説明

能動的立体視によるタイヤ表面の凹凸評価

本発明は、タイヤPの表面のディジタル凹凸像を収集する装置であって、立体視像の収集のための2つのカラーカメラ(13a,13b)を有し、各カメラは、所与の原色(R,G,B)のためのN個の1次イメージセンサ(131a,132a,133a,131b,132b,133b)を有し、Nは、2以上であり、カメラは、照明手段(231,232,233)の使用によりタイヤ表面の所定の領域(Z)に向かって放出され(E)、タイヤ表面により反射された(F)光を収集するよう配置され、収集装置は、各々独立して且つ同一方向に沿ってカメラの原色(R,G,B)のうちの1つに対応した波長を持つ光を所与の幅(L1,L2・・・LN)の交互に並んだ照明バンド及び非照明バンドから成るフリンジ系(S1,S2・・・SN)に従って、タイヤ表面の領域(Z)上に同時に投射するN個の照明手段(231,232,233)を有することを特徴とする収集装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの目視検査の分野に関する。
【0002】
従来、このような検査には、オペレータの技量が必要であり、オペレータは、タイヤの表面上に目に見える欠陥と考えられる状態を検出するためにタイヤを目で見て検査している。これら作業は、時間がかかり且つ費用が高くつき、このために製造業者は、オペレータを支援するための手段を積極的に探し求めている。
【0003】
この関係で、検査されるべきタイヤの表面の凹凸のディジタル表示を収集することが必要であることが分かっており、その目的は、分析後であって処理後に、このディジタル表示をタイヤ表面の基準像と又はモデルから得られたデータと比較することにある。表面のこのディジタル表示は、表面の凹凸像とも呼ばれている。
【0004】
特に、本発明は、表面の凹凸像の立体視収集分野に関する。
【背景技術】
【0005】
種々の像収集方法は、分析対象のタイヤのコンフォーミティを求めるためにこの像を基準像と比較することができるディジタル処理手段にできるだけ適切なデータを与えることを目的として開示されている。
【0006】
旧式立体視技術を用いて、凹凸に関するデータの収集と外観、例えば色、グレイスケール又は輝度に関するデータの収集にそれぞれ専用の2つの別々のカメラを用いることが提案された。
【0007】
受動的立体視方式と呼ばれているこの解決策では、2つの収集手段から来た像を対応関係にすることが必要である。この対応関係は、像の特徴的要素、例えば特徴的なコーナ部又は輪郭形状の存在を用いて求められる場合がある。次に、2つのカメラで見える表面上の同一の点の異なる図の角度を求めることによる三角測量法により表面の座標を計算する。
【0008】
しかしながら、計算アルゴリズムを適切に実行するためには幾つかの仮定が必要である。これは、評価されるべき表面が光反射又は光屈折領域を有する場合、曖昧さが生じる場合があるからである。この場合、アルゴリズムは、2つのカメラの画素相互間の対応関係を正確に求めることができない。加うるに、人間の脳とは異なり、アルゴリズムは、分析されるべき像のトポグラフィ又はコンテキストの知識を備えていない。したがって、対応関係にされるべき点を選択するためにオペレータを分析プロセスに関わらせる必要のある場合がある。
【0009】
このため、受動的光学技術とは対照的に、能動的技術と呼ばれる収集技術が開発され、このような収集技術では、光信号を種々の角度でカメラにより見える再構成されるべき表面上に送る。その目的は、表面の点を対応関係にするのを容易にすることにある。
【0010】
これら方法では、カメラの光受信器によって検出された既知の発光特徴部を用いて表面を照明する。2つの立体視カメラによって記録された像を対応関係にする作業は、特徴要素を知ることによって容易になり、したがって、上述の曖昧さは分析中に解決される。
【0011】
以下に詳細に説明するように、最も一般的に用いられている構造化光投射アルゴリズムのうちの1つでは、交互に並んだ照明線と非照明線から成る一連の二元特徴部で形成された光を用いて表面を照明する。同時に、カメラは、表面上の点の各々が照明され又は照明されないこれら一連の連続した像を収集する。次に、2つのカメラで見える交互に位置する照明バンドと非照明バンドを再構成し、光バンドを一対一の仕方で識別することが可能であり、その目的は、表面上の一点の存在場所を確実に突き止めると共に2つのカメラからの像を対応関係にして表面の凹凸像を再構成することにある。
【0012】
