説明

調整方法

【課題】簡単な構成で容易に撮像面の傾斜状態を検出可能な傾斜検出方法を提供する。
【解決手段】2つの撮像装置のそれぞれについて、撮像装置の傾斜状態を検出する傾斜検出工程と、撮像装置の傾斜を調整する傾斜調整工程と、撮像装置の位置を検出する位置検出工程と、撮像装置の位置を調整する位置調整工程と、を有し、傾斜検出工程は、均等間隔で設けられたパターンを、撮像装置の焦点位置を順次変化させて撮像し、撮像画像におけるパターン位置を検出してパターン領域を設定し、パターン領域における各画素の輝度値を検出し、検査方向に沿って画素間の輝度変化量を算出し、各パターン領域における輝度変化量の積算値を算出し、積算値が最大となる撮像画像に対応した焦点一致位置を検出し、焦点一致位置に基づいて、撮像装置の傾斜状態を検出することを特徴とする調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査対象を撮像手段により撮像し、撮像画像に基づいて被検査対象を検査する検査装置が知られている。このような検査装置では、撮像手段に入射する入射光を撮像するが、入射光の光軸が、測定物に対して傾斜している場合、1画面内の全領域に対して正確にフォーカスを合わせることができない。これに対して、照明光軸に対する撮像素子のアオリ角度を判定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の検査装置では、撮像素子のアオリを検出または調整する方法として5つのアオリ判定方法が示されている。
すなわち、判定方法1として、撮像面の近傍に複数のセンサーを配置して、撮像素子の撮像面を撮像し、これらの撮像画像からアライメントマークの位置や間隔などの形状情報を認識して、アオリを検出する方法が示されている。
判定方法2として、撮像面の高さを求める複数のセンサーを設け、撮像面の複数個所の高さを求めることでアオリを検出する方法が示されている。
判定方法3として撮像面に光を照射し、撮像素子の傾斜角度を様々な向きに変化させながら、出力信号の最大値を山登り方式で取得することでアオリを調整する方法が示されている。
判定方法4として、撮像素子から出力される出力信号から撮像領域の輝度分布を求め、これらの輝度分布の偏りに基づいてアオリを検出する方法が示されている。
判定方法5として、撮像面にパターン画像を投影し、撮像画像とパターン画像とを比較することでアオリを検出する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−313143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような従来のアオリの判定方法1や判定方法2では、複数のセンサーを別途設ける必要があるため、構成の複雑化や、部品点数の増大を招くなどの問題がある。また、判定方法3では、撮像素子の姿勢をあらゆる方向に変更させて、出力信号を検出し、出力最大値を山登り方式に探索する必要があるため、探索時間が長時間となり、アオリ調整の要する時間も長くなる問題がある。さらに、判定方法4では、撮像面に照射される光に輝度ムラがある場合、アオリがない場合でも、アオリがあると判断してしまう場合もあり、アオリ検出の精度が低下するという問題がある。さらには、判定方法5では、撮像素子の入射光軸に対してパターン画像の投影画像光の光軸が傾斜している場合やずれている場合では、アオリ検出の精度が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0007】
[適用例1]検査対象物を載置する載置部を挟んで互いに対向する2つの撮像装置の光軸を調整する調整方法であって、前記2つの撮像装置のそれぞれについて、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する傾斜状態を検出する傾斜検出工程と、前記傾斜検出工程で検出した傾斜状態に基づいて、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する傾斜を調整する傾斜調整工程と、前記傾斜調整工程の後に、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する位置を検出する位置検出工程と、前記位置検出工程で検出した前記位置に基づいて、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する位置を調整する位置調整工程と、を有し、前記傾斜検出工程は、前記載置部に、均等間隔でパターンが形成されるパターン画像を設けるパターン設置工程と、前記撮像装置の焦点位置を順次変化させるとともに、所定距離間隔で前記パターン画像を撮像し、撮像画像を取得するパターン撮像工程と、前記パターン撮像工程により取得される前記撮像画像における前記パターンの位置を検出するとともに、前記撮像画像から少なくとも前記パターンの一部を含むパターン領域を設定するパターン領域設定工程と、前記パターン領域における各画素の輝度値を検出し、所定の検査方向に沿って画素間の輝度変化量を算出する輝度変化量算出工程と、前記パターン領域における前記輝度変化量の積算値を算出する変化量積算工程と、前記パターン領域における前記積算値が最大となる前記撮像画像に対応した前記焦点位置を、焦点一致位置として検出する焦点一致検出工程と、前記焦点一致位置に基づいて、前記傾斜状態を検出する傾斜検出工程と、を有する、ことを特徴とする調整方法。
【0008】
この適用例の調整方法は、検査対象物を載置する載置部を挟んで互いに対向する2つの撮像装置の光軸を調整する調整方法であって、2つの撮像装置のそれぞれについて、傾斜検出工程と、傾斜調整工程と、位置検出工程と、位置調整工程と、を有する。
傾斜検出工程では、撮像装置の光軸の載置部に対する傾斜状態を検出する。
傾斜調整工程では、傾斜検出工程で検出した傾斜状態に基づいて、撮像装置の光軸の載置部に対する傾斜を調整する。
位置検出工程では、傾斜調整工程の後に、撮像装置の光軸の載置部に対する位置を検出する。
位置調整工程では、位置検出工程で検出した位置に基づいて、撮像装置の光軸の載置部に対する位置を調整する。
ここで、傾斜検出工程は、パターン設置工程と、パターン撮像工程と、パターン領域設定工程と、輝度変化量算出工程と、変化量積算工程と、焦点一致検出工程と、傾斜検出工程と、を有する。
