説明

走行スケジュール作成装置およびプログラム

【課題】有料道路を利用しようとする時間帯を基に割引サービスの利用をより有効に享受できるようにするアドバイス情報を提示する。
【解決手段】地図データを探索し出発地から目的地までの経路を計算する経路計算手段と、経路の中に有料道路が含まれている場合には出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算し、その際、有料道路については平均移動可能速度、休憩条件に基づいて立ち寄るSA、PAを特定するとともに、有料道路の各区間の所要時間を計算して走行スケジュールを生成する有料道路利用時間推測手段と、走行スケジュールの有料道路入口と有料道路出口への予想到達時刻を有料道路の割引時間帯と比較し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合にはアドバイス情報を生成提示するアドバイス情報生成手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有料道路の割引時間帯の利用をアドバイスする情報を生成する走行スケジュール作成装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ETCの利用促進、高速道路の利用時間の平準化(渋滞緩和)の目的のため、有料道路の利用時間に関する様々な割引制度の導入が図られている。例えば、高速道路3社では、次の2つの条件を満たす車両(全車種)に対して、該当高速道路の全利用区間の料金が3割引になるサービスを提供している。
(1)ETCが整備されている入口料金所をETC無線通信により走行した車両
(2)午前0時〜午前4時の間に東/中/西日本高速道路株式会社の管理する高速道路を走行
すなわち、午前0時〜午前4時までの間に入口料金所と出口料金所を通過していていれば割引の時間要件を満たすことになるが、さらに、図7に示すように、午前0時〜午前4時の間に入口料金所を通過する場合、午前0時〜午前4時の間に出口料金所を通過する場合、午前0時以前に入口料金所を通過し、午前4時以降に出口料金所を通過する場合(=午前0時〜4時の間には高速道路を走行している場合)のいずれかに該当すれば割引制度の時間要件を満たすことになり特典が受けられる。
【0003】
したがって、ユーザとしては僅かな時間調整を行うことで割引要件を満たすことが可能となる場合があるので、特に有料道路の長距離走行を行うときには割引サービスを利用するメリットは大きい。そのため、カーナビゲーションシステムにおいて、経路探索し、探索経路の中に入場時刻により割引が適用される有料道路が含まれていた場合に、有料道路入口への到達時刻を予想し、割引適用の有無、待ち時間等をユーザに提示するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−184231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来技術の場合、有料道路への到達時間のみを考慮しているので、「待ち時間」をゼロにするために、わざわざ遠いインターチェンジから有料道路に入ることを提案するなど、運転者にとって不適切な提案を行うなどの問題があった。例えば、高速道路を約1時間利用する旅行程の場合で23時10分に有料道路入り口に着くことが予想される場合、従来技術だと割引開始時刻24時(午前0時)に対して「50分待機あり」と判断される。しかし、実際は入口で待機せずにそのまま23時10分有料道路に入っても、利用者は夜間割引の恩恵受けることができる。したがって、従来技術では必ずしも最適な経路を案内することができない場合がある。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、利用者が有料道路を利用しようとする時間帯を基に割引サービスの利用をより有効に享受できるようにするアドバイス情報を提示する走行スケジュール作成装置およびプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る走行スケジュール作成装置は、道路ネットワークのデータ、道路の属性情報、施設データを含む地図データを格納する地図データ格納手段と、有料道路を利用する平均移動可能速度および休憩条件を記憶する運転条件記憶手段と、有料道路の割引条件である割引時間帯および割引料金もしくは割引率を記憶する有料道路利用情報記憶手段と、走行スケジュールの作成開始時に出発地、目的地、経由地および探索条件を設定する経由地・探索条件設定手段と、走行スケジュールの作成開始時に出発時刻を設定する出発時刻設定手段と、設定された出発地、目的地および探索条件に基づいて地図データを探索し、出発地から目的地までの経路を計算する経路計算手段と、計算された経路の中に有料道路が含まれている場合には設定された出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算し、その際、有料道路については平均移動可能速度および休憩条件に基づいて立ち寄る予定のサービスエリア、パーキングエリアを特定するとともに、当該有料道路の各区間の所要時間を計算して、全区間の走行スケジュールを生成する有料道路利用時間推測手段と、生成された走行スケジュールによる有料道路入口と有料道路出口への予想到達時刻を有料道路の割引時間帯と比較し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成し、走行スケジュールとともに表示部のサポート情報提示画面に提示するアドバイス情報生成手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、最初に作成した走行スケジュールにおける有料道路の利用時間帯、すなわち有料道路入口と有料道路出口の予想到達時刻を基に、割引条件である割引時間帯を満たすことが可能なアドバイス情報を提示するようにしたので、ユーザは割引条件を有効に利用して通行料の節約を図ることができる。また、アドバイス情報に従って走行スケジュールを再生成することができるので、割引サービスが有効に組み込まれたスケジュールに従って運行すれば安い利用料金のドライブを楽しむことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による走行スケジュール作成装置の機能構成を示すブロック図である。
図において、走行スケジュール作成装置は、制御部1、入力部2、表示部4および音声出力部5を備えている。制御部1は、ハードウェアとしてはCPU、I/Oインタフェース、メモリ、それらを接続するバス、および電源回路などによって構成され、プログラムにより実行する後述する機能を持つもので、パーソナルコンピュータを適用してもよい。入力部2は、ユーザが操作するキーボード、リモコン、タッチパネルなどによって構成されるが、マイクによる音声入力手段を併用してもよい。地図データ格納部3は、道路ネットワークのデータ、道路の属性情報、施設データなどからなる通常のナビゲーションで使用する地図データを格納する手段で、HDD、DVDあるいはUSBメモリ、SDカードなどのメモリデバイスによって構成されている。ここで、道路の属性情報としては、道路の制限速度、過去の統計データから得られる平均的な移動可能速度などである。表示部4は、例えば液晶ディスプレイで構成され、ユーザへのアドバイス情報などを表示する手段で、通常のナビゲーションとして使用する場合、地図情報の表示も行う。音声出力部5は、ユーザへのアドバイス情報を音声で知らせる手段であり、通常のナビゲーションとして使用する場合、経路誘導の音声案内なども行う。
【0010】
制御部1は、経路計算部11、経由地・探索条件設定部12、有料道路利用時間推測部13、出発時刻設定部14、運転条件記憶部15、運転条件設定部16、アドバイス情報生成部18、有料道路利用情報記憶部19および有料道路利用情報設定部20を備えている。次に各部の機能について説明する。
経由地・探索条件設定部12は、出発地、目的地ならびに経由地および探索条件を設定する手段である。ここで、経路探索条件とは、「時間がなるべく短くなる経路を優先して探索」、「距離がなるべく短くなる経路を優先して探索」などである。この設定は、走行スケジュールの作成開始時に行うが、例えば表示部4にメニュー画面を表示し、メニュー画面に対してユーザが入力部2を用いて文字入力あるいは選択肢を選ぶことにより実行される。経路計算部11は、経由地・探索条件設定部12で設定した出発地、目的地ならびに経由地および探索条件に基づいて地図データ格納部3の地図データを探索し、出発地から目的地までの経路を計算する手段である。この経路探索には、既存のナビゲーションシステムで広く使用されているダイクストラ法あるいはこれに準ずる方法などにより行う。
【0011】
出発時刻設定部14は、走行スケジュールの作成開始時にユーザが入力部2を用いて予定出発時刻を設定する手段である。運転条件設定部16は、有料道路を利用する運転条件を設定する手段である。運転条件とは、有料道路の平均移動可能速度(走行条件)および休憩条件である。この運転条件の設定は、予め行っておくもので、例えば表示部4にメニュー画面を表示し、メニュー画面に対してユーザが入力部2を用いて文字入力あるいは選択肢を選ぶことにより実行される。ここで、休憩条件は、運転手が何時間おきに何分休憩するかということである。また、有料道路の平均移動可能速度は、ユーザが経験による任意の値としてもよいが、地図データ格納部3に格納されている過去の統計によるデータまたは制限速度を用いてもよい。また、車両の走行記録データを格納する走行記録格納部17(図5に示すように装置が車載型の場合)を備えている場合には、そのデータを平均移動可能速度として用いてもよい。どの値を適用するかの設定はメニュー画面の選択肢から行うようにすればよい。運転条件記憶部15は、運転条件設定部16で設定された有料道路の運転条件を記憶する手段である。
【0012】
