説明

計測装置及びこれを用いた計測方法

【課題】透光性を有する被測定物でも、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた鮮明な投影像を得て計測精度を高める。
【解決手段】被測定物に光線を投影する投光手段と、前記光線による投影像を撮像する撮像手段と、前記撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置を検出する第1検出手段と、前記投影像における前記最大輝度位置から所定距離離間した離間位置を設定する設定手段と、前記離間位置の輝度を検出する第2検出手段と、前記最大輝度と前記離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理を行う処理手段とを備えた計測装置にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物にスリット光等を投光して計測を行う計測装置に関し、特に、この投光光量が可変である計測装置及びこれを用いた計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投光手段を備えて、被測定物900に対してスリット光や光ビーム等の光線を投影(投光)して計測を行う3次元形状計測器等の計測装置が知られている。この計測装置では、被測定物の表面上に例えば図20(a)に示す線状の投影像901が投影される。この被測定物900が例えば半透明なセラミックなどの透光性部材である場合などには、実際の投影像は、例えば図20(b)に示すように被測定物の表面状態或いは内部錯乱光の影響を受けて、本来の投影像(後述の投光投影像)901の周辺部が滲んだようにぼやけてしまう(これを「ニジミ」(或いは光ニジミ)と表現する)。これを図を用いて説明すると、図21(a)に示す輝度分布911が図20(a)の投影像901に対応しており、この投影像901にニジミが生じているときには、図21(b)に示すようにこの本来の輝度分布911に対してニジミが重畳してなる輝度分布912となっており、所定の輝度値における幅が広くなっている。特に、光切断方式を用いる上記3次元形状計測器など、被測定物に対して光線を斜めに入射して計測するような場合には、投影像901に対して、光線の入射側と反対側の位置におけるニジミ度合いがより大きなものとなる。このようにニジミが生じることにより、正確な投影像901を得ることができず、被測定物の計測精度が低下してしまう。
【0003】
かかる計測精度の低下を防止することに関し、例えば特許文献1には、投光量を調整する、すなわち受光手段に検出される総受光量が略一定となるように光源出力制御手段を用いて光源の出力を制御する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、受光量を調整する、すなわちCCDカメラのシャッタースピード(露光時間)を可変式にする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−145625号公報
【特許文献2】特開平6−147850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術は、単に投光量或いは受光量を調整するというものであり、当該調整に際して投影像におけるニジミ自身を直接関連付けて扱っていない。このため、例えばニジミが発生したため、投影像を鮮明なものにしようとして上記技術により投光量を増加させて投影像の輝度を高めると、ニジミの量も増加する。さらに投光像の輝度を増加させると、投光像による表面反射光の方がニジミ(内部の散乱光)の量よりも大きいことから、投光像輝度が受光手段で飽和に達すると、それ以降、ニジミの部分の輝度だけが増加することになる。その結果、表面反射の本来投影像の輝度値とニジミの輝度値とが近接することになり、投影像を鮮明にするどころか、逆に、ニジミが大きくなってしまうという問題が生じる。従来、被測定物が透光性部材である場合にはこの表面に白色パウダー(探傷材)等を塗布することによって投影像の鮮明化を図るという方法もあるが、白色パウダーの準備や該パウダーの塗布作業などが必要となり、コストや手間がかかってしまう。また、パウダー塗布によって、パウダー表面と実際の被測定表面とに生じる誤差の影響も発生する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた鮮明な投影像を得ることができて計測精度を高めることが可能な計測装置及びこれを用いた計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る計測装置は、被測定物に光線を投影する投光手段と、前記光線による投影像を撮像する撮像手段と、前記撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置を検出する第1検出手段と、前記投影像における前記最大輝度位置から所定距離離間した離間位置を設定する設定手段と、前記離間位置の輝度を検出する第2検出手段と、前記最大輝度と前記離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理を行う処理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、投光手段によって被測定物に光線が投影され、撮像手段によって光線による投影像が撮像される。この撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置が第1検出手段によって検出され、投影像における最大輝度位置から所定距離離間した離間位置が設定手段によって設定される。そして、第2検出手段によって離間位置の輝度が検出され、処理手段によって最大輝度と離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理が行われる。
【0008】
このように、投影像における最大輝度と離間位置の輝度(ニジミ輝度)との輝度差が最大となるような輝度差最大化処理が行われるので、本来の投影像を代表する輝度である最大輝度に対して、この最大輝度以外のニジミが生じている箇所の輝度レベルを相対的に低下させることができる、すなわち本来の投影像とニジミ像との輝度の差異を明確にすることができる。これにより、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた(本来の投影像が際立った)鮮明な投影像を得ることができ、計測精度を高めることができる。
【0009】
また、上記構成において、前記処理手段は、前記投光手段による光線出力を調整する調整手段を備えたものであって、前記輝度差最大化処理として、前記輝度差が最大となるように該調整手段により前記光線出力を調整するようにしてもよい(請求項2)。
【0010】
これによれば、処理手段が、投光手段による光線出力を調整する調整手段を備えたものとされ、この処理手段によって、輝度差最大化処理として、輝度差が最大となるように調整手段により光線出力が調整されるので、輝度差最大化処理を、光線出力を調整するという簡易な方法によって容易に実現することができる。
【0011】
また、上記構成において、前記処理手段は、前記投光手段による光線出力を調整する調整手段と、前記投影像における最大輝度値が前記撮像手段の感度の最大値を超えないか否かを判別する判別手段と、前記投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切手段とを備えたものであって、前記輝度差最大化処理として、前記調整手段によって、前記最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整するとともに、前記足切手段によって、前記離間位置の輝度に応じて前記閾値を設定し、該閾値に基づいて前記足切り演算を行うようにしてもよい(請求項3)。
【0012】
