説明

衝突流体によるシリコンシートの形成

【課題】 衝突流体によるシリコンシートの形成が開示される。
【解決手段】 結晶体を形成するための技術が概して開示される。結晶体を形成するための例示的システム、装置、または方法は、溶融結晶材料を収容するためのるつぼと、端部に種を収容するための支持体であって溶融結晶から種結晶を引き上げる引張り方向の並進移動軸に沿って移動可能であることにより成長経路に沿って結晶体の成長を開始させる支持体と、を含むことができる。別の例は、流体源に結合されるように構成された1つまたは複数のノズルであって、溶融結晶が成長経路に沿って引張り方向に引き上げられるにつれて結晶体を成形するための成長経路に対し相対的に配置された複数のノズルを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
背景
シリコンウェハーの形成方法は、溶融シリコンから大きな円筒状インゴットを成長させる工程と、その後インゴットをウェハーにスライスする工程と、ウェハーを研磨して完成ウェハー製品を形成する工程とを含む。この形式のシリコンは、例えばソーラーパネルを形成するソーラー業界においてだけでなく集積回路を形成する半導体業界によっても使用される。単一ウェハーから何千もの集積回路を製作することができるので前述の処理は半導体業界にとって経済的である。しかしながらこの処理はソーラーパネルの製作にそれほど適していない。
ソーラーパネルの形成では、個々の太陽電池は通常、シリコンウェハー上に形成される。しかしながらシリコンウェハーの表面積は通常の太陽電池に必要な表面積よりはるかに小さく、したがって広い領域にわたってエネルギーを吸収可能な単一のソーラーパネルを形成するために個々の電池はタイル化され一緒に配線されなければならない。
【0003】
図面の簡単な説明
本開示の前述および他の特徴は、添付図面と併せ、以下の説明と添付の特許請求の範囲から十分に明白となる。これらの図面は本開示によるいくつかの例のみを示し、したがって本開示の範囲の限定と考えるべきではない。本開示は、添付図面を使用することによりさらなる特異性と詳細さをもって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】いくつかの例による結晶体を製作するためのシステムの断面図を示す。
【図2】いくつかの例による図1のシステムの斜視図を示す。
【図3】いくつかの例による結晶体の成長を制御するためのコンピュータ制御システムを示す。
【図4】本開示の例を実施するためのコンピュータシステムを示す。
【図5】本開示にしたがってすべてが配置された、いくつかの例による結晶体を製造する方法の処理フロー図を示す。なお、すべての図は本開示に従って構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。添付図面は本明細書の一部を形成する。添付図面では、文脈が規定しない限り同様の符号は通常、同様の構成部品を特定する。発明を実施するための形態、図面、特許請求の範囲に記載する具体的な例は限定することを意味しない。他の例を利用することができ、また本明細書で提示された主題の主旨または範囲から逸脱することなく他の変更を行うことができる。本明細書において一般的に説明され、かつ添付図面に示される本開示の態様は、そのすべてが明示的かつ暗示的に本明細書で考察される種々幅広く異なる態様にて構成され、置換され、組み合わせられ、分離され、設計されてよいことは容易に理解されるであろう。
【0006】
本開示は、とりわけ結晶体の形成に関係する方法、装置、システムに関し、具体的には高性能結晶体を製作する工程に関する。高性能結晶体は、例えば薄いシート/大面積の結晶体などの結晶体から形成される製品の製造中に想定される幾何学的形状および/またはその大きさに似ている。このようなシステムと方法は例えば、所望の製品を形成するための結晶体形成後処理(例えば、スライス工程、研磨工程、材料廃棄)に伴う処理コストの低減を容易にし得る。本開示は結晶体の特定の形状と特定の結晶材料の形成に特に言及することがあるが、本明細書で開示されるシステムと方法は様々な結晶材料を様々な形状に形成するために使用され得ることを理解すべきである。
【0007】
シリコンで広い領域を覆うことが有益であるソーラー業界では、本明細書で開示される結晶シリコンを薄いシートなどの大面積結晶体に成長する処理は有用であろう。このような処理は、材料廃棄を制限するだけでなくスライスしてタイル化する高コスト作業量を制限することにより従来の方法にまさる経済的利点をもたらすことができる。
【0008】
本明細書で説明される様々な例によると、結晶体の非接触成長のための装置が提供される。図1は、本開示の少なくともいくつかの例による結晶体を製作するためのシステムの断面図を示す。図2は図1のシステムの斜視図を示す。結晶体を形成するためのシステムは、るつぼ12、溶融結晶材料14、支持体16、プリナム18、経路20、ノズル22、種結晶24、結晶体26のうちの1つまたは複数を含むことができる。本システムは並進移動軸T、成長軸L、成長軸Wを定義することができる。
【0009】
いくつかの例では、本システムは、溶融結晶材料(以下溶融物と呼ぶ)14を収容するためのるつぼ12、支持体16、溶融物14に近接的に配置された1つまたは複数のプリナム18(ノズル22内で終端する経路20を画定する)を含むことができる。以下にさらに説明されるように、種結晶24は支持体16に取り付けられて、結晶体26の形成を開始するために溶融物14内に導入されてよい。結晶体26は、軸Lに沿って(以下「長さ方向に」と称す)かつ軸Wに沿って(以下「幅方向に」と称す)成長する。
【0010】
一実施形態では、るつぼ12は、実質的に不活性でかつ溶融物14により実質的に劣化されない例えば石英などの材料またはその組み合わせから構成される。別の実施形態では、るつぼ12は溶融結晶材料を収容するための任意の好適な材料から構成されてよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、溶融物14は、結晶溶融物に種結晶を導入することにより結晶体を形成するのに好適な任意の材料またはその組み合わせから構成されてよい。例えば、溶融物14は、半導体(例えば、シリコンSi、ゲルマニウムGe、砒化ガリウムGaAs)、金属(例えば、パラジウムPd、白金Pt、銀Ag、金Au、銅Cu、アルミニウムAl、ニッケルNi)、塩類、合成宝石等から構成されてよい。特定の実施形態では、溶融物14はシリコン特に高純度半導体シリコンを含むことができる。溶融物14がシリコンである場合、ホウ素(B)、リン(P)などのドーパント不純物原子はシリコンをドープするため、したがってn型またはp型不純物シリコンを形成するために溶融物14に添加することができる。当業者には明らかなように、このようなドーピングはシリコンの導電率に影響を与えることができる。