有料道路利用時間推測部13は、経路の中に有料道路が含まれている場合には出発時刻設定部14で設定された出発時刻を起点にして経路計算部11で計算された経路を構成する各区間の所要時間を計算して全区間の走行スケジュールを生成する手段である。さらに、有料道路利用時間推測部13は、有料道路については、運転条件記憶部15にある平均移動可能速度および休憩条件に基づいて立ち寄る予定のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)を特定するとともに、当該有料道路の各区間の所要時間を計算して走行スケジュールに組み入れる。走行スケジュールは、各区間の所要時間および特定されたSA、PAの休憩時間などに基づいて計算され、出発地、設定経由地、有料道路入口、有料道路内の各地点、有料道路出口および目的地に対する予想到達時刻および/もしくは予想出発時刻を示すものとなる。なお、ここでいう各区間とは、出発地、設定経由地、有料道路入口、SA、PA、有料道路出口、目的地などの時系列に出現する地点間のことである。また、立ち寄るSA、PAの特定は、出発地からの走行所要時間、あるいは一度立ち寄ったとするSA、PAからの走行所要時間が、運転条件記憶部15にある休憩条件の走行時間に一致または近い所に在るSA、PAを選択するという方法をとる。また、生成した走行スケジュールは、アドバイス情報生成部18に渡されるが、その際経路上にある今回利用しないSA、PAのデータも抽出して渡される。
【0013】
有料道路利用情報設定部20は、利用予定の有料道路に対する割引条件、その条件が満たされたときの割引料金もしくは割引率および通常通行料金などの情報を設定する手段である。ここで、割引条件は、有料道路の割引時間帯(○○時から××時)である。この設定は、予め行っておくもので、例えば表示部4にメニュー画面を表示し、メニュー画面に対してユーザが入力部2を用いて文字入力あるいは選択肢を選ぶことにより実行される。有料道路利用情報記憶部19は、有料道路利用情報設定部20で設定された割引条件および割引料金もしくは割引率を記憶する手段である。なお、後のアドバイス表示に使用するために、使用予定の有料道路入口、出口とその間の通常通行料金を記憶するようにしてもよい。また、全国の有料道路の利用情報をインターネットで配信するサービスやCD−ROMなどの可搬型記憶媒体での提供サービスが出現すれば、その情報を有料道路利用情報記憶部19にダウンロードして用いるようにしてもよい。
【0014】
アドバイス情報生成部18は、有料道路利用時間推測部13で算出された走行スケジュールによる有料道路入口への予想到達時刻路と有料道路出口への予想到達時刻を有料道路利用情報記憶部19にある現在の経路に含まれる有料道路の割引条件(割引時間帯)と比較し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成し、走行スケジュールとともに表示部4のサポート情報提示画面に提示する手段である。この場合、アドバイス情報には、割引料金もしくは割引率または通常通行料金を組み込むようにしてもよい。また、アドバイス情報としては、定型文を予め幾つか用意しておき、割引条件との比較結果に応じて適当に組み合わせてテキスト文とすればよい。
【0015】
図2にサポート情報提示画面の構成例を示す。サポート情報提示画面101は、走行スケジュール表示エリア102、アドバイス条件表示エリア103、アドバイス情報表示エリア104およびコマンドエリア105からなる。
走行スケジュール表示エリア102には、出発地から目的地までの旅行行程の全容である、出発予定時刻(図では時刻は「HH:MM」として示している。)、有料道路入口への予想到達時刻、利用するSA、PAの予想到達時刻・予想出発時刻、有料道路出口への予想到達時刻、目的地への予想到達時刻が表示される。また、その右側には、各区間に存在するが、今回の走行スケジュールでは利用しない通過SA、PAが表示される。この表示は、ユーザが新たに利用しようとするSA、PAを条件変更で指定できるようにするために設けられている。また、走行スケジュール表示エリア102の右端にはスクロールバー1021があり、全行程が長くなって1画面内の表示スペースに納まらない場合にスクロール操作できるようになっている。
【0016】
アドバイス条件表示エリア103には、走行スケジュールを計算するために用いた各種設定値(出発時刻、走行条件、休憩条件)が表示され、また、設定のため入力キーも表示されている。アドバイス情報表示エリア104には、走行スケジュールと有料道路の割引条件を比較した結果に基づいたアドバイスが提示される。アドバイスは、走行スケジュールは割引が受けられるか、また、受けられない場合にはどれだけ時間調整をすれば割引が受けられるかなどである。コマンドエリア105には、ユーザが条件変更あるいはアドバイス情報提示画面の終了などを行うための入力キーが表示されている。
【0017】
次に、走行スケジュール作成、アドバイス情報提示の一連の処理動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