この調整方法によれば、パターン設置工程において、載置部にパターン画像を設置し、パターン撮像工程において、撮像装置と載置部との距離を変更した複数の撮像画像を取得する。パターン領域設定工程において、この撮像画像内からパターンの少なくとも一部が含まれるパターン領域を設定し、輝度変化量算出工程および変化量積算工程において、このパターン領域における輝度変化量の積算値を算出する。ここで、撮像装置の焦点位置がパターン画像に一致している状態では、撮像画像内におけるパターンの境界(エッジ部分)において、輝度変化量が大きくなるため、パターン領域内における輝度変化量の積算値も大きくなる。このように、パターン領域の輝度変化量の積算値が最大となる場合、撮像装置の焦点位置が、そのパターン領域に対応するパターン画像の一領域に一致するということを示し、焦点一致検出工程では、この撮像装置の焦点位置を焦点一致位置として検出する。すなわち、焦点一致検出工程において、複数のパターン領域に対してそれぞれ輝度変化量の積算値が最大となる撮像画像を検出することで、パターン画像上の各パターン領域に対応する領域と撮像装置の焦点位置とが一致する、撮像装置の調整位置または撮像装置を構成するレンズの調整位置である焦点一致位置を検出することができる。そして、傾斜検出工程では、これらの焦点一致位置に基づいて、容易に、載置部に対する撮像装置の光軸の傾斜状態を検出することができる。
このように撮像画像に基づいて載置部に対する撮像装置の光軸の傾斜状態を検出するため、例えば複数のセンサーなどを別途設ける必要がなく、簡単な構成で容易に傾斜状態検出処理を実施することができる。また、載置部や撮像装置の撮像面を様々な方向に傾斜させるなどの複雑な動作が不要であり、撮像装置の焦点位置を調整するだけの簡単な動作、すなわち、撮像装置を載置部に対して一方向に進退させたり、撮像装置の入射光学系のレンズを進退移動させたりするだけで、傾斜状態検出を実施することができ、傾斜状態検出処理に要する時間も短縮できる。
また、パターン画像の撮像画像に対して、複数のパターン領域を設定し、それぞれ輝度変化量の積算値に基づいて、各パターン領域に対するパターン画像上の所定領域の傾斜状態を検出するため、撮像装置に対して、輝度ムラがない光を照射するなどの操作も不要であり、容易に精度の高い傾斜状態検出を実施することができる。
さらに、この調整方法では、2つの撮像装置のそれぞれについて位置検出工程と位置調整工程とを実施するので、2つの撮像装置の光軸同士を合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態における検査装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるパターン画像の一例を示す図。
【図3】本実施形態における第1撮像部及び第2撮像部の撮像実施位置を示す図。
【図4】本実施形態における撮像画像データの一部を示す図。
【図5】本実施形態における撮像画像データの各画素における輝度変化量を示した図。
【図6】本実施形態における撮像画像データの所定のパターン領域において、第1撮像部及び第2撮像部の焦点位置を変化させた場合の輝度変化積算値の変化を示す図であり、(A)は、パターン領域の例を示す図、(B)は、(A)で示されるパターン領域における輝度変化積算値の変化曲線を示す図である。
【図7】本実施形態における傾斜状態表示画像の一例を示す図。
【図8】本実施形態における検査装置の調整方法のフローチャート。
【図9】本実施形態における傾斜検出工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
[検査装置の構成]
図1において、検査装置1は、載置部2に載置された検査対象を、Z方向の上方及び下方のそれぞれから撮像し、撮像画像に基づいて各種検査を実施する装置である。検査装置1は、例えば、液晶パネルなどの表示体の検査装置、半導体ウエハーなどの構造物の構造形状や付着物の有無を検査する検査装置などの撮像画像に基づいて精密に欠陥などを検査する装置や、検査対象物の詳細形状を検査する顕微鏡などの他、種々の検査に適用できる。そして、この検査装置1は、載置部2と、第1撮像装置3と、第2撮像装置4と、制御装置6と、を備えている。載置部2には、検査対象物やパターン部材7が載置される。
【0012】
第1撮像装置3は、Z方向において、載置部2の上側に設けられている。第2撮像装置4は、Z方向において、載置部2の下側に設けられている。第1撮像装置3及び第2撮像装置4は、載置部2を挟んで互いに対向している。
第1撮像装置3は、第1撮像部8と、第1撮像部8を載置部2に対して接離移動させる焦点調整手段としての第1進退駆動部9と、を有している。
第2撮像装置4は、第2撮像部11と、第2撮像部11を載置部2に対して接離移動させる焦点調整手段としての第2進退駆動部12と、を有している。
制御装置6は、傾斜検出装置として検査装置1の動作を制御する。制御装置6は、載置部2、第1撮像装置3及び第2撮像装置4を、それぞれ個別に制御する。
【0013】
載置部2は、台座部15と、第1X軸ステージ16と、第1Y軸ステージ17と、第2X軸ステージ18、第2Y軸ステージ19と、を有している。
第1Y軸ステージ17及び第2Y軸ステージ19は、それぞれ、台座部15に配置されている。第1Y軸ステージ17上には、第1X軸ステージ16が配置されている。第2Y軸ステージ19上には、第2X軸ステージ18が配置されている。
第1X軸ステージ16には、検査対象物やパターン部材7が載置される。
第2X軸ステージ18上には、第1撮像装置3が配設されている。
第1X軸ステージ16に載置された検査対象物やパターン部材7は、第1Y軸ステージ17及び第1X軸ステージ16によって、X方向及びY方向のそれぞれの方向に移動することができる。
【0014】
同様に、第1撮像装置3は、第2Y軸ステージ19及び第2X軸ステージ18によって、X方向及びY方向のそれぞれの方向に移動可能に構成されている。
上記の構成を有する載置部2は、制御装置6に接続されている。そして、第1Y軸ステージ17及び第2Y軸ステージ19は、制御装置6からの指令に基づいて、それぞれ個別にY方向に移動する。また、第1X軸ステージ16及び第2X軸ステージ18も、制御装置6からの指令に基づいて、それぞれ個別にX方向に移動する。
なお、本実施形態では、台座部15、第1X軸ステージ16及び第1Y軸ステージ17は、それぞれ、光透過性を有する材料で構成されている。このため、第1X軸ステージ16に載置された検査対象物やパターン部材7を、第2撮像装置4で撮像することができる。光透過性を有する材料としては、例えば、ガラスや樹脂などが挙げられる。
【0015】