【0012】
いくつかの例では、支持体16は、るつぼ12に近接して移動可能に配置されてよい。一般的には、支持体16は、溶融物14内への導入のために種結晶24を取り付けるだけでなく、結晶体26を製造するために後で溶融物から種結晶24を制御速度で取り出すために使用することができる。この点に関して、いくつかの実施形態では、支持体16は、支持体16が矢印28により示す浸漬方向および矢印30により示す引張り方向において並進移動軸T沿ってるつぼ12に対し相対的に移動可能となるように好適な駆動機構に作動可能に結合されてよい。以下にさらに説明されるように、種結晶が溶融物から引き上げられる速度(以下、引き上げ速度と呼ぶ)は、成長結晶体26の形状にある程度の影響を与えることができる。別の例では、支持体16は、例えば回転、振動、線形または非線形運動などの付加的運動をするように構成されてよい。本開示は成長を開始するための物質(すなわち種)が結晶である実施形態に関し説明されるが、種は棒などの成長を開始するのに好適な任意の形式で設けられてよいことを理解すべきである。
【0013】
いくつかの例では、薄いシート結晶体の形成を容易にするために、支持体16は、成長軸Lと実質的に平行な方向の長手方向に広がる細長い板として構成されてよい。他のいくつかの例では、支持体16は、種結晶の溶融物への導入を容易にするのに好適な任意の形状(例えば棒または軸体など)で構成されてよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプリナム18が溶融物14に近接して配置されてよい。図示のように、2つのプリナム18は並進移動軸Tに関し互いに対向して設けられてよい。他のいくつかの実施形態では、任意の数の追加のプリナムを採用することができる。一般的には、プリナム18は、所望の形状の結晶体26が実現されるように衝突流体を成長結晶体26の両側に正確に向けるために使用されてよい。一実施形態では、衝突流体は例えば窒素またはアルゴンなどの不活性ガスから構成されてよい。
【0015】
具体的な例では、プリナム18は1つまたは複数の流体経路20を画定することができ、これらは制御速度で衝突流体を供給するのに好適な機構に結合され得る。引き上げ速度と同様に、衝突流体の流速は、成長結晶体の形状に影響を与えるように操作され得る。図示のように、流体経路20は、溶融物14に近接して配置された1つまたは複数のノズル22内で終端してよい。いくつかの例では、成長結晶体26の成形に対処するために、プリナム18と、したがってノズル22とは、ノズル22から吐出される衝突流体が溶融物質の固化前に成長シート26に衝突するように溶融物14、軸体16、および/または種結晶24に対し相対的に配置されてよい。当業者には明らかなように、結晶体は、溶融物から引き上げられるにつれて溶融物質が固化するときに形成され、結晶体の成形は溶融物質の固化前のみに可能と考えられる。したがって溶融物質の早過ぎる固化は望ましくないかもしれない。
【0016】
いくつかの例では、溶融物質の早過ぎる固化の防止をさらに容易にするために衝突流体を加熱することができる。一実施形態では、衝突流体は、溶融物質の融点の実質的に近く(例えば融点+/−1度など)まで加熱することができる。衝突流体を加熱してその温度を正確に制御するための任意の好適な手段を採用することができる。例えば、プリナム18内に配置された加熱コイルにより衝突流体を加熱することができる。
【0017】
様々な実施形態では、ノズル22は、例えば薄いシート結晶体などの所望形状を有する結晶体を形成するように構成することができる。例えば、図2に示す一実施形態では、ノズル22は、溶融物14に近接したプリナム18の底面を貫通する細長い線形開口またはスリットとして形成することができる。本開示に照らし理解されるように、このようなノズルから吐出された衝突流体は、概ね下方に流れる流体のカーテンを形成することができる。このようにして、衝突流体は成長結晶体の両側を「絞り」、これにより結晶体26の長さ方向の膨張を促進し結晶体の幅方向の膨張を制限する(すなわち、衝突流体は結晶体を薄いシートに「絞る」)。あるいは、ノズル22は所望の結晶体形状を形成するのに好適な任意の形状で設けられてもよい。
【0018】
いくつかの例では、本明細書に記載のシステムと方法は、結晶体の成長を制御するためのコンピュータ制御システムをさらに含む。コンピュータ制御システムは、プロセスパラメータを達成するシステム構成部品のうちのいずれかまたはすべてと作動可能に関連するコンピュータシステムを含むことができ、プロセスパラメータ(例えば引き上げ速度、衝突流体流速、衝突流体温度)の1つまたは複数を監視および/または制御するように構成されてよい。一実施形態では、コンピュータシステムは、結晶体26の所望の大きさおよび/または形状が実現されるようにプロセスパラメータの1つまたは複数を動的に変更するように構成されてよい。
【0019】
図3に、いくつかの例による結晶体の成長を制御するためのコンピュータ制御システムを示す。コンピュータ制御システムは、るつぼ12、溶融結晶材料14、支持体16、プリナム18、経路20、衝突流体貯蔵槽21、ノズル22、種結晶24、結晶体26、コンピュータ42、引き上げ速度制御装置44、流速制御装置46、センサ51と熱素子53を含む衝突流体制御装置48、センサ55と炉57を含む溶融温度制御装置49、流速信号63、温度信号65、温度信号67のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0020】
