説明

超音波洗浄ユニット、超音波洗浄装置

【課題】被洗浄物にダメージを与えることなく、洗浄液の使用量を抑えることが可能な超
音波洗浄ユニット及び超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明の超音波洗浄ユニット20は、間隙を持って被洗浄物Sの被洗浄面S
aに対向するように配置された超音波伝達手段25と、前記超音波伝達手段25に設けら
れ前記超音波伝達手段25を介して前記被洗浄面Sa上の洗浄液Lに超音波を与える超音
波振動子23と、前記洗浄液Lが流通する流路40aを前記超音波伝達手段25の外周側
面に有して囲み前記超音波伝達手段25よりも前記被洗浄面Saに近接するように配置さ
れ前記洗浄液Lを前記間隙に吐出する導液手段40とを具備していることを特徴とする。
この超音波洗浄ユニット20により、超音波伝達手段25と被洗浄物Sとの間で洗浄液L
を維持され、被洗浄物にダメージを与えることなく、少量の洗浄液で効率のよい超音波洗
浄を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波を液体中に照射し、洗浄等の処理を行う超音波洗浄ユニット、超音波洗
浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や液晶表示装置用のガラス基板等の製造工程では、種々の微細加工の前後で
、ガラス基板等の被洗浄物に付着したサブミクロンオーダのパーティクル等を洗浄除去す
る必要がある。そこで、被洗浄物に対して、ダメージの少ない500kHz〜1.5MH
zの高周波数の超音波を印加した洗浄液を照射して洗浄する超音波洗浄方法が一般的に用
いられている。
【0003】
この他、近年、被洗浄物の上面に洗浄液を供給し、この洗浄液に対して被洗浄物上で超
音波を付与する超音波洗浄装置が開示されている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
この超音波洗浄装置は、被洗浄物の上面に対して略垂直に配置された円筒状の超音波付
与ヘッドを備えており、この超音波付与ヘッドには、下端部に超音波伝達手段、内部に超
音波を発振する超音波振動子とこの超音波振動子を冷却する冷却手段、さらに外側部に被
洗浄物の上面に洗浄液を供給するノズルとが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−31540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した超音波伝達手段を被洗浄物の被洗浄面に近接させる超音波洗浄装置には次のよ
うな問題があった。すなわち、超音波伝達手段と被洗浄物との間の距離が大きいと、この
距離を満たすための洗浄液の必要量が増大しコスト高を招くことになる。特に、微細構造
体の表面処理では、残留液体によるダメージを抑制するためにハイドロフルオロカーボン
のような表面張力の小さい洗浄液を用いるが、表面張力の小さい液体は被洗浄物の表面で
の液膜の維持が難しく、大量の洗浄液を使用してしまう。このため、超音波伝達手段を被
洗浄物の表面に可能な限り近付け、洗浄液の使用量を抑える必要がある。
【0007】
しかしながら、超音波伝達手段と被洗浄物との間の距離が小さいと、被洗浄物の表面に
は微小なうねりや被洗浄物の厚さの不均一性があるため、一定の高さ位置で超音波洗浄ユ
ニットを移動させた場合、超音伝達手段と被洗浄物とが接触し、被洗浄物の表面に形成さ
れた配線等が破壊されることが考えられる。
【0008】
そこで本発明は、超音波伝達手段の外周側面に洗浄液を流通させ、超音波伝達手段と被
洗浄物との間で洗浄液を維持されるようにすることで、被洗浄物にダメージを与えること
なく、少量の洗浄液で効率のよい超音波洗浄を行う超音波洗浄ユニット及び超音波洗浄装
置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の超音波洗浄ユニットは、間隙を持って被洗浄物の
被洗浄面に対向するように配置された超音波伝達手段と、前記超音波伝達手段に設けられ
前記超音波伝達手段を介して前記被洗浄面上の洗浄液に超音波を与える超音波振動子と、
前記洗浄液が流通する流路を前記超音波伝達手段の外周側面に有して囲み、前記超音波伝
達手段よりも前記被洗浄面に近接するように配置され、前記洗浄液を前記間隙に吐出する
導液手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の超音波洗浄装置は、前記被洗浄物の被洗浄面に対向配置される前記超音
波洗浄ユニットと、この超音波洗浄ユニットを保持し、往復移動可能な保持手段と、前記
