車両の退避走行制御装置
【課題】車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上させる。
【解決手段】運転者が操作可能な位置に退避走行スイッチ11を設ける。車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときに、運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、退避走行用リレー20と電子スロットル用リレー21がオフされて、車両走行モードが退避走行モードに切り替えられる。これにより、電子スロットル装置18の電源をオフして、スロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じることで、エンジン17の出力を低下させて、車両駆動力を抑制し、車両を退避走行させる。退避走行中も、エンジン17の運転を継続することで、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保する。
【解決手段】運転者が操作可能な位置に退避走行スイッチ11を設ける。車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときに、運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、退避走行用リレー20と電子スロットル用リレー21がオフされて、車両走行モードが退避走行モードに切り替えられる。これにより、電子スロットル装置18の電源をオフして、スロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じることで、エンジン17の出力を低下させて、車両駆動力を抑制し、車両を退避走行させる。退避走行中も、エンジン17の運転を継続することで、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中に何等かの緊急事態が発生したときに運転者の操作により車両走行モードを退避走行モードに切り替える機能を搭載した車両の退避走行制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときには、速やかに車両を減速しながら退避走行して安全な場所で停車させて車両を点検する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1(実用新案登録第3150741号公報)では、緊急時にエンジンを停止させるために、運転者が操作可能な位置に、押しボタン式の緊急停止スイッチ(常時閉スイッチ)を設け、運転者が「緊急時」と感じたときに、緊急停止スイッチを押し操作することで、エンジンの点火回路の電源を強制的にオフしてエンジンを緊急停止させ、その後、車両を安全な場所で停止させた後に、再び緊急停止スイッチを押し操作すると、点火回路の電源が再びオン状態に復帰するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3150741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、車両走行中の緊急時には、速やかに車両を安全な場所まで減速しながら退避走行させて安全な場所で停車させる必要があるが、特許文献1の構成では、車両走行中に運転者が緊急停止スイッチを押し操作すると、エンジンが緊急停止されるため、退避走行中にハンドルが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりする懸念があり、退避走行中の安全性・運転性が損なわれるおそれがある。この理由は、ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置は、エンジンのオイルポンプから供給される油圧で駆動されるため、エンジンが停止すれば、オイルポンプからの油圧の供給が停止されてしまうためであり、また、ブレーキ力を増大させるブレーキブースタは、エンジンの吸気管から導入される負圧で駆動されるが、エンジンが停止すると、吸気管内の圧力がすぐに大気圧まで上昇して、ブレーキブースタに負圧を導入できなくなるためである。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上できる車両の退避走行制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内燃機関と電動機の少なくとも一方を動力源として車両を駆動する車両の退避走行制御装置において、ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置と、運転者が操作可能な位置に設けられた退避走行スイッチと、車両走行中に前記退避走行スイッチが操作されたときに車両走行モードを退避走行モードに切り替えて車両駆動力を抑制又は0とすると共に前記パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する退避走行制御手段とを備えた構成としたものである。この構成では、退避走行中に運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御させるため、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【0008】
具体的には、請求項2のように、内燃機関の吸気管負圧を導入してブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、スロットル開度を電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置とを備えたシステムでは、退避走行中に車両駆動力を内燃機関で抑制すると共に、退避走行中に前記ブレーキブースタの負圧を確保するように前記電子スロットル装置によってスロットル開度を所定開度以下に制御すれば良い。これにより、退避走行中に車両をエンジンブレーキで減速しながら、ブレーキブースタの負圧を確実に確保してブレーキ力の低下を確実に防止できる。
【0009】
この場合、請求項3のように、退避走行中に電子スロットル装置によってスロットル開度をエンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御するようにすると良い。これにより、退避走行中に運転者の意思に反してエンジンストールすることを防止でき、車両を安全な場所まで確実に退避走行させることができる。
【0010】
また、請求項4のように、退避走行中に車両駆動力を電動機で抑制するために電動機の駆動電流を抑制又は遮断するようにしても良い。或は、請求項5のように、退避走行中に車両駆動力を電動機による回生ブレーキによって抑制するようにしても良い。いずれの場合でも、退避走行中に車両を電動機で減速することができる。
【0011】
また、請求項6のように、退避走行スイッチの操作部は、運転者の手指で押し割り可能又は開閉可能なカバーで覆った構成とすると良い。これにより、運転者が不用意に退避走行スイッチに触れて、運転者の意思に反して車両走行モードが退避走行モードに切り替わってしまうことを防止できる。
【0012】
また、請求項7のように、退避走行中にハザードランプを点滅させるようにしても良い。これにより、退避走行中に後続車に緊急時の減速中であることをハザードランプの点滅により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0013】
或は、請求項8のように、退避走行中に警報音発生装置を作動させるようにしても良い。これにより、退避走行中に周囲の車や人に緊急時の減速中であることを警報音により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0014】
また、退避走行中に車両を急激に減速すると、後続車が追突してくるおそれがあるため、請求項9のように、退避走行中の車両の減速を緩やかにするように制御すると良い。これにより、退避走行中の減速時に後続車が追突してくる可能性をより少なくすることができる。
【0015】
具体的には、請求項10のように、退避走行中に車両の減速を緩やかにするようにブレーキ装置を緩やかに作動させるようにしても良い。
【0016】
或は、請求項11のように、退避走行中に車両の動力伝達経路を遮断するようにしても良い。これにより、退避走行中の車両の加速を確実に防止でき、退避走行の安全性を一層向上させることができる。
【0017】
また、請求項12のように、退避走行後に運転者がイグニッションスイッチをオフ操作した後に再び退避走行スイッチを操作したときに退避走行モードを解除するようにしても良い。このようにすれば、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させて停車させて内燃機関を停止させてから退避走行モードを解除できるようになるため、安全な状態で退避走行モードを解除することができる。
【0018】
