説明

車両に対するアクセス認証制御方法

【課題】ユーザーにさらなる快適性を提供することのできる車両へのアクセスのためのより効率的な手段を提供すること。
【解決手段】車両から認証される携帯型識別発信器に認証信号を送信し、これにより識別発信器は認証され、車両をロック解除させ、認証され権限付与された携帯型識別発信器と当該車両との間隔距離が求められ、前記識別発信器と車両の間の間隔距離が、予め定められた第1の近傍間隔を下回っている場合に、前記認証され権限付与された携帯型識別発信器からロック解除信号を車両へ伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に対するアクセス認証制御方法並びに車両に対するアクセス認証制御装置に関している。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自動車への不正なエントリーを防ぐために、最近の自動車におけるエントリー認証システムないしはアクセス認証装置では電子セキュリティシステムが使用されている。これらのシステムではユーザー認証のために、車両における第1の通信装置と、ユーザーが携帯するキー若しくはキーホルダータイプのID発信器における第2の通信装置との間でデーター通信が行われている。このためにまず車両の第1通信装置からは車両周囲の近傍領域内に携帯型ID発信器が存在しているか否かを検査するために、所定の電界強度を備えた問合せ信号が規則的な時間間隔で送出される。携帯型ID発信器が車両に接近して、引き続きその車両の問合せ信号を受信できるようになると、ID発信器は、認証過程ないしは事前認証過程の開始のために問い合わせ信号の受信に対する応答を開始する。その際には携帯型ID発信器が最終的にその認証コードを車両に伝送するデータテレグラムの交換が行われる。認証コードの検査が成功した場合には、当該車両の側にいるユーザーがドアノブを操作することによって、対応する車両ドアのロック解除若しくは全ての車両ドアのロック解除が開始され得るようになる。慣用的にはドアノブの操作の後でさらなる認証が車両と識別発信器の間で実施され、その場合第2の認証が成功した後でのみ車両の少なくとも1つのドアがロック解除される。ここではユーザーによる機械的若しくは電子的なキーのアクティブ操作を必要としないため、この種のアクセス認証はパッシブアクセス認証検査と称され、それに相応するアクセス認証システムは電子的パッシブアクセス認証システムと称されている。
【0003】
この種の車両へのアクセスを成功させるための方法での欠点としては、車両の側にいるユーザーが車両内へのアクセスないしエントリーの成功のためにまずドアノブを操作しなければならないことと、さらなる認証過程を待っていなければならないことである。このことは特にユーザーがちょうど買い物から車両へ戻った場合に、そして大量の買い物袋を下げているときには非常に面倒になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、ユーザーにさらなる快適性を提供することのできる車両へのアクセスのためのより効率的な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は本発明により、車両から認証される携帯型識別発信器に認証信号を送信し、これにより識別発信器は認証され、車両をロック解除させ、認証され権限付与された携帯型識別発信器と当該車両との間隔距離が求められ、前記識別発信器と車両の間の間隔距離が、予め定められた第1の近傍間隔を下回っている場合に、前記認証され権限付与された携帯型識別発信器からロック解除信号が車両へ伝送されるようにして解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
有利な構成は従属請求項の対象である。
【0007】