ここで、傾斜検出方法において用いられるパターン部材7について説明する。パターン部材7は、光透過性を有する材料で構成されている。パターン部材7は、例えば表面にパターン画像が形成された均等厚み寸法に形成される板状部材である。また、このパターン部材7は、底面が平滑面に形成され、第1X軸ステージ16上に略密着状態で載置可能に構成されている。
パターン部材7の表面には、例えば図2に示すように、パターン画像21が形成されている。本実施形態では、パターン画像21は、複数の円形パターン22を有している。パターン画像21において、複数の円形パターン22は、X軸方向およびY軸方向に対して均等に配設されパターン画像21を構成している。
【0016】
なお、パターン画像21としては、上記構成に限らず、例えば複数の矩形パターンがX軸方向およびY軸方向に均等配置される画像などを用いてもよい。
また、パターン部材7には、略中央部に基準パターン23が設けられている。本実施形態では、基準パターン23として、十字形のパターンが採用されている。この基準パターン23は、第1撮像部8と第2撮像部11との光軸同士を合わせるときに活用される。
本実施形態では、基準パターン23として十字形のパターンが採用されているが、基準パターン23はこれに限定されない。基準パターン23としては、例えば、矩形や星形などの種々の多角形や、円形パターン22などの任意の形状や、文字や記号などを含む図柄や模様などの任意のパターンが採用され得る。
【0017】
第1撮像部8は、図1に示すように、載置部2にZ方向の上方から対向して設けられ、載置部2に載置される検査対象物やパターン部材7を、載置部2のZ方向の上方から撮像する。第1撮像部8は、カメラ26と、入射光学系27と、傾斜調整手段28と、を備えている。入射光学系27は、載置部2から入射する入射光をカメラ26に導く。傾斜調整手段28は、カメラ26および入射光学系27の傾斜角度を調整する。なお、カメラ26および入射光学系27により撮像手段が構成される。また、第1撮像部8は、アーム29により保持されており、このアーム29は、第1進退駆動部9によりZ方向に沿って進退可能、すなわち載置部2に接離移動可能に設けられている。
【0018】
第2撮像部11は、載置部2にZ方向の下方から対向して設けられている。第2撮像部11は、載置部2に載置される検査対象物やパターン部材7を、台座部15、第1Y軸ステージ17及び第1X軸ステージ16を介して載置部2のZ方向の下方から撮像する。第2撮像部11は、カメラ31と、入射光学系32と、傾斜調整手段33と、を備えている。入射光学系32は、載置部2から入射する入射光をカメラ31に導く。傾斜調整手段33は、カメラ31および入射光学系32の傾斜角度を調整する。なお、カメラ31および入射光学系32により撮像手段が構成される。また、第2撮像部11は、アーム34により保持されており、このアーム34は、第2進退駆動部12によりZ方向に沿って進退可能、すなわち載置部2に接離移動可能に設けられている。
【0019】
カメラ26及びカメラ31は、図示は省略するが、それぞれ、複数の撮像素子をマトリクス状に配列した撮像面を備えている。これらの撮像素子は、入射光を受光すると、光電変換処理により受光量に応じた電気信号を生成する。そして、カメラ26及びカメラ31は、それぞれ、入射する光に応じて各撮像素子から出力される電気信号を撮像画像データとして、制御装置6に出力する。
【0020】
入射光学系27及び入射光学系32は、それぞれ、載置部2に対向して設けられ、カメラ26及びカメラ31の各撮像素子に載置部2から入射する光を導く。入射光学系27及び入射光学系32は、それぞれ、複数のレンズなどの光学部品を備え、これらの光学部品は、光軸がカメラ26やカメラ31の撮像面に対して直交するように配置されている。なお、入射光学系27及び入射光学系32は、それぞれ、各光学部品を光軸方向に沿って移動させてピント合わせを実施するピント調整機構を備える構成としてもよい。
【0021】
傾斜調整手段28及び傾斜調整手段33は、それぞれ、制御装置6から入力される制御信号により駆動する。傾斜調整手段28は、撮像手段であるカメラ26および入射光学系27を、信号に応じた角度に傾斜させる。また、傾斜調整手段33は、撮像手段であるカメラ31および入射光学系32を、信号に応じた角度に傾斜させる。
第1進退駆動部9は、上述したように、アーム29を介して第1撮像部8を保持している。第2進退駆動部12は、アーム34を介して第2撮像部11を保持している。
第1進退駆動部9は、アーム29をZ軸方向(載置部2に対して接離する方向)に進退可能に保持し、制御装置6から入力される制御信号に応じて、アーム29をZ軸方向に沿って進退させる。第2進退駆動部12は、アーム34をZ軸方向(載置部2に対して接離する方向)に進退可能に保持し、制御装置6から入力される制御信号に応じて、アーム34をZ軸方向に沿って進退させる。
【0022】
なお、本実施形態では、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12によりアーム29やアーム34を駆動させて第1撮像部8の焦点及び第2撮像部11の焦点を調整する構成が例示される。しかしながら、第1撮像部8の焦点や第2撮像部11の焦点の調整方法は、これに限定されない。
焦点の調整方法としては、例えば、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12が直接的に第1撮像部8や第2撮像部11をZ軸方向に移動させる方法も採用され得る。この構成によれば、アーム29やアーム34を省略することができるので、振動などを防止することができ、より精密に第1撮像部8や第2撮像部11を駆動させることができる。
さらに、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12により入射光学系27や入射光学系32内の光学部品を進退させて第1撮像部8や第2撮像部11のピントを載置部2に載置される検査対象物やパターン部材7に合わせる方法も採用され得る。
【0023】
制御装置6は、検査装置1の全体の動作を制御する。制御装置6は、第1撮像部8の載置部2に対する傾斜状態の検出、第1撮像部8の傾斜修正、検査対象物の検査処理などを実施する。また、制御装置6は、第2撮像部11の載置部2に対する傾斜状態の検出、第2撮像部11の傾斜修正、検査対象物の検査処理なども実施する。なお、制御装置6としては、例えば汎用パーソナルコンピューターなどを用いてもよい。
制御装置6は、図1に示すように、入出力部41と、入力操作部42と、記憶部43と、演算処理部44と、を備えている。
【0024】