また、請求項13のように、退避走行後に運転者がアクセルペダルを踏み続けているときに運転者へ警告するようにしても良い。緊急事態の発生原因として、運転者がブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違える事例があるため、それを警告し、運転者にブレーキペダルに踏み変えるように促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例1における退避走行スイッチの設置例を示す斜視図である。
【図2】図2は実施例1の退避走行スイッチの操作部をカバーで覆った構成例を示す平面図である。
【図3】図3は実施例1の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は実施例1の退避走行スイッチ、退避走行用リレー、電子スロットル用リレー、電子スロットル装置のオン/オフの切り替えを説明するタイムチャートである。
【図5】図5は実施例2の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図6は実施例2の車両走行モード切替プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は実施例3の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図8】図8は実施例4の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図9】図9は実施例5の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】図10は実施例6の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図11】図11は実施例7の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図12】図12は実施例8の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図13】図13は実施例9の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した9種類の実施例1〜9を説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1を図1乃至図4に基づいて説明する。本実施例1は、動力源として内燃機関(エンジン)を搭載した車両に本発明を適用した実施例である。
【0022】
図1に示すように、退避走行スイッチ11は、車両の運転席に座る運転者が操作可能な位置(例えば運転席前方のダッシュボード12、センターコンソールボックス13、ステアリングコラム等)に設けられている。この退避走行スイッチ11は、例えば押しボタン式スイッチで構成され、図2に示すように、退避走行スイッチ11の押しボタン部(操作部)は、プラスチック等のカバー14で覆われて運転者が不用意に退避走行スイッチ11の押しボタン部に触れないようになっているが、緊急時には運転者の手指でカバー14を強く押すとカバー14が割れて退避走行スイッチ11の押しボタン部を運転者の手指で押し操作できるようになっている。本実施例1では、カバー14には、割れやすくするための溝状の薄肉部14aが例えば十字状に形成されている。或は、カバー14全体を薄肉に形成しても良い。
【0023】
図3に示すように、車両の動力源となるエンジン17には、スロットル開度をモータ等の電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置18が設けられている。退避走行時には、電子スロットル装置18の電源がオフされることで、スロットル開度が退避走行用スロットル開度(オープナ開度)でスプリングによって保持されるようになっている。ここで、退避走行用スロットル開度は、エンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で、且つ、退避走行に必要最小限の吸入空気量又はそれよりも少し多い吸入空気量を確保できるスロットル開度に設定され、図示はしないが、退避走行中は、オープナ機構によってアクセルペダルの踏み込み量に機械的に連動して退避走行用スロットル開度が調整されるように構成されている。その他、図示はしないが、吸気管負圧を導入してブレーキ装置のブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、ハンドル16の操作力を補助するパワーステアリング装置等が設けられている。
【0024】
一方、エンジンECU19は、エンジン17に装備された各種センサによって検出した吸入空気量、エンジン回転速度、冷却水温等のエンジン運転状態に応じて点火時期や燃料噴射量を制御すると共に、電子スロットル装置18のスロットル開度(吸入空気量)を制御する。電子スロットル装置18の電源のオン/オフは、エンジンECU19によって制御され、電子スロットル装置18の電源がオフされると、スロットル開度が退避走行用スロットル開度に保持される。
【0025】
エンジンECU19には、車載バッテリから給電される電源電圧VB が退避走行用リレー20と電子スロットル用リレー21を介して供給される。退避走行用リレー20は、常閉型(ノーマリークローズ)のリレーであり、電子スロットル用リレー21は、常開型(ノーマリーオープン)のリレーである。退避走行用リレー20には、退避走行スイッチ11が接続されている。退避走行スイッチ11は常開型(ノーマリーオープン)の押しボタン式スイッチであり、図4に示すように、退避走行スイッチ11がオフ状態のときには、常閉型の退避走行用リレー20の接点間がオン状態に保持され、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルに通電されて該電子スロットル用リレー21の接点間がオン状態に保持される。これにより、エンジンECU19から電子スロットル装置18に電源が供給される。
【0026】
その後、退避走行スイッチ11がオンされると、常閉型の退避走行用リレー20のコイルに通電され、該退避走行用リレー20の接点間がオフされて、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルへの通電が遮断されて該電子スロットル用リレー21の接点間がオフされる。これにより、エンジンECU19は、車両走行モードを退避走行モードに切り替えて電子スロットル装置18の電源をオフしてスロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じて、エンジン17の出力を低下させることで、車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するようにエンジン17の運転を継続する。このエンジンECU19の機能が特許請求の範囲でいう退避走行制御手段に相当する。
【0027】
本実施例1では、退避走行スイッチ11は、自己保持型スイッチであり、退避走行スイッチ11をオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態に保持され、この状態で、退避走行スイッチ11を再びオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態からオフ状態に復帰する。
【0028】
通常の車両走行中は、退避走行スイッチ11がオフ状態に保持され、常閉型の退避走行用リレー20と常開型の電子スロットル用リレー21の両方がオン状態に保持されて、電子スロットル装置18に電源が供給され、実スロットル開度を目標スロットル開度に応じてフィードバック制御するスロットル制御が行われる。
【0029】
車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときには、運転者が手指でカバー14を強く押して該カバー14を割り、退避走行スイッチ11の押しボタン部を押して退避走行スイッチ11をオンさせる。これにより、常閉型の退避走行用リレー20の接点間がオフされて、常開型の電子スロットル用リレー21の接点間がオフされる。これにより、エンジンECU19は、車両走行モードを退避走行モードに切り替えて電子スロットル装置18の電源をオフして、スロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じることで、エンジン17の出力を低下させて、車両駆動力を抑制し、車両を退避走行させる。退避走行中も、エンジン17の運転を継続することで、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保する。
【0030】
退避走行中は、退避走行スイッチ11がオン状態に保持されて電子スロットル装置18の電源がオフ状態に保持され、スロットル開度が退避走行用スロットル開度に制限される。車両を安全な場所まで退避走行させて停車させたところで、イグニッションスイッチをオフ操作してエンジン17を停止させてから、退避走行スイッチ11を再びオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態からオフ状態に復帰する。これにより、退避走行用リレー20がオン状態に復帰して、電子スロットル装置18の電源がオン状態に復帰する。この後、運転者がイグニッションスイッチをオン操作してエンジン17を再始動させれば、通常の車両走行が可能となる。