この場合本発明の第1の観点によれば、車両、特に自動車へのアクセス認証制御のための方法は以下のステップを含んでいる。まず認証信号が車両から例えばキー若しくはキーホルダーの形態の権限付与された携帯型識別発信器へと送信され、それによってこの識別発信器が車両のロック解除を認証される。さらにここにおいて認証され権限付与された携帯型識別発信器と当該車両との間隔が求められる。最後に識別発信器と車両の間の間隔が予め定められた第1の近傍間隔を下回っている場合には、認証され権限付与された携帯型識別発信器からロック解除信号若しくは開放信号(例えばトランクリッドの開放など)が車両へ伝送される。このことは、認証された(権限付与された)携帯型識別発信器を伴ったユーザーが車両から所定の距離間隔、例えば0.5m〜0.75mの間隔(m=メートル)をおいて存在している場合には、識別発信器自体がロック解除信号をトリガすることを意味している。その場合には、場合によってはロック解除信号の検査過程とそれに続く少なくとも1つの車両ドアのロック解除のために、ユーザーが(その携帯型識別発信器と共に)所定の第1の近傍間隔の区間を克服するまでの時間だけさらに待機される、このようにしてユーザーが携帯型識別発信器と車両との間の複数の認証過程にほとんど巻き込まれることなく、車両へのアクセスないしエントリーが得られる、効率的なアクセス認証制御が実現される。
【0008】
有利な実施例によれば、車両が認証信号の送信前に1つ又は複数の問合せ信号を送信し、携帯型識別発信器が、予め定められる第1の近傍間隔よりも広い所定の第2の近傍間隔内に存在するか否かが検査される。つまりこれらの問合せ信号は次のように見積もられる。すなわち携帯型識別発信器が既に早期の時点において通信接続を構築すべく識別されるように見積もられる。予め定められる第2の近傍間隔はこの場合約1m〜1.5mである。
【0009】
携帯型識別発信器IDGが予め定められた第2の近傍間隔内に存在する場合には、携帯型識別発信器は車両の問合せ信号の1つに対して応答ができる。これにより最終的に当該車両は検出された識別発信器によって認証過程を実施し、それによってこの車両のロック解除に対する権限ないし正当性が確定される。この認証過程又は事前認証過程の際には、1つ又は複数のデータテレグラムが車両と携帯型識別発信器との間で伝送される。その場合には携帯型識別発信器はその認証コードを車両に伝送する。携帯型識別発信器の認証コードが有効なものとして車両によって分類されたならば、車両は認証成功の結果として有利には目下権限を付与された若しくは認証された携帯型識別発信器に認証信号を直ちに送信する。
【0010】
認証され権限付与された携帯型識別発信器はいつ自身がロック解除信号を車両に送信するべきかを認識するために本発明の実施例によれば、車両との間隔を検出するために、車両から1つ又は複数の信号(間隔決定信号)を予め定められた電界強度で送信し、その受信に基づいて携帯型識別発信器は車両までの間隔を算出することができる。このことは車両が信号を送信する際の所定の電界強度に関する情報によって、及び携帯型識別発信器の箇所におけるそのつどの間隔決定信号の電界強度の測定後に携帯型識別発信器は車両までの間隔を求めることができることを意味している。この場合の間隔決定に対してはRSSI(Received Signal Strength Indication)値が算出される。
【0011】
安全性を向上させるためにそして電流消費の低減のためにも(間隔決定信号が車両から規則的な時間間隔で送信される場合の)考えられることは、認証信号の送信後に、その時間内でロック解除信号が伝送されなければならない所定のロック解除時間間隔に対するカウントダウンを開始することである。このロック解除時間間隔(期間)が切れると、受信されたロック解除信号が車両によってもはや有効に分類できなくなるか若しくは例えば間隔決定信号の送信が中断される。それにより間隔検出は携帯型識別発信器側ではもはや不可能となり、ひいてはそれに伴ってロック解除信号も伝送されなくなる。
【0012】
本発明の第2の側面によれば、車両用、特に自動車用のアクセス認証装置が提供される。この装置は以下に述べる特徴を有している。まずこのアクセス認証装置は、(例えばキーないしキーホルダーの形態をした)権限付与された携帯型識別発信器に、識別発信器に車両のロック解除を認証させる認証信号を送信するための車両側送受信装置を有している。さらにこのアクセス認証装置は、(認証される)携帯型識別発信器を含んでおり、該識別発信器は認証信号の受信のための識別発信器側送受信装置と、当該携帯型識別発信器と対応する車両との間の間隔距離を検出するための間隔距離検出装置を有している。この場合前記識別発信器側送受信装置はさらに認証信号の受取り後で、予め定められた第1の近傍間隔よりも短い間隔距離が求められた場合に、ロック解除信号を車両に伝送するように構成されている。このようにして効率的なアクセス認証装置が実現される。この装置では識別発信器側送受信装置が自立的に車両との最小間隔を下回った場合にロック解除信号を送信する。その場合ロック解除信号の所定の検査に対しては十分な時間が残されている(具体的には識別発信器を携帯するユーザーが車両に到達するまで、そして例えば車両内に入るためにドアノブを操作するまで)。
