説明

荷電粒子線装置、試料加工方法及び半導体検査装置

【課題】LMIS汚染を発生させることなく、膜中の異物を正確に検出し電子顕微鏡による観察を迅速に行うことができる荷電粒子線装置、試料加工方法及び半導体検査装置を提供する。
【解決手段】他の光学式検査装置によって検出された、膜66中に存在する欠陥の原因となる異物65を他の光学式検査装置で取得された位置情報を基に光学式顕微鏡43で検出し、電子顕微鏡画像やイオン顕微鏡画像による異物65の観察やEDXによる異物65の元素分析ができるように非金属のイオンビーム22で試料31を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料を検査解析する荷電粒子線装置、試料加工方法及び半導体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマイクロプロセッサやメモリ等の半導体デバイスの歩留りを低下させる不良原因の代表例として試料(ウェーハ等)への異物の付着が挙げられる。導電性の異物がパターン間に付着して回路を短絡させる、絶縁性の異物が配線パターンの接続部に付着して導通不良を発生させる等、異物付着は不良デバイスの原因となる。そこで、異物の発生源を特定して異物の発生を防止する必要がある。異物の発生源を特定する方法のひとつとして、異物の元素を分析して原因を推定する方法がある。元素分析は、電子ビームを照射して物質から放出させる特性X線のエネルギースペクトルから元素を同定する分散形X線分光(EDX:Energy Dispersive X-ray)装置を利用することで可能である。
【0003】
現在、異物を検出する装置としては、スループットの高い光学式検査装置が一般的である。光学式検査装置は、試料を搭載したステージを移動させながら光学式顕微鏡等で試料表面を撮影したりレーザ光を照射した試料表面の散乱光を検出したりして試料像を得て、セルやダイ単位で隣接するもの同士を比較して欠陥部を検出する。
【0004】
光学式検査装置で欠陥が検出された試料は、走査電子顕微鏡に渡されてより高い分解能で欠陥を解析されることが多い。レビューSEMと呼ばれる電子顕微鏡は、欠陥の自動観察や自動分類などが行える欠陥解析用の走査電子顕微鏡であり、EDXの機能を搭載しているものもある。しかし、光学式検査装置で検出された欠陥が、必ずしも走査電子顕微鏡で確認できるとは限らない。例えば、酸化シリコン膜や透明なレジスト膜の中に異物が存在する場合、光学式顕微鏡で膜中の異物が確認できたとしても走査電子顕微鏡では膜表面の情報のみで膜中の異物の情報を得ることができない。つまりSEM画像で異物が確認できないため、元素分析用の電子ビームを照射する箇所が判別できずEDXの機能を活かすことができない。
【0005】
そこで、膜中の異物を分析する場合、FIB(集束イオンビーム)加工装置が用いられている。異物等が表面に現れるまで膜をFIBで削った後、露出した異物をSEMで観察したりEDX分析したりする。
【0006】
現在、FIBのイオン源として、Ga(ガリウム)等の液体金属を用いたLMIS(液体金属イオン源)を用いるのが一般的である。LMISを使用したFIB加工装置の場合、試料のFIB照射面にLMISが付着し汚染を発生させしまう問題がある。そのため、FIBで加工した試料は製造ラインに戻すことができずに廃棄していた。また、EDX分析においてもLMISが異物の正確な元素分析を妨げる要因となる。
【0007】
それに対し、FIB加工装置を用いずに露光とエッチングによって試料表面の膜を加工し、膜中の異物を露出させる手法が考えられている(特許文献1等参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平11−340291号号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、膜中の異物を分析するために露光とエッチングを用いて試料表面を加工する場合、LMISによる汚染問題は回避できても手間が掛かり歩留まり低下の大きな要因になってしまう。
【0010】
本発明の目的は、LMIS汚染を発生させることなく、膜中の異物を正確に検出し電子顕微鏡による観察を迅速に行うことができる荷電粒子線装置、試料加工方法及び半導体検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、他の光学式検査装置によって検出された膜中に存在する欠陥の原因となる異物を他の光学式検査装置で取得された位置情報を基に光学式顕微鏡で検出し、電子顕微鏡画像やイオン顕微鏡画像により異物が観察できるように非金属のイオンビームで試料を加工する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、SEM画像では観察できない膜中にある異物の形状観察が迅速にできるようになる。これにより、必要な場合にはEDX分析のための試料の加工に速やかに移行することができ、異物の発生原因の推定が短時間に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の半導体検査装置の一実施の形態の全体構成を示す概略図である。
本実施の形態における半導体検査装置は、試料(ウェーハ等)31を保持する試料ホルダー32と試料ホルダー32を搭載し移動可能に構成された試料ステージ33を包囲する試料室30を有している。
【0014】
試料ホルダー32には、試料31を保持する領域外に、試料31から切り出した試料片(マイクロサンプル)93(後述)を搭載するカートリッジ34を保持するカートリッジユニット40(図6参照)が設けられている。カートリッジユニット40は、搭載したマイクロサンプルへのイオンビーム等の入射角度を調整できるようにカートリッジ34をその軸心周りに回転させる機能を有している。
【0015】
試料ステージ33は水平面内のx軸,y軸と鉛直方向のz軸に沿って水平姿勢を保って移動可能である。試料ステージ33には、搭載した試料31の表面を水平面に対して傾けられるように水平姿勢から傾斜したり、試料ホルダー搭載面に直交する軸周りに回転したりする機能を必要に応じて付加しても良い。試料ホルダー32上の試料31に電子ビームやイオンビームを照射するときは、試料室30の内部は図示しない真空排気装置により真空に保たれる。
【0016】
