車両の舵角制御装置
【課題】良好な走行安定性を確保し得る車両の操舵制御装置を提供する。
【解決手段】車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置において、車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を設定し、当該設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって所定の標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角とに基づいて操舵対象車輪の車輪舵角を演算し、操舵対象車輪の車輪舵角を検出し、上記演算された車輪舵角と上記検出された車輪舵角とが一致するように車輪舵角を制御する。
【解決手段】車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置において、車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を設定し、当該設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって所定の標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角とに基づいて操舵対象車輪の車輪舵角を演算し、操舵対象車輪の車輪舵角を検出し、上記演算された車輪舵角と上記検出された車輪舵角とが一致するように車輪舵角を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前方又は後方の操舵対象車輪に対し、ステアリング操作に応じて車輪舵角(タイヤ角)を調整する車両の操舵制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転者のステアリング操作角(操舵角)に対して車輪舵角(タイヤの切れ角)を任意に制御する種々の装置が提案されている。例えば、特許文献1には車速に応じて舵角比を変更する可変舵角比操舵装置が提案されている。また、特許文献2にはヨーレートフィードバックにより補助舵角を与え、車両挙動を安定化させる車両用実舵角制御装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−105106号公報
【特許文献2】特開平02−18168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1あるいは2に記載の装置により車両運転者のステアリング操作時の負担は大きく軽減されているが、ステアリング操作時の操舵特性に関し、更に改善する余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、良好な走行安定性を確保し得る車両の操舵制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置に係るものである。
ところで、車輪の横力の飽和が近い状態では、ステアリングを操作しても、横力の増加が見込まれない。
そこで、請求項1に記載の発明は、車両の運転者のステアリング操作角を検出するステアリング操作角検出手段と、車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量を演算するアンダーステア状態量演算手段と、アンダーステア状態量演算手段により演算されたアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を、設定するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段と、所定の標準ステアリングギヤ比を、アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて操舵対象車輪の車輪舵角を演算する車輪舵角演算手段と、操舵対象車輪の車輪舵角を検出する車輪舵角検出手段と、車輪舵角演算手段により演算された車輪舵角と車輪舵角検出手段により検出された車輪舵角とが一致するように、車輪舵角を制御する操舵制御手段と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、アンダーステア状態量の増大に応じて、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車輪の横力の飽和が近い状態における無駄なステアリング操作が行われず、良好な走行安定性を確保することができる。
【0007】
上記請求項1記載の車両の操舵制御装置に対し、請求項2に記載のように、車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、車両の走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度を演算するグリップ度演算手段と、グリップ度演算手段により演算されたグリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比を大きくするためのグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定するグリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、グリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算するようにしてもよい。
請求項2に記載の発明では、グリップ度の低下に伴って、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車輪の横力の限界が近くそれ以上ステアリング操作をしても横力の増加が見込めない状態における無駄なステアリング操作が行われず、より良好な走行安定性を確保することができる。
【0008】
上記請求項1又は2に記載の車両の操舵制御装置に対し、請求項3に記載のように、車両の車体速度を検出する車体速度検出手段と、車体速度検出手段により検出された車体速度が高いほどステアリングギヤ比を大きくするための車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定する車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定された車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算するようにしてもよい。
請求項3に記載の発明では、車体速度が高いほど、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車両低速時には取り回しを向上させ、車両高速時には車両安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の操舵制御の一実施形態に係る制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に供するスリップ率対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に供するグリップ度対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態に供する車速対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に供するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態に供する荷重移動補正マップを示すグラフである。