【0013】
本発明の別の有利な実施例によれば、前記車両側送受信装置は、認証信号の送信前に1つ又は複数の問合せ信号を送信し、それによって携帯型識別発信器が、第1の近傍間隔よりも広い第2の近傍間隔内に存在するか否かが検査される。さらに前記携帯型識別発信器ないしはその送受信装置は、携帯型識別発信器の認証過程の開始のために、問合せ信号の受信後に車両側送受信装置に応答信号AWSを伝送するように構成されている。その際車両側送受信装置は認証成功の後で(認証過程成功の結果として)認証信号を携帯型識別発信器に送信する。
【0014】
それと共に携帯型識別発信器ないしはその間隔距離検出装置は、車両までの間隔距離を検出するように構成されており、当該アクセス認証装置の構成に従って車両側送受信装置に1つ又は複数の信号(間隔距離決定信号)を予め定められた電界強度で送信し、その受信に基づいて当該携帯型識別発信器の間隔距離検出装置は車両までの間隔を検出することができる。間隔距離決定信号のその放射の際の既知の所定の電界強度、並びに携帯型識別発信器の箇所で測定された間隔距離決定信号の電界強度に基づいて、当該間隔距離検出装置は携帯型識別発信器と車両との間の離間距離を推定することができる。
【0015】
本発明のさらに別の実施例によれば、アクセス認証装置が車両側制御装置を有し、該車両側制御装置は車両側送受信装置に受信したロック解除信号を転送し、それによって車両側制御装置は当該車両の少なくとも1つのドアをロック解除できる。その際にこの制御装置は所定のドアのロック解除若しくは例えば集中ドアロック装置の駆動制御によって全てのドアのロック解除を開始することができる。
【0016】
本発明の別の有利な実施例によれば、前記車両側制御装置は、車両側送受信装置から認証信号が送信された後で、予め定められたロック解除時間間隔の測定を開始するように構成されている。この予め定められたロック解除時間間隔内ではロック解除信号の受信が可能ないしは受入れられる。その際車両側制御装置は所定のロック解除時間間隔の経過後は(さらなる認証なしで)到来するロック解除信号を受入れることができない。若しくは車両側送受信装置は間隔距離検出信号の送信をストップするように制御される。
【0017】
本発明のさらに別の観点によれば、種々異なる有利な構成も含めて前述してきたアクセス認証装置を備えた自動車も得られる。
【0018】
さらに前述してきた方法の有利な実施例も、当該自動車ないし装置に対して転用できる限り、当該自動車ないしは装置の有利な実施例と見なすことができる。
【実施例】
【0019】
以下では本発明の有利な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
まず初めに車両内、ここでは自動車FZ内で使用できるように設計されているアクセス認証システムないしアクセス認証装置ZAが示された図1が参照される。このアクセス認証装置ZA(車両側の領域内、図1の右方参照)は、車両側制御装置STEを含んでおり、この車両側制御装置はバッテリBATから電流を供給されている。図には示されてはいないが、バッテリBATは車両のさらに別の構成要素にも電流を供給している。制御装置STEは車両側送受信装置SEに接続されており、該車両側送受信装置は、車両側アンテナANFと無線区間FSSを介して携帯型識別発信器IDG(これは以下の明細書でさらに詳細に説明する)と接続形成される。さらに前記制御装置STEは、ロック解除命令ERSを用いてドアロックを駆動制御すべくドアロックTS(これは例えば集中ドアロック装置用であってもよい)に接続されている。その他にもこの制御装置STEはライトコントロールデバイスLSEと接続形成され、この場合当該ライトコントロールデバイスLSEはライトコントロール信号LSSの受取り後に、(例えばウインカー若しくはロービームの形態の)照明装置BLを活動化ないし非活動化させ得る。
【0021】
