薄膜トランジスタ装置及びその製造方法並びに薄膜トランジスタアレイ及び薄膜トランジスタディスプレイ
【課題】 リーク電流が少なく、画像を安定させるために効果的なキャパシタを具備した薄膜トランジスタ装置を簡単な工程で、安価に提供する。
【解決手段】 平面視的配置において、ソース電極が孤立島パターンをなし、ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらにゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、かつ層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されている薄膜トランジスタ装置とする。また、この薄膜トランジスタ装置をマトリクス状に配置した薄膜トランジスタアレイとする。さらにこの薄膜トランジスタアレイと対向基板とで液晶層を挟んだ液晶ディスプレイとする。
【解決手段】 平面視的配置において、ソース電極が孤立島パターンをなし、ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらにゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、かつ層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されている薄膜トランジスタ装置とする。また、この薄膜トランジスタ装置をマトリクス状に配置した薄膜トランジスタアレイとする。さらにこの薄膜トランジスタアレイと対向基板とで液晶層を挟んだ液晶ディスプレイとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置等に用いる薄膜トランジスタ装置及びそれを用いたディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体自体を基板としたトランジスタや集積回路技術を基礎として、ガラス基板上にアモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(p−Si)の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)が製造され、液晶ディスプレイや電子ブック等に応用されている。これらのトランジスタにおいては、作動領域の半導体層もシリコン膜をCVD法やPVD法で作成した後、フォトエッチングを施して形成しているので工程が煩雑で製造コストが高くなるのは避けられない。
従来のTFT表示装置の一例を、図16及び図17に示す。図16は平面配置図であり、図17は線D−D’に沿った断面図である。この表示装置の製造方法の概要を示すと、先ず、絶縁基板1上に金属成膜およびフォトリソ、エッチングによってゲート電極2およびキャパシタ下部電極10を形成する。次に、プラズマCVDによってSiNxの絶縁層3およびアモルファスシリコン(a−Si)からなる半導体層6を形成する。アモルファスシリコン(a−Si)の最上部には薄くn+ ドーピング層6’を形成しておく。そして、フォトリソによってa−Siからなる半導体層6を島状にパターニングする。続いて画素電極8としてITO(Indium Thin Oxide )を成膜し、フォトリソ・エッチングによって所定の形状にパターニングする。さらにソース電極4及びドレイン電極5の金属膜を成膜し、フォトリソ・エッチングによってパターニングし、さらにチャネル部のn+ −Si層をエッチングする。
このように現在の半導体製造プロセスは、真空プロセスと多数回のフォトプロセスを駆使したものであり、装置も大掛かりとなるのでその製造コストも高いものとなる。
【0003】
また近年、ICカードや電子ペーパー、RFIDタグ等が注目されている。これらには半導体装置が使用されている。半導体装置は年々多機能化が進んでいるが、逆に薄型化、軽量化が進行しており、それを実現するため限られたスペースへの集積化や素子の薄型化が求められている。
半導体装置に使用される基板を薄くして薄型化を計ろうとすると、素子が壊れ易くなる。例えば、ICカードは、カードホルダや財布などに収納され持ち運ばれるが、ポケットやカバンなどの中で外部からの力により曲げ、捻りなどを加えられることも多く、フレキシブルで壊れにくいことが強く求められている。また、ワイヤボンディングなどで配線する必要があるため、曲げ、捻りなどで素子自身や配線などが壊れるなど信頼性を著しく低下させる問題がある。
最近、酸化物半導体や有機半導体を用いたTFTが登場し、半導体層の形成温度を室温〜200℃程度にまで低温化できることから,プラスチック基板を用いることも可能になり、軽量かつフレキシブルなディスプレイが安価に得られるものと期待されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、従来の半導体装置では、TFTがオフ状態でも電荷がリークするという難点がある。その他にも、キャパシタンス内部で電荷がリークすることもあるが、一般にはTFTからのリークの方が1桁程度大きい。このリークがはなはだしい場合には、フレーム周波数と同じ周期で画像の明暗が変化するフリッカーと呼ばれる現象が生じてしまう。
ところで、トップゲート構造のTFTでは、リーク電流の発生部位は、TFTの半導体層のエッジ部とゲート電極が交差する部分で発生するとされている。この原因としてこのエッジ部においてゲート電極の絶縁不良のために、ゲート電極によりソース電極とドレイン電極とが短絡されてしまう。或いは、エッチングやイオンドーピングによるダメージで半導体層の周囲が結晶構造になっていないことがあげられる。
【0005】
リーク電流の少ないTFTを得ることを目的として、ソース電極とゲート電極を円形状に配置したTFTを具備した液晶ディスプレイが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。図18に示すようにこの液晶ディスプレイの薄膜トランジスタでは、ゲイト電極502がソース電極501を囲むように配置され、前記ゲイト電極502の外側に、前記ゲイト電極502をほぼ囲むようにドレイン電極503が配置された構造を有している。図中504は半導体層である。すなわち、半導体層にはTFTの外形が略相似とされた電極が同心円状に配置されている。円形の電極の外側を囲むように、ゲイト電極と円環の一部が欠けた形状の電極が配置されている。円環の一部が欠けた形状の電極はゲイト電極を構成する配線金属とは異なる層に配置され、二つの電極は同一層の配線金属で構成されている。これにより、半導体層のエッジ部がソース電極とドレイン電極とを結ぶ線上に存在しないため、ドレイン電極とソース電極とがゲート電極によって短絡されることのない構成となっており、この結果、リーク電流を減少させることができるとされている。この現象は、パターニングされた半導体層を有する場合で、かつトップゲート構造のTFTに特有のものである。
【0006】
半導体のパターニングを不要とする技術としては、ソース(またはドレイン)の周囲に動作層、その周囲にドレイン(またはソース)、その周囲にしゃへい電極を設けた構造がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、特許文献2および特許文献3のように半導体としてシリコンを用いた場合には、コンタクト層を形成するためのイオン注入やエッチングが必要であり、半導体のパターニングを不要としてもそれに相当するプロセスは残っており、相変わらず複雑なものであった。また、遮蔽電極は構造を複雑にするものであった。
【特許文献1】再公表特許WO98−29261号公報
【特許文献2】特開平08−160469号公報
【特許文献3】特開平08−139336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の状況に鑑みてなされたものあって、薄膜トランジスタ装置をフォトリソの工程数を減らし、安価に提供することを目的とする。
また、特許文献2に開示された技術では半導体層を横切るエッジ部に発生するリーク電流は低減されるものの、画像を安定させるためのキャパシタは配線や電極の重なりを利用したものであり、充分な機能を発揮させることができない欠点がある。
本発明は、リーク電流が少なく、画像を安定させるために効果的なキャパシタを具備した薄膜トランジスタ装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は上記のような薄膜トランジスタ装置を使用した薄膜トランジスタアレイを提供し、もって画像の安定した軽量で薄い薄膜トランジスタディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されている薄膜トランジスタ装置とした。
半導体層を島状にパターニングしなければならない理由は、仮に島状にパターニングしなかった場合、全面に形成された半導体層のうち、ゲートで制御されていない部分を介して他の電極との間にリーク電流が流れるためである。例えば、ゲート電極が下に存在する部分以外においてソース電極と他の電極との間を半導体層が繋いでいると、リーク電流が流れてソース電極の電位が変化してしまう。これは、ディスプレイの表示の悪化を引き起こす。
それに対して、本発明の構造の薄膜トランジスタ装置とすることにより、半導体層をパターニングしなくてもソース・ドレイン間のリーク電流を低減でき、プロセスを簡略化できる。なぜならば、ソースに流れ込む電流を、ゲートが完全に制御できるからである。なお、ここで低減するリーク電流は、ゲート電極上以外の部分で半導体が繋がることによるソース・ドレイン間のリーク電流であり、特許文献2のゲートリークとは異なる。
また、画像を安定させるためのキャパシタを効果的に配置している。従って画像表示装置とした場合に極めて安定した画像が得られるようになる。
【0009】
本発明の薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極を前記キャパシタ電極と離れた位置に配置したものとするのが好ましい。
これは、ソース電極を孤立島パターンにするために必要である。
また、平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致しているものとすることができる。
さらに、平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成する。
これは、キャパシタ上部電極に流れ込む電流を、キャパシタ下部電極がシャットアウトするためである。
【0010】
本発明の薄膜トランジスタ装置においては、前記半導体層を酸化物半導体または有機半導体で構成することができる。また、前記半導体層を前記基板の全面にわたって一面で形成したものとすることが好ましい。
薄膜トランジスタ装置をこのように構成すれば、安価な印刷法を使用することが可能となり、エッチング工程も削減することができる。
【0011】
本発明の薄膜トランジスタアレイは、絶縁基板上に前記本発明の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置をゲート配線、ソース・ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続したものである。 また、本発明の薄膜トランジスタディスプレイは、前記の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層もしくは電気泳動カプセルが封入されたものである。
本発明の液晶ディスプレイは、本発明の薄膜トランジスタ装置を使用しているので、画像が安定しており、しかも薄くて軽量なものが安価に提供される利点がある。
【0012】
本発明の薄膜トランジスタ装置の製造方法は、絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に層間絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する製造方法を採用した。
この製造方法において、前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことができる。