超音波洗浄ユニットと対向して配置されており、前記被洗浄物を保持して回転させるスピ
ン処理ユニットとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超音波伝達手段の外周側面に洗浄液を流通させ、超音波伝達手段と被
洗浄物との間で洗浄液を維持されるようにすることで、被洗浄物にダメージを与えること
なく、少量の洗浄液で効率のよい超音波洗浄を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る音波付与ヘッドの開口部の構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る超音波ヘッドの上方の断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る超音波振動板と導液管と被洗浄面との距離関係を示した図。
【図5】第2の実施の形態に係る超音波付与ヘッドの開口部の構成図。
【図6】第3の実施の形態に係る超音波付与ヘッドの開口部の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成図である。
【0015】
図1に示すように、この超音波洗浄装置は、シリコンウエハなどの半導体基板や液晶表
示装置用ガラス基板などの被洗浄物Sを保持して回転させるスピン処理ユニット10と、
被洗浄物Sに対して図示しない洗浄液Lを供給し、この洗浄液Lに超音波を付与して被洗
浄物Sの被洗浄面を洗浄する超音波洗浄ユニット20とから構成される。
【0016】
スピン処理ユニット10は有底筒状のカップ体11を有している。このカップ体11は
開口部11aが上方に向くように配置されており、底部11bには洗浄処理後の洗浄液L
を排出する複数の排出口12が設けられている。
【0017】
カップ体11の下方にはモータ13が配置されている。モータ13の駆動軸13aは、
カップ体11の底壁を貫通しており、その中途部は軸受14により回転可能に支持されて
いる。
【0018】
駆動軸13aの上端には回転テーブル15が略水平に設けられている。回転テーブル1
5の上面外周部には複数の支持ピン16が等間隔で配設されており、これら支持ピン16
と被洗浄物Sの周縁部とを係合させることで、被洗浄物Sをほぼ水平に保持できるように
なっている。
【0019】
一方、超音波洗浄ユニット20は超音波付与ヘッド21を有している。この超音波付与
ヘッド21は被洗浄物Sの被洗浄面Saに対向配置されており、揺動アーム22を駆動す
ることで、被洗浄面上を往復移動できるようになっている。
【0020】
図2は、超音波付与ヘッド21の構成図である。
【0021】
図2に示すように、この超音波付与ヘッド21は、ヘッド本体21aを有しており、ヘ
ッド本体21aは被洗浄面Sa側に向けられて開口している。
【0022】
超音波付与ヘッド21は、円盤状の超音波振動子23と、この超音波振動子23の上方
に超音波振動子23を冷却する冷却装置24と、超音波振動子23と接着固定され、被洗
浄物と対向配置された円柱型の超音波振動板25(超音波伝達手段)と、被洗浄物Sに洗
浄液Lを供給する導液管40(導液手段)とを備えている。
【0023】
超音波振動子23は、超音波振動板25の上方に設けられており、その部材はPZTや
チタン酸鉛などの圧電素子であっても構わない。
【0024】
超音波振動子23には、電源線を介してRF電源26が接続されており、これを制御駆
動することにより、超音波振動の発振を制御するよう構成されている。この超音波振動子
23は、たとえば、20W程度の電力の印加に対して、1.5MHz程度の超音波振動を
行なうものである。
【0025】
RF電源26と超音波振動子23の間には、マッチング回路27が設けられている。こ
のマッチング回路27は、RF電源26と超音波振動子23との間のインピーダンスをマ
ッチングさせるものであり、RF電源26から供給される電力が超音波振動子23で最も
効率よく超音波に変換されるよう予め定められている。
【0026】
超音波振動子23の上方には、冷却装置24が設けられている。この冷却装置24には
、冷却水導通路28、冷却水を供給、排出するための冷却水給排口29が設けられている
。この冷却水給排口29は、図示しない冷却水供給源及び冷却水排出部に接続されている

【0027】
超音波振動板25は、超音波振動子23が発振した超音波を被洗浄物Sの被洗浄面Sa
に排出された洗浄液Lに伝達させるものであり、平面状に形成された上端面25aで超音
波振動子23に接着固定されている。一方、下端面25bは、被洗浄面Sa側に突出して
形成されている。本例では、下端面25bは、径方向中心部に行くにつれて被洗浄面Sa