既に前述してきたように車両FZは無線区間FSSを介して携帯型識別発信器IDGと(図1左方側の識別認証領域内において)通信可能である。それに対する前提は、携帯型識別発信器IDGが近傍領域ANB内に存在することである。この領域内では車両側アンテナANFから放射された信号が携帯型識別発信器IDGによって正常に受信されるのにまだ十分な電界強度を有している。車両側アンテナANFからの信号の受信のために携帯型識別発信器IDGは識別発信器側アンテナANIを有しており、このアンテナは受信信号の処理若しくは新たな信号の生成のために識別発信器側送受信装置SEIに接続されている。前記新たな信号は最終的にこのアンテナANIを介して放射される。前記識別発信器側送受信装置にはさらに識別発信器側制御装置STIが接続されており、この制御装置STIは一方では車両FZとの認証過程の実行ができるように構成されており、またもう一方では携帯型識別発信器IDGと車両との間隔検出のための間隔検出装置として用いることができるように構成されている。これについてはさらに以下の明細書で詳細に説明する。
【0022】
さらに詳細に説明すれば、図1中では携帯型識別発信器IDGが3つの異なるポジション、POS1,POS2,POS3で表されている。第1のポジションPOS1では携帯型識別発信器はまだ近傍領域ANB外に存在しており、無線区間FSSを介した車両FZとの通信はまだできない。それに対して携帯型識別発信器IDGがそのユーザーないしは車両のユーザーと共に矢印P1に沿って車両FZの方向に移動すると、携帯型識別発信器IDGは第2のポジションPOS2に到達し、この第2のポジションPOS2では携帯型識別発信器IDGは近傍領域ANBに存在することになり、それによって車両FZとコンタクトをとることないしは車両の問合せ信号に対して応答することができるようになる。最終的に携帯型識別発信器EDGが矢印P2に沿って車両の方へ移動すると、携帯型識別発信器はさらなる近傍領域ANBEに到達し、その中では携帯型識別発信器は車両若しくはドアロックTSに対してロック解除信号を送信することができるようになる。
【0023】
次に、本発明の実施形態によるアクセス認証制御のための状況ないし条件を概略的に表した図2を参照して説明を続ける。図2に基づけば、車両FZは所定の時点においていわゆる"ポーリング"を実施し、その際には問合せ信号が車両側アンテナを介して放射され、この信号は近傍領域ANB内に存在する携帯型識別発信器によって応答され得る。まずここでは、携帯型識別発信器IDGがまだ近傍領域外にあることが前提とされる(例えば図1の第1のポジションPOS1の領域)。携帯型識別発信器IDGが車両に近づき近傍領域ANB(例えば第2のポジションPOS2)内に存在すると事前認証過程が開始され、その際には無線区間FSSを介してデータテレグラムが車両FZと携帯型識別発信器IDGの間で交換され、それによって携帯型識別発信器は自身の認証コードを車両FZに伝送する。この識別コードが適正であるとき、ないしは車両FZに対するこの携帯型識別発信器の所属が確認されたときには、認証(権限付与)過程が実施され、その際には車両FZが認証信号BSを携帯型識別発信器IDGに向けて伝送し、それによって携帯型識別発信器は車両のロック解錠に関する認証ないしは権限を与えられる。ここにおいて携帯型識別発信器IDGが規則的に車両FZとの間隔を検査し(これについては図3参照)、携帯型識別発信器がロック解除近傍領域ANBE内に存在するか若しくは当該車両との間隔が間隔距離ANRE以下であるときには、ロック解除信号ESが車両に送信される。このロック解除信号をアンテナANF若しくは車両側送受信装置SEによって受信した後で信号が制御装置STEに転送され、該制御装置は例えばロック解除信号に付随した識別発信器コードに基づいて最終的に車両のロック解除のための当該携帯型識別発信器IDGの正当性を検査する。この検査が成功した場合には、制御装置STEがロック解除命令ERSをドアロックTSに送出し、車両ドアTFZ若しくはその他のさらなる車両ドア(図示せず)がロック解除される。
【0024】
最後に、本発明の実施形態に従ったアクセス認証制御のためのアクセス認証装置ZAの作動形態を詳細に表すためのフローチャートが示されている図3を参照して説明を続ける。車両、例えば車両FZがエンジン停止されるか駐車された状態におかれると、ステップS1に従って規則的な間隔で若しくは所定の時点において、所定の電界強度の問合せ信号ANSが送信される。識別発信器IDGのような携帯型識別発信器はそれが図1に示されているような近傍領域ANB内に存在している限り前記のような問合せ信号をキャッチすることができる。まずここでは、携帯型識別発信器IDGがまだ近傍領域ANB外のポジションPOS1の領域にあるものとする。