さらに、前記ビアホール中に導体層を形成する工程にも、少なくとも印刷工程を含むことができる。
このような製造方法によれば、リーク電流が少なく効果的なキャパシタを具備した薄膜トランジスタ装置を、確実に製造することができる。
特に、印刷方法を採用すれば必要な部分にのみ導体を形成することができるので、製造工程が大幅に削減され、大量に安価に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
画素電極とソース電極、画素電極とキャパシタ上部電極をビアホール接続することにより、TFT部とキャパシタ部を独立に設計できる。また、ソース電極を孤立島パターンにしてゲート電極で囲むことや、キャパシタ上部電極をキャパシタ下部電極で囲むことにより、オフ電流を低減できる。ソース電極が円形、ドレイン電極が等幅リング状で中心が一致していることにより、チャネル長を均一に保てるので、特性が均一で安定したリーク電流の少ない安定した動作を確保することができる。
また、本発明の製造方法によれば、安価な素材を使用して薄くて軽い薄膜トランジスタディスプレイを大量に安価に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、以下に図面を使用して詳細に説明する。なお、以下に使用する図面では、説明を判り易くするために縮尺は正確には描かれていない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図1及び図2に示す。図1は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図2は線A−A’に沿った断面図を示している。
図1に示すように第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置50は、画素電極8の中央部に孤島状で円形のソース電極4が有り、該ソース電極4を取り巻くように環状のドレイン電極5が配置されている。ソース電極4の中央にはビアホール9が設けてある。ソース電極4とドレイン電極5の間隙を埋めるようにゲート電極2が形成されていて、薄膜トランジスタ51を形成している。ソース電極4とゲート電極2は、それぞれソース・ドレイン配線5’及びゲート配線2’に接続されている。
また、画素電極8の薄膜トランジスタ51に隣接した部分にはキャパシタ52が形成されている。キャパシタ52にはキャパシタ上部電極11が有り、中央にビアホール12が設けてある。キャパシタ上部電極11は、キャパシタ配線10’に接続されている。
これらドレイン配線5’、ゲート配線2’及びキャパシタ配線10’は、複数の画素領域を結ぶように延長されている。
【0015】
また、図2に示すように第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置50は、絶縁基板1上にゲート電極2およびキャパシタ下部電極10が同一面に形成され、その上がゲート絶縁膜3で覆われている。さらにその上に半導体層6が覆っており、その上にソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11が同一面に形成されている。さらにその上を層間絶縁層7で覆い、その上に画素電極8が形成されている。画素電極8は、ビアホール9によってソース電極4と接続され、ビアホール12によってキャパシタ上部電極11と接続されている。
【0016】
第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において前記ドレイン電極及びソース電極を前記キャパシタ電極と離れた位置に配置している。このためトランジスタ薄膜51部分とキャパシタ52部分を独立して設計できるという利点がある。
また、周辺の電極や配線の影響を極力排除することができるようになる。
また、平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していてドレイン電極がソース電極を囲む形状となっている。つまりゲート電極が該ソース・ドレイン電極間を包含する形状となっている。
【0017】
また、第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、半導体層6が基板全面に形成されている。半導体層6が基板全面に形成されていても、ソース電極4に流れ込もうとする電流を、ゲート電極2の電位を制御することにより遮断できるので、ソース・ドレイン電極間をオフ状態に保つことができ、半導体層をパターニングして形成したのと何ら変わりない機能を発揮させることができる。
半導体層を基板全面に形成することの利点は、電極をパターニングするためのエッチング工程を省略することができる点にある。このことは印刷法の採用と共に、工程簡略化が促進されコスト削減に大いに寄与することができる。
ここで、ゲート電極2は、ソース電極4とドレイン電極5の間隙だけでなくソース電極4をも包含した島形状でもよいが、ソース電極4やドレイン電極5との間の寄生容量を小さくするために、ソース電極4とドレイン電極5の間隙にほぼ相当する閉ループであるとさらに望ましい。
【0018】
さらに、第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において、キャパシタがトランジスタに隣接した別の位置に孤立パターンとして配置され、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成してある。このためキャパシタ下部電極10の電位をTFTがオフ状態になる電位にしておけば、半導体層6を経由してキャパシタ上部電極11に流れ込もうとする電流はキャパシタ下部電極10の電位によって遮断され、TFTがオフの時の画素電極の電位を正常に保つことができる。
このため、キャパシタは他の電極や配線の影響を受けることが無く、しかも必要な大容量を確保できるので、キャパシタとして高い性能を発揮することができる。
【0019】
また、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11を形成する工程としてスクリーン印刷を用いることにより、これらのパターニングにフォトリソを用いる必要がない。しかしパターン形状によってはソース電極4とドレイン電極5間の距離(チャネル長)を一定に保つことができない場合がある。例えば図5(a)のような四角形に形成する場合では、印刷工程で角の丸まりや線の太りが生じて図5(b)のような形状になり、チャネル長が変化して特性のばらつきが生じる。そこでソース電極4とドレイン電極5間の距離(チャネル長)を高精度に形成すべく鋭意検討した結果、図6(a)に示すようにソース電極4が円形、ドレイン電極5が等幅リング形状であり、それらの中心を一致させる場合には、印刷後も図6(b)のような形状に仕上げることができるのでチャネル長を均一に保てることを見出した。
【0020】
本発明の薄膜トランジスタ装置において、絶縁基板としては使用する半導体や導体の材質によって、石英やガラスの他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン等のプラスチックが使用できる。これらのプラスチック基板は薄いフィルム状で絶縁基板として使用できる利点がある。
【0021】
ゲート電極、キャパシタ下部電極、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極及びこれらを繋ぐゲート配線、ソース配線、キャパシタ配線としては、Al、Cr、Au、Ag、Cu、Ti、Ni等の導電性の良い金属膜や、ITO等の透明電極膜が使用できる。これらの導電膜はCVD法やPVD法を使用して形成する。
あるいはまた、AgペーストやNiペースト等の導電ペーストを使用することもできる。AgペーストやNiペーストを印刷した後、焼成することによって形成するのが望ましい。
ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極あるいはこれらを繋ぐゲート配線、ソース配線、キャパシタ配線を印刷法を使用して形成することにより、1回のプロセスで成膜とパターニングができるので、工程を簡略化して設備投資を大幅に削減することが可能となる。
また、印刷法として特にスクリーン印刷を使用すると、ソース電極、ドレイン電極あるいはキャパシタ上部電極を厚く形成できるので、ビアホール用の穴を形成する場合に電極に到達し、かつ貫通しない搾孔条件が広いという利点がある。
【0022】
ゲート絶縁層や層間絶縁膜としては、SiO2 、Al2O3、SiN等の無機物質や、ポリビニルフェノール、エポキシ、ポリイミド等の有機物質を用いることができる。通常、無機物質の膜はCVD法やPVD法を使用して形成し、有機物質はスピンコート法や印刷法を使用して形成することができる。
【0023】
半導体層を構成する半導体としては、InGaZnO系、InZnO系、ZnGaO系、InGaO系、In2O3、ZnO、SnO2 、あるいはこれらの混合物等の酸化物半導体や、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリアリルアミン誘導体、ポリアセチレン誘導体、アセン誘導体、オリゴチオフェン誘導体等の有機半導体を用いることができる。
【0024】
酸化物半導体層は、有機金属化学気相成長やスパッタやレーザアブレーションによる成膜によっても得ることができるが、原料を塗布した後焼成によっても得ることができる。
有機半導体膜を用いる場合は、蒸着によって得られるほか、原料の塗布・焼成によっても得ることができる。
酸化物半導体や有機半導体を使用すると、半導体層の形成に要する温度が室温または200℃以下まで低くなるので、絶縁基板としてプラスチックフィルムを使用できるようになる利点がある。
【0025】
層間絶縁膜に形成するビアホール用の穴の形成には、UV−YAGレーザビームを使用するのが好ましい。UV−YAGレーザビームを使用すれば、微少なビアホールを正確に形成することが可能である。
ビアホール内にはAgペーストやNiペーストを印刷した後ドクターブレードで押し込んで形成することもできる。
画素電極としてはAlやAgの薄膜やITO膜が好適に用いられる。
【0026】
次に、本実施形態の薄膜トランジスタ装置の製造方法について、図3及び図4の断面工程図を用いて説明する。絶縁基板1として、例えば厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alを全面にスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによって所定の位置にリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を形成する(図3(a)参照)。例えばAl膜の厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極のサイズは225μm×375μm程度にすることができるが、サイズは使用目的に合わせて適宜変更可能である。なお、この時ゲート配線およびキャパシタ配線も同時に形成しておく。
【0027】
次に、スパッタによってゲート絶縁膜3となるSiO2 等と、半導体層6となるInGaZnO4 膜を成膜する(図3(b)参照)。厚さはそれぞれ500nmおよび200nm程度が適当である。
【0028】
次に、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をAgペーストを使用したスクリーン印刷法によって形成する(図3(c)参照)。厚さは10μm程度、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μm程度のリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μm程度の長方形とする。なお、この時ドレイン配線も同時に形成しておく。
さらに、エポキシ樹脂を塗布・焼成することにより層間絶縁膜7を形成する(図3(d)参照)。厚さは100μm程度とする。
【0029】