入出力部41は、第1撮像装置3、第2撮像装置4、および載置部2に接続されている。入出力部41は、第1撮像装置3、第2撮像装置4、および載置部2のそれぞれに対して、演算処理部44から出力される制御信号を出力する。また、入出力部41は、第1撮像部8や第2撮像部11から撮像画像データ46(図3、図4および図6参照)が入力されると、この撮像画像データ46を演算処理部44に出力する。また、入出力部41は、ディスプレイやプリンターなどの出力装置47を接続可能な端子を備えており、後述する演算処理部44の制御により各種処理結果を出力する。
【0025】
入力操作部42は、例えばキーボードやマウスなどの入力手段を備え、利用者によりこれらの入力手段が操作されることで、操作内容に応じた操作信号を演算処理部44に出力する。
記憶部43は、各種データやプログラムなどを記憶する。この記憶部43としては、例えばHDDやメモリー、CDやDVDなどの記録媒体を駆動するドライブなどが挙げられる。
演算処理部44は、CPUなどの集積回路により構成され、記憶部43に記憶されるプログラムにより所定の演算処理を実施する。演算処理部44により実施されるプログラムとしては、図1に示すように、フォーカス制御手段51、傾斜演算手段52、傾斜修正手段53、検査手段54などが含まれている。
【0026】
フォーカス制御手段51は、オートフォーカス処理を実施し、第1撮像部8や第2撮像部11の基準位置を設定する。ここで、オートフォーカス処理としては、特に限定されない。オートフォーカス処理としては、例えば第1撮像部8や第2撮像部11から入力される撮像画像データを参照しながら、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12を進退移動させ、撮像画像データのコントラストが最大となる点を検出する、いわゆるコントラスト検出方式が採用され得る。また、オートフォーカス処理としては、赤外線などを照射することで、第1撮像部8や第2撮像部11と載置部2上に載置されるパターン部材7との距離を検出するアクティブ方式も採用され得る。そして、載置部2上のパターン部材7に対して第1撮像部8や第2撮像部11のピントが合う位置を基準位置として設定する。
なお、本実施形態では、オートフォーカス処理時に、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12を駆動させて、載置部2上のパターン部材7に対してピントが合う位置に第1撮像部8や第2撮像部11を移動させる構成を例示するが、これに限定されない。例えば、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12を駆動して第1撮像部8や第2撮像部11をZ軸方向の変位可能範囲の中心位置に移動させ、入射光学系27や入射光学系32のレンズを進退させることでピントを合わせる構成としてもよい。この場合、第1撮像部8や第2撮像部11の基準位置は、Z軸方向の変位可能範囲の中心位置に設定される。
さらには、フォーカス制御手段51によりオートフォーカス処理を実施する構成を例示するが、例えば後述の撮像制御手段61にオートフォーカス処理を実施する機能を持たせる構成などとしてもよい。
【0027】
傾斜演算手段52は、第1撮像装置3による撮像画像データ46に基づいて、第1撮像部8の入射光学系27の光軸に対する載置部2の傾斜状態(アオリ)を求める。また、傾斜演算手段52は、第2撮像装置4による撮像画像データ46に基づいて、第2撮像部11の入射光学系32の光軸に対する載置部2の傾斜状態(アオリ)を求める。
この傾斜演算手段52は、撮像制御手段61と、パターン領域設定手段62と、輝度変化量算出手段63と、変化量積算手段64と、焦点一致検出手段65と、傾斜検出手段66と、を備えている。
【0028】
撮像制御手段61は、第1撮像部8や第2撮像部11を所定位置に移動させる旨のZ軸制御信号を生成し、生成したZ軸制御信号を第1進退駆動部9や第2進退駆動部12に出力する。
撮像制御手段61は、第1撮像部8や第2撮像部11を制御して撮像動作を実施させ、第1撮像部8や第2撮像部11から入力される撮像画像データ46を取得する。
ここで、撮像制御手段61は、図3に示すように、第1撮像部8や第2撮像部11により撮像画像データ46を取得させる制御をする。図3は、第1撮像部8や第2撮像部11の撮像実施位置を示す図である。すなわち、撮像制御手段61は、フォーカス制御手段51にて設定された基準位置を中心とし、この基準位置から±Z方向に対して予め設定された範囲内で第1撮像部8や第2撮像部11を移動させる。この時、撮像制御手段61は、第1撮像部8や第2撮像部11を予め設定された駆動量(例えば1μm)間隔で駆動させて、それぞれの位置で第1撮像部8や第2撮像部11に撮像画像データ46を取得させる制御をする。そして、撮像制御手段61は、取得した撮像画像データ46と、この撮像画像データ46に対応する第1撮像部8や第2撮像部11の位置データを関連付けて、記憶部43に適宜読み出し可能に記憶する。
【0029】
パターン領域設定手段62は、記憶部43に記憶された撮像画像データ46に含まれる円形パターン22の位置を検出し、これらの円形パターン22の位置データから、パターン画像21に対する撮像画像データ46の座標位置を検出する。すなわち、第1撮像部8や第2撮像部11をZ軸方向に移動させて撮像を実施した場合、各撮像画像データ46の尺度が僅かに異なり、円形パターン22も僅かに異なる位置に配置された画像となる。したがって、パターン領域設定手段62は、まず円形パターン22の位置を検出し、この円形パターン22の位置データからパターン画像21に対する座標位置を設定する。つまり、各撮像画像データ46の各画素が、パターン画像21のどの位置に対応する画素であるかを示す座標位置を設定する。そして、パターン領域設定手段62は、これらの座標が設定された各撮像画像データ46を、複数のパターン領域71に分割する。ここで、図4は、撮像画像データ46の一部を示す図である。パターン領域設定手段62は、図4に示すように、1つのパターン領域71内に1つの円形パターン22が含まれるように、撮像画像データ46から複数の正方形状のパターン領域71を均等分割する。
【0030】
輝度変化量算出手段63は、図5に示すように、各パターン領域71に対して、所定検査方向に対して輝度変化量を算出する。図5は、撮像画像データ46の各画素における輝度変化量を示した図である。
この輝度変化量算出手段63は、所定検査方向に沿って画素間の輝度変化量を算出する。本実施形態では、図5に示すように、X軸方向を検査方向とし、X軸方向に沿って互いに輝度変化量の算出対象画素に隣接する一対の画素間の輝度変化量を算出する。具体的には、輝度変化量算出手段63は、輝度変化量の算出対象画素の座標を(x,y)として、この点(x、y)の輝度変化量をK(x,y)とすると、次式(1)によりこの輝度変化量を算出する。
