説明

自動変速装置の潤滑装置

【課題】所定の摩擦要素をスリップ制御する場合、1個の切換えバルブにより適正なタイミングで上記摩擦要素に潤滑油を直接供給する。
【解決手段】所定の摩擦要素(ブレーキB−2)が係合状態にある場合、該係合圧が切換えバルブ40の制御油室に供給され、入力ポートaと出力ポートbとが遮断され(C)、ブレーキB−2への潤滑油の供給は停止される。ブレーキB−2が解放状態にあっても、入力ポートaと出力ポートbとは遮断される(A)。所定中間圧によるスリップ制御にあっては、制御油室43に上記所定圧が供給され、入力ポートaと出力ポートbとは連通する(B)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速装置、特にエンジンと電気モータを駆動源とするハイブリッド駆動装置に用いられる自動変速装置に適用して好適であり、詳しくは該自動変速装置の特定のブレーキ等の摩擦要素に直接潤滑油に供給する潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速装置において、発進クラッチ又は1速時に係合するブレーキ等の摩擦要素に、解放状態又は係合状態には小流量の潤滑油を供給し、上記摩擦要素の制御中には大流量の潤滑油を供給するように切換えるバルブを備え、これにより解放状態或いは係合状態にあっては、小容量の潤滑油の供給により、冷却不足による摩擦要素の耐久性の低下を防止すると共に、潤滑油が過剰に供給されることによる引きずりトルクの発生やポンプの動力損失を防止し、また摩擦要素の制御中、即ち係合動作時や解放動作時には大流量の潤滑油を供給して、摩擦要素の潤滑及び冷却を確実に行う潤滑装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
該特許文献1には、車速センサ及びシフトレバーからの信号に基づき、検出・駆動部が上記摩擦要素が制御中か否かを判断して、ソレノイドによりバルブを切換えるものと(図2〜6参照)、当該摩擦要素(発進クラッチ又は1速時作動ブレーキ)の作動油圧等にて切換えられる2個のバルブを備えたもの(図7〜9参照)が記載されている。
【0004】
上記2個のバルブは、上記摩擦要素の作動油圧とライン圧が対向作用する第1のバルブと、上記作動油圧とスプリングとが対向作用する第2のバルブとからなり、上記作動油圧が非作動圧(解放圧)の場合、小流量の潤滑油が、第1のバルブ及び第2のバルブを介して上記摩擦要素に供給され、上記作動油圧が上昇中又は解放中の制御中にあっては、第1のバルブが該作動油圧で切換えられ、大流量の潤滑油が、該切換えられた第1のバルブ及び第2のバルブを介して上記摩擦要素に供給され、そして上記作動油圧が係合圧(≒ライン圧)になると、第2のバルブが切換えられ、小流量の潤滑油が、上記摩擦係合要素に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記検出・駆動部によるものは、制御が複雑になると共に、ソレノイド等の電気部品も必要となって、高価となり、かつ過渡期である摩擦要素の制御に合せて大流量を供給するには信頼性が充分ではない。
【0007】
前記当該摩擦要素の作動油圧を利用するものは、2個のバルブが必要となり、部品点数が多いと共に、2個のバルブを当該作動油圧で切換えるため、切換えタイミングの設定が面倒であり、応答性及び信頼性が充分でない。
【0008】
駆動源としてエンジンの外に1個の電気モータを備え、該駆動源から自動変速装置を介して駆動車輪に伝達するハイブリッド駆動装置にあっては、電気モータの駆動により発進し、必要に応じて電気モータのトルクによりエンジンを始動することでモータとエンジンとにより車輌を駆動する。この際、エンジンの始動には電気モータのトルクを上昇する必要があるが、その際のトルク変動を車輪へ駆動されるのを防止するために自動変速装置の所定の摩擦要素を滑らすことにより、そのトルク変動を吸収することが好ましい。このようなハイブリッド駆動装置にあっては、エンジン始動に際して上記摩擦要素を滑らす制御は、正確なタイミングでかつ素早く行う必要があり、上述した従来の技術では信頼性が充分でない。例えば、1速時に係合して2速時に解放する所定の摩擦要素(例えばブレーキ)をスリップ制御する場合、電気モータで発進する際に上記摩擦要素は係合しており、該電気モータによるエンジン始動時には、該電気モータの出力を増加し、上記摩擦要素をスリップ制御して走行出力を維持しつつ、上記電気モータの出力の一部でエンジンを始動し、エンジンが始動した状態では、そのまま1速を維持するために上記摩擦要素を係合状態に戻す場合と、2速にシフトアップして上記摩擦要素を解放状態に移行する場合があり、該摩擦要素の潤滑が複雑となって、かつ素早いタイミングで行う必要があり、上述した検知・駆動部により制御で行うもの又は2個のバルブの切換えで行うものでは、困難を伴う。