【0031】
ところで、前述した特許文献1の構成では、車両走行中に運転者が緊急停止スイッチを押し操作すると、エンジンが緊急停止されるため、車両を安全な場所まで退避走行できない可能性(安全な場所に到達する前に車両が停止してしまう可能性)があり、しかも、退避走行中にエンジンが停止することで、退避走行中のハンドルが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりする懸念があり、退避走行中の安全性・運転性が損なわれるおそれがある。
【0032】
これに対して、本実施例1では、車両走行中の緊急時に運転者が退避走行スイッチ11を押し操作すると、車両走行モードが退避走行モードに切り替えられて、スロットル開度が退避走行用スロットル開度まで閉じられるため、退避走行中に、エンジン17の出力が低下して車両駆動力が抑制された状態でエンジン17の運転が継続される。これにより、車両走行中の緊急時に車両を確実に安全な場所まで退避走行でき、且つ、退避走行中にブレーキブースタに導入する吸気管負圧を確保してブレーキ力を確保できると共に、エンジンのオイルポンプからパワーステアリング装置に供給する油圧を確保して運転者がハンドル16を操作可能なアシスト力を確保することができ、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【0033】
しかも、退避走行中のスロットル開度(退避走行用スロットル開度)は、エンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御されるため、退避走行中に運転者の意思に反してエンジンストールすることを防止でき、車両を安全な場所まで確実に退避走行させることができる。
【0034】
また、従来システムであっても、電子スロットル用リレー21を備えた構成であれば、退避走行スイッチ11と退避走行用リレー20の回路を後付けすることで、本発明を実施することができるため、退避走行スイッチ11と退避走行用リレー20との回路をユニット化して退避走行用のオプション部品として商品化することができる。
【0035】
尚、本実施例1では、退避走行スイッチ11の押しボタン部を覆うカバー14を運転者の手指で押し割り可能に形成したが、該カバー14を開閉可能としても良い。
【実施例2】
【0036】
上記実施例1では、退避走行スイッチ11の押し操作により退避走行用リレー20をオフさせることで、車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしたが、図5及び図6に示す本発明の実施例2では、上記実施例1の退避走行用リレー20を省略し、退避走行スイッチ11をエンジンECU19に接続して、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をエンジンECU19に入力することで、該エンジンECU19によって図6の車両走行モード切替プログラムに従って車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。その他の事項は上記実施例1と同じである。以下、図6の車両走行モード切替プログラムの処理内容を説明する。
【0037】
図6の車両走行モード切替プログラムは、エンジンECU19の電源オン期間中(イグニッションスイッチのオン期間中)に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう退避走行制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、退避走行スイッチ11がオンされているか否かを判定し、退避走行スイッチ11がオフ状態であれば、ステップ102に進み、通常の車両走行モードと判定する。この場合は、ステップ103に進み、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルに通電して該電子スロットル用リレー21の接点間をオン状態に保持すると共に、次のステップ104で、電子スロットル装置18の電源をオン状態に維持して通常のスロットル制御を実行する。
【0038】
これに対し、上記ステップ101で、退避走行スイッチ11がオンされたと判定されれば、ステップ105に進み、退避走行モードと判定する。この場合は、ステップ106に進み、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルへの通電をオフして該電子スロットル用リレー21の接点間をオフすると共に、次のステップ107で、電子スロットル装置18の電源をオフしてスロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じて、エンジン17の出力を低下させることで、車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するようにエンジン17の運転を継続する。
【0039】
以上説明した本実施例2においても、前述した実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0040】
図7に示す本発明の実施例3は、動力源としてモータ31(電動機)を搭載した電気自動車に本発明を適用した実施例である。モータ31は、車両に搭載されたバッテリ32を電源としてインバータ33によって駆動される。通常の車両走行モードでは、インバータ33の各スイッチング素子のオン/オフ動作がインバータ制御ECU34(退避走行制御手段)によって制御される。
【0041】
更に、本実施例3では、前記実施例1と同様の構成の退避走行スイッチ11が退避走行用インバータ制御回路34を介してインバータ33に接続されている。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、該退避走行スイッチ11のオン信号が退避走行用インバータ制御回路35に入力される。これにより、退避走行用インバータ制御回路35がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断して、車両走行モードを退避走行モードに切り替える。退避走行中は、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する。
【0042】
以上説明した実施例3では、電気自動車においても、退避走行スイッチ11と退避走行用インバータ制御回路34を追加して、退避走行中に、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御するため、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上できる。
【実施例4】
【0043】
上記実施例3では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)を退避走行用インバータ制御回路34に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしたが、図8に示す本発明の実施例4では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をインバータ制御ECU34に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。
【0044】
本実施例4では、退避走行スイッチ11をオン操作すると、インバータ制御ECU34がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断して、車両走行モードを退避走行モードに切り替える。退避走行中は、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する。
【0045】
以上説明した本実施例4においても、前述した実施例3と同様の効果を得ることができる。
尚、上述した実施例3,4では、退避走行中にモータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制するようにしたが、退避走行中にモータ31の駆動電流を抑制(低減)することで車両駆動力を抑制するようにしても良い。
【0046】
或は、退避走行中に車両駆動力をモータ31による回生ブレーキによって抑制するようにしても良い。
【実施例5】
【0047】
図9に示す本発明の実施例5は、動力源としてエンジン17とモータ31を併用するハイブリッド電気自動車に本発明を適用した実施例である。本実施例5は、前記実施例2(図5)と実施例4(図8)とを組み合わせた実施例であり、エンジン17の制御系とモータ31の制御系は、前記実施例2,4と同様の構成となっている。
【0048】