【0031】
K(x,y)=abs(A(x−1,y)−A(x+1,y)) …(1)
上記式(1)において、A(x−1,y)およびA(x+1,y)は、それぞれ点(x−1,y)および点(x+1,y)における輝度値である。すなわち、輝度変化量算出手段63は、検査方向(X軸方向)に沿って算出対象画素に隣接する一対の画素の輝度値を検出し、これらの輝度差の絶対値を算出対象画素の輝度変化量K(x,y)とする。
また、輝度変化量算出手段63は、ここで算出された各画素に対する輝度変化量K(x,y)を輝度値とした図5に示すような輝度変化量表示画像を表示させる処理をしてもよい。
【0032】
変化量積算手段64は、各パターン領域71内に含まれる画素の輝度変化量を積算してパターン領域71における輝度変化積算値を算出する。
【0033】
焦点一致検出手段65は、第1撮像部8や第2撮像部11を複数の高さ位置に設定して取得される複数の撮像画像データ46に対して、上記変化量積算手段64にて算出される各パターン領域71の輝度変化積算値を読み込み、これらのパターン領域71における焦点一致位置を検出する。
ここで、図6に、撮像画像データ46の所定のパターン領域71において、第1撮像部8や第2撮像部11の焦点位置を変化させた場合の輝度変化積算値の変化を示す図を示す。図6において、(A)は、パターン領域71の例を示す図であり、(B)は、(A)で示されるパターン領域71における輝度変化積算値の変化曲線を示す図である。
図6に示すように、第1撮像部8や第2撮像部11の焦点位置を変化させると、輝度変化積算値も変化する。
すなわち、第1撮像部8や第2撮像部11の焦点位置が、パターン部材のパターン領域71に対応する領域に一致する(ピントが合っている)場合、パターン領域71内の円形パターン22の外周エッジにボヤケが生じないため、外周エッジを挟む画素において輝度変化量が大きくなり、輝度変化積算値も大きくなる。これに対して、第1撮像部8や第2撮像部11の焦点位置が変化し、ピントがずらされると、パターン領域71内の円形パターン22の外周エッジにボヤケが生じて輝度変化量も小さくなる。この場合、パターン領域71内における輝度変化積算値も小さくなる。
焦点一致検出手段65は、輝度変化積算値が最大となる点を検出することで、そのパターン領域71に対して、第1撮像部8や第2撮像部11をどの位置に移動させた際に焦点位置がパターン画像に一致するか、すなわち焦点一致位置を検出する。図6の例では、焦点一致検出手段65は、パターン領域71Aに対して第1撮像部8や第2撮像部11の高さ位置が「10」となる位置を焦点一致位置として検出し、パターン領域71Bに対して第1撮像部8の高さ位置が「7」となる位置を焦点一致位置として検出する。
【0034】
傾斜検出手段66は、各パターン領域71の焦点一致位置に基づいて、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態(アオリ)を検出する。
具体的には、傾斜検出手段66は、各パターン領域71の焦点一致位置を示す図7に示すような傾斜状態表示画像73を生成する。この傾斜状態表示画像73は、パターン領域設定手段62により設定されたパターン領域71と同一サイズの矩形領域を均等に敷き詰め、これらの矩形領域に焦点一致位置に応じた色を表示させた画像である。
ここで、図6の例のように、パターン領域71Aの焦点一致位置が基準位置(高さ位置「10」)であり、パターン領域71Bの焦点一致位置の高さ位置が「7」である場合、載置部2は、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対してパターン領域71Bに対する部分が第1撮像部8や第2撮像部11から離れる方向に傾斜していると判断できる。すなわち、図7に示すように、各パターン領域71に対して焦点一致位置を表示することにより、載置部2の傾斜状態が容易に判断可能となる。なお、本実施形態では、傾斜検出手段66は、図7に示すような傾斜状態表示画像73を生成したが、例えば各パターン領域71に対する焦点一致位置を具体的な数値として表示させる画像を生成してもよい。
【0035】
傾斜修正手段53は、傾斜検出手段66により検出される検出結果に基づいて、第1撮像部8や第2撮像部11の傾斜を修正する傾斜修正信号を生成し、傾斜調整手段28や傾斜調整手段33に出力する。例えば、図6に示すように、載置部2のパターン領域71Bに対応する領域において、第1撮像部8や第2撮像部11から離れる方向に傾斜している場合、第1撮像部8や第2撮像部11のパターン領域71Bに対応する撮像面が載置部2側に、焦点一致位置に応じた寸法だけ傾斜するように傾斜修正信号を生成し、傾斜調整手段28や傾斜調整手段33に出力する。
なお、傾斜修正手段53は、利用者の手入力に従い、傾斜修正信号を生成して傾斜調整手段28や傾斜調整手段33に出力する構成などとしてもよい。
【0036】
検査手段54は、第1撮像部8や第2撮像部11から入力される撮像画像データ46に基づいて、載置部2に載置された検査対象物の検査を実施する。
【0037】
[検査装置の動作]
検査装置1における調整方法を説明する。
検査装置1における調整方法は、第1撮像部8の光軸と第2撮像部11の光軸とを合わせ、且つ第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれのアオリを調整する方法である。
図8は、本実施形態における検査装置の調整方法のフローチャートである。
【0038】
検査装置1における調整方法は、パターン設置工程S1と、傾斜検出工程S2と、傾斜調整工程S3と、位置検出工程S4と、位置調整工程S5と、を含む。
パターン設置工程S1では、検査装置1の載置部2にパターン部材7を載置する。なお、載置部2の第1X軸ステージ16上にパターン画像21が形成されている場合は、すでにパターン画像21の設置が完了しているため、パターン設置工程S1の処理を省略してもよい。
【0039】
次いで、傾斜検出工程S2では、第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれに対して、図9に示す傾斜検出工程S2を実施する。
傾斜検出工程S2は、図9に示すように、オートフォーカス工程S201と、パターン撮像工程S202と、パターン領域設定工程S203と、輝度変化量算出工程S204と、変化量積算工程S205と、焦点一致検出工程S206と、傾斜検出工程S207と、を含む。
