説明

評価方法および感放射線性樹脂組成物

【課題】現像欠陥発生度合を樹脂原料段階で評価可能な樹脂の評価方法、および、化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記に示す(1)〜(4)の手順による、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合を評価することを特徴とする評価方法である;
(1)基板上に被評価対象の感放射線性樹脂組成物の膜を形成する手順、
(2)前記膜を露光後焼成する手順、
(3)前記露光後焼成した膜を現像液に溶解し、所定濃度の現像液溶液とする手順、
(4)動的光散乱法により、前記現像液溶液中の流体力学的半径を測定する手順。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価方法および感放射線性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、KrFエキシマレーザあるいはArFエキシマレーザ等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合を評価する評価方法、およびこの評価方法で評価される感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近ではArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)等を用いた100nm以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィ技術が必要とされている。このようなエキシマレーザによる照射に適した感放射線性樹脂組成物として、酸解離性官能基を有する成分と放射線の照射により酸を発生する成分である酸発生剤とによる化学増幅効果を利用した化学増幅型感放射線性樹脂組成物が数多く提案されている。
例えば、感放射線性樹脂組成物として、2−アルキル−2−アダマンチル基、または1−アダマンチル−1−アルキルアダマンチル基で保護されたアルカリ可溶性を有し、それ自身ではアルカリに不溶または難溶であるが、酸の作用でアルカリに可溶となる樹脂と特定のスルホニウム塩系酸発生剤を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物(特許文献1参照)。特定の基板密着性脂環式エステルと特定の脂環式骨格を有する酸脱離性のエステルに、第3成分として上記2成分の中間の極性を持つ特定の脂環式エステルを加えて3元共重合させたフォトレジスト用高分子化合物(特許文献2参照)、同じく脂環式骨格を有する特定構造の3種の単量体ユニットを特定の割合で含む樹脂(特許文献3参照)等が知られている。
また、これらの感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、感放射線性樹脂組成物としたときの解像度や透過率により、あるいは樹脂と溶媒との溶解度パラメータにより、それぞれ評価されてきた。
【0003】
しかしながら、半導体分野において、より微細化され、また集積度が求められるようになると、プロセスマージンの広い感放射線性樹脂組成物が必要とされている。特に、リソグラフィ性能において最小倒壊前寸法、LWRに優れ、かつ、現像欠陥を抑制できる材料が必要とされている。
【0004】
これらの課題を克服するためには、感放射線性樹脂組成物としての解像性能等の向上もさることながら、現像後のリンス処理により現像液中に溶解した組成物が析出し、形成したパターンに再付着し、現像欠陥が増大するという問題を克服する必要があった。また、これらの問題を評価する手法として従来の現像欠陥に対する評価方法では十分でないという問題があった。
そこで、本願出願人は、感放射線性樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、この溶液の濃度変化に伴う感放射線性樹脂の溶液中の拡散係数変化を表す係数(kD)により、感放射線性樹脂の現像特性を評価する評価方法を見出し特許出願している(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−156750号公報
【特許文献2】特開2002−145955号公報
【特許文献3】特開2002−201232号公報
【特許文献4】特開2005−91407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のような樹脂の評価方法が開示されてはいるが、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合を評価するための方法は全く知られていないのが現状である。
本発明は、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥発生度合を樹脂原料段階で評価可能な評価方法、および、KrFエキシマレーザあるいはArFエキシマレーザ等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性樹脂組成物の提供を目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、感放射線性樹脂組成物材料として現像液溶液中の感放射線性樹脂組成物の凝集体が樹脂組成物の重要な特性の1つである現像欠陥の発生度合いに大きく影響していることを突き止めた。そして、鋭意研究を重ねた結果、現像液中における感放射線性組成物の流体力学的半径(RH)を動的光散乱法を用いて測定することにより、実使用前段階で、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合いを評価できることが分かった。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0008】
本発明の評価方法は、下記に示す(1)〜(4)の手順による、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合を評価することを特徴とする評価方法である。
(1)基板上に被評価対象の感放射線性樹脂組成物の膜を形成する手順、
(2)前記膜を露光後焼成する手順、
(3)前記露光後焼成した膜を現像液に溶解し、所定濃度の現像液溶液とする手順、
(4)動的光散乱法により、前記現像液溶液中の流体力学的半径を測定する手順。
【0009】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、下記式(1)に示す単量体を重合体成分として含む樹脂を必須成分とし、上記現像欠陥の発生度合の評価方法により測定した流体力学的半径が70nm以下であることを特徴とする。
【化2】