本実施例5では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をエンジンECU19とインバータ制御ECU34の両方に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、電子スロットル用リレー21がオフされて電子スロットル装置18の電源がオフされ、スロットル開度が退避走行用スロットル開度まで閉じられることで、エンジン17の出力が低下する一方、退避走行用インバータ制御回路35がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断する。
【0049】
以上説明した本実施例5のハイブリッド電気自動車においても、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上することができる。
【0050】
尚、ハイブリッド電気自動車に本発明を適用する場合は、実施例2(図5)と実施例4(図8)とを組み合わせた構成に限定されず、実施例1(図3)と実施例3(図7)とを組み合わせても良く、或は、実施例1(図3)と実施例4(図8)とを組み合わせたり、実施例2(図5)と実施例3(図7)とを組み合わせても良い。
【実施例6】
【0051】
図10に示す本発明の実施例6は、上記実施例1〜5のいずれかと組み合わせて実施する実施例である。
本実施例6では、ハザードランプ36の点滅動作を制御するハザードランプ制御回路37に接続されたハザードスイッチ38に対して、退避走行スイッチ11を並列に接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、ハザードランプ制御回路37によってハザードランプ36を点滅させる。これにより、退避走行中に後続車に緊急時の減速中であることをハザードランプ36の点滅により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0052】
また、退避走行中に警報音発生装置を作動させるようにしても良い。これにより、退避走行中に周囲の車や人に緊急時の減速中であることを警報音により知らせることができ、退避走行の安全性をより一層高めることができる。
【実施例7】
【0053】
図11に示す本発明の実施例7は、エンジン17の駆動力を自動変速機41で変速する車両に本発明を適用した実施例である。
【0054】
本実施例7では、自動変速機41の変速動作を制御するA/T−ECU42(退避走行制御手段)に退避走行スイッチ11を並列に接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、A/T−ECU42によって自動変速機41内部の摩擦係合要素(ブレーキとクラッチ)の係合を解除して入出力軸間の駆動力伝達を遮断する。これにより、退避走行中の車両の加速を確実に防止できると共に、退避走行中にエンジン17の運転が継続されるため、退避走行中にブレーキブースタに導入する吸気管負圧を確保してブレーキ力を確保できると共に、エンジンのオイルポンプからパワーステアリング装置に供給する油圧を確保して運転者がハンドル16を操作可能なアシスト力を確保することができ、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【実施例8】
【0055】
図12に示す本発明の実施例8は、電子制御式のブレーキ装置43を搭載した車両に本発明を適用した実施例である。
【0056】
本実施例8では、電子制御式のブレーキ装置43を制御するブレーキECU44(退避走行制御手段)に退避走行スイッチ11を接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、退避走行中にブレーキECU44によって車両の減速を緩やかにするようにブレーキ装置43を緩やかに作動させるように制御する。これにより、退避走行中の減速時に後続車が追突してくる可能性をより少なくすることができる。
【実施例9】
【0057】
図13に示す本発明の実施例9は、アクセルペダル45の操作量および退避走行スイッチ11の状態をエンジンECU19で検出できる構成にした実施例である。退避走行スイッチ11が押されているにもかかわらず、アクセルペダル45が踏まれ続けていることをエンジンECU19が検出した場合、エンジンECU19(退避走行制御手段)はメータECU46に対し警告を出すよう指示し、メータECU46よりメータ47へ警告メッセージを表示または音で運転者に知らせる。これにより、運転者が図中にはないブレーキペダルとアクセルペダル45を踏み間違えている場合に気付かせることができる。
【0058】
以上説明した実施例1〜9は、適宜組み合わせて実施するようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
11…退避走行スイッチ、14…カバー、16…ハンドル、17…エンジン(内燃機関)、18…電子スロットル装置、19…エンジンECU(退避走行制御手段)、20…退避走行用リレー、21…電子スロットル用リレー、31…モータ(電動機)、32…バッテリ、33…インバータ、34…インバータ制御ECU(退避走行制御手段)、35…退避走行用インバータ制御回路、36…ハザードランプ、37…ハザードランプ制御回路、38…ハザードスイッチ、41…自動変速機、42…A/T−ECU(退避走行制御手段)、43…電子制御式のブレーキ装置、44…ブレーキECU(退避走行制御手段)、45…アクセルペダル、46…メータECU(退避走行制御手段)、47…メータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中に何等かの緊急事態が発生したときに運転者の操作により車両走行モードを退避走行モードに切り替える機能を搭載した車両の退避走行制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときには、速やかに車両を減速しながら退避走行して安全な場所で停車させて車両を点検する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1(実用新案登録第3150741号公報)では、緊急時にエンジンを停止させるために、運転者が操作可能な位置に、押しボタン式の緊急停止スイッチ(常時閉スイッチ)を設け、運転者が「緊急時」と感じたときに、緊急停止スイッチを押し操作することで、エンジンの点火回路の電源を強制的にオフしてエンジンを緊急停止させ、その後、車両を安全な場所で停止させた後に、再び緊急停止スイッチを押し操作すると、点火回路の電源が再びオン状態に復帰するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3150741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、車両走行中の緊急時には、速やかに車両を安全な場所まで減速しながら退避走行させて安全な場所で停車させる必要があるが、特許文献1の構成では、車両走行中に運転者が緊急停止スイッチを押し操作すると、エンジンが緊急停止されるため、退避走行中にハンドルが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりする懸念があり、退避走行中の安全性・運転性が損なわれるおそれがある。この理由は、ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置は、エンジンのオイルポンプから供給される油圧で駆動されるため、エンジンが停止すれば、オイルポンプからの油圧の供給が停止されてしまうためであり、また、ブレーキ力を増大させるブレーキブースタは、エンジンの吸気管から導入される負圧で駆動されるが、エンジンが停止すると、吸気管内の圧力がすぐに大気圧まで上昇して、ブレーキブースタに負圧を導入できなくなるためである。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上できる車両の退避走行制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内燃機関と電動機の少なくとも一方を動力源として車両を駆動する車両の退避走行制御装置において、ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置と、運転者が操作可能な位置に設けられた退避走行スイッチと、車両走行中に前記退避走行スイッチが操作されたときに車両走行モードを退避走行モードに切り替えて車両駆動力を抑制又は0とすると共に前記パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する退避走行制御手段とを備えた構成としたものである。この構成では、退避走行中に運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御させるため、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【0008】