次に、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μm前後のビアホール9,12を形成し(図4(e))、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込んだ後、焼成する(図4(f))。ここで、表面を軽く削って平らにしておくのが好ましい。
【0030】
最後に、画素電極8として例えばAlやITOを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角程度の正方形にパターニングする(図4(g))。
このようにして第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置を得る。
【0031】
このような薄膜トランジスタ装置を用いて、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等の画像表示素子を作製できる。例えば半導体層6に酸化物半導体、ゲート電極2、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ下部電極10、キャパシタ上部電極11にすべてITO等の透明電極を用い、ゲート絶縁層3にSiO2 、層間絶縁膜7にも透明なエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いることにより、開口率の大きな液晶ディスプレイを作製できる。また、ソース電極4やドレイン電極5にAgペーストを用いることによって非透過性液晶ディスプレイの場合でも、ゲストホスト液晶ディスプレイや電子ペーパー等に用いることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図7及び図8に示す。図7は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図8は線B−B’に沿った断面図を示している。
本実施形態の薄膜トランジスタ装置60が先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置50と異なる点は、その断面構造にある。平面配置は先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置と同じで、薄膜トランジスタ61とキャパシタ62は隣接して別々に設けられている。
図8に示す通り本実施形態の薄膜トランジスタ装置60では、絶縁基板1上にゲート電極2及びキャパシタ下部電極10が同一面に形成され、その上がゲート絶縁膜3で覆われている。ゲート絶縁膜3の上に接してソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11が形成され、そしてそれらの上部全面が半導体層6で覆われている。さらに半導体層6の上が層間絶縁層7で覆われ、その上に画素電極8が形成されている。画素電極8は、ビアホール9によってソース電極4と接続され、ビアホール12によってキャパシタ上部電極11と接続されている。
すなわち、半導体層6がソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11の基板側に在るか、基板と反対側に在るかの点で第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置と異なっている。
使用する材料や各パターンの形状は先の第1の実施形態の場合と同様なので説明は省略する。
【0033】
次に、本実施形態の薄膜トランジスタ装置の製造方法について、図9及び図10の断面工程図を用いて説明する。先の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の製造方法と異なる点は、半導体層6を形成する順序である。また、各層の形成方法にも若干の別法を採用する。
すなわち、絶縁基板1として、例えば厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alを全面にスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによって所定の位置にリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を形成する(図9(a)参照)。例えばAl膜の厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極のサイズは225μm×375μm程度にすることができるが、サイズは使用目的に合わせて適宜変更可能である。なお、この時ゲート配線およびキャパシタ配線も同時に形成しておく。
【0034】
次に、スピンコートによってゲート絶縁膜3となるポリビニルフェノール溶液を塗布して焼成する(図9(b)参照)。厚さは1μm程度が適する。
次に、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷と焼成によって形成する(図9(c)参照)。各電極にはAgペーストやNiペーストを使用することができる。厚さは10μm程度、ソース電極4は直径100μm程度の円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μm程度のリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μm程度の長方形とする。なお、この時ドレイン配線も同時に形成しておく。
【0035】
そして、次にポリチオフェン溶液をスピンコートによって塗布し、焼成によって半導体層6を全面にわたって形成する(図4(d))。
さらに、エポキシ樹脂を塗布・焼成することにより層間絶縁膜7を形成する(図10(e)参照)。厚さは100μm程度とする。
次に、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7及び半導体層6に直径50μmのビアホール9,12を形成し(図10(f)参照)、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込んだ後、焼成する(図10(g)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにしておくのが好ましい。
【0036】
最後に、画素電極8として例えばAlやITOを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角程度の正方形にパターニングする(図10(h)参照)。
このようにして第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置60を得る。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図11及び図12に示す。図11は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図12は線C−C’に沿った断面図を示している。
本実施形態の薄膜トランジスタ装置70が先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置50又は第2の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置60と異なる点は、その平面配置構造にある。断面構造は先の第2の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置60と同じである。
【0038】
図11に示す通り本実施形態の薄膜トランジスタ装置70では、画素電極8の中央部にソース電極4とドレイン電極5が櫛状に噛み合って配置されており、ソース電極4とドレイン電極5の間隙を埋めるようにゲート電極2が形成されていて、薄膜トランジスタ51を形成している。ソース電極4の中央にはビアホール9が設けてある。ソース電極4とゲート電極2は、それぞれドレイン配線5’及びゲート配線2’に接続されている。
また、画素電極8の薄膜トランジスタ51に隣接した部分にはキャパシタ52が形成されている。キャパシタ52にはキャパシタ上部電極11が有り、中央にビアホール12が設けてある。キャパシタ上部電極11は、キャパシタ配線10’に接続されている。
これらドレイン配線5’、ゲート配線2’及びキャパシタ配線10’は、複数の画素領域を結ぶように延長されている。
【0039】
図12に示す断面構造は、先に図8に示した第2の実施形態と同様なので説明は省略する。
また、各パターンの形状が異なるだけで、製造方法は先の第1の実施形態や第2の実施形態の製造工程が利用できるので、説明は省略する。
【0040】
薄膜トランジスタ装置の平面配置をこのように構成することにより、ソース電極とドレイン電極の対向する部分を大きくとることができるので、高性能な薄膜トランジスタを得ることができる。
さらに、平面視的配置において、キャパシタがトランジスタに隣接した別の位置に孤立パターンとして配置され、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成してある。このためキャパシタ下部電極10の電位をTFTがオフ状態になる電位にしておけば、半導体層6を経由してキャパシタ上部電極11に流れ込もうとする電流はキャパシタ下部電極10の電位によって遮断され、TFTがオフの時の画素電極の電位を正常に保つことができる。
このため、キャパシタは他の電極や配線の影響を受けることが無く、しかも必要な大容量を確保できるので、キャパシタとして高い性能を発揮することができる。
【0041】
図13は、本発明の薄膜トランジスタアレイ80の平面構成の一例を示す図である。本発明の薄膜トランジスタアレイ80は、絶縁基板上に前記本発明の第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置50がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置50をゲート配線2’、ソース・ドレイン配線5’及びキャパシタ配線10’によって電気的に接続したものである。第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置50が第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置60に代わっても配置は同様になる。
また、図14は本発明の薄膜トランジスタディスプレイの1種である液晶ディスプレイ90を示す断面構成図である。本発明の液晶ディスプレイ90は、前記の薄膜トランジスタアレイ80と透明基板13と対向電極14からなる対向基板81とが、平面視略矩形枠状のシール材(図示省略)によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層15が封入されたものである。
本発明の液晶ディスプレイ90は、本発明の薄膜トランジスタ装置を使用しているので、画像が安定しており、しかも薄くて軽量なものが安価に提供される利点がある。
また、図15は本発明の薄膜トランジスタディスプレイの他の例である電気泳動ディスプレイ91を示す断面構成図である。本発明の電気泳動ディスプレイ91は、前記第2に実施形態の薄膜トランジスタ装置を装備した薄膜トランジスタアレイ80と、電気泳動カプセル16を含む透明基板13と対向電極14からなる対向基板82とが貼り合わされたものである。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
図3及び図4に示す工程図に従って、図1及び図2に示す構造の第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置を作成した。
基板1として厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alをスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによってリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を作製した(図3(a)参照)。厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極10のサイズは225μm×375μmとした。なお、ゲート配線2’およびキャパシタ配線10’も同時に作製した。