これら照明アルゴリズムを適切に用いると、表面の凹凸が大幅に切り刻まれる場合の陰影領域に起因する効果を回避しながらタイヤの表面の像を収集するが、更に像処理手段が汚れ又は色の変化に起因した輝度効果を識別するのに十分な情報を提供することが可能である。
【0013】
タイヤの表面の凹凸の評価への上述の方法の適用に当たり、像収集サイクルを最適化することが望ましい場合、特にトレッドの凹凸を明らかにすることが望ましい場合、幾つかの改造が必要となる場合がある。
【0014】
図1は、従来用途の場合を示しており、この従来用途では、照明手段20がフリンジ系をトレッド上に投影し、立体視カメラ10a,10bが照明手段20により放出され(E)、タイヤPの表面により反射された(F)光を収集するよう配置される。タイヤは、モータにより駆動される支持ハブ32によって軸線D回りに回転するホイール31のリム30に取り付けられる。
【0015】
各収集パス時、カメラは、トレッドの表面の角度部分αの2つの立体視像を記録する。トレッドの完全な像は、タイヤをその回転軸線D回りに丸一回転させ、立体視カメラの各々によって撮られた2π/α写真を互いに突き合わせることによって得られる。
【0016】
またアルゴリズムの具体化例では、図2、図3及び図3aに示されている形式のフリンジ系Sを次々に連続して投射する必要がある。フリンジ系は前もって定められたバイナリー(2進)コードに従って既知の幅の交互に配置された照明バンドと非照明バンド(S1,S2,S3,S4)から成り、これらフリンジ系は、カメラにより記録された投影像のフリンジを識別することができる符号化及び復号化技術と関連している。
【0017】
立体視カメラは、タイヤの表面上への連続したフリンジ系S1,S2,S3そしてS4の各々の投影像を収集する。
【0018】
図3a及び図3bを参照すると、フリンジ系S1は、第1の列に対応している。フリンジ系S2は、列2に対応し、フリンジ系S3は、列3に対応し、フリンジ系S4は、列4に対応している。投影可能なフリンジ系の数は、当然のことながら、限定的なものではない。
【0019】
既知のアルゴリズム(これらアルゴリズムの説明は、本明細書の一部をなさない)を含む処理システムは、位置決め上の不確実性を解決するよう連続した照明レベルをタイヤの表面上の各点に関連付けるために像を復号化する。
【0020】
したがって、第1の方法では、フリンジ系を連続してタイヤの一部分上に投影し、次にタイヤをその軸線回りに回転させることによりこの作業を連続した角度セクタについて繰り返し実施する。第2の方法では、各フリンジ系についてタイヤの丸一回転にわたって撮像を行い、投影されるべきフリンジ系と同数の回転を行なう。
【0021】
選択された方法がどのようなものであれ、これら連続回転は、相当な時間を要し、検査システムの効率を低下させることが判明している。また、このような解決策では、特に正確な符号化及び同期化手段が必要である。
【0022】
収集時間を短縮するため、米国特許第4175862号明細書において提案されているように、タイヤの表面のディジタル凹凸像の収集のための立体視像手段と関連していて、投影されるべきフリンジ系の個数Nと同数のフリンジ投影装置を配置することが可能である。
【0023】
このように、タイヤをその回転軸線回りに一回転させることにより2N立体視カメラから来た、N個のフリンジ系により照明されたタイヤの表面全体の2N個の像を収集することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第4175862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、このような装置では、多数のカメラ及びプロジェクタが必要であり、これらカメラとプロジェクタは、互いに干渉し合う場合があり、表面のN個の凹凸像を互いに位置合わせ状態にするために多くの追加の計算を必要とするという欠点を更に有する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明のタイヤの表面のディジタル凹凸像を撮る収集装置は、
‐立体視像の収集のための2つのカラーカメラを有し、各カメラは、所与の原色に関するN個の1次イメージセンサを有し、Nは、2以上であり、1次イメージセンサは、照明手段によってタイヤ表面の所定の領域に向かって放出され、タイヤ表面により反射された光を収集するよう配置され、
‐各々独立して且つ同一方向に沿ってカメラの原色のうちの1つに対応した波長を持つ光を所与の幅の交互に並んだ照明バンド及び非照明バンドから成るフリンジ系に従って、タイヤ表面の領域上に同時に投射するN個の照明手段を有する。
【0027】