【図8】本発明の操舵制御の他の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態に供する操作速度対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図11】本発明の操舵制御の更に他の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の操舵制御の別の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図14】本発明の別の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の操舵制御装置の一態様を示す構成図である。
【図16】本発明の操舵制御装置の他の態様を示す構成図である。
【図17】本発明の操舵制御装置の更に他の態様を示す構成図である。
【図18】車輪のスリップ率に対する横力及び前後力の関係をスリップ角毎に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の望ましい実施形態を説明する。本発明に供する操舵制御装置としては、車両運転者のステアリング操作角(操舵角あるいはハンドル角ともいう)に対して任意に車輪舵角(タイヤ角)を設定可能なアクティブステアリング機能を有する装置であれば、どのような形式のものを用いてもよい。例えば、図15に示すように、ステアリングホイールSWが舵角比可変装置(VGR)を介して操舵対象車輪たる車両前方の車輪FL,FRの操舵軸RDと機械的に連結されたものを用いることができる。この装置によれば、舵角比可変制御ユニット(VGR−ECU)によって舵角比可変装置(VGR)が駆動され、ステアリング操作角に対して任意の車輪舵角を設定することができる。更に、パワーアシスト装置として電動パワーステアリング機構(EPS)を用いたものとすることができ、図15においては、パワーステアリング制御ユニット(EPS−ECU)によってアクチュエータ(図示せず)が制御され、車両前方の車輪FL及びFRの車輪舵角(タイヤ角)が制御される。尚、パワーステアリング制御ユニット(EPS−ECU)に操舵角センサSS、操舵トルクセンサTS、実舵角センサAS及び車速センサVSが接続されると共に、舵角比可変制御ユニット(VGR−ECU)と双方向に接続されている。
【0011】
上記の電動パワーステアリング機構(EPS)に代えて、図16に示すように、油圧パワーステアリング機構(HPS)を用いることとしてもよい。図16における他の構成は図15に記載の態様と同じであるので、同一の部品等には同一の符号を付している。更に、図17に示すように、ステアリングホイールSWと操舵軸RDが機械的に連結されていない所謂ステア・バイ・ワイヤで構成してもよい。これは、運転者によるステアリングホイールSWの操作に応じて操舵角センサSSによって検出した操舵角と、操舵トルクセンサTSによって検出した操舵トルクが操舵制御ユニット(AFS−ECU)に入力され、これらと車両状態信号(車速等)に基づいて設定された駆動電流によって、アクチュエータAFSが制御され、車輪FL及びFRの車輪舵角(タイヤ角)が制御されるもので、図15及び図16に記載の態様と同様、パワーステアリング機能とアクティブステアリング機能を有する。その他の構成は図15及び図16に記載の態様と実質的に同じであるので、同一の部品等には同一の符号を付している。以下、先ず図15及び図16に示す舵角比可変装置(VGR)を備えた態様について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の操舵制御装置の一態様(例えば図15に記載)の制御ブロック図を示し、ブロックN1乃至N6では、ステアリング操作角検出手段たる操舵角センサ(図15のSS)によって検出された車両の運転者によるステアリングホイール(図15のSW)のステアリング操作角(N1)、車速センサ(図15のVS)によって検出された車体速度(以下、車速という)(N2)、ヨーレイトセンサ(図示せず)によって検出されたヨーレイト(N3)、実舵角センサ(図15のAS)によって検出された操舵対象車輪(車輪FL及びFR)の車輪舵角(以下、実舵角という)(N4)等と共に、操舵対象車輪を含む左右一対の車輪のうちの少なくとも一方の車輪のスリップ率(N5)、及び走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度(N6)が入力情報とされる。尚、スリップ率(N5)は、周知のように、車輪速度センサ(図示せず)によって検出された車輪速度と、この車輪速度に基づいて演算される推定車体速度(あるいは上記の車速)によって演算される。また、グリップ度は、上記の車速、ヨーレイト及び実舵角を含み車両の運転状態を表す指標に基づき、特許文献3(特開2003−312465号公報)に記載のように演算される。
【0013】
本実施形態においては、上記のスリップ率に応じて、図3に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比(図1のN7)に対して、図3に実線で示すように所定の関係を有するスリップ率対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、スリップ率対応ギヤ比補正係数マップ(M1)が用意されている。同様に、上記のグリップ度に応じて、図4に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図4に実線で示すように所定の関係を有するグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、グリップ度対応ギヤ比補正係数マップ(M2)が用意されている。また、上記の車速に応じて、図5に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図5に実線で示すように所定の関係を有する車速対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、車速対応ギヤ比補正係数マップ(M3)が用意されている。
【0014】
更に、図1に示すように、上記の車速、ヨーレイト及び実舵角等の検出車両状態に基づき、車両状態量演算ブロック(C1)にて、アンダーステア状態量及びオーバーステア状態量を含む車両状態量が演算される。そして、前者のアンダーステア状態量に応じて、図6に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図6に実線で示すように所定の関係を有するアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップ(M4)が用意されている。
【0015】
そして、本実施形態においては、図1に示すように、標準ステアリングギヤ比(N7)が、上記のスリップ率対応ギヤ比補正係数マップ(M1)、グリップ度対応ギヤ比補正係数マップ(M2)、車速対応ギヤ比補正係数マップ(M3)及びアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップ(M4)に従って補正され、目標舵角設定ブロック(TA)にて目標舵角が設定される。この場合において、車両のオーバーステア時においては、車両状態量演算ブロック(C1)にて演算されたオーバーステア状態量に基づき、オーバーステア時の目標舵角が演算され(C2)、目標舵角設定ブロック(TA)における目標舵角の設定に供される。更に、この目標舵角に対し、荷重移動補正ブロック(CR)にて荷重移動補正が行われた後、現在のステアリング操作角(N1)に加算されて、ギヤ比可変制御用の目標舵角が設定される。
【0016】
尚、上記の荷重移動補正ブロック(CR)においては、前後加速度センサ(図示せず)によって検出された前後加速度(N8)に基づき荷重移動率が演算され(C3)、その演算結果に応じて、図7に破線で示す目標舵角に対し図7に実線で示すように所定の関係を有する補正係数が設定され、この補正係数に基づき目標舵角に対する荷重移動補正が行われる。
