説明

薄フィルムおよび、ECAE−ターゲットを使用して薄フィルムを形成する方法

本発明は、バリヤー層を形成するための方法を含む。材料はECAEターゲットからアブレートされ、基体表面上にわたって1%未満またはそれと同等の1シグマの厚みバラツキを有する層を形成する。本発明は、トンネル接合を形成する方法を含む。薄フィルムは、第1の磁性層と第2の磁性層との間に形成される。その薄フィルム、第1の磁性層および/または第2の磁性層は、ECAEターゲットから材料をアブレートすることにより形成され、非ECAEターゲットを使用して形成された対応する層と比較して改善された層厚み均一性を呈する。本発明は、物理蒸着ターゲットおよびそのターゲットを使用して形成された薄フィルムを含む。そのターゲットは、アルミニウムとGa、ZrおよびInから選択された少なくとも1つの合金化元素との合金を含有する。得られたフィルムは、その薄フィルム上にわたって1.5%未満の1シグマの厚みバラツキを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理蒸着ターゲット、薄フィルム、薄フィルム積層体、並びに薄フィルムおよび薄フィルム含有構造体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の技術および用途において、材料の層は極端に薄く、例えば、100nm未満であることが望ましく、特定の場合では10nm未満または1nm未満であることが望ましい。さらに、幾つかの用途は、非常に薄い複数の層を有する薄フィルム積層体を利用する。材料厚み、構造および平滑さの均一性は、薄フィルムの品質において極めて重要な要因であり得る。従って、平滑で均一なフィルム製品を正確かつ再現可能に提供することができる堆積法は非常に好ましい。
【0003】
PVDは、薄い金属および/またはセラミック層を基体上にスパッター堆積させることができる技術である。スパッターされる材料はターゲットからアブレートされ、それは一般に標準ラジオ波(RF)および/または直流(DC)スパッタリング装置内のカソードとして働く。例えば、PVDは、集積回路を製造するために半導体産業において広く使用される。しかしながら、従来のスパッタリングターゲットを利用するPVDにより形成された薄フィルムは、厚み均一性、粒子欠陥およびピンポールの不存在、および抵抗均一性が失われ得るし、またそのような要因が重要であり得るところの用途に適切なマイクロ構造が失われ得る。
【0004】
スパッタリング技術についての比較的新しい用途は、磁気ランダムアクセスメモリデバイス(MRAM)の製造にあり、特にスピンバルブ及び磁気トンネル接合(MTJ)のような構造に薄フィルムを形成することにある。MRAMは不揮発性メモリ(格納された情報はメモリを停止しても失われない)であるので、MRAM技術の開発は情報の高速処理にとって益々重要となっている。
【0005】
一般にMRAMセルは、サブミクロンの限界寸法を有し得る。MRAMセルは、典型的には、非磁性層により分離された少なくとも2つの磁性層を有する薄フィルム積層体を含む。非磁性層は、スピンバルブの場合の誘電性層であってもよいし、MTJの場合の絶縁性バリヤー層であってもよい。フィルム組成、微小構造および厚みの均一性は、適正なMRAMデバイス機能にとって必須であり得る。例えば、MTJ用途では、電流がフィルム平面に垂直に流れるので、トンネル抵抗はそのバリヤー層の厚みに指数関数的に依存する。したがって、層厚みの小さなバラツキが、抵抗の大きなバラツキを生じさせ得る。加えて、MRAMデバイスにおける磁性層の厚みは、磁気ベクトルを切り替えるのに要求される電流(または電場)に関係する。MTJ抵抗の絶対値はリードモード間の参照セルと対比されるので、粒子欠陥またはピンホールの不存在といった層品質、組成均一性および純度(すなわち、汚染がない)、層平滑性、および層厚の最高度の均一性は、そのセルの絶対抵抗性に必須である。
【0006】
幾つかのファクターがMRAMデバイスについて所望の特性を有する均一層のスパッター堆積において重要である。そのようなファクターには、スパッタリング速度;薄フィルム均一性;および微小構造が含まれる。改善は、上記のファクターを改善するようにターゲットの冶金学においてデザインされる。アルミニウムは、MTJ用途におけるトンネルバリヤー層のような層および薄フィルムを形成することに特に有用な金属であり得る。銅および/または銅合金は、スピンバルブデバイスに同様に有用であり得る。コバルト合金およびニッケル合金のような強磁性材料およびMnをベースとする材料のような反強磁性材料も、磁性層およびピンニング層を形成するのにそれぞれ有用である。高純度金属および合金は、局所的抵抗またはスピン配向に影響を与え得る不均一組成または混入汚染物を最小化するかまたは防ぐのに好ましい。したがって、MRAM用途に使用することができる高純度アルミニウム含有物理蒸着ターゲットおよび高純度強磁性材料または反磁性材料を含有するターゲットを形成することが望ましい。
【0007】
様々な研究でターゲットの3つの基本的ファクターがスパッタリングパフォーマンスに影響し得ることが実証されている。第1のファクターは、材料の粒度、すなわち、連続する結晶格子を有する多結晶金属の最小構成部分である。粒度範囲は、通常、数ミリメートルから10分の数ミクロンまでであり、金属の性質、組成および加工過程に依存する。微細でより均質な粒度は、アークを低減すると共に、薄フィルムの均一性、スパッタリング率および堆積速度を改善すると考えられる。第2のファクターは、ターゲットテキスチャーである。各粒の連続結晶格子は、ターゲット表面の平面に対して特定の方向に配向する。すべての特定の粒配向の総計でターゲット配向全体が規定される。特定のターゲット配向が占めない場合、そのテキスチャーはランダム構造であるとみなされる。粒度と同様に、結晶性テキスチャーも事前の熱機械的処置ならびに所定の金属の性質と組成に強く依存し得る。結晶性テキスチャーは薄フィルム均一性およびスパッタリング速度に影響を与え得る。
【0008】
第3のファクターは、第2の相析出物および粒子のような構成要素の大きさと分布、およびキャスティング欠陥(例えば、空隙または孔のようなもの)である。これらの構成要素は通常望ましくなく、アークならびに薄フィルムの汚染についての原因となり得る。
【0009】
MRAMターゲットの製造を改善するためには、ターゲット材料に関して次の1つ以上:(1) ターゲット材料内で100μm未満の主たる均一粒度を達成すること;(2)ターゲット材料を高純度金属または高純度合金からなる(から本質的なる)ものにすること(すなわち、原子パーセントのパーセンテージで少なくとも99.99%(4N)純度、好ましくは少なくとも99.999%(5N)純度のアルミニウム);および、(3)ターゲット材料内の酸素含量を低く維持すること;を達成することが望ましいであろう。
【0010】
物理蒸着ターゲットを作るために伝統的に使用されている熱機械的工程(TMP)は、概して、ドーパントを持つかまたは持たない5N Alまたはアルミニウムをベースとする合金について200μmより大きな粒度を達成し得るにすぎない。そのようなTMP工程は、鋳造、熱処理、圧延または鍛造による成形、アニーリングおよびターゲットの最終作製の各段階を伴う。鍛造および圧延作業はそれらの厚みを縮小することによりビレット(billet)の形状を変化させるので、今日のTMP工程において実際に達成可能な歪み(strain)は制限される。さらに、圧延および鍛造作業は、一般にビレットの全体にわたり不均一な歪みを生じさせる。
【0011】
高純度アルミニウム合金(例えば、99.9995%アルミニウムのようなもの)または他の金属合金の構造を精錬する最適な方法は、冷却操作直後に室温で自己再結晶化を開始し且つ完了させるのに十分大きな可塑変形であろう。
【0012】
高純度金属および合金は、典型的には、粗い樹状突起構造を持つ鋳造インゴットとして提供される(図1は、鋳放し99.9995%アルミニウムの典型的構造を表す)。鍛造および/または圧延操作は、鋳造インゴットをターゲット素材に変形するのに使用される。鍛造および/または圧延作業のあらゆる組合せについて得られる歪み全体は、ε=(1-h/H0)×100%(式中、H0はインゴット長さ、hはターゲット素材厚である)として表すことができる。計算では、従来の工程について可能な厚み縮小は、ターゲット素材の厚みに対するサイズの比率に依存して、約85%〜約92%の範囲である。その厚み縮小は、材料に誘導される歪みを規定する。より高い厚み縮小は、より大きな歪みを示すので、より小さな粒度を示し得る。従来の85%〜92%の縮小は、高純度アルミニウム(例えば、99.9995%またはそれを越える純度を有するアルミニウム)の静的再結晶化を提供することができるが、MRAMターゲット材料に望ましい微細且つ均一な粒構造を発生させるには不十分である。例えば、95%圧延縮小後の平均粒度は、約150ミクロン(図2中に示す通りのもの)である。そのような粒度は、トンネルバリヤー形成に望まれる最適なものよりも大きい。さらに、従来の工程により達成される構造は安定ではない。詳しくは、それら構造が150℃以上の温度(スパッタリング作業に典型的な温度である)まで加熱されると、それら構造の平均粒度は280ミクロン以上まで成長し得る(図3参照)。そのような挙動は、激しい鍛造または圧延後にも起こる。
【0013】
図4は、従来技術の高純度アルミニウム材料に得られた結果を纏めたものである。詳しくは、図4は、圧延縮小のパーセンテージと粒度(ミクロン)との関係を含む曲線10を示す。曲線10の実線部分は、室温で自己再結晶化する99.9995%アルミニウム材料への圧延縮小の効果を示す。示される通り、高率な95%の圧延縮小でさえ、比較的粗くて不均一な構造である約160ミクロンの平均粒度が生じる(12の箇所)。150℃で1時間のアニーリングは、その粒度を270ミクロンまで有意に増大させる(14の箇所)。縮小の99%までの上昇は粒度を110ミクロンまで減少させるが(図4の16の箇所)、150℃で1時間の加熱がその平均粒度を170ミクロンまで増大させる(図4の18の箇所)。
【0014】
再結晶化高純度材料の構造を、少量の各種ドーピング元素(高純度アルミニウムの場合のケイ素、チタン、およびスカンジウムのようなもの)をそれら材料へ添加することにより安定化する試みがなされている。ドーピング元素を組み込む場合に起こる困難は、一般には完全な自己再結晶化がその材料の全体に得られず、部分的な再結晶化が粒の境界および三つ又接合部に沿って観察されることである。例えば、99.9995%アルミニウムを含んでなる材料の30ppm Siドーピングを持つ構造は、純粋材料の同様の圧延後に形成された完全再結晶化構造(図2参照)とは対照的に、95%の高率な縮小での圧延後に部分的にしか再結晶化していない(図6参照)。したがって、典型的には、150℃の温度で約1時間の圧延化材料の追加的アニーリングが完全に再結晶化しドープした構造を得るために望まれる。そのようにする結果、粗くて不均一な粒が生じる(図7参照)。