試料室30には、電子ビーム12を集束して試料ホルダー32上の試料31表面に走査し照射する電子ビーム光学系を有する電子ビームカラム(SEMカラム)10、電子ビーム12を照射されて試料31から放出された二次電子を検出する二次電子検出器41、電子ビーム12を照射されて試料31から放出された特性X線を検出するX線検出器42、試料ホルダー32上の試料31表面にイオンビーム22を照射するイオンビーム光学系を有するイオンビームカラム20、光学式顕微鏡43、光学式顕微鏡43で明視野像を撮影するための照明光を試料ホルダー32上の試料31表面に照射する明視野光源44、光学式顕微鏡43で暗視野像を撮影するための照明光を試料ホルダー32上の試料31表面に照射する暗視野光源45、ビーム照射によってデポジション膜を形成するデポジションガスを流出するデポガス源51、試料31から試料片(マイクロサンプル)を摘出するプローブ61を移動させるプローブ移動機構62、試料室30の真空度を悪化させることなく試料31とカートリッジ34を試料室30に搬入・搬出するための試料交換室35が接続されている。
【0017】
光学式顕微鏡43はイオンビーム22の照射領域(ビーム照準位置近傍)を観察できる位置に配置し、明視野用光源44と暗視野用光源45は互いの照明光の照射範囲がほぼ一致するように配置する。
【0018】
図5は上記カートリッジ34の構成を示す図、図6は試料ホルダー32の構成を示す図である。
カートリッジ34は、試料31から取り出した試料片93を固定するサンプルキャリア90を保持しており、試料片93を高分解能解析装置に移動させる容器としての役割を果たす。カートリッジ搬送ロボット37(図1参照)は、カートリッジケース39(図1参照)に格納したカートリッジ34を取り出して大気状態の試料交換室35内の試料ホルダー32上に移動する。また、試料搬送ロボット36(図1参照)は、試料ケース38(図1参照)に格納された他の光学式検査装置で欠陥検査済みの試料31を、大気状態の試料交換室35内に待機させた試料ホルダー32上に移動させる。このように、試料ホルダー32は試料31とともにカートリッジ34を搭載することができる。また、試料ホルダー32にはカートリッジ34をその中心軸周りに回転させ、保持した試料片93を傾斜させられる機構が組み込まれている。試料31とカートリッジ34を搭載した試料ホルダー32は、試料交換室35を真空に排気した後、試料室30内の試料ステージ33上に移動させる。
【0019】
図1に戻り、デポガス源51から供給するデポジションガスには、例えばオルトケイサンテトラエチル(TEOS)等を用いる。TEOSは、ビーム照射による分解でシリコン酸化膜を形成する。
【0020】
電子ビームカラム10の電子ビーム光学系は、電子源11から引き出された電子ビーム12を集束して試料ホルダー32に保持された試料31上に走査し照射するものである。この電子ビーム光学系は、電子源11から電子ビーム12を引き出す引出し電極13、引き出し電極13により引き出した電子ビーム12を集束する集束レンズ14、集束した電子ビーム12の径を絞るビーム絞り15、電子ビーム12を偏向し走査する偏向器16、及び対物レンズ17を有している。装置起動時、試料室30に通じる電子ビームカラム10の内部は試料室30とともに高真空に保持される。
【0021】
イオンビームカラム20のイオンビーム光学系は、非金属のガスイオン源21から引き出されたイオンビーム22を試料ホルダー32に保持された試料31上に照射するものである。このイオンビーム光学系は、ガスイオン源21からイオンビーム22を引き出す引出し電極23、引き出し電極23により引き出したイオンビーム22を集束する集束レンズ24、集束したイオンビーム22の断面形状を整形するマスク25、イオンビーム22を偏向する偏向器26、及び対物レンズ27を有している。装置起動時、試料室30に通じるイオンビームカラム20の内部は試料室30とともに高真空に保持される。
【0022】
また、本実施の形態の半導体検査装置には、制御系として、電子ビームカラム10を制御する電子ビームカラム制御部18、イオンビームカラム20を制御するイオンビームカラム制御部28、試料ステージ33・明視野光源44・暗視野光源45・デポガス源51・プローブ移動機構62等の両カラム10,20以外の構成要素全体を制御する全体制御部74が備えられている。
【0023】
電子ビームカラム10による電子顕微鏡画像(この場合SEM画像)やイオンビームカラム20によるイオン顕微鏡画像(SIM画像)、光学式顕微鏡43による光顕像のそれぞれの画像データは、画像生成部75により生成される。画像生成部75は、電子ビーム12を照射しているときに二次電子検出器41から入力された二次電子の検出信号を電子ビームカラム制御部18から入力された電子ビームの走査信号に同期してSEM画像の画像データを生成したり、イオンビーム22を照射しているときに二次電子検出器41から入力された二次電子の検出信号をイオンビームカラム制御部28から入力されたイオンビームの走査信号に同期してSIM画像の画像データを生成したり、光学式顕微鏡43からの撮影データを基に光学式顕微鏡43で撮影した光顕像の画像データを生成したりする。こうして生成された各画像データは画像処理部76に入力され、画像処理部76は、半導体デバイス中の隣接領域(セルやダイ単位)で画像データを比較し、その違いから欠陥部を検出する。
【0024】
また、本実施の形態の半導体検査装置には、上記画像データにより再構成された各種顕微鏡画像を表示する表示装置70、及びキーボード72やマウス73といった操作装置を有するコンピュータ70が備えられている。
【0025】
イオンビームカラム20のガスイオン源21は、酸素やアルゴン等の非金属ガスをプラズマ化してイオンビーム22を発生させる。ガスイオン源21で発生させたイオンビーム22は幅の広いプロジェクションビームとなる。上記したイオンビームカラム制御部28には、イオンビームカラム20に指示するイオンビームの集束動作のプログラムとして少なくとも2種類のビームモードが格納されている。
【0026】
第1ビームモードは、図2(a)に示すように集束レンズ24で絞ったイオンビームをマスク25の円形のマスク穴25A(図3参照)に通過させた後、偏向器26により走査偏向し対物レンズ27により試料31上でフォーカスさせるモードである。この第1ビームモードのイオンビームを走査イオンビーム22A(図3参照)とする。この走査イオンビーム22Aは、加工イオンビーム22B(図3参照)による試料31等の加工位置を確定するために用いられる。