(式(1)において、R1は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
また、R2がメチル基である単量体を必須成分として含むことを特徴とする。
また、上記本発明の感放射線性樹脂組成物は、露光後焼成の温度が105℃以下で、現像液溶液中の粒径が70nm以下であることを特徴とする。
また、本発明のパターン形成方法は、基板上に上記本発明の感放射線性樹脂組成物の被膜を設ける工程と、該被膜をパターニングする工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の評価方法によれば、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥発生度合を、実使用前段階で予測することができる。そのため、現像欠陥の発生数が少なく、プロセスマージンに優れる感放射線性樹脂組成物を得ることが可能な樹脂の評価・選別が容易となる。従って、本評価方法で選別された感放射線性組成物を用いることで、現像欠陥抑制に優れる感放射線性樹脂組成物を容易に調製することができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、現像液中において所定の流体力学的半径(RH)となり、低温で高解像度を発現する樹脂を含有しているため、現像欠陥の発生数が少なく、リソグラフィ性能に優れている。そのため、現像欠陥が抑制され、KrFエキシマレーザあるいはArFエキシマレーザ等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる。さらには、今後さらに微細化が進むと予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
樹脂溶液の動的光散乱を測定するための動的光散乱測定するための装置としては、ドイツALV社製光散乱装置を用いることができる。この装置の仕様は、ゴニオメータとしてALV/DLS/SLS−5022F(Attenuator付き)、レーザ光源として波長632.8nm、22mW He−Neレーザ、散乱光検出部としてデュアル式アバランシェフォトダイオ−ド(ALV−High QE APD×2)+ビームスプリッタ、相関計としてALV−5000/EPP+Fastモード測定用ALV−6010/160である。また、制御・解析プログラムはALV−5000E/WIN(ver.3)を使用した。尚、レーザ光源としては、Arレーザ(波長488nm)、固体半導体レーザ(YAG2倍波、532nm)等を、散乱光検出部には、例えば光電子倍増管(フォトマルチプライヤー)、フォトダイオ−ド等を使用できる。
【0012】
動的光散乱の測定原理について以下に説明する。
高分子溶液中において、高分子は熱運動により拡散運動をするため、その結果として、濃度揺らぎが生じる。動的光散乱(以下、DLSともいう)では、レーザ光線を入射させた高分子溶液から得られる散乱光強度の揺らぎ、すなわち濃度揺らぎの自己時間相関関数を計算することにより、高分子の拡散係数を測定することができる。ここで得られる有限濃度における拡散係数は、アインシュタイン−ストークスの式により、有限濃度における流体力学的半径(RH)と関連づけられる。流体力学的半径(RH)とは、有限濃度の溶液中における高分子鎖の広がりを、仮想の剛体球で表した場合の半径に相当する。
高分子溶液において、分子量分布の影響、分子鎖同士の会合、網目構造の形成などの結果、濃度揺らぎの自己時間相関関数から得られる拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)が一つの値で規定されることは稀で、ある程度の分布幅を持つのが一般的である。濃度揺らぎの自己時間相関関数から拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)の分布を求めるためには、幾つかの解析手法が存在する。例えば、比較的拡散係数の分布が狭い高分子溶液ではキュムラント解析が行なわれる。この方法では平均値としての拡散係数、およびその分布幅を表すパラメータが得られる。一方、溶液中で分子鎖同士が会合してしまう様な系において分布は非常に広くなる場合が多く、この際にはヒストグラム法、CONTIN法などによる解析が行なわれる。ヒストグラム法、CONTIN法では、拡散係数、すなわち流体力学的半径(RH)のz−平均分布が求められる。
【0013】
このDLS測定とCONTIN解析法を用いて、この流体力学的半径(RH)のz−平均分布を求めることにより、露光処理後の感放射性樹脂組成物現像溶液における平均粒子サイズを数値として得ることができる。上述の樹脂は現像溶液中では凝集体を形成しており、それらは現像液への溶解性が悪いユニットを多く持つ樹脂ほど大きくなり、相対的に基板への親和性が高くなっていると考えられる。そのため凝集体サイズが、基板上へ付着のしやすさに反映され、現像後に発生する基板表面上への溶け残り欠陥発生へと結びつく可能性があることが見出された。つまりDLSを用いることにより、流体力学的半径(RH)のz−平均分布を測定し、現像後に発生する基板表面上への溶け残り欠陥発生度合を評価できる。
【0014】
本発明の評価方法において、手順(3)で得られる現像液溶液は、有機高分子重合体と酸発生剤、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液とを含有する組成物であって、上記重合体の固形分濃度が0.1質量%以下の範囲内において、該樹脂溶液の動的光散乱測定により、該溶液の規定濃度における樹脂の溶液中の凝集体サイズを表す流体力学的半径(RH)のz−平均分布が120nm以下、好ましくは70nm以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明の評価方法における手順(1)は、基板上に被評価対象の感放射線性樹脂組成物の膜を形成する手順である。
基板としては、シリコン基板単独、または下層反射防止膜、あるいはSi含有膜をを形成したシリコン基板を使用できる。
被評価対象となる感放射線性樹脂組成物は、ポジ型感放射線性樹脂組成物であり、スピンコートし焼成(以下、PBという)することにより膜厚200nmの被膜を形成できる固形分濃度であればよい。
PB条件は、温度および時間を特定した成膜条件により行なう。
【0016】
手順(2)は、上記膜を露光後焼成(以下、PEBという)する手順である。