いくつかの例では、コンピュータ制御システムは、引き上げ速度制御装置44と衝突流体流速制御装置46と衝突流体温度制御装置48と溶融温度制御装置49と有効な通信を行うコンピュータ42を含むことができる。一般的には、コンピュータ42は様々なプロセスパラメータの制御を容易にするために、引き上げ速度制御装置44(引き上げ速度信号61など)、衝突流体流速制御装置46(流速信号63など)、衝突流体温度制御装置48(温度信号65など)、溶融温度制御装置49(温度信号67など)のうちのいずれかまたはすべてからデータを受信および/またはそれらへ命令を送信するように構成されたプロセッサを含むことができる。
【0021】
様々な例では、引き上げ速度制御装置44は、支持体16が制御速度で浸漬方向および引き上げ方向の両方向に並進移動軸Tに沿ってるつぼ12に対し相対的に移動可能となるように支持体16に作動可能に結合されてよい。引き上げ速度制御装置44は例えば、モータまたは油圧制御装置などの任意の線形または非線形のアクチュエータを含むことができる。
【0022】
具体的な例では、衝突流体流速制御装置46は、衝突流体が制御速度でノズル22を通って供給されるように衝突流体貯蔵槽21、プリナム18および/または流体経路20に作動可能に結合することができる。衝突流体流速制御装置46は、制御速度で衝突流体を供給するためのブロワまたはポンプおよび/またはそれらと関連する制御可能なバルブなどの任意の好適な機構を含むことができる。
【0023】
いくつかの例では、衝突流体温度制御装置48は、衝突流体が制御温度でノズル22を通って供給されるように衝突流体貯蔵槽21、プリナム18および/または流体経路20に作動可能に結合することができる。衝突流体温度制御装置48は、温度センサ51と、流体貯蔵槽21とプリナム18および/または流体経路20に結合された発熱素子53などの衝突流体を加熱するための好適な機構とを含むことができる。
【0024】
様々な例では、溶融温度制御装置49は、溶融物14の温度が制御温度で供給されるようにるつぼ12および/または溶融物14に作動可能に結合することができる。溶融温度制御装置49は、温度センサ55と、るつぼ12に近接して配置された炉57などの溶融物を加熱するための好適な機構とを含むことができる。
【0025】
図4を参照すると、本開示の例を実施するためのコンピュータシステムが示される。図4のコンピュータシステムは、プロセッサとも称する中央処理装置(CPU)102と主メモリ103と1つまたは複数の大容量記憶装置104とを含むコンピュータ101を含む。プロセッサ102は一般的には、これらに限定されないがマイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)またはその任意の組み合わせを含む所望の任意の構成であってよい。したがって個々のプロセッサ102は、プログラム命令を実行するための論理だけでなく、演算装置(ALU)、浮動小数点ユニット(FPU)、ディジタル信号処理(DSP)コア、レジスタ、アキュムレータなどの他の機能ブロックを含むことができる。主メモリ103は、限定するものではないがランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)やフラッシュメモリ記憶装置などの不揮発性メモリ、磁気ディスク記憶装置(例えば、ハードディスクドライブすなわちHDD)などのデータ記憶装置、テープ記憶装置、光記憶装置(例えばコンパクトディスクすなわちCD、ディジタル多用途ディスクすなわちDVD)、または着脱可能、固定型、揮発性または不揮発性であってよい他の機械読取り可能記憶媒体を含む任意の好適な形式のメモリであってよい。結晶体の成長を制御するためのアルゴリズムは例えばROMなどの主メモリ103内に設けられてよい。
【0026】
大容量記憶装置104とそれらに関連するコンピュータ記憶装置媒体は、コンピュータ読取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、コンピュータ101用の他のデータを記憶する。大容量記憶装置104はまた、オペレーティングシステム106、アプリケーションプログラム107、プログラムモジュール108、データベース180を含むことができる。コンピュータ101はさらに、ユーザが命令とデータを入力することができるユーザ入力装置190を含む。入力装置としては、電子ディジタイザ、マイクロフォン、キーボード、一般的にはマウスと称するポインティング装置、トラックボールまたはタッチパッドが挙げられる。他の入力装置としてはジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送アンテナ、スキャナーなどが挙げられる。
【0027】
これらおよび他の入力装置は、システムバスに結合されたユーザ入力インターフェースを介しプロセッサ102に結合することができるが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェースおよびバス構造により結合されてもよい。コンピュータ101などのコンピュータ類はまた、出力周辺インターフェース194等を介し結合されてよいスピーカなどの他の周辺出力装置を含むことができる。
【0028】
コンピュータ101は、ネットワークインターフェース196に結合されたリモートコンピュータなどの1つまたは複数のコンピュータへの論理接続を使用することによりネットワーク環境内で動作することができる。リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピア装置、または他の共通ネットワークノードであってもよく、またコンピュータ101に関連して上に述べた要素の多くまたはすべてを含むことができる。リモートコンピュータは、コンピュータ101の指示に依存するクライアントまたはサーバの他方と考えてよい。ネットワーク環境は、オフィス、企業広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、インターネットにおいて一般的である。送信元と送信先設備はネットワーク109または他の手段によって結合される必要はないが、そのかわりデータは送信元プラットフォームにより書き込み可能で送信先プラットフォームにより読み出し可能な任意の媒体を介し移動することができる。LANまたはWLANのネットワーク環境で使用される場合、コンピュータ101はネットワークインターフェース196またはアダプタを介しLANに結合される。WANネットワーク環境で使用される場合、コンピュータ101は通常、モデム、またはインターネットまたはネットワーク109などのWAN上の通信を確立するための他の手段を含む。コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用してよいことが理解されるであろう。