側に突出するような曲面に形成されているが、これに限るものではない。
【0028】
なお、超音波振動板25の下端面25bに、径方向中心部に切欠き部を設けても構わな
い。このような構成とすることで、被洗浄面Saで反射した超音波が超音波振動板25に
入射したとしても切欠き部を通過するときに屈折するため、超音波振動板25の上端面2
5aに固定された超音波振動子23には超音波が入射し難くなる。
【0029】
超音波振動板25の部材としては、SiO2を用いた超音波レンズ、SiC、サファイ
アガラス、ステンレス、あるいはTaのいずれか一種から構成される。超音波振動板25
は、直接洗浄液Lと接するため、洗浄液Lの種類によっては、成分が溶出して被洗浄物S
を逆に汚染することが考えられる。したがってその材質については、使用する洗浄液Lの
種類によって適宜選択する必要がある。
【0030】
導液管40は、超音波振動板25の外周側面を囲む外壁40aと、供給する洗浄液供給
口30から供給された洗浄液Lが流通する洗浄液流路40b(流路)とから構成されてお
り、この洗浄液流路40bに流通された洗浄液Lを外壁40aの先端から被洗浄物Sへ吐
出される。なお、本例においては導液管40が超音波付与ヘッド本体21aの開口部と一
体形成されているが、これに限られるものではなく、たとえば、超音波付与ヘッド本体2
1aの開口部の内側に別途備えられていても構わない。
【0031】
図3は、本実施形態における超音波ヘッド21の上方における(a)は縦断面図、(b
)は(a)におけるA‐A断面図である。超音波振動板25の上端面25aには超音波振
動子23が接着固定されており、下端面25bは下方に突出(本例においては球面)した
円柱形状をなしている。導液管40は、この超音波振動板25と概ね同心円の円柱形状を
なし、超音波振動板25の外周側面から径方向に拡大した外壁40aで超音波振動板25
を覆っている。そして、超音波振動板25と導液管40との間には洗浄液が流通する洗浄
液流路40bが設けられている。
【0032】
本例の導液管40は、垂直下方向に凸形状をしており、流路40bの幅に段階が設けら
れているが、これに限るものではなく、たとえば、超音波振動板25と導液管40との間
隔が単一であっても構わない。もっとも、洗浄液Lが洗浄液供給口30から多量に排出さ
れることを防止するためにも、超音波振動板25と導液管40との間隔は狭いほど好まし
い。
【0033】
図4は、本実施形態における超音波振動板25と導液管40と被洗浄面Saとの距離関
係を示した図である。距離Pは、外壁40aの先端部hから被洗浄面Saまでの距離であ
り、距離Qは、超音波振動板25の下端面25b上で最も被洗浄面Saに接近する接近点
mから被洗浄物Sの被洗浄面Saまでの距離をいう。
【0034】
ここで、距離Pは、距離Qと同一であるか、より小さくなくてはならない。具体的には
、下端面25b上の接近点mから被洗浄面Saまでの距離Qが3mmの場合、外壁40a
の先端部hから被洗浄面Saまでの距離Pは1mmから3mmであることが望ましい。外
壁40aの先端部hから被洗浄面Saまでの距離Pが1mm以下であると、揺動アーム2
2が被洗浄面上を往復移動する際に、導液管40の先端が支持ピン16に係合し、洗浄効
率が低下するおそれがあるため、距離Pを1mm以上にすることが好ましい。
【0035】
次に、上記構成の超音波洗浄装置を使用する際の作用について説明する。
【0036】
回転テーブル15上の支持ピン16で被洗浄物Sを支持したら、被洗浄物Sを周方向に
回転させるとともに、洗浄液供給口30から導液管40に洗浄液Lを供給する。流入され
た洗浄液Lは導液管40を通過し、被洗浄物Sの被洗浄面Saに吐出される。超音波振動
板25と被洗浄物Sの被洗浄面Saとの間が洗浄液Lで充たされたら、超音波振動子23
を駆動して超音波振動板25から被洗浄物Sの被洗浄面Sa上の洗浄液Lに超音波を与え
る。
【0037】
導液管40は、超音波振動板25と概ね同心円に設置されており、超音波振動板25の
外周側面を覆うように設けられている。このため、洗浄液供給口30から供給された洗浄
液Lは、この導液管40に流入され、被洗浄物Sの被洗浄面Saに吐出されることとなる
。この導液管40の外壁40aの先端部hと被洗浄面Saとの距離Pは、超音波振動板2
5の下端面25bの接近点mと被洗浄面Saとの距離Qと同一、あるいはより小さい。こ
のため、導液管40から吐出された洗浄液Lは導液管40と被洗浄面Saとの間で流路抵
抗を受け、被洗浄物Sと超音波振動板25との間で保持されることとなる。
【0038】
すなわち、洗浄液Lが外部に流出するのをせき止め、容易に外部に排出されるのを防止