具体的には、請求項2のように、内燃機関の吸気管負圧を導入してブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、スロットル開度を電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置とを備えたシステムでは、退避走行中に車両駆動力を内燃機関で抑制すると共に、退避走行中に前記ブレーキブースタの負圧を確保するように前記電子スロットル装置によってスロットル開度を所定開度以下に制御すれば良い。これにより、退避走行中に車両をエンジンブレーキで減速しながら、ブレーキブースタの負圧を確実に確保してブレーキ力の低下を確実に防止できる。
【0009】
この場合、請求項3のように、退避走行中に電子スロットル装置によってスロットル開度をエンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御するようにすると良い。これにより、退避走行中に運転者の意思に反してエンジンストールすることを防止でき、車両を安全な場所まで確実に退避走行させることができる。
【0010】
また、請求項4のように、退避走行中に車両駆動力を電動機で抑制するために電動機の駆動電流を抑制又は遮断するようにしても良い。或は、請求項5のように、退避走行中に車両駆動力を電動機による回生ブレーキによって抑制するようにしても良い。いずれの場合でも、退避走行中に車両を電動機で減速することができる。
【0011】
また、請求項6のように、退避走行スイッチの操作部は、運転者の手指で押し割り可能又は開閉可能なカバーで覆った構成とすると良い。これにより、運転者が不用意に退避走行スイッチに触れて、運転者の意思に反して車両走行モードが退避走行モードに切り替わってしまうことを防止できる。
【0012】
また、請求項7のように、退避走行中にハザードランプを点滅させるようにしても良い。これにより、退避走行中に後続車に緊急時の減速中であることをハザードランプの点滅により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0013】
或は、請求項8のように、退避走行中に警報音発生装置を作動させるようにしても良い。これにより、退避走行中に周囲の車や人に緊急時の減速中であることを警報音により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0014】
また、退避走行中に車両を急激に減速すると、後続車が追突してくるおそれがあるため、請求項9のように、退避走行中の車両の減速を緩やかにするように制御すると良い。これにより、退避走行中の減速時に後続車が追突してくる可能性をより少なくすることができる。
【0015】
具体的には、請求項10のように、退避走行中に車両の減速を緩やかにするようにブレーキ装置を緩やかに作動させるようにしても良い。
【0016】
或は、請求項11のように、退避走行中に車両の動力伝達経路を遮断するようにしても良い。これにより、退避走行中の車両の加速を確実に防止でき、退避走行の安全性を一層向上させることができる。
【0017】
また、請求項12のように、退避走行後に運転者がイグニッションスイッチをオフ操作した後に再び退避走行スイッチを操作したときに退避走行モードを解除するようにしても良い。このようにすれば、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させて停車させて内燃機関を停止させてから退避走行モードを解除できるようになるため、安全な状態で退避走行モードを解除することができる。
【0018】
また、請求項13のように、退避走行後に運転者がアクセルペダルを踏み続けているときに運転者へ警告するようにしても良い。緊急事態の発生原因として、運転者がブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違える事例があるため、それを警告し、運転者にブレーキペダルに踏み変えるように促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例1における退避走行スイッチの設置例を示す斜視図である。
【図2】図2は実施例1の退避走行スイッチの操作部をカバーで覆った構成例を示す平面図である。
【図3】図3は実施例1の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は実施例1の退避走行スイッチ、退避走行用リレー、電子スロットル用リレー、電子スロットル装置のオン/オフの切り替えを説明するタイムチャートである。
【図5】図5は実施例2の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図6は実施例2の車両走行モード切替プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は実施例3の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図8】図8は実施例4の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図9】図9は実施例5の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】図10は実施例6の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図11】図11は実施例7の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図12】図12は実施例8の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図13】図13は実施例9の退避走行制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した9種類の実施例1〜9を説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1を図1乃至図4に基づいて説明する。本実施例1は、動力源として内燃機関(エンジン)を搭載した車両に本発明を適用した実施例である。
【0022】
図1に示すように、退避走行スイッチ11は、車両の運転席に座る運転者が操作可能な位置(例えば運転席前方のダッシュボード12、センターコンソールボックス13、ステアリングコラム等)に設けられている。この退避走行スイッチ11は、例えば押しボタン式スイッチで構成され、図2に示すように、退避走行スイッチ11の押しボタン部(操作部)は、プラスチック等のカバー14で覆われて運転者が不用意に退避走行スイッチ11の押しボタン部に触れないようになっているが、緊急時には運転者の手指でカバー14を強く押すとカバー14が割れて退避走行スイッチ11の押しボタン部を運転者の手指で押し操作できるようになっている。本実施例1では、カバー14には、割れやすくするための溝状の薄肉部14aが例えば十字状に形成されている。或は、カバー14全体を薄肉に形成しても良い。
【0023】
図3に示すように、車両の動力源となるエンジン17には、スロットル開度をモータ等の電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置18が設けられている。退避走行時には、電子スロットル装置18の電源がオフされることで、スロットル開度が退避走行用スロットル開度(オープナ開度)でスプリングによって保持されるようになっている。ここで、退避走行用スロットル開度は、エンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で、且つ、退避走行に必要最小限の吸入空気量又はそれよりも少し多い吸入空気量を確保できるスロットル開度に設定され、図示はしないが、退避走行中は、オープナ機構によってアクセルペダルの踏み込み量に機械的に連動して退避走行用スロットル開度が調整されるように構成されている。その他、図示はしないが、吸気管負圧を導入してブレーキ装置のブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、ハンドル16の操作力を補助するパワーステアリング装置等が設けられている。
【0024】
一方、エンジンECU19は、エンジン17に装備された各種センサによって検出した吸入空気量、エンジン回転速度、冷却水温等のエンジン運転状態に応じて点火時期や燃料噴射量を制御すると共に、電子スロットル装置18のスロットル開度(吸入空気量)を制御する。電子スロットル装置18の電源のオン/オフは、エンジンECU19によって制御され、電子スロットル装置18の電源がオフされると、スロットル開度が退避走行用スロットル開度に保持される。
【0025】
エンジンECU19には、車載バッテリから給電される電源電圧VB が退避走行用リレー20と電子スロットル用リレー21を介して供給される。退避走行用リレー20は、常閉型(ノーマリークローズ)のリレーであり、電子スロットル用リレー21は、常開型(ノーマリーオープン)のリレーである。退避走行用リレー20には、退避走行スイッチ11が接続されている。退避走行スイッチ11は常開型(ノーマリーオープン)の押しボタン式スイッチであり、図4に示すように、退避走行スイッチ11がオフ状態のときには、常閉型の退避走行用リレー20の接点間がオン状態に保持され、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルに通電されて該電子スロットル用リレー21の接点間がオン状態に保持される。これにより、エンジンECU19から電子スロットル装置18に電源が供給される。