露光に用いる感度は、被評価対象の感放射線性組成物の膜が現像液に溶解する最低の露光量により定められる感度であり、露光の光源としては、使用されるフォトレジスト膜や上層膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。これらのなかでも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)またはKrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いることが好ましい。なお、放射線量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明においてはこの上記感度の6倍に相当する露光量で露光することが好ましい。6倍未満であると被評価対象の感放射線性組成物の脱保護不十分により膜の解け残りが発生する恐れがあり、6倍をこえると感放射線性組成物のネガ化により膜の不溶化が起こるおそれがある。
【0017】
手順(3)は、上記露光後焼成した膜を現像液に溶解し、所定濃度の現像液溶液とする手順である。
現像液は、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いる。溶解時間は15分、溶解温度は室温下23℃である。
また、現像液溶液中に溶解した膜の濃度は0.1質量%であることが好ましい。
【0018】
手順(4)は、動的光散乱法により、上記現像液溶液中の流体力学的半径(RH)を測定する手順である。
測定装置本体はALV社製ALV5000を使用し、レーザ光源として波長632.8nm、22mW のHe−Neレーザを用いる。測定条件は、試料セルとして直径20mmの石英ガラスセルを用い、測定角度60°、測定温度23.00±0.02℃で、流体力学的半径(RH)の算出はContin法によって行なう。
【0019】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう。)と、レジスト溶剤と、感放射線性酸発生剤と、酸拡散制御剤等を含有し、上記評価方法で測定される流体力学的半径(RH)が70nm以下のものである。なお本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを意味する。
【0020】
<樹脂>
「樹脂(A)」は、酸の作用によりアルカリ可溶性となるアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂である。なお、ここでいう「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性」とは、上記樹脂を含有する樹脂組成物から形成されたフォトレジスト膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、このフォトレジスト膜の代わりに上記樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含まれる樹脂(A)は、下記式(1)で表される単量体に由来する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位1」とする)を含有する重合体である。
【化3】

式(1)において、R1は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基を表す。
炭素数2〜4の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびこれらの異性体基が挙げられる。
本発明においては、流体力学的半径(RH)が70nm以下となりやすいとの理由により、R1はメチル基であることが好ましい。また、R2はメチル基を含む単量体を含むことが好ましい。より好ましい例としては、R1がメチル基であり、R2がメチル基である単量体を含む樹脂成分である。
【0021】
式(1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−プロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−ブチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソブチルアダマンチル−2−イルエステル等を挙げることができる。
好ましい例としては、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−プロピルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−ブチルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−イソブチルアダマンチル−2−イルエステルが挙げられ、特に好ましい例としては、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、メタクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステルである。
【0022】
樹脂(A)中の繰り返し単位1の含有率は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、1〜70モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがさらに好ましく、5〜15モル%であることが特に好ましい。上記含有量が1モル%以下であると、十分なLWR、最小倒壊前寸法および70nm以下の流体力学的半径(RH)が得られない傾向がある。一方、70モル%超であると、解像性が不十分な傾向がある。
【0023】
樹脂(A)は、繰り返し単位1以外にラクトン骨格を主鎖または側鎖に有する繰り返し単位(以下、「ラクトン骨格を有する繰り返し単位」と記す場合がある)を含有することが望ましい。
【0024】
樹脂(A)に含有されるラクトン骨格を有する繰り返し単位を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル等を挙げることができる。
【0025】
樹脂(A)中のラクトン骨格を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、95モル%以下であることが好ましく、30〜70モル%であることがさらに好ましく、30〜50モル%であることが特に好ましい。上記含有量が30モル%以下であると、解像度が劣化し、現像欠陥を発生し易い傾向がある。一方、70モル%超であると、最小倒壊前寸法、LWRが悪化する傾向がある。
【0026】
樹脂(A)は、上記繰り返し単位1とラクトン骨格を有する繰り返し単位とともに、繰り返し単位1以外の下記式(2)で表される単量体由来の繰り返し単位(以下、「繰り返し単位2」とする)を含有することが好ましい。
【化4】