【0015】
図5は、30ppmケイ素ドーパントでの99.9995%アルミニウムについて得られたデータを示す。図5の曲線20は、異なる縮小での圧延後の30ppmケイ素ドーパントの99.9995%アルミニウムの実験データに対応する。曲線20の鎖線部分は圧延後の部分的な自己再結晶化に対応し、その曲線の実線部分は完全な自己再結晶化に対応する。完全な自己再結晶化は97%を越える強い縮小後に得られ、それは実際には商業上のターゲット作製工程で利用できない。22の箇所は約250ミクロンと同程度に変形した材料について達成される平均粒度を示すこと、および24の箇所はその粒度がその材料を150℃で1時間アニールした後に約180ミクロンに低下することを示す。図5の22及び24の箇所は、図6及び図7の構造に対応する。
【0016】
上で説明した理由から、従来の金属処置工程は、MRAM技術に利用される高純度ターゲット材料に望まれる微細な粒度および安定な微小構造を生じさせることができない。例えば、従来の変形技術は一般にドープおよび非ドープ状態の双方の高純度金属および合金について熱に安定な150ミクロン未満の粒度を形成することができないという点に困難が存在する。また、特定の加工状況が従来の金属処置工程に関係する更なる問題を起こし得る。詳しくは、構造を精緻化するために可能な限り冷却変形を使用するという動機があり、それは孔および空隙を直すためおよび他の鋳造欠陥を除去するための鋳造材料の熱加工の利点を奪い得る。そのような欠陥を冷却変形により除去することは、不可能でなくとも困難であり、それらの幾らかは冷却変形の際に大きくなることさえある。したがって、鋳造欠陥を除去することができ、それでもなお望ましく小さい粒度および安定な微小構造を達成することができる方法を開発することが望まれている。
【発明の概要】
【0017】
1つの側面において、本発明は、バリヤー層を形成する方法を包含する。イコールチャンネルアングルせん断押出しされたターゲット(Equal channel angular extruded target)が提供され、材料はそのターゲットからアブレート(ablate)されて基体の表面上に層を形成する。その層は、表面にわたり約1%未満又はそれと同等の1シグマの厚みバラツキを有する。
【0018】
1つの別の側面において、本発明は、トンネル接合を形成する方法を包含する。第1の磁性層が基体上に形成される。第1の磁性層上に薄フィルムが形成され、その薄フィルム上に第2の磁性層が形成される。薄フィルム、第1の磁性層、および第2の磁性層の少なくとも1つは、材料をイコールチャンネルアングルせん断押出しターゲットからアブレートすることにより形成する。アブレートした材料から形成されて得られる層は、非ECAEターゲットを使用しそれ以外は実質的に同じ条件下で形成された対応層と比べて改善された均一性を有する。
【0019】
1つの別の側面において、本発明は、アルミニウムを含んでなり且つ薄フィルムにわたり1.5%未満の1シグマ標準偏差の厚みバラツキを有し薄フィルムを包含する。薄フィルムは、Cu、Al、Ga、In、SiおよびZrの少なくとも1つを追加的に含むことができる。
【0020】
1つの別の側面において、本発明は、物理蒸着ターゲットを包含する。ターゲットは、アルミニウムの合金および、Ga、ZrおよびInから選択される少なくとも1つの合金化元素を含有する。ターゲット中に存在する合金化元素の全体量は、重量で1,000ppmを越える。
【0021】
本発明の好ましい態様は、添付図面の参照で以下に記載される。
【好ましい態様の詳細な記載】
【0022】
本発明は、組成および厚みの並外れた均一性を有する薄フィルムを包含する。本発明の薄フィルムは、イコールチャンネルアングルせん断押出し(ECAE)加工を使用して形成されたターゲットからのスパッター堆積により形成される。ECAE加工は、高品質薄フィルムを製造可能にするというよりも、得られたターゲットに品質を与えるものである。得られたフィルムは、改善された厚み均一性を有し、非ECAEターゲットから形成されたフィルムに比べて粒子欠陥、ピンホール欠陥および不純物が少ない。
【0023】
ECAEターゲットを使用して形成されたフィルムは、フィルム厚みの均一性が重要であり得る用途において特に有用であり得る。そのような用途には、極めて薄フィルムおよび/または厚み、抵抗率および微小構造の厳密な均一性、並びに粒子欠陥の不存在を要求する用途が含まれる。ECAEターゲットが特に好都合であり得る技術の例は、MRAM作製におけるものである。非磁性層(誘電性および絶縁性の双方)、磁性層および反磁性(ピンニング)層を含むがこれらに限定されないMRAMデバイス中の層はすべてECAEターゲットを使用してスパッター堆積させることができ、得られた層または積層に所望の厳密な均一性を与えることができる。本発明は、高純度アルミニウムおよびIn、Ga、Zr、CuおよびSiの1つ以上で合金化されたアルミニウムのような材料を含んでなるターゲットおよび得られるバリヤーフィルムを包含する。本発明は、Ni、CoおよびFeの1つ以上を含んでなる材料のような磁性材料を含んでなるターゲットおよび磁性層をも包含する。本発明は、Mnをベースとする材料(Mnをベースとするとは、Mnが他のあらゆる単一元素よりも豊富に存在する材料を意味する)を含むがこれに限定されない非磁性材料を含んでなるターゲットおよび層をも含む。特定目的のMnベース材料には、Pt、Ir、FeおよびRhの少なくとも1つを含んでなる材料が含まれる。加えて、本発明は、上記のいずれの層をも形成する方法、および上記の層の1つ以上を含んでなる構成物を形成する方法を包含する。
【0024】
イコールチャンネルアングルせん断押出し法(ECAE)は、物理蒸着ターゲットの製造に好都合に使用される変形技術であって、本発明の特定の側面では、MRAM薄フィルム用途のためのターゲットの製造において初めて利用される変形技術である。ECAE技術はV.M.Segalにより開発され、米国特許第5,400,633号;5,513,512号;5,600,989号および5,590,390号に記載されている。それら特許の開示は、参照により本願明細書中に明確に取り込まれる。
【0025】
ECAEの一般的原理は、ほぼ同一断面の2つの交差接続(intersecting)チャンネルを使用して、ビレットをそれらチャンネルに通して押出し、そのビレット内に変形を引き起こすことである。交差接続チャンネルは、好ましくは厳格に同一断面のものであり、“厳格に同一”とは測定可能であり且つECAE装置内に作製可能とされる程度である。ただし、本願明細書に使用される“ほぼ同一”という用語は、それら断面は厳格な同一に近いが、例えば、交差接続チャンネルを形成するのに使用される作製技術の限界のために厳格な同一ではないことを指す。
【0026】
ECAE装置は、その装置を通過する材料に可塑変形を引き起こす。可塑変形は、装置の交差接続チャンネルの交差面での薄厚領域内で次々に層を単純せん断することにより実施される。ECAEの有用な特徴は、ビレット形状および寸法が加工の間に実質的に変化しないことである(“実質的に変化しない”という用語は、それら寸法が、交差接続チャンネルが厳格に同一な断面を有するという程度において変化しないことを意味し、それらチャンネルが厳格に同一な断面のものであることを意味する訳ではない)。
【0027】
ECAE技術は、多くの利点をもたらすことができる。そのような利点には、厳密に均一且つ均質に歪むこと、;通過毎の高度な変形;複数回の通過で達成される高度に蓄積された歪み;異なる変形経路(すなわち、複数回通過の各通過でビレットの向きを変えることで、多様なテキスチャーおよび微小構造の創出を可能にする);および低い負荷と圧力が含まれ得る。
【0028】
ECAE技術は、従来の実施と比べて、3つのうちの少なくとも1つのファクターによりMRAMの製造に使用される高純度アルミニウムおよびアルミニウム合金の粒度の低下を可能にする。ECAEは、従来の実施により製造されるこれら材料の粒度と比較し、CuおよびCu合金のような非磁性材料について、Ni合金およびCo合金のような磁性材料についておよび反強磁性Mnベース材料について粒度の同様の低下を生み出すことができる。
【0029】
本発明の様々な側面が、従来のECAE適用とは有意に異なっている。それら相違点のなかでも、本発明は、従来ECAEにより処理された金属および合金とは対照的に、高純度材料(例えば、特定のERAM用途に望まれる99.9995%を越える純度を有するアルミニウムのようなもの)を変形させるためのECAEの使用を包含するということがある。高純度金属は、典型的には加熱処理可能なものでなく、均質化、溶液化および撹拌のような普通の加工段階は不可能でなくとも、高純度金属で満足に適用することは困難である。さらには、低濃度のドーパントの添加(すなわち、100ppm未満のドーパントの添加)では、高純度金属での加工において直面する困難が排除されない。しかしながら、本発明では、単一相の高純度材料の構造をコントロールする方法は、変形、アニーリングおよび再結晶化による熱機械的処理であることが認知される。また、高純度金属は一般に安定でなく、動的再結晶化によって合金と同じやり方で精錬することができないので、本発明では、動的再結晶化よりも静的再結晶化の方が高純度金属のアニーリングに適切な方法であり得ることが認知される。材料の静的再結晶化アニーリングを使用する場合、静的再結晶化は微細な粒度を提供することになる最も低い温度で行うことが望ましい。歪みが材料内に高いレベルまで増大されるなら、静的再結晶化温度を低くすることができ、高い歪みが、室温で静的に再結晶化可能である材料をもたらす。このように材料の自己結晶化は、冷却操作工程の直後に起こる。それは高純度金属物理蒸着ターゲット構造内の望ましい粒度、テキスチャーおよび他の微小構造に最適なメカニズムとなり得る。
【0030】
1つの側面において、本発明は、MRAM用途のための物理蒸着ターゲットを形成することに使用する。ターゲットは、99.99%(4N)より大きいかまたは同等である純度を持つアルミニウムの主要部を含んでなり得る。特定の用途において、ターゲットは、In、Ga、Zr、SiおよびCuから選択される少なくとも1つの合金元素を含んでなる高純度アルミニウム合金を含んでなり得る。そのアルミニウム合金は、重量で、好ましくは、1000ppmを越える量〜約10%、幾つかの場合には好ましくは1000ppmを越える量〜約2%の少なくとも1つの合金化元素で合金化された高純度アルミニウムを含んでなり得る。別のやり方では、合金を含んでなるアルミニウムは、10%未満の少なくとも1つの合金化元素を含んでなり得る。