これによれば、処理手段が、投光手段による光線出力を調整する調整手段と、投影像における最大輝度値が撮像手段の感度の最大値を超えないか否かを判別する判別手段と、投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切手段とを備えたものとされ、輝度差最大化処理として、調整手段によって、最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力が調整されるとともに、足切手段によって、離間位置の輝度に応じて閾値が設定されて該閾値に基づいて足切り演算が行われる。
【0013】
このように、輝度差最大化処理を、最大輝度値が撮像手段の感度最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整し、離間位置の輝度(ニジミ輝度)に応じて設定された閾値に基づいて、投影像における該閾値以下の謂わば低輝度レベルの画像(画素データ)を足切り(カット)するという簡易な方法によって容易に実現することができる。また、当該閾値以下を足切りすることができるため、例えば被測定物に対して光線を斜めに入射する場合等に得られる、輝度分布が非対称な投影像であったとしても、この輝度分布の輝度重心を容易に本来の投影像の輝度重心に近づけることができて、輝度重心が受けるニジミの影響を軽減することが可能となる。これにより、輝度分布を用いた例えば輝度重心演算などがより正確に行えるようになり、ひいては計測精度を高めることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記足切手段は、前記閾値を、前記離間位置の輝度以上で且つ前記最大輝度値未満の値に設定してもよい(請求項4)。
【0015】
これによれば、足切手段によって、閾値が、離間位置の輝度以上で且つ最大輝度値未満の値に設定されるので、当該足切りによってニジミ成分がスリット像検出に与える影響を低減することができる。すなわち、ノイズ成分であるニジミをカットすることで、スリット像の輪郭を鮮明に捉えることができ、輝度重心位置を正確に求めることができる。
【0016】
また、上記構成において、前記足切手段は、前記閾値を、前記離間位置の輝度の値に設定してもよい(請求項5)。
【0017】
これによれば、足切手段によって、閾値が、離間位置の輝度の値に設定されるので、離間位置の輝度に応じた閾値の設定が、この離間位置の輝度自体を閾値とすることにより容易に行えるようになる。
【0018】
また、上記構成において、前記設定手段は、前記最大輝度位置から前記被測定物に対する前記光線の入射側と反対方向へ所定距離離間した前記離間位置を設定してもよい(請求項6)。
【0019】
これによれば、設定手段によって、最大輝度位置から被測定物に対する光線の入射側と反対方向へ所定距離離間した離間位置が設定されるので、被測定物に光線が斜め方向からつまり所定の入射角で投影されるような場合であっても、よりニジミを抑えることが可能な離間位置(光線の入射側と反対方向の位置)を設定することが可能となり、ひいては光線の入射角に依らず、ニジミを抑えて計測精度を高めることができる。
【0020】
また、上記構成において、各種被測定物に対応して設定される各種離間位置の情報である設定位置情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記設定手段は、前記設定位置情報に基づいて、被測定物毎の前記離間位置を設定してもよい(請求項7)。
【0021】
これによれば、記憶手段によって、各種被測定物に対応して設定される各種離間位置の情報である設定位置情報が記憶され、設定手段によって、この設定位置情報に基づいて、被測定物毎の離間位置が設定されるので、被測定物毎に効果的にニジミを抑えることが可能となる。
【0022】
また、上記構成において、前記記憶手段は、前記被測定物に対する前記光線の各種入射角度に応じた前記設定位置情報をさらに記憶し、前記設定手段は、当該設定位置情報に基づいて、前記入射角度に応じた前記離間位置を設定してもよい(請求項8)。
【0023】
これによれば、記憶手段によって、被測定物に対する光線の各種入射角度に応じた設定位置情報が記憶され、設定手段によって、この設定位置情報に基づいて、入射角度に応じた離間位置が設定されるので、入射角度毎に効果的にニジミを抑えることが可能となる。
【0024】
また、本発明の実施形態に係る計測方法は、被測定物に光線を投影する投光工程と、前記光線による投影像を撮像する撮像工程と、前記撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置を検出する第1検出工程と、前記投影像における前記最大輝度位置から所定距離離間した離間位置を設定する設定工程と、前記離間位置の輝度を検出する第2検出工程と、前記最大輝度と前記離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理を行う処理工程とを有することを特徴とする(請求項9)。
【0025】
上記構成によれば、投光工程において被測定物に光線が投影され、撮像工程において光線による投影像が撮像される。また、第1検出工程において、この撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置が検出され、設定工程において、投影像における最大輝度位置から所定距離離間した離間位置が設定される。そして、第2検出工程において離間位置の輝度が検出され、処理工程において最大輝度と離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理が行われる。
【0026】
このように、投影像における最大輝度と離間位置の輝度(ニジミ輝度)との輝度差が最大となるような輝度差最大化処理が行われるので、ニジミの無い本来の投影像を代表する輝度である最大輝度に対して、この最大輝度以外のニジミが生じている箇所の輝度レベルを相対的に低下させることができる、すなわち本来の投影像とニジミ像との輝度の差異を明確にすることができる。これにより、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた(本来の投影像が際立った)鮮明な投影像を得ることができ、計測精度を高めることができる。
【0027】
また、上記構成において、前記処理工程は、前記投光工程による光線出力を調整する調整工程を有するものであって、前記輝度差最大化処理として、前記輝度差が最大となるように該調整工程により前記光線出力を調整する工程であってもよい(請求項10)。
【0028】
これによれば、処理工程が、投光工程による光線出力を調整する調整工程を有するものとされ、この処理工程において、輝度差最大化処理として、輝度差が最大となるように調整工程により光線出力が調整されるので、輝度差最大化処理を、光線出力を調整するという簡易な方法によって容易に実現することができる。
【0029】
さらに、上記構成において、前記処理工程は、前記投光工程における光線出力を調整する調整工程と、前記投影像における最大輝度値が前記撮像における感度の最大値を超えないか否かを判別する判別工程と、前記投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切工程とを有する工程であって、前記輝度差最大化処理として、前記調整工程において、前記最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整するとともに、前記足切工程において、前記離間位置の輝度に応じて前記閾値を設定し、該閾値に基づいて前記足切り演算を行うようにしてもよい(請求項11)。
【0030】
これによれば、処理工程が、投光工程における光線出力を調整する調整工程と、投影像における最大輝度値が撮像における感度の最大値を超えないか否かを判別する判別工程と、投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切工程とを有する工程とされ、この処理工程において、輝度差最大化処理として、調整工程によって最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力が調整されるとともに、足切工程によって、離間位置の輝度に応じて閾値が設定され、該閾値に基づいて足切り演算が行われる。
【0031】
