説明

表示装置

【課題】画素電極とソース配線、さらには画素電極とTFTとの電気的な干渉を抑制する
構造を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの活性層、ゲイト絶縁膜、及び
ゲイト電極上に形成された第1の層間絶縁膜と、前記第1の層間絶縁膜上に形成され、前
記活性層に接続されたソース配線及びドレイン電極と、前記ソース配線及び前記ドレイン
電極上に形成された第2の層間絶縁膜と、前記第2の層間絶縁膜上に形成された電磁シー
ルド用の導電膜と、前記導電膜上に形成された第3の層間絶縁膜と、前記第3の層間絶縁
膜上に形成され、前記ドレイン電極に接続された画素電極とを有し、前記導電膜は前記ソ
ース配線と前記画素電極との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明は、アクティブマトリクス型の反射型液晶パネルの構造に関す
る。
【背景技術】
【0002】
図8に従来より公知のアクティブマトリクス型の反射型液晶パネルの概略の断面を示す
。図8に示す構成では、ソース領域部708、ゲイト電極部709、ドレイン領域部71
0の領域でなるTFT(薄膜トランジスタ)が配置され、さらにこのTFTのソース領域
部710に反射画素電極706が接続された構造となっている。
【0003】
一般にこのような構造においては、ソース電極部708、ゲイト電極部709、ドレイ
ン電極部710との上面の平坦性や、画素領域711と他の領域との間における平坦性は
、図示されるようにあまり考慮されていない。
【0004】
この平坦性の乱れ(即ち凹凸)は、300nm〜700nm程度となるのが普通である

【0005】
このような凹凸の存在は、液晶分子の乱れ707の原因となる。しかし、液晶層の厚さ
が7μmや8μm以上というように厚い場合は、上記の凹凸の影響は表示にそれ程大きな
影響を与えない。
【0006】
即ち、液晶分子の乱れの影響は液晶層の厚さ方向全体には及ばず、そのことが表示に与
える影響も少ない。
【0007】
しかし、近年は高画質の追求、及びそれに伴う液晶材料の進歩により、より液晶層の厚
さを狭くすることが要求されている。
【0008】
特に反射型の液晶パネルにおいては、光が液晶層を2回通過するので、透過型のものに
比較してその厚さを1/2とすることが要求される。(実際にはそう単純な話にはならな
いが、概略そうであるといえる)
【0009】
これまで、反射型の液晶パネルは、微細な表示特性や高速動画表示は求められていなか
った。従って、無理して液晶層の厚さを薄くして、表示特性を向上させる必要はなかった

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らの知見によれば、反射型の液晶パネルは、投影型のプロジェクターに利用す
ることが適していることが判明している。
【0011】
これは、プロジェクターには、画面サイズが小型のものが要求(画面サイズが大きいと
光学系が高価になる)され、また反射型の液晶パネルは、画面サイズが2.5 インチ対角以
下というような小型のものに関しては、透過型よりも画素の開口率を高くできるからであ
る。
【0012】
一般に画面サイズが小さくなると、透過型では、TFT、配線、容量電極といった光が
透過しない領域の面積の割合が大きくなり、また透過部分の透過損失も顕在化する。(本
出願人らの算出によれば、画面サイズが2.5 インチ以下になるとこの傾向が顕在化する)
【0013】
他方、反射型では、反射電極の下部にTFTや配線や容量電極を配置させることができ
、また反射電極の反射損失も透過型の透過損失に比べればはるかに小さくできる。
【0014】
プロジェクタには、高微細な表示を行う性能が要求される。従って、プロジェクターに
利用する反射型の液晶パネルには、高い表示特性が要求される。特にプロジェクターの場
合は、画像が数十倍〜100倍以上に拡大されるので、この要求はシビアなものとなる。
【0015】
このような理由により、反射型の液晶パネルにも高い表示特性が要求され、それを実現
するために液晶層の厚さを薄くことが要求される。
【0016】
本出願人らの知見によれば、要求される表示特性を得るには、反射型の液晶パネルの場
合、液晶層の厚さは2〜4μm程度とすることが求められる。これは、コントラストを最
大とする条件から要求されることである。
【0017】
このような場合、液晶層に接する面における凹凸の段差が液晶層の10%以上あると、