【0027】
第2ビームモードは、図2(b)に示すように集束レンズ24でビームを細く絞らずマスク25のマスク穴25Ba又は25Bbを通過させてマスク穴25Ba又は25Bbの形状にビーム断面が整形されたプロジェクションビームを対物レンズ27で縮小投射して加工するモードである。この第2ビームモードのイオンビームを加工イオンビーム22Bとする。この第2ビームモードでは走査イオンビーム22Aに比して加工イオンビーム22Bのビーム電流を大きくすることができ、第1ビームモードで生成するイオンビームを加工イオンビームとする場合に比して加工速度を向上させることができる。
【0028】
イオンビームカラム20に備えられたマスク25は、図3に示すように走査イオンビーム用の丸いマスク穴25Aと加工イオンビーム用の加工形状に対応するマスク穴25Ba,25Bbを設けた薄い板である。マスク穴25Baは矩形であり断面矩形の加工イオンビーム22Ba(図19参照)を整形し、マスク穴25Bbはコの字型であり断面コの字型の加工イオンビーム22Bb(図18参照)を整形する。図示しない駆動装置によって、マスク25を図3中の矢印方向に移動することでビームモードを設定する。なお、マスク穴の数や形状は図3に図示した態様に限らない。
【0029】
図3(a)は走査イオンビーム22Aを照射する第1ビームモード時の様子を表す図である。
図3(a)に示したように、第1ビームモードでは、マスク穴25Aの穴径より僅かに大きい程度に集束レンズ24によりイオンビーム22を絞り、マスク25を通過した走査イオンビーム22Aを偏向器26で走査して対物レンズ27によって試料31上にフォーカスさせる。
【0030】
図3(b)は加工イオンビーム22Bを照射する第2ビームモード時の様子を表す図である。
図3(b)に示すように、第2イオンビームモードでは、集束レンズ24でイオンビーム22を絞らず、マスク25における加工イオンビーム整形用のマスク穴25Ba又は25Bb(本例では25Bb)を覆うビーム径のイオンビーム22を照射し、マスク穴25Ba又は25Bbを通過した加工イオンビーム22Bを偏向器26によって位置補正しつつ対物レンズ27で試料31上に縮小投射させる。
【実施例1】
【0031】
図4は他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第1実施例を示すフローチャートである。
以下に図4を用いて本実施の形態の半導体検査装置を用いた欠陥解析手順を説明する。
【0032】
本実施の形態の半導体検査装置を半導体デバイス製造工程のウェーハ欠陥検査に用いる場合、まず図4のS101の処理で試料(ウェーハ)31を搬入する。試料31の搬入にあたっては、まず、他の光学式検査装置で欠陥検査した試料31を事前に試料ケース38に格納しロードポートに搭載しておく。
【0033】
試料31を試料ケース38に格納した状態でコンピュータ71により検査開始を指示すると、全体制御部74によって試料搬送ロボット36に指令信号が出力されて試料ケース38に格納されている試料31が試料搬送ロボット36によって取り出され、大気状態の試料交換室35内に待機した試料ホルダー32上に試料31が移動する。また、全体制御部74によりカートリッジ搬送ロボット37に指令信号が出力されカートリッジケース39に格納したカートリッジ34が取り出されて大気状態の試料交換室35内の試料ホルダー32上に移動し、試料31とカートリッジ34が試料ホルダー32に搭載される(図6参照)。そして、全体制御部74により図示しない真空排気装置に指令信号が出力されて試料交換室35が真空に排気された後、試料31とカートリッジ34を搭載した試料ホルダー32が試料室30内の試料ステージ33上に移動する。
【0034】
S102に手順を移し、他の光学式検査装置で事前に検出された欠陥を確認するために欠陥の光顕像の取得を指示すると、操作信号を受け取った全体制御装置74は、試料ステージ33に指令信号を出力し光学式顕微鏡43の視野内に欠陥部位が入るように試料ステージ33を移動させる。他の光学式検査装置により検出された欠陥部位の位置を示す検査結果ファイルは、ネットワークなどを介して光学式検査装置からコンピュータ71に転送される。全体制御部74は、先の検査結果ファイルを基に光学式検査装置で欠陥を検出した際の条件に合わせて明視野用光源44と暗視野用光源45を選択して点灯し、光学式顕微鏡43により試料像を撮影する。
【0035】
図7は明視野光顕像取得の原理を示す図である。
図7に示したように、光学式顕微鏡43で明視野光顕像を取得する場合、明視野用光源44で発生した照明光46を試料31に照射し、光学式顕微鏡43で試料31上の異物(欠陥)65を撮影する。この撮影情報が画像生成部75で処理された結果生成された明視野光顕像は、図8に示すように、表示装置70に備えられた明視野光顕像の表示を指示するBFボタン83を操作することによって表示装置70の画像表示エリア80に表示される。
【0036】
図9は暗視野光顕像取得の原理を示す図である。
図9に示すように光学式顕微鏡43で暗視野光顕像を取得する場合、光学式顕微鏡43に照明光46の反射光47が入射しない位置に設置された暗視野用光源45により試料31に照明光35を照射する。そして試料31上の異物65で発生した散乱光48を光学式顕微鏡43で撮影する。この撮影情報が画像生成部75で処理された結果生成された暗視野光顕像は、図10に示すように、表示装置70に備えられた明視野光顕像の表示を指示するDFボタン84を操作することによって表示装置70の画像表示エリア80に表示される。
【0037】
また、光学式顕微鏡43で得られた試料像(明視野光顕像・暗視野光顕像)は画像処理部76に入力され、画像処理部76によって隣接する比較領域(セルやダイ単位)で比較することにより欠陥部を検出する。光顕像による異物の検出に成功した場合、S105に手順を移してSEM画像により異物を検出する。異物検出に失敗した場合には、S104でエラー処理を実施してS110に手順を移し、試料31を装置外に搬出して本解析手順を終了する。
【0038】
S105では、電子ビームカラム制御部18により電子ビームカラム10を制御して光学式顕微鏡43で検出した欠陥の電子顕微鏡画像(SEM画像)を取得しSEM画像による欠陥検出を試みる。
【0039】
図11はSEM画像取得の原理を示す図である。
