説明

置換オリゴチオフェンまたはポリチオフェン

置換2,2’−ジチオフェンを製造するための方法であって、工程(a)、(c)ならびに任意の工程(b)および(d)、すなわちa)式:(IV)[Halは、水素またはハロゲン、特にBrを表し、R1およびR1’は、独立して水素または置換基であり、nは0から6、好ましくは0であり;Yは、存在すれば、置換または非置換フェニレン、チエン、1,2−エチレンであるか、または1,2−エチニレンであり;R2およびR2’は、独立して水素であるか、あるいはそれぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択される]の化合物と、好適なリチウム有機化合物、好ましくはLi−アルキルまたはLi−アルキルアミドとを反応させる工程と、b)リチウムをMg、ZnおよびCuから選択される別の金属と場合によって交換する工程と、c)工程(a)または(b)で得られた金属中間体と、CO2もしくはアルデヒド(付加反応)、または化合物Y’−R17もしくはY’−R18−Z(置換反応)[R17およびR18は請求項1に定義されている通りである]である好適な求電子体とを反応させる工程と、場合によってd)例えば以上に定義されている1つまたは複数の共役部分Yの導入、好適な一価の残基R17の間の閉環、R17またはR18におけるカルボニルへの付加またはカルボニルの置換などの官能基または置換基の交換または延長によって、工程(c)で得られた生成物を改質する工程とを含む方法。ポリマーを含む、またはポリマーに対応する生成物は、例えば、有機電界効果トランジスタ、集積回路、薄膜トランジスタ、ディスプレイ、RFIDタグ、エレクトロまたはフォトルミネセンス素子、ディスプレイ、光起電力またはセンサ素子、電荷注入層、ショットキーダイオード、記憶装置、平坦化層、帯電防止材、導電性基板またはパターン、光導体、あるいは電子写真用途または記録材料における用途の優れた導電性材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新規の架橋2,2’−ジチオフェン誘導体および有機素子における有機半導体としてのそれらの使用、ならびに前記架橋ジチオフェン誘導体を含む半導体素子に関する。
【0002】
例えば、軽量電池、エレクトロクロミックディスプレイ装置、発光ダイオード、光学スイッチの開発のための興味深い電子特性を示すため、多くのオリゴチオフェンおよびポリチオフェンが製造されてきた(例えば、Donat−Bouillud et al.,Chem.Mater.(1997)2815参照)。
【0003】
これらの化合物の特性は、それらの置換基によって広く決定づけられるが、3,3’および/または4,4’−位が置換された2,2’−ジチオフェンなどのいくつかの置換パターンは、これまで容易に、または全く把握できなかった。
【0004】
したがって、本発明は、置換2,2’−ジチオフェンを製造するための方法であって、
a)式
【化1】

[式中、
Halは、水素またはハロゲン、特にBrを表し、
R1およびR1’は、独立して水素または置換基であり、
nは0から6、好ましくは0であり;
Yは、存在すれば、置換または非置換フェニレン、チエン、1,2−エチレンであるか、または1,2−エチニレンであり;
R2およびR2’は、独立して水素であるか、あるいはそれぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択される]の化合物と、好適なリチウム有機化合物、好ましくはLi−アルキルまたはLi−アルキルアミドとを反応させる工程と、
b)好適な金属塩または金属有機化合物との反応によって、リチウムをMg、ZnおよびCuから選択される別の金属と場合によって交換する工程と、続いて
c)工程(a)または(b)で得られた金属中間体と、CO2もしくはアルデヒド(付加反応)、または化合物Y’−R17もしくはY’−R18−Z(置換反応)[R17は好適な炭化水素またはアシルもしくはシリル残基であり、R18は、CO、CO−CO、
【化2】

[式中、R4、R5およびR10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択される]から選択され、
Y’およびZ’は、工程(a)または(b)で形成された金属チエニル中間体との反応を可能にする好適な脱離基である]である好適な求電子体とを反応させる工程と、場合によって
d)例えば以上に定義されている1つまたは複数の共役部分Yの導入、好適な一価の残基R17の間の閉環、R17またはR18におけるカルボニルへの付加またはカルボニルの置換などの官能基または置換基の交換または延長によって、工程(c)で得られた生成物を改質する工程とを含む方法に関する。
【0005】
工程(d)による改質反応は、通常、当該技術分野で周知の方法と同様にして実施される。
【0006】
リチウムとMg、ZnまたはCuとの交換のための金属試薬は、当該技術分野で周知であり、例は、Mg(II)、Zn(II)、Mn(II)、Cu(II)またはCu(I)の臭化物、塩化物、ヨウ化物、炭酸塩、硫酸塩である。該反応を全く同様にして、金属交換反応に既知の条件下で実施することができる。
【0007】
付加反応工程(c)に使用されるアルデヒドは、OCH−R20[R20は、HまたはC1−C12アルキルまたはC6−C12アリールまたは−アリールアルキルである]からしばしば選択される。
【0008】
炭化水素またはアシルもしくはシリル残基としてのR17は、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C12アリール、C5−C12アルキルアリールまたはC5−C12アラルキル、C1−C12アシルおよびSiRR’R"[R、R’およびR"は、以下にさらに説明されている]からしばしば選択される。
【0009】
脱離基としてのY’およびZ’は、独立して、C1−C12アルコキシ、C1−C12アアシルオキシ、NH2、C1−C12アルキルアミノ、ヨードなどのハロゲンからしばしば選択され、Y’およびZ’は、一緒になって、R18とともに5または6員複素環式環を形成する。結合された部分としての好適なY’およびZ’としては、−NH−CH2−CH2−NH−、−O−CH2−CH3−O−およびそれらの置換形が挙げられる。
【0010】
置換基は、存在すれば、主として、ハロゲン、OR、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C4−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってよい。
【0011】
上記工程(c)におけるCO2の付加は、主として、例えば化合物
【化3】

[式中、
X’はHまたはカチオンの同等物である]などのようなカルボン酸官能基の導入をもたらし;
アルデヒドOCH−R20の付加は、
【化4】

などのヒドロキシ化生成物をもたらし;得られたこれらのOHまたはCOOH官能基を便利には後続の工程(d)で変換することができる。
【0012】
この方法によって入手可能な好適な生成物は、両方の3,3’位が置換されている(またはこの位置で相互結合して縮合三環モジュールを形成する)2,2’−ジチオフェンであり、過置換末端生成物、すなわち4,4’,5,5’位に置換基(または縮合環)をさらに担持するものが特に好適である。
【0013】
この方法のいくつかの好適な末端生成物の例は、式
【化5】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、Hもしくは置換基、ハロゲン、またはnが0でない場合はSiR645であってよく;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され;R3およびR3’またはR7およびR7’は、一緒になって、架橋基
【化6】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリールまたはC5−C25アラルキルから独立して選択され;隣接残基R4およびR5、ならびに対応するR4’およびR5’は、さらに相互結合して、置換および/または分断されてよい4から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成することができ;
R3およびR3’は、独立して、R7、R7’について定義されている通りであり;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C1−C25アシル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化7】

から選択される架橋基であり、特に、
R3およびR3’は、一緒になって、架橋基
【化8】

を形成することもでき;
MはSiまたはGeであり;
Yは、
【化9】

から選択され;
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化10】

から選択される架橋基を形成し;
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C4−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよい]の生成物である。
【0014】
R7およびR7’が、一緒になって、
【化11】

から選択される架橋基である生成物は、便利には、上記改質/誘導体化工程で形成される。例えば、部分
【化12】

を含む化合物を、アミンH2N−R11との反応によってカルボニル前駆体から形成することができ;
部分
【化13】

を含む化合物を、カルボニル−C上への付加および形成されたOHまたはORの置換をもたらすR12およびR13を導入する好適な試薬との反応によってカルボニル前駆体から形成することができ;
部分
【化14】

を含む化合物を、無水物、チオ無水物またはイミドを形成する好適な反応によって上記ジカルボキシまたはジカルボキシレート前駆体から形成することができ;
部分
【化15】

を含む化合物を、ジカルボニル前駆体(R7およびR7’は一緒になって架橋基
【化16】

を形成する)から、好適なジアミン
【化17】

との反応によって形成することができる。さらなる反応の詳細および変換/改質反応を以下および実施例に説明する。
【0015】
特に工業的に興味深い方法において、式
【化18】

の遊離体化合物から工程(a)または(b)で得られた中間体と、
【化19】

[式中、Rは、独立して、以上に定義されている通りである]とを工程(c)で反応させて
【化20】

を得、それを工程(d)で場合によって例えば上記のようにしてさらに精製する。
【0016】
本発明の方法で得られたいくつかの新規の化合物は、電気または電子用途に特に貴重な特性を有する。したがって、本発明は、式
【化21】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、Hもしくは置換基、ハロゲン、またはnが0でない場合はSiR645であってよく;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され;R3およびR3’またはR7およびR7’は、一緒になって、架橋基
【化22】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリールまたはC5−C25アラルキルから独立して選択され;隣接残基R4およびR5、ならびに対応するR4’およびR5’は、さらに相互結合して、置換および/または分断されてよい4から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成することができ;
R3およびR3’は、独立して、R7、R7’について定義されている通りであり;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化23】

から選択される架橋基であり、特に、
R3およびR3’は、一緒になって、架橋基
【化24】

を形成することもでき;
MはSiまたはGeであり;
Yは、
【化25】

から選択され;
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化26】

から選択される架橋基を形成し;
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C4−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよく;
R7およびR7’は、一緒になって−CO−であれば、R2およびR2’の少なくとも一方は、少なくとも2個の炭素原子、特に4個以上の炭素原子を含む]の化合物を含む。
【0017】
水素でないR12、R13は、最も好ましくは、F、C1−C25アルキルであるか、または互いに相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から12個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成する。
【0018】
このクラスの特に貴重な化合物の例は、式
【化27】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、H、ハロゲンまたはSiR645であり;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC4−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C5−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され;R1またはR1’がSiR645であり、および/またはXが架橋基
【化28】