【0009】
そこで、本発明は、当該摩擦要素の作動油圧で作動するものでありながら、1個の切換えバルブにより行うことにより、上述した課題を解決した自動変速装置の潤滑装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の摩擦要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)により動力伝達経路を変更し、かつこれら複数の内の所定の摩擦要素(B−2)に潤滑油を供給し得る自動変速装置の潤滑装置において、
前記所定の摩擦要素(B−2)は、その油圧サーボ(39)に、係合圧を作用した係合圧状態で係合し、係合圧をドレーンした解放圧状態で解放し、前記係合圧状態と解放圧状態との間の所定圧を作用した状態でスリップ制御し、
前記所定の摩擦要素(B−2)に潤滑油を供給する油路(F)に切換えバルブ(40)を介在し、
該切換えバルブ(40)は、一方に向けて所定付勢力(42)が作用しているスプール(41)と、潤滑油圧が供給されている入力ポート(a)と、前記所定の摩擦要素(B−2)に直接潤滑油を供給する潤滑部(25)に連通する出力ポート(b)と、前記スプール(41)の前記所定付勢力(42)に対向するように配置され、前記所定の摩擦要素(B−2)の油圧サーボ(39)に連通する制御油室(43)と、を有し、該制御油室(43)に前記係合圧を作用した状態では前記入力ポート(a)と出力ポート(b)を遮断し、前記制御油室(43)が前記解放圧作用状態では前記入力ポート(a)と出力ポート(b)を遮断し、前記制御油室(43)に前記所定圧を作用した状態では前記入力ポート(a)と出力ポート(b)を連通するように切換えられる、
ことを特徴とする自動変速装置の潤滑装置にある。
【0011】
例えば図6を参照して、前記切換えバルブ(40)のスプール(41)は、第1のランド部(41a)と第2のランド部(41b)とを有し、前記制御油室(43)に前記係合油圧が作用した状態では前記第1のランド部(41a)により前記入力ポート(a)と出力ポート(b)とを遮断し[図6(C)参照]、前記制御油室(43)の前記解放圧作用状態では、前記第2のランド部(41b)により前記入力ポート(a)と出力ポート(b)とを遮断し[図6(A)参照]、前記制御油室(43)に前記所定圧が作用した状態では、前記第1のランド部(41a)と前記第2のランド部(41b)との間の環状空間(c)を介して前記入力ポート(a)と出力ポート(b)とを連通してなる。
【0012】
前記スプール(41)の前記制御油室(43)に対向する側には、ソレノイドバルブ(51)の切換えによりバック圧が作用するバック圧油室(45)が配置され、
該バック圧油室(45)に前記バック圧を作用することにより、前記制御油室(43)が前記係合圧状態、解放圧状態及び所定圧状態のいかなる状態にあるかに拘らず、前記入力ポート(a)と出力ポート(b)を遮断してなる。
【0013】
例えば図3、図4を参照して、前記切換えバルブ(40)の出力ポート(b)は、前記所定の摩擦要素(B−2)に向けて潤滑油を吐出するノズル(25)に連通し、
前記所定の摩擦要素(B−2)は、外摩擦板(12)と、ハブ(13)のスプライン(15)に係合する歯を内周面に有する内摩擦板(16)と、交互に配置した多板摩擦板からなり、
前記ハブ(13)は、プレス型により外周に前記スプライン(15)を形成すると共に内周に凹凸部(26)を形成し、
前記ハブ(13)の内周側に、所定隙間(g)を存して、該ハブ(13)と一体にスリーブ(21)を配置し、
前記ノズル(25)から、前記ハブ(13)とスリーブ(21)との間の前記所定隙間(g)に潤滑油を供給して、前記凹凸部(26)の各凹部(26a)を、前記潤滑油が溜まる油溜りとする共に、該凹部の底面に貫通孔(27)を軸方向に複数個形成し、
前記凹部(26a)からなる油溜りの前記潤滑油を、前記貫通孔(27)を通して前記多板摩擦板の全周に亘ってかつ軸方向全長に亘って供給してなる。
【0014】
例えば図1を参照して、前記自動変速装置(1)の入力軸(2)のエンジン出力軸側(5)に、電気モータ(3)及びクラッチ(6)を配置し、
前記所定の摩擦要素が、前記自動変速装置(1)の少なくとも1速時に係合するブレーキ(B−2)であり、
前記電気モータ(3)によりエンジンを始動する際、前記ブレーキ(B−2)をスリップ制御して前記自動変速装置(1)の入出力部(2,11)の回転差を吸収してなる。