同一の角度セクタに関し、カメラの各々は、1組のフリンジ系の写真を同時に撮るので、後で理解されるように、タイヤの表面上の所与の点は、1つのフリンジ系で照明され、別のフリンジ系では照明されないものと見なされるということはあまり重要なことではない。
【0028】
したがって、タイヤの軸線回りにおけるタイヤの一回転では、分析することが望ましいタイヤの部分の周方向表面のN対の像が得られ、各対は、カラーカメラの各々の中に配置された所与の色の2つのセンサから得られる。これらN対の像は、N個のフリンジ系のN個の立体視像を形成する。
【0029】
本発明は又、像位置合わせ及びカメラ較正作業の数を減少させるという利点を有する。というのは、写真が同時に撮られるからである。同様に、この収集モードは、照明手段に起因する光の干渉の問題を回避する。
【0030】
以下の説明は、本発明の収集システムを一層良く理解するのに役立ち、図1〜図6によって裏付けされている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来型立体視目視検査装置の略図である。
【図2】フリンジ系を用いて照明されたトレッドの表面の写真図である。
【図3a】バイナリーコードに従って構造化されたフリンジ系を示す図である。
【図3b】グレイコードに従って構造化されたフリンジ系を示す図である。
【図4】本発明の装置の略図である。
【図5】カラーモニタで用いられる原色の波長分布スペクトルの一例を示す図である。
【図6】本発明の立体視像収集手段で用いられるカラーカメラの原理を説明する略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上述したように、図1に示されている装置は、2つのカメラ10a,10bで形成された立体視像の収集手段10を概略的に示しており、各カメラは、検査されるべきタイヤPの表面の所定の領域Z、この場合トレッドから来た反射光Fが入射する入射対物レンズを備えている。この表面は、交互に並んだ照明バンドと非照明バンドから成る1つ又は2つ以上のフリンジ系をカメラの対物レンズで見えるタイヤの表面に投影することができる照明手段20によって照明される。
【0033】
図2は、フリンジ系により照明されたタイヤPのトレッドの上述の領域Zの写真図である。明るい線は、相互に平行であり、好ましくは、周方向に位置している。
【0034】
本発明の具体化の関係上、フリンジ系を構成する線を横方向、半径方向に配置し、或いは、特にタイヤのサイドウォールの表面が分析される場合、同心円線系を形成することも又想定できる。
【0035】
図3a及び図3bは、フリンジ系のバンドの幅がバンドの数に反比例するフリンジ系の場合を示している。かくして、フリンジ系S2のバンドの幅は、フリンジ系S1のバンドの幅の1/2に等しく、フリンジ系S3のバンドの幅は、フリンジ系S2のバンドの幅の1/2に等しく、その他の同様である。換言すると、フリンジ系(S1,S2,・・・SN)の各々のバンドの幅(L1,L2,・・・LN)は、最も小さなバンド幅L4を有するフリンジ系のバンドの幅の倍数(モジュロ2n)であり、nは、1〜(N−1)であり、Nは、図3a及び3bに示す例では−4に等しい。
【0036】
かくして、フリンジ系のランクの数Nが大きければ大きいほど、バンドの幅はそれだけ一層狭くなると共に分析精度がそれだけ一層高くなるが、収集時間及び計算時間がそれだけ一層長くなる。加うるに、フリンジの幅は、カメラセンサの解像度によって制限される。
【0037】
カメラにより観察される画素が照明されているかどうかを判定することは、検査されるべき表面とその環境との間の相互反射により困難な場合のあることが判明している。加うるに、2進符号化方式は、明るいバンドの境界部のところで誤差の蓄積を来たす。具体的に説明すると、図3aに示されているようなバイナリーコードでは、線8,9相互間の境界部は、全てのフリンジ系に存在している。
【0038】
図3bは、グレイ(Gray)(ベル・ラボラトリーズ(Bell Laboratories),1953)により提案され、2001年のコンピュータイメージングに関する国際会議で発表されたホール‐ホルト(Hall-Holt)及びルシンキーヴィックズ(Rusinkiewicz)による情報について説明され、或いは非特許文献であるルシンキーヴィックズ、ホール‐ホルト及びレボイ(Levoy),「リアルタイム・3D・モデル・アクキシション(Real-time 3D model acquisition)」,プロシーディングス・オブ・シグラフ2002(Proceedings of SIGGRAPH 2002),第1巻,2002年7月,p.438‐446に記載された特定のコードを示している。この特定のコードは、明るいフリンジの系を用いて表面を照明することから成り、フリンジの幅も又、連続した各像のところで1/2になるが、2つのバンド相互間の各境界部は、一度しか見えない。この装置は、境界領域で生じる可能性がある分析誤差をどのようにする減少させることができるかを説明している。