このように、輝度差最大化処理を、最大輝度値が撮像における感度最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整し、離間位置の輝度(ニジミ輝度)に応じて設定された閾値に基づいて、投影像における該閾値以下の謂わば低輝度レベルの画像(画素データ)を足切り(カット)するという簡易な方法によって容易に実現することができる。また、当該閾値以下を足切りすることができるため、例えば被測定物に対して光線を斜めに入射する場合等に得られる、輝度分布が非対称な投影像であったとしても、この輝度分布の輝度重心を容易に本来の投影像の輝度重心に近づけることができて、輝度重心が受けるニジミの影響を軽減することが可能となる。これにより、輝度分布を用いた例えば輝度重心演算などがより正確に行えるようになり、ひいては計測精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、投影像における最大輝度と離間位置の輝度(ニジミ輝度)との輝度差が最大となるような輝度差最大化処理が行われるので、ニジミの無い本来の投影像を代表する輝度である最大輝度に対して、この最大輝度以外のニジミが生じている箇所の輝度レベルを相対的に低下させることができる、すなわち本来の投影像とニジミ像との輝度の差異を明確にすることができる。これにより、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた(本来の投影像が際立った)鮮明な投影像を得ることができ、計測精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る携帯型三次元測定装置1を示す斜視図、図2はその側面図、図3は携帯型三次元測定装置1の測定領域を示す斜視図、図4は、例えば被測定物100に示すような3次元形状を有する被測定物(測定対象)に対するスリット光Sの照射状況を示す斜視図である。携帯型三次元測定装置1は、被測定物の三次元形状を光切断法により計測するものであって、本体ハウジング10と、この中に収納されるスリット光発生手段2、投光光学系3、撮像手段4及び制御部6とを含んでいる。ここで例示している携帯型三次元測定装置1は、一般的なノギス程度の大きさの棒状を呈し、一方の端部側はスリット光Sの投受光を行う測定ヘッド部Hとされ、他方の端部側はユーザが把手するためのグリップ部Gとされている。
【0034】
図1に示すように、本体ハウジング10は、測定ヘッド部Hに対応するヘッドハウジング部11と、中間ハウジング部12と、グリップ部Gに対応するグリップハウジング部13とが一体化されたハウジングである。ヘッドハウジング部11は断面矩形状或いは略直方体形状とされ、その内部には三次元測定に必要な測定エレメントであるスリット光発生手段2、投光光学系3及び撮像手段4などが搭載される。中間ハウジング部12の内部には、上記測定エレメントの動作を制御する制御部6が搭載される。グリップハウジング部13は手持ち具合が良いように円筒型とされ、その内部には図略の電源電池などが収納される。なお、グリップハウジング部13の外周面は、滑り止めのための粗面化加工が施されている。
【0035】
スリット光発生手段2は、被測定物に照射するための、照射端から扇形に広がるスリット光Sを発生する。スリット光発生手段2は、例えば小型のレーザ光源からなる、すなわち例えば可視波長のレーザ光を発生する小型のLD(Laser diode)からなるレーザ光源21を備え(レーザ光源21が発した光をスリット光に変換する図略の光学部材も含む)、スリット光を発生させるものである。なお、上記光学部材は例えばシリンドリカルレンズ、円柱レンズ或いはスリット板等からなる。また、スリット光発生手段2は、撮像手段4の受光面の背面側に重なるように配置されており、このことは、測定ヘッド部Hの図1におけるX方向のサイズのコンパクト化に寄与している。
【0036】
投光光学系3は、スリット光Sを被測定物(被測定物100)に向けて照射させるためのもの(スリット投光光学系31)である。すなわち投光光学系3は、撮像手段4の受光面の背面側に配置されたスリット光発生手段2から発せられたスリット光Sを、撮像手段4の近傍を迂回し、撮像手段4の正面方向に向かわせる迂回光路を提供するものである。スリット投光光学系31は、レーザ光源21から発せられたレーザ光を扇型に広がるスリット光Sとし、このスリット光Sを被測定物に向けて照射させる。これによる投影像は後述の撮像センサ41により被測定物とともに撮影される(撮影画像中にはこのスリット光Sによる投影像が写っている)。図1に示す例では、反射面R1は、レーザ光源21から略水平方向(X方向)に射出されてスリット光を略垂直下方(Z方向)に反射する。そして、反射面R2は、この反射面R1で反射されたスリット光を斜め方向に折り曲げるように反射する。
【0037】
また、投光光学系3は、スリット光Sを反射させる反射面を含んでおり、この反射面の少なくとも1つは、被測定物側から見て撮像手段4の受光面の配置位置と同等の位置若しくはそれよりも遠い位置に配置される。ここでは投光光学系3は2つの反射面R1、R2を備え、そのうちの反射面R1が撮像手段4の受光面の配置位置よりも遠い位置に配置される例を示している。
【0038】
撮像手段4(撮像ユニット)は、例えばCCD(Charge coupled device)エリアセンサのような2次元撮像センサ(撮像センサ41)を備え(撮像手段4は、撮像センサ41の受光面にスリット光Sを含む被測定物からの反射光を結像させる図略の受光光学系も含む)、被測定物を撮像して画像(撮影画像)を得るものである。撮像手段4の受光面は、被測定物に正対するように配置されている。その結果、図2に示すように、撮像手段4の受光光軸A2は真下(Z方向)に延びている。これに対し、スリット光Sの投光光軸A1は傾きを持って下方向に延びている。すなわち、投光光軸A1は、受光光軸A2に対して所定の交差角で交差している。光切断法では、このような光軸の交差が必須である。なお、この図の例では、投光光軸A1と受光光軸A2との交差点が投光光学系及び受光光学系の焦点面となるように設定されている。因みに図3は、撮像手段4の撮像領域である測定領域(焦点面)を示している。図3に示す例では、測定領域は、撮像手段4の撮像面における1点を頂点とする四角錘の底面である。
【0039】
制御部6は、CPU(Central processing unit)や各種回路等を含み、スリット光発生手段2の発光動作、撮像手段4の撮像動作などを制御する。この制御部6の詳細を以下、図5において説明する。図5は、携帯型三次元測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。携帯型三次元測定装置1は、上述したレーザ光源21、撮像センサ41及び制御部6の他、外部インターフェイス部7を備えている。
【0040】
外部インターフェイス部7は、上記グリップ部G等に設けられたUSB端子等を介して、携帯型三次元測定装置1とパーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置8とをデータ通信可能に接続するためのインターフェイスである。なお、外部装置8はモニタ部81等を備えており、外部インターフェイス部7を介して送信されてきた上記撮影画像が表示される構成となっている。ユーザはこのモニタ部81に所謂プレビュー表示される映像(モニタ画像;撮影画像)を見ながら、携帯型三次元測定装置1(測定ヘッド部H)を移動させて被測定物(被測定物100)を撮影することができる。なお、携帯型三次元測定装置1は、例えば本体ハウジング10が備える図略の操作部(例えば図略のスイッチ)或いは外部装置8の操作部による指示入力によって撮影を開始することができるとともに、撮影が開始された後も指示入力によって、例えばプレビューモードに切り替えて上述のようにプレビュー表示させることができる。
【0041】
制御部6は、発光制御部61、タイミングジェネレータ(TG)62、ADコンバータ63、デジタル演算処理部64、画像バッファ用フレームメモリ65、画像演算用フレームメモリ66、投影像輝度演算部67及びCPU68を含んで構成されている。発光制御部61は、レーザ光源21の発光動作を制御するものであって、LDをレーザ発振させるLD駆動回路を含む。
【0042】