である場合は、R2およびR2’は、独立して、水素またはC1−C3アルキルであってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C12アルキル、C5−C12シクロアルキル、フェニルまたはC7−C12フェニルアルキルから独立して選択され;
Xは、
【化29】

から選択される架橋基であり;
Yは、
【化30】

から選択され、
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hであるか、またはRについて定義されている通りであり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化31】

から選択される架橋基を形成し:
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C12アルキル、C5−C12シクロアルキル、フェニル、C7−C12アルキルフェニルまたはC7−C12フェニルアルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C12アルキルチオ、C1−C18アシル、C4−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C5−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは水素であってもよい]の化合物である。
【0019】
好適な残基R1およびR1’は、互いに独立して、H、ハロゲン、または特にnが0でない場合は、SiR645である。
【0020】
いくつかのより好適な化合物は、
1およびR1’が、互いに独立して、H、ハロゲンまたはSiR645であり;
2およびR2’が、同じであるか、または異なっていてよく、C4−C18アルキルまたはC5−C25チエニルアルキルもしくはフェニルアルキルから選択され;Xが架橋基
【化32】

である場合は、R2およびR2’が、独立して、水素またはC1−C3アルキルであってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’が、独立して、C1−C18アルキルから選択され;
R3およびR3’またはR7およびR7’が一緒になって、かつXが、
【化33】

から選択される架橋基であり、特に、XまたはR3およびR3’が一緒になって、架橋基
【化34】

を形成することもでき;
Yが
【化35】

であり、
nが0から3の範囲であり;
R8およびR8’が、独立して、H、C1−C18アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルであり;
R9およびR9’が、一緒になって、
【化36】

から選択される架橋基を形成し;
R11がH、OH、C1−C18アルキルまたはC1−C18アルコキシである化合物である。
【0021】
特に工業的に興味深いのは、「対称」化合物、すなわちR1=R1’であり、Yも指数nも同一であり、R2=R2’であり、R3=R3’であり、R4R5R6がR4’R5’R6’と同一であり、R7=R7’等である化合物である。
【0022】
上記式のようなジチオフェン単位は、導電性または半導電性ポリマーの製造のためのモノマーとして極めて好適である。したがって、本発明は、さらに、式
【化37】

[式中、
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C5−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され;R7およびR7’は、一緒になって架橋基
【化38】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C1−C25アシル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化39】

から選択される架橋基であり、架橋基
【化40】

を形成することもでき;
Mは、SiまたはGeであり;
YおよびY"は、
【化41】

から独立して選択され;
nおよびpは、独立して、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化42】

から選択される架橋基を形成し:
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C4−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよい]の少なくとも2つの構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーに関する。
【0023】
このクラスの好適なオリゴマーまたはポリマーは、本発明によって提供され、以上に定義されているジチオフェンについて定義されている残基を含む。
【0024】
オリゴマーまたはポリマーの末端基は、通常、上記R1およびR1’について定義されている通りである。式(XIII)の上記構造単位の他に、本発明のオリゴマーまたはポリマーは、さらなるモノマー単位、特に導電性または半導電性ポリマーの製造に有用なモノマー単位を含むことができる。例えばこれらの式(X)〜(XII)の好適なモノマーから出発する重合を、国際公開第08/000664号に記載されている反応と同様にして実施することができる。ジケトピロロピロール、ジチオフェンなどの好適なコモノマーおよび分枝単位、ならびに共重合のための方法も国際公開第08/000664号に記載されている(その5〜26頁参照)。
【0025】
アシルはスルホン酸、特に、正式には酸OHの抽出によって形成される有機カルボン酸の残基を表す。例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルである。一般に、C1−C18アシルは、基X’−R11を表し、X’はCOまたはSO2であり、R11は、一価の脂肪族または芳香族有機残基から選択され、通常は分子量が300までである。例えば、R11は、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、非置換であるか、またはC1−C8アルキルもしくはハロゲンもしくはC1−C8アルコキシで置換されていてよいC5−C10アリール、非置換であるか、芳香族部分がC1−C8アルキルもしくはハロゲンもしくはC1−C8アルコキシで置換されていてよいC6−C15アリールアルキル、C4−C12シクロアルキルから選択されてよく、X’がCOである場合は、R11はHであってもよい。アシルは、好ましくは、通常は1から30炭素原子の有機酸−CO−R11の脂肪族または芳香族残基であり、R11は、それぞれが置換されているか、または非置換であってよく、かつ/または中でもアルキル残基について他の箇所に記載されているように分断されていてよいアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルを包含し、あるいはR’はHであってよい(すなわちCOR’はホルミルである)。そのため、記載されているように、アリール、アルキル等が好ましい。より好適なアシル残基は、置換または非置換ベンゾイル、置換または非置換C1−C17アルカノイルまたはアルケノイル、例えばアセチルまたはプロピオニルまたはブタノイルまたはペンタノイルまたはヘキサノイル、置換または非置換C5−C12シクロアルキルカルボニル、例えばシクロヘキシルカルボニルである。
【0026】
アリール(例えばC4−C25アリールまたはC1−C14アリール)が使用される場合は、これは、好ましくは、可能な限り多くの二重結合を有する単環式環または多環式環系、例えば、好ましくはフェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニルまたはフルオレニルを含む。アリールという用語は、主として、環構造の一部として、主としてO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む複素環式環(ヘテロアリールとも呼ばれる)であってよいC1−C18芳香族部分を包含する。炭化水素アリールの例は、主として、フェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニル、フルオレニル、特にフェニルを含むC6−C18である。C1−C3ヘテロアリールまたはC4−C18ヘテロアリールなどのヘテロアリールは、芳香族環を形成する原子の中でも特にN、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基を表す。例としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、チエニル、ベンゾチエニル、ピリル、フリル、ベンゾフリル、インジル、カルバゾイル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアジニル、テトラヒドロナフチル、チエニル、ピラゾリル、ジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリルが挙げられる。例えば、フェニル、ナフチル、ピリジル、テトラヒドロナフチル、フリル、チオフェニル、ピリル、キノリル、イソキノリル、アントラキニル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチエニル、特にC6−C10アリールから選択されるC4−C18アリールが好適である。フェニル、ナフチル、フリル、チエニルが最も好適である。
【0027】
ハロゲンは、I、Br、Cl、F、好ましくはCl、Br、特にBrを表す。
【0028】
アルキルは、任意の非環式飽和一価炭化水素基を表し、アルケニルは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む当該基(アリルなど)を表す。同様に、アルキニルは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む当該基(プロパルギルなど)を表す。アルケニルまたはアルキニル基が1つを超える二重結合を含む場合は、これらの結合は、通常は累積せず、−[CH=CH−]nまたは−[CH=C(CH3)−]n[nは、例えば、2〜50であってよい]のように交互に配置され得る。他に指定する場合を除いて、好適なアルキルは、1〜22個の炭素原子を含み、好適なアルケニルおよびアルキニルは、それぞれ2〜22個の炭素原子、特に3〜22個の炭素原子を含む。
【0029】
分断されていることが示される場合は、1個を超える炭素原子、特に2個を超える炭素原子の任意のアルキル部分、または別の部分の一部である当該アルキルもしくはアルキレン部分が、O、S、COO、OCNR10、OCOO、OCONR10、NR10CNR10またはNR10[R10は、H、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、フェニルである]などのヘテロ官能基によって分断されていてよい。それらは、1つまたは複数のこれらのスペーサ基によって分断され、それぞれの場合における1つの基は、概して、アルキルまたはアルキレン部分の1つの炭素−炭素結合、あるいはその部分が結合している炭素−炭素結合に挿入され得る。ヘテロ−ヘテロ結合は、例えばO−O、S−S、NH−NH等は、通常は生じない。分断されたアルキルがさらに置換されている場合は、置換基は、一般にヘテロ原子に対するαでない。−O−、−NR10−、−S−型の2つ以上の分断基が1つの基に存在する場合は、それらはしばしば同一である。分断されたシクロアルキルの例は、ジオキサニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニルである。
【0030】
したがって、アルキルという用語は、使用される場合は必ず、主として特に分断されておらず、適宜置換されたC1−C22アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを包含する。アルコキシはアルキル−O−であり;アルキルチオはアルキル−S−である。
【0031】
ハロアルキルは、ハロゲンで置換されたアルキルを表す、これは、過ハロゲン化アルキル、例えば過フルオロアルキル、特に、分枝状または非分枝状の基であるC1−C12過フルオロアルキル、例えば、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3および−C(CF33を含む。
【0032】
アラルキルは、所定の定義内で、通常、置換されていてよいC7−C24アラルキル基、好ましくはC7−C15アラルキル基、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル;またはフェニル環が1から3個のC124アルキルで置換されたフェニル−C1−C4アルキル、例えば、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジルまたは4−tert−ブチルベンジルまたは3−メチル−5−(1’,1’,3’,3’−テトラメチルブチル)−ベンジルから選択される。
【0033】
したがって、アルケニルという用語は、使用される場合は必ず、主として、分断されておらず、適宜置換されたC2−C22アルキル、例えばビニル、アリル等を包含する。
【0034】
2-24アルキニルなどのアルキニルは、直鎖または分枝状であり、好ましくは、非置換であるか、または置換されていてよいC2-8アルキル、例えば、エチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−テトラコシン−24−イルである。
【0035】
脂肪族環式部分は、シクロアルキル、脂肪族複素環式部分、ならびにシクロアルケニルなどのそれらの不飽和形を含む。C3−C18シクロアルキルなどのシクロアルキルは、好ましくは、C3−C12シクロアルキル、または1から3個のC1−C4アルキル基で置換された前記シクロアルキルであり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチルまたは2−アダマンチルを含む。シクロヘキシル、1−アダマンチルおよびシクロペンチルが最も好適である。C3−C12シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルを含む。これらの残基の中でもC3−C6シクロアルキルならびにシクロドデシル、特にシクロヘキシルが好適である。存在するさらなる環構造は、通常は5から7個の環員、それらの中でも、通常はO、S、NR10[R10はNR10基の分断について以上に説明されている]から選択される少なくとも1個、特に1〜3個のヘテロ部分を含む複素環式脂肪族環(ヘテロシクロアルキル)である。例としては、S、OまたはNR10によって分断されたC4−C18シクロアルキル、例えば、ピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルが挙げられる。C2−C4ヘテロシクロアルキルの例としては、オキシラニル、オキセタニル、ピペラジニル、モルホリニルが挙げられる。2つの隣接環員上の水素原子を抽出して、それらの間に二重結合を形成することによって、これらの構造から不飽和形を導くことができる。当該部分の例はシクロヘキセニルである。
【0036】
1−C24アルコキシなどのアルコキシは、直鎖または分枝状の基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチル、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。
【0037】
6−C18シクロアルコキシは、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシまたはシクロオクチルオキシ、あるいは1から3個のC1−C4アルキルで置換された前記シクロアルコキシ、例えば、メチルシクロペンチルオキシ、ジメチルシクロペンチルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、ジメチルシクロヘキシルオキシ、トリメチルシクロヘキシルオキシまたはtert−ブチルシクロヘキシルオキシである。
【0038】
6−C24アリールオキシは、典型的には、フェノキシ、または1から3個のC1−C4アルキル基で置換されたフェノキシ、例えば、o−、m−またはp−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2−メチル−6−エチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2−エチルフェノキシまたは2,6−ジエチルフェノキシである。
【0039】
6−C24アラルコキシは、典型的には、フェニル−C1−C9アルコキシ、例えば、ベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジルオキシまたは2−フェニルエトキシである。
【0040】
1−C24アルキルチオ基は、直鎖または分枝状アルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、テトラデシルチオ、ヘキサデシルチオまたはオクタデシルチオである。
【0041】
SiRR’R"などのシリルは、好ましくは、以上に定義されている非置換または置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルオキシ(置換基は、好ましくは置換シリル以外である)から選択される2つまたは好ましくは3つの部分、あるいは非置換または置換ヘテロアリールでSi置換されている。Siが2つの置換基を担持する場合、シリル基は、SiH(R2)型の基であり、R2は、好ましくはヒドロカルビルまたはヒドロカルビルオキシである。好適なヒドロカルビル(オキシ)は、C1−C20アルキル(オキシ)、フェニル(オキシ)などのアリール(オキシ)、C1−C9アルキルフェニル(オキシ)[「(オキシ)」は、存在してもしていなくてもよい任意のリンカ「−O−」を表す]である。3つのC1−C20−アルキルまたはアルコキシ置換基がより好適である。すなわち、置換シリルは、R12がC1−C20−アルキルまたは−アルコキシ、特に3つのC1−C8−アルキル置換基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルまたはイソブチルである、Si(R12)3である。
【0042】
閉環、例えば、2つ以上の隣接残基を相互結合させて、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の炭化水素残基などのブリッジを形成することによって公式に形成された環式構造は、全部で5から12個の環原子をしばしば含む。例は、炭化水素環、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、脂環式環、例えば、C5−C12シクロアルキル、以上により詳細に説明されているヘテロアリール、複素環式環、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフランである。
【0043】
最初に言及されているように、本発明の目的は、置換ジチオフェンに至る新規の手法を提供することである。
【0044】
本発明の方法の主要な工程は、中間体3,3’−ジチオ−2,2’−ジチオフェン
【化43】