【0026】
その後、退避走行スイッチ11がオンされると、常閉型の退避走行用リレー20のコイルに通電され、該退避走行用リレー20の接点間がオフされて、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルへの通電が遮断されて該電子スロットル用リレー21の接点間がオフされる。これにより、エンジンECU19は、車両走行モードを退避走行モードに切り替えて電子スロットル装置18の電源をオフしてスロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じて、エンジン17の出力を低下させることで、車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するようにエンジン17の運転を継続する。このエンジンECU19の機能が特許請求の範囲でいう退避走行制御手段に相当する。
【0027】
本実施例1では、退避走行スイッチ11は、自己保持型スイッチであり、退避走行スイッチ11をオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態に保持され、この状態で、退避走行スイッチ11を再びオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態からオフ状態に復帰する。
【0028】
通常の車両走行中は、退避走行スイッチ11がオフ状態に保持され、常閉型の退避走行用リレー20と常開型の電子スロットル用リレー21の両方がオン状態に保持されて、電子スロットル装置18に電源が供給され、実スロットル開度を目標スロットル開度に応じてフィードバック制御するスロットル制御が行われる。
【0029】
車両走行中に何等かの緊急事態が発生して運転者が車両を停車させた方が安全だと感じたときには、運転者が手指でカバー14を強く押して該カバー14を割り、退避走行スイッチ11の押しボタン部を押して退避走行スイッチ11をオンさせる。これにより、常閉型の退避走行用リレー20の接点間がオフされて、常開型の電子スロットル用リレー21の接点間がオフされる。これにより、エンジンECU19は、車両走行モードを退避走行モードに切り替えて電子スロットル装置18の電源をオフして、スロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じることで、エンジン17の出力を低下させて、車両駆動力を抑制し、車両を退避走行させる。退避走行中も、エンジン17の運転を継続することで、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保する。
【0030】
退避走行中は、退避走行スイッチ11がオン状態に保持されて電子スロットル装置18の電源がオフ状態に保持され、スロットル開度が退避走行用スロットル開度に制限される。車両を安全な場所まで退避走行させて停車させたところで、イグニッションスイッチをオフ操作してエンジン17を停止させてから、退避走行スイッチ11を再びオン操作すると、退避走行スイッチ11がオン状態からオフ状態に復帰する。これにより、退避走行用リレー20がオン状態に復帰して、電子スロットル装置18の電源がオン状態に復帰する。この後、運転者がイグニッションスイッチをオン操作してエンジン17を再始動させれば、通常の車両走行が可能となる。
【0031】
ところで、前述した特許文献1の構成では、車両走行中に運転者が緊急停止スイッチを押し操作すると、エンジンが緊急停止されるため、車両を安全な場所まで退避走行できない可能性(安全な場所に到達する前に車両が停止してしまう可能性)があり、しかも、退避走行中にエンジンが停止することで、退避走行中のハンドルが重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりする懸念があり、退避走行中の安全性・運転性が損なわれるおそれがある。
【0032】
これに対して、本実施例1では、車両走行中の緊急時に運転者が退避走行スイッチ11を押し操作すると、車両走行モードが退避走行モードに切り替えられて、スロットル開度が退避走行用スロットル開度まで閉じられるため、退避走行中に、エンジン17の出力が低下して車両駆動力が抑制された状態でエンジン17の運転が継続される。これにより、車両走行中の緊急時に車両を確実に安全な場所まで退避走行でき、且つ、退避走行中にブレーキブースタに導入する吸気管負圧を確保してブレーキ力を確保できると共に、エンジンのオイルポンプからパワーステアリング装置に供給する油圧を確保して運転者がハンドル16を操作可能なアシスト力を確保することができ、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【0033】
しかも、退避走行中のスロットル開度(退避走行用スロットル開度)は、エンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御されるため、退避走行中に運転者の意思に反してエンジンストールすることを防止でき、車両を安全な場所まで確実に退避走行させることができる。
【0034】
また、従来システムであっても、電子スロットル用リレー21を備えた構成であれば、退避走行スイッチ11と退避走行用リレー20の回路を後付けすることで、本発明を実施することができるため、退避走行スイッチ11と退避走行用リレー20との回路をユニット化して退避走行用のオプション部品として商品化することができる。
【0035】
尚、本実施例1では、退避走行スイッチ11の押しボタン部を覆うカバー14を運転者の手指で押し割り可能に形成したが、該カバー14を開閉可能としても良い。
【実施例2】
【0036】
上記実施例1では、退避走行スイッチ11の押し操作により退避走行用リレー20をオフさせることで、車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしたが、図5及び図6に示す本発明の実施例2では、上記実施例1の退避走行用リレー20を省略し、退避走行スイッチ11をエンジンECU19に接続して、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をエンジンECU19に入力することで、該エンジンECU19によって図6の車両走行モード切替プログラムに従って車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。その他の事項は上記実施例1と同じである。以下、図6の車両走行モード切替プログラムの処理内容を説明する。
【0037】
図6の車両走行モード切替プログラムは、エンジンECU19の電源オン期間中(イグニッションスイッチのオン期間中)に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう退避走行制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、退避走行スイッチ11がオンされているか否かを判定し、退避走行スイッチ11がオフ状態であれば、ステップ102に進み、通常の車両走行モードと判定する。この場合は、ステップ103に進み、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルに通電して該電子スロットル用リレー21の接点間をオン状態に保持すると共に、次のステップ104で、電子スロットル装置18の電源をオン状態に維持して通常のスロットル制御を実行する。
【0038】
これに対し、上記ステップ101で、退避走行スイッチ11がオンされたと判定されれば、ステップ105に進み、退避走行モードと判定する。この場合は、ステップ106に進み、常開型の電子スロットル用リレー21のコイルへの通電をオフして該電子スロットル用リレー21の接点間をオフすると共に、次のステップ107で、電子スロットル装置18の電源をオフしてスロットル開度を退避走行用スロットル開度まで閉じて、エンジン17の出力を低下させることで、車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するようにエンジン17の運転を継続する。
【0039】
以上説明した本実施例2においても、前述した実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0040】
図7に示す本発明の実施例3は、動力源としてモータ31(電動機)を搭載した電気自動車に本発明を適用した実施例である。モータ31は、車両に搭載されたバッテリ32を電源としてインバータ33によって駆動される。通常の車両走行モードでは、インバータ33の各スイッチング素子のオン/オフ動作がインバータ制御ECU34(退避走行制御手段)によって制御される。
【0041】