【0015】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によると、潤滑油を所定の摩擦要素に直接供給する油路に切換えバルブを介在し、該切換えバルブを、上記所定の摩擦要素の油圧サーボの係合圧状態及び解放圧状態では潤滑油を遮断し、中間圧からなる所定圧状態で潤滑油を供給するように切換えるので、上記摩擦要素の係合及び解放時は、潤滑油を供給することがなく、引きずりトルクの発生やポンプの動力損失を防止できるものでありながら、上記摩要素のスリップ制御にあっては、1個の切換えバルブを該摩擦要素の作動油圧の状態で切換える簡単で信頼性の高い制御により、正確なタイミングで素早くかつ確実に切換えて、上記摩擦要素に潤滑油を供給して、該摩擦要素の耐久性の低下を防止し、該摩擦要素による制御の信頼性を向上することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によると、切換えバルブは、第1のランド部及び第2のランド部を有する1個のスプールにより、3段階に切換えることができ、スリップ制御による潤滑油供給状態から係合又は解放による潤滑油供給遮断状態への切換えは、いずれの方向でも第1のランド部又は第2のランド部により素早く行うことができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によると、スプールの制御油圧に対向する側に、ソレノイドバルブにより切換えられるバック圧油室を設けたので、例えばスリップ制御を必要としない前記所定の摩擦要素を用いる変速時、特に油温が低い場合でも、切換えバルブを上記ソレノイドバルブにより強制的に素早く遮断することができ、前記摩擦要素に不必要に過剰の潤滑油を供給して引きずりトルクを発生することを防止できる。
【0019】
請求項4に係る本発明によると、内摩擦板の歯と係合するハブとスリーブとの間に前記出力ポートから連通するノズルを配置したので、潤滑油は、ハブとスリーブとの間の所定隙間に供給されて、ハブ内周の凹凸部の凹部からなる油溜りに溜められ、貫通孔を通して前記所定の摩擦要素を構成する多板摩擦板の全周に亘ってかつ軸方向全長に亘って供給されるので、上記切換えバルブによる適切なタイミングによる潤滑油は、スリップ制御中の摩擦要素に過不足なく均等に供給されて、該摩擦要素の耐久性を低下させることなく正確なスリップ制御を保持できると共に、スリップ制御時以外は上記潤滑油の供給を停止して、引きずりトルクの発生を防止できる。
【0020】
請求項5に係る本発明によると、自動変速装置と電気モータとを有するハイブリッド駆動装置に適用して、電気モータでエンジンを始動する際、1速で係合するブレーキをスリップ制御して入出力部の回転差を吸収する際、正確なタイミングで上記ブレーキに潤滑油を供給して、該ブレーキの耐久性の低下を防止し、かつエンジン始動後、上記ブレーキを再び係合して1速に戻す場合でも上記ブレーキを解放して2速にアップシフトをする場合でも、正確で確実なタイミングで上記切換えバルブを切換え、エンジンの始動を行うことができると共に、潤滑油の無駄をなくして、燃費性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る自動変速装置を示すスケルトン図。
【図2】本自動変速装置の係合表。
【図3】本自動変速装置において、本発明に係る摩擦板潤滑装置を含む部分を切取った断面図。
【図4】(A)は、本摩擦板潤滑装置を示す正面断面図、(B)は、そのA部分の拡大図。
【図5】本摩擦板潤滑装置の回路図。
【図6】その切換えバルブを示す断面図であって、(A),(B),(C)は、それぞれ異なる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、自動変速装置1の入力軸2には電気モータ3のロータ3aが連結されており、該ロータ3aの軸とエンジン出力軸5との間にはクラッチ6及びトーションダンパ7が介在している。従って、本自動変速装置1は、1モータタイプのハイブリッド駆動装置Hとして適用され、上記電気モータ2は、車輌駆動源として、またエンジンを駆動するスタータ(セルモータ)として、更にエンジン動力又は車輌の慣性力を電気エネルギに変換するオルタネータ(ジェネレータ)として機能する。なお、入力軸2とエンジン出力軸5との間に、上記クラッチ6及びトーションダンパ7を配置しているが、これは、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータでもよく、この場合、該ロックアップクラッチが上記クラッチ6の機能を担う。