【0029】
作動中、種結晶24は、支持体16に取り付けられ、溶融物14中に浸漬することができる。その後、種結晶24は、支持体16の引張り方向の移動により溶融物14から引き上げることができる。種結晶24が引き上げられるにつれて結晶体26は成長し始める。溶融物質の固化前に、ノズル22から吐出された衝突流体を成長結晶体26の両側に向けることができる。衝突流体は、成長結晶体26に対し絞りすなわち押圧力を与え、結晶体の長手方向の実質的な膨張と「幅」の限定的な膨張をもたらすことができ、これにより薄いシート結晶体を形成する。形成処理中、図3に関して説明されたように所望の結晶体形状を実現するためにプロセスパラメータを精密に制御/変更することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムと方法の手法は所望の厚さを有する薄いシート結晶体を製造することができる。一例では、結晶体は厚さが約0.01〜数十μmの範囲であってよい。このような結晶体はいわゆる薄膜としての用途に好適と考えられる。他の例では、結晶体は厚さが約0.1〜数百μmの範囲であってよい。さらに別の実施形態では、結晶体は厚さが約0.001〜3mmの範囲であってよい。このような結晶体は例えば太陽電池用の基板材料としての用途に好適と考えられる。
【0031】
具体的な例では、本明細書に記載のシステムと方法により広い面積の結晶体(例えば薄いシート)を形成することができる。いくつかの例では、広い面積の結晶体は、この結晶体を基板などの完成品としての使用に好適にするような厚さを有することができる。他の例では、広い面積の結晶体は、完成品としての用途に好適なものより大きな厚さを有することができる。したがっていくつかの実施形態では、広い面積の結晶体はよく知られた方法を使用してカットまたはスライスされてよい。さらに詳細には、一実施形態では、広い面積の結晶体は、所望の完成品に好適な厚さを有する複数の広い面積の結晶体を製造するために結晶体の前後面と実質的に平行な方向にスライスされてよい。本明細書に記載のシステムと方法を使用することにより適切な大きさの完成品を製造するのに必要なカット量(上に説明したように円筒状のインゴットの前後面を横切る方向に円筒状インゴットをスライスして複数のウェハーを製造する工程に係ると考えられる)は従来の方法下で必要とされるものより実質的に少なくてよい。様々な例では、随意のカット後、よく知られた方法を使用し必要に応じ広い面積の結晶体を研磨することができる。様々な例では、完成品は、例えばドーピング、イオン注入、エッチング、様々な材料の蒸着、フォトリソグラフィパターニングなど任意の数の微細加工工程を経てよい。
【0032】
別の例では、完成品は、例えば太陽電池、集積回路などの完成品内およびその上に構築され得るマイクロ電子デバイス用の基板となってよい。より具体的には、一例では、完成品は、本明細書に記載の形成処理の際に並進移動軸Tに実質的に垂直であった方向に表面法線が向く基板の表面内およびその表面上に構築されるマイクロ電子デバイス用の基板となってよい。完成品が太陽電池用基板となる場合、完成品の大きな表面積により、完成品は太陽電池の基板表面全体または基板表面全体の大部分を構成し、これにより従来の方法下で必要とされる基板のタイル化と配線の必要性をなくすあるいは実質的に低減することができる。
【0033】
いくつかの例では、太陽電池などの完成品の基板は、約150mm〜約200mmの直径と約200μm〜約250μmの厚さを有することができる。基板は滑らかな表面となるように研磨されてよい。一般的には基板は低濃度でpドープすることができる。一例のp型のドーパントはホウ素(B)であろう。完成品を形成するために、n型ドーパントはpドープ基板の表面上に拡散されてpn接合を形成することができる。このpn接合は、表面下約数百nmに形成することができる。一例のn型ドーパントはリンであろう。表面は次に反射防止膜で覆われてよい。好適な反射防止膜としては、例えば窒化ケイ素(Si)または二酸化チタン(TiO)が挙げられる。反射防止膜は、例えばプラズマ強化型蒸着(PECVD)を使用して例えば数百nmの厚さで塗布されてよい。いくつかの例では、反射防止膜の代わりにまたはそれに加えて、基板にはテクスチャ加工された前面部が設けられてよい。基板はこの時点で「ウェハー」と称してよい。
【0034】
全領域金属接点がウェハーの裏面上に印刷されてもよいし、微細なフィンガーと大きなバスバーから構成されたグリッド状の金属接点がウェハーの前面上に印刷されてもよい。このような印刷は、銀またはアルミペーストなどの金属ペーストを使用する例えばスクリーン印刷によって可能である。いくつかの例では、銀ペーストが前面に使用され、アルミペーストが裏面に使用される。ウェハーのシリコンとオーム接触する金属電極を生成するために金属ペーストを利用することができる。例えば、金属接触後、太陽電池は電池を直列および/または並列に相互接続することによりモジュールまたはソーラーパネルに組み立てることができる。いくつかの例では、一面の強化ガラスをソーラーパネルの前面全体に設けることができ、ソーラーパネルの裏面上にポリマ封止を施すことができる。
【0035】
別の例では、本明細書に記載のシステムと方法を使用して形成された完成品はガラスパネルに積層されて窓としての用途に好適な製品を形成することができる。さらに別の例では、完成品は、下層にある電極を含むガラス基板などのバッキングとしての低コスト基板に適用されてもよい。
【0036】
図5には、本開示のいくつかの例による、結晶体を製造するための方法100の処理フロー図を示す。方法100は、端部に種を収容するための支持体であって引張り方向の並進移動軸に沿って移動可能な支持体を設ける工程(ブロック110)と、種が溶融結晶材料内に少なくとも部分的に浸漬される位置から引張り方向に支持体を引き上げることにより種結晶を溶融結晶から引き上げて結晶体の成長を開始する工程(ブロック120)と、成長結晶体の表面上に流体を押し付ける工程(ブロック130)とを含むことができる。