【0043】
次に、スパッタによってゲート絶縁膜3のSiO2 と半導体層6のInGaZnO4 を成膜した(図3(b)参照)。厚さはそれぞれ500nmおよび200nmとした。
ここで、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷によって形成した(図3(c)参照)。厚さは10μm、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μmのリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μmの長方形とした。なお、ソース・ドレイン配線5’も同時に形成した。
【0044】
さらに、層間絶縁膜7としてエポキシ樹脂を塗布・焼成により形成した(図3(d)参照)。厚さは100μmとした。
ついで、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μmの孔を形成し(図4(e)参照)、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込み焼成した(図4(f)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにした。
最後に、画素電極8としてAlを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角の正方形にパターニングした(図4(g)参照)。
【0045】
このようにして作製した薄膜トランジスタ装置を用いた薄膜トランジスタアレイを使用して、図14に示す構造のゲストホスト液晶パネルを作製し、動作することを確認した。なお、この薄膜トランジスタ装置はnチャネル特性を示すので、キャパシタ配線には負の電位を印加して電流の流入を抑えた。
【0046】
(実施例2)
図9及び図10に示す工程図に従って、図7及び図8に示す構造の第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置を作成した。
基板1として、厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alをスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによってリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を作製した(図9(a)参照)。厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極10のサイズは225μm×375μmとした。なお、ゲート配線2‘およびキャパシタ配線10’も同時に作製した。
【0047】
次に、ポリビニルフェノール溶液をスピンコートし、焼成してゲート絶縁膜3とした(図9(b)参照)。厚さは1μmとした。
ここで、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷によって形成した(図9(c)参照)。厚さは10μm、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μmのリング状とし、キャパシタ上部電極11は200μm×350μmの長方形とした。なお、ソース・ドレイン配線5’も同時に形成した。
そして、ポリチオフェン溶液をスピンコートによって塗布し、焼成によって半導体層6とした(図9(d)参照)。
【0048】
さらに、層間絶縁膜7としてエポキシを塗布・焼成により形成した(図10(e)参照)。厚さは100μmとした。
ついで、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μmの孔を形成し、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込み、焼成した(図10(f),(g)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにした。
最後に、画素電極8としてAlを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角の正方形にパターニングした(図10(h)参照)。
【0049】
このようにして作製した薄膜トランジスタ装置を用いた薄膜トランジスタアレイを使用して、図15に示す構造の電子泳動パネルとし、これを組み込んで電子ペーパーを作製し、動作することを確認した。なお、この薄膜トランジスタ装置はpチャネル特性を示すので、キャパシタ配線には正の電位を印加して電流の流入を抑えた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図2】図1の線A−A’に沿った断面構造を示す図である。
【図3】図1の薄膜トランジスタ装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図4】図3に続く断面工程図である。
【図5】スクリーン印刷後の形状の一例を説明する図である。
【図6】スクリーン印刷後の形状の他の例を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図8】図7の線B−B’に沿った断面構造を示す図である。
【図9】図7の薄膜トランジスタ装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図10】図9に続く断面工程図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図12】図11の線C−C’に沿った断面構造を示す図である。
【図13】本発明の薄膜トランジスタアレイの平面構造を説明する図である。
【図14】本発明の薄膜トランジスタディスプレイ一例の断面構造を説明する図である。
【図15】本発明の他の薄膜トランジスタディスプレイの断面構造を説明する図である。
【図16】従来の薄膜トランジスタの平面配置の一例を説明する図である。
【図17】図16の線D−D’に沿った断面図である。
【図18】従来の薄膜トランジスタの他の平面配置を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・・絶縁基板、2・・・・・・ゲート電極、2’・・・・・・ゲート配線、3・・・・・・ゲート絶縁膜、4・・・・・・ソース電極、5・・・・・・ドレイン電極、5’・・・・・・ソース・ドレイン配線、6・・・・・・半導体層、6’・・・・・・ドーピング層、7・・・・・・層間絶縁膜、8・・・・・・画素電極、9,12・・・・・・ビアホール、10・・・・・・キャパシタ下部電極、10’・・・・・・キャパシタ配線、11・・・・・・キャパシタ上部電極、13・・・・・・透明基板、14・・・・・・対向電極、15・・・・・・液晶、16・・・・・・電気泳動カプセル、50,60,70・・・・・・薄膜トランジスタ装置、51・・・・・・薄膜トランジスタ、52・・・・・・キャパシタ、80・・・・・・薄膜トランジスタアレイ、81,82・・・・・・対向基板、90,91・・・・・・薄膜トランジスタディスプレイ、501・・・・・・ソース電極、502・・・・・・ゲート電極、503・・・・・・ドレイン電極、504・・・・・・半導体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置等に用いる薄膜トランジスタ装置及びそれを用いたディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体自体を基板としたトランジスタや集積回路技術を基礎として、ガラス基板上にアモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(p−Si)の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)が製造され、液晶ディスプレイや電子ブック等に応用されている。これらのトランジスタにおいては、作動領域の半導体層もシリコン膜をCVD法やPVD法で作成した後、フォトエッチングを施して形成しているので工程が煩雑で製造コストが高くなるのは避けられない。
従来のTFT表示装置の一例を、図16及び図17に示す。図16は平面配置図であり、図17は線D−D’に沿った断面図である。この表示装置の製造方法の概要を示すと、先ず、絶縁基板1上に金属成膜およびフォトリソ、エッチングによってゲート電極2およびキャパシタ下部電極10を形成する。次に、プラズマCVDによってSiNxの絶縁層3およびアモルファスシリコン(a−Si)からなる半導体層6を形成する。アモルファスシリコン(a−Si)の最上部には薄くn+ ドーピング層6’を形成しておく。そして、フォトリソによってa−Siからなる半導体層6を島状にパターニングする。続いて画素電極8としてITO(Indium Thin Oxide )を成膜し、フォトリソ・エッチングによって所定の形状にパターニングする。さらにソース電極4及びドレイン電極5の金属膜を成膜し、フォトリソ・エッチングによってパターニングし、さらにチャネル部のn+ −Si層をエッチングする。
このように現在の半導体製造プロセスは、真空プロセスと多数回のフォトプロセスを駆使したものであり、装置も大掛かりとなるのでその製造コストも高いものとなる。
【0003】
また近年、ICカードや電子ペーパー、RFIDタグ等が注目されている。これらには半導体装置が使用されている。半導体装置は年々多機能化が進んでいるが、逆に薄型化、軽量化が進行しており、それを実現するため限られたスペースへの集積化や素子の薄型化が求められている。
半導体装置に使用される基板を薄くして薄型化を計ろうとすると、素子が壊れ易くなる。例えば、ICカードは、カードホルダや財布などに収納され持ち運ばれるが、ポケットやカバンなどの中で外部からの力により曲げ、捻りなどを加えられることも多く、フレキシブルで壊れにくいことが強く求められている。また、ワイヤボンディングなどで配線する必要があるため、曲げ、捻りなどで素子自身や配線などが壊れるなど信頼性を著しく低下させる問題がある。
最近、酸化物半導体や有機半導体を用いたTFTが登場し、半導体層の形成温度を室温〜200℃程度にまで低温化できることから,プラスチック基板を用いることも可能になり、軽量かつフレキシブルなディスプレイが安価に得られるものと期待されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、従来の半導体装置では、TFTがオフ状態でも電荷がリークするという難点がある。その他にも、キャパシタンス内部で電荷がリークすることもあるが、一般にはTFTからのリークの方が1桁程度大きい。このリークがはなはだしい場合には、フレーム周波数と同じ周期で画像の明暗が変化するフリッカーと呼ばれる現象が生じてしまう。
ところで、トップゲート構造のTFTでは、リーク電流の発生部位は、TFTの半導体層のエッジ部とゲート電極が交差する部分で発生するとされている。この原因としてこのエッジ部においてゲート電極の絶縁不良のために、ゲート電極によりソース電極とドレイン電極とが短絡されてしまう。或いは、エッチングやイオンドーピングによるダメージで半導体層の周囲が結晶構造になっていないことがあげられる。
【0005】
