合することが困難であることから、前記(2)繊維状強化材と熱可塑性樹脂とを予め混合することなく、それぞれ個別にフィードホッパーに供給する方法や、前記(3)繊維状強化材をサイドフィードする方法が採用される。しかし、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材はチョップドストランドの形態で使用される場合が多いので、前記(2)や(3)の方法を採用した場合でも、フィードホッパーへ供給する際にチョップドストランドの撚りが壊れて、ガラス繊維や炭素繊維の解繊物がフィードホッパー内壁に付着し、蓄積してブリッジ現象を起こし、混練装置へ安定的な供給ができなくなったり、また付着物が塊となって落下し、原料供給に障害を起こすといった問題がある。
【0004】
例えば、フィードホッパー内でのブリッジ現象を抑制し、押出機スクリューへ円滑に原料を供給する方法として、炭素繊維をカットしながら、熱可塑性樹脂と別々に連続的に押出機フィードホッパーに供給し、押出機内で熱可塑性樹脂と混練、複合化して押出しペレット化する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、特許文献1に開示された方法では、炭素繊維を切断しながら供給する装置を別途設ける必要があり、装置が複雑になり作業が煩雑になると共に生産コストが高くなる。また、フィードホッパーへ供給する際の炭素繊維の解繊によって、安定した原料供給ができないといった問題も残る。
【0005】
【特許文献1】特開2003−41007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討により、熱可塑性樹脂成分とガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材とをそれぞれ個別にフィードホッパーに供給し、混練装置内で加熱下に熱可塑性樹脂と繊維状強化材とを混練、複合化して繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造するに際して、フィードホッパーに供給される繊維状強化材(例えば、繊維状強化材のチョップドストランド)が、該フィードホッパーの内壁に衝突して解繊し、綿毛様の解繊物が該フィードホッパー内壁に付着しブリッジを形成すること、さらにこの解繊物は、別途供給される熱可塑性樹脂成分と相俟って、より付着、蓄積しやすくなることが判明した。
この解繊物がフィードホッパー内壁に付着し蓄積すると、混練装置へ原料の安定的な供給ができなくなったり、付着物の塊が落下することにより、繊維状強化材と熱可塑性樹脂との密着性が低下しストランド切れを起こしたり、長時間安定した運転ができなくなり不良品が発生しやすくなることが分かった。また、この現象は、繊維状強化材を多量に含有する、具体的には、樹脂組成物中に30重量%以上含有する繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造する場合に、顕著にみられることも判明した。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材をフィードホッパーへ供給するに際し、繊維状強化材がフィードホッパーの内壁へ衝突し解繊物が発生するのを抑制し、フィードホッパー内壁へ解繊物や樹脂成分が付着、蓄積しブリッジ現象を起こしたり、付着物の塊が落下したりすることなく、原料を混練装置へ安定して供給することができる、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、フィードホッパーに、繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分をそれぞれ個別に供給できる供給口を備え、さらに、繊維状強化材供給ガイドを設け、該繊維状強化材供給ガイドを介して繊維状強化材を供給することにより、繊維状強化材の解繊や付着、堆積物の落下を抑制し、安定した押出しが可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の第1の要旨は、繊維状強化材供給口、熱可塑性樹脂成分供給口および混練装置への材料投入口を備え、さらに、繊維状強化材供給口には、投入された繊維状強化材を混練装置への材料投入口方向に向かってガイドする繊維状強化材供給ガイドを設けてなることを特徴とする、繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパーに存する。
【0010】