【0025】
ここにおいて当該携帯型識別発信器IDGが矢印P1に沿って車両FZのほうこうへ移動し、ステップS2において近傍領域ANB内に進入すると、当該車両との間隔が、予め定められている間隔距離ANR以下となる。
【0026】
次にステップS3においてさらなる問合せ信号ANSが車両から若しくは車両側送受信装置SEからアンテナANFを介して送信されると、携帯型識別発信器IDGはステップS4においてこの信号を受信し、相応の応答信号AWSを返信する。この場合応答信号AWS内には短いコードないしは識別発信器コードを含ませることができる。制御装置STIと送受信装置SEIないしはアンテナANIから放射された応答信号AWSは最終的にアンテナANFによって受信され送受信装置SEを介して制御装置STEに転送される。ここでは当該携帯型識別発信器IDGの車両に対する属性ないし所属性が検査され、引き続きステップS5においてライトコントロール信号LSSがライトコントロール装置LSEに送信される。それに伴って照明装置BLが作動され、当該検査の成功を確定する光学的なシグナリング、例えばいわゆる"ウエルカムライティング"のような点滅が当該識別発信器を携帯しているユーザーに対して提供される。しかしながらその他にも付加的に又は代替的に例えばクラクションの合図のような音響的信号を提供することも考えられる。
【0027】
次にステップS6においては詳細な認証過程が開始され、その際にはまず車両FZが相応の装置SEないしアンテナANFを介して認証問合せAUSを携帯型識別発信器IDGに送信する。ステップS7では携帯型識別発信器IDGが応答を開始し、その際には制御装置によって生成された認証コードを伴った応答信号AUWを車両に返信する。ここでこの応答信号AUWが受信され制御装置STEに転送される。ここでは認証コードが検査され、その検査が成功した後はステップS8において認証信号BSが生成されポジティブな検査結果として装置SEとアンテナANFを介して携帯型識別発信器IDGに送信される。それと平行して制御装置STEは内部の時間測定装置ないし内蔵タイマーITを駆動させ、ロック解除時間間隔ZESを測定する。相応に制御装置STEはここにおいて識別発信器IDGからのロック解除信号の受取りをロック解除時間間隔ZES内で待機する。この場合当該時間間隔が過ぎてしまうと、もはや識別発信器IDGからのロック解除信号を受入れることはできなくなる。
【0028】
認証信号BSの受取り後は、車両は装置SEないしANFを介して規則的な時間間隔、例えば0.5秒の時間間隔で所定の電界強度のさらなる問合せ信号を放射する。この信号はこの場合携帯型識別発信器による間隔距離検出のための間隔決定信号ABSの機能を有している。自動車による間隔決定信号の放射は例えばさらなる認証信号BSの転送の際か若しくは転送の後に開始可能である。あるいはステップS9において示されているように携帯型識別発信器IDGからの信号である相応の開始問合せSAFの車両FZへの送信によって開始されてもよい。いずれの場合においてもステップS10に従って車両からの間隔決定信号ABSの送信が実施される。ここにおいて携帯型識別発信器IDGは一方では間隔決定信号ABSを車両から放射する際の電界強度ないし信号強度を識別し、当該識別発信器の場所で受信した間隔決定信号ABSの電界強度を測定している。制御装置STI(これは既に前述したように間隔距離検出装置としても用いることが可能である)においては、間隔決定信号に関するこれらの2つの値から当該携帯型識別発信器と車両との間の間隔距離を求めることができる。
【0029】