【0017】
上記のギヤ比可変制御用の目標舵角設定は図2のフローチャートに従って行われる。先ず、ステップ101においてセンサ情報等が取得される。即ち、ステアリング操作角、車速、実舵角等のセンサ信号が読み込まれる。これら車速、ヨーレイト、スリップ率等はブレーキ制御用の電子制御ユニット(図示せず)からの通信に基づく情報を取得してもよいし、操舵制御用の電子制御ユニット(図15のVGR−ECU又はEPS−ECU)で演算することとしてもよい。グリップ度は特許文献3(特開2003−312465号公報)に記載の方法で算出すればよいし、グリップ度に代えて例えば特許文献4(特開平11−99956号公報)に記載の横力利用率・横G利用率等の指標を用いることとしてもよい。続いて、ステップ102において、車両状態量が演算される。この車両状態量は、前述のようにアンダーステア状態量及びオーバーステア状態量を含む車両の不安程度を表す指標で、制動装置による車両安定性制御(スタビリティ制御)用の電子制御ユニット(図示せず)からの通信に基づく情報を取得してもよい。次に、ステップ103において、前述の各種ステアリングギヤ比補正係数マップ(M1乃至M4)に基づく演算処理が行われる。
【0018】
例えば、図3のスリップ率対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、スリップ率が深くなるに従ってステアリングギヤ比補正係数が小さくなる(迅速になる)ように設定される。この補正は、後述するように制動時の横力の低下を補うように機能する。同様に、図4のグリップ度対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、グリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比補正係数が大きくなる(緩慢になる)ように設定される。この補正は、横力の限界が近くそれ以上ホイールステアリングSWを操作しても横力の増加が見込まれないときに、無駄なホイールステアリング操作を行わないように機能する。
【0019】
また、図5に示す車速対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、車速が低ければステアリングギヤ比補正係数が小さく、車速が高ければギヤ比補正係数が大きくなるように、車速に応じてステアリングギヤ比補正係数が設定される。この補正により低速時の取り回し、高速時の車両安定性を向上させることができる。更に、図6のアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、アンダーステア傾向が強くなるにつれてステアリングギヤ比補正係数が大きくなるように設定される。この補正は、横力の飽和が近い状態では、それ以上ホイールステアリングSWを操作しても横力の増加が見込まれないので、無駄なホイールステアリング操作を行わないように機能する。あるいは、上記の指標全てを用いる必要はなく、適宜選択すればよい。また、上記以外の指標を用いて適切なステアリングギヤ比補正係数を設定することとしてもよい。
【0020】
次に、図2のステップ104において、ギヤ比補正目標舵角が演算される。即ち、ステップ103で演算された各種指標に対するステアリングギヤ比補正係数が、ステアリング操作角に乗じられて目標舵角が演算される。更に、ステップ105において、オーバーステア時目標舵角が演算される。即ち、車両がオーバーステア状態の場合はそのオーバーステア状態を解消、低減させるためのカウンタステアに相当する車輪舵角が設定される。この場合も、スリップ率が大きいときには車輪舵角が大きくなるように補正してもよい。
【0021】
そして、ステップ106に進み目標舵角が設定される。即ち、車両がオーバーステア状態であるならばステップ105で演算された目標舵角が設定され、そうでなければステップ104で演算されたギヤ比補正目標舵角が設定される。更に、車両が減速して前輪の接地荷重が増大すると操舵輪の横力が増加するため、ステップ107において、図7に示す特性に従って荷重移動補正が行われる。即ち、破線で示す(ステップ104又は105にて設定された)目標舵角に対して、実線で示すように、(操舵輪に荷重がのる)荷重移動に伴い目標舵角が小さくなるように補正される。本実施形態では、前後加速度センサ(図示せず)を用いて前後方向の荷重移動に応じた補正が行われるように構成されているが、左右独立操舵可能な操舵制御装置であれば横方向の荷重移動に対しても併せて補正を行うこととするとよい。
【0022】
そして、ステップ108において、最終的なギヤ比可変制御用の目標角が設定される。即ち、ステップ107にて補正された目標舵角を実現するため、この目標舵角とステアリング操作角との差がギヤ比可変制御目標角とされ、これを実現するための制御信号がアクチュエータ(例えば図15のVGR)に供給される。而して、本実施形態においては、従来装置における車速等の指標に基づいてギヤ比を可変としたときの効果に加え,制動時の横力低下を補うように舵角比が調整されるため、車両が旋回中の制動時において適切な操舵制御を行うことができる。
【0023】
次に、図15(及び図16)に示す操舵制御装置を用いた他の実施形態を説明する。図8は、図1に記載の制御ブロック図に対し、単位時間当り操舵量演算(C4)と操作速度対応ギヤ比補正係数マップ(M5)が付加されたもので、その他の構成は図1と同様である。同様に、図9のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、単位時間当り操舵量演算のステップ204が付加されると共に、続くステップ205のギヤ比補正目標舵角演算において、図3乃至図7のマップに加え、図10の操作速度対応ギヤ比補正係数マップも用いて目標舵角の補正演算が行われるが、その他の処理は図2と同様である。図8の単位時間当り操舵量演算ブロック(C4)においては、単位時間にステアリングホイールSWを切り増した量に対して舵角比を可変し得るように、所定の単位時間当りの操舵量増分が求められる。一方、操作速度対応ギヤ比補正係数マップ(M5)は図10に示すように、ステアリング操作角速度(操舵角速度)が速い場合にはステアリングギヤ比が小さくなるように設定されており、これによりステアリングホイールSWを素早く操作したいという運転者の要求を満足させることができる。
【0024】
更に他の実施形態として、ブラッシュモデルに代表されるタイヤモデルを用いて、スリップ率の増加に伴う横力の低下を補うようにスリップ角を求め、目標舵角を設定する態様があり、図17の操舵装置を用いて図11に示すように構成することができる。即ち、車輪(タイヤ)に発生する力は、Fx=fx(s,βf,Fz,μ)及びFy=fy(s,βf,Fz,μ)の関数で表現される。ここで、Fxは前後力、Fyは横力、sはスリップ率、βfはタイヤ(前輪)スリップ角(横すべり角)、Fzはタイヤ接地荷重、μは路面摩擦係数である。従って、スリップ率sの増加に基づく横力Fyの低下を補うようにスリップ角βfを設定すればよく、図11においてはこれを充足するように構成されている。更に、車輪に発生する力Fx及びFyの関係をバランスよく設定することもできる。即ち、スリップ角が0のときの規範Fxとスリップ率が0のときの規範Fyとの偏差が最小となる力Fx及びFyを与えるスリップ角βfに設定すればよい。
【0025】