まず、上位レベルのメニュー画面から走行スケジュール作成メニューを選択する(ステップST100)。走行スケジュール作成メニューの画面に対して、ユーザは経由地・探索条件設定部12の操作により出発地、目的地、経由地および経路探索条件を入力するとともに、出発時刻設定部14の操作により出発時刻を入力する(ステップST101)。経路計算部11では、入力された出発地、目的地、経由地および経路探索条に基づいて、地図データ格納部3の地図データに対して経路探索を行い、出発地点から目的地までの経路を算出して有料道路利用時間推測部13に渡す(ステップST102)。
【0018】
有料道路利用時間推測部13では、探索された経路に有料道路が含まれているかを判断し(ステップST103)、含まれていない場合は上位のメニュー画面に戻す(ステップST110)。一方、有料道路が含まれている場合には、出発時刻設定部14で設定された出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算する。その際、運転条件記憶部15に設定記憶している有料道路の平均移動可能速度と休憩条件に基づいて、立ち寄るSA、PAを特定し、これらSA、PAを含めた当該有料道路の各区間の所要時間を計算して、出発地から目的地までの全区間の走行スケジュールを生成しアドバイス情報生成部18に渡す(ステップST104)。
【0019】
アドバイス情報生成部18では、有料道路利用情報記憶部19に、現在の経路上の有料道路に、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある割引条件があるかを調べる(ステップST105)。この場合、有料道路に適用された割引条件の有無を調べ、有る場合には有料道路入口への予想到達時刻と有料道路出口への予想到達時刻からなる利用時間帯が割引条件の割引時間帯と重複または近接しているか否かを判断する。ここで、割引時間帯と重複する場合は、図7で見ると、有料道路入口への予想到達時刻が割引終了時刻Teより前にあって、かつ有料道路出口への予想到達時刻が割引開始時刻Tsより後にあることである。また、割引時間帯と近接する場合は、図4に示すように、有料道路出口への推定到達時刻Toutが割引開始時刻Tsより手前の所定時間内にある状態か、または有料道路入口への推定到達時刻Tinが割引終了時刻Teより後の所定時間内にある場合のことである。ただし、所定時間としては、例えば夜間の比較的長い休憩時間を考慮して30分などとする。また割引開始時刻Tsより手前の所定時間と割引終了時刻Teより後の所定時間は異なる値に設定してもよいものとする。
【0020】
上記ステップST105の判断において、走行スケジュール上から得られる利用時間帯が割引時間帯と重複している場合は、後述するようなその旨のアドバイス情報を生成して表示部4により提示する。一方、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合、アドバイス情報生成部18はその割引条件を有料道路利用情報記憶部19から取得し(ステップST106)、有料道路の割引条件を満たすことができる推定利用時間帯を計算する(ステップST107)。ここで、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合とは、走行スケジュール上から得られる利用時間帯が割引時間帯と近接する場合である。そこで、次に割引時間帯を利用できる推定利用時間帯を算出し、現在の利用時間帯との差分時間に応じたアドバイス情報を生成して表示部4に提示する(ステップST108)。
【0021】
上記のように、利用時間帯が割引時間帯と重複している場合には、例えば「このスケジュールで走行すれば、割引料金が適用され、料金は○○円になります。」といったアドバイス情報を生成し、図2に示したアドバイス情報表示エリア104に表示する。また、利用時間帯が割引時間帯と近接する場合、例えば図4の走行スケジュール1のTout<Ts(<は左辺より右辺の方が後の時刻であることを表すものとする。)の場合には、「割引料金適用までTs−Tout分余裕があります。休憩時間に使うことができます。割引料金が適用されると、料金は○○円になります。」といったアドバイス情報を生成し、アドバイス情報表示エリア104に表示する。また、図4の走行スケジュール2のTe<Tinの場合には、「割引料金の適用を受けるためにはTin−Te分足りません。出発時刻を早めれば、割引料金が適用され、料金は○○円になります。」といったアドバイス情報を生成する。一方、上記ST105において、現在の利用時間による割引の適用可能性がなかった場合には、例えば「割引料金適用はありません。」のようなアドバイス情報を生成し、アドバイス情報表示エリア104に表示する。
【0022】
また、ST105の所定時間内に利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合の判定において、有料道路出口への推定到達時刻または有料道路入口への到達推定時刻が所定時間より短い第2の所定時間内にあった場合、すなわち特に僅かな時間調整で料金割引が適用できる場合がある。このようなときには、表示部4で表示すると同時に、音声出力部5を用いて、その旨のアドバイス情報を音声情報により提供して注意を喚起するようにしてもよい。