更に、本実施例3では、前記実施例1と同様の構成の退避走行スイッチ11が退避走行用インバータ制御回路34を介してインバータ33に接続されている。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、該退避走行スイッチ11のオン信号が退避走行用インバータ制御回路35に入力される。これにより、退避走行用インバータ制御回路35がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断して、車両走行モードを退避走行モードに切り替える。退避走行中は、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する。
【0042】
以上説明した実施例3では、電気自動車においても、退避走行スイッチ11と退避走行用インバータ制御回路34を追加して、退避走行中に、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御するため、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上できる。
【実施例4】
【0043】
上記実施例3では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)を退避走行用インバータ制御回路34に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしたが、図8に示す本発明の実施例4では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をインバータ制御ECU34に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。
【0044】
本実施例4では、退避走行スイッチ11をオン操作すると、インバータ制御ECU34がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断して、車両走行モードを退避走行モードに切り替える。退避走行中は、モータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制すると共に、パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル16を操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する。
【0045】
以上説明した本実施例4においても、前述した実施例3と同様の効果を得ることができる。
尚、上述した実施例3,4では、退避走行中にモータ31の駆動電流を遮断することで車両駆動力を抑制するようにしたが、退避走行中にモータ31の駆動電流を抑制(低減)することで車両駆動力を抑制するようにしても良い。
【0046】
或は、退避走行中に車両駆動力をモータ31による回生ブレーキによって抑制するようにしても良い。
【実施例5】
【0047】
図9に示す本発明の実施例5は、動力源としてエンジン17とモータ31を併用するハイブリッド電気自動車に本発明を適用した実施例である。本実施例5は、前記実施例2(図5)と実施例4(図8)とを組み合わせた実施例であり、エンジン17の制御系とモータ31の制御系は、前記実施例2,4と同様の構成となっている。
【0048】
本実施例5では、退避走行スイッチ11の操作信号(オン信号)をエンジンECU19とインバータ制御ECU34の両方に入力することで車両走行モードを退避走行モードに切り替えるようにしている。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作すると、電子スロットル用リレー21がオフされて電子スロットル装置18の電源がオフされ、スロットル開度が退避走行用スロットル開度まで閉じられることで、エンジン17の出力が低下する一方、退避走行用インバータ制御回路35がインバータ33の各スイッチング素子のスイッチング動作を停止させてモータ31の駆動電流を遮断する。
【0049】
以上説明した本実施例5のハイブリッド電気自動車においても、車両走行中の緊急時に車両を安全な場所まで退避走行させる際の安全性・ドライバビリティを向上することができる。
【0050】
尚、ハイブリッド電気自動車に本発明を適用する場合は、実施例2(図5)と実施例4(図8)とを組み合わせた構成に限定されず、実施例1(図3)と実施例3(図7)とを組み合わせても良く、或は、実施例1(図3)と実施例4(図8)とを組み合わせたり、実施例2(図5)と実施例3(図7)とを組み合わせても良い。
【実施例6】
【0051】
図10に示す本発明の実施例6は、上記実施例1〜5のいずれかと組み合わせて実施する実施例である。
本実施例6では、ハザードランプ36の点滅動作を制御するハザードランプ制御回路37に接続されたハザードスイッチ38に対して、退避走行スイッチ11を並列に接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、ハザードランプ制御回路37によってハザードランプ36を点滅させる。これにより、退避走行中に後続車に緊急時の減速中であることをハザードランプ36の点滅により知らせることができ、退避走行の安全性を一層高めることができる。
【0052】
また、退避走行中に警報音発生装置を作動させるようにしても良い。これにより、退避走行中に周囲の車や人に緊急時の減速中であることを警報音により知らせることができ、退避走行の安全性をより一層高めることができる。
【実施例7】
【0053】
図11に示す本発明の実施例7は、エンジン17の駆動力を自動変速機41で変速する車両に本発明を適用した実施例である。
【0054】
本実施例7では、自動変速機41の変速動作を制御するA/T−ECU42(退避走行制御手段)に退避走行スイッチ11を並列に接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、A/T−ECU42によって自動変速機41内部の摩擦係合要素(ブレーキとクラッチ)の係合を解除して入出力軸間の駆動力伝達を遮断する。これにより、退避走行中の車両の加速を確実に防止できると共に、退避走行中にエンジン17の運転が継続されるため、退避走行中にブレーキブースタに導入する吸気管負圧を確保してブレーキ力を確保できると共に、エンジンのオイルポンプからパワーステアリング装置に供給する油圧を確保して運転者がハンドル16を操作可能なアシスト力を確保することができ、退避走行中の安全性・ドライバビリティを向上させることができる。
【実施例8】
【0055】
図12に示す本発明の実施例8は、電子制御式のブレーキ装置43を搭載した車両に本発明を適用した実施例である。
【0056】
本実施例8では、電子制御式のブレーキ装置43を制御するブレーキECU44(退避走行制御手段)に退避走行スイッチ11を接続している。運転者が退避走行スイッチ11をオン操作して、車両走行モードを退避走行モードに切り替えると、退避走行中にブレーキECU44によって車両の減速を緩やかにするようにブレーキ装置43を緩やかに作動させるように制御する。これにより、退避走行中の減速時に後続車が追突してくる可能性をより少なくすることができる。
【実施例9】
【0057】
図13に示す本発明の実施例9は、アクセルペダル45の操作量および退避走行スイッチ11の状態をエンジンECU19で検出できる構成にした実施例である。退避走行スイッチ11が押されているにもかかわらず、アクセルペダル45が踏まれ続けていることをエンジンECU19が検出した場合、エンジンECU19(退避走行制御手段)はメータECU46に対し警告を出すよう指示し、メータECU46よりメータ47へ警告メッセージを表示または音で運転者に知らせる。これにより、運転者が図中にはないブレーキペダルとアクセルペダル45を踏み間違えている場合に気付かせることができる。
【0058】
以上説明した実施例1〜9は、適宜組み合わせて実施するようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
11…退避走行スイッチ、14…カバー、16…ハンドル、17…エンジン(内燃機関)、18…電子スロットル装置、19…エンジンECU(退避走行制御手段)、20…退避走行用リレー、21…電子スロットル用リレー、31…モータ(電動機)、32…バッテリ、33…インバータ、34…インバータ制御ECU(退避走行制御手段)、35…退避走行用インバータ制御回路、36…ハザードランプ、37…ハザードランプ制御回路、38…ハザードスイッチ、41…自動変速機、42…A/T−ECU(退避走行制御手段)、43…電子制御式のブレーキ装置、44…ブレーキECU(退避走行制御手段)、45…アクセルペダル、46…メータECU(退避走行制御手段)、47…メータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と電動機の少なくとも一方を動力源として車両を駆動する車両の退避走行制御装置において、
ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置と、
運転者が操作可能な位置に設けられた退避走行スイッチと、