式(2)において、R3は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R4は相互に独立に炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体、または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、かつ、R4の少なくとも1つが上記脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは、何れか2つのR4が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、残りのR4が炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を表す。但し、2つのR4が結合し炭素数9以上の脂環式炭化水素基(あるいはアダマンチル基)を形成する場合は、残りのR4はメチル基を表す。
【0027】
単量体(2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が好ましい。なお、樹脂(A)は、2種以上の上記単量体(2)由来の繰り返し単位を含有してもよい。
【0028】
樹脂(A)中の繰り返し単位2の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1〜70モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがさらに好ましく、5〜15モル%であることが特に好ましい。上記含有量が1モル%以下であると、十分なLWR、最小倒壊前寸法および70nm以下の流体力学的半径(RH)が得られない傾向がある。一方、70モル%超であると、解像性が不十分な傾向がある。
【0029】
樹脂(A)は、繰り返し単位1、ラクトン骨格を有する繰り返し単位、および繰り返し単位2以外に、「他の繰り返し単位」を含有していてもよい。「他の繰り返し単位」としては、例えば、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステル;
【0030】
(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1',1',1'−トリフルオロ−2'−トリフルオロメチル−2'−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル、(メタ)アクリル酸3−{[8−(1',1',1'−トリフルオロ−2'−トリフルオロメチル−2'−ヒドロキシ)プロピル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル}エステル;
【0031】
(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5−メチルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−7−メチルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン−1−イルメチルエステル;
【0032】
(メタ)アクリル酸アダマンチルメチル、(メタ)アクリル酸カルボキシノルボルニル、(メタ)アクリル酸カルボキシトリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−メトキシシクロヘキシル;
【0033】
1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート等由来の繰り返し単位を挙げることができる。
【0034】
樹脂(A)には、「他の繰り返し単位」を1種以上含有することができ、その合計の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、60モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがさらに好ましく、40モル%以下であることが特に好ましい。
【0035】
樹脂(A)は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができるが、例えば、各単量体とラジカル開始剤とを含有する反応溶液を、反応溶媒もしくは単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させたり、各単量体を含有する反応溶液とラジカル開始剤を含有する反応溶液とを、各々別々に反応溶媒もしくは単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させたり、さらに、各単量体も各々別々に調製された反応溶液とラジカル開始剤を含有する反応溶液とを、各々別々に反応溶媒もしくは単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させる方法が好ましい。
【0036】
上記各反応における反応温度は、使用する開始剤の種類によって適宜設定できるが、例えば、30℃〜180℃が一般的である。なお、上記各反応における反応温度は、40℃〜160℃であることが好ましく、50℃〜140℃であることがさらに好ましい。滴下に要する時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体によって様々に設定できるが、30分〜8時間であることが好ましく、45分〜6時間であることがさらに好ましく、1時間〜5時間であることが特に好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間は、前記同様に様々に設定できるが、30分〜8時間であることが好ましく、45分〜7時間であることがさらに好ましく、1時間〜6時間であることが特に好ましい。単量体を含有する溶液に滴下する場合、滴下する溶液中の単量体の含有割合は、重合に用いられる全単量体量に対して30モル%以上が好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
【0037】
樹脂(A)の重合に使用されるラジカル開始剤としては、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1―ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2'−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル)等を挙げることができる。これら開始剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
重合に使用する溶媒としては、使用する単量体を溶解し、重合を阻害するような溶媒でなければ使用可能である。なお、重合を阻害する溶媒としては、重合を禁止する溶媒、例えば、ニトロベンゼン類や、連鎖移動を起こさせる溶媒、例えば、メルカプト化合物を挙げることができる。
