説明

薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法

【課題】本発明は有機膜と無機膜と間の分離現象を防止することができる薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による薄膜トランジスタ基板は、ゲートライン及びデータラインと接続された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタを保護する有機保護膜と、ゲートラインとデータラインとの間に形成され有機保護膜との接触面と、有機保護膜との非接触面が異なる形態で形成された無機絶縁膜と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法に関し、特に、有機膜と無機膜との間の分離現象を防止することができる薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置は液晶表示パネルのマトリックス形態に配列された液晶セルそれぞれがビデオ信号に従って光透過率を調節することで画像を表示する。
【0003】
このような液晶表示装置は図1に示すように、液晶を間において合着剤48によって合着される薄膜トランジスタ基板40及びカラーフィルタ基板42を具備する。
【0004】
カラーフィルタ基板42は光漏れ防止のためのブラックマトリックスと、カラー具現のためにカラーフィルタと、画素電極と垂直電界を成す共通電極と、それらの上に液晶配向のために塗布された上部配向膜と、を含む。
【0005】
薄膜トランジスタ基板40は下部基板1上に互いに交差されるように形成されたゲートライン及びデータラインと、それらの交差部に形成された薄膜トランジスタTFTと、薄膜トランジスタと接続された画素電極と、それらの上に配向のために塗布された下部配向膜と、を含む。
【0006】
ここで、薄膜トランジスタは無機保護膜26及び有機保護膜18によって保護される。有機保護膜18は無機保護膜26上に開口率を高くするために形成される。即ち、低誘電率の有機保護膜18を間において形成される画素電極と信号ラインと間の寄生キャパシタの容量値は高誘電率の無機保護膜を間において形成されるこれらの間の寄生キャパシタの容量値に比べて小さくなる。このような有機保護膜18によって画素電極と信号ラインとを重畳することができ開口率が高くなる。
【0007】
しかし、無機保護膜26と有機保護膜18はこれらの間の接合力が相対的に低下する。特に、接着剤と重畳する領域で無機保護膜26と有機保護膜18とが分離される場合が発生する。
【0008】
このような問題点を解決するために、合着剤と重畳する領域の有機保護膜を選択的に除去した液晶表示パネルが提案された。しかし、下部基板上に薄膜トランジスタを用いて駆動回路部を形成する場合、合着剤と重畳する駆動回路部は透明導電膜のパターニングの際浸食される場合が発生するという問題点がある。また、有機保護膜が除去された領域に合着剤を形成する場合、合着剤を通じて薄膜トランジスタ基板に加えられる圧力を無機保護膜では耐えられなく駆動回路部が損傷される場合が発生するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、有機膜と無機膜と間の分離現象を防止することができる薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明による薄膜トランジスタ基板は、カラーフィルタ基板と合着剤によって合着され、基板上に形成されゲートライン及びデータラインと接続された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを保護する有機保護膜と、前記ゲートラインとデータラインとの間に形成され前記合着剤と重畳する領域で前記有機保護膜との接触面が凸凹形態で形成された無機絶縁膜と、を具備することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記凸凹形態で形成された無機膜の凹部及び凸部のうち少なくともいずれか一つの高さは約100Å乃至1000Åであることを特徴とする。
【0012】
一方、前記薄膜トランジスタは、前記基板上に形成されたアクティブ層と、前記アクティブ層を覆うように形成されたゲート絶縁膜上に前記ゲートラインと接続されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成された層間絶縁膜上に前記データラインと接続されたソース電極と、前記ソース電極とアクティブ層を間に置いて向き合うドレイン電極と、を含む。
【0013】
その際、前記無機絶縁膜は、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面の形態と、前記有機保護膜との接触面の形態とが異なる前記層間絶縁膜である。
【0014】
そして、前記層間絶縁膜は前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面が平坦な表面を有する。
【0015】
一方、前記薄膜トランジスタは、前記基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁膜上に形成された活性層と、前記活性層のチャンネル領域を露出させるように形成されたオーミック接触層と、前記チャンネル領域を間に置いて向き合うソース電極及びドレイン電極と、を含むことを特徴とする。