リーク電流の少ないTFTを得ることを目的として、ソース電極とゲート電極を円形状に配置したTFTを具備した液晶ディスプレイが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。図18に示すようにこの液晶ディスプレイの薄膜トランジスタでは、ゲイト電極502がソース電極501を囲むように配置され、前記ゲイト電極502の外側に、前記ゲイト電極502をほぼ囲むようにドレイン電極503が配置された構造を有している。図中504は半導体層である。すなわち、半導体層にはTFTの外形が略相似とされた電極が同心円状に配置されている。円形の電極の外側を囲むように、ゲイト電極と円環の一部が欠けた形状の電極が配置されている。円環の一部が欠けた形状の電極はゲイト電極を構成する配線金属とは異なる層に配置され、二つの電極は同一層の配線金属で構成されている。これにより、半導体層のエッジ部がソース電極とドレイン電極とを結ぶ線上に存在しないため、ドレイン電極とソース電極とがゲート電極によって短絡されることのない構成となっており、この結果、リーク電流を減少させることができるとされている。この現象は、パターニングされた半導体層を有する場合で、かつトップゲート構造のTFTに特有のものである。
【0006】
半導体のパターニングを不要とする技術としては、ソース(またはドレイン)の周囲に動作層、その周囲にドレイン(またはソース)、その周囲にしゃへい電極を設けた構造がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、特許文献2および特許文献3のように半導体としてシリコンを用いた場合には、コンタクト層を形成するためのイオン注入やエッチングが必要であり、半導体のパターニングを不要としてもそれに相当するプロセスは残っており、相変わらず複雑なものであった。また、遮蔽電極は構造を複雑にするものであった。
【特許文献1】再公表特許WO98−29261号公報
【特許文献2】特開平08−160469号公報
【特許文献3】特開平08−139336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の状況に鑑みてなされたものあって、薄膜トランジスタ装置をフォトリソの工程数を減らし、安価に提供することを目的とする。
また、特許文献2に開示された技術では半導体層を横切るエッジ部に発生するリーク電流は低減されるものの、画像を安定させるためのキャパシタは配線や電極の重なりを利用したものであり、充分な機能を発揮させることができない欠点がある。
本発明は、リーク電流が少なく、画像を安定させるために効果的なキャパシタを具備した薄膜トランジスタ装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は上記のような薄膜トランジスタ装置を使用した薄膜トランジスタアレイを提供し、もって画像の安定した軽量で薄い薄膜トランジスタディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されている薄膜トランジスタ装置とした。
半導体層を島状にパターニングしなければならない理由は、仮に島状にパターニングしなかった場合、全面に形成された半導体層のうち、ゲートで制御されていない部分を介して他の電極との間にリーク電流が流れるためである。例えば、ゲート電極が下に存在する部分以外においてソース電極と他の電極との間を半導体層が繋いでいると、リーク電流が流れてソース電極の電位が変化してしまう。これは、ディスプレイの表示の悪化を引き起こす。
それに対して、本発明の構造の薄膜トランジスタ装置とすることにより、半導体層をパターニングしなくてもソース・ドレイン間のリーク電流を低減でき、プロセスを簡略化できる。なぜならば、ソースに流れ込む電流を、ゲートが完全に制御できるからである。なお、ここで低減するリーク電流は、ゲート電極上以外の部分で半導体が繋がることによるソース・ドレイン間のリーク電流であり、特許文献2のゲートリークとは異なる。
また、画像を安定させるためのキャパシタを効果的に配置している。従って画像表示装置とした場合に極めて安定した画像が得られるようになる。
【0009】
本発明の薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極を前記キャパシタ電極と離れた位置に配置したものとするのが好ましい。
これは、ソース電極を孤立島パターンにするために必要である。
また、平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致しているものとすることができる。
さらに、平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成する。
これは、キャパシタ上部電極に流れ込む電流を、キャパシタ下部電極がシャットアウトするためである。
【0010】
本発明の薄膜トランジスタ装置においては、前記半導体層を酸化物半導体または有機半導体で構成することができる。また、前記半導体層を前記基板の全面にわたって一面で形成したものとすることが好ましい。
薄膜トランジスタ装置をこのように構成すれば、安価な印刷法を使用することが可能となり、エッチング工程も削減することができる。
【0011】
本発明の薄膜トランジスタアレイは、絶縁基板上に前記本発明の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置をゲート配線、ソース・ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続したものである。 また、本発明の薄膜トランジスタディスプレイは、前記の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層もしくは電気泳動カプセルが封入されたものである。
本発明の液晶ディスプレイは、本発明の薄膜トランジスタ装置を使用しているので、画像が安定しており、しかも薄くて軽量なものが安価に提供される利点がある。
【0012】
本発明の薄膜トランジスタ装置の製造方法は、絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に層間絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する製造方法を採用した。
この製造方法において、前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことができる。
さらに、前記ビアホール中に導体層を形成する工程にも、少なくとも印刷工程を含むことができる。
このような製造方法によれば、リーク電流が少なく効果的なキャパシタを具備した薄膜トランジスタ装置を、確実に製造することができる。
特に、印刷方法を採用すれば必要な部分にのみ導体を形成することができるので、製造工程が大幅に削減され、大量に安価に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
画素電極とソース電極、画素電極とキャパシタ上部電極をビアホール接続することにより、TFT部とキャパシタ部を独立に設計できる。また、ソース電極を孤立島パターンにしてゲート電極で囲むことや、キャパシタ上部電極をキャパシタ下部電極で囲むことにより、オフ電流を低減できる。ソース電極が円形、ドレイン電極が等幅リング状で中心が一致していることにより、チャネル長を均一に保てるので、特性が均一で安定したリーク電流の少ない安定した動作を確保することができる。
また、本発明の製造方法によれば、安価な素材を使用して薄くて軽い薄膜トランジスタディスプレイを大量に安価に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、以下に図面を使用して詳細に説明する。なお、以下に使用する図面では、説明を判り易くするために縮尺は正確には描かれていない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図1及び図2に示す。図1は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図2は線A−A’に沿った断面図を示している。
図1に示すように第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置50は、画素電極8の中央部に孤島状で円形のソース電極4が有り、該ソース電極4を取り巻くように環状のドレイン電極5が配置されている。ソース電極4の中央にはビアホール9が設けてある。ソース電極4とドレイン電極5の間隙を埋めるようにゲート電極2が形成されていて、薄膜トランジスタ51を形成している。ソース電極4とゲート電極2は、それぞれソース・ドレイン配線5’及びゲート配線2’に接続されている。
また、画素電極8の薄膜トランジスタ51に隣接した部分にはキャパシタ52が形成されている。キャパシタ52にはキャパシタ上部電極11が有り、中央にビアホール12が設けてある。キャパシタ上部電極11は、キャパシタ配線10’に接続されている。
これらドレイン配線5’、ゲート配線2’及びキャパシタ配線10’は、複数の画素領域を結ぶように延長されている。
【0015】
また、図2に示すように第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置50は、絶縁基板1上にゲート電極2およびキャパシタ下部電極10が同一面に形成され、その上がゲート絶縁膜3で覆われている。さらにその上に半導体層6が覆っており、その上にソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11が同一面に形成されている。さらにその上を層間絶縁層7で覆い、その上に画素電極8が形成されている。画素電極8は、ビアホール9によってソース電極4と接続され、ビアホール12によってキャパシタ上部電極11と接続されている。
【0016】
第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において前記ドレイン電極及びソース電極を前記キャパシタ電極と離れた位置に配置している。このためトランジスタ薄膜51部分とキャパシタ52部分を独立して設計できるという利点がある。
また、周辺の電極や配線の影響を極力排除することができるようになる。
また、平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していてドレイン電極がソース電極を囲む形状となっている。つまりゲート電極が該ソース・ドレイン電極間を包含する形状となっている。
【0017】
また、第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、半導体層6が基板全面に形成されている。半導体層6が基板全面に形成されていても、ソース電極4に流れ込もうとする電流を、ゲート電極2の電位を制御することにより遮断できるので、ソース・ドレイン電極間をオフ状態に保つことができ、半導体層をパターニングして形成したのと何ら変わりない機能を発揮させることができる。
半導体層を基板全面に形成することの利点は、電極をパターニングするためのエッチング工程を省略することができる点にある。このことは印刷法の採用と共に、工程簡略化が促進されコスト削減に大いに寄与することができる。
ここで、ゲート電極2は、ソース電極4とドレイン電極5の間隙だけでなくソース電極4をも包含した島形状でもよいが、ソース電極4やドレイン電極5との間の寄生容量を小さくするために、ソース電極4とドレイン電極5の間隙にほぼ相当する閉ループであるとさらに望ましい。
【0018】
さらに、第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置では、平面視的配置において、キャパシタがトランジスタに隣接した別の位置に孤立パターンとして配置され、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成してある。このためキャパシタ下部電極10の電位をTFTがオフ状態になる電位にしておけば、半導体層6を経由してキャパシタ上部電極11に流れ込もうとする電流はキャパシタ下部電極10の電位によって遮断され、TFTがオフの時の画素電極の電位を正常に保つことができる。
このため、キャパシタは他の電極や配線の影響を受けることが無く、しかも必要な大容量を確保できるので、キャパシタとして高い性能を発揮することができる。
【0019】