【0039】
重合に好適に使用することができる溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステルおよびラクトン類、ニトリル類、並びにこれらの溶媒の混合液を挙げることができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールを挙げることができる。エーテル類としてはプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンを挙げることができる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンを挙げることができる。アミド類としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。エステルおよびラクトン類としては酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソブチル、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。ニトリル類としてはアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルを挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
上記のように重合反応の後、得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。即ち、重合終了後、反応液は再沈溶媒に投入され、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステルおよびラクトン類、ニトリル類、並びにこれらの溶媒の混合液を挙げることができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノールを挙げることができる。エーテル類としてはプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンを挙げることができる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンを挙げることができる。アミド類としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。エステルおよびラクトン類としては酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソブチル、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。ニトリル類としてはアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルを挙げることができる。
【0041】
なお、樹脂(A)には、これまでに説明した単量体由来の低分子量成分が含まれるが、その含有割合は、樹脂(A)の総量(100質量%)に対して、0.1質量%以下であることが好ましく、0.07質量%以下であることがさらに好ましく、0.05質量%以下であることが特に好ましい。
【0042】
この低分子量成分の含有割合が0.1質量%以下である場合には、この樹脂(A)を使用してレジスト膜を作製し、液浸露光を行なうときに、レジスト膜に接触した水への溶出物の量を少なくすることができる。さらに、レジスト保管時にレジスト中に異物が発生することがなく、レジスト塗布時においても塗布ムラが発生することなく、レジストパターン形成時における欠陥の発生を十分に抑制することができる。
【0043】
なお、本発明において、上記単量体由来の低分子量成分は、単量体、ダイマー、トリマー、オリゴマーが挙げられ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(以下、「Mw」ということがある)が500以下の成分のこととする。このMw500以下の成分は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組合せ等により除去することができる。
【0044】
また、この低分子量成分は、樹脂(A)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析することができる。なお、樹脂(A)は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、それにより、レジストとしたときの感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに改善することができる。
【0045】
また、この樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1000〜100000であることが好ましく、1000〜30000であることがさらに好ましく、1000〜20000であることが特に好ましい。この場合、樹脂(A)のMwが1000未満では、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向があり、一方100000をこえると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。また、樹脂(A)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ということがある)との比(Mw/Mn)は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがさらに好ましく、1.0〜2.0であることが特に好ましい。
【0046】
本発明において、樹脂(A)を用いて感放射線性樹脂組成物を作製するときは、樹脂(A)を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
<レジスト溶剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有されるレジスト溶剤は特に限定されるものではない。特に、上記樹脂(A)を溶解させること、沸点が約150℃以上であること、および樹脂溶液塗布時にハレーションを発生させないこと、の3つの条件を満たすレジスト溶剤であることが好ましい。
上記レジスト溶剤としては、例えば、2−オクタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、乳酸エチル、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
これらのなかでも、2−オクタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等が好ましい。