【0031】
また本発明は、Ga、InまたはZrの1つをベース元素(すなわち、材料におけるあらゆる他の単一元素よりも大きな量で存在する)として有する合金を含んでなるアルミニウムのECAEターゲットを包含する。例えば、合金を含んでなるアルミニウムは、MXAl(1-X)、ここでxは0.5より大きく1より小さく、MはIn、Zr、およびGaからなる群から選択される。好ましくは、合金を含んでなるアルミニウムは、少なくとも99.99%の全体純度を有し、少なくとも99.99%の合金組成物はアルミニウムおよび少なくとも1つの合金化元素であることを意味する。
【0032】
場合により、高純度アルミニウムまたはアルミニウム合金は、約1000ppm未満またはそれと等しいドーパント材料でドープされ得る。ドーパント材料はドープされたアルミニウムまたは合金に対する不純物であると考えられないので、それらドーパント濃度は、アルミニウムまたは合金の純度を決定することに考慮されない。換言すると、アルミニウム(またはアルミニウム合金)のパーセント純度は、いかなるドーパント濃度においてもファクターではない。
【0033】
例示的なターゲットは、99.9995%より大きいかまたはそれと同等の金属純度を有する主要部を含んでなる。ターゲット材料内のドーパント材料の全量は、典型的には、5ppm〜1,000ppm、より好ましくは10ppm〜100ppmである。ドーピングの量は、少なくともスパッタリングの間の材料微小構造の安定を確実にする最小量であり、かつイコールチャンネルアングルせん断押出しの間の完全な動的再結晶化の完了を妨害する最小量未満であるべきである。ドーパント材料は、例えば、Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrからなる群から選択される1つ以上の元素を含んでなり得る。ドーパント材料の元素は、それら材料内で元素形態または化合物形態のいずれもよい。ドーパント材料は、アルミニウム材料マトリックス内の析出の形態でもよいし、固溶体の形態でもよい。好ましくは、ターゲットは99.99%(4N)を越えるまたはそれと同等の純度を持つアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成され、上記の群からの1つ以上の元素でドープされる。
【0034】
本発明は、99.99%(4N)を越えるまたはそれと同等の純度を持つ単独のアルミニウムまたはアルミニウム合金、またはAg、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrの1つ以上からなる群から選択される100ppmの異なる元素でドープされたアルミニウムまたはアルミニウム合金の主要部を含んでなるMRAM用途のための物理蒸着ターゲットを提供することができる。さらには、そのターゲットは、アルミニウムまたはアルミニウム合金および列挙した異なる元素の1つ以上からなることもできるし、アルミニウムまたはアルミニウム合金および列挙した異なる元素の1つ以上から本質的になることもできる。MRAMターゲットは、99.99%(4N)を越える純度を持つだけの、または100ppm未満の上に列挙した1つ以上の異なる元素でドープされたAlまたはAl合金の主要部で作ることができ、上に列挙したあらゆる元素の全ドーピング含有量は、ECAEが行われる温度でのこの元素の溶解度限界よりも高いものであり得る。
【0035】
好ましいMRAMターゲットは、全体にわたって実質的に均質な組成;約100マイクロメーター未満の制御された主要な粒度;全体にわたって実質的に均一な構造および制御されたテキスチャーを有する。好ましくは、本発明の方法によるターゲットは、50マイクロメーター未満またはそれと同等の、特定の側面において約10マイクロメーター未満またはそれと同等の、さらなる側面において約5マイクロメーター未満またはそれと同等の、他の側面において約3マイクロメーター未満またはそれと同等の、またさらなる側面において約1マイクロメーター未満またはそれと同等の平均粒度を有する超微細粒化微小構造を有する。しかしながら、本発明は、それが特許請求の範囲に明記されている場合を除きターゲットについていかなる特定の粒度に限定されないと理解される。
【0036】
ターゲットに望ましい粒度は、ターゲット材料の少なくとも3つの特性に依存し得る。これら特性は、1)主要な構成成分、例えば、Al、Cu、Ga、In、Ni、Co、またはMnを形成する元素;2)その主要な構成成分をドープまたは合金化に行うのに使用される元素;および3)ドーパントまたは合金化元素の濃度である。ターゲットの意図された用途もターゲット材料の所望される粒度に影響を与え得る。例えば、従来のSiウエハ加工に適したターゲットはMRAMセルの製造に充分に適したものではない。MRAM用途において、高純度金属および/または合金は従来のSiウエハ加工に典型的に使用されるよりも望ましいものとされ得る。しかしながら、SiドーピングはそれでもMRAM用途に使用されるターゲットに適切なものであり得る。高純度アルミニウムのSiドーピングで、安定な粒度は、ドーパント濃度が低い(数ppm)ならば約100ミクロンであり得る。これは実際には、従来のAl-0.5%Cuにおけるよりも大きな粒度であるが、従来において調製されている純粋(またはほぼ純粋)Alターゲットを越える実質的な改善である。ECAEターゲットは、ECAEターゲット粒度が10ミクロンより大きいかまたは100ミクロンよりも大きい場合でさえ、非ECAEターゲットと比較して改善された層厚み均一性、抵抗率均一性および組成均一性を提供することができる。
【0037】
本発明の物理蒸着ターゲットは、上記のアルミニウム、アルミニウム合金、非磁性材料または反磁性材料を含んでなる、それらからなる、またはそれらから本質的になる鋳造インゴットから形成され得る。インゴット材料は、互いに一定の角度で交差接続する等しい断面の2つのダイ加工用隣接チャンネルを通じて押し出すことができる。またインゴット材料は、圧延、交差圧延、または鍛造のような従来のターゲット成形工程でアニーリングおよび/またはプロセシングを施し、最終的に物理蒸着ターゲット形状に作製してもよい。押し出し工程は、最終アニーリング、従来のプロセシングおよび作製工程の前に異なる変形経路を経て数回繰り返し、加工された材料内の非常に微細で均一な粒度を生成し、またその材料内のテキスチャー強度および配向性をコントロールすることもできる。
【0038】
本発明の工程は、モノリシックターゲットまたは2つ以上のセグメントで構成されるターゲットを形成することに提供することができる。
本発明の特定の態様は、アルミニウム含有物理蒸着ターゲットの形成、例えば、トンネルバリヤー用途に適したアルミニウム含有物理蒸着ターゲットの形成に関する。図8は、本発明の例示的なターゲット製造工程のフローチャートを示す。最初の段階では、アルミニウム含有鋳造インゴットが形成され、第2の段階ではそのインゴットを熱機械的加工にかける。その熱機械的加工から得られる材料は、アルミニウム含有塊である。次にその塊が等角度数度押出し(ECAE)により変形させられる。そのような変形は、ECAE装置を通じる1つ以上の通過により達成することができる。例示的なECAE装置は、米国特許第5,400,633;5,513,512;5,600,989;および5,590,390に記載されている。
【0039】
アルミニウム含有塊は、アルミニウムまたはIn、Ga、Si、Cu、およびZrの1つ以上で合金化されたアルミニウムからなることができる。特定の側面において、アルミニウム含有塊は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から本質的になることができる。その塊は、好ましくは、少なくとも99.99%純度のアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる。その塊は、Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrからなる群から選択される元素を含んでなる約100万分の100重量部(ppm)未満またはそれと同等の1つ以上のドーパント材料をさらに含んでなる。アルミニウム含有塊は、約100ppm未満またはそれと同等の上記の1つ以上のドーパント材料を持つアルミニウムまたはAl合金からなるものでもよいし、約100ppm未満またはそれと同等の上記の1つ以上のドーパント材料を持つアルミニウムまたはAl合金から本質的なるものでもよい。
【0040】
上記のECAE加工は、上記の非アルミニウムをベースとするアルミニウム含有合金材料のターゲットを形成するのに使用されてもよい。そのアルミニウム含有合金材料は、ドープされたものでもよいし、ドープされていないものでもよい。さらに示唆した通り、そのターゲット粒度は、ベース元素(Al、Ga、In、Zr、Cu)、並びに合金材料中に存在する合金化元素および/またはドーパントを元素の量とタイプによって影響を受け得る。
【0041】
ECAEは、高純度材料のPVDターゲットの形成に際して見出された問題を扱うための本発明の方法に使用される。ECAEは、単純せん断変形様式を使用する工程であり、一軸圧縮の鍛造または圧延により達成される主流の変形様式とは異なる。高純度材料において、ECAEの強烈な単純せん断は、非常に薄くて長いせん断帯を生じさせることにより実現される。これらの帯の内側に達成される歪みは、それら帯の外側に達成される歪みよりも何倍も大きいものであり得る。せん断帯は、ECAEの間に使用されるチャンネルの交差面に沿って生じる。加工速度がマクロスケールでの断熱および流体局在化を除去するのに十分に低いならば、純粋材料中のせん断帯は、わずか数ミクロンの厚みを有し、10分の数ミクロンの互いに近接する規則的な間隔を持つ。それら帯は、単一ECAE通過後に観測することができる。しかしながら、ECAE通過の数が増えると、せん断帯間の間隔は安定したサイズに低下し得る。実際のサイズは、ECAEにかけられる材料およびそのような材料の純度に依存して変動し得る。せん断帯内の歪みは、非常に高い縮小率(具体的には、約99.99%以上の縮小率)と同等であることができ、そして直ちにそれら帯内に静的再結晶化が生じる。その静的再結晶化は、それら帯間の間隔内において成長する新たな微細粒子を導くことができる。
【0042】