【0037】
本開示は、本出願に記載された様々な態様の具体例として意図された特定例の観点に限定されるべきではない。多くの変形と変更は、当業者にとって明らかなように本開示の主旨と範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて本開示の範囲内の機能的に等しい方法と装置は、前述の説明から当業者にとって明らかである。このような変形と変更は添付の特許請求の範囲に入るように意図されている。
【0038】
本開示は、添付の特許請求の範囲の文言と、このような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とのみによって限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物組成または生物システムに限定されなく、これらは当然変化し得ることを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の例を記載する目的のためのみのものであり、限定するように意図されていないことを理解すべきである。上記では結晶体の製作の様々な例を説明した。以下は、結晶体の製作の方法とシステムの特定の例である。これらは例示のためのみのものであって限定するように意図されていない。
【0039】
本開示は、一般的には結晶体を形成するためのシステムと方法に関する。いくつかの例では、結晶体を形成するための装置は、溶融結晶材料を収容するためのるつぼと、端部に種を収容するための支持体であって溶融結晶から種結晶を引き上げる引張り方向の並進移動軸に沿って移動可能であることにより成長経路に沿って結晶体の成長を開始させる支持体と、流体源に結合されるように構成された1つまたは複数のノズルであって溶融結晶が成長経路に沿って引張り方向に引き上げられるにつれて結晶体を成形するための成長経路に対し相対的に配置されたノズルと、を含む。
【0040】
様々な実施形態では、結晶体は溶融部分と固形部分を画定することができ、複数のノズルはノズルから吐出された流体が溶融部分に衝突するように結晶体に対し相対的に配置されてよい。複数のノズルは、ノズルから吐出された流体が引張り方向と概ね反対方向に流れるように構成される。ノズルは細長い吐出開口部を含むことができる。吐出開口部は、結晶体を概ね平らなシートに形成するための線形の開口部(またはいくつかの例では非線形の開口部)として構成することができる。
【0041】
いくつかの例では、支持体は細長い断面を含むことができる。ノズルから吐出される流体は不活性ガス(例えば、窒素、Ni、アルゴン、Ar等)を含むことができる。ノズルから吐出される流体は、ほぼ結晶材料の融点まで加熱されてよい。本装置は1つまたは複数の対のノズルを含むことができ、ノズル対の各ノズルは並進移動軸に対し他方のノズルの実質的に反対側に配置される。本装置は一般的には、結晶体の厚さを制御するように構成されてよい。溶融結晶材料はシリコン(Si)を含むことができる。
【0042】
例示的な実施形態では、結晶体を製造するとともに結晶体からデバイスを製造する方法を提供することができる。本方法は、端部に種を収容するための支持体であって引張り方向の並進移動軸に沿って制御可能に移動可能な支持体を設ける工程と、種が溶融結晶材料内に少なくとも部分的に浸漬される位置から支持体を引張り方向に引き上げることにより、種結晶を溶融結晶から引き上げて結晶体の成長を開始する工程と、成長結晶体の表面に流体を当てる工程と、を含むことができる。
【0043】
様々な例では、本方法は、流体の流速、流体の温度、支持体の引き上げ速度のうちのいずれかまたはすべてを変化させる工程を含むことができる。本方法は、支持体を引き上げる際に並進移動軸に実質的に垂直であった方向にその表面法線が向いた結晶体の表面上にデバイスを製作する工程を含むことができる。
【0044】
いくつかの例では、結晶体を形成するための装置を提供することができる。本装置は、溶融結晶材料を収容するるつぼと、成長結晶体を収容する支持体であって、成長結晶体が、溶融結晶材料に近接した端部に溶融部分と溶融部分の概ね反対側に固形部分とを有し、固形部分を延ばす引張り方向の並進移動軸に沿って制御可能に移動可能であってよい支持体と、成長結晶体の少なくとも溶融部分に流体を当てるための1つまたは複数のノズルと、を含むことができる。
【0045】
上述の詳細な説明は、ブロック線図、フローチャート、および/または例を使用することにより装置および/または処理の様々な例を説明した。このようなブロック線図、フローチャート、および/または例は1つまたは複数の機能および/または動作を含む限り、このようなブロック線図、フローチャートまたは例内の各機能および/または動作は広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの実質的に任意の組み合わせにより個々におよび/または集合的に実施することができることは当業者により理解されるであろう。一例では、本明細書に記載の主題のいくつかの部分は、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)または他の集積化形式を介し実施することができる。しかしながら、当業者は、本明細書に開示された例のいくつかの態様は、その全部または一部において、1つまたは複数のコンピュータ上で実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピュータシステム上で実行する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で実行する1つまたは複数のプログラムとして(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で実行する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、またはそれらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路で等価的に実施することができるということと、回路を設計することおよび/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアのコードを書くことは本開示に照らして通常の当業者の技能の範囲内であること、とを認識であろう。さらに、当業者は、本明細書に記載の主題の機構は様々な形式のプログラム製品として配布され得ることと、本明細書に記載の主題の具体的な例は、実際に配布を行うために使用される信号担持媒体の特定タイプにかかわらず適用されるということとを理解するであろう。信号担持媒体の例としては限定するものではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、ディジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能型媒質と、ディジタルおよび/またはアナログ通信媒体などの伝送型媒体(例えば光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)とが挙げられる。