なお、上記各アドバイス情報の表示と同時に、図2に示すように、現在の走行スケジュールも走行スケジュール表示エリア102に表示される。
【0023】
上記のように提示されたサポート情報提示画面を見た場合、ユーザはそのまま装置の処理を終了させる操作か、走行スケジュールの変更操作を行う状況におかれる。変更操作の必要性は、最初の走行スケジュールを作成した際に自動的に設定されたSA、PAなどを好みに応じて変更する場合、あるいは割引料金の利用を可能にするアドバイス情報に従って時間調整するための変更を行う場合に生じると考えられる。そのため、アドバイス情報生成部18では、ユーザによる計算条件の変更があるか否かをチェックする(ステップST109)。これは図2に示すコマンドエリア105の「条件変更」キーまたは「メニューに戻る」キーのいずれが押下されたかで判断する。「メニューに戻る」キーが押下された場合は、上位メニュー画面に戻り処理を終わる(ステップST110)。一方、「条件変更」キーが押下された場合は、ユーザは画面から新しい条件の入力を行うことになる(ステップST111)。具体的には、図2の画面で「条件変更」キーを押下すると、そのキーの表示テキストを「条件変更実行」に変える。その「条件変更実行」キーを押す前に、ユーザは画面上の条件の再設定のための入力キーを押してその条件の変更を行うことができる。例えばアドバイス条件表示エリア103の「出発時刻」キーを押すと、出発時刻を変更するダイアログが表示され、変更する出発時刻を入力することができる。あるいは、旅行行程表示エリア102の通過SA、PAの中から新たに利用するSA、PAのキーを押すと、経路の再計算に組み入れるSA、PAとして指定される。ユーザが所望する条件の変更を行った後、「条件変更実行」キーを押下すると、取得した条件に従って再度ステップST104からのスケジュール計算、アドバイス情報生成等を行って変更したサポート情報の再提示を行う。
【0024】
以上のように、この実施の形態1によれば、設定された出発地、目的地ならびに経由地および探索条件に基づいて予め準備したカーナビゲーションの地図データを探索し、出発地から目的地までの経路を計算し、計算された経路の中に有料道路が含まれている場合には設定された出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算し、その際、有料道路については設定された平均移動可能速度および休憩条件に基づいて立ち寄る予定のサービスエリア、パーキングエリアを特定するとともに、当該有料道路の各区間の所要時間を計算して、全区間の走行スケジュールを生成し、生成された走行スケジュールによる有料道路入口と有料道路出口への予想到達時刻を予め設定された当該有料道路の割引時間帯と比較して割引の適用要否を判断し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成し、走行スケジュールとともに表示部のサポート情報提示画面に提示するようにしている。したがって、作成した走行スケジュールにおける有料道路の利用時間帯、すなわち有料道路入口と出口の時刻を基に、割引条件を満たすことが可能なアドバイス情報を提示するので、ユーザは割引条件を有効に利用して通行料の節約を図ることができる。
【0025】
また、提示したアドバイス情報に応じてユーザが操作する条件変更、各種条件の再設定のための入力キーをサポート情報提示画面に提示し、再設定操作があった場合に入力された新条件に基づいて走行スケジュールを再生成して提示するようにしたので、ユーザは割引サービスが有効に組み込んだ走行スケジュールを確認することができるとともに、当該走行スケジュールに従って利用料金を安くしてドライブを楽しむことが可能となる。
さらに、この実施の形態1の場合、自宅のPCにより走行スケジュール作成装置を構成できるようにしているため、ユーザ自身が出発時刻設定部14により出発時刻を任意に入力設定できるようになっている。特に、図4に示した走行スケジュール2のような場合に、出発時刻を早めて割引条件を満たすように走行スケジュールを再作成するのに適している。また、自宅などで実際の旅行日より前に余裕を持って走行スケジュールを作成するのに適している。
【0026】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2による走行スケジュール作成装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。
この実施の形態2の走行スケジュール作成装置の構成は、車に搭載されるナビゲーションシステムの機能の一部分として表されたものである。したがって、実施の形態1の構成に対して、ナビゲーションシステムで使用している位置情報取得部6、現在時刻取得部7、交通情報取得部8、走行記録データ格納部17などを追加した構成となっている。