而して、図11においては、図1に記載の制御ブロック図に対し、入力情報として横加速度(N9)及び路面摩擦係数(N10)が加えられ、更に、横加速度(N9)と車速(N2)及びヨーレイト(N3)から車体スリップ角を演算する車体スリップ角演算ブロック(C5)、車体スリップ角とステアリング操作角(N1)及び標準ステアリングギヤ比(N7)、車速(N2)及びヨーレイト(N3)から標準前輪スリップ角を演算する標準前輪スリップ角演算ブロック(C6)、前後加速度と横加速度から接地荷重を演算する接地荷重演算ブロック(C8)、接地荷重と路面摩擦係数(N10)及びスリップ率(N5)、標準前輪スリップ角からタイヤモデルにより規範タイヤ発生力を演算する規範タイヤ発生力演算ブロック(C9)、スリップ率の増加に基づく横力Fyの低下を補うと共に、前後力Fx及び横力Fyの関係をバランスさせるように目標スリップ角を求める目標スリップ角演算ブロック(C10)、この目標スリップ角となるように目標舵角が演算される目標舵角演算ブロック(C11)が付加され、これに伴い不要となる図1のブロック(N6)、(M1)乃至(M4)等が削除されている。同様に、図12のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、ステップ303にて車体スリップ角、標準前輪スリップ角が演算され、ステップ304にて接地荷重、ステップ305にて規範タイヤ発生力が演算されると共に、続くステップ306及び307においては各々上記のように目標スリップ角及び目標舵角の演算が行われる。尚、ステップ301、302、308、309は、これらに対応する図2に記載の各ステップと同様であるが、操舵装置の違いから図2に記載のステップ108に対応するステップは削除されている。
【0026】
而して、上記の目標スリップ角演算ブロック(C10)及びステップ306においては、規範タイヤ発生力との偏差の大きさが最小となる前後力Fx及び横力Fyを発生させるスリップ角が求められる。具体的には下記の評価関数Lを最小とする前後力Fx及び横力Fyとなるスリップ角が求められる。
評価関数L=(規範Fx−Fx)2+(規範Fy−Fy)2
【0027】
そして、目標舵角演算ブロック(C11)及びステップ307においては、上記のように求められたスリップ角となる車輪舵角が以下の関係に基づいて求められ、目標舵角とされる。
δ=β+Lf・γ/V−βf
ここで、βfは前輪のスリップ角、βは車体スリップ角、Lfは車体重心と前軸間の距離、γはヨーレイト、Vは車速、δは実舵角を夫々表す。
【0028】
而して、上記実施形態によれば、車両旋回中の制動時に、タイヤモデルに基づき前後力の低下を防止しつつ、低下する横力を補うようにスリップ角を増大させることができるので緊急回避時にも良好な回避特性を得ることができる。
【0029】
更に、図13は別の実施形態に係り、図15又は図16に示す操舵制御装置を用いたもので、図1に記載の制御ブロック図に対し、入力情報としてアンチスキッド制御状態(D1)が加えられ、図1のブロック(N5)、(N6)、(N8)、(M1)、(M2)等が削除されたもので、その他の構成は図1と同様である。アンチスキッド制御状態判定ブロック(M6)においては、アンチスキッド制御状態に応じて、非作動時には係数1に設定され、作動時には1よりも小さい係数αに設定される。これにより、アンチスキッド制御作動時におけるスリップ率が深い状態では、スリップ角を大きくすることで横力の低下を補うように補正される。
【0030】
同様に、図14のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、ステップ404にて、上記のようにアンチスキッド制御状態に応じた係数が設定されると共に、これと、図4及び図6のマップに基づくステップ403の演算結果に応じて目標舵角の演算が行われるが、その他のステップ401、402、405乃至407は、これらに対応する図2に記載の各ステップと同様である。而して、本実施形態によれば、アンチスキッド制御作動時のスリップ角が深くなる場合に生じる横力低下を補うようにスリップ角を増大させることができるので、車両の回避性能を一層向上させることができる。
【0031】
以上のように、上記の各実施形態によれば、車両として望ましい操舵特性を維持することができる。尚、上記の各実施形態は、前輪を操舵対象車輪とするアクティブフロントステア制御システムに係るものであるが、後輪を操舵対象車輪とするアクティブリアステア制御システムにも適用でき、更に両者を備えた車両に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10…加速度センサ、11…センサ素子、12…オペアンプ、13…保護抵抗器、15…インタフェース、15b…パリティ回路、15a…信号変換回路、20…ECU、21…CPU、21a…シリアルインタフェース部、22…AD変換器、TE1…アナログ入力端子、TE2…ディジタル入力端子、TE3…制御出力端子、TS1…アナログ出力端子、TS2…ディジタル出力端子、TS3…制御入力端子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前方又は後方の操舵対象車輪に対し、ステアリング操作に応じて車輪舵角(タイヤ角)を調整する車両の操舵制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転者のステアリング操作角(操舵角)に対して車輪舵角(タイヤの切れ角)を任意に制御する種々の装置が提案されている。例えば、特許文献1には車速に応じて舵角比を変更する可変舵角比操舵装置が提案されている。また、特許文献2にはヨーレートフィードバックにより補助舵角を与え、車両挙動を安定化させる車両用実舵角制御装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−105106号公報
【特許文献2】特開平02−18168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1あるいは2に記載の装置により車両運転者のステアリング操作時の負担は大きく軽減されているが、ステアリング操作時の操舵特性に関し、更に改善する余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、良好な走行安定性を確保し得る車両の操舵制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置に係るものである。
ところで、車輪の横力の飽和が近い状態では、ステアリングを操作しても、横力の増加が見込まれない。
そこで、請求項1に記載の発明は、車両の運転者のステアリング操作角を検出するステアリング操作角検出手段と、車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量を演算するアンダーステア状態量演算手段と、アンダーステア状態量演算手段により演算されたアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を、設定するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段と、所定の標準ステアリングギヤ比を、アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて操舵対象車輪の車輪舵角を演算する車輪舵角演算手段と、操舵対象車輪の車輪舵角を検出する車輪舵角検出手段と、車輪舵角演算手段により演算された車輪舵角と車輪舵角検出手段により検出された車輪舵角とが一致するように、車輪舵角を制御する操舵制御手段と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、アンダーステア状態量の増大に応じて、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車輪の横力の飽和が近い状態における無駄なステアリング操作が行われず、良好な走行安定性を確保することができる。
【0007】