次に、本発明の第2の要旨は、第1の発明に記載のフィードホッパーを備えた混練装置を用い、繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分とを個別にフィードホッパーに供給し、混練装置内で繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分とを加熱下に混練、複合化することを特徴とする、繊維状強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材と、熱可塑性樹脂成分とを加熱混練し、複合化して、繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造するに際して、繊維状強化材および熱可塑性樹脂成分とを、それぞれ個別に供給できる繊維状強化材供給口および熱可塑性樹脂成分供給口を有し、さらに、繊維状強化材供給ガイドを設けたフィードホッパーを用い、繊維状強化材供給ガイドを介して繊維状強化材を供給することにより、繊維状強化材がフィードホッパー内壁へ衝突し解繊物が発生するのを抑制し、フィードホッパー内壁へ解繊物や熱可塑性樹脂成分が付着、蓄積し、ブリッジ現象を起こしたり、付着物の塊が落下することによりストランド切れが生じることなく長時間安定して連続運転することができるとともに、不良品の発生や品質のバラツキも無い良好な製品を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について、混練装置として代表的なスクリュー式押出機を例に、詳細に説明する。
本発明におけるフィードホッパーは、繊維状強化材供給口(以下、「繊維状強化材」を単に「強化材」、「繊維状強化材供給口」を単に「強化材供給口」ということがある)および熱可塑性樹脂成分供給口(以下、「熱可塑性樹脂成分」を単に「樹脂成分」、「熱可塑性樹脂成分供給口」を単に「樹脂成分供給口」ということがある)を有し、該フィードホッパー下部に押出機スクリュー部への材料投入口(以下、単に「材料投入口」ということがある)を有するフィードホッパーであって、さらに、フィードホッパー内に繊維状強化材供給ガイド(以下、単に「強化材供給ガイド」ということがある)を設けたものである。該強化材供給ガイドは強化材供給口に接続されていることが好ましい。フィードホッパーの形状は、その上部の開口部(以下、「上部開口部」又は「フィードホッパー開口部」ということがある)が円形であり、該上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が急峻である部位と、該上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかである部位とを有する偏心円錐形を成すものが好ましい。また、該上部開口部には蓋部を有するものがより好ましく、強化材供給口、樹脂成分供給口および強化材供給ガイドは、該蓋部に設けられていることが、さらに好ましい。
【0013】
本発明におけるフィードホッパーの構成の一例を図面により具体的に説明する。
繊維状強化材供給ガイド:
図1は、本発明におけるフィードホッパーを、押出機の上流側から下流側に向かって見た図である。図1において、1はフィードホッパー(以下、「フィードホッパー1」という)、2はフィードホッパー蓋部、3はフィードホッパー下部の材料投入口(以下、「材料投入口3」という)、31はバイブレーター、4は樹脂成分供給口(以下、「樹脂成分供給口4」という)、5は強化材供給口(以下、「強化材供給口5」という)、6は強化材供給ガイド(以下、「強化材供給ガイド6」という)をそれぞれ示す。尚、図示しないが、蓋部2には、材料投入口へ原料が供給される際のエアーの巻き込みを抑制し、より安定した原料供給ができるようにするために、排気口が設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明における強化材供給ガイドは、投入された繊維状強化材を材料投入口方向に向かってガイドするものであり、例えば、図1において破線で示す、フィードホッパー内壁に沿って傾斜した強化材供給ガイド6である。該強化材供給ガイド6は強化材供給口5に接続されていることが好ましい。また、強化材供給ガイド6は、フィードホッパー下部の材料投入口3の方向に向けて配置されており、フィードホッパー上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかである部位の内壁に沿って配置されていることがより好ましい。
【0015】
本発明における強化材供給ガイドの傾斜の程度は、強化材供給ガイドが設けられる部位のフィードホッパー内壁の角度によるが、強化材供給ガイドを介して排出される強化材がフィードホッパー内壁に衝突しないような傾斜形状であればよく、強化材供給口から投入され、強化材供給ガイドから排出される強化材が、材料供給口近傍に供給されるような傾斜形状が好ましい。強化材供給ガイドは通常筒状の形状を有するが、筒状の一部を切開した全体が閉鎖していない傾斜した溝状ないし樋状であってもよい。また強化材供給ガイドの長さは、樹脂成分の供給に支障の無い範囲であれば、差し支えなく特に限定されない。
【0016】
本発明においては、繊維状強化材供給口と熱可塑性樹脂成分供給口とが、上部開口部の中心を挟んで対向する位置に配置されていることが好ましい。図2に、その配置状態の一例を示す。
図2は、本発明におけるフィードホッパーの上部開口部を上から見た図であり、材料投入口3、樹脂成分供給口4および強化材供給口5の配置状態の一例である。図2において、aは樹脂成分供給口4の中心(以下、「中心a」という)を、bは強化材供給口5の中心(以下、「中心b」という)を、oはフィードホッパー開口部の中心(以下、「中心o」という)を示す。図2に示す態様では、フィードホッパー下部の材料投入口3は、中心oより押出機下流側(図面上側)に配置されている。また、樹脂成分供給口4は、押出機上流側(図面下側)に材料投入口3と略並列する位置に配置されており、強化材供給口5は、フィードホッパーの中心oを挟んで樹脂成分供給口4と対向する側に配置されている。このような配置に限らず、別の実施形態としては、例えば、材料投入口3、樹脂成分供給口4および強化材供給口5は、フィードホッパー開口部の中心oを挟んで左右対称に置き換えて配置することもできる。また、別の実施形態としては、材料投入口3が押出機上流側に位置し、樹脂成分供給口4が押出機下流側に配置することもできる。さらにまた、樹脂成分供給口4を、材料投入口3の鉛直線上に配置してもよいが、原料供給がより安定的に行われる点から、樹脂成分供給口4は、材料投入口3の鉛直線上に配置されていないことが好ましい。