位置情報取得部6は、GPS受信機、車速センサ、ジャイロセンサのデータと地図データを用いて既存のナビゲーションシステムで広く使用されているマップマッチング法あるいはこれに準ずる方法などにより自車の現在位置を取得する手段である。ここでは、経由地・探索条件設定部12で設定する出発位置の代わりに、位置情報取得部6で取得した自車の現在位置を入力する。現在時刻取得部7は、GPS受信機または電波時計から現在時刻を取得する手段である。ここでは、実施の形態1の出発時刻設定部14の代わりに、現在時刻取得部7で取得した現在時刻を出発時刻として入力する。交通情報取得部8は、VICS(Vehicle information and communication system)などから提供される交通情報を取得する手段である。また、この実施の形態2の場合、車両のエンジンが始動した際に当該装置が起動するようになっているものとする。
【0027】
ここでは、出発時に作成された初期走行スケジュールに従って旅行行程を開始した後、やがて休憩のために設定されたSA、PAに立ち寄り駐車し、再び走行開始するときの動作について、図6のフローチャートに従って説明する。
出発前における走行スケジュールの作成手順は、実施の形態1の図3で説明したとほぼ同様にして行われる。ただし、走行スケジュール作成の開始時に設定する出発地は、経由地・探索条件設定部12で行わず、位置情報取得部6で自動的に取得する現在位置の情報を用いる。また、出発時刻には、現在時刻取得部7で自動的に取得する現在時刻が用いられる。
【0028】
立ち寄り先のSA、PAにおいて、エンジンを始動させると、中断していた走行スケジュール装置は電源が入って再起動する(ステップST200)。自車の現在位置情報を取得する(ステップST201)。この場合、エンジンを停止する前の自車の現在位置情報は位置情報取得部6で取得されたものがメモリに保存されているので、その情報を読み出して使用することになる。次に経路計算部11により現在位置から目的地までの経路を再計算し(ステップST202)、有料道路利用時間推測部13により、位置情報取得部7で取得した現在時刻を起点して現在位置から目的地までの走行スケジュールを再生成する(ステップST203)。この場合、現在位置は立ち寄ったSA、PAであるから、その地点から途中に利用可能性があるSA、PA、有料道路出口および目的地に関して、現在時刻取得部7で取得した現在時刻を起点に走行スケジュールが作成されることになる。またこのとき、ST111でユーザが指定した利用SA、PA、走行条件、休憩条件に従って計算が行われる。さらに、VICSなどの交通情報が利用できる場合には、交通情報取得部8により取得する交通情報に含まれる渋滞情報が示すリアルタイムの平均移動速度を用いれば、経路のセグメントのある区間の走行に関る所要時間をより正確に推定することができ、後述する推定利用時間帯を正確に求めることができる。
【0029】
次に、アドバイス情報生成部18において、再生成したスケジュールが有料道路の割引条件をすでに満たしているかどうかを判断する(ステップST204)。この判断は、有料道路出口への推定到達時刻が割引条件である割引時間帯と比較することになる。割引条件を満たしていない場合は、アドバイス情報生成部18は現在位置と、現在時刻を出発時間としてST107と同様にして有料道路の推定利用時間帯を計算する(ステップST205)。次に、アドバイス情報生成部18では、算出した有料道路の推定利用時間帯に基づいて、当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成して図2に示したようなアドバイス情報表示エリア104のように提示する(ステップST206)。
【0030】
一方、上記ST204において、既に割引適用条件を満たしている場合は、例えば「割引料金適用中です。」のようなアドバイスを生成し、アドバイス情報表示エリア104に提示する(ステップST206)。なお、上記各アドバイス情報の提示と同時に、走行スケジュール表示エリア102に再生成した走行スケジュールも提示する。
次に、提示されたアドバイス情報に対する条件変更の有無をST109と同様にしてチェックする(ステップST207)。条件変更が無い場合には通常のナビゲーションの案内を開始する(ステップST209)。また、条件変更がある場合には、ST111と同様にして変更する変更条件を取得し(ステップST208)、ST203に戻り新たな走行スケジュールの生成から処理を行う。
【0031】
以上のように、実施の形態2によれば、カーナビゲーションシステムに装備されたGPS受信機、車速センサ、ジャイロセンサのデータと地図データを用いて既存のナビゲーションシステムで広く使用されているマップマッチング法あるいはこれに準ずる方法などにより取得する自車の現在位置を入力条件の出発地として使用し、また、経由地・探索条件設定部12で設定する出発位置の代わりに、位置情報取得部6で取得した自車の現在位置を入力する。現在時刻取得部7は、GPS受信機または電波時計を用いて取得した現在時刻を出発時刻として使用するようにしたので、実際に車を走行させる時のスケジュールに則した割引を受けるための情報をユーザに提示することができる。