次に携帯型識別発信器IDGが矢印P2(図1参照)に沿って車両に向かう方向でポジションPOS3に移動したものとする。この箇所において検出された車両の1つ又は複数の間隔決定信号の電界強度の算出によって携帯型識別発信器IDGは、自身がロック解除近傍領域ANBE内に存在することを、ないしは車両との間隔距離がロック解除間隔距離ANRE以下であることを識別する。それによりステップS11においてはロック解除信号ESが車両FZに送信される。ここでは当該ケースにおいてこのロック解除信号ESがロック解除時間隔のまだ経過する前に送信され、それに伴って車両FZに受入れられていることを述べておく。このロック解除信号ESは車両によって受信され、制御装置STEに転送される。ここでは、さらなる認証過程が実行されるか又は場合によりロック解除信号ES内に含まれるコードが制御装置STEによって検査されることも可能である。その際にはまた、認証信号BSと共に1つのコードを携帯型識別発信器IDGに伝送し、このコードを後でロック解除信号において不変のまま若しくは所定のスキーマに従って変更した形態で再び車両FZに返信することも考えられる。所定の認証過程がポジティブに経過したとき、若しくはロック解除信号ES内に含まれたコードが適正であったときには、制御装置はステップS12においてドアTFZ(ないしは車両の複数のドア)のロック解除のためにロック解除信号をドアロックTSに転送する。ドアTFZないしは車両の複数のドアのロック解除の確認に対しては(前述のウエルカムライティングのように)制御装置STEはライトコントロール信号LSSをライトコントロール装置LSEに送信し、この信号によって照明装置BLが作動され、当該携帯型識別発信器を伴っているユーザーに対して例えばウインカーの点滅のような形態の光学的なシグナリングが提供される。しかしながらその他にも付加的に又は代替的に例えばクラクションの合図のような音響的信号を提供することも考えられる。
【0030】
このようにして車両への接近を検出した場合に携帯型識別発信器IDGが自立的に車両のロック解除を促す車両用の効率的なアクセス認証制御が達成される。
【0031】
なお前記近傍間隔ANR(これは近傍領域ANBをも表している)は例えば約1m〜1.5mであってもよいし、それに対して前記ロック解除間隔距離ANRE(これはロック解除近傍領域ANBEをも表す)は、例えば約0.5m〜0.75mであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態による車両用の電子制御式キーレスエントリーシステムないしアクセス認証装置を概略的に表した図
【図2】本発明の実施形態による車両に対するアクセス認証制御のための状況ないし条件を具現化するための概略図
【図3】本発明の実施形態による車両に対するアクセス認証制御のためのアクセス認証装置の作動を表すためのフローチャート
【符号の説明】
【0033】
FZ 車両
STE 車両側制御装置
SE 車両側送受信装置
ANF 車両側アンテナ
TFZ 車両ドア
FSS 無線区間
IDG 携帯型識別発信器
ANI 識別発信器側アンテナ
SEI 識別発信器側送受信装置
STI 識別発信器側制御装置
ANB 近傍領域
ANBE ロック解除近傍領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(FZ)に対するアクセス認証制御のための方法において、
車両(FZ)から認証される携帯型識別発信器(IDG)に認証信号(BS)を送信し、これにより識別発信器は認証され、
車両をロック解除させ、
認証され権限付与された携帯型識別発信器と当該車両との間隔距離が求められ、
前記識別発信器と車両の間の間隔距離が、予め定められた第1の近傍間隔(ANRE)を下回っている場合に、前記認証され権限付与された携帯型識別発信器からロック解除信号(ES)が車両へ伝送されるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記車両(FZ)は、認証信号(BS)の送信前に1つ又は複数の問合せ信号(ANS)を送信し、それによって携帯型識別発信器(IDG)が、前記第1の近傍間隔(ANRE)よりも広い第2の近傍間隔(ANR)内に存在するか否かが検査される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記車両は検査が成功した場合に、当該の成功した検査の確認信号をユーザーが携帯している携帯型識別発信器に送信する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記車両は検査が成功した場合に、車両のロック解除に対する認証確定のために、検出した識別発信器(IDG)による認証過程を実施する、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