【0017】
フィードホッパーの形状:
本発明におけるフィードホッパーは、その上部開口部が円形であり、該上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が急峻である部位と、上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかである部位とを有する偏心円錐形を成す形状が好ましい。前記のフィードホッパー開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が急峻である部位に樹脂成分供給口が配置され、上部開口部と材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかな部位に強化材供給口および強化材供給ガイドが配置されていることがより好ましい。本発明においては、フィードホッパーが後記(1)〜(3)の要件を満たす形状であることがさらに好ましい。
【0018】
(1)樹脂成分供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度が45度以下である。
(2)強化材供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度が20〜50度である。
(3)偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、材料投入口を挟んで樹脂成分供給口または強化材供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とで成す角度が20度以下である。
本発明においては、前記(1)〜(3)に定める角度(それぞれ、「角度1」、「角度2」、「角度3」とする)が、角度3<角度1<角度2であることが、最も好ましい。
【0019】
本発明におけるフィードホッパーの形状に係る前記の(1)〜(3)について、その一例を図2〜図4により詳細に説明する。
【0020】
図3は、図2における樹脂供給口4の中心aと偏心円錐形の仮想頂点xとを通る直線で切断したA−A’断面図である。図3において、樹脂成分供給口の中心aを通る鉛直線(以下、「鉛直線X」ということがある)とフィードホッパー内壁との交点をaとする。該交点aと偏心円錐形の仮想頂点xとを通る直線と鉛直線Xとで成す角度αが、前記(1)樹脂成分供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度に相当し、本発明においては、角度αが45度以下であることが好ましく、40〜10度の範囲であることがより好ましく、35〜16度の範囲であることがさらに好ましい。角度αが45度よりも大きい場合には、供給される樹脂成分がフィードホッパー内壁に付着しやすい傾向にある。なお、図2において、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点A1を結ぶ線分の長さが短い程、樹脂成分供給口4側の内壁の傾斜が急であることを示す。
【0021】
さらに、図3において、偏心円錐形の仮想頂点xを通る鉛直線(以下、「鉛直線Z」という)と、材料投入口上端点cと偏心円錐形の仮想頂点xとを結ぶ直線とで成す角度γが、前記(3)偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、材料投入口を挟んで樹脂成分供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とでなす角度に相当し、本発明においては、角度γが20度以下であることが好ましく、10〜15度の範囲であることがより好ましい。角度γが20度よりも大きい場合は、供給される樹脂成分がフィードホッパー内壁に付着、堆積しやすい傾向にある。
【0022】
図4は、図2における強化材供給口5の中心bと偏心円錐形の仮想頂点xとを通る直線で切断したB−B’断面図である。図4において、強化材供給口の中心bを通る鉛直線(以下、「鉛直線Y」ということがある)とフィードホッパー内壁との交点をbとする。該交点bと偏心円錐形の仮想頂点xとを通る直線と鉛直線Yとで成す角度βが、前記(2)強化材供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度に相当し、本発明においては、角度βが20〜50度であることが好ましく、34〜45度であることがより好ましい。角度βが20度未満の場合はフィードホッパーの設計が難しく、50度を超える場合には強化材が解繊し内壁に付着しやすい傾向がある。なお、図2において、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点B1を結ぶ線分の長さが長い程、強化材供給口5側の内壁の傾斜が緩やかであることを示す。