【0039】
収集及び分析信頼性を高めるために他のコード及び他の再構成アルゴリズム、例えばホール‐ホルト及びルシンキーヴィックズにより提案されたコードが提案されたが、構造化された像を生じさせるこれら種々の手段の使用法を説明すること、更に適切に言えば、これら種々の手段が本質的に、所与のコードに従って交互に位置した照明バンドと非照明バンドから成るフリンジ系を用いて評価されるべき表面を照明することから成るということを説明することは、本明細書の意図するところではない。
【0040】
結果を最善の形で利用するため、照明手段の各々によって投影されたフリンジ系は、境界領域が位置合わせされるような仕方で重ね合わされるように配置される。
【0041】
本発明の装置が図4、図5及び図6に示されている。
【0042】
この収集装置の場合、十分な精度を得るために投影されるべきフリンジ系の数が僅かであると考えられる。実際、3つ又は4つのフリンジ系の投影で十分であり、本発明の目的は、この状況を利用していることが考えられる。
【0043】
本発明の装置は、2つのカラーカメラ13a,13bにより形成された立体視像収集手段を有する。
【0044】
現在用いられている技術では、この種のカメラは、像を収集することが望ましい物体から来た反射光を或る特定の数の基本色(R,G,B)に分割することができる手段を有する。
【0045】
これら分割手段は、組をなすプリズム又はベイアー(Bayer)フィルタとして良く知られている原色のカラーセルから成るフィルタによって形成されるのが良い。これら手段の機能は、光をベース又は基本色と呼ばれている或る特定の数の色に分割することにある。一般に、このようなフィルタは、光を3つのベース又は基本色、即ち赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)に分割する。しかしながら、4つ以上の基本色を含むカメラを作成することも可能である。一例として、4つの基本色、即ち赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及びシアン色を含むカメラが市場に出ている。
【0046】
したがって、検査されるべき物体から来た反射光Fは、ベース又は基本色が存在するのと同数の単色ゾーンに分解される。次に、これら像の各々を、光電性フォトサイト(light-sensitive photosite)、例えばCCD又はCMOSセンサの組立体で形成された特定のセンサに差し向け、これら光電性フォトサイトは、これらが受け取った光の量を電流に変換することができる。したがって、存在する基本色と同数のグレイスケール像が得られる。センサの最大解像度は、最終の画像を形成する画素の数と対応したフォトサイトの数で決まる。
【0047】
本発明は、評価されるべき表面の凹凸像に関する特定の情報を得るためにカラーカメラのこの動作モードを利用することから成る。
【0048】
この目的に関し、図4を参照すると、N個のフリンジ系により照明されるタイヤの表面の2N個の像を収集するようになったN個の立体視像収集手段は、2つのカラーカメラ13a,13bの2N個の一次イメージセンサにより形成され、カメラの各々の同一の所与の原色の2つのセンサは、立体視像収集手段を形成する。
【0049】
この場合、照明手段の各々が所与のフリンジ系に従って、カメラの原色のうちの1つに対応した波長を有する光で照明すれば十分であり、その目的は、N個のフリンジ系を2つのカメラの原色センサによって同時に且つ別々に見ることができるようにすることにある。
【0050】
この場合、表面上に投影することができるフリンジ系の最大個数Nは、カメラの原色の数Nに一致する。
【0051】
図6は、立体視像収集手段を形成するカラーカメラのうちの1つ(13a)の動作原理を示している。添字aに代えて添字bを用いることができる関連のカラーカメラ13bの動作上の細部は、同一なので図示されていない。
【0052】
入射光Fの光線は、カメラに入り、そして反射プリズム134a(134b),135a(135b)及び136a(136b)をそれぞれ照明し、これらプリズムは、光をベース又は基本色に分割してこの光を反射させてこの光をカメラ内に配置された輝度センサ、即ち、輝度センサ131a(131b),132a(132b),133a(133b)にそれぞれ差し向け、これら輝度センサは、表面の像を形成することができる。