上記請求項1記載の車両の操舵制御装置に対し、請求項2に記載のように、車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、車両の走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度を演算するグリップ度演算手段と、グリップ度演算手段により演算されたグリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比を大きくするためのグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定するグリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、グリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算するようにしてもよい。
請求項2に記載の発明では、グリップ度の低下に伴って、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車輪の横力の限界が近くそれ以上ステアリング操作をしても横力の増加が見込めない状態における無駄なステアリング操作が行われず、より良好な走行安定性を確保することができる。
【0008】
上記請求項1又は2に記載の車両の操舵制御装置に対し、請求項3に記載のように、車両の車体速度を検出する車体速度検出手段と、車体速度検出手段により検出された車体速度が高いほどステアリングギヤ比を大きくするための車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定する車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定された車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比とステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算するようにしてもよい。
請求項3に記載の発明では、車体速度が高いほど、ステアリングギヤ比が大きくなるため、車両低速時には取り回しを向上させ、車両高速時には車両安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の操舵制御の一実施形態に係る制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に供するスリップ率対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に供するグリップ度対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態に供する車速対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に供するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態に供する荷重移動補正マップを示すグラフである。
【図8】本発明の操舵制御の他の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態に供する操作速度対応ギヤ比補正係数マップを示すグラフである。
【図11】本発明の操舵制御の更に他の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の操舵制御の別の実施形態に係る制御ブロック図である。
【図14】本発明の別の実施形態における舵角比可変制御の処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の操舵制御装置の一態様を示す構成図である。
【図16】本発明の操舵制御装置の他の態様を示す構成図である。
【図17】本発明の操舵制御装置の更に他の態様を示す構成図である。
【図18】車輪のスリップ率に対する横力及び前後力の関係をスリップ角毎に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の望ましい実施形態を説明する。本発明に供する操舵制御装置としては、車両運転者のステアリング操作角(操舵角あるいはハンドル角ともいう)に対して任意に車輪舵角(タイヤ角)を設定可能なアクティブステアリング機能を有する装置であれば、どのような形式のものを用いてもよい。例えば、図15に示すように、ステアリングホイールSWが舵角比可変装置(VGR)を介して操舵対象車輪たる車両前方の車輪FL,FRの操舵軸RDと機械的に連結されたものを用いることができる。この装置によれば、舵角比可変制御ユニット(VGR−ECU)によって舵角比可変装置(VGR)が駆動され、ステアリング操作角に対して任意の車輪舵角を設定することができる。更に、パワーアシスト装置として電動パワーステアリング機構(EPS)を用いたものとすることができ、図15においては、パワーステアリング制御ユニット(EPS−ECU)によってアクチュエータ(図示せず)が制御され、車両前方の車輪FL及びFRの車輪舵角(タイヤ角)が制御される。尚、パワーステアリング制御ユニット(EPS−ECU)に操舵角センサSS、操舵トルクセンサTS、実舵角センサAS及び車速センサVSが接続されると共に、舵角比可変制御ユニット(VGR−ECU)と双方向に接続されている。
【0011】
上記の電動パワーステアリング機構(EPS)に代えて、図16に示すように、油圧パワーステアリング機構(HPS)を用いることとしてもよい。図16における他の構成は図15に記載の態様と同じであるので、同一の部品等には同一の符号を付している。更に、図17に示すように、ステアリングホイールSWと操舵軸RDが機械的に連結されていない所謂ステア・バイ・ワイヤで構成してもよい。これは、運転者によるステアリングホイールSWの操作に応じて操舵角センサSSによって検出した操舵角と、操舵トルクセンサTSによって検出した操舵トルクが操舵制御ユニット(AFS−ECU)に入力され、これらと車両状態信号(車速等)に基づいて設定された駆動電流によって、アクチュエータAFSが制御され、車輪FL及びFRの車輪舵角(タイヤ角)が制御されるもので、図15及び図16に記載の態様と同様、パワーステアリング機能とアクティブステアリング機能を有する。その他の構成は図15及び図16に記載の態様と実質的に同じであるので、同一の部品等には同一の符号を付している。以下、先ず図15及び図16に示す舵角比可変装置(VGR)を備えた態様について、図1乃至図10を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の操舵制御装置の一態様(例えば図15に記載)の制御ブロック図を示し、ブロックN1乃至N6では、ステアリング操作角検出手段たる操舵角センサ(図15のSS)によって検出された車両の運転者によるステアリングホイール(図15のSW)のステアリング操作角(N1)、車速センサ(図15のVS)によって検出された車体速度(以下、車速という)(N2)、ヨーレイトセンサ(図示せず)によって検出されたヨーレイト(N3)、実舵角センサ(図15のAS)によって検出された操舵対象車輪(車輪FL及びFR)の車輪舵角(以下、実舵角という)(N4)等と共に、操舵対象車輪を含む左右一対の車輪のうちの少なくとも一方の車輪のスリップ率(N5)、及び走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度(N6)が入力情報とされる。尚、スリップ率(N5)は、周知のように、車輪速度センサ(図示せず)によって検出された車輪速度と、この車輪速度に基づいて演算される推定車体速度(あるいは上記の車速)によって演算される。また、グリップ度は、上記の車速、ヨーレイト及び実舵角を含み車両の運転状態を表す指標に基づき、特許文献3(特開2003−312465号公報)に記載のように演算される。
【0013】