[式中、残基は以上にさらに定義されている通りである。n=0のものが特に好ましい。]の反応に関する。この中間体を、通常、in situで形成し、以下のスキームに従って反応させて、所望の3,3’−二置換ジチオフェンを形成する:
【化44】

上式において、Halはハロゲン、特にBrを表し、さらなる残基は以上に定義されている通りであり、R1などの同様の名称の残基は、同一であるか、または異なっていてよい。R1は、通常、水素でなく、好ましくはハロゲン(Brなど)またはシリル(例えば、以上に定義されているSiR4R5R6)である。Y’およびZは、有利には、チエニル−リチウムとの共有結合を形成することが可能な部分から選択され、好適な試薬Y’−R7およびY’−X−Zの例は、DMF、CO2、エステル、アミド、アシル塩化物、カルバモイル塩化物、クロロシラン、ホウ酸塩等である。リチウム化剤は、ブチルリチウムなどのLi−アルキルであってよい。反応は、通常、エーテル(ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等)または炭化水素(例えばC5−C8アルカン)などの好適な溶媒を使用して、
当該技術分野で既知のリチウム反応と同様にして、例えば、酸素の不在下で(例えば、N2、Arを使用して)、低温(例えば−100から0℃)にて実施される。
【0045】
例は、3,3’−ジチオ−5,5’−ジ−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェンの反応:
【化45】

である。
【0046】
上記反応の生成物を、便利には、当該技術分野で既知の方法と全く同様にして誘導体化して、例えば、1つまたは複数の共役部分Yを導入し、上記スキームに示されるように閉環し、架橋要素または置換基を交換または延長し、ホモポリマーを得るために重合し、または以上にさらに説明されているようにさらなる好適なモノマーと共重合することによって、本発明のさらなる化合物を得ることができる。さらなる誘導体化の例を以下のスキームに示す:
【化46】

上式において、R14は、好ましくは、ビスチオフェン部分とともに1つまたは複数の二重結合(アリール、ビニル、1−エチニルなどのYH)を含む残基である。
【0047】
本発明の生成物をもたらし、本発明の新規の方法を包含する反応手順の例の概要を以下のスキームに示す:
【化47】

【0048】
本発明の化合物の前駆体の製造方法の多くが既知であるか、または既知の方法と同様にして実施され得る。したがって、2,2’,3,3’置換ビスチオフェンをBull.Soc.Chim.Belg.,1996,615−634に従って得ることができる。例は、以下のスキームに示されている:
【化48】

【0049】
R2は、グリニャール相溶性官能基、あるいはスズキ(ホウ酸誘導体)またはStille(トリアルキル錫誘導体)、Nigishi(ZnCl誘導体)のような他のカップリング反応を含むグリニャール試薬に由来する任意の部分、好ましくはアルキルまたはアリールであってよい。触媒カップリング反応の例は、Helv.Chim.Acta,1996,755−766に記載されているソノガシラカップリングである:
【化49】

その際、エチニルベンゼン試薬を他のアルキニル化合物で置き換えて、さらなる炭素結合置換基R2を得て、それらの初期三重結合をC,C二重結合もしくは一重結合に変換するか、または水素化もしくはさらなる付加反応などの周知の方法に従って1つまたは複数の置換基を導入するのに使用することができる。
【0050】
あるいは、好適に置換されたジチオフェン前駆体を、以下の方法に従ってモノマー遊離体から得ることができる。
・少なくとも2当量の重金属(銅など)をカップリングに使用し、2当量の亜鉛を前駆体に使用する(例えば、テトラへドロンレター、2006、2829−2833:
【化50】

・クマダ型反応(例えば、J.Chem.Soc.Chem.Commun,1987,1021−1023):
【化51】

・カップリングに少なくとも2当量の銀を用い、前駆体に2当量の亜鉛を用いてIIcを製造することができる(JACS2006、10930−10933):
【化52】

【0051】
上記物質II(IIaまたはIIb等)を対応する3,3’,5,5’−四臭化化合物IIIにさらに変換することができ、5−ブロモを置き換えてIVを得ることができる。この反応手順の例を以下のスキームに示す:
【化53】

【0052】
本発明の化合物の好適な例としては、
− R1=Hであり、Brまたはシリルおよびすべての他のRがC置換基を指すVから誘導されたVI型の化合物、例えば、式:
【化54】