【0053】
これら色は、図5に示されているようにベース又は基本色であり、この場合、青色(B)は、実質的に450nmの波長に相当し、緑色(G)は、550nmの波長に相当し、赤色(R)は、680nmの波長に相当する。
【0054】
したがって、照明手段(231)が青色に相当する450nmの波長を持ち、このフリンジ系がこの色に割り当てられたセンサ131a(131b)によって見えるようにするために交互に配置された青色光で照明されたバンドと非照明バンドから成る第1のフリンジ系S1を出すように構成すれば十分である。第1のフリンジ系とは異なる第2のフリンジ系S2は、波長550nmで照明システム(232)により同時に放出され、したがって、緑色専用のセンサ132a(132b)によってのみ見える。このフリンジ系は、緑色の光で照明されるバンドと非照明バンドを交互に配置したものから成る。波長680nmで照明システム(233)により放出される第3のフリンジ系S3は、赤色光専用のセンサ133a(133b)により見え、このような第3のフリンジ系は、交互に位置した赤色バンドと非照明バンドを有する。
【0055】
かくして、たった2つのカラーカメラを用いても、カラーカメラの各々の3つのセンサから来た像を別々に集めることによって、カメラのベース又は基本色に相当する互いに異なる波長に従って照明手段によって同時に放出された3つの互いに異なるフリンジ系S1,S2,S3の立体視像を得ることが可能である。
【0056】
カメラ13aの青色一次カラーセンサ131aは、カメラ13bの青色一次カラーセンサ131b(図示せず)と関連している。これら2つのセンサは、青色に対応した照明手段231により放出されるフリンジ系S1によって照明されたタイヤの表面の立体視像を撮るための収集手段を形成する。カメラ13aの緑色一次カラーセンサ132aは、カメラ13bの緑色一次カラーセンサ132b(図示せず)と関連している。これら2つのセンサは、緑色に対応した照明手段232により放出されるフリンジ系S2によって照明されたタイヤの表面の立体視像を撮るための収集手段を形成する。カメラ13aの赤色一次カラーセンサ133aは、カメラ13bの赤色一次カラーセンサ133b(図示せず)と関連している。これら2つのセンサは、赤色に対応した照明手段233により放出されるフリンジ系S3によって照明されたタイヤの表面の立体視像を撮るための収集手段を形成する。
【0057】
したがって、2つのカラーカメラ13a,13bは、3つのフリンジ系を同時に見ることができ、3つのフリンジ系により照明されるトレッドの表面全体の像の収集をタイヤの回転軸線D回りにおけるタイヤの1回の回転で行なうことができる。
【0058】
タイヤの表面上の所与の点を2つの互いに異なる色、例えば青色及び緑色で同時に照明することができ、この点は、フリンジ系S1,S2において照明されると共にフリンジ系S3において照明されないものと見なされる。
【0059】
光が互いに異なる角度でタイヤの表面に投射されることに起因して生じるディストーションを回避するため、照明手段23は、各々が所与のフリンジ系に従って所与の波長でタイヤの表面で照明することができる3つの照明手段231,232,233で構成される。かくして、手段231は、青色(B)に相当する波長で第1のフリンジ系S1を放出し、手段232は、緑色(G)に相当する波長で第2のフリンジ系S2を放出し、手段233は、赤色(R)に相当する波長で第3のフリンジ系S3を放出する。これら3つのフリンジ系は同時に放出され、そして半反射鏡234を用いて同一の所与の角度でタイヤの表面に差し向けられる。
【0060】
近赤外線に相当する波長に起因した寄生効果を制限するためには、波長が750nmを超える光線の入射を制限することができるカメラの対物レンズ上にフィルタを配置することが有利であることが分かっている。望ましくない波長の光の入射を阻止するために他の帯域フィルタを追加しても良い。かくして、一般に、このフィルタの目的は、選択された照明に用いられる波長とは異なる波長を有する光線の通過を遮ることにある。
【0061】
上述した本発明の立体視像収集装置を具体化するためには、評価されるべきタイヤの表面の像の追加の(N+1)の収集を行なうことが有利であることが分かっており、その目的は、照明バンドを非照明バンドから区別するための較正しきい値を自動的に求めることにある。この目的のため、N個の像が、ベース又は基本色の各々に相当する照明手段の各々を用いてタイヤの表面全体を連続して照明すると共にフリンジを照明することによって作られ、そして、照明が全く行なわれない追加の1つの像が形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤPの表面のディジタル凹凸像を撮る収集装置であって、