【0016】
その際、前記無機絶縁膜は、前記活性層、前記オーミック接触層、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極のうちの少なくともいずれか一つとの接触面の形態と、前記有機保護膜との接触面の形態とが異なる前記ゲート絶縁膜であることを特徴とする。
【0017】
そして、前記ゲート絶縁膜は、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面が平坦な表面を有することを特徴とする。
【0018】
一方、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極と同一のパターンでそれらの上に形成された無機保護膜をさらに具備することを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による薄膜トランジスタ基板は、ゲートライン及びデータラインと接続された薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタを保護する有機保護膜、及び前記ゲートラインとデータラインとの間に形成され前記有機保護膜との接触面と、前記有機保護膜との非接触面が異なる形態に形成された無機絶縁膜を具備することを特徴とする。
【0020】
ここで、前記データライン、前記薄膜トランジスタのソース電極、及び前記薄膜トランジスタのドレイン電極の上にこれらと同一のパターンで形成される無機保護膜をさらに具備することを特徴とする。
【0021】
一方、前記無機絶縁膜は、前記有機保護膜との接触面が凸凹形態で、前記有機膜との非接触面が平坦に形成されることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するためになされた本発明による薄膜トランジスタ基板の製造方法は、基板上にゲートライン電極及びゲートラインを含む第1導電パターングループを形成する段階と、前記第1導電パターングループを覆うように無機絶縁膜を形成する段階と、前記無機絶縁膜上にデータライン、ソース電極、及びドレイン電極を含む第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を該第2導電パターングループと重畳する領域と重畳しない領域の表面形態が異なるように表面処理する段階と、前記第2導電パターングループを覆うように有機保護膜を形成する段階と、前記有機保護膜上に画素電極を含む第3導電パターングループを形成する段階と、を有することを特徴とする。
【0023】
前記第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を表面処理する段階は、前記第2導電パターングループ上に前記第2導電パターングループと同一パターンの無機保護膜を形成する段階を含む。
【0024】
一方、前記第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を表面処理する段階は、前記無機絶縁膜上にデータ金属層及び無機保護膜を順次に積層する段階と、前記無機保護膜上にフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンを用いて前記無機保護膜及びデータ金属層の一部を1次エッチングする段階と、前記フォトレジストパターンを用いて前記データ金属層を2次エッチングして前記第2導電パターングループを形成すると共に該2次エッチングの際用いられたエッチングガスを用いて前記無機絶縁膜を表面処理する段階と、を含む。
【0025】
その際、前記2次エッチングの際に用いられたエッチングガスは、Cl、O、Cl+Oのエッチングガスであることを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成するためになされた本発明による液晶表示パネルは、薄膜トランジスタを保護する有機保護膜との接触面が凸凹形態の表面を有し、該有機保護膜との非接触面が平坦な表面を有する無機絶縁膜を含む薄膜トランジスタ基板と、前記薄膜トランジスタ基板と液晶を間に置いて対向するカラーフィルタ基板と、前記有機保護膜と接触する前記凸凹形態の表面を有する無機絶縁膜と重畳する領域に形成され前記薄膜トランジスタ基板とカラーフィルタ基板とを合着させる合着剤と、を具備することを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成するためになされた本発明による液晶表示パネルの製造方法は、カラーフィルタ基板を備える段階と、薄膜トランジスタを保護する有機保護膜との接触面が凸凹形態の表面を有し、該有機保護膜との非接触面が平坦な表面を有する無機絶縁膜を含む薄膜トランジスタ基板を備える段階と、前記有機保護膜と接触する前記凸凹形態の表面を有する無機絶縁膜と重畳する領域に形成される合着剤を用いて前記カラーフィルタ基板と前記薄膜トランジスタ基板とを合着する段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明による薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法によれば、データ金属層のエッチングガスを用いて層間絶縁膜及びゲート絶縁膜のうち少なくともいずれか一つの無機絶縁膜を表面処理することにより、無機絶縁膜と有機保護膜と間の接触界面が増大して無機絶縁膜と有機保護膜との間の分離現象が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明に係る薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法を実施するための最良の形態の具体例を、図2乃至図16を参照しながら説明する。