また、エンジンを始動させたときに走行スケジュール装置を起動させ、走行スケジュールを生成するようにしているため、SA、PAなど有料道路内での休憩後における実際の旅程に即した利用割引が受けられるスケジュールに更新することが可能となる。例えば、休憩のあと、エンジンをかけたときに、現在位置から目的地までの経路、走行スケジュールを再生成し、これを基に有料道路出口への予想到達時刻を再計算し、「現在20:30です。0:00からの深夜割引を適用するには、22:30頃到達予定○○サービスエリアで約30分の休憩をとることができます。そうすれば、有料道路の△△ICを0:10頃出ることになり、深夜割引が適用されます。」といったアドバイス情報を提示することが可能になり、このアドバイス情報に従って再度条件設定すれば、利用割引が受けられる走行スケジュールに更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施の形態1による走行スケジュール作成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るサポート情報提示画面の構成例を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る走行スケジュール作成装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係る有料道路の利用時間帯が割引時間帯と近接する例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2による走行スケジュール作成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る走行スケジュール作成装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】有料道路の割引対象となる走行例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 制御部、2 入力部、3 地図データ格納部、4 表示部、5 音声出力部、6 位置情報取得部、7 現在時刻取得部、8 交通情報取得部、11 経路計算部、12 経由地・探索条件設定部、13 有料道路利用時間推測部、14 出発時刻設定部、15 運転条件記憶部、16 運転条件設定部、17 走行記録データ格納部、18 アドバイス情報生成部、19 有料道路利用情報記憶部、20 有料道路利用情報設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路ネットワークのデータ、道路の属性情報、施設データを含む地図データを格納する地図データ格納手段と、
有料道路を利用する平均移動可能速度および休憩条件を記憶する運転条件記憶手段と、
有料道路の割引条件である割引時間帯および割引料金もしくは割引率を記憶する有料道路利用情報記憶手段と、
走行スケジュールの作成開始時に出発地、目的地および探索条件を設定する経由地・探索条件設定手段と、
走行スケジュールの作成開始時に出発時刻を設定する出発時刻設定手段と、
設定された出発地、目的地および探索条件に基づいて前記地図データを探索し、出発地から目的地までの経路を計算する経路計算手段と、
前記計算された経路の中に有料道路が含まれている場合には前記設定された出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算し、その際、有料道路については前記平均移動可能速度および前記休憩条件に基づいて立ち寄る予定のサービスエリア、パーキングエリアを特定するとともに、当該有料道路の各区間の所要時間を計算して、全区間の走行スケジュールを生成する有料道路利用時間推測手段と、
前記生成された走行スケジュールによる有料道路入口と有料道路出口への予想到達時刻を前記有料道路の割引時間帯と比較し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成し、走行スケジュールとともに表示部のサポート情報提示画面に提示するアドバイス情報生成手段とを備えたことを特徴とする走行スケジュール作成装置。
【請求項2】
アドバイス情報生成手段は、提示したアドバイス情報に応じてユーザが操作する条件変更、各種条件の再設定のための入力キーをサポート情報提示画面に提示し、再設定操作があった場合に入力された新条件に基づいて有料道路利用時間推測手段を起動して走行スケジュールを再生成して提示するようにしたことを特徴とする請求項1記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項3】
出発時刻設定部の代わりにGPS受信機または電波時計から現在時刻を取得する現在時刻取得手段を備え、
有料道路利用時間推測手段は、走行スケジュール生成の起点とする出発時刻を前記現在時刻取得部で取得した現在時刻とするようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項4】
GPS受信機、車速センサ、ジャイロセンサを用いて自車の現在位置の情報を取得する位置情報取得手段を備え、