本実施形態においては、上記のスリップ率に応じて、図3に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比(図1のN7)に対して、図3に実線で示すように所定の関係を有するスリップ率対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、スリップ率対応ギヤ比補正係数マップ(M1)が用意されている。同様に、上記のグリップ度に応じて、図4に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図4に実線で示すように所定の関係を有するグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、グリップ度対応ギヤ比補正係数マップ(M2)が用意されている。また、上記の車速に応じて、図5に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図5に実線で示すように所定の関係を有する車速対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、車速対応ギヤ比補正係数マップ(M3)が用意されている。
【0014】
更に、図1に示すように、上記の車速、ヨーレイト及び実舵角等の検出車両状態に基づき、車両状態量演算ブロック(C1)にて、アンダーステア状態量及びオーバーステア状態量を含む車両状態量が演算される。そして、前者のアンダーステア状態量に応じて、図6に破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、図6に実線で示すように所定の関係を有するアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数が設定されるように、アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップ(M4)が用意されている。
【0015】
そして、本実施形態においては、図1に示すように、標準ステアリングギヤ比(N7)が、上記のスリップ率対応ギヤ比補正係数マップ(M1)、グリップ度対応ギヤ比補正係数マップ(M2)、車速対応ギヤ比補正係数マップ(M3)及びアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップ(M4)に従って補正され、目標舵角設定ブロック(TA)にて目標舵角が設定される。この場合において、車両のオーバーステア時においては、車両状態量演算ブロック(C1)にて演算されたオーバーステア状態量に基づき、オーバーステア時の目標舵角が演算され(C2)、目標舵角設定ブロック(TA)における目標舵角の設定に供される。更に、この目標舵角に対し、荷重移動補正ブロック(CR)にて荷重移動補正が行われた後、現在のステアリング操作角(N1)に加算されて、ギヤ比可変制御用の目標舵角が設定される。
【0016】
尚、上記の荷重移動補正ブロック(CR)においては、前後加速度センサ(図示せず)によって検出された前後加速度(N8)に基づき荷重移動率が演算され(C3)、その演算結果に応じて、図7に破線で示す目標舵角に対し図7に実線で示すように所定の関係を有する補正係数が設定され、この補正係数に基づき目標舵角に対する荷重移動補正が行われる。
【0017】
上記のギヤ比可変制御用の目標舵角設定は図2のフローチャートに従って行われる。先ず、ステップ101においてセンサ情報等が取得される。即ち、ステアリング操作角、車速、実舵角等のセンサ信号が読み込まれる。これら車速、ヨーレイト、スリップ率等はブレーキ制御用の電子制御ユニット(図示せず)からの通信に基づく情報を取得してもよいし、操舵制御用の電子制御ユニット(図15のVGR−ECU又はEPS−ECU)で演算することとしてもよい。グリップ度は特許文献3(特開2003−312465号公報)に記載の方法で算出すればよいし、グリップ度に代えて例えば特許文献4(特開平11−99956号公報)に記載の横力利用率・横G利用率等の指標を用いることとしてもよい。続いて、ステップ102において、車両状態量が演算される。この車両状態量は、前述のようにアンダーステア状態量及びオーバーステア状態量を含む車両の不安程度を表す指標で、制動装置による車両安定性制御(スタビリティ制御)用の電子制御ユニット(図示せず)からの通信に基づく情報を取得してもよい。次に、ステップ103において、前述の各種ステアリングギヤ比補正係数マップ(M1乃至M4)に基づく演算処理が行われる。
【0018】
例えば、図3のスリップ率対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、スリップ率が深くなるに従ってステアリングギヤ比補正係数が小さくなる(迅速になる)ように設定される。この補正は、後述するように制動時の横力の低下を補うように機能する。同様に、図4のグリップ度対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、グリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比補正係数が大きくなる(緩慢になる)ように設定される。この補正は、横力の限界が近くそれ以上ホイールステアリングSWを操作しても横力の増加が見込まれないときに、無駄なホイールステアリング操作を行わないように機能する。
【0019】
また、図5に示す車速対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、車速が低ければステアリングギヤ比補正係数が小さく、車速が高ければギヤ比補正係数が大きくなるように、車速に応じてステアリングギヤ比補正係数が設定される。この補正により低速時の取り回し、高速時の車両安定性を向上させることができる。更に、図6のアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数マップに基づき、破線で示す所定の標準ステアリングギヤ比に対して、実線で示すように、アンダーステア傾向が強くなるにつれてステアリングギヤ比補正係数が大きくなるように設定される。この補正は、横力の飽和が近い状態では、それ以上ホイールステアリングSWを操作しても横力の増加が見込まれないので、無駄なホイールステアリング操作を行わないように機能する。あるいは、上記の指標全てを用いる必要はなく、適宜選択すればよい。また、上記以外の指標を用いて適切なステアリングギヤ比補正係数を設定することとしてもよい。
【0020】
次に、図2のステップ104において、ギヤ比補正目標舵角が演算される。即ち、ステップ103で演算された各種指標に対するステアリングギヤ比補正係数が、ステアリング操作角に乗じられて目標舵角が演算される。更に、ステップ105において、オーバーステア時目標舵角が演算される。即ち、車両がオーバーステア状態の場合はそのオーバーステア状態を解消、低減させるためのカウンタステアに相当する車輪舵角が設定される。この場合も、スリップ率が大きいときには車輪舵角が大きくなるように補正してもよい。
【0021】
そして、ステップ106に進み目標舵角が設定される。即ち、車両がオーバーステア状態であるならばステップ105で演算された目標舵角が設定され、そうでなければステップ104で演算されたギヤ比補正目標舵角が設定される。更に、車両が減速して前輪の接地荷重が増大すると操舵輪の横力が増加するため、ステップ107において、図7に示す特性に従って荷重移動補正が行われる。即ち、破線で示す(ステップ104又は105にて設定された)目標舵角に対して、実線で示すように、(操舵輪に荷重がのる)荷重移動に伴い目標舵角が小さくなるように補正される。本実施形態では、前後加速度センサ(図示せず)を用いて前後方向の荷重移動に応じた補正が行われるように構成されているが、左右独立操舵可能な操舵制御装置であれば横方向の荷重移動に対しても併せて補正を行うこととするとよい。