【0030】
図2は、本発明の第1実施例による液晶表示パネルを示す平面図であり、図3は、図2のI−I‘、II−II‘線に沿って切断した液晶表示パネルを示す断面図である。
【0031】
図2及び図3に示すように、本発明による液晶表示パネルは、薄膜トランジスタ基板140、カラーフィルタ基板142、及び薄膜トランジスタ基板140とカラーフィルタ基板142とを合着するための合着剤148を具備する。
【0032】
カラーフィルタ基板142には、光漏れ防止のためのブラックマトリックスと、カラー具現のためにカラーフィルタと、画素電極122と垂直電界を成す共通電極を含むカラーフィルタアレイが上部基板上に形成される。
【0033】
薄膜トランジスタ基板140は、ゲートライン102及びデータライン104と接続されたTFT(薄膜トランジスタ)130と、TFT130を保護する無機保護膜128及び有機保護膜118と、TFT130と接続された画素電極122と、を具備する。ここで、TFT130はN型またはP型で形成されるが、以下ではN型で形成された場合のみを説明する。
【0034】
ゲートライン102はゲートパッド150を通じてゲートドライバ(図示せず)と接続される。データライン104はデータパッド160を通じてデータドライバ(図示せず)と接続される。
【0035】
TFT130は画素電極122にビデオ信号を充填する。このために、TFT130は、ゲートライン102と接続されたゲート電極106、データライン104と接続されたソース電極108、無機保護膜128及び有機保護膜118を貫通する画素コンタクトホール120を通じて画素電極122と接続されたドレイン電極110、及びゲート電極106によってソース電極108とドレイン電極110との間にチャンネルを形成するアクティブ層114を具備する。
【0036】
アクティブ層114はバッファ膜116を間に置いて下部基板101上に形成される。ゲートライン102と接続されたゲート電極106は、アクティブ層114のチャンネル領域114Cとゲート絶縁膜112を間に置いて重畳するように形成される。
【0037】
ソース電極108及びドレイン電極110はゲート電極106と層間絶縁膜126を間において絶縁されるように形成される。そして、データライン104と接続されたソース電極108と、ドレイン電極110は、層間絶縁膜126及びゲート絶縁膜112を貫通するソースコンタクトホール124S及びドレインコンタクトホール124Dそれぞれを通じてn+不純物が注入されたアクティブ層114のソース領域114S及びドレイン領域114Dそれぞれと接続される。また、アクティブ層114は、オフ電流を減少させるためにチャンネル領域114Cとソース及びドレイン領域114S、114Dの間にn−不純物が注入されたLDD(Lightly Doped Drain)領域(図示せず)をさらに具備する。
【0038】
無機保護膜128は、ソース電極108、ドレイン電極110、及びデータライン104上にこれらソース電極108、ドレイン電極110、及びデータライン104と同一パターンで形成される。無機保護膜128と重畳する領域の層間絶縁膜126は平坦な表面を有するように形成される。無機保護膜128と重畳しない領域の層間絶縁膜126は凸凹形態の表面を有するように形成される。その際、図4に示すように凸凹形態で形成された層間絶縁膜126の凹部及び凸部のうち少なくともいずれか一つの高さHは例えば、約100Å〜1000Åである。そして、層間絶縁膜126は無機保護膜128と同一のSiNx、SiOなどのような無機絶縁物質から形成される。
【0039】
有機保護膜118は開口率を高くするように無機保護膜128が形成された下部基板101上に形成される。この有機保護膜118は凸凹形態の層間絶縁膜126と接触する。特に、有機保護膜118は合着剤148と対応する領域で凸凹形態の層間絶縁膜126と接触するので、有機保護膜118と層間絶縁膜126との間の接合力が相対的に向上する。これにより、合着剤148と対応する領域で有機保護膜118と層間絶縁膜126と間の分離現象が改善される。
【0040】
このように本実施例による液晶表示パネルは凸凹形態の層間絶縁膜126と有機保護膜118が接触するので、合着剤148と対応する領域で薄膜間分離現象が防止される。
【0041】
また、本実施例による液晶表示パネルは薄膜トランジスタ130を用いて下部基板101上に形成された駆動回路部が有機保護膜によって保護されるので、透明導電膜パターニングの際に駆動回路部が浸食されることが防止される。
【0042】
また、本実施例による液晶表示パネルは合着剤148を通じて薄膜トランジスタ130に加えられる圧力を有機保護膜118で耐えるので、駆動回路部の損傷が防止される。
【0043】
図5乃至図11は、本発明の第1実施例による液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【0044】
図5に示すように、下部基板101上にバッファ膜116が形成され、その上にアクティブ層114が形成される。
【0045】