また、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11を形成する工程としてスクリーン印刷を用いることにより、これらのパターニングにフォトリソを用いる必要がない。しかしパターン形状によってはソース電極4とドレイン電極5間の距離(チャネル長)を一定に保つことができない場合がある。例えば図5(a)のような四角形に形成する場合では、印刷工程で角の丸まりや線の太りが生じて図5(b)のような形状になり、チャネル長が変化して特性のばらつきが生じる。そこでソース電極4とドレイン電極5間の距離(チャネル長)を高精度に形成すべく鋭意検討した結果、図6(a)に示すようにソース電極4が円形、ドレイン電極5が等幅リング形状であり、それらの中心を一致させる場合には、印刷後も図6(b)のような形状に仕上げることができるのでチャネル長を均一に保てることを見出した。
【0020】
本発明の薄膜トランジスタ装置において、絶縁基板としては使用する半導体や導体の材質によって、石英やガラスの他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン等のプラスチックが使用できる。これらのプラスチック基板は薄いフィルム状で絶縁基板として使用できる利点がある。
【0021】
ゲート電極、キャパシタ下部電極、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極及びこれらを繋ぐゲート配線、ソース配線、キャパシタ配線としては、Al、Cr、Au、Ag、Cu、Ti、Ni等の導電性の良い金属膜や、ITO等の透明電極膜が使用できる。これらの導電膜はCVD法やPVD法を使用して形成する。
あるいはまた、AgペーストやNiペースト等の導電ペーストを使用することもできる。AgペーストやNiペーストを印刷した後、焼成することによって形成するのが望ましい。
ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極あるいはこれらを繋ぐゲート配線、ソース配線、キャパシタ配線を印刷法を使用して形成することにより、1回のプロセスで成膜とパターニングができるので、工程を簡略化して設備投資を大幅に削減することが可能となる。
また、印刷法として特にスクリーン印刷を使用すると、ソース電極、ドレイン電極あるいはキャパシタ上部電極を厚く形成できるので、ビアホール用の穴を形成する場合に電極に到達し、かつ貫通しない搾孔条件が広いという利点がある。
【0022】
ゲート絶縁層や層間絶縁膜としては、SiO2 、Al2O3、SiN等の無機物質や、ポリビニルフェノール、エポキシ、ポリイミド等の有機物質を用いることができる。通常、無機物質の膜はCVD法やPVD法を使用して形成し、有機物質はスピンコート法や印刷法を使用して形成することができる。
【0023】
半導体層を構成する半導体としては、InGaZnO系、InZnO系、ZnGaO系、InGaO系、In2O3、ZnO、SnO2 、あるいはこれらの混合物等の酸化物半導体や、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリアリルアミン誘導体、ポリアセチレン誘導体、アセン誘導体、オリゴチオフェン誘導体等の有機半導体を用いることができる。
【0024】
酸化物半導体層は、有機金属化学気相成長やスパッタやレーザアブレーションによる成膜によっても得ることができるが、原料を塗布した後焼成によっても得ることができる。
有機半導体膜を用いる場合は、蒸着によって得られるほか、原料の塗布・焼成によっても得ることができる。
酸化物半導体や有機半導体を使用すると、半導体層の形成に要する温度が室温または200℃以下まで低くなるので、絶縁基板としてプラスチックフィルムを使用できるようになる利点がある。
【0025】
層間絶縁膜に形成するビアホール用の穴の形成には、UV−YAGレーザビームを使用するのが好ましい。UV−YAGレーザビームを使用すれば、微少なビアホールを正確に形成することが可能である。
ビアホール内にはAgペーストやNiペーストを印刷した後ドクターブレードで押し込んで形成することもできる。
画素電極としてはAlやAgの薄膜やITO膜が好適に用いられる。
【0026】
次に、本実施形態の薄膜トランジスタ装置の製造方法について、図3及び図4の断面工程図を用いて説明する。絶縁基板1として、例えば厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alを全面にスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによって所定の位置にリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を形成する(図3(a)参照)。例えばAl膜の厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極のサイズは225μm×375μm程度にすることができるが、サイズは使用目的に合わせて適宜変更可能である。なお、この時ゲート配線およびキャパシタ配線も同時に形成しておく。
【0027】
次に、スパッタによってゲート絶縁膜3となるSiO2 等と、半導体層6となるInGaZnO4 膜を成膜する(図3(b)参照)。厚さはそれぞれ500nmおよび200nm程度が適当である。
【0028】
次に、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をAgペーストを使用したスクリーン印刷法によって形成する(図3(c)参照)。厚さは10μm程度、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μm程度のリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μm程度の長方形とする。なお、この時ドレイン配線も同時に形成しておく。
さらに、エポキシ樹脂を塗布・焼成することにより層間絶縁膜7を形成する(図3(d)参照)。厚さは100μm程度とする。
【0029】
次に、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μm前後のビアホール9,12を形成し(図4(e))、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込んだ後、焼成する(図4(f))。ここで、表面を軽く削って平らにしておくのが好ましい。
【0030】
最後に、画素電極8として例えばAlやITOを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角程度の正方形にパターニングする(図4(g))。
このようにして第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置を得る。
【0031】
このような薄膜トランジスタ装置を用いて、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等の画像表示素子を作製できる。例えば半導体層6に酸化物半導体、ゲート電極2、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ下部電極10、キャパシタ上部電極11にすべてITO等の透明電極を用い、ゲート絶縁層3にSiO2 、層間絶縁膜7にも透明なエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いることにより、開口率の大きな液晶ディスプレイを作製できる。また、ソース電極4やドレイン電極5にAgペーストを用いることによって非透過性液晶ディスプレイの場合でも、ゲストホスト液晶ディスプレイや電子ペーパー等に用いることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図7及び図8に示す。図7は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図8は線B−B’に沿った断面図を示している。
本実施形態の薄膜トランジスタ装置60が先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置50と異なる点は、その断面構造にある。平面配置は先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置と同じで、薄膜トランジスタ61とキャパシタ62は隣接して別々に設けられている。
図8に示す通り本実施形態の薄膜トランジスタ装置60では、絶縁基板1上にゲート電極2及びキャパシタ下部電極10が同一面に形成され、その上がゲート絶縁膜3で覆われている。ゲート絶縁膜3の上に接してソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11が形成され、そしてそれらの上部全面が半導体層6で覆われている。さらに半導体層6の上が層間絶縁層7で覆われ、その上に画素電極8が形成されている。画素電極8は、ビアホール9によってソース電極4と接続され、ビアホール12によってキャパシタ上部電極11と接続されている。
すなわち、半導体層6がソース電極4、ドレイン電極5及びキャパシタ上部電極11の基板側に在るか、基板と反対側に在るかの点で第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置と異なっている。
使用する材料や各パターンの形状は先の第1の実施形態の場合と同様なので説明は省略する。
【0033】
次に、本実施形態の薄膜トランジスタ装置の製造方法について、図9及び図10の断面工程図を用いて説明する。先の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の製造方法と異なる点は、半導体層6を形成する順序である。また、各層の形成方法にも若干の別法を採用する。
すなわち、絶縁基板1として、例えば厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alを全面にスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによって所定の位置にリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を形成する(図9(a)参照)。例えばAl膜の厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極のサイズは225μm×375μm程度にすることができるが、サイズは使用目的に合わせて適宜変更可能である。なお、この時ゲート配線およびキャパシタ配線も同時に形成しておく。
【0034】
次に、スピンコートによってゲート絶縁膜3となるポリビニルフェノール溶液を塗布して焼成する(図9(b)参照)。厚さは1μm程度が適する。
次に、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷と焼成によって形成する(図9(c)参照)。各電極にはAgペーストやNiペーストを使用することができる。厚さは10μm程度、ソース電極4は直径100μm程度の円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μm程度のリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μm程度の長方形とする。なお、この時ドレイン配線も同時に形成しておく。
【0035】
そして、次にポリチオフェン溶液をスピンコートによって塗布し、焼成によって半導体層6を全面にわたって形成する(図4(d))。
さらに、エポキシ樹脂を塗布・焼成することにより層間絶縁膜7を形成する(図10(e)参照)。厚さは100μm程度とする。
次に、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7及び半導体層6に直径50μmのビアホール9,12を形成し(図10(f)参照)、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込んだ後、焼成する(図10(g)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにしておくのが好ましい。