することが可能となるため、少量の洗浄液Lで、被洗浄面Saと超音波振動板25の下端
面25bとの間の液を維持することが可能となる。
【0039】
特に、洗浄液Lに、たとえばハイドロフルカーボン、ハイドロフルオロエーテル、パー
フルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボンといった表面張力の小さい液体を使
用した場合であっても、洗浄液Lが被洗浄面Saと超音波振動板25との間に保持される
ため、少量の洗浄液Lで洗浄処理を行うことが可能となる。
【0040】
以上のように本実施の形態における超音波洗浄装置を利用して超音波洗浄を行なうと、
従来の超音波洗浄方法に比べて配線等に対するダメージや、基板等を構成する物質の結晶
状態に与えるダメージを極力低減することができ、半導体装置や液晶表示装置の製造工程
における歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は本実施の形態に係る本発明の第2の実施の形態に係る超音波付与ヘッド21の開
口部の構成図である。超音波付与ヘッド21の開口部の基本構成は第1の実施形態に変わ
らないが、本実施形態では、導液管40(導液手段)の内壁40cが別途に設けて構成さ
れている。この導液管40の内壁40cは、超音波振動板25の外周側面を超音波振動板
25と概ね同心円で覆うように接着されており、内壁40cから径拡方向に一定間隔をお
いて導液管40の外壁40aが設けられている。
【0042】
内壁40cの先端部tと被洗浄面Saとの距離Rは、導液管40の外壁40aの先端部
hから被洗浄面Saまでの距離Pより大きい。ただし、距離Rは、超音波振動板25の接
近点mから被洗浄面Saまでの距離Qと同一、あるいは、より小さく構成される。このよ
うに本実施形態の導液管40は、超音波振動板25の下端面25bの外周において、細い
管で構成され、洗浄液Lを吐出する部分が大きく開口している。
【0043】
なお、この導液管40の内壁40cは、たとえばフッ素樹脂のような超音波吸収部材を
用いるとよい。洗浄液Lに超音波を付与する場合、超音波振動子23で発振した超音波が
導液管40の側面で反射し、その一部が超音波振動子23に入射することがあるが、超音
波吸収部材で超音波振動板25の外周を覆うことで、反射波が超音波振動子23に入射さ
れることを防ぐことになるからである。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0045】
導液管40の内壁40cは、超音波振動板25と同心円になるように接着されており、
一定間隔をおいて導液管40の外壁40aが同心円の円柱形状に設けられているため、洗
浄液供給口30から供給された洗浄液Lは、内壁40cと外壁40aとの間で流入し、被
洗浄物Sの被洗浄面Saに排出されることとなる。
【0046】
内壁40aの先端部tから被洗浄面Saまでの距離Rは、導液管40の外壁40aの先
端部hから被洗浄面Saまでの距離Pより大きく構成されているため、洗浄液Lは導液管
40の外壁40aで流路抵抗を受け、被洗浄物Sと超音波振動板25との間で常に満たさ
れる。
【0047】
すなわち、洗浄液Lが外部に流出するのをせき止め、容易に外部に排出されるのを防止
することが可能となるため、少量の洗浄液Lで、被洗浄面Saと超音波洗浄板25の下端
面25bとの間の洗浄液Lを維持することができ、効率よく洗浄を行なうことができる。
【0048】
また、本実施形態の導液管40は、超音波振動板25の下端面25b周辺において細微
に構成されるため、洗浄液供給口30から多量の洗浄液Lを一気に流出することがない。
さらに、導液管40は超音波振動板25の下端面25b周辺において大きく開口している
ため、適量の洗浄液Lが超音波振動板25と被洗浄面Saとの間に供給されることとなる

【0049】
以上のように本実施の形態における超音波洗浄装置を利用して超音波洗浄を行なうと、
従来の超音波洗浄方法に比べて配線等に対するダメージや、基板等を構成する物質の結晶
状態に与えるダメージを極力低減することができ、半導体装置や液晶表示装置の製造工程
における歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
【0050】
(第3の実施形態)
図6は本実施の形態に係る本発明の第3の実施の形態に係る超音波付与ヘッド21の開
口部の構成図である。超音波付与ヘッド21の開口部の基本構成は第1の実施形態に変わ
らないが、本実施形態では、導液管40の外壁40aの先端に導液管40と一体形成され
たじゃま板60を設置した。このじゃま板60は、超音波伝達板25の軸心に向かって水