図11に示すように電子ビームカラム10と二次電子検出器41を用いてSEM画像を取得する場合、電子ビームカラム10から出力された電子ビーム12を試料31上に走査させ、発生する二次電子を二次電子検出器41で検出する。電子ビーム12の走査信号に同期して二次電子検出器41の信号を取り込んで画像生成部75でSEM画像を生成する。生成されたSEM画像は、図12に示すように、表示装置70に備えられた明視野光顕像の表示を指示するSEMボタン81を操作することによって表示装置70の画像表示エリア80に表示される。画像処理部76において半導体デバイス中の隣接領域(セルやダイ単位)でSEM画像を比較することで欠陥部位を検出する。
【0040】
S106では、SEM画像により光学式顕微鏡43で検出した欠陥部位を検出することに成功したかどうかを判定する。SEM画像による異物の検出に成功した場合、S107に手順を移してSEM画像による異物の観察を行い、失敗した場合にはS108でイオンビームにより試料を加工する。SEM画像による欠陥部位の検出失敗の原因の一つに図13に示すように異物65が膜中(膜66の下)に存在する場合がある。SEMでは試料の表面のみの情報しか取得できないため、このように欠陥部位が膜66に覆われて試料表面がなだらかな場合には、光顕像で検出できた異物66が必ずしもSEM画像で観察できるとは限らない。そのため、図14に示すように表示装置70の画像表示エリア80のSEM画像に異物66が生じされない場合がある。
【0041】
SEM画像で異物の検出に成功しなかった場合、S108に手順を移してイオンビームカラム制御部28によりイオンビームカラム20を制御し、明視野光顕像(或いは暗視野光顕像)を見ながらイオンビームにより膜66を加工して異物65を表面に露出させる。このように異物65を試料31から摘出せずに異物65覆う膜65を削り取って異物65を表出させる場合、図15に示すようにイオンビーム22からマスク25を退避させ、マスク穴でビーム断面を制限しない幅の広いイオンビームを用いる。これによって、広い範囲を高速に加工することができる。また、図16に示すようにイオンビーム22の照射領域に電子ビーム12を走査させて二次電子信号を二次電子検出器41で検出することにより、SEM画像加工の経過をSEMカラムで随時確認する。これにより、異物65が表出した時点でイオンビーム加工を終了することができる(S105,S106)。
【0042】
欠陥部位のSEM画像の取得に成功したら、S107で高倍率のSEM画像で異物65を詳細に観察し、S109で異物65に電子ビーム12を照射して得られるX線をX線検出器42で検出してEDXを用いて元素を分析する。これにより異物65の元素を特定し、その発生源を推定することができる。そして、異物65の解析が終了したらS110に移り、全体制御部74によってS101と逆の手順で試料交換室35を経由して試料ケース38に試料31を搬出し、以上の手順を終了する。
【0043】
続いて本実施の形態により得られる作用効果を順次説明する。
一般に試料の欠陥部位の検出にはスループットの高い光学式検査装置が用いられ、光学式検査装置で欠陥が検出された場合、光学式検査装置で検出された欠陥部位をSEM等の電子顕微鏡で観察し、より高い分解能の画像で欠陥部位を観察するのが通常である。
【0044】
しかし、光学式検査装置で欠陥が検出された試料をSEMに渡して欠陥部位のSEM画像を得ようとしても、先に図13及び図14に示したように、欠陥部位(ウェーハ表面に付着した異物65等)が膜で覆われている場合、SEMでは試料の表面(つまり膜)の情報しか得ることができないため、光学式検査装置から受け取った位置情報に基づいてその付近をSEMで観察してもSEM画像で異物を確認することができない。また、異物の元素分析をするにしても、異物を露出させる必要があるが膜中の異物のSIM画像を得るのも難しく、EDXの機能を利用することも容易ではない。当然ながら、FIB加工ができなければTEMやSTEMによる観察もできない。
【0045】
それに対し、本実施の形態によれば、仮に異物が膜中に存在し異物をSEM画像で捉えることができない場合でも、SEM観察前に光学式顕微鏡43により異物を捉えているので、その光顕像で異物を捉えた位置にイオンビームを照射して膜を除去することにより膜中の異物を露出させることができる。
【0046】
例えば、光顕像を見ながらFIB加工すれば確実に異物を被覆する膜を除去することができる。また、FIB加工前にイオンビームの照準位置と異物を光顕像上で合わせて(或いは光学式顕微鏡43により検出された異物の座標上にイオンビームの照準を合わせて)異物を被覆する膜が確実にFIB加工されるようにしておき、SEM観察しながらFIB加工しSEM画像(又はSIM画像)で異物が確認されたら(異物が露出したら)直ちにFIB加工を中止することもできる。また、表示装置70の表示エリア80に光顕像とSEM画像(又はSIM画像)を同時に表示できるようにしておけば、光顕像を見ながら膜を効率的に除去しつつSEM画像(又はSIM画像)で異物が露出された時点でFIB加工を終了させることも可能である。
【0047】
このように本実施の形態によれば、膜に覆われた異物も光学式顕微鏡43で容易かつ迅速に発見することができ、欠陥部位の電子顕微鏡観察やEDX元素分析ができない場合でも、高精度かつ迅速に膜をFIB加工により除去することができる。しかも、Ga等のLMISではなく非金属元素を加工イオンビームに用いているので、FIB加工による試料のLMIS汚染も生じない。よって、LMIS汚染を発生させることなく、膜中の異物を正確に検出し電子顕微鏡による観察やEDX分析を迅速に行うことができるので、異物の発生原因を短時間で推定でき、歩留りを向上させることができる。
【0048】
また、イオンビームが非金属であるため、FIB加工後の試料にLMIS汚染が生じないので、FIB加工後の試料を製造プロセスに戻すことも可能であり、廃棄ウェーハの削減にも寄与する。また、非金属イオンビームを用いて汚染発生を防止していても、加工穴のサイズによっては加工穴をそのままにしておくと加工穴に異物が溜まり易く、その後の汚染発生の一因になる。このような場合には加工穴をデポで埋めれば良い。
【0049】