バッファ膜116は下部基板101上にSiOなどのような無機絶縁物質が全面蒸着されて形成される。
【0046】
アクティブ層114は、バッファ膜116上にアモルファスシリコンを蒸着した後アモルファスシリコンをレーザーで結晶化してポリシリコンにし、その後、ポリシリコンをフォトリソグラフィ工程とエッチング工程でパターニングすることで形成される。
【0047】
図6に示すように、アクティブ層114が形成されたバッファ膜116上にゲート絶縁膜112が形成され、その上にゲート電極106及びゲートライン102を含む第1導電パターングループが形成される。
【0048】
ゲート絶縁膜112はアクティブ層114が形成されたバッファ膜116上にSiOなどのような無機絶縁物質が全面蒸着されて形成される。
【0049】
ゲート電極106及びゲートライン102を含む第1導電パターングループは、ゲート絶縁膜112上にゲート金属層を形成した後、そのゲート金属層をフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程でパターニングすることで形成される。
【0050】
そして、ゲート電極106をマスクとして用いてアクティブ層114にn+不純物を注入してゲート電極106と重畳しないアクティブ層114のソース領域114S及びドレイン領域114Dが形成される。このようなアクティブ層114のソース及びドレイン領域114S、114Dは、ゲート電極106と重畳するチャンネル領域114Cを間に置いて向き合う。
【0051】
図7に示すように、第1導電パターングループが形成されたゲート絶縁膜112上に層間絶縁膜126が形成され、層間絶縁膜126及びゲート絶縁膜112を貫通するソース及びドレインコンタクトホール124S、124Dが形成される。
【0052】
層間絶縁膜126はゲートライン102及びゲート電極106を含む第1導電パターングループが形成されたゲート絶縁膜112上にSiNx、SiOなどのような無機絶縁物質が全面蒸着されて形成される。
【0053】
続いて、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程で層間絶縁膜126及びゲート絶縁膜112を貫通してアクティブ層114のソース及びドレイン領域114S、114Dをそれぞれ露出させるソース及びドレインコンタクトホール124S、124Dが形成される。
【0054】
図8に示すように、層間絶縁膜126上にデータライン104、ソース電極108、及びドレイン電極110を含む第2導電パターングループと、第2導電パターングループと同一パターンの無機保護膜128が形成される。これについて、図12及び図14を参照して詳細に説明する。
【0055】
図12に示すように、層間絶縁膜126上にデータ金属層162と無機絶縁膜164が順次に蒸着される。データ金属層162はMo、W、Al、Cu、Cr、MoWなどの単一層またはこれらを用いた多層構造に形成される。無機絶縁膜164はSiNx、SiOxなどのような無機絶縁物質が用いられる。
【0056】
その後、無機絶縁膜164上にフォトレジストを全面塗布した後フォトマスクを用いてフォトレジストを露光及び現像することでフォトレジストパターン166が形成される。フォトレジストパターン166をマスクとして無機絶縁膜164及びデータ金属層162を1次乾式エッチングする。1次乾式エッチングの際、SF、O、SF+Oなどのエッチングガスが用いられる。それにより、無機絶縁膜164がパターニングされることで図13に示すようにデータ金属層162上に無機保護膜128が形成される。そして、データ金属層162は無機保護膜128パターニングの際に用いられるエッチングガスに反応してフォトレジストパターンに従って一部パターニングされる。
【0057】
その後、フォトレジストパターン166をマスクとしてデータ金属層162が2次乾式エッチングされる。2次乾式エッチングの際Cl、O、Cl+Oなどのエッチングガスが用いられる。それにより、図14に示すように、データライン104、ソース電極108、及びドレイン電極110を含む第2導電パターングループが形成される。その際、層間絶縁膜126は2次乾式エッチングの際に使用されたガスによってスパッタリングされ凸凹形態の表面を有する。これにより、層間絶縁膜126の表面積は相対的に広くなって後で形成される有機保護膜118との接触界面が増大する。
【0058】
一方、乾式エッチングガスの代わりにTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド)溶液を用いたブラシ洗浄工程によって有機保護膜と接触する無機保護膜の表面を凸凹形態で形成することもできる。この場合、無機保護膜を形成した後無機保護膜の表面を凸凹形態に形成するために約10分以上の洗浄工程が必要である。反面、乾式エッチング工程を用いる場合、データ金属層162のパターニングと同時に層間絶縁膜126の表面がスパッタリングされるので別途の工程が不必要である。
【0059】
また、洗浄工程を用いて凸凹形態で形成された無機保護膜の凹部及び凸部の大きさは乾式エッチング工程を用いて凸凹形態で形成された層間絶縁膜の凸凹形態の凸部及び凹部の大きさより小さい。これにより、乾式エッチング工程を用いて凸凹形態に形成された層間絶縁膜126は、洗浄工程を用いて凸凹形態に形成された無機保護膜に比べて有機保護膜118との接合力が増大する。
【0060】
図9に示すように、第2導電パターングループが形成された層間絶縁膜126上に有機保護膜118が形成され、無機保護膜128及び有機保護膜118を貫通する画素コンタクトホール120が形成される。