オートフォーカス工程S201では、制御装置6のフォーカス制御手段51が、第1撮像部8や第2撮像部11から入力される撮像画像データを参照しながら、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12を駆動させ、撮像画像データのコントラストが最大となる基準位置に第1撮像部8や第2撮像部11を移動させる。
【0040】
次いで、パターン撮像工程S202では、制御装置6の傾斜演算手段52が、撮像制御手段61により第1進退駆動部9や第2進退駆動部12を駆動させて、第1撮像部8や第2撮像部11を基準位置から所定範囲内の高さ位置で、1μm間隔でZ方向に沿って進退させ、各高さ位置においてパターン画像21を撮像して撮像画像データ46を取得する。また、撮像制御手段61は、撮像により得られた撮像画像データ46を、その撮像画像データ46が撮像された高さ位置に関する位置データと関連付けて記憶部43に記憶する。
次いで、パターン領域設定工程S203では、傾斜演算手段52が、パターン領域設定手段62により、パターン撮像工程S202にて取得された各撮像画像データ46から、各円形パターン22の位置を検出する。そして、パターン領域設定手段62は、各撮像画像データ46の各画素がパターン画像21のどの位置に対応する画素であるかを示す座標位置を、円形パターン22の位置データに基づいて設定する。
そして、パターン領域設定手段62は、図4に示すように、撮像画像データ46を複数のパターン領域71に分割する処理を実施する。
【0041】
次いで、輝度変化量算出工程S204では、傾斜演算手段52が、輝度変化量算出手段63により、パターン領域設定工程S203にて設定された各パターン領域71に対して、X軸方向を検査方向とし、式(1)を用いて、各画素の輝度変化量を算出する。また、傾斜演算手段52は、パターン撮像工程S202にて取得した全ての撮像画像データ46およびパターン領域設定工程S203にて設定された全てのパターン領域71に対して、各画素における輝度変化量を算出する。
次いで、変化量積算工程S205では、傾斜演算手段52が、変化量積算手段64により、輝度変化量算出工程S204にて算出された輝度変化量を、各パターン領域71毎に積算し、各パターン領域71における輝度変化積算値を算出する。
次いで、焦点一致検出工程S206では、傾斜演算手段52が、焦点一致検出手段65により、各パターン領域71に対して、変化量積算工程S205にて算出される輝度変化積算値が最大となる撮像画像データ46を検出する。そして、焦点一致検出手段65は、検出された撮像画像データ46に対応する第1撮像部8や第2撮像部11のZ方向に沿う位置データを、パターン領域71に対する焦点一致位置として検出する。
【0042】
次いで、傾斜検出工程S207では、傾斜演算手段52は、傾斜検出手段66により、焦点一致検出工程S206にて検出された各パターン領域71に対する焦点一致位置に基づいて、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態を検出し、図7に示すような傾斜状態表示画像73を生成する。
図9に示す傾斜検出工程S2に次いで、図8に示す傾斜調整工程S3では、傾斜調整手段28や傾斜調整手段33により、第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれの傾斜を調整する。
【0043】
次いで、位置検出工程S4では、第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれでパターン部材7の基準パターン23(図2)を撮像する。そして、演算処理部44は、撮像結果に基づいて、第1撮像部8や第2撮像部11の基準パターン23に対する位置を検出する。これにより、基準パターン23に対する第1撮像部8や第2撮像部11の位置が把握され得る。
次いで、位置調整工程S5では、第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれの光軸の位置を調整する。
第1撮像部8及び第2撮像部11のそれぞれの光軸の位置は、パターン部材7の基準パターン23をカメラ26やカメラ31の視野の略中央に位置させることによって実施される。
基準パターン23がカメラ31の視野の略中央からずれているときには、第1X軸ステージ16や第1Y軸ステージ17を駆動することによって、カメラ31に対するパターン部材7の位置を変化させる。
他方で、基準パターン23がカメラ26の視野の略中央からずれているときには、第2X軸ステージ18や第2Y軸ステージ19を駆動することによって、パターン部材7に対するカメラ26の位置を変化させる。
上記により、第1撮像部8と第2撮像部11との光軸同士を合わせることができる。
【0044】
[検査装置の作用効果]
上述したように、検査装置1では、パターン設置工程により載置部2にパターン画像21を設置し、撮像制御手段61により、第1撮像部8や第2撮像部11の高さ位置を変更しながらパターン画像21を撮像して撮像画像データ46を取得するパターン撮像工程を実施する。そして、制御装置6の傾斜演算手段52は、パターン領域設定手段62により撮像画像データ46を複数のパターン領域71に分割するパターン領域設定工程を実施し、撮像画像データ46内の各画素に対して、輝度変化量算出手段63により、輝度変化量算出工程を実施して、検査方向に沿って画素間の輝度変化量を算出する。また、変化量積算手段64は、各パターン領域71に対して輝度変化積算値を算出する変化量積算工程を実施する。この後、焦点一致検出手段65は、各パターン領域71に対して、輝度変化積算値が最大となる撮像画像データ46を取得し、この撮像画像データ46に対応する第1撮像部8や第2撮像部11の高さ位置を焦点一致位置として検出する焦点一致検出工程を実施する。そして、傾斜検出手段66は、この焦点一致位置に基づいて、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態を検出する傾斜検出工程を実施する。
【0045】
このため、撮像画像データ46の各パターン領域71の輝度変化量に基づいて検出される焦点一致位置に基づいて、各パターン領域71に対してそれぞれ、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態を検出することができる。したがって、載置部2における傾斜位置や傾斜量を、領域毎に詳細に検出することができ、精度のよい傾斜検出処理を実施することができる。また、例えばパターン画像21に対して輝度ムラを有する光が照射されていた場合でも、第1撮像部8や第2撮像部11をZ軸方向に移動させる間、同一強度の光が照射されていれば、各パターン領域71に対応する領域に照射される光量が一定となる。したがって、輝度ムラの影響を受けることなく、正確に載置部2の傾斜状態を検出することができる。