また、本例では光学式顕微鏡43で暗視野光顕像と明視野光顕像の双方を取得可能な構成であるため、両者を用途や目的に応じて使い分けることができる。例えば、暗視野光顕像では観察対象物が実際よりも大きく表示されるため小さな異物を検出する際に有効であるが、散乱光が得られ難い(例えばなだらかな)試料形状であると明確な像が得られ難い場合もある。それに対し、明視野光顕像では暗視野光顕像のように実際よりも観察物が大きく表示されるはないが、試料の表面形状によらず試料を観察することができる。双方の使用を前提としていない場合には、明視野光源44及び暗視野光源45のいずれかを省略しても良い。
【実施例2】
【0050】
図17は他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第2実施例を示すフローチャートである。
【0051】
本例は、膜中に存在し、電子ビーム12の走査によるSEM画像やイオンビーム22の走査によるSIM画像では十分に観察できない異物65をより高分解能の顕微鏡画像で正確に解析するのに好適な処理フローである。
【0052】
本例では、まずS201にて先に図5及び図6を用いて説明したように試料31及びカートリッジ34を試料ホルダー32に搭載し、それを試料室30内に搬入する。
【0053】
S202,S203,S204は図4のS102,103,104と同様であり、試料室30に搬入された試料31の欠陥部位を光学式顕微鏡43で検出し、光顕像による欠陥検出に失敗しS203の判定が満たされなければS204のエラー処理を経由してS211に手順を移し、試料31及びカートリッジ34を搬出して本例の解析手順を終了する。
【0054】
一方、光顕像による欠陥検出に成功しS203の判定が満たされたら、S205に手順を移し、図18に示すように第2ビームモードに切り換え、マスク25のマスク穴25Bbを通過させた断面コの字型の加工イオンビーム22Bbを試料31に斜めから照射し、異物65を囲うようなコの字型の溝を形成する。
【0055】
続くS206では、図19に示すように試料ステージ33を180°回転させ、さらにS207に移って第1ビームモードに切り換え、マスク25のマスク穴25Baを通過させた断面矩形の加工イオンビーム22Baを試料31に斜めから照射し、先に形成したコの字型の溝との間に異物65を包囲する矩形の溝を加工して楔型の試料片93を切り出す。イオンビームの走査とステージ33の回転・移動の機能を組み合わせれば同様に試料片を切り出すことができるが、予め加工穴の形状に整形したイオンビームを用いることで加工時間を短時することができる。
【0056】
S208では、図20に示すように、溝加工により試料31から分離した試料片93をプローブ61の先端に付着させプローブ61を引き上げて試料片93を取り出す。試料片93は、静電力によりプローブ61に吸着させるか、静電力による吸着力が弱い場合にはデポジションガス52を供給しながらのイオンビーム22の照射によるデポジション膜によりプローブ61に接着する。
【0057】
S209では、試料片93を摘出した後に試料31に残される加工穴96を埋め戻す。試料片93を取り出した後の加工穴96をそのまま残しておくと加工穴96に異物が溜まり易く、加工穴96を残した試料31を製造ラインに戻すと次のプロセスにおいて問題となることがある。そこで、S209の手順では、図21に示すようにデポジションガス52を供給しながらイオンビーム22を照射して加工穴96を埋め戻す。このとき、イオンビームカラム20のマスク25は、効率的にデポジション膜を形成するために加工穴96を埋め戻すのに好適なマスク穴を適宜選択する。
【0058】
S210では、図22に示すように、プローブ61及び試料ステージ33を走査して試料片93をカートリッジ34に保持したサンプルキャリア90の上部に移動し、試料片93とサンプルキャリア90の接触部分にデポジションガス52を供給しながらイオンビーム22を照射することによってデポジション膜54を形成して両者を接着し、サンプルキャリア90上に試料片93を搭載してプローブ61を試料片93から分離する。
【0059】
S211では、試料31と一緒に試料ホルダー32に保持されたカートリッジ34を試料交換室35に搬出し、カートリッジ搬送ロボット37によりカートリッジケース39に排出して異常の手順を終了する。
【0060】
排出したカートリッジ34はTEMやSTEMなどの高分解能解析装置のサイドエントリステージに挿入可能な試料ホルダー95(図23参照)の先端に装着することができる。したがって、SEMやSIMでは十分に観察できないような微細な異物もより高分解能なTEM或いはSTEMといった電子顕微鏡の画像で詳細に観察することができる。
【0061】
また、その試料ホルダー95は、イオンビーム加工装置のサイドエントリステージに挿入することができ、Gaイオン源の細く絞ったイオンビームで追加工できる。試料31から取り出した試料片93は、Gaイオンビーム照射によって汚染されるが、ラインには戻さないため問題とならない。図24に示すように薄膜化された試料片93は、TEMやSTEMのような高分解能解析装置で詳細な解析ができる。また、薄膜化した試料片93はEDX分析する際にバックグランドのノイズが軽減し、正確な分析が可能となる。また本例の半導体検査装置にて予めFIB加工によって試料片93を薄膜化しておくことも可能である。
【0062】
したがって、本実施例によっても先に説明した第1実施例と同様の効果を得ることができ、SEMよりもより高分解能のTEMやSTEMで異物を観察する必要性がある場合には本例のような操作を選択することにより、より詳細な異物の観察及び分析が可能になる。
【実施例3】
【0063】
図25は他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第3実施例を示すフローチャートである。
【0064】
本例も、SEM画像やSIM画像では十分に観察できない膜中に存在する異物をより高分解能な電子顕微鏡画像で正確に解析するのに好適な解析方法に関するものである。第2実施例に対してプローブ61の使い方が特徴となる。
【0065】
本例におけるS301〜S304は第1実施例におけるS101〜S104と同様であり、光顕像による欠陥部位の検出に成功しS303の判定が満たされたらS305に手順を移す。
【0066】
図26は膜中に存在する異物65を暗視野用光源44と光学式顕微鏡43で検出する構成を示す図である。