【0023】
自動変速装置1の上記入力軸2は、電気モータ3,クラッチ6及びエンジン出力軸5と同軸上に配置され、該入力軸2上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
【0024】
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンLPと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンSPとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
【0025】
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミッションケース9に一体的に固定されている不図示のボス部に接続されて回転が固定されている。また、上記リングギヤR1は、上記入力軸2の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。さらに、上記キャリヤCR1は、上記固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になるとともに、クラッチC−1及びクラッチC−3に接続されている。
【0026】
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、ブレーキB−1に接続されてミッションケース9に対して固定自在となっているとともに、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
【0027】
さらに、上記キャリヤCR2は、入力軸2の回転が入力されるクラッチC−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ブレーキ(所定の摩擦要素)B−2に接続されて、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して駆動車輪に接続されている。
【0028】
上記構成の自動変速装置1は、図1のスケルトンに示す各クラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1,B−2が、図2の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進1速段(1st)〜前進6速段(6th)、及び後進1速段(Rev)を達成している。
【0029】
前記ブレーキB−2は、1速及びリバース時に作動するブレーキであり、発進時に係合すると共に、電気モータ3によるエンジンの始動時にスリップ制御する。即ち、車輌は、クラッチC−1を係合すると共にブレーキB−2を係合することにより1速状態となる。該1速状態にあっては、クラッチC−1の係合により、入力軸2の回転が減速されてプラネタリギヤPUのサンギヤS3に伝達され、ブレーキB−2によりキャリヤCR2が停止していることにより、更に減速されてリングギヤR2からカウンタギヤ11に出力される。該1速による車輌の発進時、通常、クラッチ6が切断されると共にエンジンは停止しており、電気モータ3により駆動される。
【0030】
そして、該車輌発進後の上記1速状態でエンジン(出力軸5を図示)が始動される。この際には、ブレーキB−2をスリップ制御することにより、キャリヤCR2を回転し、サンギヤS3及びリングギヤR2の回転差を吸収する。
【0031】
上記ブレーキB−2のスリップ制御により、入出力軸間の回転差を吸収した状態で、電気モータ3のトルクを上げると共に、クラッチ6を繋いで、エンジンを始動する。
【0032】
図3は、上記スリップ制御されるブレーキB−2部分を示す図であり、複数の摩擦要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の内の所定の摩擦要素である前記ブレーキB−2は、多板湿式摩擦板からなり、ケース9の内スプライン9aに係合する歯を外周面に有する外摩擦板(ブレーキプレート)12と、ハブ13のスプライン15に係合する歯を内周面に有する内摩擦板(ブレーキディスク)16とが交互に軸方向に並んで配置されており、これら外摩擦板12の先端にスナップリング19で抜止めされたエンドプレート12aが配置されていると共に、油圧ピストン側にプレッシャプレート12bが配置されている。
【0033】