TG62は、CPU68から与えられる基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直転送パルス、水平転送パルス、電荷掃き出しパルス等)を生成して撮像センサ41に出力し、撮像センサ41の撮像動作を制御する、また、所定のタイミングパルスをADコンバータ63に出力することにより、ADコンバータ63におけるアナログ/デジタル変換動作を制御するものである。ADコンバータ63は、撮像センサ41から出力されるアナログのR,G,Bの画像信号を、TG62から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット例えば12ビットからなるデジタルの画像信号に変換する。なお、ADコンバータ63には、CDS(相関二重サンプリング)回路、AGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が備えられている。
【0043】
デジタル演算処理部64は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等からなり、ADコンバータ63から出力される画像データ(画素データ)に所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路、ホワイトバランス制御回路、ガンマ補正回路等を備えて構成されている。投影像輝度演算部67は、撮像センサ41によって撮像した投影像の情報に基づいて、該投影像の輝度に関する演算(投影像輝度演算と表現する)を行うものである。この投影像輝度演算は、後述する輝度差最大化処理の一環として行う処理である。詳細は後述する。
【0044】
画像用バッファ用フレームメモリ65は、RAM(Random Access Memory)等からなり、撮像センサ41により撮像された画像(フレーム画像)データが格納される。デジタル演算処理部64へ取り込まれた画像データは、撮像センサ41の読み出しに同期してこの画像用バッファ用フレームメモリ65に書き込まれる。画像演算用フレームメモリ66は、RAM等からなり、投影像輝度演算部67による上記コントラスト演算(或いはデジタル演算処理部64による演算処理)時に、画像用バッファ用フレームメモリ65から取り出された演算処理対象となる画像(演算用フレーム画像)が格納される。
【0045】
CPU68は、上記操作部等から与えられる操作信号に従い、発光制御部61、TG62、デジタル演算処理部64及び投影像輝度演算部67等の各機能部の動作を制御する所謂中央演算処理装置である。特に本実施形態では、CPU68は、後述するように投影像輝度演算部67と共に輝度差最大化処理に関する処理を行う。なお、CPU68は、得られた投影像の情報から、例えば上記被測定物100に示すような被測定物の三次元形状を求めるための演算処理を行う機能も備えている。
【0046】
図6は、投影像輝度演算部67の輝度差最大化処理に関するブロック構成図である。投影像輝度演算部67は、最大輝度検出部671、位置設定部672、ニジミ輝度検出部673、輝度差判別部674及び測定対象情報記憶部675を備えている。最大輝度検出部671は、レーザ光源21(スリット投光光学系31)によりスリット光Sを被測定物(例えば透光性部材などの被測定物)に投光したときの投影像を撮像センサ41で撮像して得た撮影画像について、この撮影画像における投影像の最大輝度及び最大輝度位置を検出するものである。ここで図7は、この投影像の例えば図20(b)に示す矢印A方向すなわち被測定物表面に対するスリット光の入射面方向(投光方向)における輝度分布201(輝度特性;輝度プロファイル)の一例を示している。ただし、点線で示す輝度分布204は投光投影像での輝度分布を示している。最大輝度検出部671は、この輝度分布201における最大の輝度値と、この最大輝度値となる位置すなわち符号202で示す位置(最大輝度位置202)を検出する。
【0047】
位置設定部672は、投影像における上記最大輝度位置202から所定距離Xだけ離間した例えば符号203で示す位置(離間位置;後述のニジミ輝度位置203)を設定するものである。この離間位置では、上述したように、被測定物の表面状態或いは内部錯乱光の影響によって本来の投影像901の周辺部にニジミが生じているが、位置設定部672は、最大輝度位置に対するこのニジミが生じている位置を設定する。なお、このニジミが生じている位置の輝度を「ニジミ輝度」と表現するとともに、このニジミ輝度の位置を「ニジミ輝度位置」或いは「ジミ輝度検出位置」と表現する。また、上記“本来の投影像”のことを、投光つまりスリット光そのものによるニジミが生じていない状態の投影像という意味で“投光投影像”と表現し、一方、ニジミが生じているときの、この投光投影像も含む全体の投影像(投光投影像にニジミが重畳した投影像)のことを“ニジミ像”と表現してこれらを区別する。
【0048】
ニジミ輝度検出部673は、位置設定部672により設定されたニジミ輝度位置における輝度つまり上記ニジミ輝度を検出するものである。輝度差判別部674は、最大輝度検出部671により検出された最大輝度(最大輝度値)とニジミ輝度(ニジミ輝度値)との輝度差(図7に示す輝度差D)を算出するとともに、この輝度差が最大であるか否かを判別するものである。輝度差判別部674は、後述するようにレーザ光源21の出力を変更する度に輝度差を算出し、例えば、前回算出した第1の輝度差と今回算出した第2の輝度差とを比較して、第2の輝度差から第1の輝度差を減算したときの輝度差間の差(プラスの差)の変化量が最小となるときの輝度差を、当該最大輝度差であると判別する。
【0049】
測定対象情報記憶部675は、各種測定対象(被測定物)に対応して設定される各種離間位置(各種ニジミ輝度位置)の情報(これを設定位置情報という)を記憶するものである。測定対象には様々なものがあるが、例えば被測定物の半透明の度合いすなわち光線透過率の違いによって、ニジミ輝度と定義する位置(上記ニジミ輝度を設定する位置)も異なるものとなる。例えば図8に示すように、同じ輝度レベル221の位置をニジミ輝度位置に設定しようとすると、測定対象Aと測定対象Bとでは、それぞれニジミ輝度位置の最大輝度位置からの離間距離がX1、X2というように互いに異なる。設定位置情報は、この測定対象毎に異なるニジミ輝度位置(最大輝度位置からの離間距離)を予め定めたものである。ただし、必ずしも測定対象の違いに応じて異なるニジミ輝度位置を設定せずともよく、この場合、測定対象情報記憶部67には、測定対象の違いに依らない同じニジミ輝度位置となる設定位置情報が記憶されていてもよい。
【0050】
ところで、図9に示すように、実際には、被測定物に対してスリット光Sは斜め方向から(所定の入射角で)入射するため、或いは入射方向(投光角度)が被測定物表面に対して垂直ではないため、上記図20(b)の場合と比べてニジミが非対称なものとなっている。符号303は被測定物に対するスリット光Sの潜り込みを、符号304は当該潜り込んだスリット光Sの内部錯乱の様子を示している。すなわち、投光投影像301(上記本来の投影像901に相当)に対して、符号302で示す側つまりスリット光Sの入射側と反対方向の位置のニジミ度合いが大きくなっており、ニジミに対称性が無い。この場合、上記図7で説明した輝度分布201(輝度分布204)は、実際には図10に示すように、上記図9の符号302で示す側のニジミが大きな輝度分布311となっている。本実施形態は、正確な計測を妨げることになるこのニジミを抑制したいことからも、ニジミ度合いがより大きい側にニジミ輝度位置を設定する。したがって、位置設定部672は、投影像における最大輝度位置312からスリット光S(光線)の入射側と反対方向へ所定距離Xだけ離間した位置をニジミ輝度位置313として設定(定義)する。この場合、上記設定位置情報は、最大輝度位置から当該光線の入射側と反対方向へ離間した位置をニジミ輝度位置とする情報となる。なお、本発明は、当該スリット光が斜め方向から入射される場合に限らず、上記垂直方向から入射される場合も含むものとする。
【0051】