の化合物
− R1=Hであり、Brまたはシリルおよびすべての他のRがC置換基を指す記載のVから誘導されたVII型の構造。好適な例は、
【化55】

【化56】

【0053】
シリルR2基の導入を、例えば、以下のスキームに従って行うことができる:
【化57】

【0054】
本発明の化合物およびポリマーを半導体装置で半導体層として使用することができる。したがって、本発明はまた、式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマーを含む半導体装置に関する。半導体装置は、特にダイオード、有機電界効果トランジスタおよび/または太陽電池、あるいはダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタおよび/または太陽電池を含む装置である。多くの種類の半導体装置が存在する。すべての共通点は、1つまたは複数の半導体材料の存在である。半導体装置は、例えば、S.M.Sze in Physics of Semiconductor Devices,2nd edition,John Wiley and Sons,New York(1981)に記載されている。当該装置は、整流器、トランジスタ(p−n−p、n−p−nおよび薄膜トランジスタを含む多くの種類が存在する)、発光半導体装置(例えば、ディスプレイ用途、または例えば液晶ディスプレイにおけるバックライトの有機発光ダイオード)、光導体、電流制限器、太陽電池、サーミスタ、p−n接合、電界効果ダイオードおよびショットキーダイオードなどを含む。それぞれの半導体装置において、半導体材料を1つまたは複数の金属および/または絶縁体と組み合わせて装置を形成する。半導体装置を既知の方法、例えば、Peter Van Zant,Microchip Fabrication,Fourth Edition,McGraw−Hill,New York(2000)に記載されている方法によって調製または製造することができる。特に、有機電子部品をD. R. Gamota et al.,Printed Organic and Molecular Electronics,Kluver Academic Publ.,Boston,2004に記載されているように製造することができる。
【0055】
特に有用な種類のトランジスタ装置、すなわち薄膜トランジスタ(TFT)は、一般には、ゲート電極、ゲート電極上のゲート誘電体、ソース電極およびゲート誘電体に隣接するドレイン電極、ならびにゲート誘電体に隣接し、ソースおよびドレイン電極に隣接する半導体層を含む(例えば、S. M. Sze,Physics of Semiconductor Devices,2.sup.nd edition,John Wiley and Sons,page 492,New York(1981)参照)。これらの部品をトップゲート、ボトムゲートまたは縦形トランジスタなどの様々な構成で組み立てることができる。より具体的には、有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、有機半導体層を有する。
【0056】
典型的には、基板は、製造、試験および/または使用時にOTFTを支持する。場合によって、基板は、OTFTに電気的機能を提供することができる。有用な基板材料は、有機材料および無機材料を含む。例えば、基板は、様々な適切な形のシリコンを含むシリコン材料、無機ガラス、セラミック箔、ポリマー材料(例えば、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレン)(ポリ(エーテルエーテルケトン)またはPEEKとも称されることがある)、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS))、充填ポリマー材料(例えば繊維強化プラスチック(FRP))および被覆金属箔を含むことができる。
【0057】
ゲート電極は、任意の有用な導電性材料であり得る。例えば、ゲート電極は、ドープシリコン、アルミニウム、クロミウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、プラチナ、タンタルおよびチタニウムなどの金属を含むことができる。導電性酸化物、例えばインジウム錫酸化物、あるいはカーボンブラック/グラファイトまたはコロイド銀分散体で構成され、ポリマーバインダを場合によって含む導電性インク/ペーストを使用することもできる。導電性ポリマー、例えば、ポリアニリンまたはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)を使用することもできる。加えて、合金、複合体およびこれらの材料の多層が有用であり得る。いくつかのOTFTにおいて、同じ材料がゲート電極機能を提供するとともに、基板の支持機能を提供することができる。例えば、ドープシリコンは、ゲート電極として機能し、OTFTを支持することができる。
【0058】
ゲート誘電体は、一般に、ゲート電極上に設けられる。このゲート誘電体は、OTFT装置の残りからゲート電極を電気的に絶縁する。ゲート誘電体の有用な材料は、例えば、無機電気絶縁材料を含むことができる。
【0059】
ゲート誘電体(絶縁体)は、酸化物、窒化物などの材料であるか、または強誘電絶縁体(例えば、ポリ(フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレンまたはポリ(m−キシレンアジパミド))の群から選択される材料であるか、または例えばJ.Veres et al.,Chem.Mat.2004,16,4543またはA.Facchetti et al.,Adv.Mat.2005,17,1705に記載されている有機ポリマー絶縁体(例えば、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート)でありうる。ゲート誘電体に有用な材料としては、PbZrxTi1-x3(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、Ba(Zr1-xTix)O3(BZT)を含むが、それらに限定されないストロンチン酸塩、タンタル酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、窒化珪素、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコン酸チタン酸バリウム、セレン化亜鉛および硫化亜鉛が挙げられる。加えて、合金、ハイブリッド材料(例えば、ポリシロキサンまたはナノ粒子充填ポリマー)複合体、これらの材料の多層をゲート誘電体に使用することができる。誘電体層の厚さは、例えば、約10から1000nmであり、より具体的な厚さは、0.1〜100ナノファラド(nF)の範囲のキャパシタンスを与える約100から500nmである。
【0060】
ソース電極およびドレイン電極は、ゲート誘電体によってゲート電極から隔てられ、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の上または下に存在し得る。ソースおよびドレイン電極は、半導体層に低抵抗オーム接触を好適に与える任意の有用な導電性材料であり得る。有用な材料は、ゲート電極について以上に記載されている材料の大半、例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、クロミウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、プラチナ、チタン、ポリアニリン、PEDOT:PSS、他の導電性ポリマー、それらの合金、それらの複合体およびそれらの多層を含む。これらの材料のいくつかは、n型半導体材料に使用するのに適しており、他は、当該技術分野で既知のp型半導体に使用するのに適している。電荷注入を向上させるために、電極(表面)をドープするための様々な方法が文献に記載されている。
【0061】
薄膜電極(すなわち、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極)を物理蒸着法(例えば熱蒸着またはスパッタリング)または(インクジェット)印刷法などの有用な手段によって得ることができる。これらの電極のパターン形成をシャドウマスキング、アディティブフォトリソグラフィー、サブトラクティブフォトリソグラフィー、印刷、ミクロ接触印刷およびパターンコーティングのような既知の方法によって達成することができる。
【0062】
本発明は、さらに、
基板に配置された複数の導電性ゲート電極と、
前記導電性ゲート電極に配置されたゲート絶縁体層と、
集合体の各々が前記ゲート電極の各々と一直線になるように前記絶縁体層に配置された導電性ソースおよびドレイン電極の複数の集合体と、
前記ゲート電極を実質的に覆う前記絶縁体層上のソース電極とドレイン電極の間のチャネルに配置された有機半導体層とを含み、
前記有機半導体層が、式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマー、あるいは1つまたは複数の当該化合物を含む混合物を含む薄層トランジスタ装置を提供する。
【0063】
本発明は、さらに、薄層トランジスタ装置を製造するための方法であって、
複数の導電性ゲート電極を基板に配置する工程と、
ゲート絶縁体層を前記導電性ゲート電極に配置する工程と、
導電性ソース電極およびドレイン電極の複数の集合体を、前記集合体の各々が前記ゲート電極の各々と一直線になるように前記層に配置する工程と、
式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマーの層を、本発明の化合物または当該化合物を含む混合物の前記層が前記ゲート電極を実質的に覆うように前記絶縁体層に配置することによって薄膜トランジスタ装置を得る工程とを含む方法を提供する。
【0064】
式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)をオリゴマー/ポリマーを含む混合物は、式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマー(典型的には5質量%から99.9999質量%、特に20から85質量%)ならびに少なくとも別の材料を含む半導電層をもたらす。他の材料は、異なる分子量の式(XIII)の同じポリマーの一部、本発明の別の化合物、半導電性ポリマー、有機小分子、炭素ナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子点、量子棒、量子三脚、TiO2、ZnO等)、導電性粒子(Au、Ag等)、ゲート誘電体について記載されている材料のような絶縁体材料(PET、PS等)であり得るが、それらに限定されない。
【0065】
ヘテロ接合太陽電池では、活性層は、好ましくは、質量比が1:1から1:3の式Iのポリマーと[60]PCBM(=6,6−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)または[70]PCBMなどのフラーレンとの混合物を含む。
【0066】
任意の好適な基板を使用して、本発明の化合物および/またはポリマーの薄膜を調製することができる。好ましくは、上記薄膜を製造するのに使用される基板は、金属、シリコン、プラスチック、紙、被覆紙、繊維、ガラスまたは被覆ガラスである。
【0067】
あるいは、TFTは、例えば、熱成長酸化物層で被覆された高度にドープされたシリコン基板上に本発明の化合物および/またはポリマーを溶液付着させた後、ソースおよびドレイン電極を真空蒸着し、パターン形成することによって作製される。
【0068】
さらに別の手法において、TFTは、熱成長酸化物で被覆された高度にドープされたシリコン基板上にソースおよびドレイン電極を蒸着し、該化合物および/またはポリマーを溶液付着させて薄膜を形成することによって作製される。
【0069】
ゲート電極は、基板上のパターン形成金属ゲート電極または導電性ポリマーなどの導電性材料でもあり得、次にそれは、溶液コーティングまたは真空蒸着によってパターン形成ゲート電極に塗布された絶縁体で被覆される。
【0070】
不活性であり、従来の乾燥手段(例えば、加熱、減圧、気流等)によって基板から部分的または完全に除去され得るのであれば、任意の好適な溶媒を使用して、本発明の化合物および/またはポリマーを溶解および/または分散させることができる。本発明の半導体を処理するための好適な有機溶媒としては、芳香族または脂肪族炭化水素、ハロゲン化物、例えば塩素化またはフッ素化炭化水素、エステル、エーテルアミド、例えばクロロホルム、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラリン、アニソール、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。次いで、溶液および/または分散体を、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、ミクロ接触印刷、ドクターブレード法または当該技術分野で既知の他の溶液塗布技術によって基板に塗布し、半導電材料の薄膜を得る。
【0071】
「分散体」という用語は、溶媒に完全には溶解しない本発明の半導体材料を含む任意の組成物を包含する。少なくとも式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマー、あるいは当該化合物を含む混合物、ならびに溶媒を含む組成物であって、該化合物/ポリマーは、室温における溶媒の溶解度が比較的小さいが、高温における溶媒への溶解度が比較的大きく、該組成物は、撹拌することなく高温を第1のより低い温度まで下げるとゲル化する組成物を選択し;
−該化合物/ポリマーの少なくとも一部を高温で溶媒に溶解させ;該組成物の温度を高温から第1のより低い温度まで下げ;該組成物を撹拌してゲル化を中断し(撹拌は、該組成物の高温を第1のより低い温度まで下げる前、同時または後の任意の時点で開始する);高温より低い第2のより低い温度である該組成物の層を堆積し;該層を少なくとも部分的に乾燥させて、分散を実施することができる。
【0072】
(a)溶媒、バインダ樹脂および場合によって分散剤を含む連続相、ならびに(b)式(XI)、(XII)の化合物および/または式(XIII)のオリゴマー/ポリマー、あるいは本発明の化合物および/またはポリマーを含む混合物を含む分散相で分散体を構成することもできる。この化合物/ポリマーの溶媒への溶解度は、例えば、0%から約20%溶解度、特に0%から約5%溶解度の範囲であってよい。
【0073】
好ましくは、有機半導体層の厚さは、約5から約1000nmの範囲であり、特に、その厚さは、約10から約100nmの範囲である。
【0074】
本発明の化合物/ポリマーを半導体装置の有機半導体層として単独で、または組み合わせて使用することができる。該層を任意の有用な手段、例えば、蒸着(比較的低分子量の材料の場合)および印刷技術によって設けることができる。本発明の化合物は、有機溶媒に十分に可溶であってよく、(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、ミクロ接触(ウェーブ)印刷、ドロップもしくはゾーンキャスティングまたは他の既知の技術によって)溶液付着およびパターン形成され得る。
【0075】
本発明の化合物/ポリマーを、複数のOTFTを含む集積回路、ならびに様々な電子製品に使用することができる。当該製品としては、例えば、高周波識別(RFID)タグ、(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話または携帯機器に使用される)フレキシブルディスプレイのバックプレーン、スマートカード、記憶装置、センサ(例えば、光センサ、画像センサ、バイオセンサ、ケモセンサ、メカニカルセンサまたは温度センサ)、特にフォトダイオードまたはセキュリティ装置などが挙げられる。その両極性により、該材料を有機発光トランジスタ(OLET)に使用することもできる。
【0076】
本発明は、本発明によるポリマーを含む有機光起電力(PV)装置(太陽電池)を提供する。
【0077】
PV装置は、
(a)陽極(電極)、
(b)場合によってアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムなどの移行層、
(c)光活性層、
(d)場合によって平滑層、
(e)陰極(電極)、
(f)基板
をこの順序で含む。
【0078】
光活性層は、本発明のポリマーを含む。好ましくは、光活性層は、フラーレンのような電子供与体および受容体材料、特に電子受容体としての官能化フラーレンPCBMとして本発明の共役ポリマーで構成される。
【0079】
本発明に有用なフラーレンは、広範なサイズ(分子毎の炭素の数)を有することができる。本明細書に使用されているフラーレンという用語は、バックミンスターフラーレン(C60)および関連する「球状」フラーレンならびに炭素ナノチューブを含む純粋の炭素の様々なケージ様分子を含む。フラーレンを、例えばC20−C1000の範囲の当該技術分野で既知のものから選択することができる。好ましくは、フラーレンは、C60からC96の範囲から選択される。最も好ましくは、フラーレンは、[60]PCBMまたは[70]PCBMなどのC60またはC70である。修飾されたフラーレンが受容体型および電子移動特性を有するのであれば、化学的に修飾されたフラーレンを利用することも許容可能である。受容体材料は、また、本発明の別の化合物および/またはポリマー、あるいはポリマーが受容体型および電子移動特性を有するのであれば任意の半導電性ポリマー、有機小分子、炭素ナノチューブ、無機粒子(量子点、量子棒、量子三脚、TiO2、ZnO等)から選択される材料であり得る。
【0080】
電極は、好ましくは、金属または「金属置換基」で構成される。本明細書において、「金属」という用語は、元素として純粋の金属、例えばMgで構成される材料、および2つ以上の元素として純粋の金属で構成される材料である金属合金、例えば、Mg:Agで表されるMgとAgが一体化したものの両方を包含するように使用される。ここで、「金属置換基」という用語は、通常の定義内の金属でなく、特定の適切な用途において所望される金属様特性を有する材料を指す。例は、国際公開第08/135632号に記載されている印刷可能な導電性インクである。電極および電荷移動層に広く使用されている金属置換基は、ドープされた広バンドギャップ半導体、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムインジウム錫酸化物(GITO)および亜鉛インジウム錫酸化物(ZITO)などの透明導電性酸化物を含む。別の好適な金属置換基は、透明導電性ポリマーポリアナリン(PANI)およびその化学的類似体またはPEDOT:PSSである。金属置換基を、さらに、広範な非金属材料から選択することができ、「非金属性」という用語は、材料がその化学的に分離した形で金属を含まなければ、広範な材料を包含することを意味する。高度に透明な非金属性の低抵抗陰極、または高効率性の低抵抗金属/非金属化合物陰極は、例えば、US−B−6,420,031およびUS−B−5,703,436に開示されている。
【0081】
基板は、例えば、プラスチック(フレキシブル基板)またはガラス基板であり得る。
【0082】
本発明の別の好適な実施形態において、平滑層は、陽極と光活性層の間に位置する。この平滑層の好適な材料は、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)または3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレン−スルホネート(PEDOT:PSS)の膜を含む。
【0083】
本発明の好適な実施形態において、光起電力電池は、例えばUS−B−6,933,436に記載されているように、インジウム/錫酸化物(ITO)で構成された電極層が塗布される透明ガラス担体を含む。この電極層は、一般には、比較的粗い表面構造を有するため、ドーピングを介して導電性が付与されたポリマー、典型的にはPEDOTで構成された平滑層で被覆される。光活性層は、2つの成分で構成され、使用方法に応じて、例えば100nmから数μmの厚さを有し、この平滑層に塗布される。光活性層は、電子供与体およびフラーレン、特に電子受容体としての官能化フラーレンPCBMとして、本発明の共役化合物および/またはポリマーで構成される。これら2つの成分は、溶媒と混合され、例えば、スピンコーティング法、キャスティング法、ラングミュア・ブロジェット(「LB」)法、インクジェット印刷法およびドリップ法によって平滑層に溶液の形で塗布される。スキージまたは印刷法を使用して、当該光活性層でより大きな表面を被覆することも可能である。典型的なトルエンの代わりに、クロロベンゼンなどの分散剤を溶媒として使用するのが好ましい。これらの方法のなかでも、真空蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット印刷法およびキャスティング法が、作業の容易さおよび費用の点で特に好適である。
【0084】
スピンコーティング法、キャスティング法およびインクジェット印刷法を使用することによって層を形成する場合は、該組成物を0.01から90質量%の濃度でベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンおよびそれらの混合物などの適切な有機溶媒に溶解または分散させることによって調製された溶液および/または分散体を使用してコーティングを実施することができる。
【0085】
対向電極を使用する場合は、事前に例えば0.6nmの層厚を有する、電気絶縁性でなければならない薄い移行層を光活性層4に塗布する。この例示的な実施形態において、この移行層は、0.2nm/分の速度にて2・10-6torrの真空中で蒸着されるアルカリハロゲン化物、例えばフッ化リチウムで構成される。
【0086】
ITOが正孔収集電極として使用される場合は、電気絶縁移行層に蒸着されたアルミニウムは、電子収集電極として使用される。移行層の電気絶縁特性は、特に光活性層から移行層への移行領域において、電荷担体の交差が有効になることを妨害する影響を明らかに防止する。
【0087】
本発明のさらなる実施形態において、それらの層の1つまたは複数を、次の層を堆積する前にプラズマで処理することができる。次の層の堆積の前に、PEDOT:PSS層に軽いプラズマ処理を施すのが特に有利である。
【0088】
光起電力(PV)装置は、また、太陽スペクトルをより多く吸収するために、互いの上部が処理される複数の接合太陽電池から構成され得る。当該構造は、例えば、App.Phys.Let.90,143512(2007),Adv.Funct.Mater.16,1897−1903(2006)および国際公開2004/112161に記載されている。
【0089】
所謂「積層型太陽電池」は、
(a)陽極(電極)、
(b)場合によってアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムなどの移行層、
(c)光活性層、
(d)場合によって平滑層、
(e)中央電極(Au、Al、ZnO、TiO2等)、
(f)場合によって、エネルギーレベルを整合するための追加電極、
(g)場合によってアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムなどの移行層、
(h)光活性層、
(i)場合によって平滑層、
(j)陽極(電極)、
(k)基板
をこの順序で含む。
【0090】
PV装置を、例えばUS20070079867およびUS20060013549に記載されているように繊維で処理することもできる。
【0091】
それらの自己組織化特性が優れるため、発明の化合物、材料または膜を、例えばUS2003/0021913に記載されているように、LCDまたはOLED装置におけるアラインメント層に、または当該層として単独で、または他の材料と一緒に使用することもできる。
【0092】
以下の実施例は、例示のみを目的として含められているものであり、請求項の範囲を制限するものと見なされるべきではない。他に指定する場合を除いて、すべての部および百分率は、質量に基づき、室温は、18〜23℃の範囲を指す。分析データは、調製実施例の最後の表に集約されている。略語:
NBS N−ブロモスクシンイミド
LDA リチウムジイソプロピルアミド
【0093】
実施例
実施例1
【化58】