液晶の配向の乱れが顕著になり、画質の低下(特にコントラストの低下)が著しくなる。
【0018】
液晶層の厚さdはコントラストを最大とする条件によって定められる。コントラストを
最大にする条件は、液晶材料によって決まるΔn(リタデーション)と液晶層の厚さdと
の積(Δnd)によって決まる。しかしこの値は、波長依存性があり、その依存性が液晶
材料によって異なるという厄介な性質があり、最適化することは簡単ではない。
【0019】
図7に示すのは、反射型の液晶パネルを想定したシュミレーション結果である。ここで
、横軸は入射光の波長であり、縦軸は入射光と出力光との比(透過率と定義する)である

【0020】
図7中のプロット点は、液晶層の厚さを変化させた場合のものである。
【0021】
人間の目の波長感度は、450nm〜680nm程度の範囲にあり、550nm付近に
その最大値を有する。
【0022】
従って、カラー表示をさせようとする場合、図7に示すような曲線は、450nm〜6
80nmの範囲における透過率が極力平坦であることが重要となる。特に波長感度の高い
500nm〜600nmの範囲における平坦性が重要となる。
【0023】
また、当然のことながら透過率が極力高いこと(即ち透過損失が極力少ないこと)が重
要となる。
【0024】
この点を考慮すると、図7に示すシュミュレーション結果においては、液晶層の厚さが
2.86μm、3μmの場合が好ましいものとなる。また、液晶層の厚さが2.5 μm、3.5 μ
mの場合が一応利用できる程度のものとなる。
【0025】
例えば液晶層の厚さを3μmとした場合、液晶層に接する面の凹凸は、少なくとも0.3
μm(300nm)以下とすることが要求される。
【0026】
こうなると、図8に示すような液晶層に接する面の凹凸が表示に悪影響を与えるように
なる。
【0027】
この問題を解決する方法の一つとして、層間絶縁膜712として樹脂のような成膜時に
おいて流動性のある材料を用い、段差を吸収させてしまうことが考えられる。
【0028】
しかし、そのためには層間絶縁膜をかなり厚くしなければならない。
【0029】
層間絶縁膜を厚くすると、最終的に画素電極706がソース電極へとコンタクトするた
めに開溝が深くなる。これは、コンタクト不良の原因となり好ましくない。
【0030】
特にプロジェクター用の液晶パネルのように対角寸法が2.5インチ以下というような
小型で微細な構造を有する場合は、上記コンタクトの問題が顕在化する。
【0031】
このように、液晶に接する面を平坦化することは、他の要求事項との兼ね合いもあり、
容易ではない。
【0032】
本明細書で開示する発明は、この問題を解決し、他の要求事項を満足しつつ、液晶に接
する面を平坦化できる構造を提供することを課題とする。また、画素電極とソース配線、
さらには画素電極とTFTとの電気的な干渉を抑制する構造を提供することを課題とする

【課題を解決するための手段】
【0033】
〔第1の発明〕
本明細書で開示する発明の一つは、図1乃至図6にその作製工程が例示される構成のよ
うに、
格子状に配置されたソース配線305とゲイト配線204(図3参照)と、
前記ソース配線305にソース領域207が接続され、前記ゲイト配線204がゲイト
電極202に接続された薄膜トランジスタと、
前記ソース配線305と同時に形成されたドレイン電極303と、(図6参照)
前記ドレイン電極303の上方に形成された補助容量用電極401と、(図6参照)
前記補助容量用電極401の上方に形成された反射画素電極602と、(図6参照)
を有し、
前記ドレイン電極303と前記補助容量用電極401との間には補助容量が形成され、
(図6参照)
前記ドレイン電極303は画素領域の大部分を占めている(図3参照)ことを特徴とす
る。
【0034】
上記の構成において、ソース配線305とゲイト配線204とは、図示されるように直
線状の形状が交差した格子形状を有している。しかし、格子状の配置としては、この構造
のみに限定されない。例えば、少なくとも一方が屈曲したパターンとなっているのでもよ
い。
【0035】
または配線の構造としては、単層でも多層でもよい。図3に示す構造においては、ゲイ
ト配線はアルミニウム膜の単層で構成されている。なお、ゲイト電極202はゲイト配線
204から延在したパターンとして形成されている。
【0036】
また、図3に示す構造においては、ソース配線305はチタン膜302とアルミニウム
膜303とチタン膜304との積層膜でもって構成されている。図3においては、ソース