立体視像の収集のための2つのカラーカメラ(13a,13b)を有し、各カメラは、所与の原色(R,G,B)に関するN個の1次イメージセンサ(131a,132a,133a,131b,132b,133b)を有し、
Nは、2以上であり、
前記1次イメージセンサは、照明手段(231,232,233)によって前記タイヤ表面の所定の領域(Z)に向かって放出され(E)、前記タイヤ表面により反射された(F)光を収集するよう配置され、さらに、
各々独立して且つ同一方向に沿って前記カメラの原色(R,G,B)の1つに対応した波長を持つ光を所与の幅(L1,L2・・・LN)の交互に並んだ照明バンド及び非照明バンドから成るフリンジ系(S1,S2・・・SN)に従って、前記タイヤ表面の前記領域(Z)上に同時に投射するN個の照明手段(231,232,233)を有する、
ことを特徴とする収集装置。
【請求項2】
前記照明手段(231,232,233)により放出された前記フリンジ系(S1,S2,・・・SN)は、互いにオーバーラップした境界部を有する、
請求項1記載の収集装置。
【請求項3】
前記フリンジ系(S1,S2,・・・SN)の各々の前記バンドの幅(L1,L2,・・・LN)は、最も小さなバンド幅(L1)を有する前記フリンジ系のバンドの幅の倍数(モジュロ2n)であり、nは、1〜(N−1)である、
請求項2記載の収集装置。
【請求項4】
前記タイヤ(P)の保持手段(30,31)と、前記タイヤを前記立体視カメラ及び前記照明手段に対して回転させる手段(32)とを有する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の収集装置。
【請求項5】
アルゴリズムがプログラムされているディジタル処理手段を有し、前記アルゴリズムは、前記表面のディジタル凹凸表示を求めるよう前記タイヤ(P)の前記表面の2N個の像を分析することができる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の収集装置。
【請求項6】
前記カラーカメラ(13a,13b)の各々は、到来するビーム(F)を前記N個の原色(R,G,B)の各々に分割して光ビームを、前記タイヤ表面の一次グレイスケール像を規定することができる同数のセンサ(131a,132a,133a,131b,132b,133b)に差し向けるための手段(134a,135a,136a)を有する、
請求項1記載の収集装置。
【請求項7】
前記原色は、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)である、
請求項1記載の収集装置。
【請求項8】
前記原色は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及びシアン色である、
請求項1記載の収集装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置を用いてタイヤの表面のディジタル凹凸像を撮る収集方法であって、
前記N個の照明手段により放出された前記N個のフリンジ系(S1,S2,・・・SN)に従って前記照明された表面の2N個の像の収集を必要とする、方法において、前記イメージセンサ(131a,132a,133a,131b,132b,133b)の各々に対応した前記2N個の像を、前記タイヤがその回転軸線回りに丸一回転するようにしながら同時に収集する、
ことを特徴とする収集方法。
【請求項10】
基本色に対応した前記N個の照明手段の各々を連続的に用いると共に前記フリンジをなくすことにより前記タイヤ表面全体が照明されるN個の像及び前記センサ(131a,132a,133a,131b,132b,133b)の各々の検出しきい値を較正するよう全ての照明がなくされる追加の1つの像を含む(N+1)個の追加の像の収集を必要とする、
請求項9記載の収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−508370(P2012−508370A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535092(P2011−535092)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064481
【国際公開番号】WO2010/052196
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】