ハブ13は、前記キャリヤCR2のケース20に溶接等により一体に固着されており、該ケース20内には前記キャリヤCR2を構成するピニオンLP,SPが配置されていると共に、ピニオンにはリングギヤR2及びサンギヤS2,S3が噛合している。上記キャリヤケース20には、上記ハブ13の内側にて所定隙間gを隔ててスリーブ21が一体に固着されており、ハブ13及びスリーブ21は、該固定された一端にて上記所定隙間gが閉塞されている。従って、ハブ13とスリーブ21は、同軸状に配置された円筒部材からなり、ハブ13を外周側にしてかつスリーブ21を内周側にして軸方向に平行に延び、スリーブ21の先端21aはハブ13の先端13aより所定長さhだけ長く突出し、かつ僅かに外径方向に折曲している。そして、ケース9の所定位置には、潤滑油を噴射するノズル25が、その噴射口25aを上記所定長さhからなる空間Aに向けて、上記ハブ13とスリーブ21の隙間gに潤滑油を吐出するように配置されている。
【0034】
即ち、スリーブ21の内径側には、前記プラネタリギヤPUを構成するキャリヤCR2、リングギヤR2、サンギヤS2,S3が配置されており、該プラネタリギヤPUは、入力軸2及びロングピニオン軸40等に形成された潤滑油路36a,36bからの潤滑油により潤滑される。
【0035】
前記ハブ13は、図4(A)に示すように、そのスプライン15が所定板厚tのプレス型により成形され、その凹凸は、外周面に内摩擦板16の歯と係合するスプライン15として形成されていると共に、内周面にも同様な凹凸部26が全周に亘ってかつ軸方向形成されている。該凹凸部26の凹部26aの底面にはそれぞれかつ軸方向に所定間隔で小孔(貫通孔)27が貫通して多数形成されており、図4(B)に示すように、上記凹部26aは潤滑油Oが溜る油溜りとなり、該油溜り26aの潤滑油Oが上記小孔27を通って、ブレーキB−2の摩擦板12,16に供給される。また、ハブの先端13aは、図3に示すように、上記油溜りとなる凹部26aの端が蓋されるように折曲して、円環状の鍔部となっている。
【0036】
前記ノズル25は、所定角度位置αに1個、例えば上下方向の直径(垂直)線v−vに対してハブ13の正転方向(車輌の前進時に回転する方向)に100°〜120°、好ましくは105°〜112°の範囲に配置される。
【0037】
油圧回路は、図5に示すように、自動変速装置1の入力軸(又はエンジン出力軸)2に連動して駆動される機械式オイルポンプ29と電動オイルポンプ30を有しており、これらポンプによる油圧は、コントローラからの電気信号SUCにより制御されるプライマリレギュレータバルブ31によりライン油圧PLに調圧される。更に、該プライマリレギュレータバルブ31のドレーン側には、同じくコントローラからの電気信号により制御されるセカンダリレギュレータバルブ32が配置されており、該セカンダリレギュレータバルブ32により潤滑油圧PJに調圧される。前記潤滑油圧PJは、オイルクーラ35を介して自動変速装置1のギヤトレイン用潤滑路36へ供給される。また、前記ライン油圧PLは、リニアソレノイドバルブ37を介して前記ブレーキB−2の油圧サーボ39に供給される。なお、上記潤滑油圧PJは、上記ギヤトレイン用潤滑路36に限らず、電気モータ3の冷却用等の他の必要箇所にも供給され、またライン油圧PLは、上記所定の摩擦要素であるブレーキ用油圧サーボ39に限らず、他の摩擦要素の油圧サーボにも供給される。また、上記機械式オイルポンプ29,電気オイルポンプ30は、いずれか一方のみでもよい。
【0038】
前記潤滑油圧PJは、上記ブレーキB−2用潤滑用としてのノズル25に導かれるB−2潤滑油路Fに分岐される。該B−2潤滑油路Fには、前記ブレーキB−2の油圧サーボ39に供給される作動圧により切換えられる1個の切換えバルブ40が介在している。
【0039】
該切換えバルブ40は、図6に示すように、1本のスプール41を有しており、該スプール41の一端にはスプリング42が縮設されていると共に、バック圧油室45が配置される。上記スプール41には、上記スプリング42の付勢力に対抗するようにスプール41の段部に作用する制御油室43が配置されており、該制御油室43は、前記所定の摩擦要素であるブレーキB−2用油圧サーボ39への作動油路Gに連通しており、従ってリニアソレノイドバルブ37からの調圧は、上記B−2用油圧サーボ39と共に切換えバルブ40の制御油室43に作用する。なお、上記バック圧油室45には、コントローラからの電気信号により適宜作動し得る3ウェイ等のソレノイドバルブ51からのライン油圧PLが供給される。
【0040】