配線として配線の主要部を構成するアルミニウム材料でなる部分305が図示されている
。(上下のチタン膜は省略されている)
【0037】
薄膜トランジスタ(TFTと称する)の構造としては、図2にその基本構造を示すソー
ス領域207とドレイン領域205(コンタクト308の下部に存在する)との間にチャ
ネル領域(ゲイト電極202の下部に存在する)を配置した基本的な構造の他に、図10
に示すように活性層11が屈曲したものを挙げることができる。
【0038】
あるいは、同じく図10に示すような活性層11にゲイト電極が複数カ所において設け
られ、実質的に複数のTFTが直列に接続された構造のものを利用することができる。
【0039】
またTFTの構造としては、逆スタガー型のものを利用することもできる。
【0040】
また、上記第1の発明の構成において、
・〔ソース配線305と同時に形成されたドレイン電極303〕(図6参照)
は、図3に代表的に示されるように、同一の表面上(この場合は層間絶縁膜301上)
に成膜された膜をパターニングすることにより、303と305で示されるようなパター
ンを形成することによって得られる。
【0041】
この同時に形成されたかどうかを確認するには、電子顕微鏡を利用して断面拡大写真を
撮影すれば確認することができる。
【0042】
また、ドレイン電極303は画素領域の大部分を占めている(図3参照)というのは、
図3に例示されるようにソース配線とゲイト配線とで囲まれる領域を画素領域と定義し、
その領域の少なくとも50%以上、好ましくは70%以上を占めるような構造のこという

【0043】
なお、反射画素電極は、ソース配線及びゲイト配線と一部が重なっているので、画素領
域の周囲(縁の部分)は、ソース配線及びゲイト配線に一部重なる。
【0044】
上記第1の発明の構成において、補助容量は、図6の下段に示されるようにドレイン電
極303と補助容量用電極401との間に誘電膜として窒化珪素膜400を挟んだ構造と
して形成されている。
【0045】
また図6に示す構造においては、補助容量の上方は、ポリイミド樹脂膜501によって
平坦化されている。
【0046】
〔第2の発明〕
他の発明の構成は、
格子状に配置されたソース配線とゲイト配線と、
前記ソース配線にソース領域が接続され、前記ゲイト配線がゲイト電極に接続された薄
膜トランジスタと、
前記ソース配線と同時に形成されたドレイン電極と、
前記ドレイン電極の上方に形成された補助容量用電極と、
前記補助容量用電極の上方に形成された電磁シールド用の導電膜と、
前記導電膜の上方に形成された反射画素電極と、
を有し、
前記ドレイン電極と前記補助容量用電極との間には補助容量が形成され、
前記ドレイン電極は画素領域の大部分を占めていることを特徴とする。
【0047】
ここで、電磁シールド用の導電膜というのは、図6の502で示される膜である。この
導電膜502は、画素電極602とドレイン電極303とのコンタクト部分603以外の
領域の全てを覆う構造となっている。
【0048】
こうすることで、画素電極とソース配線、さらには画素電極とTFTとが電気的に干渉
してしまうことを抑制することができる。
【0049】
〔第3の発明〕
他の発明に構成は、
格子状に配置されたソース配線とゲイト配線と、
前記ソース配線にソース領域が接続され、前記ゲイト配線がゲイト電極に接続された薄
膜トランジスタと、
前記ソース配線と同時に形成されたドレイン電極と、
前記ドレイン電極の上方に誘電体膜を介して形成された補助容量用電極と、
前記補助容量用電極の上方に形成された電磁シールド用の導電膜と、
前記導電膜の上方に形成された反射画素電極と、
を有し、
前記ドレイン電極と前記補助容量用電極との間には補助容量が形成され、
前記ドレイン電極は画素領域の大部分を占めて形成されており、
前記ゲイト電極と前記ソース配線と前記ドレイン電極とでもって、前記誘電体膜が形成
される面の平坦性が確保されていることを特徴とする。
【0050】
この構成は、図6に例示するような構造において、ゲイト電極202が存在することに
起因する層間絶縁膜301の盛り上がり部分と、その上部表面が合うようにドレイン電極
303とソース配線305とを形成することで、窒化珪素膜400が成膜される面の凹凸
を是正し、樹脂膜501によって、残存する凹凸を吸収できるようにしたことを特徴とす
る。
【0051】
この場合、ゲイト電極202の厚さと、303で示されるアルミニウム膜及びその上下
に成膜されたチタン膜との合計の厚さとをある程度一致させる必要がある。