【0046】
当業者は、装置および/または処理を本明細書に記載のやり方で記述しその後このように記述された装置および/または処理をデータ処理システムに集積化するための技術的手法を使用することは当該技術領域内では一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載の装置および/または処理の少なくとも一部は合理的な実験量でもってデータ処理システムに集積化することができる。当業者は、通常のデータ処理システムは一般的に、システム装置筐体、映像表示装置、揮発性および不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタルシグナルプロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステムなどの計算型エンティティ、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェース、アプリケーションプログラムのうちの1つまたは複数、そしてタッチパッドまたはスクリーンなどの相互作用装置および/またはフィードバックループと制御モータとを含む制御システム(例えば、位置および/または速度を感知するためのフィードバック、構成部品および/または量を移動および/または調整するための制御モータ)のうちの1つまたは複数、を含むということを認識するであろう。通常のデータ処理システムは、データ計算/通信および/またはネットワーク計算/通信システムにおいて通常見られるものなど市販の任意の好適な構成部品を利用することにより実施することができる。
【0047】
本明細書に記載された主題は、他の異なる構成部品内に含まれるあるいはそれに接続される異なる構成部品を例示することがある。このように描写されたアーキテクチャは単に例であって、実際上は同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャが実施され得ることを理解すべきである。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成部品の任意の配置は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付けられる」。したがって特定の機能を実現するために組み合わせられる本明細書内の任意の2つの構成部品は、所望の機能がアーキテクチャまたは中間構成部品に関係なく実現されるように互いに「関連付けられる」と見てよい。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成部品はまた、所望の機能を実現するために互いに「動作可能に接続されている」または「動作可能に結合されている」と見てよく、そのように関連付けられ得る任意の2つの構成部品はまた、所望の機能を実現するために互いに「動作可能に結合され得る」と見てよい。動作可能に結合可能な具体的な例としては限定するものではないが、物理的に連結可能なおよび/または物理的に相互作用する構成部品、および/または無線で相互作用可能なおよび/または無線で相互作用する構成部品、および/または論理的に相互作用するおよび/または論理的に相互作用可能な構成部品が挙げられる。
【0048】
本明細書における実質的に任意の複数および/または単数の用語の使用に関しては、当業者は文脈および/または適用に適切なように複数から単数へ、および/または単数から複数へ読み換えることができる。様々な単数/複数の置換は、明瞭化のために本明細書では明示的に記載されることがある。
【0049】
概して、本明細書そして特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は「オープン」用語として意図されている(例えば用語「含んでいる」は「限定しないが含んでいる」と解釈すべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、用語「含む」は「限定しないが含む」と解釈すべきである、等)ことを当業者は理解するであろう。導入された請求項記載の特定の数が意図された場合はこのような意図は請求項内に明示的に記載されること、そしてこのような記載がない場合はこのような意図はないということを当業者はさらに理解するであろう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は請求項記載を導入するために導入句「少なくとも1つの」と「1つまたは複数の」の使用を含むことがある。しかしながら、このような句の使用は、単数形による請求項記載の導入が、同じ請求項が導入句「1つまたは複数」または「少なくとも1つの」と単数形の記載とを含むときでさえ、このような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、このような記載を1つのみ含む例に限定することを意味すると解釈すべきでない(例えば単数形の記載は「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味するものと解釈すべきである)。同じことは請求項記載を導入するために使用される「前記」の使用にも当てはまる。