【0022】
そして、ステップ108において、最終的なギヤ比可変制御用の目標角が設定される。即ち、ステップ107にて補正された目標舵角を実現するため、この目標舵角とステアリング操作角との差がギヤ比可変制御目標角とされ、これを実現するための制御信号がアクチュエータ(例えば図15のVGR)に供給される。而して、本実施形態においては、従来装置における車速等の指標に基づいてギヤ比を可変としたときの効果に加え,制動時の横力低下を補うように舵角比が調整されるため、車両が旋回中の制動時において適切な操舵制御を行うことができる。
【0023】
次に、図15(及び図16)に示す操舵制御装置を用いた他の実施形態を説明する。図8は、図1に記載の制御ブロック図に対し、単位時間当り操舵量演算(C4)と操作速度対応ギヤ比補正係数マップ(M5)が付加されたもので、その他の構成は図1と同様である。同様に、図9のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、単位時間当り操舵量演算のステップ204が付加されると共に、続くステップ205のギヤ比補正目標舵角演算において、図3乃至図7のマップに加え、図10の操作速度対応ギヤ比補正係数マップも用いて目標舵角の補正演算が行われるが、その他の処理は図2と同様である。図8の単位時間当り操舵量演算ブロック(C4)においては、単位時間にステアリングホイールSWを切り増した量に対して舵角比を可変し得るように、所定の単位時間当りの操舵量増分が求められる。一方、操作速度対応ギヤ比補正係数マップ(M5)は図10に示すように、ステアリング操作角速度(操舵角速度)が速い場合にはステアリングギヤ比が小さくなるように設定されており、これによりステアリングホイールSWを素早く操作したいという運転者の要求を満足させることができる。
【0024】
更に他の実施形態として、ブラッシュモデルに代表されるタイヤモデルを用いて、スリップ率の増加に伴う横力の低下を補うようにスリップ角を求め、目標舵角を設定する態様があり、図17の操舵装置を用いて図11に示すように構成することができる。即ち、車輪(タイヤ)に発生する力は、Fx=fx(s,βf,Fz,μ)及びFy=fy(s,βf,Fz,μ)の関数で表現される。ここで、Fxは前後力、Fyは横力、sはスリップ率、βfはタイヤ(前輪)スリップ角(横すべり角)、Fzはタイヤ接地荷重、μは路面摩擦係数である。従って、スリップ率sの増加に基づく横力Fyの低下を補うようにスリップ角βfを設定すればよく、図11においてはこれを充足するように構成されている。更に、車輪に発生する力Fx及びFyの関係をバランスよく設定することもできる。即ち、スリップ角が0のときの規範Fxとスリップ率が0のときの規範Fyとの偏差が最小となる力Fx及びFyを与えるスリップ角βfに設定すればよい。
【0025】
而して、図11においては、図1に記載の制御ブロック図に対し、入力情報として横加速度(N9)及び路面摩擦係数(N10)が加えられ、更に、横加速度(N9)と車速(N2)及びヨーレイト(N3)から車体スリップ角を演算する車体スリップ角演算ブロック(C5)、車体スリップ角とステアリング操作角(N1)及び標準ステアリングギヤ比(N7)、車速(N2)及びヨーレイト(N3)から標準前輪スリップ角を演算する標準前輪スリップ角演算ブロック(C6)、前後加速度と横加速度から接地荷重を演算する接地荷重演算ブロック(C8)、接地荷重と路面摩擦係数(N10)及びスリップ率(N5)、標準前輪スリップ角からタイヤモデルにより規範タイヤ発生力を演算する規範タイヤ発生力演算ブロック(C9)、スリップ率の増加に基づく横力Fyの低下を補うと共に、前後力Fx及び横力Fyの関係をバランスさせるように目標スリップ角を求める目標スリップ角演算ブロック(C10)、この目標スリップ角となるように目標舵角が演算される目標舵角演算ブロック(C11)が付加され、これに伴い不要となる図1のブロック(N6)、(M1)乃至(M4)等が削除されている。同様に、図12のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、ステップ303にて車体スリップ角、標準前輪スリップ角が演算され、ステップ304にて接地荷重、ステップ305にて規範タイヤ発生力が演算されると共に、続くステップ306及び307においては各々上記のように目標スリップ角及び目標舵角の演算が行われる。尚、ステップ301、302、308、309は、これらに対応する図2に記載の各ステップと同様であるが、操舵装置の違いから図2に記載のステップ108に対応するステップは削除されている。
【0026】
而して、上記の目標スリップ角演算ブロック(C10)及びステップ306においては、規範タイヤ発生力との偏差の大きさが最小となる前後力Fx及び横力Fyを発生させるスリップ角が求められる。具体的には下記の評価関数Lを最小とする前後力Fx及び横力Fyとなるスリップ角が求められる。
評価関数L=(規範Fx−Fx)2+(規範Fy−Fy)2
【0027】
そして、目標舵角演算ブロック(C11)及びステップ307においては、上記のように求められたスリップ角となる車輪舵角が以下の関係に基づいて求められ、目標舵角とされる。
δ=β+Lf・γ/V−βf
ここで、βfは前輪のスリップ角、βは車体スリップ角、Lfは車体重心と前軸間の距離、γはヨーレイト、Vは車速、δは実舵角を夫々表す。
【0028】
而して、上記実施形態によれば、車両旋回中の制動時に、タイヤモデルに基づき前後力の低下を防止しつつ、低下する横力を補うようにスリップ角を増大させることができるので緊急回避時にも良好な回避特性を得ることができる。
【0029】
更に、図13は別の実施形態に係り、図15又は図16に示す操舵制御装置を用いたもので、図1に記載の制御ブロック図に対し、入力情報としてアンチスキッド制御状態(D1)が加えられ、図1のブロック(N5)、(N6)、(N8)、(M1)、(M2)等が削除されたもので、その他の構成は図1と同様である。アンチスキッド制御状態判定ブロック(M6)においては、アンチスキッド制御状態に応じて、非作動時には係数1に設定され、作動時には1よりも小さい係数αに設定される。これにより、アンチスキッド制御作動時におけるスリップ率が深い状態では、スリップ角を大きくすることで横力の低下を補うように補正される。
【0030】
同様に、図14のフローチャートは、図2に記載のフローチャートに対し、ステップ404にて、上記のようにアンチスキッド制御状態に応じた係数が設定されると共に、これと、図4及び図6のマップに基づくステップ403の演算結果に応じて目標舵角の演算が行われるが、その他のステップ401、402、405乃至407は、これらに対応する図2に記載の各ステップと同様である。而して、本実施形態によれば、アンチスキッド制御作動時のスリップ角が深くなる場合に生じる横力低下を補うようにスリップ角を増大させることができるので、車両の回避性能を一層向上させることができる。
【0031】
以上のように、上記の各実施形態によれば、車両として望ましい操舵特性を維持することができる。尚、上記の各実施形態は、前輪を操舵対象車輪とするアクティブフロントステア制御システムに係るものであるが、後輪を操舵対象車輪とするアクティブリアステア制御システムにも適用でき、更に両者を備えた車両に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10…加速度センサ、11…センサ素子、12…オペアンプ、13…保護抵抗器、15…インタフェース、15b…パリティ回路、15a…信号変換回路、20…ECU、21…CPU、21a…シリアルインタフェース部、22…AD変換器、TE1…アナログ入力端子、TE2…ディジタル入力端子、TE3…制御出力端子、TS1…アナログ出力端子、TS2…ディジタル出力端子、TS3…制御入力端子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置において、