【0094】
a)200mlの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中40gの化合物1の溶液をリチウムジイソプロピルアミド(ヘキサン中ブチリチウムの100mlの2.7M溶液および200mlの乾燥THF中28.8gのジイソプロピルアミンから調製されたLDA)の溶液に−70℃にて窒素雰囲気下で迅速に添加する。該混合物の色が橙色〜褐色になった後に、該混合物を−20℃まで加温させ、次いで100mlの水を添加する。有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させる。残渣をメタノールから再結晶させて、36.5gの4,4’−ジブロモ−2,2’−ジチオフェンをオフホワイトの粉末として得た(収率91.2%)。
【0095】
(9gのマグネシウム粉および200mlのジエチルエーテル中87.0gのn−ドデシル臭化物から調製された)エーテル中n−ドデシル臭化マグネシウムの溶液を40gの4,4’−ジブロモ−2,2’−ジチオフェンの溶液に徐々に添加する。200mlのジエチルエーテル中1mol%のNiCl2(dppp)(dppp=Ph2PCH2Ch2CH2PPh2)を、内部温度が20℃を超えないように添加する。次いで、該混合物を室温で2時間撹拌し、200mlの水をそれに添加する。有機相を分離し、希塩酸および塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させる。残渣をメタノールに懸濁させ、濾過によって55.8gの4,4’−n−ジドデシル−2,2−ジチオフェンをベージュ色の粉末として得る(収率70%)。
【0096】
12.8gの臭素を100mlのクロロホルムおよび40mlの酢酸中10.1gの4,4’−n−ジドデシル−2,2−ジチオフェンの溶液に0℃にて窒素雰囲気下で滴加する。該混合物を60℃で16時間加熱する。室温まで冷却した後、該混合物を50mlの亜硫酸ナトリウムの飽和溶液で処理する。有機相を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液および塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させる。残渣をメタノールに懸濁させ、濾過によって14.5gの化合物2をベージュ色の粉末として得る(収率88.4%)。
【0097】
【化59】