さらに、導入された請求項記載の特定の数が明示的に記載されたとしても、当業者は、このような記載は少なくとも記載された数を意味する(例えば、他の修飾語を持たない「2つ」というありのままの記載は少なくとも2つまたは2つ以上を意味する)ように解釈すべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B、C等の少なくとも1つ」に類似の慣習的表現が使用される場合、一般的には、このような構造は、当業者はこの慣習的表現を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、B、Cの少なくとも1つを有するシステム」は限定しないがAのみ、Bのみ、Cのみ、A、Bともに、A、Cともに、B、Cともに、および/またはA、B、Cともに有するシステムなどを含むであろう)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似の慣習的表現が使用される場合、一般的には、このような構造は、当業者はこの慣習的表現を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、BまたはCの少なくとも1つを有するシステム」は限定しないがAのみ、Bのみ、Cのみ、A、Bともに、A、Cともに、B、Cともに、および/またはA、B、Cともに有するシステムなどを含むであろう)。2つ以上の代替用語を表す実質的に任意の離接語(disjunctive word)および/または離接句(disjunctive phrase)は、本明細書、特許請求の範囲または図面にかかわらず、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を考慮するように理解すべきであることを当業者はさらに理解するであろう。例えば句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AとB」の可能性を含むように理解される。
【0050】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群によって記載される場合、当業者は、この開示もまたマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたは下位群メンバーの意味で記載されることを認識するであろう。
【0051】
当業者により理解されるように、書面による明細書を提供するという意味でなど任意のおよび全ての目的のため、本明細書で開示される全ての範囲はまた、任意のおよび全ての可能な部分的範囲と、その部分的範囲の組み合わせとを包含する。任意の掲載範囲は、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに分割された同じ範囲を十分に記載し可能にするものと容易に認識することができる。非限定的な実施例として、本明細書で説明された各範囲は、下三分の一、中三分の一、上三分の一等に容易に分割することができる。また当業者により理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より多い」、「より少ない」等のすべての言語は、記載または参照された数を含み、かつ上に説明したように後で部分的範囲に分割することができる範囲を参照する。最後に、当業者により理解されるように範囲は個々の各メンバーを含む。したがって例えば、1〜3個のセルを有する群は、1個、2個、または3個のセルを有する群を指す。同様に、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個、または5個のセルを有する群などを指す。
【0052】
様々な態様と例が本明細書で開示されたが、他の態様と例は当業者にとって明白であろう。本明細書で開示された様々な態様と例は説明のためのものであって、限定するように意図するものではなく、真の範囲と主旨は以下の特許請求の範囲により示される。
【符号の説明】
【0053】
12 るつぼ
14 溶融結晶材料
16 支持体
18 プリナム
20 流体経路
21 衝突流体貯蔵層
22 ノズル
24 種結晶
26 結晶体
42 コンピュータ
44 引き上げ速度制御装置
46 流速制御装置
48 衝突流体温度制御装置
49 溶融温度制御装置
51 センサ
53 加熱素子
55 センサ
57 炉
61 引き上げ速度信号
63 流速信号
65 温度信号
67 温度信号
101 コンピュータ
102 プロセッサ
103 メモリ
104 大容量記憶装置
106 オペレーティングシステム
107 アプリケーションプログラム
108 プログラムモジュール
109 ネットワーク
180 データベース
190 ユーザ入力装置
194 出力周辺インターフェース
196 ネットワークインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融結晶材料、種、および流体から結晶体を形成するための装置であって、
前記溶融結晶材料を収容するためのるつぼと、
前記種を端部に収容するための支持体であって、前記溶融結晶材料から前記種結晶を引き上げる引張り方向の並進移動軸に沿って移動することにより成長経路に沿って結晶体の成長を開始するように構成された支持体と、
前記成長経路に対し相対的に配置され、前記溶融結晶材料が前記成長経路に沿って前記引張り方向に引き上げられるにつれて前記結晶体を成形するのに効果的に前記流体を前記結晶体に供給するように構成された1つまたは複数のノズルと、を含む装置。
【請求項2】
前記結晶体は溶融部分と固形部分とを含み、前記1つまたは複数のノズルは、前記ノズルから吐出された流体が前記溶融部分に衝突するように前記結晶体に相対的に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のノズルはさらに、前記ノズルから吐出された前記流体が前記引張り方向と概ね反対の方向に流れるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つまたは複数のノズルはそれぞれ排出開口部を画定する本体部を含み、前記排出開口部は細長い、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記排出開口部を画定する前記本体部はさらに、前記排出開口部が前記結晶体を概ね平らなシートに形成するように構成された線形の開口部となるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