【0061】
有機保護膜118はデータライン104及びドレイン電極110が形成された層間絶縁膜126上にフォトアクリルなどのような有機絶縁物質が全面蒸着されて形成される。
【0062】
続いて、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程で有機保護膜118及び無機保護膜128を貫通する画素コンタクトホール120が形成される。画素コンタクトホール120は無機保護膜128及び有機保護膜118を貫通してTFT130のドレイン電極110を露出させる。
【0063】
図10に示すように、有機保護膜118上に画素電極122を含む第3導電パターングループが形成される。
【0064】
画素電極122を含む第3導電パターングループは、有機保護膜118上にITOなどの透明導電膜を蒸着した後、その透明導電膜をフォトリソグラフィ工程及び乾式エッチング工程でパターニングすることで形成される。
【0065】
図11に示すように、画素電極122が形成された薄膜トランジスタ基板140が、合着剤148によって別途に備えられたカラーフィルタ基板142と合着される。
【0066】
図15は、本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ基板を示す断面図である。
【0067】
図15に示す薄膜トランジスタ基板は、図2及び図3に示した薄膜トランジスタ基板と対比してポリシリコン型薄膜トランジスタの代わりにアモルファスシリコン型薄膜トランジスタを用いることを除いては同一の構成要素を具備する。
【0068】
アモルファスシリコン型薄膜トランジスタ基板101上に形成されゲートラインと接続されたゲート電極206と、データラインと接続されたソース電極208と、画素電極222と接続されたドレイン電極210と、ソース電極208及びドレイン電極210の間のチャンネルを形成する活性層214と、ソース及びドレイン電極208、210それぞれと活性層214とのオーミック接触のためのオーミック接触層216と、を具備する。
【0069】
ソース電極208、ドレイン電極210、及びデータライン104上にはそれらと同一パターンの無機保護膜228が形成される。無機保護膜228と重畳する領域のゲート絶縁膜212は平坦な表面を有するように形成される。無機保護膜228と重畳しない領域のゲート絶縁膜212は凸凹形態の表面を有するように形成される。この際、凸凹形態に形成されたゲート絶縁膜212の凹部及び凸部のうち少なくともいずれか一つの高さは例えば、約100Å〜1000Åである。そして、ゲート絶縁膜212は無機保護膜228と同一のSiNxなどのような無機絶縁物質から形成される。
【0070】
有機保護膜218は開口率を高くするように無機保護膜228が形成された下部基板101上にフォトアクリルのような有機絶縁物質から形成される。このような有機保護膜218は凸凹形態のゲート絶縁膜212と接触する。特に、有機保護膜218は合着剤148と対応する領域で凸凹形態のゲート絶縁膜212と接触するので、有機保護膜218とゲート絶縁膜212との間の接合力が相対的に向上する。これにより、合着剤148と対応する領域で有機保護膜218とゲート絶縁膜212との間の分離現象が改善される。
【0071】
このように、本実施例による液晶表示パネルは凸凹形態のゲート絶縁膜212と有機保護膜218が接触するので、合着剤148と対応する領域で薄膜間分離現象が防止される。
【0072】
また、本実施例による液晶表示パネルは薄膜トランジスタを用いて下部基板101上に形成された駆動回路部が有機保護膜218によって保護されるので、透明導電膜パターニングの際、駆動回路部が浸食されることを防止する。
【0073】
また、本実施例による液晶表示パネルは合着剤を通じて薄膜トランジスタに加えられる圧力を有機保護膜218で耐えるので駆動回路部の損傷が防止される。
【0074】
図16は、従来と本発明による液晶表示パネルの薄膜間の接合力を比較した図面である。図16で横軸は従来例A、Bと本発明による液晶表示パネルCの各種類を示し、縦軸は無機膜と有機膜と間の接合力を示す。
【0075】
図16に示すように、本発明による液晶表示パネルCは従来有機膜と無機膜が接触する従来液晶表示パネルAに比べて相対的に接合力が増大する。また、本発明による液晶表示パネルCは合着剤の面積を増大させた従来の液晶表示パネルBと比べても有機膜と無機膜との間の接合力が増大することがわかる。
【0076】
以上、本発明の薄膜トランジスタ基板とその製造方法、及びこれを有する液晶表示パネルとその製造方法を実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離脱することなく、本発明を修正または変更できる
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来液晶表示パネルを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による液晶表示パネルを示す平面図である。
【図3】図2のI−I‘、II−II‘線に沿って切断した液晶表示パネルを示す断面図である。
【図4】図3に示す‘A’領域を拡大した拡大図である。