図9および図10は、2回通過および6回通過でのECAE後の99.9995%アルミニウムの完全な再結晶化構造をそれぞれ示す。得られた材料内の材料内の粒子は、6回通過後に安定なサイズが得られた。実験では、各通過後の同じ方向への90°のビレット回転に対応する経路での加工は、高純度材料に最も均一で等軸再結晶化構造を与えることができることが示された。そのような経路は、従来の刊行物においてECAE加工を記載するのに使用されてきた標準的定義に従い、経路Dとして定義される。
【0043】
図11は、変動するECAE通過数にかけられた高純度アルミニウム材料の粒度に現れる変化を表す曲線30を示す。図11の曲線30は、図4の曲線10と比較され、図4の曲線10を描くのに用いられた従来の工程に対し、ECAE工程により得られた10とサイズ減少の利点を表すことができる。ECAE構造は、小さな粒度有することのみならず、追加のアニーリングの間にスパッタリング-タイプの温度まで安定であることが分かる。例えば、150℃で1時間のアニーリング後に6回のECAE通過にさらされた材料は、40ミクロン(図11の32の箇所)〜50ミクロン(図11の34の箇所)までの相対的に取るに足らない粒度の増加しか示さない。
【0044】
ECAE加工材料内の粒度成長を回避するために使用され得る1つの方法は、ECAE材料内にドーピング元素を与えることである。しかしながら、ドーパントの添加は、典型的には、静的再結晶化が機械的加工後の十分に高い温度での別のアニーリング作業として行われる場合において構造改良のために使用され得るが、ドーピングは大きく変形された構造をもより安定にすることができるので、一般的には鍛造または圧延により行われる変形の間またはその直後の室温での自己アニーリングの場合には適用することができない。
【0045】
ECAEは、金属がその中に幾つかのドーパント材料有する場合でさえ、高純度金属の粒子改良のために使用し得る。例えば、30ppmのケイ素をその中に有する99.9995%アルミニウムは、ECAE装置を通ずる2回通過後にほとんど完全に再結晶化されることが分かる。その材料をその装置を通ずる3〜6回通過にかけるなら、微細且つ均一な構造を有し、そのような構造がそのデバイスを通ずる6回通過の後にも実質的に不変のままであることが分かる。図12は、その中に30ppmケイ素を有する99.9995%アルミニウムの粒度の、様々な回数のECAE通過での変化に対応する曲線50を表す。曲線50の鎖線部分は部分的再結晶化に対応し、曲線50の実線部分はECAE直後の室温での完全な再結晶化に対応する。
【0046】
6回通過後の構造を図13に表す。そのような構造は、約15ミクロンの平均粒度を有するに実質的に完全に再結晶化した均一で非常に微細な等軸構造である。そのような特性は、その後の圧延およびアニーリングの間にその構造の格段優れた安定性を提供することができる。例えば、90%までの縮小での次の圧延および150℃の温度で約16時間の長時間アニーリングは、穏やかな粒成長のみを引き起こし、得られる構造は約30ミクロンの平均粒度を有する。さらに、構造均一性は、図14の光学顕微鏡写真中に表される通り維持される。ECAEで達成される小粒度微小構造のそのような安定性は、従来の工程の鍛造、圧延または他の変形技術で達成され得るのとは実質的に異なる。したがって、ECAEは、物理蒸着用途のための微細で安定な微小構造を持つ高純度ターゲットを作製するための改善された方法を提供することができる。ECAEデバイスを通ずる3〜6回通過を使用するECAE加工は、典型的には、物理蒸着ターゲット素材を形成するのに適することが分かる。特に、経路Dの4回通過でのECAE(すなわち、各通過後の同じ方向への90°の回転)は、最適な加工手順であり得る。
【0047】
高純度材料のターゲット素材を形成するために従来の工程を使用するのと比較したECAEを使用する利点なかでも、ECAEが加熱鍛造作業との組合せにおいて使用することができることがある。詳しくは、ECAEは、鋳造インゴットからターゲット素材への加工の間に得られる変形の制限を除去するので、ECAEにかけられる初期構造への要求を除去する。材料はECAEに先立ち加熱鍛造にかけることができる。そのような加熱鍛造は、鋳造欠陥の実質的に完全な排除をもたらすことができ、それはさらに従来の工程により形成されるターゲットと比較して本発明の方法により形成されるターゲットの改善されたパフォーマンスをもたらすことができる。
【0048】
図8フローチャート図の第4段階において、変形された塊はPVDターゲットまたはターゲットの少なくとも一部分に成形される。そのような成形には、例えば、塊の圧延、交差圧延、鍛造および切断の1つ以上が含まれ得る。その塊は、物理蒸着ターゲットの全体を含んでなる形状に形成されてもよいし、別のやり方では物理蒸着ターゲットの一部分のみを含んでなる形状に形成されてもよい。塊が物理蒸着ターゲットの一部分のみを含んでなる形状に形成される例示的な用途は、その塊がいわゆるモザイクターゲットの部分を形成するのに使用される用途である。
【0049】
図8工程の第5段階において、成形塊は、その塊をターゲット構造内に組み込むために支持プレートに取り付け得る。適切な支持プレートおよびターゲットを支持プレートに取り付けるための方法は当該技術分野おいて知られている。本発明は、加工された塊が最初に支持プレートに取り付けられることなく物理蒸着ターゲットとして直接使用される態様、並びにその塊が支持プレートに取り付けられる態様を包含する。
【0050】
上記の本発明の工程は、アルミニウム含有塊を、非常に微細で均質な粒構造を有しそれら粒の主要サイズが約100マイクロメーター未満であるターゲットに作製することに使用することができる。そのようなターゲットは、MRAMトンネルバリヤー材料を形成するスパッタリング用途に特に適したものであり得る。記載された加工は、磁性層材料、反磁性層材料および導電性非磁性層材料を形成することにも同様に使用することができる。本発明では、アルミニウム含有する他の非磁性材料、磁性材料および反磁性材料の従来の加工と比較した粒改良の改善がECAE技術により提供されることが認知される。そのECAEは、好ましくは、所望の微小構造を達成し且つ加工ビレットの全体にわたる均一な応力歪み状態を与えるのに十分な温度および速度で行われる。
【0051】
ECAEデバイスを通ずる通過数およびそのデバイスを通ずる行程に選択される特定のECAE変形経路は、ターゲット微小構造を最適化するように選択され得る。例えば、粒改良は、ECAEデバイスを通ずる単純せん断による強烈な歪みの間に起こる急激な構造変換の結果である。
【0052】
図15Aおよび10Bは、ECAE加工後の10ppmSc添加アルミニウムについて得られた粒子を表す。図15Aに示される粒子は、約20ミクロンの平均サイズを有し、比較的微細、等軸且つ均質である。図15Aに示される構造は、従来のターゲット形成方法により生成されるサイズよりも少なくとも3つのファクターのうち1つで小さい平均粒度を有する。
【0053】
ECAEの少なくとも3つの異なる側面は、本発明に従って材料を処理することにより得られる顕著な粒度の低下および粒均一性の改善に寄与する。これら3つの側面は、ECAEにより与えられる塑性変形の量、ECAE変形経路、およびECAEの間に生じる単純せん断力である。
【0054】
材料を本発明の方法に従ってECAEにかけた後、その材料は、従来の方法の鍛造、交差圧延および圧延により成形し、その材料をスパッタリング工程におけるターゲットとして利用するのに適した形状に形成することができる。ECAEの間に作り出される超微細粒度は、安定且つ均一と状態を維持すること、およびさらなる従来の加工の際;材料の厚みの高い縮小率を含む加工の間にさえ、限定的な粒成長を示すことが分かる。そのようなことは、10ppmSc添加アルミニウムに関し、変形させた時のECAEサンプルの多様な微小構造(図15A)を、85%厚み縮小率でさらに単一方向圧延にかけたものと比較する図15により例示される。
【0055】
好ましくは、ECAE加工後に材料を成形するために使用される従来の成形作業は、スパッタリングの間に発生する温度より低い温度で行われる。例えば、スパッタリング加工が約150℃で行われると予期されるなら、ECAE後の従来の工程、例えば圧延、交差圧延または鍛造は、好ましくは150℃より低い温度で行われる。当業者により認識されるであろう通り、温度のようなスパッタリング条件は、ターゲットの組成を含む様々なファクターに依存し得る。スパッタリング温度を下回る温度でのそのような加工によって、従来の加工化物理蒸着ターゲットに望ましいもの超えて粒度が増大するという可能性が低下する。典型的には、ターゲット成形段階は、ターゲットの最終的なスパッタリング温度よりも低い温度でのターゲット成形段階を維持するために、約200℃未満またはそれと同等の温度で行われ、より好ましくは約150℃未満またはそれと同等の温度で行われる。
【0056】
ECAEの間に作り出される微小構造は、従来の工程により作り出される微小構造と比較してアニーリングで格段優れた安定性を示すことが分かる。例えば、ECAEにかけられた30ppmSi添加アルミニウムのサンプルは、150℃で1時間のアニーリング後に約12ミクロン〜約30ミクロンまでの平均粒度の限定的且つ漸進的な増加を示すことが分かる。そのような平均粒度は、150℃で16時間のアニーリング後に実質的に変わらない。対照的に、単に厚みの85%縮小への圧延(従来の加工)にかけられたサンプルは、わずか125℃で1時間のアニーリング後に125ミクロンより大きい平均粒度までの劇的な粒成長を示す。
【0057】
ターゲットを加工するためのECAEの使用は、ターゲット内のテキスチャーのコントロールを可能とし、ここで“テキスチャー”という用語は、ターゲット内の結晶性配向を示す。材料内の多数(すなわち、大多数)の粒が互いに同じ結晶性配向を有するならば、その材料は、強いテキスチャーを有するものと言える。対照的に、それら粒が同じ結晶性配向を有しないならば、その材料は弱いテキスチャーを有するものと言える。ただし結晶性配向への言及は、それら粒が単結晶部分であることを示唆する訳ではないことに留意されたい。本発明の方法を使用して様々なテキスチャーを作り出すことができる。
【0058】
上記のECAEターゲットは、層、薄フィルム、薄フィルム積層体、特定の場合にはMRAM回路を形成するために本発明に従って使用することができる。本発明の側面による層を形成する例示的な態様は、図16〜図19を参照して記載されている。図16は、基体12を含んでなるウエハ断片10を表す。基体12は、例えば、バルク単結晶ケイ素基体を含むものであり得る。本願明細書の記載において、“半導体基体”または“半導性基体”という用語は、半導性材料が含まれるあらゆる構造体を意味するように定義され、半導性ウエハのようなバルク半導性材料(単独またはその上に材料を含んでなるアッセンブリのいずれか)、半導性材料層(単独または他の材料を含んでなるアッセンブリのいずれか)が含まれるが、これらに限定されない。“基体”という用語は、あらゆる支持構造を指し、上記の半導性基体を含むが、これらに限定されない。また本願明細書の記載において、“層”という用語は、特に指示されない限り、単数および複数の双方を包含する。底部電極層14は、適切な電極材料を堆積させることにより基体12上に形成することができる。