これらのレジスト溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
<感放射線性酸発生剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される感放射線性酸発生剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線による露光により酸を発生する物質である。
上記感放射線性酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
【0049】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
【0050】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、
【0051】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート、
【0052】
1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、
【0053】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、
【0054】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
【0055】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、等が挙げられる。
【0056】
また、上記感放射線性酸発生剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この感放射線性酸発生剤の配合量は、レジストとしての感度および現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜7質量部である。この感放射線性酸発生剤の配合量が0.1質量部未満の場合、感度および現像性が低下する傾向がある。一方、10質量部をこえる場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0057】
<酸拡散制御剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、露光により感放射線性酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。この酸拡散制御剤を配合することで、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性やレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
上記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物を用いることが好ましい。このような含窒素有機化合物としては、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。これらのなかでも、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、含窒素複素環化合物等が好ましい。
【0058】
上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;N,N−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、ジエタノールアニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0059】
上記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒペリジン、N−t−ブトキシカルボニルアミノ−1−アダマンタン、N−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−アダマンタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらのなかでも、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましい。
【0060】
上記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0061】
また、上記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−メチル2−フェニルベンズイミダゾール、N−ベンジル2−フェニルベンズイミダゾール、N−(3−ヒドロキシプロピル)2−フェニルベンズイミダゾール、等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。これらのなかでも、イミダゾール類が好ましい。
【0062】
また、上記酸拡散制御剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この酸拡散制御剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、5質量部以下、好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。この酸拡散制御剤の配合量が5質量部をこえる場合、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。尚、酸拡散制御剤の配合量が0.01質量部未満である場合には、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0063】
本発明の感放射線性樹脂組成物には、さらに界面活性剤、増感剤、他の添加剤を配合できる。
<界面活性剤>
界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物の塗布性、現像性等を改良する作用を有する。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この界面活性剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
【0064】
<増感剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、感度等を改良する作用を示す増感剤を配合できる。