【図5】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図10】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図3に示す液晶表示パネルの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図8に示す第2導電パターングループ及び無機保護膜の製造方法を具体的に説明するための断面図である。
【図13】図8に示す第2導電パターングループ及び無機保護膜の製造方法を具体的に説明するための断面図である。
【図14】図8に示す第2導電パターングループ及び無機保護膜の製造方法を具体的に説明するための断面図である。
【図15】本発明の第2実施例による液晶表示パネルを示す断面図である。
【図16】従来と本発明による液晶表示パネルの薄膜間接合力を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1、101 基板
18、118、218 有機保護膜
26、128、228 無機保護膜
40、140 薄膜トランジスタ基板
42、142 カラーフィルタ基板
48、148 合着剤
102 ゲートライン
104 データライン
106、206 ゲート電極
108、208 ソース電極
110、210 ドレイン電極
112、212 ゲート絶縁膜
114 アクティブ層
114C チャンネル領域
114S ソース領域
114D ドレイン領域
116 バッファ膜
122、222 画素電極
120、124S、124D、220 コンタクトホール
126 層間絶縁膜
130 TFT(薄膜トランジスタ)
150 ゲートパッド
160 データパッド
162 データ金属層
164 無機絶縁膜
166 フォトレジストパターン
214 活性層
216 オーミック接触層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートライン及びデータラインと接続された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを保護する有機保護膜と、
前記ゲートラインとデータラインとの間に形成され前記有機保護膜との接触面と、前記有機保護膜との非接触面が異なる形態で形成された無機絶縁膜と、を具備することを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【請求項2】
前記データライン、前記薄膜トランジスタのソース電極、及び前記薄膜トランジスタのドレイン電極の上にこれらと同一パターンで形成される無機保護膜をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項3】
前記無機絶縁膜は、
前記有機保護膜との接触面が凸凹形態で、前記有機保護膜との非接触面が平坦に形成されることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項4】
カラーフィルタ基板と合着剤によって合着される薄膜トランジスタ基板において、
基板上に形成されゲートライン及びデータラインと接続された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを保護する有機保護膜と、
前記ゲートラインとデータラインとの間に形成され前記合着剤と重畳する領域で前記有機保護膜との接触面が凸凹形態で形成された無機絶縁膜と、を具備することを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
【請求項5】
前記凸凹形態に形成された無機絶縁膜の凹部及び凸部のうち少なくともいずれか一つの高さは約100乃至1000Åであることを特徴とする請求項4記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは、
前記基板上に形成されたアクティブ層と、
前記アクティブ層を覆うように形成されたゲート絶縁膜上に前記ゲートラインと接続されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように形成された層間絶縁膜上に前記データラインと接続されたソース電極と、
前記層間絶縁膜上に形成され前記ソース電極とアクティブ層を間に置いて向き合うドレイン電極と、を含むことを特徴とする請求項4記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項7】
前記無機絶縁膜は、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面の形態と、前記有機保護膜との接触面の形態とが異なる前記層間絶縁膜であることを特徴とする請求項6記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項8】
前記層間絶縁膜は、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面が平坦な表面を有することを特徴とする請求項7記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項9】
前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極と同一のパターンでそれらの上に形成された無機保護膜をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項10】
前記薄膜トランジスタは、