【0036】
最後に、画素電極8として例えばAlやITOを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角程度の正方形にパターニングする(図10(h)参照)。
このようにして第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置60を得る。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置を、図11及び図12に示す。図11は薄膜トランジスタアレイの1画素領域を示す平面配置図であり、図12は線C−C’に沿った断面図を示している。
本実施形態の薄膜トランジスタ装置70が先の第1の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置50又は第2の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置60と異なる点は、その平面配置構造にある。断面構造は先の第2の実施形態に示した薄膜トランジスタ装置60と同じである。
【0038】
図11に示す通り本実施形態の薄膜トランジスタ装置70では、画素電極8の中央部にソース電極4とドレイン電極5が櫛状に噛み合って配置されており、ソース電極4とドレイン電極5の間隙を埋めるようにゲート電極2が形成されていて、薄膜トランジスタ51を形成している。ソース電極4の中央にはビアホール9が設けてある。ソース電極4とゲート電極2は、それぞれドレイン配線5’及びゲート配線2’に接続されている。
また、画素電極8の薄膜トランジスタ51に隣接した部分にはキャパシタ52が形成されている。キャパシタ52にはキャパシタ上部電極11が有り、中央にビアホール12が設けてある。キャパシタ上部電極11は、キャパシタ配線10’に接続されている。
これらドレイン配線5’、ゲート配線2’及びキャパシタ配線10’は、複数の画素領域を結ぶように延長されている。
【0039】
図12に示す断面構造は、先に図8に示した第2の実施形態と同様なので説明は省略する。
また、各パターンの形状が異なるだけで、製造方法は先の第1の実施形態や第2の実施形態の製造工程が利用できるので、説明は省略する。
【0040】
薄膜トランジスタ装置の平面配置をこのように構成することにより、ソース電極とドレイン電極の対向する部分を大きくとることができるので、高性能な薄膜トランジスタを得ることができる。
さらに、平面視的配置において、キャパシタがトランジスタに隣接した別の位置に孤立パターンとして配置され、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成してある。このためキャパシタ下部電極10の電位をTFTがオフ状態になる電位にしておけば、半導体層6を経由してキャパシタ上部電極11に流れ込もうとする電流はキャパシタ下部電極10の電位によって遮断され、TFTがオフの時の画素電極の電位を正常に保つことができる。
このため、キャパシタは他の電極や配線の影響を受けることが無く、しかも必要な大容量を確保できるので、キャパシタとして高い性能を発揮することができる。
【0041】
図13は、本発明の薄膜トランジスタアレイ80の平面構成の一例を示す図である。本発明の薄膜トランジスタアレイ80は、絶縁基板上に前記本発明の第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置50がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置50をゲート配線2’、ソース・ドレイン配線5’及びキャパシタ配線10’によって電気的に接続したものである。第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置50が第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置60に代わっても配置は同様になる。
また、図14は本発明の薄膜トランジスタディスプレイの1種である液晶ディスプレイ90を示す断面構成図である。本発明の液晶ディスプレイ90は、前記の薄膜トランジスタアレイ80と透明基板13と対向電極14からなる対向基板81とが、平面視略矩形枠状のシール材(図示省略)によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層15が封入されたものである。
本発明の液晶ディスプレイ90は、本発明の薄膜トランジスタ装置を使用しているので、画像が安定しており、しかも薄くて軽量なものが安価に提供される利点がある。
また、図15は本発明の薄膜トランジスタディスプレイの他の例である電気泳動ディスプレイ91を示す断面構成図である。本発明の電気泳動ディスプレイ91は、前記第2に実施形態の薄膜トランジスタ装置を装備した薄膜トランジスタアレイ80と、電気泳動カプセル16を含む透明基板13と対向電極14からなる対向基板82とが貼り合わされたものである。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
図3及び図4に示す工程図に従って、図1及び図2に示す構造の第1の実施形態の薄膜トランジスタ装置を作成した。
基板1として厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alをスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによってリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を作製した(図3(a)参照)。厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極10のサイズは225μm×375μmとした。なお、ゲート配線2’およびキャパシタ配線10’も同時に作製した。
【0043】
次に、スパッタによってゲート絶縁膜3のSiO2 と半導体層6のInGaZnO4 を成膜した(図3(b)参照)。厚さはそれぞれ500nmおよび200nmとした。
ここで、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷によって形成した(図3(c)参照)。厚さは10μm、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μmのリング状、キャパシタ上部電極11は200μm×350μmの長方形とした。なお、ソース・ドレイン配線5’も同時に形成した。
【0044】
さらに、層間絶縁膜7としてエポキシ樹脂を塗布・焼成により形成した(図3(d)参照)。厚さは100μmとした。
ついで、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μmの孔を形成し(図4(e)参照)、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込み焼成した(図4(f)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにした。
最後に、画素電極8としてAlを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角の正方形にパターニングした(図4(g)参照)。
【0045】
このようにして作製した薄膜トランジスタ装置を用いた薄膜トランジスタアレイを使用して、図14に示す構造のゲストホスト液晶パネルを作製し、動作することを確認した。なお、この薄膜トランジスタ装置はnチャネル特性を示すので、キャパシタ配線には負の電位を印加して電流の流入を抑えた。
【0046】
(実施例2)
図9及び図10に示す工程図に従って、図7及び図8に示す構造の第2の実施形態の薄膜トランジスタ装置を作成した。
基板1として、厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用意し、Alをスパッタ成膜した後フォトリソおよびエッチングによってリング状のゲート電極2と長方形のキャパシタ下部電極10を作製した(図9(a)参照)。厚さは100nm、ゲート電極2の外径は160μm、内径は80μm、キャパシタ下部電極10のサイズは225μm×375μmとした。なお、ゲート配線2‘およびキャパシタ配線10’も同時に作製した。
【0047】
次に、ポリビニルフェノール溶液をスピンコートし、焼成してゲート絶縁膜3とした(図9(b)参照)。厚さは1μmとした。
ここで、ソース電極4、ドレイン電極5、キャパシタ上部電極11をスクリーン印刷によって形成した(図9(c)参照)。厚さは10μm、ソース電極4は直径100μmの円形、ドレイン電極5は外形200μm、内径140μmのリング状とし、キャパシタ上部電極11は200μm×350μmの長方形とした。なお、ソース・ドレイン配線5’も同時に形成した。
そして、ポリチオフェン溶液をスピンコートによって塗布し、焼成によって半導体層6とした(図9(d)参照)。
【0048】
さらに、層間絶縁膜7としてエポキシを塗布・焼成により形成した(図10(e)参照)。厚さは100μmとした。
ついで、UV−YAGレーザによって層間絶縁膜7に直径50μmの孔を形成し、ドクターブレードによってAgペーストを埋め込み、焼成した(図10(f),(g)参照)。ここで、表面を軽く削って平らにした。
最後に、画素電極8としてAlを蒸着し、フォトリソ・エッチングによって490μm角の正方形にパターニングした(図10(h)参照)。
【0049】
このようにして作製した薄膜トランジスタ装置を用いた薄膜トランジスタアレイを使用して、図15に示す構造の電子泳動パネルとし、これを組み込んで電子ペーパーを作製し、動作することを確認した。なお、この薄膜トランジスタ装置はpチャネル特性を示すので、キャパシタ配線には正の電位を印加して電流の流入を抑えた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図2】図1の線A−A’に沿った断面構造を示す図である。
【図3】図1の薄膜トランジスタ装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図4】図3に続く断面工程図である。
【図5】スクリーン印刷後の形状の一例を説明する図である。
【図6】スクリーン印刷後の形状の他の例を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図8】図7の線B−B’に沿った断面構造を示す図である。
【図9】図7の薄膜トランジスタ装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図10】図9に続く断面工程図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係わる薄膜トランジスタ装置の平面配置を示す図である。
【図12】図11の線C−C’に沿った断面構造を示す図である。
【図13】本発明の薄膜トランジスタアレイの平面構造を説明する図である。
【図14】本発明の薄膜トランジスタディスプレイ一例の断面構造を説明する図である。
【図15】本発明の他の薄膜トランジスタディスプレイの断面構造を説明する図である。
【図16】従来の薄膜トランジスタの平面配置の一例を説明する図である。
【図17】図16の線D−D’に沿った断面図である。
【図18】従来の薄膜トランジスタの他の平面配置を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・・絶縁基板、2・・・・・・ゲート電極、2’・・・・・・ゲート配線、3・・・・・・ゲート絶縁膜、4・・・・・・ソース電極、5・・・・・・ドレイン電極、5’・・・・・・ソース・ドレイン配線、6・・・・・・半導体層、6’・・・・・・ドーピング層、7・・・・・・層間絶縁膜、8・・・・・・画素電極、9,12・・・・・・ビアホール、10・・・・・・キャパシタ下部電極、10’・・・・・・キャパシタ配線、11・・・・・・キャパシタ上部電極、13・・・・・・透明基板、14・・・・・・対向電極、15・・・・・・液晶、16・・・・・・電気泳動カプセル、50,60,70・・・・・・薄膜トランジスタ装置、51・・・・・・薄膜トランジスタ、52・・・・・・キャパシタ、80・・・・・・薄膜トランジスタアレイ、81,82・・・・・・対向基板、90,91・・・・・・薄膜トランジスタディスプレイ、501・・・・・・ソース電極、502・・・・・・ゲート電極、503・・・・・・ドレイン電極、504・・・・・・半導体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、