【0059】
図17で参照されるように、反強磁性層16を電極14の上に形成することができる。特定の用途では、反磁性層16は、ピンニング層と呼ばれるものであり、そのような層は、過度な磁性層の磁気ベクトルを配向させ且つ/または固定することができる。反強磁性層16は、例えば、上記のマンガンをベースとする材料のようなマンガンベース材料を含んでなることができる。特定の場合に、ピンニング層16は、上記いずれかのMnベース材料から本質的になることができる。反強磁性層16は、例えば、上記の反強磁性材料を含んでなるECAEターゲットを使用するスパッター堆積により形成することできる。
【0060】
反強磁性層16は、特定の厚みに限定されない。したがって、層16は、単一堆積層を含んでもよいし、反磁性材料の複数の層(図示せず)を含んでもよい。概して、反強磁性層16は、約100nm未満、典型的には50nm未満の厚みを有するであろう。幾つかの場合において層16は好ましくは20nm未満であり得るもので、特定の用途では約10nm未満またはそれと同等であり得る。ピンニング層16は、好ましくは、約10μm、幾つかの用途では約5μm未満またはそれと同等の粒度を有し得る。当業者により理解されるであろう通り、反強磁性層中6の形成には、例えば、アニーリングのような堆積後の加工段階が含まれ得る。
【0061】
第1の磁性層18は、ピンニング層16の上に堆積させ得る。磁性層18は、ターゲット材料に関して上記したもののような磁性または強磁性材料を含んでなり得る。特定の用途において、層16は、いずれかの上記磁性材料から本質的になり得る。磁性材料18は、例えば、ECAEターゲットを使用するスパッター堆積により堆積され得る。磁性層18の形成のためのECAEターゲットの使用は、非ECAEターゲットの使用と比較して改善された厚み均一性のような優れた薄フィルム特性を与えることができる。本発明の方法に従って形成された磁性薄フィルム18は、堆積層の表面全体にわたり約1.5%未満の1シグマ(標準偏差)、特定の場合には約1%未満の1シグマの厚み偏差を有し得る。ECAEターゲットを使用して生じ得るさらなる改善には、検出可能な粒子欠陥の不存在、検出可能な空隙およびピンホールの不存在、および磁性層18全体にわたる実質的に均一な組成および微小構造が含まれる。
【0062】
図17は層18を単一層として記載するが、層18は複数の磁性層(図示せず)を含んでなることもできると理解されるであろう。磁性層18の全体の厚みは、特定の値に限定されず、例えば、約100nm未満またはそれと同等、好ましくは50nm未満またはそれと同等、より好ましくは約10nm未満またはそれと同等であり得る。特定の場合、例えば、サブミクロンセルサイズを有するMRAM用途では、固定化磁性層18は約50オングストローム未満またはそれと同等の厚みを有することが望ましいとされ得る。
【0063】
図18で参照されるように、非磁性層20は、磁性層18の上に、例えばECAEターゲットからのスパッタリング堆積を使用して形成することができる。層20は、特定の用途に依存して、導電性材料または絶縁性材料を含んでなるものであり得る。トンネル接合用途において、層20は、トンネルバリヤーとして役立ち、好ましくは、酸化アルミニウムのような酸化物材料;Ga、In、またはZrの酸化物;Al、Ga、In、Zr、およびSiの1つ以上を含んでなる合金の酸化物;またはそれらの混合物を含んでなることができる。スピンバルブ用途に関し、層20は、銅含有材料または高純度銅のような導電性材料を含んでなることができる。図18に示す通り、層20は、2つの下層20および24を含んでなることができる。層22および24は、実質的に同一の材料を含んでなることもできるし、異なる金属酸化物を含んでなることもでき得る。MTJ用途では、層22および24は独立に、例えば、酸化アルミニウム、アルミニウム含有合金の酸化物、またはGa、Zr、In、またはそれらの混合物からなる群から選択される金属の酸化物を含んでなることができる。その場合には、層20は、単一層の材料(図示せず)を含んでなることができる。
【0064】
層20の形成には、例えば、ECAEターゲットからのスパッター堆積による1つ以上の金属材料の堆積後、その堆積材料の酸化を含み得る。堆積された時の層20は、特定の側面において、ターゲット材料から本質的になり得るものである。例えば、層20は、アルミニウムから本質的になるものでも、ガリウムと合金化したアルミニウムから本質的になるものでも、インジウムと合金化したアルミニウムから本質的になるものでもよい。層20が2つ以上の下層22および24を含んでなる場合、下の部分22は堆積させ、上の部分24を堆積させる前に酸化させ得る。他の場合では、層22および24の双方のスパッター堆積をいずれの酸化の前にも行うことができ、その後、層22および24を部分的にまたは完全に酸化する酸化段階を行うことができる。
【0065】
別の態様では、層20は、堆積の間に酸化され得る。別の側面において、層20は、堆積の間またはその後に組み込まれた窒素を有する窒化物材料を含んでなり得る。
1つ以上のECAEターゲットを使用する層20の形成は、非ECAEターゲットを使用しその他の点では同一の堆積条件下で形成された対応する層と比較して、改善された厚み均一性および抵抗率均一性を層20に与えることができる精密な堆積を提供することができる。例えば、層20は、約1.5%未満またはそれと同等の1シグマ標準偏差の厚み均一性を有することができる。特定の場合、層20は、約1%未満またはそれと同等の1シグマの厚み偏差を有することができる。
【0066】
層20の厚みは、特定の値に限定されず、例えば、約100nm未満またはそれと同等、好ましくは、約50nm未満またはそれと同等であり得る。幾つかのMRAM用途では、層20は、好ましくは、10nm未満またはそれと同等の厚みを含んでなり、好ましくは5nm未満またはそれと同等、また好ましくは3nm未満またはそれと同等の厚みを含んでなり得る。MRAMデバイスがサブミクロンセルサイズを含んでなる場合、層20は、好ましくは、約2ミクロン未満またはそれと同等、特定の場合には、1ミクロン未満の厚みを有することができる。ECAEスパッタリングターゲットを使用して層20を形成することの1つの利点は、その層の微細粒度を均一とすることである。例えば、ECAEターゲットからのアブレートにより形成されたアルミニウム含有層は、約10マイクロメートル未満またはそれと同等の平均粒度を有し、幾つかの場合には約5マイクロメートル未満またはそれと同等、特定の場合には約1マイクロメートル未満またはそれと同等の平均粒度を有することができる。Ga、In、Zr、およびSiの1つ以上を含有する非アルミニウムベース材料を含んでなるフィルム20についての平均粒度は、約20マイクロメートル未満またはそれと同等、好ましくは、約5μm未満またはそれと同等であってもよい。ただし、本発明に従って形成されたフィルムは多結晶質ではなく、非晶質であってもよいことを記す。
【0067】
層20の形成に使用されるスパッタリングターゲットには、1つ以上の上記非磁性材料スパッタリングターゲットが含まれる。層20の形成に使用されるスパッタリングターゲットは、ドープされたものでも、ドープされていないものでもよい。改善された厚み均一性を有することに加えて、非ECAEターゲットを使用するフィルム形成と比較し、本発明のフィルムは、検出可能なピンポール、堆積化粒子および/または空隙の不存在をさらに有することができる。
【0068】
図19で参照されるように、第2の磁性層26を層20の上に形成することができる。特定の用途では、磁性層26は、フリー磁性層と呼ばれるものであり、ここで“フリー”という用語は、その層の磁気ベクトルがピンニング層によりピンニングされておらず、また固定されてもいないことを意味する。磁性層26は、第1の磁性層18に関して上で示唆したあらゆる磁性材料を含んでなり得る。第1および第2の磁性層18および26は、同じ組成物でもよいし、異なる組成物を含んでもよい。上部電極28は、第2の磁性層26上に堆積させ得る。上部電極28は、底部電極14に含まれる材料と同じでも、異なるものでもよい適切な電極材料を含んでなり得る。
【0069】
層14、16、18、20、26、および28は、集合的に積層体または薄フィルム積層体40と呼ばれ得る。層16、18および26の各々はECAEターゲットを使用して形成されたものとして上記した通りであるが、積層体40に含まれるそれら層の1つ以上が代替的に別の堆積法または非ECAEターゲットを使用して形成されてもよい。本発明は、図19に示される積層体40とは別の積層体構造をも包含すると理解されるであろう。例えば、反強磁性層16を省略した、或いは反強磁性層を非磁性層26と電極28との間に配置した別の態様が包含される。さらに、本発明は、1つより多い反磁性層、1つより多い非磁性層、および/または追加の磁性層(図示せず)を有する積層体構造を企図する。また、図19中の基体12上の薄フィルム積層体40は、場合により、更なる加工を受け得ると理解される。
【0070】
図20への参照では、ECAEターゲットを使用して形成された薄フィルムと非ECAEターゲットを使用して形成された薄フィルムとの比較が示される。図20に示唆されるように、ECAEターゲットを使用して形成されたフィルム中には、他のターゲットを使用して形成されたフィルムと比較して、ほとんど粒子が検出されない。ECAEターゲットで形成されたフィルムは一貫して、その中に堆積した粒子がほとんどなく、典型的には、別のターゲットでのフィルム形成と比較して平均2〜3倍も粒子が少なく、かつ粒子堆積についての上限コントロール限界(UCL)を一貫して下回る。図21への参照では、ECAEターゲットを使用して形成されたフィルムについて測定されたシート抵抗を、非ECAEターゲットを使用しそれ以外は同じ堆積条件下で形成されたフィルムと比較して示す。図21に示されるように、ECAE堆積は、シート抵抗値の改善されたウエハ間再現性を提供する。
【0071】