【0052】
〔第4の発明〕
他の発明の構成は、
格子状に配置されたソース配線とゲイト配線と、
前記ソース配線にソース領域が接続され、前記ゲイト配線がゲイト電極に接続された薄
膜トランジスタと、
前記ソース配線と同時に形成されたドレイン電極と、
前記ドレイン電極の上方に誘電体膜を介して形成された補助容量用電極と、
前記補助容量用電極の上方に形成された電磁シールド用の導電膜と、
前記導電膜の上方に形成された反射画素電極と、
を有し、
前記ドレイン電極と前記補助容量用電極との間には補助容量が形成され、
前記ドレイン電極は画素領域の大部分を占めて形成されており、
前記ゲイト電極と前記ソース配線及び前記ドレイン電極との厚さの差は、液晶層の厚さ
の20%以下であることを特徴とする。
【0053】
この構成は、ゲイト電極202の厚さ(図6に例示する場合は陽極酸化膜の膜厚も含め
る)と、ドレイン電極303の厚さ(図6に例示する場合は上下のチタン膜の膜厚も含め
る)の膜厚とをそろえたものとし、その差が液晶層の厚さの20%以下とすることを特徴
とする。
【0054】
これは、図6の下段に例示するような構造においては、ゲイト電極202とドレイン電
極303との膜厚の差が上方の樹脂膜で吸収しきれない場合、そのことにより生じる段差
が画素電極表面の段差となり、それが液晶層の配向不良の要因となることを抑制するため
の構成である。
【0055】
20%以下というのは、最終的に残存する凹凸の段差を10%以下とする際に樹脂層に
よる凹凸の吸収を考慮した値である。勿論、ゲイト電極とドレイン電極との膜厚の差が小
さいほど好ましい。
【0056】
また図6(または図5)に示す構成においては、ソース線及びゲイト線の全てが電磁シ
ールド用の導電膜502によって完全に覆われている。またTFTのドレインコンタクト
部を除いて、電磁シールド用の導電膜502によって覆われている。
【0057】
このような構成とすることにより、画素電極とソース及びドレイン電極の電気的な干渉
を排除することができる。また、画素電極とTFTとの間の電気的な干渉を排除すること
ができる。
【発明の効果】
【0058】
本明細書で開示する発明を採用することで、コンタクトを容易に形成でき、かつ液晶に
接する面を平坦化できる構造を有する反射型の液晶パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図2】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図3】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図4】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図5】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図6】液晶パネルの作製工程を示す図。
【図7】反射型の液晶パネルを透過する光の波長と透過率との関係を液晶層の厚さを代えてシュミュレーションした結果を示す図。
【図8】従来の反射型の液晶パネルの断面構造を示す図。
【図9】発明を利用した液晶パネルを備えた装置の例を示す図。
【図10】TFTの構造のバリエーションを示す図。
【実施例1】
【0060】
本実施例は、図6の上段にその上面から見た概略を、また図6の下段にF−F’で切っ
た断面を示すように、TFTのドレイン電極を画素領域下に延在させ、そのパターンを利
用して補助容量を形成し、さらにそのパターンが存在することで、画素電極面の凹凸を抑
制した構造としている。
【0061】
以下において、図1〜図6に概略の作製工程を示す。まず図1に示すようにTFTの活
性層となる領域を形成する。ここでは、TFTの活性層を非晶質珪素膜を結晶化させた結
晶性珪素膜(厚さ50nm)を利用して構成する。
【0062】
ここで101、102で例示されるのがTFTの活性層パターンである。ここではTF
TとしてNチャネル型のTFTを作製する場合の例を示す。
【0063】
図1の上段に図示されるのが上面から様子である。また図1の下段に示されるのが上段
のA−A’で切った断面を示すものである。また、図1の下段において、100で示され
るのがガラス基板(または石英基板)である。
【0064】
図1に示す状態を得たら、図2の下段に示されるようにゲイト絶縁膜として機能する酸
化珪素膜201を成膜する。ここでは、酸化珪素膜201の膜厚は100nmとする。