制御部6は、このような構成を備えて、輝度差最大化処理を行う。すなわち、制御部6は、撮像センサ41による撮影画像(投影像)から得られる輝度情報に基づいて、最大輝度位置の最大輝度とニジミ輝度位置のニジミ輝度との輝度差が最大となるように、レーザ光源21の光線出力(発光出力)すなわち被測定物に対する投光量を謂わば自動的に変更(調整)する。具体的には、CPU68は、投影像輝度演算部67(輝度差判別部674)による当該輝度差の判別結果情報を受けて、投光量を調整するべく発光制御部61にレーザ光源21の駆動を制御させる。CPU68は、輝度差が最大となったことを示す判別結果を受けると、発光制御部61にレーザ光源21による光線出力を変化させることを停止させ、投光量を確定する。
【0052】
このことは、図11に示すように、投光手段によって測定対象に投光するとともに、この投光による投影像を受光手段で受光し、輝度差の情報を投光量可変手段にフィードバックして、当該輝度差が最大となるまで投光手段を調整することであると言える。換言すれば、受光手段により投影像の輝度差をモニタしながら、輝度差が最大となる投光量が得られるような投光手段の制御値を見付けることである。なお、輝度差が最大となったときに受光手段により得られた撮影画像を、ニジミが抑えられた所望の撮影画像として扱えばよい。このような輝度差最大化処理により、例えば上記図7における輝度分布201が例えば図12に示す輝度分布231と変化し、これにより、同じ離間距離X(ニジミ輝度位置203)のときの輝度差が、当初の輝度差Dから最大の輝度差Dmaxとなる。上記ニジミが非対称な図10の場合も同様に、離間距離Xのときの輝度差Dが最大となる輝度分布となるようにレーザ光源21の光線出力つまり投光量が自動的に調整される。
【0053】
なお、実際における上記レーザ光源21による投光量の調整は、このレーザ光源21の発光デバイスつまりLDの出力(発光強度)を直接変化させてもよい、具体的には電圧制御、或いはPWM(Pulse Width Modulation)制御によってLDの出力を変化させて行ってもよい。また、例えば光量減光部材を用いて光量を変化させてもよい。すなわち、例えば図13(a)に示すように、光の透過率が異なる各種フィルタを備えたNDフィルタ(減光フィルタ)を用い、このNDフィルタを例えば発光制御部61により回転駆動させて、レーザ光源21からの射出光を透過させる各種フィルタを切り替えることで実現してもよいし、また、例えば図13(b)に示すように、偏光板を用いて実現、具体的には例えば少なくとも一方を回転させることで偏光度合いを調整する一対の直線偏光板を用いて実現してもよい。勿論これらを併用してもよい。要は、投光量を変化させることが可能な構成であればよい。
【0054】
図14は、第1の実施形態における携帯型三次元測定装置1による測定動作の一例を示すフローチャートである。先ず、レーザ光源21によりスリット光を被測定物に投影し(ステップS1)、この投影像が投影された被測定物を撮像センサ41により撮影する(ステップS2)。当該撮影により得られた投影像における最大輝度及び最大輝度位置を最大輝度検出部671によって検出し(ステップS3)、この最大輝度位置から所定距離Xだけ離間したニジミ輝度位置を位置設定部672によって設定する(ステップS4)。そして、ニジミ輝度検出部673によってニジミ輝度位置のニジミ輝度を検出し、輝度差判別部674によって、最大輝度とニジミ輝度との輝度差を算出(ステップS5)してこの輝度差が最大であるか否かの判別を行いながら(ステップS7のNO)、この判別情報に基づいてCPU68(発光制御部61)によってレーザ光源21の出力を変化させて投光量を調整する(ステップS6)。輝度差が最大であると判別されると(ステップS7のYES)、CPU68はレーザ光源21の出力を変化させることを停止して、このときのレーザ光源21の出力つまり投光量で確定する(ステップS8)。そして、この確定したレーザ光源21の出力で投光した(ステップS9)ときの投影像を撮像センサ41で撮影する(ステップS10)。これにより最大輝度とニジミ輝度との輝度差が最大である撮影画像、すなわちニジミが抑えられた撮影画像(投影像)が得られる。この結果、計測精度を高めることができる。
【0055】
(実施形態2)
図15は、第2の実施形態に係る携帯型三次元測定装置1aにおける投影像輝度演算部67aの上記輝度差最大化処理に関するブロック構成図である。投影像輝度演算部67aは、最大輝度検出部671a、輝度判別部676、位置設定部672a、ニジミ輝度検出部673a、閾値演算部677、閾値記憶部678及び測定対象情報記憶部675aを備えている。最大輝度検出部671aは、最大輝度検出部671と同様、撮像センサ41の撮像により得られた投影像の最大輝度及び最大輝度位置を検出するものである。この場合も図16(a)に示すように、輝度分布401を有する投影像において、最大輝度とこの最大輝度位置402が検出される。
【0056】
輝度判別部676は、投影像における最大輝度値が撮像センサ41の感度の最大値を超えないか否かを判別するものである。ここで、撮像センサ41の“感度”とは、測定対象(被写体)を撮像したときの輝度を入力値としたときの出力値の大きさ、すなわち入力に対する出力度合いを示し、“感度の最大値”とは、撮像センサ41の出力が飽和するレベル(撮像センサ41の出力レベルの最大値)を示している。本実施形態では、輝度判別部676はこの感度の最大値の情報を記憶しており、撮像センサ41からの出力値すなわち撮影画像(投影像)の各画素の輝度値とこの感度最大値とを比較することで当該判別を行う構成としている。
【0057】
位置設定部672aは、上記位置設定部67と同様、図16(a)に示すように、投影像における最大輝度位置402からスリット光S(光線)の入射側と反対方向へ所定距離Xだけ離間した位置をニジミ輝度位置403として設定(定義)するものである。ニジミ輝度検出部673aは、位置設定部672aにより設定されたニジミ輝度位置におけるニジミ輝度を検出するものである。
【0058】
閾値演算部677は、閾値を用いた演算、具体的には、所定の閾値を設定し、投影像におけるこの閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行うものである。閾値演算部677は、この足切り演算において、先ずニジミ輝度位置403のニジミ輝度に応じた当該閾値を設定する。この閾値は、ニジミ輝度位置403のニジミ輝度よりも大きくて且つ最大輝度値未満の値として設定される。
【0059】
これを図16(a)で説明すると、先ず閾値演算部677は、例えば符号404で示す輝度レベルを閾値(閾値ライン、閾値レベル)として設定し、この閾値以下の輝度の画素データを切り捨てる(閾値以下の低輝度部をカットすることから「低輝度カット」とも表現する)。具体的には、投影像における符号405で示す閾値以下の輝度値(各画素値)を、この輝度値よりも低レベルの所定の輝度値(ここでは符号406で示すゼロの値)に置き換える処理を行う。なお、この閾値は、図16(b)に示すように、符号407で示すニジミ輝度位置403のニジミ輝度と同じ輝度レベルに設定されてもよい(ニジミ輝度自体を閾値としてもよい)。この場合も同様に、閾値以下の輝度値が符号408で示すゼロの値に置き換えられることで、上記低輝度カット(足切り)が行われる。いずれにしても、閾値は、ニジミ輝度(ニジミ輝度輝度レベル)に応じて、すなわちニジミ輝度から最大輝度まで間の値、或いはこのニジミ輝度自体の値となるように設定される。ニジミ輝度に応じて閾値が変化するともいえる。
【0060】
閾値記憶部678は、閾値演算部677で用いる閾値(低輝度カット閾値)の情報を記憶するものである。この閾値情報は、各種ニジミ輝度値に対応するものとして予め定めた複数種類の閾値の情報(例えばニジミ輝度と閾値との関係を記述したルックアップテーブル)であってよい。
【0061】
測定対象情報記憶部675aは、測定対象情報記憶部675と同様、種々の測定対象に対応して設定される各種離間位置(各種ニジミ輝度位置)の情報(設定位置情報)を記憶するものである。本実施形態の場合も、測定対象に応じてニジミ輝度位置を変更するようにしてもよい。
【0062】