経路計算手段は、経由地・探索条件設定手段で設定する出発位置の代わりに、前記位置情報取得手段で取得した現在位置を入力して経路計算を行うようにしたことを特徴とする請求項3記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項5】
車両が一旦駐車した後、当該車両のエンジンが再始動した際に当該装置が再起動することにより、経路計算手段は位置情報取得手段で取得した現在位置から目的地までの経路の再計算を行い、有料道路利用時間推測手段は現在時刻取得手段で取得した現在時刻を起点にして現在位置から目的地までの走行スケジュールの再生成を行い、アドバイス情報生成手段は再生成された走行スケジュールによる有料道路出口への予想到達時刻を有料道路の割引時間帯と比較し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成し、再生成された走行スケジュールとともに表示部のサポート情報提示画面に提示するようにしたことを特徴とする請求項4記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項6】
アドバイス情報生成手段は、有料道路出口への推定到達時刻が割引開始時刻の手前の所定時間内にある状態か、または有料道路入口への到達推定時刻が割引終了時刻の後の所定時間内にある状態を、利用時間の選択によって割引の適用可能性があると判断することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項7】
アドバイス情報生成手段は、割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報は、有料道路出口への推定到達時刻が割引開始時刻の手前の所定時間内にある場合には当該有料道路出口への推定到達時刻が割引時間帯に入る推定利用時間帯を生成し、また有料道路入口への到達推定時刻が割引終了時刻の後の所定時間内にある場合には当該有料道路入口への到達推定時刻が割引時間帯に入る推定利用時間帯を生成し、生成した推定利用時間帯に基づいて割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成することを特徴とする請求項6記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項8】
アドバイス情報生成手段は、所定時間内に利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合の判定において、有料道路出口への推定到達時刻または有料道路入口への到達推定時刻が所定時間より短い第2の所定時間内にあった場合には、緊急性を促すためにアドバイス情報を音声情報にして音声出力手段より出力するようにしたことを特徴とする請求項6記載の走行スケジュール作成装置。
【請求項9】
コンピュータにインストールされ、当該コンピュータを制御して自動車の走行スケジュールを生成するプログラムであって、
設定された出発地、目的地ならびに経由地および探索条件に基づいて予め準備したカーナビゲーションの地図データを探索して出発地から目的地までの経路を計算し、
計算された経路の中に有料道路が含まれている場合には設定された出発時刻を起点にして当該経路を構成する各区間の所要時間を計算し、その際、有料道路については設定された平均移動可能速度および休憩条件に基づいて立ち寄る予定のサービスエリア、パーキングエリアを特定するとともに、当該有料道路の各区間の所要時間を計算して、全区間の走行スケジュールを生成し、
生成された走行スケジュールによる有料道路入口と有料道路出口への予想到達時刻を予め設定された当該有料道路の割引時間帯と比較して割引の適用要否を判断し、利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合には当該割引の適用を受けるための条件変更を促すアドバイス情報を生成して、走行スケジュールとともに表示部のサポート情報提示画面に提示することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
サポート情報提示画面に提示したアドバイス情報に対して当該画面上にある入力キーから各種条件の再設定があった場合に入力された新条件に基づいて走行スケジュールを再生成して提示することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
【請求項11】
利用時間の選択によって割引の適用可能性がある場合は、有料道路出口への推定到達時刻が割引開始時刻の手前の所定時間内にある状態か、または有料道路入口への到達推定時刻が割引終了時刻の後の所定時間内にある状態としたことを特徴とする請求項10記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157732(P2008−157732A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346231(P2006−346231)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】