S305では、この図26に示すように、異物65によって隆起した膜66に暗視野用光源45で照明光46を照射し、発生した散乱光48を光学式顕微鏡43で観察して異物65の暗視野光顕像を取得する。プローブ61は光学式顕微鏡43の観察視野で少なくともイオンビームカラム20のイオンビーム照射位置及びその周辺部を移動させる機構を備え、そして、異物65の近傍にプローブ61を移動してプローブ61の先端で異物65を指示する。このとき、表示装置70のDFボタン84を操作することで、図27に示したようにプローブ61の先端で異物65を指示している様子を捉えた暗視野光顕像が表示装置70の表示エリア80に映し出される。
【0067】
S306では、図28に示したように、表示装置70のSIMボタン82を操作して画像表示エリア80にSIM画像が表示されるように切り替え、イオンビームカラム20を用いて暗視野光顕像で観察した付近の領域のSIM画像を表示エリア80に表示させる。SIM画像では、表面がなだらかな膜中に存在する異物は観察できないため図示したようにプローブ61のみがSIM画像で観察できるようになる。このとき、暗視野光顕像とSIM画像の視野は完全には一致しないため、プローブ61は暗視野光顕像からずれた位置に表示される。そこで、図29に示すように表示されているプローブ61の位置を基準にし、暗視野光顕像上で確認されたプローブ61と異物の位置関係に基づいて膜中の異物の位置をSIM画像上で推定し、加工領域105を指定する。
【0068】
そして、S307に手順を移して加工領域105にイオンビームを照射することにより、図30に示すように膜66が加工され、膜中に存在する異物65が表面に出現する。このとき、本例では表示装置70には試料に形成しようとする加工穴の形状やイオンビームの形状等を指定するボタン85〜89が用意されており、設定した加工領域105の大きさや形状に応じてボタン85〜89で目標とする加工穴やイオンビームの形状を各ボタンの表示を参考に組み合わせて指定することでFIB加工の操作を容易化している。
【0069】
その後、表示装置70のSEMボタン81を操作して画像表示エリア80にSEM画像が表示されるように切り替え、電子ビームカラム10を用い表出した異物65をSEM画像で観察したり(S308)、EDX分析したり(S309)した上で、第1実施例のS110と同様に試料を搬出して本例の解析手順を終了する。
【0070】
本実施例においても、異物が膜中に存在する場合でも光学式顕微鏡43でそれを検出することができるので、第1実施例と同様の効果を得ることができる。また、本例の場合、プローブ61を加工点の指標として利用することで、光顕像とSIM画像の視野のずれに関係なくプローブ61の像との位置関係でイオンビームの照射位置を容易に推定することができるので、光顕像とSIM画像やSEM画像を表示装置に同時に表示する機能が備えられていなくてもSIM画像上を見ながら確実に膜を除去することができる。
【0071】
なお、本例では暗視野光顕像上でプローブ61を異物近傍の指標位置に移動させた。照明光の照射角度の関係で暗視野光顕像では目標物が実際よりも大きく映し出されるため、精緻にプローブ61を移動させる上では暗視野光顕像を見ながらプローブ61を操作することが好ましい。しかしながら、この作業は明視野光顕像上でも行うことができる。暗視野光顕像の場合、試料表面の状態によっては散乱光が検出され難く明確な像が得られ難い場合もある。その場合には明視野光顕像上でプローブ61と異物の位置関係を確認しながらプローブ61を操作すれば良い。
【0072】
図31は本発明の半導体検査装置の他の実施の形態の全体構成を示す概略図である。図31において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図31に示すように、本例の半導体検査装置は、電子ビーム12を照射する電子ビームカラム10を垂直に立てて実装している。この場合、イオンビーム22を照射するイオンビームカラム20の視野の上方にイオンビームカラム20の視野を視野内に捉える光学式顕微鏡43を配置する関係上、電子ビームカラム10をイオンビームカラム20と同一点を視野にするように配置することが物理的に難しくなり、SEM画像とSIM画像の観察視野が異なってくる。
【0073】
つまり、本実施の形態の場合、電子ビームとイオンビームのビーム照準位置が離間するように電子ビームカラム10とイオンビームカラム20が配置されている。そのため、光学式顕微鏡43に移動機構を設け、電子ビームカラムのビーム照準位置を観察視野内に捉えられる位置とイオンビームカラムのビーム照準位置を観察視野内に捉えられる位置との間で光学式顕微鏡43を移動させる構成とする。したがって、明視野光源44・暗視野光源45も光学式顕微鏡43とともに移動する構成とするか、照明光の照射領域を光学式顕微鏡43の観察視野に応じて偏向できる構成となっている。なお、光学式顕微鏡43を、その観察方向を変更する構成とすることも考えられるし、イオンビーム照準位置観察用の光学式顕微鏡と電子ビーム観察用の光学式顕微鏡を別途備える構成とすることも考えられる。
【0074】
本実施の形態のような実装構成でも、光学式顕微鏡43をプロジェクションイオンビームが照射されるSIM画像の観察視野に合わせて設置することで、先の膜中に存在する異物の分析は可能であり、前に説明した各実施例と同様の解析手順を実施することが可能である。また、光学式顕微鏡43に観察視野を移動させる移動機構を備えることにより、SEM画像の観察視野とSIM画像の観察視野をそれぞれ観察することでも対応できる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に理解されよう。
【0076】
例えば、以上では備え付けのX線検出器42を設ける構成としたが、本質的効果は、光学式顕微鏡43を併せ持つことで電子顕微鏡像やイオン顕微鏡像では観察し難いような異物を的確に捉え、それにより電子顕微鏡像やイオン顕微鏡像を迅速に取得し、ひいてはFIB加工、EDX分析に迅速に移行することにある。したがって、X線検出器は備え付けでなくとも追加設置するような構成とすることも考えられるし、加工後の試料を別のEDX分析装置で分析することも可能である。
【0077】