【0098】
b)10gの化合物2を150mlの乾燥THFおよび70mlのヘプタンに窒素雰囲気下で溶解させ、該溶液を−20℃まで冷却する。ヘプタン中ブチルリチウムの9.5mlの2.7M溶液を添加した後、得られた溶液を−20℃で1時間撹拌し、3mlの塩化トリメチルシリル(TMSCI)をそれに添加し、得られた混合物を−20℃で15分間撹拌し、次いで室温まで加温する。さらに1時間撹拌した後、50mlの水を添加する。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させて、9.9gの化合物3を橙色〜褐色の半固体の残渣として得る(収率100%)。
【0099】
【化60】

【0100】
c)遊離体3を窒素雰囲気下で500mlの乾燥THFに溶解させ、該溶液を−60℃まで冷却する。ヘプタン中BuLiの2.7M溶液を1回で添加し、該混合物を−30℃まで加温した後、11.5mlの塩化ジメチルカルバミルを添加する。−20℃で15分間撹拌した後、該混合物を0℃まで加温させ、100mlの水をそれに添加する。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させて、化合物4を赤色残渣として得る(収率58%)。
【0101】
d)化合物5に対するさらなる反応のために、化合物4を単離する必要はない。c)の有機相を分離し、塩水で洗浄する。37.4gのN−ブロモスクシンイミド(NBS)を0℃でそれに添加し、該混合物を0℃で30分間、そして室温でさらに1時間撹拌する。蒸発後、残渣を水で洗浄し、200mlのメタノールに懸濁させる。該混合物を還流下で1時間加熱し、冷却後、室温まで加熱する。濾過によって生成物5を暗紫色の薄片として得る(収率55%)。
【0102】
【化61】

【0103】
e)0.94gのテトラキストリフェニルホスフィノパラジウムを100mlのトルエン中11.13gの化合物5および15.1gの化合物6の脱気溶液に添加し、還流下で16時間加熱し、室温まで冷却し、シリカゲルで濾過する。濾液を蒸発させ、残渣を100mlのメタノールに懸濁させ、1時間撹拌し、濾過によって10.5gの3,5−ジドデシル−2,6−ジ(チエン−2−イル)−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン7を暗青色の固体として得る(収率95%)。
【0104】
11.5gの先述の生成物を100mlのTHFに溶解させ、該溶液を0℃まで冷却する。5.7gのNBSをそれに添加し、得られた混合物を0℃で30分、そして室温でさらに1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣をメタノールに懸濁させ、濾過によって13.0gの化合物7を暗青色の固体として得る(収率95%)。
【0105】
化合物6の代わりに4−アルキル化2(トリブチル錫)−チオフェン(アルキル=n−ブチル[7a]、2−エチルヘキシル[7b]、n−ドデシル[7c])を使用して、対応するジアルキル化形7a、7bまたは7cを同様の手順で得る。
【0106】
f)上記(e)項に記載されている手順と同様のさらなる反応手順および以下のスキームfiまたはfiiに示される試薬の使用により、生成物8または8’を得る。
【0107】
【化62】

【0108】
実施例2
【化63】

【0109】
a)150mlの乾燥THF中化合物3の溶液(上記実施例1b参照)を−40℃まで冷却する。ヘプタン中BuLiの16mlの2.7M溶液を添加し、得られた溶液を−20℃で15分間撹拌する。2.58gのジメチルジクロロシランをそれに添加し、該混合物を0℃で30分間、そして室温でさらに1時間撹拌した後、50mlの1N塩酸を添加する。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥して蒸発させて、化合物9を無色液体として得る(収率95%)。
【0110】
b)実施例1eに示されている方法と同様にNBSを使用して臭素化し、化合物10を得る。
【0111】
c)ジメチルジクロロシランの代わりに等量のジフェニルジクロロシランを使用することを除いて、上記セクション(a)および(b)に示されているのと同じ反応手順により、90%の全体収率の化合物30を得る。
【0112】
【化64】

d)対応する4,4’−n−ジドデシル遊離体3でなく、4,4’−ジ−n−ヘキシル−3,3’−ジブロモ−5,5’−ジ(トリメチルシリル)−2,2−ジチオフェン3’から出発する点を除いては、上記セクション(a)に示されているのと同じ反応手順により、化合物38を得る。
【0113】
【化65】

【0114】
e)遊離体5でなく上記遊離体10から出発する点を除いては、実施例1のセクション(e)に示されているのと同じ反応手順により化合物40を得る。
【0115】
【化66】

【0116】
実施例3
【化67】

【0117】
a)ジクロロジメチルシランの代わりに3.20gの1,4−ジメチルピペラジン−2,3−ジオンを使用する点を除いては実施例2aに従って、化合物11を赤色粉末(収率:40%)として得る。
【0118】
b)実施例1eに示されている方法と同様にNBSを使用して臭素化し、化合物12を得る。
【0119】
実施例4:3,3’−ジブロモ−5,5’−ジ−トリメチルシリル−2,2’−
ジチオフェン
【化68】

【0120】
新たに調製したLDA溶液(82mlブチルリチウム[ヘプタン中2.7m]、22.6gのジ−イソプロピルアミンおよび300mlの乾燥THF)に対して、150mlの乾燥THF中32.4gの3,3’−ジブロモ−2,2’−ジチオフェン13の溶液を−78℃にて窒素雰囲気下で徐々に添加する。該溶液を−20℃まで徐々に加温し、15分間撹拌し、次いで−78℃まで再度冷却する。27.2gのトリメチルシリルクロリドを一度に添加し、該溶液を0℃まで徐々に加温する。0℃で1時間撹拌した後、100mlの水を添加することによって反応混合物を失活させる。相を分離し、有機相を塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。残渣をメタノールに懸濁させ、形成した固体を濾過によって回収し、真空下で乾燥する。43g(92%)の表題化合物15をオフホワイトの粉末として得る。
【0121】
実施例5:1,6ジ−トリメチルシリル−3,4−シクロペンタチオフェノンおよび1,6−ジブロモ−3,4−シクロペンタチオフェノン
【化69】

【0122】
46.8gの3,3’−ジブロモ−5,5’−ジ−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェンを500mlの乾燥THFに窒素雰囲気下で溶解させ、−60℃まで冷却する。78mlのブチルリチウム(ヘプタン中2.7M)を一度に添加する。温度を約−40℃まで上昇させる。乾燥した氷浴を除去し、反応混合物を−30℃まで徐々に加温する。この時点で、20mlの乾燥THF中11.5mlのジメチルカルバモイルクロリドを一度に添加する。温度を約−20℃まで上昇させ、反応混合物をその温度で15分間撹拌し、次いで0℃まで徐々に加温する。100mlの水を添加することによって反応混合物を失活させる。相を分離し、有機相を塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させて、約90%の生成物16を含む33.1gの赤色残渣を得る(NMR;88.5%の収率に対応する)。フラッシュクロマトグラフィーまたはメタノールへの懸濁によって精製を達成することができる。
【0123】
1,6ジブロモ−3,4−シクロペンタチオフェノン17:100mlの水を添加することによって反応混合物を失活させる。相を分離し、有機相を塩水で1回洗浄する。相分離後、37.4gのN−ブロモスクシンイミドを0℃で一度に有機相に添加する。反応混合物を0℃で30分、そして室温で1時間撹拌する。蒸発して乾固させた後、残渣をそれぞれ200mlの水で2回洗浄し、それをデカントし、次いで200mlのメタノール中で1時間にわたって煮沸する。室温まで冷却した後、生成物を濾過によって回収する。30.1g(85.2%)の表題化合物17を暗紫色の薄片として得る。
【0124】
実施例6:1,6ジブロモ−3,4−シクロペンタチオフェノンオキシム
【化70】

【0125】
500mlのエタノール中60gの1,6ジブロモ−3,4−シクロペンタチオフェノン17、40gのヒドロキシルアミン塩酸塩および50gのピリジンを2時間還流させ、赤色懸濁液を室温まで冷却し、200mlの水で希釈し、濾過する。フィルタケーキを水およびメタノールで順次洗浄し、真空下で乾燥する。60g(96%)の表題化合物18を暗赤色粉末として得る。
【0126】
実施例7:7,7−ジメチル−2,5−ビス−トリメチルシラニル−7H−3,4−ジチア−7−シラ−シクロペンタ[a]ペンタレン
【化71】