平に設置される。
【0051】
このような構成とすることで、洗浄液Lが、導液管40の先端で被洗浄面Saとの間で
、より大きな流路抵抗を受け、被洗浄物Sと超音波振動板25との間で常に満たされるこ
ととなる。
【0052】
また、洗浄液Lが外部に流出するのをせき止め、容易に外部に排出されるのを防止する
ことが可能となるため、少量の洗浄液Lで、被洗浄面Saと超音波振動板25の下端面2
5abとの間の洗浄液Lを維持することができ、効率よく洗浄を行なうことができる。
【0053】
以上のように本実施の形態における超音波洗浄装置を利用して超音波洗浄を行なうと、
従来の超音波洗浄方法に比べて配線等に対するダメージや、基板等を構成する物質の結晶
状態もに与えるダメージを極力低減することができ、半導体装置や液晶表示装置の製造工
程における歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
20…超音波洗浄ユニット、21…超音波付与ヘッド、21a…ヘッド本体、23…超音
波振動子、24…冷却装置、25…超音波振動板(超音波伝達手段)、25a…上端面、
25b…下端面、30…洗浄液供給口、40…導液管(導液手段)、40a…外壁、40
b…洗浄液流路(流路)、40c…内壁、L…洗浄液、S…被洗浄物、Sa…被洗浄面、
m…接近点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隙を持って被洗浄物の被洗浄面に対向するように配置された超音波伝達手段と、
前記超音波伝達手段に設けられ前記超音波伝達手段を介して前記被洗浄面上の洗浄液に超
音波を与える超音波振動子と、
前記洗浄液が流通する流路を前記超音波伝達手段の外周側面に有して囲み、前記超音波伝
達手段よりも前記被洗浄面に近接するように配置され、前記洗浄液を前記間隙に吐出する
導液手段と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄ユニット。
【請求項2】
間隙を持って被洗浄物の被洗浄面に対向するように配置された超音波伝達手段と、
前記超音波伝達手段に設けられ前記超音波伝達手段を介して前記被洗浄面上の洗浄液に超
音波を与える超音波振動子と、
前記洗浄液が流通する流路を前記超音波伝達手段の外周側面に有して囲み、前記被洗浄面
との距離が前記超音波伝達手段と前記被洗浄面との距離と同一になるように配置され、前
記洗浄液を前記間隙に吐出する導液手段と、
を具備することを特徴とする超音波洗浄ユニット。
【請求項3】
前記導液手段は、円柱型の前記超音波伝達手段と同心円であり、前記超音波伝達手段の
外周を径方向に拡大された円筒型を形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
2記載の超音波洗浄ユニット。
【請求項4】
前記導液手段は、前記超音波伝達手段の軸心に向かって水平に設置されたじゃま板を備
えており、このじゃま板から前記洗浄液を前記間隙に吐出されることを特徴とする請求項
1乃至請求項3のいずれか1項に記載の超音波洗浄ユニット。
【請求項5】
前記洗浄液は、水よりも表面張力が小さい液体であることを特徴とする請求項1乃至請
求項4のいずれか1項に記載の超音波洗浄ユニット。
【請求項6】
前記超音波伝達手段は、前記超音波振動子で発振された超音波が、前記被洗浄面で反射
し前記超音波伝達手段を介して前記超音波振動子に入射するのを防止する防止手段を具備
することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の超音波洗浄ユニット

【請求項7】
前記導液手段は、前記超音波伝達手段の外周側面に接着され超音波吸収部材からなる内
壁を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の超音波洗浄
ユニット。
【請求項8】
前記被洗浄物の被洗浄面に対向配置される請求項1乃至7いずれか1項記載の超音波洗
浄ユニットと、
この超音波洗浄ユニットを保持し、往復移動可能な保持手段と、
前記超音波洗浄ユニットと対向して配置されており、前記被洗浄物を保持して回転させる
スピン処理ユニットと、
を備えていることを特徴とする超音波洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−238744(P2010−238744A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82332(P2009−82332)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】