平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、
かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されていることを特徴とする薄膜トランジスタ装置。
【請求項2】
平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極が前記キャパシタ電極と離れた位置に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項3】
平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項4】
平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項5】
前記半導体層が、酸化物半導体または有機半導体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項6】
前記半導体層が前記基板の全面にわたって一面で形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項7】
絶縁基板上に前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置がゲート配線、ソース・ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続されてなることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ。
【請求項8】
前記請求項7に記載の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層もしくは電気泳動カプセルが封入されてなることを特徴とする薄膜トランジスタディスプレイ。
【請求項9】
絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項10】
前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項11】
前記ビアホール中に導体層を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、
平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、
かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極と
キャパシタ上部電極間が接続されていることを特徴とする薄膜トランジスタ装置。
【請求項2】
平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極が前記キャパシタ電極と離れた位置に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項3】
平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項4】
平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項5】
前記半導体層が、酸化物半導体または有機半導体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項6】
前記半導体層が前記基板の全面にわたって一面で形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項7】
絶縁基板上に前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置がゲート配線、ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続されてなることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ。
【請求項8】
前記請求項7に記載の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層が封入されてなることを特徴とする薄膜トランジスタディスプレイ。
【請求項9】
絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項10】
前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項11】
前記ビアホール中に導体層を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項1】
絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、
平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、
かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極とキャパシタ上部電極間が接続されていることを特徴とする薄膜トランジスタ装置。
【請求項2】
平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極が前記キャパシタ電極と離れた位置に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項3】
平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項4】
平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項5】
前記半導体層が、酸化物半導体または有機半導体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項6】
前記半導体層が前記基板の全面にわたって一面で形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項7】
絶縁基板上に前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置がゲート配線、ソース・ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続されてなることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ。
【請求項8】
前記請求項7に記載の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層もしくは電気泳動カプセルが封入されてなることを特徴とする薄膜トランジスタディスプレイ。
【請求項9】
絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項10】
前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項11】
前記ビアホール中に導体層を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に形成されたゲート電極およびキャパシタ下部電極とを有し、その上に形成されたゲート絶縁膜を介して半導体層が配置されており、該半導体層上に接してソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極とを有し、さらにその上に形成された層間絶縁膜を介して画素電極を有する薄膜トランジスタ装置であって、
平面視的配置において、前記ソース電極が孤立島パターンをなし、前記ドレイン電極が該ソース電極を取り囲むように配置されており、さらに前記ゲート電極が該ソース電極とドレイン電極の間隙を埋める位置に配置されてなり、
かつ前記層間絶縁膜中のビアホールによって画素電極とソース電極間および画素電極と
キャパシタ上部電極間が接続されていることを特徴とする薄膜トランジスタ装置。
【請求項2】
平面視的配置において、前記ドレイン電極及びソース電極が前記キャパシタ電極と離れた位置に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項3】
平面視的配置において、前記ソース電極が円形であって、前記ドレイン電極が等幅リング状であり、かつそれらの中心が一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項4】
平面視的配置において、前記キャパシタ上部電極が孤立島パターンであり、かつ前記キャパシタ下部電極が該キャパシタ上部電極よりも大きくかつキャパシタ上部電極を包含するように形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項5】
前記半導体層が、酸化物半導体または有機半導体であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項6】
前記半導体層が前記基板の全面にわたって一面で形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置。
【請求項7】
絶縁基板上に前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置がマトリクス状に複数個配列されてなり、これら複数個の薄膜トランジスタ装置がゲート配線、ドレイン配線及びキャパシタ配線によって電気的に接続されてなることを特徴とする薄膜トランジスタアレイ。
【請求項8】
前記請求項7に記載の薄膜トランジスタアレイと対向基板とが、平面視略矩形枠状のシール材によって貼り合わされ、このシール材によって囲まれた領域内に液晶層が封入されてなることを特徴とする薄膜トランジスタディスプレイ。
【請求項9】
絶縁基板上に、導電膜からなるゲート電極およびキャパシタ下部電極を形成し、その上にゲート絶縁膜を形成し、次いでゲート絶縁膜上に半導体層、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極を形成し(半導体層と、ソース電極、ドレイン電極、キャパシタ上部電極との形成順序は、どちらが先でも良い)、その上に絶縁膜を形成した後、該層間絶縁膜の所定位置にビアホールを形成し、該ビアホール中に導体層を形成し、さらに前記ビアホールを含む層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程とを少なくとも有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項10】
前記ソース電極、ドレイン電極およびキャパシタ上部電極を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【請求項11】
前記ビアホール中に導体層を形成する工程に、少なくとも印刷工程を含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−286772(P2006−286772A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102397(P2005−102397)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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