【0023】
さらに、図4において、偏心円錐形の仮想頂点xを通る鉛直線Zと、材料投入口上端点cと偏心円錐形の仮想頂点xとを結ぶ直線とで成す角度δが、前記(3)偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、材料投入口を挟んで強化材供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とでなす角度に相当し、本発明においては、角度δが20度以下であることが好ましく、5〜15度の範囲であることがより好ましい。角度δが20度よりも大きい場合は、供給される樹脂成分がフィードホッパー内壁に付着、堆積しやすい傾向にある。
【0024】
図2において、樹脂成分供給口4の中心aと偏心円錐形の仮想頂点xとを結ぶ線分の長さが、強化材供給口5の中心bと偏心円錐形の仮想頂点xとを結ぶ線分の長さに比べ短いということは、強化材供給口部分の内壁の傾斜に比べて、樹脂成分供給口部分の内壁の傾斜が急であることを意味する。また、図2において、材料投入口3の上端点cとフィードホッパー開口部の上端点A2とを結ぶ線分の長さ、および材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー上部開口部の上端部B2とを結ぶ線分の長さが、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点A1とを結ぶ線分の長さ、および、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点B1とを結ぶ線分の長さに比べて短いということは、前記の強化材供給口部分や樹脂成分供給口部分の内壁の傾斜に比べ、当該部分の内壁の傾斜角度が急であることを意味する。
本発明においては、図2において、フィードホッパー開口部の中心oと偏心円錐形の仮想頂点xとを通る直線で切断したC−C’断面において、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点C1を結ぶ直線で示される部分がフィードホッパー内壁の傾斜角度が最も緩やかであり、材料投入口3の開口上端点cとフィードホッパー開口部の上端点C2を結ぶ直線で示される部分がフィードホッパー内壁の傾斜角度が最も急峻であることが最も好ましい。
【0025】
本発明において、フィードホッパーの内壁の傾斜が急峻である部位と緩やかである部位とを有する偏心円錐形である場合、フィードホッパーの水平切断部の形状は非円形であり、図3に示す角度αおよび図4に示す角度βは変動し得る。また、図3に示す角度γ、図4に示す角度δも変動し得る。これらの角度は、樹脂成分供給口、強化材供給口および材料投入口の配置位置によって変動する。
【0026】
本発明におけるフィードホッパーは、必要により冷却可能な二重壁構造とし付着物の発生を抑制することもできる。またフィードホッパーの内壁はフッ素樹脂等で樹脂加工を施すここともできる。
また、本発明における混練装置としては、作業性、製造安定性の点から単軸または多軸のスクリュー式押出機が好ましい。
【0027】
本発明における混練装置の一例として、スクリュー式押出機全体の概要の一例を図5に示す。本発明におけるスクリュー式押出機は、前記したような特定の構造のフィードホッパーを有し、混練スクリュー部60を備えた混練押出機で、その押出機先端部には、混練、複合化した樹脂組成物を紐状に押出すノズル30が付設されている。混練スクリューは、短軸であってもよいし、二軸または多軸であってもよいが、混練性、作業性がよい点から二軸であることが好ましい。フィードホッパーに供給される樹脂成分および強化材は、それぞれ樹脂成分供給機40、強化材供給機50から計量され、それぞれの供給管を通ってフィードホッパー1に供給される。供給された樹脂成分および強化材は、フィードホッパーから混練スクリュー部に供給され、加熱下に混練、複合化されて押出機先端部に備えたノズルから紐状に押出される。押出された紐状物は冷却(例えば、水冷)され、ペレタイザー等により所望の長さに切断される。また、図示されていないが、本発明における混練押出装置には、押出機の途中から強化材を供給するサイドフィーダーを備えることもでき、必要に応じて、必要量の強化材をサイドフィードし、混練することも可能である。
【0028】
また、前記したような、特定の構造を有するフィードホッパーを備えた本発明の混練装置は、樹脂組成物中の繊維状強化材の含有量が多い場合、具体的には、樹脂組成物中に30重量%以上含有する繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造する場合に、本発明の効果が顕著に発揮される。
【0029】