また、前記切換えバルブ40は、前記B−2潤滑油路Fの潤滑油圧源32側に連通する入力ポートaと、前記B−2潤滑用潤滑部であるノズル25に連通する出力ボートbと、を有しており、かつ前記スプール41には上記入力ポートa及び出力ポートbを遮断し得る第1のランド部41a及び第2のランド部41bを有しており、これら両ランド部41a,41bの間の環状空間cを介して上記入力ポートa及び出力ポートbとを連通し得る。
【0041】
従って、電気モータ3による発進時、自動変速装置1は1速状態にあり、所定の摩擦要素であるブレーキB−2を係合する。即ち、リニアソレノイドバルブ37は、ライン油圧PLと略々等しい係合圧を出力し、該係合圧は、油路Gを介して油圧サーボ39に供給され、ブレーキB−2を係合する。上記油路Gの係合圧は、切換えバルブ40の制御油室43にも供給され、図6(A)に示すように、スプール41はスプリング42に抗して下方に移動し、第1のランド部41aが入力ポートaと出力ポートbとを遮断する。これにより、ブレーキB−2にはノズル25から潤滑油が供給されることはなく、ブレーキB−2は係合状態にある。
【0042】
そして、自動変速装置1の1速においてエンジンを作動する際、リニアソレノイドバルブ37は、ライン油圧PLを係合圧と解放圧の間である所定油圧(スリップ圧)を出力し、該所定油圧が作動油路Gを介して前記ブレーキB−2用の油圧サーボ39に供給される。これにより、前記ブレーキB−2は、スリップ制御され、また同時にクラッチ6を係合して、電気モータ3によりエンジンが始動される。この際、電気モータ3は所定トルク及び回転数を出力し、クラッチ6をスリップしつつ滑らかにエンジンを始動すると共に、ブレーキB−2をスリップ制御して、入出力軸の回転差を吸収しかつ出力部11に始動ショックの少ない滑らかなトルクを出力する。前記作動油路Gの所定油圧(スリップ圧)は、切換えバルブ40の制御油室43にも供給され、図6(B)に示すように、該切換えバルブ40は、上記制御油室43の所定油圧とスプリング42の付勢力とがバランスして、入力ポートaと出力ポートbとがスプール41の環状空間cを介して連通する。これにより、B−2潤滑油路Fの潤滑油は、B−2潤滑用のノズル25に供給される。
【0043】
該潤滑油路Fの潤滑油は、ノズル25の噴射口25aから空間Aに吐出され、ハブ13とスリーブ21との比較的狭い隙間gに殆ど漏すことなく供給される。図4(A)に所定角度位置αにてノズル噴射口25aから供給される潤滑油は、重力とスリップ制御に基づくハブ13及びスリーブ21の回転による遠心力とにより、ハブ13内周面の凹凸部26の凹部26aからなる油溜りに入って軸方向に拡がり、更に上記遠心力により油溜り26a内に張り付いて、小孔27から徐々に摩擦板12,16に向って排出される。小孔27の孔径は、スリップ制御において略々ハブ13が1回転したときに各油溜り26aの潤滑油がなくなるように設定されている。従って、多板ブレーキB−2は、その全周に亘ってかつ軸方向全長に亘って、略々均等にかつ充分な量の潤滑油が供給されて、該ブレーキのスリップ制御が度々生じ、かつ比較的長時間に亘っても、摩擦板12,16の耐久性を確保しつつ、スリップ制御が支障なく行われる。
【0044】
この際、上記油溜りとなる凹部26aは、その先端13aが蓋されており、凹部26aに溜められた潤滑油Oは、遠心力等により先端から飛散することはなく、潤滑油は、無駄になることなく高い効率でブレーキB−2に供給される。また、例えハブ13の回転速度が低く、充分な遠心力が潤滑油Oに作用しなくても、比較的狭い隙間gに拡散した潤滑油は、空間Aから外方に漏れることは少なく、小孔27からブレーキB−2に供給される。
【0045】
また、上記多板ブレーキB−2のスリップ制御中にあっても、図3に示す潤滑油路36a,36bからプラネタリギヤPUに供給された潤滑油は、遠心力により径方向油路から外径方向飛散され続ける。該回転軸2,40の回転速度等により流量が変化する潤滑油はプラネタリギヤPUの外径側を覆うように配置されているスリーブ21により阻止されて、上記スリーブ21とハブ13との間の油溜り26aに供給されることはない。従って、多板ブレーキB−2には、油路Fを経由したノズル25からの潤滑油のみが供給されることになり、多板ブレーキB−2は、その全周及び全長に亘って均等に行き渡った適正な量の潤滑油供給によりスリップ制御される。
【0046】
エンジンが始動し、クラッチ6が係合してエンジン(又はエンジン及び電気モータ3)により自動変速装置1を介して車輪を駆動する際、車速及びスロットル開度により自動変速装置1が1速状態と判断された場合、リニアソレノイドバルブ37は係合圧を出力して、ブレーキB−2は、係合状態に戻され、図6(C)に示すように切換えバルブ40は遮断状態になり、潤滑油のブレーキB−2への供給は停止される。