【0065】
図2において、上段のB−B’で切った断面が下段に示される断面状態図である。
【0066】
酸化珪素膜201を成膜したら、次にアルミウムでもってゲイト電極202を形成する
。このアルミニウム電極を構成するアルミウム膜の膜厚は、500nmとする。
【0067】
またこのゲイト電極の周囲表面には、陽極酸化技術を利用して陽極酸化膜203を50
nmの厚さに成膜する。この陽極酸化膜203は、ゲイト電極202を電気及び物理的に
保護する機能を有している。
【0068】
また、ゲイト電極201は、図2の上段に示されるようにゲイト配線204から延在し
たものとして形成される。
【0069】
図2の下段に示す状態を得たら、燐のドーピングをプラズマドーピング法でもって行い
、ソース領域207、チャネル領域206、ドレイン領域207を自己整合的に形成する

【0070】
ドーピングが終了したら、レーザー光の照射を行い、ドーピングされた燐の活性化とド
ーピング時の損傷のアニールとを行う。
【0071】
こうして図2に示す状態を得る。次に図3に示すように層間絶縁膜として酸化珪素膜3
01をプラズマCVD法により700nmの厚さに成膜する。
【0072】
酸化珪素膜301を成膜した状態においては、ゲイト電極202の上方は盛り上がった
凸状となっている。この盛り上がりの高さは、ゲイト電極の高さ(500nm)とほぼ同
じものとなる。
【0073】
次に50nm厚のチタン膜と400nm厚さのアルミニウム膜と50nm厚のチタン膜
をスパッタ法によって積層成膜する。そして、それをパターニングすることによって30
6、303、305のパターンを得る。(ここでは、アルミニウム膜のみのパターンを示
し、上下のチタン膜の記載は省略する)
【0074】
図3の306、303、305で示されるのは、パターニングされたアルミニウム膜で
ある。そしてその上下に接しているのがチタン膜である。例えば、303で示されるアル
ニウムパターンの下面にはチタン膜のパターン302が形成されており、上面にはチタン
膜のパターン304が形成されている。
【0075】
なお、チタン膜を利用するのは、良好なコンタクトをとるためである。
【0076】
図3の上段には、アルミニウム膜でなるパターンが示されている。(チタン膜は示され
ていない)
【0077】
図3において、305、306はソース配線である。ソース配線305は、コンタクト
部307を介してTFTのソース領域に接続される。
【0078】
302、303、304の積層体パターン(ドレイン電極)はTFTのドレイン領域に
コンタクトホール308を介して接続されている。図3の上段に示されるようにこの積層
体パターンは、画素領域の大部分を示す形状を有している。
【0079】
ここで、ゲイト電極202の膜厚は、およそ500nmである。(陽極酸化膜の成長形
態によって、厚さは多少変化する)
【0080】
また、306、303、305のアルミニウムパターンとその上下のチタン膜の合計の
膜厚も500nmである。
【0081】
従って、多少の凹凸は形成されるが、図3の下段に示される状態において、際上面に大
きな凹凸(百nm以上に及ぶ段差を有する凹凸)は形成されない。
【0082】
よって、液晶層を3μm程度としても液晶分子の乱れの影響を顕在化させない構造とす
ることができる。
【0083】
図3に示す状態を得たら、プラズマCVD法により、窒化珪素膜400を50nmの厚
さに成膜する。(図4の下段参照)
【0084】
この窒化珪素膜400は、補助容量の誘電体として機能する。また、50nmとその膜
厚を薄くするのは、その容量を極力大きくするためである。
【0085】
次に厚さ100nmのチタン膜をスパッタリング法でもって成膜し、それをパターニン
グすることにより、補助容量形成用の電極401を形成する。
【0086】
この電極401は、図4の上段に示されるようにソース配線305、306に平行して
延在している。
【0087】
なお、図4の上段のD−D’で切った断面が図4の下段に対応している。
【0088】
電極401とTFTのドレイン領域に接続されたドレイン電極303とは、50nm厚
の窒化珪素膜を挟んで配置され、補助容量を形成している。
【0089】
この補助容量は、図3上段の303で示されるように大きな面積(コンタクト308の
領域は除く)でもって構成され、また窒化珪素膜400の厚さを薄くできることから、必
要とする容量を容易に確保することができる。
【0090】
このことは、液晶パネルが小型化し、一つ一つの画素の面積が小さくなった場合に特に