前記基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁膜上に形成されたアモルファスシリコン形活性層と、
前記活性層のチャンネル領域を露出させるように形成されたオーミック接触層と、
前記チャンネル領域を間に置いて向き合うソース電極及びドレイン電極と、を含むことを特徴とする請求項4記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項11】
前記無機絶縁膜は、前記活性層、前記オーミック接触層、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極のうちの少なくともいずれか一つとの接触面の形態と、前記有機保護膜との接触面の形態とが異なる前記ゲート絶縁膜であることを特徴とする請求項10記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項12】
前記ゲート絶縁膜は、前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極との接触面が平坦な表面を有することを特徴とする請求項11記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項13】
前記データライン、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極と同一のパターンでそれらの上に形成された無機保護膜をさらに具備することを特徴とする請求項10記載の薄膜トランジスタ基板。
【請求項14】
基板上にゲートライン電極及びゲートラインを含む第1導電パターングループを形成する段階と、
前記第1導電パターングループを覆うように無機絶縁膜を形成する段階と、
前記無機絶縁膜上にデータライン、ソース電極、及びドレイン電極を含む第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を該第2導電パターングループと重畳する領域と重畳しない領域の表面形態が異なるように表面処理する段階と、
前記第2導電パターングループを覆うように有機保護膜を形成する段階と、
前記有機保護膜上に画素電極を含む第3導電パターングループを形成する段階と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項15】
前記第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を表面処理する段階は、前記第2導電パターングループ上に前記第2導電パターングループと同一パターンの無機保護膜を形成する段階を含むことを特徴とする請求項14記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項16】
前記第2導電パターングループを形成すると共に前記無機絶縁膜を表面処理する段階は、
前記無機絶縁膜上にデータ金属層及び無機保護膜を順次に積層する段階と、
前記無機保護膜上にフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記無機保護膜及びデータ金属層の一部を1次エッチングする段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記データ金属層を2次エッチングして前記第2導電パターングループを形成すると共に該2次エッチングの際に用いられたエッチングガスを用いて前記無機絶縁膜を表面処理する段階と、を含むことを特徴とする請求項15記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項17】
前記2次エッチングの際に用いられたエッチングガスは、Cl、O、Cl+Oのエッチングガスであることを特徴とする請求項16記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項18】
薄膜トランジスタを保護する有機保護膜との接触面が凸凹形態の表面を有し、該有機保護膜との非接触面が平坦な表面を有する無機絶縁膜を含む薄膜トランジスタ基板と、
前記薄膜トランジスタ基板と液晶を間に置いて対向するカラーフィルタ基板と、
前記有機保護膜と接触する前記凸凹形態の表面を有する無機絶縁膜と重畳する領域に形成され前記薄膜トランジスタ基板とカラーフィルタ基板とを合着させる合着剤と、を具備することを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項19】
カラーフィルタ基板を備える段階と、
薄膜トランジスタを保護する有機保護膜との接触面が凸凹形態の表面を有し、該有機保護膜との非接触面が平坦な表面を有する無機絶縁膜を含む薄膜トランジスタ基板を備える段階と、
前記有機保護膜と接触する前記凸凹形態の表面を有する無機絶縁膜と重畳する領域に形成される合着剤を用いて前記カラーフィルタ基板と前記薄膜トランジスタ基板とを合着する段階と、
を有することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−116164(P2007−116164A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284321(P2006−284321)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】