本発明における熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等の置換オレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、メチルアクリレートとエチルアクリレート共重合体、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリレート共重合体;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)等のスチレン系共重合体;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリメタキシリレンアジパミド、キシリレンジアミンを主成分とする混合ジアミンとα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸および/または芳香族二塩基酸の重縮合で得られるポリアミド樹脂(ポリアミドMP)等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等で代表されるポリエステル樹脂;ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が例示される。これらは2種以上を組合せて使用してもよいし、これらの樹脂成分にゴム系樹脂や熱可塑性エラストマーを配合して使用してもよい。具体的には、例えば、PC/ABS、PC/AS、PC/スチレン系共重合体、PC/PETおよびPC/PBT等のPC/ポリエステル系樹脂、さらにこれらのポリカーボネート樹脂のアロイにゴム系樹脂や熱可塑性エラストマーを配合したポリカーボネート樹脂組成物、PPE/PS、PPE/HIPS等のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物等を挙げることができる。
本発明においては、これらの熱可塑性樹脂をフレーク状又は粉状で使用した場合に、特に本発明の効果が発揮される。
【0030】
本発明における繊維状強化材としては、繊維状の強化材であれば特に限定されないが、好ましくはガラス繊維や炭素繊維であり、より好ましくはこれらのチョップドストランドである。繊維状強化材は、通常、繊維径3〜30μm、好ましくは5〜20μmのものが使用される。このような繊維径のものを使用することにより、機械的強度をより効果的に改善することができる。また、繊維長は、通常、0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmのものが使用される。繊維長を0.1mm以上とすることにより、繊維状強化材による補強効果をより高めることができ、20mm以下とすることにより、熱可塑性樹脂成分との溶融混練や、得られる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の成形がより容易になる。
【0031】
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、前記の繊維状強化材の他に、繊維状以外の強化材、例えば、ガラスフレーク、マイカ(雲母)、タルク、ワラストナイト等の板状の強化材、ゼオライト、クレー、カオリン等の粒状の強化材を所望により適宜配合することができる。これらの強化材は、樹脂成分と予め混合し、樹脂成分供給口より供給してもよいし、押出機の途中にサイドフィーダーを備え、そこからサイドフィードしてもよい。また、その他に、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線防止剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、耐摩耗性改良剤、離型剤、安定剤、着色剤等の各種添加剤を配合することもできる。繊維状強化材以外の強化材や各種添加剤を予め混合する場合、タンブラーやヘンシェルミキサー等の各種混合機を用いて混合することができる。
【0032】
前記のような添加剤を配合する場合、樹脂成分に配合される添加剤が、吸湿し易い粉体や、ポリテトラフルオロエチレン、タルク等の安息角が45度以上の粉体である場合に、特に本発明の効果が発揮され、有用である。特に、樹脂成分に配合される添加剤が、吸湿し易くその上安息角が60度以上であるような粉体の場合に、顕著な効果を奏する。例えば、難燃剤、難燃助剤および耐磨耗性改良剤等を配合してなるポリカーボネート樹脂成分に、30重量%以上のガラス繊維や炭素繊維等を配合して繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造する場合に有効で、特に、添加剤として安息角が45度以上である粉体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、吸湿し易い粉体を配合する場合に本発明の顕著な効果が得られる。なお、本発明における安息角とは、JIS R9301−2−2規格に準拠して測定された値である。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明を実施例および比較例により具体的に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものでない。
【0034】
[混練装置]