また、撮像画像データ46に基づいて傾斜検出処理を実施するため、例えば複数のセンサーなどを用いる必要がなく、検査装置の低価格化を実現できる。また、第1撮像部8や第2撮像部11をZ方向に移動させて第1撮像部8や第2撮像部11により撮像を実施するため、例えば第1撮像部8や第2撮像部11をX軸方向およびY軸方向の双方向に対する様々な方向に傾斜させて撮像を実施する手法に比べて、処理時間を大幅に縮めることができ、傾斜検出処理の迅速化を図ることができる。
【0046】
また、パターン画像21は、X軸方向およびY軸方向に対して均等間隔に配置される円形パターン22を備えている。
このため、輝度変化量算出手段63により、X軸方向を検査方向として画素間の輝度変化量を容易に算出することができる。また、検査方向をY軸方向に設定した場合でも、輝度変化量を算出することができる。すなわち、本実施形態では、X軸方向のみを検査方向として輝度変化積算値を算出し、この輝度変化積算値に基づいて焦点一致位置を求めたが、例えば円形パターン22を有するパターン画像21では、X軸方向およびY軸方向に対してそれぞれ輝度変化量を算出し、これらの輝度変化量に基づいて輝度変化積算値を算出する構成などとしてもよく、この場合、さらに精度良く焦点一致位置を検出することができ、より良好に傾斜状態を検査することができる。
【0047】
そして、検査装置1は、フォーカス制御手段51を備え、オートフォーカス工程において、オートフォーカス処理を実施して基準位置を設定する。そして、パターン撮像工程では、この基準位置を中心とした所定範囲内で第1撮像部8や第2撮像部11を移動させて撮像画像データ46を取得する。
すなわち、検査装置1では、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の微小な傾斜状態を主として検出するものであり、この場合、基準位置を中心とした小範囲内に各パターン領域71の焦点一致位置が存在する。このような場合、第1撮像部8や第2撮像部11を移動可能な全範囲に対して例えば1μmずつ移動させ、その撮像画像データ46を取得する方法では、撮像画像データ46の数量が増大し、処理時間や処理負荷も増大する。これに対して、上記のように、基準位置を中心とした所定範囲内のみを検査対象とすることで、撮像画像データ46の数量が減少し、処理時間および処理負荷を軽減させることができる。
なお、載置部2の傾斜状態が大きい場合は、利用者が目視により確認可能であるため、予めある程度の傾斜状態に修正した後、本実施形態の傾斜状態検出方法を用いて第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態を検出する。
【0048】
そして、パターン領域設定工程では、パターン領域設定手段62は、撮像画像データ46を矩形状のパターン領域71で均等分割する。
このため、撮像画像データ46内の全てのパターン領域71に対して輝度変化積算値を算出し、この輝度変化積算値に基づいて焦点一致位置を検出することで、載置部2における傾斜位置および傾斜角度をより詳細に検出することができ、傾斜検出精度を向上させることができる。
【0049】
また、傾斜検出工程では、傾斜検出手段66は、各パターン領域71に対応する焦点一致位置を表示した傾斜状態表示画像73を生成する。
このため、例えば出力装置47にこの傾斜状態表示画像73を出力して、表示することで、利用者は、載置部2における傾斜位置、傾斜量を容易に確認することができる。したがって、利用者による第1撮像部8や第2撮像部11の載置部2に対する傾斜修正作業を良好にサポートすることができる。
さらに、傾斜修正手段53は、各パターン領域71に対する焦点一致位置や傾斜状態表示画像73に基づいて、傾斜修正信号を傾斜調整手段28に出力し、傾斜調整手段28にて第1撮像部8の傾斜状態を修正している。このため、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対して載置部2が傾斜している場合でも、傾斜検出処理を実施することで自動的に第1撮像部8や第2撮像部11の傾斜状態を修正することができる。
【0050】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、本発明の目的を達せられる範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、パターン部材7として均等厚み寸法を有する板状部材を載置部2の第1X軸ステージ16上に密着載置する構成を例示したが、例えば、上記したように、パターン部材7が膜状に形成され、載置部2上に貼り付け固定される構成などとしてもよい。さらには、載置部2にパターン画像21が直接形成される構成などとしてもよい。
【0052】
また、検査装置1としては、撮像手段により撮像される画像に基づいて、所定の処理を実施するものであれば、いかなるものをも対象とすることができ、例えば液晶パネルなどの表示体の画素欠陥を撮像画像に基づいて検出する画素欠陥検出装置、半導体ウエハーなどの構造物の構造欠陥、異物の付着などを撮像画像に基づいて検出する構造欠陥検出装置の他、検査対象物を詳細に検査するための顕微鏡などにも本発明を適用することができる。
さらに、検査装置に傾斜検出装置が含まれる構成を例示したが、傾斜検出装置が別体として設けられる構成であってもよい。
【0053】
さらには、第1撮像部8や第2撮像部11に傾斜調整手段28や傾斜調整手段33が設けられ、制御装置6の制御により傾斜調整手段28や傾斜調整手段33を駆動させて第1撮像部8や第2撮像部11の傾斜状態を変更する構成を例示したが、例えば手動により直接第1撮像部8や第2撮像部11の傾斜を変更する構成などとしてもよい。この場合でも、傾斜状態表示画像73を例えば出力手段に出力することで、この傾斜状態表示画像73を参照しながら容易にアオリ調整を実施することができる。
【0054】