図22〜29は、アルミニウムおよび0.5%銅の組成を有するECAEターゲットを使用して形成されたフィルムの測定した特性を示す。図22〜29中の各グラフ上の各データ点は、300mmウエハ上にわたって形成された層の約49測定値の平均値を表す。図22および図23は、得られた層内の高度に均一な反射率を示す。図24および図25は、得られた層内の抵抗率の格段優れた均一性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、99.9995%アルミニウムの鋳造物構造の光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図2】図2は、95%冷圧延縮小後の自己再結晶化構造を示す、99.9995%アルミニウムの光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図3】図3は、95%冷圧延縮小および150℃で1時間のアニーリング後に得られた構造を示す、99.9995%アルミニウムの光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図4】図4は、室温で自己再結晶化した99.9995%アルミニウムの粒度への従来技術の圧延縮小工程の効果を示すグラフである。
【図5】図5は、30ppm Siと共に材料99.9995%アルミニウムを含んでなる材料(そのような材料が室温で部分的に自己再結晶化している)の粒度への従来技術の圧延縮小工程の効果を示すグラフである。
【図6】図6は、90%冷圧延縮小後の30ppm Si添加99.9995%アルミニウムの光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図7】図7は、90%冷圧延縮小および150℃で1時間のアニーリング後の30ppm Si付加99.9995%アルミニウムの光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図8】図8は、本発明に包含される方法のフローチャート図を示す。
【図9】図9は、イコールチャンネルアングルせん断押出し(ECAE)デバイスを2回通過した後の99.9995%アルミニウムの構造を示す光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図10】図10は、ECAEデバイスを6回通過した後の99.9995%アルミニウムの光学顕微鏡写真(50倍に拡大されたもの)である。
【図11】図11は、室温で自己再結晶化する99.9995%アルミニウムの粒度へのECAEの効果を示すグラフである。
【図12】図12は、を含んでなる材料の粒度へのECAE通過の効果を示すグラフである。そのグラフは、室温での当該材料の自己再結晶化後の粒度を示す。
【図13】図13は、ECAEデバイスを6回通過した後の99.9995%アルミニウムおよび30ppm Siを含んでなる材料の構造を示す光学顕微鏡写真(100倍に拡大されたもの)である。
【図14】図14は、ECAEデバイスの6回通過、85%冷圧延縮小および150℃で16時間のアニーリングの後の99.9995%アルミニウムおよび30ppm Siを含んでなる材料の構造を示す光学顕微鏡写真(100倍に拡大されたもの)である。
【図15】図15Aおよび15Bは、経路D(すなわち、ECAEデバイスの各通過の後に同方向への90°のビレット回転に対応する経路)を経る6回ECEA通過後のアルミニウムおよび10ppm Scを含んでなる材料の光学顕微鏡写真を示す。図15Aは、変形させた状態の材料を示し、図15Bは厚みの85%圧延縮小後の材料を示す。
【図16】図16は、本発明の側面による事前加工段階での半導体ウエハ断片/断面の断面図である。
【図17】図17は、図16に示される段階に続く加工段階での図16のウエハ断片の図である。
【図18】図18は、図17に示される段階に続く加工段階での図17のウエハ断片の図である。
【図19】図19は、図18に示される段階に続く加工段階での図18のウエハ断片の図である。
【図20】図20は、ECAEターゲットを使用して200mmウエハ上に形成された薄フィルムに検出される粒子の数を、非ECAEターゲットを使用した場合と比較する図である。比較された薄フィルムは、0.5%銅で合金化したアルミニウムであった。
【図21】図21は、ECAEターゲットを使用して形成された0.5%銅添加アルミニウム薄フィルムの測定シート抵抗を、非ECAEターゲットを使用した場合と比較する図である。
【図22】図22は、300mmウエハ上にECAEターゲットを使用して形成された0.5%銅での合金化アルミニウムの薄フィルムの平均反射率を示す。
【図23】図23は、300mmウエハ上にAl-0.5%銅ECAEターゲットから形成された薄フィルムの反射率の均一性を示す。
【図24】図24は、300mmウエハ上にECAEターゲットを使用して形成されたAl-0.5%銅の薄フィルムについて平均シート抵抗を示す。
【図25】図25は、300mmウエハ上にECAEターゲットを使用して形成されたアルミニウム-0.5%銅の薄フィルムについてシート抵抗均一性を示す。
【図26】図26は、300mmウエハのケイ素表面上にECAEターゲットを使用して形成されたアルミニウム銅の薄フィルムの測定厚みを示す。
【図27】図27は、300mmウエハのケイ素表面上にECAEターゲットを使用して形成されたアルミニウム-0.5%銅の薄フィルムの厚み均一性を示す
【図28】図28は、300mmウエハ上にECAEターゲットを使用して形成されたアルミニウム銅の薄フィルムの平均厚みを示す。そのアルミニウム銅層は、TEOS誘導材料上に堆積させた。
【図29】図29は、図28中に示されるものに対応する厚み測定値を有するアルミニウム銅層についての厚み均一性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリヤー層を形成する方法であって:
イコールチャンネルアングルせん断押出しされたターゲットを提供すること;
表面を有する基体を提供すること;および
前記ターゲットから材料をアブレートして前記基体上に層を形成し、該層がその表面上にわたって約1%未満またはそれと同等の1シグマを変動する厚みを有するものとなる;
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記基体は、200mmウエハである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記基体は、300mmウエハである、請求項1の方法。
【請求項4】
前記層は、磁性層上に堆積されている、請求項1の方法。
【請求項5】
前記層は、アルミニウムを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項6】
前記層は、In、Ga、およびSiからなる群から選択される少なくとも1つ合金化元素を含有するアルミニウム合金を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項7】
前記層はGaを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項8】
前記層はInを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
前記層は、そのアブレートした後に酸化されて、酸化層を形成することをさらに含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
前記酸化層は、約1%未満またはそれと同等の1シグマの偏差にある厚みを含んでなる、請求項9の方法。
【請求項11】
前記酸化層は、約100nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項12】
前記酸化層は、約10nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項13】
前記酸化層は、約1.0nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項14】
磁性トンネル接合を形成する方法であって、
基体であってその上に第1の磁性層を有する基体を提供すること;
イコールチャンネルアングル押出し(ECAE)ターゲットから材料をアブレートして、前記第1の磁性層の表面上に薄フィルムを形成し、該薄フィルムがその表面上にわたって約1%未満またはそれと同等の1シグマ標準偏差の抵抗‐領域(RA)均一性を有するものとなる;および
前記薄フィルム上に第2の磁性層を堆積させること;
を含んでなる方法。
【請求項15】
前記薄フィルムを酸化して、トンネルバリヤー酸化層を形成することをさらに含んでなる、請求項14の方法。
【請求項16】
前記第1の磁性層は、固定化強磁性層である、請求項14の方法。
【請求項17】
前記第2の磁性層は、フリー強磁性層である、請求項14の方法。
【請求項18】
前記ECAEターゲットは、Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrからなる群から選択される少なくとも1つのドーパント元素を有するドープされたアルミニウムを含んでなる、請求項14の方法。
【請求項19】
前記薄フィルムは、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1つ合金化元素を含有するアルミニウム合金を含んでなる、請求項14の方法。
【請求項20】
トンネル接合を形成する方法であって、
基体を提供すること;
前記基体上に第1の磁性層を形成すること;
前記第1の磁性層上に薄フィルムを形成すること;
前記薄フィルム上に第2の磁性層を形成し、該第1の磁性層、該薄フィルムおよび該第2の磁性層から選択される少なくとも1つの層がイコールチャンネルアングル押出し(ECAE)ターゲットから材料をアブレートすることを含む方法により形成され、該少なくとも1つの層が非ECAEターゲットを使用しそれ以外は実質的に同一条件下で形成される対応層と比較して改善された厚み均一性を有するものとなる;
を含んでなる方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの層、約1%未満またはそれと同等の1シグマと層厚み不均一性を有する、請求項20の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの層は第1の磁性層であり、前記ECAEターゲットは、ニッケル合金およびコバルト合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの層は第2の磁性層であり、前記ECAEターゲットは、ニッケル合金およびコバルト合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの層は薄フィルムであり、前記ECAEターゲットは、アルミニウム合金を含んでなる、請求項20の方法。