携帯型三次元測定装置1aの制御部6aは、このような構成を備えて、輝度差最大化処理を行う。すなわち、制御部6aは、撮像センサ41による撮影画像(投影像)から得られる輝度情報に基づいて、最大輝度位置の最大輝度が、撮像センサ41の感度最大値を超えない範囲で最も高くなるように、レーザ光源21の光線出力すなわち被測定物に対する投光量を謂わば自動的に変更(調整)する。具体的には、制御部6aのCPU68は、投影像輝度演算部67a(輝度判別部676)による当該判別結果情報を受けて、投光量を調整するべく発光制御部61にレーザ光源21の駆動を制御させる。CPU68は、最大輝度位置の最大輝度値が感度最大値を超えない範囲で最大の値となったことを示す判別結果を受けると、発光制御部61にレーザ光源21による光線出力を変化させることを停止させ、投光量を確定する。
【0063】
一方、制御部6aは、位置設定部672aによりニジミ輝度位置を設定してニジミ輝度検出部673aによりこの位置のニジミ輝度を検出する。そして、閾値演算部677によって、ニジミ輝度位置のニジミ輝度に応じて閾値を設定するとともに、投影像の各画素値とこの閾値とを比較して閾値以下となる画素値をゼロの値に置き換えることで足切り(低輝度カット)を行う。これにより、例えば図16(a)、図16(b)に示すように、同じ離間距離X(ニジミ輝度位置403)における最大輝度とニジミ輝度との輝度差が、当初の輝度差Dから輝度差D1に広がることになる。なお、図中の符号403’で示す点は、最大輝度位置402から同じ距離Xだけ離間した位置ではあるが、足切り処理を行ったことにより、この位置の輝度がゼロとなったことを示すものである。このように、第2の実施形態の輝度差最大化処理では、初めに最大輝度値を撮像センサ41の感度範囲で可能な限り大きな値にしておき、その状態で、閾値以下を足切りすることで、ニジミ成分がスリット像検出に与える影響を低減することができる。すなわち、ノイズ成分であるニジミをカットすることで、スリット像の輪郭を鮮明に捉えることができ、輝度重心位置を正確に求めることができる。
【0064】
ところで、本実施形態の場合も、上記図9、図10で説明したように、実際には、被測定物に対してスリット光Sは所定の入射角で入射するためニジミが非対称なものとなり、その輝度分布も輝度分布501で示すようになっている。この場合も、位置設定部672aは、投影像におけるニジミ度合いがより大きな側の位置、つまり最大輝度位置502からスリット光S(光線)の入射側と反対方向へ所定距離Xだけ離間した位置をニジミ輝度位置503として設定する。撮像センサ41の感度最大値を超えない範囲で最大輝度値が最大となるようにし、また、ニジミ輝度位置503のニジミ輝度に応じて閾値を設定して(図17ではニジミ輝度位置503の輝度レベルを閾値504としている)、この閾値以下の画素データを足切りする動作は、ニジミが対称である場合と同じである。
【0065】
なお、このようにニジミが非対称なものとなる場合、図17に示すように、輝度分布における重心(輝度重心)位置が、ニジミの無い本来の投影像(投光投影像)の場合の理想の位置(例えば符号511で示す矢印位置)とズレを生じる(例えば符号512で示す矢印位置までズレる)。例えば輝度重心演算法を用いて投影像を整形する場合においても、当該演算によって重心位置がズレてしまう。しかしながら、本実施形態のように足切り演算によって低輝度側をカットすることにより、輝度重心が受けるニジミの影響が軽減し、本来の投影像の輝度重心位置(例えば符号513で示す矢印位置)に近づく。
【0066】
なお、本実施形態の輝度差最大化処理は、図18に示すように、投光手段によって測定対象に投光するとともにこの投光による投影像を受光手段で受光し、この受光による現在の最大輝度値が受光手段の感度最大値を超えない範囲で最大になるような投光量に制御するためのフィードバックを投光量可変手段に対して行うとともに、当該最大輝度値が最大となるときの投影像の各画素値を、ニジミ輝度に応じて設定した(閾値記憶手段から読み出した)閾値と(比較手段により)比較して低輝度の画素値を足切りすることで、謂わば当初の撮影画像を補正するものであると言える。この補正後撮影画像を、ニジミが抑えられた所望の撮影画像として扱えばよい。
【0067】
図19は、第2の実施形態における携帯型三次元測定装置1aによる測定動作の一例を示すフローチャートである。先ず、レーザ光源21によりスリット光を被測定物に投影し(ステップS21)、この投影像が投影された被測定物を撮像センサ41により撮影する(ステップS22)。当該撮影により得られた投影像における最大輝度値を最大輝度検出部671aによって検出し(ステップS23)、輝度判別部676によってこの最大輝度値が撮像センサ41の感度の最大値を超えないか否かの判別を行いながら(ステップS24のNO)、CPU68(発光制御部61)は、この判別情報に基づいてレーザ光源21の出力を変化させて投光量を調整する(ステップS25)。当該最大輝度値が感度最大値の範囲で最大の値であると判別されると(ステップS24のYES)、CPU68はレーザ光源21の出力を変化させることを停止して、このときのレーザ光源21の出力つまり投光量で確定する。そして、この確定したレーザ光源21の出力で投光したときの投影像を撮像センサ41で撮影し(ステップS26)、撮影した投影像における最大輝度位置を最大輝度検出部671aによって検出する(ステップS27)。次に、位置設定部672aによって、上記検出した最大輝度位置から所定距離Xだけ離間したニジミ輝度位置を設定し(ステップS28)、ニジミ輝度検出部673aによってこの位置でのニジミ輝度を検出する(ステップS29)。そして、閾値演算部677によって、上記検出したニジミ輝度に応じた閾値を設定するとともに(ステップS30)、この閾値以下である低輝度の画素データに対する足切り演算を行う(ステップS31)。これにより最大輝度とニジミ輝度との輝度差が最大である撮影画像、すなわちニジミが抑えられた撮影画像(投影像)が得られる。
【0068】
なお、本発明は、次の態様をとることもできる。上記各実施形態では、被測定物に対するスリット光Sの入射角が一定であることを前提として説明したが、実際には、携帯型三次元測定装置1a(手持ち式の計測装置)であることからも入力角は変化し得る。入射角が異なると、ニジミの状態(ニジミができる位置やニジミ度合い)も異なるため、上記最大輝度位置からの離間距離Xつまりニジミ輝度位置もこの入射角に応じた位置を設)定することが望ましい。したがって、測定対象情報記憶部675(675a)に、被測定物に対するスリット光S(光線)の各種入射角に応じた設定位置情報を記憶しておき、位置設定部672(672a)によって、入射角毎に異なる設定位置情報に基づいたニジミ輝度位置の設定を行う構成としてもよい。ただし、この入射角を判別する方法として、例えば携帯型三次元測定装置1aにジャイロセンサ等を備え、このセンサによる姿勢検出情報に基づいて入射角を判別してもよい。或いは携帯型三次元測定装置1aにスリット光Sの射出角を例えば入力ボタンにより切り替えて変化させる機能を備えている場合など、この切り替え情報に基づいて判別してもよい。なお、一般的に、入射角(斜め入射の度合い)が大きくなるほど輝度分布の対称性が崩れ、輝度重心位置のズレも大きくなる。したがって、入射角が大きいほど離間距離Xが短くなるようなニジミ輝度位置設定を行うようにしてもよい。
【0069】
以上のように、本発明の第1及び第2の実施形態に係る計測装置(携帯型三次元測定装置1、1a)によれば、投光手段(レーザ光源21)によって被測定物に光線が投影され、撮像手段(撮像センサ41)によって光線(スリット光S)による投影像が撮像される。この撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置が第1検出手段(最大輝度検出部671、671a)によって検出され、投影像における最大輝度位置から所定距離離間した離間位置(ニジミ輝度位置)が設定手段(位置設定部672、672a)によって設定される。そして、第2検出手段(ニジミ輝度検出部673、673a)によって離間位置の輝度(ニジミ輝度)が検出され、処理手段(制御部6、6a)によって最大輝度と離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理が行われる。
【0070】