実施例に使用した混練装置は、以下のフィードホッパーを備えた二軸のスクリュー式押出機である。フィードホッパーは、樹脂成分供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを結ぶ直線とで成す角度(図3に示す角度αに相当)が略35度であり、強化材供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを結ぶ直線とで成す角度(図4に示す角度βに相当)が略45度であり、偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、材料投入口を挟んで樹脂成分供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とで成す角度(図3に示す角度γに相当)が略12度であり、偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、材料投入口を挟んで強化材供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とで成す角度(図4に示す角度δに相当)が略8度であり、強化材供給口に接続した強化材供給ガイドを有する。また、フィードホッパー上部開口部に蓋部を有し、樹脂成分供給口および強化材供給口は、蓋部に設けられている。押出機としては、二軸の混練スクリューを有する押出機を使用し、該押出機には、強化材をサイドフィードできるサイドフィーダーを設置した。
【0035】
[評価]
(1)フィードホッパー付着状況
後記の条件で、実施例1〜3および比較例1〜3の繊維強化樹脂組成物の製造中に、フィードホッパー内壁を目視観察し、以下の3段階で評価した。
○:フィードホッパー内壁に付着物や堆積物が殆どない
△:フィードホッパー内壁に少量の付着物や堆積物がある
×:フィードホッパー内壁に多量の付着物や蓄積物がある
(2)運転状況
後記の条件で、実施例1〜3および比較例1〜3の繊維強化樹脂組成物製造中の運転状況について、以下の3段階で評価した。
○:材料のフィード状態が良く、ストランド切れや製造中断の頻度が極めて少ない
△:材料のフィード状態が悪く、ストランド切れや製造中断の頻度が多い
×:材料のフィード状態が非常に悪く、ストランド切れや製造中断の頻度が著しく多い
(3)製品歩留まり
後記の条件で、実施例1〜3および比較例1〜3の繊維強化樹脂組成物を連続して10時間製造し、製造が安定してから得られた良品ペレットの割合を、製品の歩留まりとして評価した。
【0036】
[繊維強化樹脂組成物の製造方法]
実施例1
前記のフィードホッパーを備えた混練押出装置を用いて、バレル設定温度230〜270℃、スクリュー設定回転数480rpmの条件下、フレーク状のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、難燃剤を15重量部、ポリテトラフルオロエチレンを1重量部配合してなるポリカーボネート樹脂成分を、樹脂成分供給装置から225kg/hでフィードホッパーに供給すると共に、ガラス繊維チョップドストランド(ガラス繊維径13μm、ガラス繊維長3mm)を繊維状強化材供給装置から90kg/hで連続的に供給し、さらに、ガラスフレークを押出機途中に設けたサイドフィーダーから135kg/hでサイドフィードして加熱下に混練し、押出機先端部に付設したノズルから紐状(ストランド)に押出し、水冷却、切断してペレット化し、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。この時の吐出量は450kg/hであった。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表1に示した。
【0037】
実施例2
バレル設定温度230〜310℃、スクリュー設定回転数450rpmの条件下、実施例1と同様のフレーク状のポリカーボネート樹脂成分を、樹脂成分供給装置から420kg/hでフィードホッパーに供給すると共に、ガラス繊維チョップドストランド(ガラス繊維径13μm、ガラス繊維長3mm)を繊維状強化材供給装置から90kg/hで連続的に供給し、さらに、ガラスフレークを押出機途中に設けたサイドフィーダーから90kg/hでサイドフィードして加熱下に混練し、押出機先端部に付設したノズルから紐状(ストランド)に押出し、水冷却、切断してペレット化し、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。この時の吐出量は600kg/hであった。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表2に示した。
【0038】
実施例3
バレル設定温度230〜320℃、スクリュー設定回転数450rpmの条件下、実施例1と同様のフレーク状のポリカーボネート樹脂成分を、樹脂成分供給装置から240kg/hでフィードホッパーに供給すると共に、炭素繊維(炭素繊維径7μm、炭素繊維長6mm)を繊維状強化材供給装置から40kg/hで連続的に供給し、さらに、ガラス繊維チョップドストランドを押出機途中に設けたサイドフィーダーから120kg/hでサイドフィードして加熱下に混練し、押出機先端部に付設したノズルから紐状(ストランド)に押出し、水冷却、切断してペレット化し、繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。この時の吐出量は400kg/hであった。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表3に示した。
【0039】
比較例1