前記車両の運転者のステアリング操作角を検出するステアリング操作角検出手段と、
前記車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、前記車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量を演算するアンダーステア状態量演算手段と、
前記アンダーステア状態量演算手段により演算されたアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を、設定するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段と、
所定の標準ステアリングギヤ比を、前記アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて前記操舵対象車輪の車輪舵角を演算する車輪舵角演算手段と、
前記操舵対象車輪の車輪舵角を検出する車輪舵角検出手段と、
前記車輪舵角演算手段により演算された車輪舵角と前記車輪舵角検出手段により検出された車輪舵角とが一致するように、車輪舵角を制御する操舵制御手段と、
を備えている車両の舵角制御装置。
【請求項2】
前記車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、前記車両の走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度を演算するグリップ度演算手段と、
前記グリップ度演算手段により演算されたグリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比を大きくするためのグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定するグリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、
前記車輪舵角演算手段は、前記グリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、前記標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算する請求項1に記載の車両の舵角制御装置。
【請求項3】
前記車両の車体速度を検出する車体速度検出手段と、
前記車体速度検出手段により検出された車体速度が高いほどステアリングギヤ比を大きくするための車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定する車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、
前記車輪舵角演算手段は、前記車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定された車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、前記標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算する請求項1又は2に記載の車両の舵角制御装置。
【請求項1】
車両の運転者のステアリング操作に応じて操舵対象車輪の車輪舵角を制御する車両の操舵制御装置において、
前記車両の運転者のステアリング操作角を検出するステアリング操作角検出手段と、
前記車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、前記車両のアンダーステア傾向の強さを示すアンダーステア状態量を演算するアンダーステア状態量演算手段と、
前記アンダーステア状態量演算手段により演算されたアンダーステア状態量の増大に応じてステアリングギヤ比を大きくするためのアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数を、設定するアンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段と、
所定の標準ステアリングギヤ比を、前記アンダーステア状態量対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたアンダーステア状態量対応ステアリングギヤ比補正係数によって補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて前記操舵対象車輪の車輪舵角を演算する車輪舵角演算手段と、
前記操舵対象車輪の車輪舵角を検出する車輪舵角検出手段と、
前記車輪舵角演算手段により演算された車輪舵角と前記車輪舵角検出手段により検出された車輪舵角とが一致するように、車輪舵角を制御する操舵制御手段と、
を備えている車両の舵角制御装置。
【請求項2】
前記車両の運転状態を示す指標を検出し、当該検出された指標に基づいて、前記車両の走行路面に対するタイヤの横方向余裕度を表すグリップ度を演算するグリップ度演算手段と、
前記グリップ度演算手段により演算されたグリップ度の低下に伴いステアリングギヤ比を大きくするためのグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定するグリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、
前記車輪舵角演算手段は、前記グリップ度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定されたグリップ度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、前記標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算する請求項1に記載の車両の舵角制御装置。
【請求項3】
前記車両の車体速度を検出する車体速度検出手段と、
前記車体速度検出手段により検出された車体速度が高いほどステアリングギヤ比を大きくするための車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数を設定する車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段と、を備え、
前記車輪舵角演算手段は、前記車体速度対応ギヤ比補正係数設定手段により設定された車体速度対応ステアリングギヤ比補正係数に基づいて、前記標準ステアリングギヤ比を補正し、当該補正後のステアリングギヤ比と前記ステアリング操作角検出手段により検出されたステアリング操作角とに基づいて、車輪舵角を演算する請求項1又は2に記載の車両の舵角制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−254299(P2010−254299A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174041(P2010−174041)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2004−317435(P2004−317435)の分割
【原出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2004−317435(P2004−317435)の分割
【原出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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