【0047】
一方、自動変速装置1が2速にシフトアップすることが判断されると、リニアソレノイドバルブ37は、略々ドレーン状態からなる解放圧(略0圧)を出力する。これにより、作動油路Gの解放圧は、B−2用油圧サーボ39に作用してブレーキB−2は解放状態となり、前述したように、ブレーキB−1の係合と相俟って2速にアップシフトする。
【0048】
この状態では、作動油路Gの解放圧は、切換えバルブ40の制御油室43にも作用し、切換えバルブ40は、図6(A)に示すように、スプール41がスプリング42の付勢力により上方に移動し、入力ポートaと出力ポートbとは第2のランド部41bにより遮断される。これにより、ノズル25への潤滑油の供給は停止され、ブレーキB−2は、引きずりトルクが作用することなく完全に解放状態に保持される。従って、切換えバルブ40がブレーキB−2に潤滑油を供給する状態は、スリップ制御等の潤滑必要時に限られ、潤滑油が無駄になることはなく、燃費向上に役立っている。
【0049】
前記エンジン始動時のスリップ制御後、1速に戻される場合、前記切換えバルブ40が図6(C)に示すように、制御油室43に作用する係合圧によりスプリング42に抗してスプール41を下方に移動した後、自動変速装置1は、2速にアップシフトすることになる。この際、エンジンは駆動状態にあってスリップ制御は必要ないが、切換えバルブ40を、図6(C)に示すスプール41の下端位置から図6(A)に示すスプール上端位置に移動することになる。従って、スプール41は、図6(B)に示す入力ポートaと出力ポートBとを連通する位置を経由することになる。このため、僅かな時間であっても、一旦、潤滑油は、ノズル25に供給され、ハブ13とスリーブ21との間に溜ることになり、ブレーキB−2の非係合(解放)状態にあるにも拘らず、短時間ながら大量の潤滑油が供給されることになる。特に、油温が低い場合、潤滑油の流れが遅く、ブレーキB−2の非係合状態にあって、上記ハブ13の凹部26aからなる油溜りに溜った潤滑油が比較的長い時間保持されて、引きずりトルクの原因となることがある。
【0050】
このような場合、スプリング42によるスプール41の戻りでは遅いので、特に制御油室43の係合油圧が低温にあって解放するのに戻り抵抗が大きい場合、ブレーキB−2の係合から解放への切換え信号と同時にソレノイドバルブ51にON信号を出力して、バック圧油室45にライン圧を供給し、スプリング42の付勢力に加えてライン圧がバック圧油室45に作用し、スプール41を一気に下端状態[図6(C)]から上端状態[図6(A)]に移動する。これにより、中間での入力ポートaと出力ポートbとの連通時間は殆んどなくなり、解放時にノズル25から潤滑油を供給することを防止する。これにより、ブレーキB−2に引きずりトルクが生じることを防止して、通常状態(エンジン始動時以外)での1速−2速へのアップシフトを素早くかつ適正なタイミングで行うことができる。
【0051】
なお、ソレノイドバルブ51の作動は、上述した以外にも、例えば制御油室43に中間の所定油圧が作用する場合にあっても、強制的にスプール41を上端に移動して、潤滑油の供給を遮断する。
【0052】
また、上述した実施の形態にあっては、ブレーキB−2の係合及び解放状態にあっては、潤滑油の供給を遮断しているが、図6(A)に鎖線で示すように、例えば潤滑油源(32)とオリフィス50を介して連通する第2の入力ポートdを設けて、ブレーキの係合及び解放状態でも、該第2のポートdを出力ポートb(解放状態では空間eを介して、係合状態では空間cを介して)に連通して、少量の潤滑油をブレーキB−2に供給してもよい。
【0053】
なお、上記説明は、エンジン始動時のブレーキB−2のスリップ制御について説明したが、車輌停止時に、エンジンにより電気モータ3を回転して充電する際にも本潤滑装置を同様に作動してもよい。即ち、車輌停止時、1速状態にしてブレーキB−2は、スリップ制御(トルクを有する)又は待機圧状態として発進に備えているが、この際も、ノズル25からの潤滑油を供給して、ブレーキB−2をスリップして、入出力軸の回転差を吸収する。
【0054】
また、本実施の形態は、ハイブリッド駆動装置の自動変速装置に限らず、例えばエンジンのみを駆動源とする自動変速装置におけるDレンジ(1速)停速時に出力軸にクリープトルクを発生する微係合状態にも同様に適用可能である。更に、通常での変速作動時、変速制御中に摩擦要素が完全係合と解放との間でスリップ状態を生じる場合にも適用し得る。
【符号の説明】
【0055】
1 自動変速装置
2 入力軸
3 電気モータ
5 エンジン出力軸
6 クラッチ
B−2 所定の摩擦要素(ブレーキ)