有効なこととなる。
【0091】
次に図5の下段に示されるようにポリイミド樹脂でなる膜501を成膜する。膜厚は平
均で1μmとする。ポリイミド以外には、ポリアミド、ポリイミドアミド、アクリル、エ
ポキシ等の材料を利用することができる。
【0092】
このポリイミド膜によって、窒化珪素膜400の表面の凹凸やチタン膜401が存在す
ることによる凹凸が吸収される。即ち、表面のほぼ平坦なポリイミド膜501が成膜され
る。
【0093】
次にチタン膜を成膜し、さらにそれをパターニングすることにより、502で示される
チタン膜のパターンを得る。
【0094】
なお、図5の上段のE−E’で切り取られる断面が図5の下段に示される。
【0095】
この状態においては、TFTのドレイン領域のコンタクト用に開口が形成された状態と
なる。
【0096】
チタン膜502は、その上に形成される画素電極がソース配線やTFTに電気的な干渉
を与えないようにするための電磁シールドとして設けられる。
【0097】
図5に示す状態を得たら、図6の下段に示されるようにポリイミド樹脂膜601を平均
1.5 μmの厚さに成膜し、さらにコンタクトホールの形成を行う。そして、反射画素電極
602をアルミニウムでもって形成する。
【0098】
この画素電極602を構成するアルミニウム膜は、スパッタ法により2000Åの厚さ
に成膜したものを利用する。
【0099】
なお、図6の上段におけるF−F’で切り取られる断面を図6の下段に示す。

【0100】
この構成においては、ソース電極303が存在するために603の部分に形成されるコ
ンタクトを比較的容易に形成することができる。即ち、反射画素電極602のコンタクト
603の開口をそれ程深く形成する必要がなく、コンタクトを容易に形成することができ
る。(間口が狭く、深い開口はコンタクト不良の要因となる)
【0101】
画素電極は、格子状に配置されたソース配線及びドレイン配線の縁に一部が重なるよう
に設ける。こうすることで、開溝率を最大限高めることができる。
【0102】
図6に示す状態を得たら、配向膜としてポリイミド膜(図示せず)を120nmの厚さ
に成膜し、ラビング処理(配向処理)を施す。この際、画素電極表面の平坦性が保たれて
いるので、部分的な配向不良を抑制することができる。
【0103】
あとは対向基板を用意し、対向基板との間に液晶を注入して、液晶セルを作製する。こ
うして反射型の液晶パネルが完成する。
【0104】
なお、ここでは、アクティブマトリクス回路を駆動する周辺回路については記載してい
ないが、周辺駆動回路をもTFTによって同一基板上に作製する構造とすることが好まし
い。また周辺駆動回路をICチップの外付け回路で構成するのでもよい。
【実施例2】
【0105】
本実施例に示すのは、実施例1とは異なる構造を有するTFTの例である。本実施例で
示すTFTは、図10にその上面から見た概略を示すように、活性層11がゲイト配線1
2と3カ所において交差しており、この部分にゲイト電極が配置された構造となっている
点である。
【0106】
この構造は、等価的に3つのTFTが直列に接続されたものと見ることができる。
【0107】
この構造においては、活性層の中の15の領域がソース領域、16の領域がドレイン領
域として定義される。
【0108】
図10には、ソース配線13とソース配線と同時に形成されるドレイン電極14が示さ
れている。
【0109】
ドレイン電極14は、画素電極内の大部分を占めるようにそのパターンが形成されてい
る。ドレイン電極14は、図3のパターン303に対応する。
【0110】
このドレイン電極14は、
(1)補助容量の形成
(2)画素電極の平坦化
(3)画素電極のコンタクト形成を容易にする。
といった役割を有している。
【0111】
図10に示すような構造は、活性層11中に3つのチャネルが形成され、各チャネルに
は、ソース配線と画素電極との間に加わる電圧を3分圧したものが加わることになる。こ
うすることで、TFTの耐圧を高めることができる。
【実施例3】
【0112】
本実施例では、発明を利用して得られた反射型の液晶パネルを利用した表示装置の例を
示す。
【0113】
図9(A)に示すのは、携帯型の情報処理端末であり、電話回線を利用した通信機能を
有している。
【0114】
この電子装置は、集積化回路2006を本体2001の内部に備えている。そして、T
FTをスイッチング素子として配置した反射型のアクティブマトリクス型の液晶パネル2