このように、投影像における最大輝度と離間位置の輝度(ニジミ輝度)との輝度差が最大となるような輝度差最大化処理が行われるので、ニジミの無い本来の投影像を代表する輝度である最大輝度に対して、この最大輝度以外のニジミが生じている箇所の輝度レベルを相対的に低下させることができる、すなわち本来の投影像(投光投影像301、901)とニジミ像との輝度の差異を明確にすることができる。これにより、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた(本来の投影像が際立った)鮮明な投影像を得ることができ、計測精度を高めることができる。
【0071】
また、処理手段が、投光手段による光線出力を調整する調整手段を備えたものとされ、この処理手段によって、輝度差最大化処理として、輝度差が最大となるように調整手段により光線出力が調整されるので、輝度差最大化処理を、光線出力を調整するという簡易な方法によって容易に実現することができる。
【0072】
また、処理手段が、投光手段による光線出力を調整する調整手段と、投影像における最大輝度値が撮像手段の感度の最大値を超えないか否かを判別する判別手段(輝度判別部676)と、投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切手段(閾値演算部677)とを備えたものとされ、輝度差最大化処理として、調整手段によって、最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力が調整されるとともに、足切手段によって、離間位置の輝度に応じて閾値が設定されて該閾値に基づいて足切り演算が行われる。
【0073】
このように、輝度差最大化処理を、最大輝度値が撮像手段の感度最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整し、離間位置の輝度(ニジミ輝度)に応じて設定された閾値に基づいて、投影像における該閾値以下の謂わば低輝度レベルの画像(画素データ)を足切り(カット)する(図16(a)、(b)参照)という簡易な方法によって容易に実現することができる。また、当該閾値以下を足切りすることができるため、例えば被測定物に対して光線を斜めに入射する場合等に得られる、輝度分布(図17参照)が非対称な投影像であったとしても、この輝度分布の輝度重心を容易に本来の投影像の輝度重心に近づけることができて、輝度重心が受けるニジミの影響を軽減することが可能となる。これにより、輝度分布を用いた例えば輝度重心演算などがより正確に行えるようになり、ひいては計測精度を高めることができる。
【0074】
また、足切手段によって、閾値が、離間位置の輝度以上で且つ最大輝度値未満の値に設定されるので(図16(a)参照)、当該足切りによってニジミ成分がスリット像検出に与える影響を低減することができる。すなわち、ノイズ成分であるニジミをカットすることで、スリット像の輪郭を鮮明に捉えることができ、輝度重心位置を正確に求めることができる。
【0075】
また、足切手段によって、閾値が、離間位置の輝度の値に設定されるので(図16(b)参照)、離間位置の輝度に応じた閾値の設定が、この離間位置の輝度自体を閾値とすることにより容易に行えるようになる。
【0076】
また、設定手段によって、最大輝度位置から被測定物に対する光線の入射側と反対方向へ所定距離離間した離間位置が設定されるので(図17参照)、被測定物に光線が斜め方向からつまり所定の入射角で投影されるような場合であっても、よりニジミを抑えることが可能な離間位置(光線の入射側と反対方向の位置)を設定することが可能となり、ひいては光線の入射角に依らず、ニジミを抑えて計測精度を高めることができる。
【0077】
また、記憶手段によって、各種被測定物に対応して設定される各種離間位置の情報である設定位置情報が記憶され、設定手段によって、この設定位置情報に基づいて被測定物毎の離間位置が設定されるので、被測定物毎に効果的にニジミを抑えることが可能となる。
【0078】
また、記憶手段によって、被測定物に対する光線の各種入射角度に応じた設定位置情報が記憶され、設定手段によって、この設定位置情報に基づいて入射角度に応じた離間位置が設定されるので、入射角度毎に効果的にニジミを抑えることが可能となる。
【0079】
また、本発明の第1及び第2の実施形態に係る計測方法によれば、投光工程において被測定物に光線が投影され、撮像工程において光線による投影像が撮像される。また、第1検出工程において、この撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置が検出され、設定工程において、投影像における最大輝度位置から所定距離離間した離間位置(ニジミ輝度位置)が設定される。そして、第2検出工程において離間位置の輝度が検出され、処理工程において最大輝度と離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理が行われる。
【0080】
このように、投影像における最大輝度と離間位置の輝度(ニジミ輝度)との輝度差が最大となるような輝度差最大化処理が行われるので、ニジミの無い本来の投影像を代表する輝度である最大輝度に対して、この最大輝度以外のニジミが生じている箇所の輝度レベルを相対的に低下させることができる、すなわち本来の投影像とニジミ像との輝度の差異を明確にすることができる。これにより、透光性を有する被測定物であっても、白色パウダーなどを使用することなく、ニジミが抑えられた(本来の投影像が際立った)鮮明な投影像を得ることができ、計測精度を高めることができる。
【0081】
また、処理工程が、投光工程による光線出力を調整する調整工程を有するものとされ、この処理工程において、輝度差最大化処理として、輝度差が最大となるように調整工程により光線出力が調整されるので、輝度差最大化処理を、光線出力を調整するという簡易な方法によって容易に実現することができる。
【0082】
さらに、処理工程が、投光工程における光線出力を調整する調整工程と、投影像における最大輝度値が撮像における感度の最大値を超えないか否かを判別する判別工程と、投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切工程とを有する工程とされ、この処理工程において、輝度差最大化処理として、調整工程によって最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力が調整されるとともに、足切工程によって、離間位置の輝度に応じて閾値が設定され、該閾値に基づいて足切り演算が行われる。
【0083】
このように、輝度差最大化処理を、最大輝度値が撮像における感度最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整し、離間位置の輝度(ニジミ輝度)に応じて設定された閾値に基づいて、投影像における該閾値以下の謂わば低輝度レベルの画像(画素データ)を足切り(カット)するという簡易な方法によって容易に実現することができる。また、当該閾値以下を足切りすることができるため、例えば被測定物に対して光線を斜めに入射する場合等に得られる、輝度分布が非対称な投影像であったとしても、この輝度分布の輝度重心を容易に本来の投影像の輝度重心に近づけることができて、輝度重心が受けるニジミの影響を軽減することが可能となる。これにより、輝度分布を用いた例えば輝度重心演算などがより正確に行えるようになり、ひいては計測精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施形態に係る携帯型三次元測定装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯型三次元測定装置の側面図である。
【図3】図1に示す携帯型三次元測定装置の測定領域を示す斜視図である。
【図4】3次元形状を有する被測定物(測定対象)に対するスリット光Sの照射状況を示す斜視図である。
【図5】図1に示す携帯型三次元測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す携帯型三次元測定装置における投影像輝度演算部の輝度差最大化処理に関するブロック構成図である。
【図7】投影像の、被測定物表面に対するスリット光の入射面方向における輝度分布の一例を示す図である。
【図8】測定対象(被測定物)が異なることによる設定位置の違いについて説明するための輝度分布図である。
【図9】被測定物に対してスリット光が所定の入射角で入射する場合のニジミの様子を説明するための斜視図である。