【請求項25】
前記第1の磁性層を形成する前に、反強磁性層を堆積させることをさらに含んでなる、請求項20の方法。
【請求項26】
前記反強磁性層は、Mnをベースとする材料を含んでなり、その堆積は、ECAEターゲットから材料をスパッタリングして、約1%未満の1シグマの厚みバラツキを有する該反強磁性層を形成することを含んでなる、請求項25の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの層は、約10nm未満の厚みを有する、請求項20の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの層は、約1.0nm未満の厚みを有する、請求項20の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの層は、約10ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの層は、約5ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの層は、約1ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項32】
前記薄フィルムを形成することは、第1の厚みを有する第1の材料を堆積させること、および該第1の材料上に第2の厚みを有する第2の材料を堆積させることを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項33】
前記第1の材料および第2の材料の少なくとも1つを酸化させることをさらに含んでなる、請求項32の方法。
【請求項34】
前記第1の材料は、アルミニウムを含んでなり、前記第2の材料は、Cu、Al、Ga、In、Si、およびZrの少なくとも1つを含んでなる、請求項32の方法。
【請求項35】
前記第2の材料は、アルミニウムを含んでなり、前記第1の材料は、Cu、Al、Ga、In、Si、およびZrの少なくとも1つを含んでなる、請求項32の方法。
【請求項36】
アルミニウム;
Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrの少なくとも1つ;および
薄フィルム上にわたる1.5%未満の1シグマの厚みバラツキ;
を含んでなる薄フィルム。
【請求項37】
前記フィルム上にわたる厚みバラツキは、約1.0%未満またはそれと同等の1シグマである、請求項36の薄フィルム。
【請求項38】
前記薄フィルムは、約100nm未満の厚みを有し、該フィルムは、検出可能なピンホールおよび検出可能な粒子欠陥が存在しない、請求項36の薄フィルム。
【請求項39】
前記薄フィルムは、ECAEターゲットを使用して形成され、該フィルムは、非ECAEターゲットを使用して製造されたフィルムと比較して検出可能な粒子が少なくとも50%少ない、請求項36の薄フィルム。
【請求項40】
前記厚みは、約10nm未満またはそれと同等である、請求項38の薄フィルム。
【請求項41】
前記厚みは、約1.0nm未満またはそれと同等である、請求項38の薄フィルム。
【請求項42】
前記薄フィルムは、金属酸化物を含んでなる、請求項36の薄フィルム。
【請求項43】
前記金属は、アルミニウム合金から本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項44】
前記合金は、In、Ga、およびCuの少なくとも1つを含んでなる、請求項43の薄フィルム。
【請求項45】
前記薄フィルムは、アルミニウム合金の酸化物から本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項46】
前記薄フィルムは、アルミニウム、酸素、並びにGa、In、およびCuの少なくとも1つから本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項47】
アルミニウムとGa、Zr、およびInからなる群から選択される少なくとも1つの合金化元素との合金を含んでなり、該合金中に存在する少なくとも1つの合金化元素の全量が重量で1000ppmより多い、物理蒸着ターゲット。
【請求項48】
前記ターゲットは、前記合金から本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項49】
前記ターゲットは、アルミニウムおよびGaから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項50】
前記合金は、重量で1000ppmを超えて約10%までのGaを含有する、請求項49の物理蒸着ターゲット。
【請求項51】
前記ターゲットは、アルミニウムおよびInから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項52】
前記合金は、重量で1000ppmを超えて約10%のInを含有する、請求項51の物理蒸着ターゲット。
【請求項53】
前記合金は、アルミニウム、Ga、およびInから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項54】
前記ターゲット、アルミニウムおよびZrから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項55】
第1の厚みを有する第1の層;
前記第1の層上に配置された第2の厚みを有する第2の層;および
前記第2の層上に配置された第3の厚みを有する第3の層;
を含んでなる薄フィルム積層体であって、
前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層の少なくとも1つが、イコールチャンネルアングル押出しされたターゲットから材料をアブレートすることを含む方法により形成されるスパッター層であり、該スパッター層上にわたって1%未満またはそれと同等の1シグマのバラツキを呈する薄フィルム積層体。
【請求項56】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々100nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項57】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々20nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項58】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々10nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項59】
前記第2の厚みは、1.0nm未満またはそれと同等である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項60】
前記少なくとも1つの層は第2の層を含んでなり、該第2の層はアルミニウムを含んでなる、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項61】
前記第1の層および前記第2の層の各々が強磁性である、請求項60の薄フィルム積層体。
【請求項62】
前記少なくとも1つの層は第2の層を含んでなり、該第2の層は銅を含んでなる、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項63】
前記第1の層および前記第2の層の各々が強磁性である、請求項62の薄フィルム積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリヤー層を形成する方法であって:
イコールチャンネルアングルせん断押出しされたターゲットを提供すること;
表面を有する基体を提供すること;および
前記ターゲットから材料をアブレートして前記基体上に層を形成し、該層がその表面上にわたって約1%未満またはそれと同等の1シグマを変動する厚みを有するものとなる;
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記基体は、200mmウエハである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記基体は、300mmウエハである、請求項1の方法。
【請求項4】
前記層は、磁性層上に堆積されている、請求項1の方法。
【請求項5】
前記層は、アルミニウムを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項6】
前記層は、In、Ga、およびSiからなる群から選択される少なくとも1つ合金化元素を含有するアルミニウム合金を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項7】
前記層はGaを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項8】
前記層はInを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
前記層は、そのアブレートした後に酸化されて、酸化層を形成することをさらに含んでなる、請求項1の方法。
【請求項10】
前記酸化層は、約1%未満またはそれと同等の1シグマの偏差にある厚みを含んでなる、請求項9の方法。
【請求項11】
前記酸化層は、約100nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項12】
前記酸化層は、約10nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項13】
前記酸化層は、約1.0nm未満またはそれと同等の厚みを有する、請求項9の方法。
【請求項14】
磁性トンネル接合を形成する方法であって、
基体であってその上に第1の磁性層を有する基体を提供すること;
イコールチャンネルアングル押出し(ECAE)ターゲットから材料をアブレートして、前記第1の磁性層の表面上に薄フィルムを形成し、該薄フィルムがその表面上にわたって約1%未満またはそれと同等の1シグマ標準偏差の抵抗‐領域(RA)均一性を有するものとなる;および
前記薄フィルム上に第2の磁性層を堆積させること;
を含んでなる方法。
【請求項15】
前記薄フィルムを酸化して、トンネルバリヤー酸化層を形成することをさらに含んでなる、請求項14の方法。