車両走行中に前記退避走行スイッチが操作されたときに車両走行モードを退避走行モードに切り替えて車両駆動力を抑制又は0とすると共に前記パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する退避走行制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の退避走行制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関の吸気管負圧を導入してブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、
スロットル開度を電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置とを備え、
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記内燃機関で抑制すると共に、退避走行中に前記ブレーキブースタの負圧を確保するように前記電子スロットル装置によってスロットル開度を所定開度以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項3】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に前記電子スロットル装置によってスロットル開度をエンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項4】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記電動機で抑制するために前記電動機の駆動電流を抑制又は遮断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項5】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記電動機による回生ブレーキによって抑制することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項6】
前記退避走行スイッチの操作部は、運転者の手指で押し割り可能又は開閉可能なカバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項7】
前記退避走行制御手段は、退避走行中にハザードランプを点滅させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項8】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に警報音発生装置を作動させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項9】
前記退避走行制御手段は、退避走行中の車両の減速を緩やかにするように制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項10】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両の減速を緩やかにするように前記ブレーキ装置を緩やかに作動させることを特徴とする請求項9に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項11】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両の動力伝達経路を遮断することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項12】
前記退避走行制御手段は、退避走行後に運転者がイグニッションスイッチをオフ操作した後に再び前記退避走行スイッチを操作したときに前記退避走行モードを解除することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項13】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に運転者がアクセルペダルを踏み続けると運転者へ警告を発することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項1】
内燃機関と電動機の少なくとも一方を動力源として車両を駆動する車両の退避走行制御装置において、
ハンドル操作力を補助するパワーステアリング装置と、
運転者が操作可能な位置に設けられた退避走行スイッチと、
車両走行中に前記退避走行スイッチが操作されたときに車両走行モードを退避走行モードに切り替えて車両駆動力を抑制又は0とすると共に前記パワーステアリング装置及びブレーキ装置を運転者がハンドル操作可能で且つ退避走行中のブレーキ力を確保するように制御する退避走行制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の退避走行制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関の吸気管負圧を導入してブレーキ力を増大させるブレーキブースタと、
スロットル開度を電気アクチュエータで制御する電子スロットル装置とを備え、
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記内燃機関で抑制すると共に、退避走行中に前記ブレーキブースタの負圧を確保するように前記電子スロットル装置によってスロットル開度を所定開度以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項3】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に前記電子スロットル装置によってスロットル開度をエンジンストールに至る開度領域よりも高い開度領域で制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項4】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記電動機で抑制するために前記電動機の駆動電流を抑制又は遮断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項5】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両駆動力を前記電動機による回生ブレーキによって抑制することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項6】
前記退避走行スイッチの操作部は、運転者の手指で押し割り可能又は開閉可能なカバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項7】
前記退避走行制御手段は、退避走行中にハザードランプを点滅させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項8】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に警報音発生装置を作動させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項9】
前記退避走行制御手段は、退避走行中の車両の減速を緩やかにするように制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項10】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両の減速を緩やかにするように前記ブレーキ装置を緩やかに作動させることを特徴とする請求項9に記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項11】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に車両の動力伝達経路を遮断することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項12】
前記退避走行制御手段は、退避走行後に運転者がイグニッションスイッチをオフ操作した後に再び前記退避走行スイッチを操作したときに前記退避走行モードを解除することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【請求項13】
前記退避走行制御手段は、退避走行中に運転者がアクセルペダルを踏み続けると運転者へ警告を発することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車両の退避走行制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−226441(P2011−226441A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99054(P2010−99054)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]