記支持体は細長い断面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数のノズルから吐出される前記流体は不活性ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ノズルから吐出される前記流体を前記結晶材料のほぼ融点まで加熱するように構成された発熱素子をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つまたは複数のノズルは一対のノズルとして配置され、各ノズル対の一方のノズルは、前記並進移動軸に対し前記各ノズル対の他方のノズルと実質的に反対側に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記溶融結晶材料はシリコンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
種結晶、溶融結晶材料、および流体を使用することにより結晶体と前記結晶体からデバイスとを製造する方法であって、
端部に前記種を収容するための支持体であって引張り方向の並進移動軸に沿って移動可能な支持体を設ける工程と、
前記種が前記溶融結晶材料内に少なくとも部分的に浸漬される位置から前記支持体を引張り方向に引き上げ、これにより前記種結晶を前記溶融結晶から引き上げて結晶体の成長を開始する工程と、
前記成長結晶体の表面上に流体を押し付ける工程と、を含む方法。
【請求項12】
溶融部分と固形部分とを含む前記結晶体に対し1つまたは複数のノズルを相対的に配置する工程をさらに含む請求項11に記載の方法であって、
前記流体を押し付ける工程は、前記1つまたは複数のノズルから吐出された前記流体が前記溶融部分に衝突するように前記1つまたは複数のノズルを通して前記結晶体の表面に前記流体を吐出する工程を含む、方法。
【請求項13】
前記流体を吐出する前記工程はさらに、前記引張り方向と概ね反対の方向に前記流体を吐出する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流体を吐出する前記工程はさらに、前記1つまたは複数のノズル内の実質的に細長い形状の吐出開口部を通して前記流体を吐出する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体を吐出する前記工程はさらに、前記結晶体を概ね平らなシートに形成するように線形の開口部として構成された前記1つまたは複数のノズル内の吐出開口部を通して前記流体を吐出する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記支持体は細長い断面を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記流体は不活性ガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記流体を吐出する工程はさらに、前記流体を前記結晶材料のほぼ融点まで加熱する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記溶融結晶材料はシリコンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記流体を前記表面に押し付ける工程に関連する流速、前記流体の温度、前記支持体を前記引張り方向に引き上げる工程に関連する引き上げ速度のうちの1つまたは複数を変化させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
マイクロ電子デバイスを製作するための基板として前記結晶体の表面を使用する工程をさらに含み、前記表面は、前記支持体を引き上げる際に前記並進移動軸に実質的に垂直であった方向に向いた表面法線を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
溶融結晶材料、種、流体から結晶体を形成するためのコンピュータ制御システムであって、
引き上げ速度制御装置、衝突流体流速制御装置、衝突流体温度制御装置、溶融結晶材料温度制御装置と有効な通信を行いかつそれらを制御するように構成されたコンピュータと、
前記溶融結晶材料を収容するためのるつぼであって、前記溶融結晶材料温度制御装置は前記るつぼに作動可能に結合されて前記溶融結晶材料の温度を調節するように構成される、るつぼと、
前記種を端部に収容するための支持体であって、前記溶融結晶材料から前記種結晶を引き上げる引張り方向の並進移動軸に沿って制御可能に移動可能となるように前記引き上げ速度制御装置に作動可能に結合され、これにより成長経路に沿って結晶体の成長を開始するようにした、支持体と、
前記衝突流体流速制御装置と衝突流体温度制御装置に作動可能に結合された衝突流体貯蔵槽であって、前記衝突流体流速制御装置は前記衝突流体の流速を調節するように構成され、前記衝突流体温度制御装置は前記衝突流体の温度を調節するように構成される、衝突流体貯蔵槽と、
前記衝突流体貯蔵槽と流体連通した1つまたは複数のノズルであって、前記成長経路に対し相対的に配置され、前記溶融結晶材料が前記成長経路に沿って前記引張り方向に引き上げられるにつれて前記結晶体を成形するのに効果的に前記衝突流体を前記結晶体に供給するように構成される、1つまたは複数のノズルと、を含むシステム。
【請求項23】
前記結晶体は溶融部分と固形部分とを含み、前記1つまたは複数のノズルは、前記ノズルから吐出された流体が前記溶融部分に衝突するように前記結晶体に対し相対的に配置される、請求項22に記載のコンピュータ制御システム。
【請求項24】
前記1つまたは複数のノズルはさらに、前記ノズルから吐出された前記流体が前記引張り方向と概ね反対方向に流れるように構成される、請求項23に記載のコンピュータ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−265163(P2010−265163A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288056(P2009−288056)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】