【0127】
150mlの乾燥THF中9.37gの3,3’−ジブロモ−5,5’−ジ−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェンの溶液を−40℃まで冷却する。16mlのブチルリチウム(ヘプタン中2.7M)を一度に添加し、得られた溶液を−20℃で15分間撹拌する。2.58gのジメチルジクロロシランを一度に添加し、反応塊を0℃で30分間、そして室温で1時間撹拌する。50mlの1NのHClを添加することによって反応混合物を失活させる。相を分離し、有機相を塩水で二回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させて、NMRによって測定するとほぼ純粋である6.95g(95%(理論値))の表題化合物を無色の液体として得る。
【0128】
ジメチル二塩化ゲルマニウムを用いた同じ反応手順によりYを75%の全収率で得る:
【化72】

【0129】
実施例8:2,7−ビス−トリメチルシラニル−ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4,5−ジオンおよび誘導体
【化73】

【0130】
150mlの乾燥THF中9.37gの3,3’−ジブロモ−5,5’−ジ−トリメチルシリル−2,2’−ジチオフェンを−40℃まで冷却する。16mlのブチルリチウム(ヘプタン中2.7M)を一度に添加し、得られた溶液を−20℃で15分間撹拌する。3.20gの1,4−ジメチル−ピペラジン−2,3−ジオンを一回で添加し、反応混合物を室温まで加温させ、この温度でさらに1時間撹拌する。50mlの1NのHClを添加することによって反応混合物を失活させる。相を分離させ、有機相を塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させて、赤色残渣を得、それをヘキサンに懸濁させる。得られたスラリーを1時間撹拌し、次いで濾過する。フィルタケーキをヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥する。3.4g(46%(理論値))の表題化合物を暗赤色の粉末として得る。
【0131】
b)実施例8aの上記生成物21とo−ジアミノベンゼンとを反応させることによって、以下の化合物22を得る。o−ジアミノベンゼンの代わりに1,2−ジアミノ−4,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−ベンゼンを使用して22bを得る。一般手順:10mmolの化合物21および10mmolの芳香族オルト−ジアミンを50mlのエタノールに溶解させ、2時間還流させる。0℃まで冷却した後、黄色の析出物を濾過し、低温エタノールで洗浄し、真空オーブンにて乾燥して、対応するキノキサリン22または22bを得る。
【0132】
【化74】

【0133】
100mlのTHF中化合物22または22bの溶液に対して、2当量のN−ブロモスクシンイミドを一回で添加し、反応混合物を40℃に加熱し、この温度で16時間撹拌する。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣を水で数回洗浄し、次いでエタノールから再結晶させる。60〜80%の収率の対応するキノキサリン22aまたは22c(R=Br)。
【0134】
【化75】

【0135】
実施例8c
【化76】

【0136】
1.82g(5mmol)の化合物21および0.94g(5mmol)の2−アミノ−4−ブロモアニリンを10mlのエタノール中で終夜還流させ、室温まで冷却し、生成物を濾別する。2.4g(93%)の生成物38を得る。
【0137】
【化77】

【0138】
2.4g(4.65mmol)の生成物38、0.93g(6.97mmol)のビニルトリフルオロホウ酸カリウム、0.42g(0.465mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、6.7g(23.25mmol)のテトラフルオロホウ酸トリ−t−ブチルホスホニウムを20mlのTHF中で混合し、脱気し、50℃に加熱する。リン酸カリウムの脱気水溶液を添加し、反応混合物を還流させながら3時間撹拌する。ヘキサン:酢酸エチル(1:20)を用いたカラムクロマトグラフィーによって生成物を精製する。1.3g(59.1%)の生成物39を得る。
【0139】
実施例9:3,5−ジドデシル−2,6−ジ−(5−ブロモ)チオフェン−2−イル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(ヤマモト重合)
【化78】

【0140】
100ml反応器に窒素洗浄グローブボックスにて1.48gのNiCOD2および0.84gの2,2’−ビピリジンを充填する。20mlのトルエン(脱気)を添加した後、反応器を隔膜で密閉し、反応混合物を、深青色のスラリーが得られるまで超音波浴にて均質化する。3gの3,5−ジドデシル−2,6−ジ−(5−ブロモ)チオフェン−2−イル−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オンを15mlのトルエンに溶解させ、脱気する。この溶液を、シリンジを介してニッケル溶液に上から添加し、混合物全体を80℃に加熱する。30分後、製造物を固体のゴム状の暗青色の塊として単離する。
【0141】
テトラアルキル化出発材料7a、7bまたは7cを使用して、構造が化合物24と類似するが、各モノマー単位に4つのアルキル基を含むポリマー23、25および26を得る。
【0142】
実施例10:
【化79】

【0143】
5gの化合物19および5当量のトリメチルクロロシランを50mlのTHFに溶解させ、−10℃まで冷却する。上記溶液に、(20mlのTHF中2.1当量のブチルリチウムおよび2.2当量のジイソプロピルアミンから)新たに調製したLDA溶液を徐々に滴下する。該溶液を−10℃で1時間撹拌し、次いで0℃まで徐々に加温する。飽和NH4Cl溶液を添加することによって反応物を失活させる。処理して、化合物32を90%の収率で得る。
【0144】
実施例11:
【化80】

【0145】
a)5mlのTHF中0.5gの化合物4の溶液を−20℃で1.1当量のブチルリチウムで処理し、次いで0℃まで徐々に加温する。1.1当量の無水トリフルオロ酢酸を添加することによって反応物を失活させ、室温でさらに1時間撹拌する。
【0146】
10mlのtert.ブチルメチルエーテルを添加し、反応混合物を重炭酸ナトリウムおよび塩水で洗浄する。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して乾固させる。残渣を5mlのDMSOおよび0.1mlのトリフルオロ酢酸に溶解させ、70℃で5時間撹拌し、冷却し、重炭酸ナトリウム飽和溶液に注ぐ。水性スラリーをtert.ブチル−メチルエーテルで2回抽出し、一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して乾固させる。0.35gの化合物33を灰色〜白色の固体として得る。
【0147】
b)トルエン中上記生成物の溶液を3当量のRed−Al(THF中1M)で処理し、80℃で2時間撹拌する。冷却後、続いて反応混合物を希HClおよび塩水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して乾固させる。
【0148】
上記残渣をDMSOに溶解させ、1.5当量の臭化ブチル、5当量のKOHおよび触媒量のKIを添加後、室温で16児間撹拌する。反応塊を希HClに注ぎ、水性スラリーをヘキサンで2回抽出する。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して乾固させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、0.29gの化合物34を白色固体として得る。
【0149】
c)実施例8の最後の工程に記載されている方法による臭素化によって化合物35を得る。
【0150】
実施例12:
【化81】

【0151】
a)10gの化合物3を実施例1c)に記載されているようにリチウム化し、次いで−78℃まで冷却する。5gの固体の二酸化炭素を一回で添加し、該溶液を室温まで加温する。溶液を再び0℃まで冷却し、希HClで失活させ、TBMEで二回抽出する。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して乾固させる。50mlの無水酢酸を残渣に添加し、該懸濁液を2時間還流させる。冷却後、スラリーをヘキサンで数回抽出し、一緒にしたヘキサン相を蒸発して乾固させ、さらに真空オーブンにて乾燥して、7.4gの化合物36を赤〜白色固体として得る。
【0152】
b)上記生成物をTHFに溶解させ、0℃にて2.2当量のヘキシルアミンで処理し、室温で1時間撹拌する。標準的な処理(TBME、希HCl、塩水)の後に、残渣を酢酸に懸濁させ、それぞれ10当量の無水酢酸および酢酸ナトリウムで処理し、16時間還流させる。次いで、溶媒の大部分を蒸発させ、残渣を重炭酸ナトリウム水溶液に懸濁させた後、TBMEで抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗浄し、乾燥し、蒸発して乾固させて、7.6gの化合物37を黄色固体として得る。
【0153】
調製したいくつかの化合物の物理データを以下の表にまとめる。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【0154】
応用実施例:電界効果トランジスタ
a)実験
p−Siゲートを有するボトムゲート薄膜トランジスタ(TFT)構造体をすべての実験に使用する。高品質の熱SiO2層は、Ci=32.6nF/cm2キャパシタンス毎単位面積のゲート絶縁体として機能する。ソース電極およびドレイン電極をフォトリソグラフィーによって直接ゲート−酸化物上にパターン形成する(ボトム接触構成)。各基板上に、異なる長さのチャネルを定めるAuソース/ドレイン電極を有する16個のトランジスタが存在する。有機半導体を堆積する前に、SiO2表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)またはオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で誘導体化する。実施例w)、x)、y)で得られたポリマーを異なる溶媒にてスピンキャスティングまたはドロップキャスティングすることによって膜を調製する。トランジスタ挙動をCSEM、トランジスタプローブTP−10によって作製された自動テスターで測定する。
【0155】
b)トランジスタ性能
実施例9の化合物24を使用して調製された薄膜トランジスタは、p型トランジスタ挙動を示す。トランジスタは、良好な電界効果移動および閾値電圧を示す。該トランジスタは、103のオン/オフ電流比を示す。
【0156】
ポリマー23、25または26を使用して調製された薄膜トランジスタを用いても良好な結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換2,2’−ジチオフェンを製造するための方法であって、
a)式
【化1】

[式中、
Halは、水素またはハロゲン、特にBrを表し、
R1およびR1’は、独立して水素または置換基であり、
nは0から6、好ましくは0であり;
Yは、存在すれば、置換または非置換フェニレン、チエン、1,2−エチレンであるか、または1,2−エチニレンであり;
R2およびR2’は、独立して水素であるか、あるいはそれぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され、R2および/またはR2’はハロゲンであってもよい]の化合物と、好適なリチウム有機化合物、好ましくはLi−アルキルまたはLi−アルキルアミドとを反応させる工程と、
b)好適な金属塩または金属有機化合物との反応によって、リチウムをMg、ZnおよびCuから選択される別の金属と場合によって交換する工程と、続いて
c)工程(a)または(b)で得られた金属中間体と、CO2もしくはアルデヒド(付加反応)、または化合物Y’−R17もしくはY’−R18−Z(置換反応)[R17は好適な炭化水素またはアシルもしくはシリル残基であり、R18は、CO、CO−CO、
【化2】