また、異常では明視野用光源44と暗視野用光源45を別々に設けたが、これらを共通の光源として光源を移動させる機構を用いることで、明視野光源としても暗視野光源としても利用できるように構成することができる。また、画像生成部75により電子顕微鏡画像と光学式顕微鏡画像の両方を生成する構成としたが、それぞれ別々の画像生成部を設ける構成としても良い。また、二次電子検出器41に代えて又はこれに追加して、試料を透過した透過電子を検出する透過電子検出器を試料信号検出器として設けることで、電子ビームカラム10によりTEMやSTEMによる観察ができるようにすることも考えられる。
【0078】
また、他の光学式検査装置で検査した試料を本発明の半導体検査装置で詳細に解析する例を説明したが、他の光学式検査装置で未検査の試料を本半導体検査装置に実装された光学式顕微鏡43で検査し、欠陥が検出されれば前述した各フローと同様の手順で詳細に異物を観察・元素分析するといったこともある。また、膜中(或いは膜下)の異物を詳細に解析する例を各例で説明したが、膜表面の欠陥部位の観察にも本発明の半導体検査装置は勿論適用可能である。
【0079】
さらに、本発明の半導体検査装置は、マイクロプロセッサやメモリ等の半導体デバイスの欠陥を観察・解析する以外にも、液晶やハードディスク、その他の精密部品・製品・半製品等の半導体以外の対象物の欠陥部位を検査・解析する荷電粒子線装置としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の半導体検査装置の一実施の形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】イオンビームのビームモードの違いを示す説明図である。
【図3】ビームモードとマスクの位置の関係を示す図である。
【図4】他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第1実施例を示すフローチャートである。
【図5】カートリッジの構成を示す図である。
【図6】試料ホルダーの構成を示す図である。
【図7】明視野光顕像取得の原理を示す図である。
【図8】明視野光顕像の表示を示す図である。
【図9】暗視野光顕像取得の原理を示す図である。
【図10】暗視野光顕像の表示を示す図である。
【図11】SEM画像取得の原理を示す図である。
【図12】SEM画像の表示を示す図である。
【図13】膜中の異物のSEM画像取得の状態を示す図である。
【図14】膜中の異物のSEM画像の表示を示す図である。
【図15】マスクとイオンビームの位置関係を示す図である。
【図16】異物を被覆する膜をイオンビームで除去する様子を示した図である。
【図17】他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第2実施例を示すフローチャートである。
【図18】加工イオンビームによる加工状態を示す図である。
【図19】加工イオンビームによる加工状態を示す図である。
【図20】プローブにより試料片を取り出す様子を示す図である。
【図21】加工穴を埋め戻す様子を表した図である。
【図22】試料片をカートリッジのサンプルキャリアに固定した様子を示した図である。
【図23】カートリッジと試料ホルダーの構成例を示す図である。
【図24】試料片を薄膜化した状態を示す図である。
【図25】他の光学式検査装置で検出された試料の欠陥部を本実施の形態の半導体検査装置で解析(レビュー)する手順の第3実施例を示すフローチャートである。
【図26】暗視野光顕像による異物検出の様子を示す図である。
【図27】暗視野光顕像上でプローブを異物付近に移動させた状態を示す図である。
【図28】プローブを指標にした異物近傍のSIM画像の表示を示す図である。
【図29】プローブを指標にSIM画像上で加工位置を定めた様子を示す図である。
【図30】加工イオンビームによる加工状態がSIM画像で確認されている様子を示す図である。
【図31】本発明の半導体検査装置の他の実施の形態の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0081】
10 電子ビームカラム
11 電子源
12 電子ビーム
13 引き出し電極
14 集束レンズ
15 ビーム絞り
16 偏向器
17 対物レンズ
18 電子ビームカラム制御部
20 イオンビームカラム
21 ガスイオン源
22 イオンビーム
22A 走査イオンビーム
22B 加工イオンビーム
23 引き出し電極
24 集束レンズ
25 マスク
25A マスク穴
25Ba マスク穴
25Bb マスク穴
26 偏向器
27 対物レンズ
28 イオンビームカラム制御部
30 試料室
31 試料
32 試料ホルダー
33 試料ステージ
41 二次電子検出器
42 X線検出器
43 光学式顕微鏡
44 明視野光源
45 暗視野光源
46 照明光
51 デポガス源
52 デポジションガス
61 プローブ
62 プローブ移動機構
65 異物
75 画像生成部
93 試料片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を搭載して移動可能な試料ステージと、
この試料ステージを包囲する試料室と、
この試料室に接続され、電子源及び該電子源から引き出された電子ビームを集束して前記試料上に走査し照射する電子ビーム光学系を有する電子ビームカラムと、
前記試料室に接続され、非金属のガスイオン源及び該ガスイオン源から引き出されたイオンビームを前記試料上に照射するイオンビーム光学系を有するイオンビームカラムと、
前記電子ビームカラムからの電子ビーム又は前記イオンビームカラムからのイオンビームを前記試料に照射することで得られる顕微鏡画像生成用の試料信号を検出する試料信号検出器と、
この試料信号検出器からの検出信号を取り込んで試料の電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像を生成する画像生成部と、
前記イオンビームカラムのイオンビーム照準位置が観察視野に入るように前記試料室に設けられた光学式顕微鏡と、
この光学式顕微鏡からの撮影情報を取り込んで試料の光学式顕微鏡画像を生成する画像生成部と