005、画像を取り込むカメラ部2002、さらに操作スイッチ2004を備えている。
【0115】
図9(B)に示すのは、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれる電子装置である。この
装置は、バンド2103によって頭に本体21201を装着して、疑似的に目の前に画像
を表示する機能を有している。画像は、左右の目に対応した反射型のアクティブマトクス
型の液晶パネル2102によって構成される。
【0116】
図9(C)に示すのは、人工衛星からの信号を基に地図情報や各種情報を表示する機能
を有している。アンテナ2204で捉えた衛星からの情報は、本体2201内部に備えた
電子回路で処理され、アクティブマトリクス型の反射型の液晶パネル2202に必要な情
報が表示される。
【0117】
装置の操作は、操作スイッチ2203によって行われる。このような装置においてもT
FTを利用した回路が利用される。
【0118】
図9(D)に示すのは、携帯電話である。この電子装置は、本体2301にアンテナ2
306、音声出力部2302、液晶パネル2304、操作スイッチ2305、音声入力部
2303を備えている。
【0119】
図9(E)に示す電子装置は、ビデオカメラと称される携帯型の撮像装置である。この
電子装置は、本体2401に開閉部材に取り付けられた反射型の液晶パネル2402、開
閉部材に取り付けられた操作スイッチ2404を備えている。
【0120】
さらにまた、本体2401には、画像の受像部2406、集積化回路2407、音声入
力部2403、操作スイッチ2404、バッテリー2405が備えられている。
【0121】
図9(F)に示す電子装置は、投射型の液晶表示装置である。この装置は、本体250
1に光源2502、反射型の液晶パネル2503、光学系2504備え、スクリンー25
05に画像を投影する機能を有している。
【0122】
なお、本明細書で開示する発明は、液晶を利用する場合の以外のフラットパネルディス
プレイにも利用することができる。例えば、ELディスプレイであれば、発光層の下地を
平坦化する場合に利用することができる。またECディスプレイ等にも利用することがで
きる。
【0123】
即ち、本明細書で開示する発明は、画素領域の上方の表面を平坦にしたい構造を実現す
るために利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
101、102 TFTの活性層
100 ガラス基板(または石英基板)
201 ゲイト絶縁膜
202 ゲイト電極(アルミニウムで構成される)
203 陽極酸化膜
204 ゲイト配線
301 層間絶縁膜(酸化珪素膜)
302 ドレイン電極(チタン膜)
303 ドレイン電極(アルミニウム膜)
304 ドレイン電極(チタン膜)
305 ソース配線(ソース電極)
306 ソース配線(ソース電極)
307 ソースコンタクト部
308 ドレインコンタクト部
400 窒化珪素膜
401 容量形成用の電極
501 層間絶縁膜(ポリイミド樹脂膜)
502 電界遮蔽用シールド(ブラックマトリクス)
601 層間絶縁膜(ポリイミド樹脂膜)
602 画素電極(アルミニウム膜)
603 画素コンタクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配置されたソース配線とゲイト配線と、
前記ソース配線にソース領域が接続され、前記ゲイト配線がゲイト電極に接続された薄膜トランジスタと、
前記ソース配線と同時に形成されたドレイン電極と、前記ドレイン電極の上方に形成された補助容量用電極と、
前記補助容量用電極の上方に形成された反射画素電極と、を有し、
前記ドレイン電極と前記補助容量用電極との間には補助容量が形成され、
前記ドレイン電極は画素領域の大部分を占めていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252361(P2012−252361A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188685(P2012−188685)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2009−132274(P2009−132274)の分割
【原出願日】平成9年3月26日(1997.3.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】