[式中、R4、R5およびR10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択される]から選択され、
Y’およびZ’は、工程(a)または(b)で形成された金属チエニル中間体との反応を可能にする好適な脱離基である]である好適な求電子体とを反応させる工程と、場合によって
d)例えば以上に定義されている1つまたは複数の共役部分Yの導入、好適な一価の残基R17の間の閉環、R17またはR18におけるカルボニルへの付加またはカルボニルの置換などの官能基または置換基の交換または延長によって、工程(c)で得られた生成物を改質する工程とを含む方法。
【請求項2】

【化3】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、Hもしくは置換基、ハロゲン、またはnが0でない場合はSiR645であってよく;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され、R2および/またはR2’はハロゲンであってもよく;R3およびR3’またはR7およびR7’は、一緒になって、架橋基
【化4】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリールまたはC5−C25アラルキルから独立して選択され;隣接残基R4およびR5、ならびに対応するR4’およびR5’は、さらに相互結合して、置換および/または分断されてよい4から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成することができ;
R3およびR3’は、独立して、R7、R7’について定義されている通りであり;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C1−C25アシル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化5】

から選択される架橋基であり、特に、
R3およびR3’は、一緒になって、架橋基
【化6】

を形成することもでき;
MはSiまたはGeであり;
Yは、
【化7】

から選択され;
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化8】

から選択される架橋基を形成し;
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C1−C25アルキルチオ、C1−C25アシル、C4−C10アリール、C1−C9ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C2−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C25アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C25アルキル、C1−C25ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよい]に従う置換2,2’−ジチオフェンを調製するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)または(b)で得られた中間体と、
【化9】

[式中、
Rは、水素、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから独立して選択される]
とを工程(c)にて反応させて、式
【化10】

の化合物を得、それを工程(d)において場合によってさらに改質する請求項1に記載の方法。
【請求項4】

【化11】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、Hもしくは置換基、ハロゲン、またはnが0でない場合はSiR645であってよく;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され、R2および/またはR2’はハロゲンであってもよく;R3およびR3’またはR7およびR7’は、一緒になって、架橋基
【化12】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリールまたはC5−C25アラルキルから独立して選択され;隣接残基R4およびR5、ならびに対応するR4’およびR5’は、さらに相互結合して、置換および/または分断されてよい4から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成することができ;
R3およびR3’は、独立して、R7、R7’について定義されている通りであり;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化13】

から選択される架橋基であり、特に、
R3およびR3’は、一緒になって、架橋基
【化14】

を形成することもでき;
MはSiまたはGeであり;
Yは、
【化15】

から選択され;
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化16】

から選択される架橋基を形成し;
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C1−C25アルキルチオ、C1−C25アシル、C4−C10アリール、C1−C9ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C2−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C25アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C25アルキル、C1−C25ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよく;
R7およびR7’が一緒になって−CO−である場合は、R2およびR2’の少なくとも一方が少なくとも2個の炭素原子、特に4個以上の炭素原子を含む]の化合物。
【請求項5】

【化17】

[式中、
1およびR1’は、互いに独立して、H、ハロゲンまたはSiR645であり;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC4−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C5−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され、R2および/またはR2’はハロゲンであってもよく;R1およびR1’がSiR645であり、かつ/またはXが架橋基
【化18】

である場合は、R2およびR2’は、独立して、水素またはC1−C3アルキルであってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、C1−C12アルキル、C5−C12シクロアルキル、フェニルまたはC7−C12フェニルアルキルから独立して選択され;
Xは、
【化19】

から選択される架橋基であり;
Yは、
【化20】

から選択され、
nは、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hであるか、またはRについて定義されている通りであり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化21】

から選択される架橋基を形成し:
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C12アルキル、C5−C12シクロアルキル、フェニル、C7−C12アルキルフェニルまたはC7−C12フェニルアルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C1−C25アルキルチオ、C1−C25アシル、C4−C10アリール、C1−C9ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C2−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C25アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C5−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは水素であってもよい]に従う請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
1およびR1’は、互いに独立して、H、ハロゲンまたはSiR645であり;
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、C4−C18アルキルまたはC5−C25チエニルアルキルもしくはフェニルアルキルから選択され;Xが架橋基
【化22】

である場合は、R2およびR2’は、独立して、水素またはC1−C3アルキルであってもよく;
R4、R5、R6、R4’、R5’、R6’は、独立して、C1−C18アルキルから選択され;
R3およびR3’またはR7およびR7’が一緒になって、かつXは、
【化23】

から選択される架橋基であり、特に、XまたはR3およびR3’は一緒になって、架橋基
【化24】

を形成することもでき;
Yは
【化25】

であり、
nは0から3の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、H、C1−C18アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルであり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化26】

から選択される架橋基を形成し;
R11はH、OH、C1−C18アルキルまたはC1−C18アルコキシである請求項4または5に記載の化合物。
【請求項7】

【化27】

[式中、
2およびR2’は、同じであるか、または異なっていてよく、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C2−C25アルケニル、C5−C25アルキニル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルから選択され;R7およびR7’は、一緒になって架橋基
【化28】

である場合は、R2およびR2’は、独立して水素であってもよく;
R7、R7’は、独立して、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C2−C25アルキニル、C1−C25アシル、C2−C25アルコキシカルボニル、C1−C25アシルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;あるいは
R7およびR7’は、一緒になって、
【化29】

から選択される架橋基であり、架橋基
【化30】

を形成することもでき;
Mは、SiまたはGeであり;
YおよびY"は、
【化31】

から独立して選択され;
nおよびpは、独立して、0から6の範囲であり;
R8およびR8’は、独立して、Hまたは置換基であり;
R9およびR9’は、一緒になって、
【化32】

から選択される架橋基を形成し:
R10は、それぞれが非置換であるか、または置換されたC1−C25アルキル、C3−C12シクロアルキル、C4−C25アリール、C5−C25アルキルアリールまたはC5−C25アラルキルであり;
R11は、R8について定義されている通りであるか、またはOR8であり;
R12およびR13の一方は水素であってよく、他方またはR12およびR13の両方が置換基であり;あるいはR12およびR13の両方が相互結合して、置換および/または分断されていてよい2から25個の炭素原子の二価炭化水素残基を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり、R14は置換基であり、あるいは2または3個の隣接残基R14は、相互結合して、置換および/または分断されていてよい4から25個の炭素原子の二価または三価炭化水素残基を形成することができ;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C1−C25アルキルチオ、C1−C25アシル、C4−C10アリール、C1−C9ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C2−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C25アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよい]の少なくとも2つの構造単位を含むオリゴマーまたはポリマー。
【請求項8】
記号が請求項4から6のいずれかに定義されている通りである式(XIII)の少なくとも2つの構造単位を含む請求項7に記載のオリゴマーまたはポリマー。
【請求項9】

【化33】

[Halはハロゲン、特にBrを表し、すべての他の記号は、請求項4に定義されている通りである]の化合物の単独重合、あるいは式(XIV)の化合物と、特に、式
【化34】

の二ハロゲン化または二ホウ素化モノチオフェンまたはオリゴチオフェン、あるいは式
【化35】

のベンゾチアジアゾール[式中、Rpはホウ酸またはそのエステルの残基、またはHalを表し、Halはハロゲン、特にBrを表し、qは、1から6の範囲であり、すべての他の記号は、請求項4に定義されている通りである]から選択される好適なさらなるモノマーとの共重合によって得られるポリマー。
【請求項10】
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、OR、C1−C25アルキル、C2−C25アルケニル、C1−C25アルキルチオ、C1−C25アシル、C4−C10アリール、C1−C9ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C2−C11ヘテロシクロアルキル、C1−C25アシルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C18アルキル、C1−C18ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは水素であってもよい請求項4から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
請求項4から10のいずれかに記載の化合物を含む半導体装置、特に、ダイオード、フォトダイオード、有機電界効果トランジスタおよび/または太陽電池、あるいはダイオードおよび/またはフォトダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタおよび/または太陽電池を含む装置。
【請求項12】
5から1000nmの範囲の厚さを有する層として、請求項4に記載の式(XI)および/または(XII)の化合物および/または請求項7または9に記載のオリゴマーまたはポリマーを硬質または軟質固体基板上に含む請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
有機半導体装置を製造するための方法であって、溶媒中請求項4に記載の式(XI)および/または(XII)の化合物の溶液および/または分散液および/または請求項7または9に記載のオリゴマーまたはポリマーを好適な基板に塗布し、溶媒を除去する工程を含む方法。
【請求項14】
電池、アラインメント層、または有機電界効果トランジスタ、集積回路、薄膜トランジスタ、ディスプレイ、RFIDタグ、エレクトロもしくはフォトルミネセンスデバイス、ディスプレイのバックライト、光起電力もしくはセンサデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、記憶装置(例えばFeFET)、平坦化層、静電防止装置、導電性基板もしくはパターン、光導体または電子写真用途における電荷輸送材料、半導電材料、導電材料、光伝導材料、発光材料、表面改質材料、電極材料、あるいは記録材料としての請求項4に記載の式(XI)および/または(XII)の化合物および/または請求項7または9に記載のオリゴマーまたはポリマーの使用。

【公表番号】特表2011−520777(P2011−520777A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500147(P2011−500147)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052646
【国際公開番号】WO2009/115413
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】