【図10】被測定物に対してスリット光が所定の入射角で入射する場合の、投影像の輝度分布の一例を示す図である。
【図11】第1の実施形態における輝度差最大化処理を概念的に説明するための模式図である。
【図12】図7に示す輝度分布に対する、輝度差最大化処理後における投影像の輝度分布の一例を示す図である。
【図13】レーザ光源による投光量の調整を行うための一例を説明するための模式図であって、(a)は、NDフィルタを、(b)は、偏光板を示す図である。
【図14】第1の実施形態における携帯型三次元測定装置による測定動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態に係る携帯型三次元測定装置における投影像輝度演算部の輝度差最大化処理に関するブロック構成図である。
【図16】第2の実施形態における輝度差最大化処理を説明するための投影像の輝度分布の一例を示す図であって、(a)は、閾値をニジミ輝度よりも高く最大輝度未満の輝度レベルに設定する場合を、(b)は、閾値をニジミ輝度のレベルに設定する場合を示す図である。
【図17】被測定物にスリット光が斜めに入射する場合の非対称な輝度分布における、閾値の設定或いは輝度重心位置の違い等について説明するための図である。
【図18】第2の実施形態における輝度差最大化処理を概念的に説明するための模式図である。
【図19】第2の実施形態における携帯型三次元測定装置による測定動作の一例を示すフローチャートである。
【図20】被測定物表面の投影像(本来の投影像及びニジミ)について説明するための斜視図である。
【図21】図20に示す投影像の輝度分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1、1a 携帯型三次元測定装置(計測装置)
21 レーザ光源(投光手段)
41 撮像センサ(撮像手段)
6、6a 制御部(処理手段)
61 発光制御部(調整手段)
67、67a 投影像輝度演算部
671、671a 最大輝度検出部(第1検出手段)
672、672a 位置設定部(設定手段)
673、673a ニジミ輝度検出部(第2検出手段)
674 輝度差判別部
675、675a 測定対象情報記憶部
676 輝度判別部(判別手段)
677 閾値演算部(足切手段)
678 閾値記憶部
68 CPU
201、231、311、401、501、911、912 輝度分布
202、312、402、502 最大輝度位置
203、313、403、403’、503 ニジミ輝度位置(離間位置)
301 投光投影像
404、407、504 閾値
901 本来の投影像
X 離間距離
D 輝度差
D1 輝度差
Dmax 輝度差
S スリット光(光線)
100、900 被測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に光線を投影する投光手段と、
前記光線による投影像を撮像する撮像手段と、
前記撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置を検出する第1検出手段と、
前記投影像における前記最大輝度位置から所定距離離間した離間位置を設定する設定手段と、
前記離間位置の輝度を検出する第2検出手段と、
前記最大輝度と前記離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理を行う処理手段と
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記処理手段は、
前記投光手段による光線出力を調整する調整手段を備えたものであって、
前記輝度差最大化処理として、前記輝度差が最大となるように該調整手段により前記光線出力を調整することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記投光手段による光線出力を調整する調整手段と、
前記投影像における最大輝度値が前記撮像手段の感度の最大値を超えないか否かを判別する判別手段と、
前記投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切手段とを備えたものであって、
前記輝度差最大化処理として、
前記調整手段によって、前記最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整するとともに、前記足切手段によって、前記離間位置の輝度に応じて前記閾値を設定し、該閾値に基づいて前記足切り演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記足切手段は、
前記閾値を、前記離間位置の輝度以上で且つ前記最大輝度値未満の値に設定することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記足切手段は、
前記閾値を、前記離間位置の輝度の値に設定することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項6】
前記設定手段は、
前記最大輝度位置から前記被測定物に対する前記光線の入射側と反対方向へ所定距離離間した前記離間位置を設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の計測装置。
【請求項7】
各種被測定物に対応して設定される各種離間位置の情報である設定位置情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、
前記設定位置情報に基づいて、被測定物毎の前記離間位置を設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の計測装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、
前記被測定物に対する前記光線の各種入射角度に応じた前記設定位置情報をさらに記憶し、
前記設定手段は、
当該設定位置情報に基づいて、前記入射角度に応じた前記離間位置を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の計測装置。
【請求項9】
被測定物に光線を投影する投光工程と、
前記光線による投影像を撮像する撮像工程と、
前記撮像された投影像における最大輝度及び最大輝度位置を検出する第1検出工程と、
前記投影像における前記最大輝度位置から所定距離離間した離間位置を設定する設定工程と、
前記離間位置の輝度を検出する第2検出工程と、
前記最大輝度と前記離間位置の輝度との輝度差を最大にするための輝度差最大化処理を行う処理工程と
を有することを特徴とする計測方法。
【請求項10】
前記処理工程は、
前記投光工程による光線出力を調整する調整工程を有するものであって、
前記輝度差最大化処理として、前記輝度差が最大となるように該調整工程により前記光線出力を調整する工程であることを特徴とする請求項9に記載の計測方法。
【請求項11】
前記処理工程は、
前記投光工程における光線出力を調整する調整工程と、
前記投影像における最大輝度値が前記撮像における感度の最大値を超えないか否かを判別する判別工程と、
前記投影像における所定閾値以下の輝度を有する画素データをカットする足切り演算を行う足切工程とを有する工程であって、
前記輝度差最大化処理として、
前記調整工程において、前記最大輝度値が前記判別による感度の最大値を超えない範囲で最も高くなるように光線出力を調整するとともに、前記足切工程において、前記離間位置の輝度に応じて前記閾値を設定し、該閾値に基づいて前記足切り演算を行うことを特徴とする請求項9に記載の計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図9】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−14495(P2009−14495A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176312(P2007−176312)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】