9 ケース
12 外摩擦板
13 ハブ
15 スプライン
16 外摩擦板
21 スリーブ
25 潤滑部(ノズル)
26 凹凸部
26a 凹部(油溜り)
27 貫通孔(小孔)
31 プライマリレギュレータバルブ(ライン油圧PL源)
32 セカンダリレギュレータバルブ(潤滑油圧PJ源)
37 リニアソレノイドバルブ
39 所定の摩擦要素(B−2)用油圧サーボ
40 切換えバルブ
41 スプール
41a 第1のランド部
41b 第2のランド部
42 スプリング(付勢力)
43 制御油室
45 バック圧油室
a 入力ポート
b 出力ポート
F 潤滑油路
G 作動油路
g 所定隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の摩擦要素により動力伝達経路を変更し、かつこれら複数の内の所定の摩擦要素に潤滑油を供給し得る自動変速装置の潤滑装置において、
前記所定の摩擦要素は、その油圧サーボに係合圧を作用した係合圧状態で係合し、係合圧をドレーンした解放圧状態で解放し、前記係合圧状態と解放圧状態との間の所定圧を作用した状態でスリップ制御し、
前記所定の摩擦要素に潤滑油を供給する油路に切換えバルブを介在し、
該切換えバルブは、一方に向けて所定付勢力が作用しているスプールと、潤滑油圧が供給されている入力ポートと、前記所定の摩擦要素に潤滑油を供給する出力ポートと、前記スプールの前記所定付勢力に対向するように配置され、前記所定の油圧サーボに連通する制御油室と、を有し、該制御油室に前記係合圧を作用した状態では前記入力ポートと出力ポートを遮断し、前記制御油室に前記解放圧を作用した状態では前記入力ポートと出力ポートを遮断し、前記制御油室に前記所定圧を作用した状態では前記入力ポートと出力ポートを連通するように切換えられる、
ことを特徴とする自動変速装置の潤滑装置。
【請求項2】
前記切換えバルブのスプールは、第1のランド部と第2のランド部とを有し、前記制御油室に前記係合油圧が作用した状態では前記第1のランド部により前記入力ポートと出力ポートとを遮断し、前記制御油室に前記解放圧を作用した状態では、前記第2のランド部により前記入力ポートと出力ポートとを遮断してなり、前記制御油室に前記所定圧が作用した状態では、前記第1のランド部と前記第2のランド部との間の環状空間を介して前記入力ポートと出力ポートとを連通してなる、
請求項1記載の自動変速装置の潤滑装置。
【請求項3】
前記スプールの前記制御油室に対向する側には、ソレノイドバルブの切換えによりバック圧が作用するバック圧油室が配置され、
該バック圧油室に前記バック圧を作用することにより、前記制御油室が前記係合圧状態、解放圧状態及び所定圧状態のいかなる状態にあるかに拘らず、前記入力ポートと出力ポートを遮断してなる、
請求項1又は2記載の自動変速装置の潤滑装置。
【請求項4】
前記切換えバルブの出力ポートは、前記所定の摩擦要素に向けて潤滑油を吐出するノズルに連通し、
前記所定の摩擦要素は、外摩擦板と内周に形成された歯をハブのスプラインに係合する内摩擦板と、交互に配置した多板摩擦板を有し、
前記ハブは、プレス型により外周に前記スプラインを形成すると共に内周に凹凸部を形成し、
前記ハブの内周側に、所定隙間を存して、該ハブと一体にスリーブを配置し、
前記ノズルから、前記ハブとスリーブとの間の前記所定隙間に潤滑油を供給して、
前記凹凸部の各凹部を、前記潤滑油が溜まる油溜りとする共に、該凹部の底面に貫通孔を軸方向に複数個形成し、
前記凹部からなる油溜りからの前記潤滑油を、前記貫通孔を通して前記多板摩擦板の全周に亘ってかつ軸方向全長に亘って供給してなる、
請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速装置の潤滑装置。
【請求項5】
前記自動変速装置の入力軸のエンジン出力軸側に、電気モータ及びクラッチを配置し、
前記所定の摩擦要素が、前記自動変速装置の少なくとも1速時に係合するブレーキであり、
前記電気モータによりエンジンを始動する際、前記ブレーキをスリップ制御して前記自動変速装置の入出力部の回転差を吸収してなる、
請求項1ないし4のいずれか記載の自動変速装置の潤滑装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180867(P2012−180867A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42921(P2011−42921)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】