を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記光学式顕微鏡で明視野像を撮影するための照明光を前記試料上に照射する明視野光源を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記光学式顕微鏡で暗視野像を撮影するための照明光を前記試料上に照射する暗視野光源を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項2の荷電粒子線装置において、前記暗視野光源が、照明光の照射角度を変えられるように移動可能に取り付けられており、前記光学式顕微鏡で明視野像を撮影するための照明光を前記試料上に照射する明視野光源を兼ねることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記イオンビームカラムは形状の異なる複数のマスク穴を備えたマスクを有しており、前記マスクを移動させ、イオンビームを通過させるマスク穴を切り替えるかイオンビームに前記マスクが干渉しないようにイオンビームから前記マスクを退避させるかしてイオンビームの形状が変更可能であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記光学式顕微鏡の観察視野内で前記イオンビームカラムのイオンビーム照準位置及びその周辺を移動可能なプローブ、及び前記イオンビーム照射位置にデポジションガスを供給するデポガス源を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項1の荷電粒子線装置において、電子ビームとイオンビームのビーム照準位置が離間するように前記電子ビームカラムと前記イオンビームカラムを配置したことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項7の荷電粒子線装置において、前記光学式顕微鏡の観察視野内に前記電子ビームカラムのビーム照準位置を捉えられる位置と前記イオンビームカラムのビーム照準位置を捉えられる位置との間で前記光学式顕微鏡を移動させる移動機構を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記試料信号検出器は、前記電子ビームカラムからの電子ビームが照射されて試料から発生した二次電子を検出する二次電子検出器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記試料信号検出器は、前記電子ビームカラムからの電子ビームが試料を透過した透過電子を検出する透過電子検出器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記電子ビームカラムからの電子ビームが照射されて試料から放出される特性X線を検出するX線検出器を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項12】
請求項1の荷電粒子線装置を用い、前記光学式顕微鏡により試料に付着した異物を検出した後、電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像で異物が観察できない場合、光学式顕微鏡画像で異物の位置を確認し異物を被覆する膜を前記イオンビームカラムからのイオンビームにより加工して部分的に除去し、表出した異物に前記電子ビーム又はイオンビームを照射することで得られる試料信号を基に顕微鏡画像を取得することを特徴とする試料加工方法。
【請求項13】
請求項12の試料加工方法において、前記表出した異物に前記電子ビームカラムからの電子ビームを照射し、異物から放出される特性X線をX線検出器で検出し異物の元素分析に用いることを特徴とする試料加工方法。
【請求項14】
請求項5の荷電粒子線装置を用い、前記光学式顕微鏡により試料に付着した異物を検出した後、電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像で異物が観察できない場合、光学式顕微鏡画像で異物の位置を確認し、前記マスクを操作して形状を変えたイオンビームによって異物を含む試料片を試料から切り出すことを特徴とする試料加工方法。
【請求項15】
請求項6の荷電粒子線装置を用い、前記光学式顕微鏡により試料に付着した異物を検出した後、電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像で異物が観察できない場合、光学式顕微鏡画像で異物の位置を確認し、前記マスクを操作して形状を変えたイオンビームによって異物を含む試料片を試料から切り出し、切り出した試料片を前記プローブに付着させて取り出すことを特徴とする試料加工方法。
【請求項16】
請求項6の荷電粒子線装置を用い、前記光学式顕微鏡により試料に付着した異物を検出した後、電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像で異物が観察できない場合、光学式顕微鏡画像を見ながら異物周囲に前記プローブを移動させて前記プローブにより異物の位置を指示し、SIM画像で前記プローブを指標にして異物の位置を推定し、定めた加工位置を前記イオンビームからのイオンビームにより加工することを特徴とする試料加工方法。
【請求項17】
半導体試料を搭載して移動可能な試料ステージと、
この試料ステージを包囲する試料室と、
この試料室に接続され、電子源及び該電子源から引き出された電子ビームを集束して前記半導体試料上に走査し照射する電子ビーム光学系を有する電子ビームカラムと、
前記試料室に接続され、非金属のガスイオン源及び該ガスイオン源から引き出されたイオンビームを前記半導体試料上に照射するイオンビーム光学系を有するイオンビームカラムと、
前記電子ビームカラムからの電子ビーム又は前記イオンビームカラムからのイオンビームを半導体試料に照射することで得られる顕微鏡画像生成用の試料信号を検出する試料信号検出器と、
この試料信号検出器からの検出信号を取り込んで半導体試料の電子顕微鏡画像又はイオン顕微鏡画像を生成する画像生成部と、
前記イオンビームカラムのイオンビーム照準位置が観察視野に入るように前記試料室に設けられた光学式顕微鏡と、
この光学式顕微鏡からの撮影情報を取り込んで半導体試料の光学式顕微鏡画像を生成する画像生成部と
を備えたことを特徴とする半導体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−41503(P2008−41503A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216069(P2006−216069)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】