樹脂成分供給口および強化材供給口を備え、強化材供給口ガイドを有していない、従来一般に使用される円錐形のフィードホッパーを備えた混練押出装置を使用した以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表1に示した。
【0040】
比較例2
樹脂成分供給口および強化材供給口を備え、強化材供給口ガイドを有していない、従来一般に使用される円錐形のフィードホッパーを備えた混練押出装置を使用した以外は、実施例2と同様の方法で繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表2に示した。
【0041】
比較例3
樹脂成分供給口および強化材供給口を備え、強化材供給口ガイドを有していない、従来一般に使用される円錐形のフィードホッパーを備えた混練押出装置を使用した以外は、実施例3と同様の方法で繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。樹脂組成物製造中における、上記(1)〜(3)の評価結果を表3に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
本発明に係る特定の構成および形状を有するフィードホッパーを備えた混練押出装置を使用した実施例1〜3では、連続して10時間製造したところ、フィードホッパー内壁に繊維状強化材の解繊物や樹脂成分の付着、蓄積はほとんど認められず、運転中のストランド切れも極めて少なく、長時間に亘って安定した生産ができ、不良品の発生が極めて少なく製品歩留まりも良好であった。
一方、通常一般に使用されるフィードホッパーを備えた混練押出装置を使用した比較例1では、製造開始から30分後にはフィードホッパー内壁にガラス繊維の解繊物や樹脂成分の付着およびこれらの蓄積物が認められた。付着物や堆積物を除去しながら運転を続行したが、短時間のうちに再びガラス繊維の解繊物や樹脂成分の付着や蓄積が生じ、ストランド切れが頻繁に発生し、長時間連続して安定した運転ができなかった。また、不良品の発生も多く、製品歩留まりが77%と非常に悪かった。
比較例2では、製造開始から45分後にはフィードホッパー内壁にガラス繊維の解繊物や樹脂成分の付着およびこれらの蓄積物が認められた。付着物や堆積物を除去しながら運転を続行したが、短時間のうちに再びガラス繊維の解繊物や樹脂成分の付着や蓄積が生じ、ストランド切れが発生し、長時間連続して安定した運転ができなかった。また、不良品発生頻度も高く、製品歩留まりは80%と悪かった。
比較例3では、押出開始から約30分後にはフィードホッパー内壁に炭素繊維の解繊物や樹脂成分の付着およびこれらの蓄積物が認められた。付着物や堆積物を除去しながら運転を続行したが、短時間のうちに再び炭素繊維の解繊物や樹脂成分の付着や蓄積が生じ、ストランド切れが頻繁に発生し、長時間連続して安定した運転ができなかった。また、不良品発生頻度も高く、製品歩留まりが75%と非常に悪かった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】フィードホッパーを押出機上流側から下流側に向かってみた図
【図2】フィードホッパーの上部開口部を上からみた図
【図3】図2におけるA−A’断面図
【図4】図2におけるB−B’断面図
【図5】本発明における混練押出装置の概要図
【符号の説明】
【0047】
1:フィードホッパー
2:フィードホッパー蓋部
3:材料投入口
31:バイブレーター
4:樹脂成分供給口
5:強化材供給口
6:強化材供給ガイド
a:樹脂成分供給口の中心
b:強化材供給口の中心
o:フィードホッパー上部開口部の中心
x:偏心円錐形フィードホッパーの仮想頂点
A−A’:中心aと仮想頂点xを通る直線
B−B’:中心bと仮想頂点xを通る直線
C−C’:中心oと仮想頂点xを通る直線
X:中心aを通る鉛直線
Y:中心bを通る鉛直線
Z:仮想頂点xを通る鉛直線
:A−A’断面における鉛直線Xとフィードホッパー内壁との交点
:B−B’断面における鉛直線Yとフィードホッパー内壁との交点
:A−A’断面における材料投入口上端点
:A−A’断面における材料投入口上端点
:B−B’断面における材料投入口上端点
:B−B’断面における材料投入口上端点
:C−C’断面における材料投入口上端点
:C−C’断面における材料投入口上端点
A1:A−A’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
A2:A−A’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
B1:B−B’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
B2:B−B’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
C1:C−C’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
C2:C−C’断面におけるフィードホッパー上部開口部上端点
α:鉛直線Xと、交点aと仮想頂点xとを通る直線とで成す角
β:鉛直線Yと、交点bと仮想頂点xとを通る直線とで成す角
γ:鉛直線Zと、材料投入口上端点cと仮想頂点xを通る直線とで成す角