上記増感剤としては、例えば、カルバゾール類、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類、フェノール類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この増感剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
【0065】
<他の添加剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す他の添加剤を配合できる。
上記他の添加剤としては、例えば、4−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類:アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸時プロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類等が挙げられる。これらの他の添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この他の添加剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、50質量部以下、好ましくは30質量部以下である。この添加剤の配合量が50質量部をこえる場合、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
【0066】
さらに、上記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例、各比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、および諸特性の評価方法を以下に示す。
【0068】
樹脂を合成するために用いた単量体(M−1)〜(M−5)を下記に示す。
【化5】

【0069】
樹脂(A−1)の合成
単量体(M−5)54.35g(50mol%)、単量体(M−2)13.36g(15mol%)、単量体(M−3)28.65g(25mol%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらにアゾビスイソブチロニトリル4.26gを投入した単量体溶液を準備し、単量体(M−4)12.15g(10mol%)および2−ブタノン100gを投入した1000mLの三口フラスコを30分窒素パージする。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た(80g、収率71%)。
この共重合体は、分子量(Mw)が6236、Mw/Mnが1.63、13C−NMR分析の結果、単量体(M−2)、単量体(M−4)、単量体(M−3)、単量体(M−5)に由来する各繰り返し単位の含有率が、14.8:7.0:24.4:53.8(mol%)の共重合体であった。この共重合体を樹脂(A−1)とする。
【0070】
樹脂(A−2)〜(A−5)の合成
表1に示す配合とする以外は、上記樹脂(A−1)の合成と同様にして、樹脂(A−2)〜(A−5)を得た。各樹脂の特性を表1に示す。
【0071】
(1)Mw、Mn、およびMw/Mn
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度「Mw/Mn」は、MwおよびMnの測定結果より算出した。
(2)13C−NMR分析
それぞれの重合体の13C−NMR分析は、日本電子社製の商品名「JNM−EX270」を使用し、測定した。
(3)低分子量成分の残存割合
ジーエルサイエンス社製の商品名「Intersil ODS−25μmカラム」(4.6mmφ×250mm)を使用し、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶媒:アクリロニトリル/0.1%リン酸水溶液の分析条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。なお、低分子量成分は単量体を主成分とする成分であり、より具体的には分子量1,000未満の成分、好ましくはトリマーの分子量以下の成分である。
【0072】
【表1】

【0073】
感放射線性樹脂組成物を調製するために用いたレジスト溶剤、酸発生剤、酸拡散制御剤を以下に示す。
レジスト溶剤(B)
B−1:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
B−2:シクロヘキサノン
酸発生剤(C)
C−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
C−2:1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート
酸拡散制御剤(D)
D−1:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
【0074】
実施例1〜5、および比較例1
表2に示す種類の上記重合体、酸発生剤、酸拡散制御剤を、レジスト溶剤に溶解させ、均一溶液を調製した。その後、孔径1μmのメンブランフィルタおよび0.05μmのナイロンフィルタを用いてろ過することにより、各実施例、比較例の感放射線性樹脂組成物を調製した(固形分濃度;約4.5%)。
なお、上記重合体、酸発生剤、酸拡散制御剤、およびレジスト溶剤の配合割合は、重合体1.85g、酸発生剤0.18g、酸拡散制御剤1.73g、レジスト溶剤46.24gである。
【表2】

得られた感放射線性樹脂組成物を以下の方法で評価した。
(1)感度
まず、商品名「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン社製)を用いて、12インチシリコンウェハの表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(商品名「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成して基板とした。
その後、各実施例および比較例にて調整された感放射線性樹脂組成物を上記基板上に、商品名「CLEAN TRACK ACT8」にて、スピンコートし、100℃、60秒の条件でベーク(PB)を行なうことにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。次に、ArFエキシマレーザ露光装置(商品名「NSR S306C」、ニコン製、照明条件;NA0.78シグマ0.93/0.69)を用い、マスクパターンを介してレジスト膜を露光した。その後、表3示す条件でベーク(PEB)を行なった後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液によって、23℃、30秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