認証確定が成功した場合に認証信号を直接携帯型識別発信器に送信する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
認証され権限付与された携帯型識別発信器(IDG)から車両(FZ)までの間隔距離を求めるために、予め定められた電界強度を有する1つ又は複数の間隔決定信号(ABS)を車両から送信し、その受信に基づいて、当該認証され権限付与された携帯型識別発信器が車両までの間隔距離を確定可能である、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記認証信号(BS)の伝送の前に、その時間内ではロック解除信号の伝送が可能な予め定められたロック解除時間間隔(ZES)の測定を開始する、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
予め定められたロック解除時間間隔(ZES)が経過した後で車両によってロック解除信号を無効なものとして分類する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
車両(FZ)用のアクセス認証装置において、
権限付与された携帯型識別発信器(IDG)に、識別発信器に車両のロック解除を認証させる認証信号(BS)を送信するための車両側送受信装置(SE)と、
携帯型識別発信器を有し、前記携帯型識別発信器は、
認証信号(BS)の受信のための識別発信器側送受信装置(SEI)と、当該携帯型識別発信器と対応する車両との間の間隔距離を検出するための間隔距離検出装置(STI)を含んでおり、
前記識別発信器側送受信装置(SEI)はさらに認証信号の受取り後で、予め定められた第1の近傍間隔(ANR)よりも短い間隔距離を検出した場合には、ロック解除信号(ES)を車両に伝送するように構成されていることを特徴とするアクセス認証装置。
【請求項10】
前記車両側送受信装置(SE)は、認証信号(BS)の送信前に1つ又は複数の問合せ信号(ANS)を送信し、それによって携帯型識別発信器(IDG)が、第1の近傍間隔(ANRE)よりも広い第2の近傍間隔(ANR)内に存在するか否かが検査される、請求項9記載のアクセス認証装置。
【請求項11】
前記識別発信器側送受信装置(SEI)は、携帯型識別発信器の認証過程の開始のために、問合せ信号(ANS)の受信後に車両側送受信装置(SE)に応答信号AWSを伝送するように構成されている、請求項10記載のアクセス認証装置。
【請求項12】
前記車両側送受信装置(SE)は認証確定が成功した後で認証信号を携帯型識別発信器に送信する、請求項11記載のアクセス認証装置。
【請求項13】
前記車両側送受信装置(SE)は間隔距離検出のために予め定められた電界強度の1つ又は複数の信号(ABS)を送信し、その値に基づいて携帯型識別発信器の間隔距離検出装置(STI)は車両までの間隔距離を検出し得る、請求項9から12いずれか1項記載のアクセス認証装置。
【請求項14】
さらに車両側制御装置(STE)が設けられており、該車両側制御装置(STE)は車両側送受信装置(SE)に受信したロック解除信号(ES)を転送し、それによって車両側制御装置(STE)は当該車両の少なくとも1つのドア(TFZ)をロック解除する、請求項9から13いずれか1項記載のアクセス認証装置。
【請求項15】
前記車両側制御装置(STE)は、認証信号(BS)の送信の後で、ロック解除信号の受信が受入れられる予め定められたロック解除時間間隔(ZES)の測定を開始するように構成されている、請求項14記載のアクセス認証装置。
【請求項16】
請求項9から15までのいずれか1項記載のアクセス認証装置を有することを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−82157(P2008−82157A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238128(P2007−238128)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(507229032)ジーメンス ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (46)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】