【請求項16】
前記第1の磁性層は、固定化強磁性層である、請求項14の方法。
【請求項17】
前記第2の磁性層は、フリー強磁性層である、請求項14の方法。
【請求項18】
前記ECAEターゲットは、Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrからなる群から選択される少なくとも1つのドーパント元素を有するドープされたアルミニウムを含んでなる、請求項14の方法。
【請求項19】
前記薄フィルムは、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1つ合金化元素を含有するアルミニウム合金を含んでなる、請求項14の方法。
【請求項20】
トンネル接合を形成する方法であって、
基体を提供すること;
前記基体上に第1の磁性層を形成すること;
前記第1の磁性層上に薄フィルムを形成すること;
前記薄フィルム上に第2の磁性層を形成し、該第1の磁性層、該薄フィルムおよび該第2の磁性層から選択される少なくとも1つの層がイコールチャンネルアングル押出し(ECAE)ターゲットから材料をアブレートすることを含む方法により形成され、該少なくとも1つの層が非ECAEターゲットを使用しそれ以外は実質的に同一条件下で形成される対応層と比較して改善された厚み均一性を有するものとなる;
を含んでなる方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの層、約1%未満またはそれと同等の1シグマと層厚み不均一性を有する、請求項20の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの層は第1の磁性層であり、前記ECAEターゲットは、ニッケル合金およびコバルト合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの層は第2の磁性層であり、前記ECAEターゲットは、ニッケル合金およびコバルト合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの層は薄フィルムであり、前記ECAEターゲットは、アルミニウム合金を含んでなる、請求項20の方法。
【請求項25】
前記第1の磁性層を形成する前に、反強磁性層を堆積させることをさらに含んでなる、請求項20の方法。
【請求項26】
前記反強磁性層は、Mnをベースとする材料を含んでなり、その堆積は、ECAEターゲットから材料をスパッタリングして、約1%未満の1シグマの厚みバラツキを有する該反強磁性層を形成することを含んでなる、請求項25の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの層は、約10nm未満の厚みを有する、請求項20の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの層は、約1.0nm未満の厚みを有する、請求項20の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの層は、約10ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの層は、約5ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの層は、約1ミクロン未満またはそれと同等の平均粒度を有する、請求項20の方法。
【請求項32】
前記薄フィルムを形成することは、第1の厚みを有する第1の材料を堆積させること、および該第1の材料上に第2の厚みを有する第2の材料を堆積させることを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項33】
前記第1の材料および第2の材料の少なくとも1つを酸化させることをさらに含んでなる、請求項32の方法。
【請求項34】
前記第1の材料は、アルミニウムを含んでなり、前記第2の材料は、Cu、Al、Ga、In、Si、およびZrの少なくとも1つを含んでなる、請求項32の方法。
【請求項35】
前記第2の材料は、アルミニウムを含んでなり、前記第1の材料は、Cu、Al、Ga、In、Si、およびZrの少なくとも1つを含んでなる、請求項32の方法。
【請求項36】
アルミニウム;
Ag、Au、B、Ba、Be、C、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Ey、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、Mo、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pm、Pr、Pt、Pu、Re、Ru、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrの少
なくとも1つ;および
薄フィルム上にわたる1.5%未満の1シグマの厚みバラツキ;
を含んでなる薄フィルム。
【請求項37】
前記フィルム上にわたる厚みバラツキは、約1.0%未満またはそれと同等の1シグマである、請求項36の薄フィルム。
【請求項38】
前記薄フィルムは、約100nm未満の厚みを有し、該フィルムは、検出可能なピンホールおよび検出可能な粒子欠陥が存在しない、請求項36の薄フィルム。
【請求項39】
前記薄フィルムは、ECAEターゲットを使用して形成され、該フィルムは、非ECAEターゲットを使用して製造されたフィルムと比較して検出可能な粒子が少なくとも50%少ない、請求項36の薄フィルム。
【請求項40】
前記厚みは、約10nm未満またはそれと同等である、請求項38の薄フィルム。
【請求項41】
前記厚みは、約1.0nm未満またはそれと同等である、請求項38の薄フィルム。
【請求項42】
前記薄フィルムは、金属酸化物を含んでなる、請求項36の薄フィルム。
【請求項43】
前記金属は、アルミニウム合金から本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項44】
前記合金は、In、Ga、およびCuの少なくとも1つを含んでなる、請求項43の薄フィルム。
【請求項45】
前記薄フィルムは、アルミニウム合金の酸化物から本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項46】
前記薄フィルムは、アルミニウム、酸素、並びにGa、In、およびCuの少なくとも1つから本質的になる、請求項42の薄フィルム。
【請求項47】
アルミニウムとGa、Zr、およびInからなる群から選択される少なくとも1つの合金化元素との合金を含んでなり、該合金中に存在する少なくとも1つの合金化元素の全量が重量で1000ppmより多い、物理蒸着ターゲット。
【請求項48】
前記ターゲットは、前記合金から本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項49】
前記ターゲットは、アルミニウムおよびGaから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項50】
前記合金は、重量で1000ppmを超えて約10%までのGaを含有する、請求項49の物理蒸着ターゲット。
【請求項51】
前記ターゲットは、アルミニウムおよびInから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項52】
前記合金は、重量で1000ppmを超えて約10%のInを含有する、請求項51の物理蒸着ターゲット。
【請求項53】
前記合金は、アルミニウム、Ga、およびInから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項54】
前記ターゲット、アルミニウムおよびZrから本質的になる、請求項47の物理蒸着ターゲット。
【請求項55】
第1の厚みを有する第1の層;
前記第1の層上に配置された第2の厚みを有する第2の層;および
前記第2の層上に配置された第3の厚みを有する第3の層;
を含んでなる薄フィルム積層体であって、
前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層の少なくとも1つが、イコールチャンネルアングル押出しされたターゲットから材料をアブレートすることを含む方法により形成されるスパッター層であり、該スパッター層上にわたって1%未満またはそれと同等の1シグマのバラツキを呈する薄フィルム積層体。
【請求項56】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々100nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項57】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々20nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項58】
前記第1の厚み、前記第2の厚み、および前記第3の厚みは、各々10nm未満である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項59】
前記第2の厚みは、1.0nm未満またはそれと同等である、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項60】
前記少なくとも1つの層は第2の層を含んでなり、該第2の層はアルミニウムを含んでなる、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項61】
前記第1の層および前記第2の層の各々が強磁性である、請求項60の薄フィルム積層体。
【請求項62】
前記少なくとも1つの層は第2の層を含んでなり、該第2の層は銅を含んでなる、請求項55の薄フィルム積層体。
【請求項63】
前記第1の層および前記第2の層の各々が強磁性である、請求項62の薄フィルム積層体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2006−513316(P2006−513316A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549898(P2004−549898)
【出願日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/015545
【国際公開番号】WO2004/042104
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】