得られたレジスト膜において、線幅が75nmであるライン、ラインとラインとの距離が75nm(ライン・アンド・スペースが1対1)であるレジストパターンを形成する際の露光量(mJ/cm2)を最適露光量とした。そして、この最適露光量を感度として評価した(表3中、「感度(mJ/cm2)」と示す)。線幅およびラインとラインとの距離の測定は、走査型電子顕微鏡(商品名「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。結果を表3に示す。
【0075】
(2)現像欠陥
まず、商品名「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン社製)を用いて、180℃×60秒、350℃×90秒の2ステップのPB条件にて膜厚300nmの下層膜を形成し、さらに、200℃×60秒、300℃×60秒の2ステップのPB条件にて45nmのSi含有膜を形成した8インチシリコンウェハを用意し、これを下地基板とした。
この下地基板上に、各実施例、比較例の感放射線性樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレート上で100℃×60秒の条件でPBを行ない、膜厚120nmの塗膜を形成した。
その後、このレジスト膜に、ArFエキシマレーザ露光装置(商品名「NSR S306C」、ニコン製、照明条件;NA0.78シグマ0.85)により、マスクパターンが形成されていない擦りガラスを介して上記感度における最適露光量にて露光を行なった。次に、表3に示す条件でPEBを行なった。
上記PEBを行なった露光基板を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で30秒間現像し、水洗し、乾燥して、現像欠陥評価用基板を作製した。
上記に示す現像欠陥評価用基板を、商品名「KLA2351」(KLAテンコール社製)で測定して、現像欠陥の測定とした。現像欠陥の評価は、検出された現像欠陥が1000個以下の場合は「良好」、1000個をこえる場合は「不良」とした。結果を表3に示す。
【0076】
(3)最小倒壊前寸法
上記に示す感度の評価の最適露光量にて解像した75nmのライン・アンド・スペースパターンの観測において、この最適露光量よりも大きな露光量にて露光を行なった場合、得られるパターンの線幅が細くなるため、最終的にレジストパターンの倒壊が見られる。このレジストパターンの倒壊が確認されない最大の露光量における線幅を最小倒壊前寸法(nm)と定義し、パターン倒れ耐性の指標とし、その線幅が小さい程良好である。なお、最小倒壊前寸法(nm)の測定は、現像欠陥測定用の下地基板上で実施し、走査型電子顕微鏡(商品名「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0077】
(4)LWR(ラインラフネス特性)
上記に示す感度の評価の最適露光量にて解像した75nmのライン・アンド・スペースパターンの観測において、走査型電子顕微鏡(商品名「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)にてパターン上部から観察した際に、線幅を任意のポイントで観測し、その測定ばらつきを3σ(nm)で評価した。最小倒壊前寸法の評価は、上記に示す下地基板上で実施した。結果を表3に示す。
【0078】
(5)流体力学的半径(RH
現像欠陥評価時と同様にして作製した露光基板3枚を10mlの現像液(2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)に溶解することによってレジストの現像液溶液を調製した。
溶液調製後、孔径1.0μmのメンブランフィルタ(水溶系媒用)で濾過し、アセトン還流洗浄器にて2時間以上洗浄を行なった直径20mmの石英ガラスセルに注入した。測定はALV社製ALV5000を用いて、測定角度60度、測定温度23.00±0.02℃で精密に制御して行ない、解析にはContin法を用いて流体力学的半径(RH)を測定した。結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

表3によれば、レジストの現像液溶液の流体力学的半径(RH)の値により、該レジストの現像欠陥発生度合を予測することができることが分かる。特に、RHが70nm以下であれば、現像欠陥の発生が抑制され、プロセスロバスト性に優れる感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の樹脂の評価方法によれば、レジストの現像液溶液の流体力学的半径(RH)により、レジストの現像発生度合を、レジスト設計段階で予測できるので、この評価方法は、より高い集積度が求められる半導体分野に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示す(1)〜(4)の手順による、感放射線性樹脂組成物における現像欠陥の発生度合を評価する評価方法;
(1)基板上に被評価対象の感放射線性樹脂組成物の膜を形成する手順、
(2)前記膜を露光後焼成する手順、
(3)前記露光後焼成した膜を現像液に溶解し、所定濃度の現像液溶液とする手順、
(4)動的光散乱法により、前記現像液溶液中の流体力学的半径を測定する手順。
【請求項2】
下記式(1)に示す単量体を重合体成分として含む樹脂を必須成分とし、請求項1記載の評価方法により測定した流体力学的半径が70nm以下であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(式(1)において、R1は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記樹脂は、前記式(1)のR2がメチル基である単量体を必須成分として含むことを特徴とする請求項2記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
前記露光後焼成の温度が105℃以下であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
基板上に感放射線性樹脂組成物の被膜を設ける工程と、該被膜をパターニングする工程とを含むパターン形成方法において、
前記感放射線性樹脂組成物が請求項2、請求項3または請求項4記載の感放射線性樹脂組成物であることを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−211044(P2009−211044A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276313(P2008−276313)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】