また、入射光学系27や入射光学系32としては、ピント調整を有しない構成としてもよく、本実施形態のようにピント調整を有する構成としてもよい。また、本実施形態では、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12により第1撮像部8や第2撮像部11を進退移動させることで、各高さ位置に対応する複数の撮像画像データ46を取得する例を示したが、例えば、入射光学系27や入射光学系32内のピント調整機構を本発明の焦点調整手段として機能させ、ピント調整機構により光学部品を移動させることで複数の高さ位置に対応する撮像画像データ46を取得する構成としてもよく、第1進退駆動部9や第2進退駆動部12およびピント調整機構により焦点調整手段を構成する構成としてもよい。
【0055】
さらに、本実施形態では、図2に示すような円形パターン22を有するパターン画像21に対し、1つのパターン領域71内に1つの円形パターン22が含まれるように、パターン領域71を設定する例を示したが、例えば、2つ以上の円形パターン22が含まれるように、パターン領域71を設定する構成としてもよい。また、円形パターン22以外のパターンが形成されるパターン画像を用いた場合でも、少なくとも一部にパターンが含まれるようにパターン領域71を設定すればよい。さらには、上記では、撮像画像データ46を複数のパターン領域71に均等分割する例を示すが、各パターン領域71の面積がそれぞれ異なるものであってもよい。例えば、撮像画像データ46の中心領域では、パターン領域71の面積を大きくし、外周部に向かうにしたがってパターン領域71の面積を小さくする処理を実施してもよく、この場合、傾斜が大きくなる載置部2の周縁部近傍の傾斜状態を精度良く検出することができる。
【0056】
さらには、パターン領域設定工程において、パターン領域設定手段62は、撮像画像データ46を均等分割したパターン領域71を設定する構成としたが、これに限定されない。例えば、パターン領域設定手段62は、撮像画像データ46内の所定位置のみをパターン領域71として切り出す処理を実施してもよい。この場合、例えば撮像画像データ46の四隅部およびこれら四隅部間の合計9箇所に対してパターン領域71を設定することで、載置部2が大凡どの傾斜方向に傾斜しているかを検出することが可能となる。
【0057】
そして、輝度変化量算出手段63は、X軸方向を検査方向とし、検査方向に沿う画素間の輝度変化量を算出したが、例えばY軸方向を検査方向としてもよく、X軸およびY軸方向に対して交差する方向を検査方向としてもよい。さらには、上述したように、X軸方向に対する輝度変化量、Y軸に対する輝度変化量をそれぞれ算出し、これらの輝度変化量に基づいて傾斜状態を検出する構成としてもよく、この場合より精度よく載置部2および第1撮像部8や第2撮像部11の相対傾斜状態を検出することができる。
【0058】
また、輝度変化量算出手段63は、算出対象画素に隣接する2画素間の輝度差の絶対値を輝度変化量としたが、例えば算出対象画素と1つの隣接画素との輝度差の絶対値を輝度変化量としてもよく、算出対象画素と2つの隣接画素との輝度差の絶対値のうち大きい値を輝度変化量としてもよい。
【0059】
また、上記傾斜状態検出方法では、パターン撮像工程において、第1撮像部8や第2撮像部11を、予め設定された下設定値から上設定値までの範囲を移動させて撮像画像データ46を取得するが、焦点一致検出工程において、焦点一致位置が下設定値や上設定値であると検出された場合では、正確な焦点一致位置を取得できないおそれがある。この場合、再びパターン撮像工程に戻り、第1撮像部8や第2撮像部11の移動範囲を広げて、すなわち下設定値の値を下げ、上設定値の値を上げて、撮像画像データ46を取得する方法を用いてもよい。このような構成であれば、より適切な焦点一致位置を検出することが可能となるため、第1撮像部8や第2撮像部11の入射光軸に対する載置部2の傾斜状態をより精度良く検出することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…検査装置、2…載置部、3…第1撮像装置、4…第2撮像装置、6…制御装置、7…パターン部材、8…第1撮像部、9…第1進退駆動部、11…第2撮像部、12…第2進退駆動部、16…第1X軸ステージ、17…第1Y軸ステージ、18…第2X軸ステージ、19…第2Y軸ステージ、21…パターン画像、22…円形パターン、23…基準パターン、26…カメラ、27…入射光学系、28…傾斜調整手段、31…カメラ、32…入射光学系、33…傾斜調整手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を載置する載置部を挟んで互いに対向する2つの撮像装置の光軸を調整する調整方法であって、
前記2つの撮像装置のそれぞれについて、
前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する傾斜状態を検出する傾斜検出工程と、
前記傾斜検出工程で検出した傾斜状態に基づいて、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する傾斜を調整する傾斜調整工程と、
前記傾斜調整工程の後に、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程で検出した前記位置に基づいて、前記撮像装置の光軸の前記載置部に対する位置を調整する位置調整工程と、を有し、
前記傾斜検出工程は、
前記載置部に、均等間隔でパターンが形成されるパターン画像を設けるパターン設置工程と、
前記撮像装置の焦点位置を順次変化させるとともに、所定距離間隔で前記パターン画像を撮像し、撮像画像を取得するパターン撮像工程と、
前記パターン撮像工程により取得される前記撮像画像における前記パターンの位置を検出するとともに、前記撮像画像から少なくとも前記パターンの一部を含むパターン領域を設定するパターン領域設定工程と、
前記パターン領域における各画素の輝度値を検出し、所定の検査方向に沿って画素間の輝度変化量を算出する輝度変化量算出工程と、
前記パターン領域における前記輝度変化量の積算値を算出する変化量積算工程と、
前記パターン領域における前記積算値が最大となる前記撮像画像に対応した前記焦点位置を、焦点一致位置として検出する焦点一致検出工程と、
前記焦点一致位置に基づいて、前記傾斜状態を検出する傾斜検出工程と、を有する、
ことを特徴とする調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−68188(P2012−68188A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214846(P2010−214846)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】