δ:鉛直線Zと、材料投入口上端点cと仮想頂点xを通る直線とで成す角
30:ノズル
40:樹脂成分供給機
50:強化材供給機
60:混練スクリュー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状強化材供給口、熱可塑性樹脂成分供給口および混練装置への材料投入口を備え、さらに、繊維状強化材供給口には、投入された繊維状強化材を混練装置への材料投入口方向に向かってガイドする繊維状強化材供給ガイドを設けてなることを特徴とする、繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項2】
繊維状強化材供給ガイドは、フィードホッパー内壁に沿って、混練装置への材料投入口方向に傾斜した形状である、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項3】
フィードホッパーの上部は開口部とされており、該上部開口部の形状が円形であり、かつ、上部開口部と混練装置への材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が急峻である部位と、上部開口部と混練装置への材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかである部位とを有する偏心円錐形状である、請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項4】
上部開口部と混練装置への材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が急峻である部位に熱可塑性樹脂成分供給口が配置され、上部開口部と混練装置への材料投入口とを結ぶフィードホッパー内壁の傾斜が緩やかである部位に繊維状強化材供給口が配置されてなる、請求項3に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項5】
熱可塑性樹脂成分供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度が45度以下である、請求項3または4に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項6】
繊維状強化材供給口の中心を通る鉛直線と、該鉛直線とフィードホッパー内壁との交点と偏心円錐形の仮想頂点とを通る直線とで成す角度が20〜50度である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項7】
偏心円錐形の仮想頂点を通る鉛直線と、混練装置への材料投入口を挟んで熱可塑性樹脂成分供給口または繊維状強化材供給口と対向する側のフィードホッパー内壁とで成す角度が20度以下である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項8】
繊維状強化材供給口と熱可塑性樹脂成分供給口とが、上部開口部の中心を挟んで対向する位置に配置されてなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項9】
混練装置が、短軸又は多軸のスクリュー式押出機である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物製造用のフィードホッパー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィードホッパーを備えた混練装置を用い、繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分とを個別にフィードホッパーに供給し、混練装置内で繊維状強化材と熱可塑性樹脂成分とを加熱下に混練、複合化することを特徴とする、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
繊維強化熱可塑性樹脂組成物中の繊維状強化材の含有量が30重量%以上である、請求項10に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
繊維状強化材がガラス繊維または炭素繊維である、請求項10または11に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
熱可塑性樹脂成分が、添加剤として、少なくとも安息角45度以上の粉体を含有してなる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
安息角45度以上の粉体がポリテトラフルオロエチレンである、請求項13に記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−51170(P2009−51170A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222383(P2007−222383)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(593232815)鹿島ポリマー株式会社 (2)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】