説明

車両制御装置

【課題】複数のアプリケーションを備えた場合に、汎用性に優れた車両制御装置を提供すること。
【解決手段】ステップ210では、対象物選択処理を行う。ステップ220では、危険物判定処理を行う。ステップ230では、(加減速ECU3から受信した)ブレーキに関するドライバ操作加速度が、所定の判定値αより小さいか否か、即ち、ブレーキが不十分であるか否かを判定する。ブレーキが十分でない場合は、ステップ240に進み、ブレーキアシスト制御の実行要求フラグをオンにする。また、ドライバ操作加速度に所定値βをかけた値を目標加速度に設定する。一方、ブレーキが十分な場合は、ステップ250に進み、ブレーキアシスト制御の実行要求フラグをオフにし、目標加速度を0に設定する。ステップ260では、実行要求フラグ、目標加速度、Max Jerk、Min Jerkを、加減速ECU3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数の運転支援アプリケーションを利用して車両の制御を行う車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を運転する際に運転支援の制御を行う運転支援アプリケーションについて、例えば車間距離制御装置(アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC))では、車間距離制御に必要な制御値を出力する車間距離制御部と、その制御値に応じてアクチュエータを駆動する指令値を出力する加減速制御部とが用いられており、車間距離制御部と加減速制御部とのインターフェース情報として、加速度(要求加速度)を用いるのが一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
また、レーダにより検出した前方状況と運転者のブレーキ操作量に応じて、制動力を確保すべく制御する制御装置(ブレーキアシスト装置)においては、危険判定部と減速制御部とのインターフェース情報として、判定結果(フラグ)等を用いる技術が知られている(特許文献2参照)
今後、このような運転支援アプリケーションが複数搭載されることを想定すると、制御指示部(車間距離制御部、危険判定部等)と加減速制御部(減速制御部等)とを切り離し、それぞれに独立性を持たせるとともに、制御指示部内で各アプリケーションの調停をすることが望ましい。そして、その際のインターフェース情報としては、車間距離制御装置で用いられる加速度が適切であると考えられる。
【特許文献1】特許第2911368号公報
【特許文献2】特開平11−048952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように制御指示部と加減速制御部とを切り離した場合に、例えばブレーキアシストを行うときには、その制御指示部が、通信ライン等を介して、各センサ等から運転者の加減速操作状態を入力し、車両諸元等に基づいて制御値(要求加速度)を算出して、アクチュエータ等に出力する必要があり、汎用性の点で問題があった。
【0005】
つまり、複数の運転支援アプリケーションがある場合に、各アプリケーションにて車両諸元等を加味して制御値を出力することは、汎用性の点で問題がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複数のアプリケーションを備えた場合に、汎用性に優れた車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1の発明は、車両の走行環境の中で、自車両の取るべき加減速挙動を指令値として演算する制御司令部(例えば運転支援ECU)と、前記制御指令値からの指令値に基づいて、車両固有の特性を考慮して、加減速アクチュエータを利用して車両を制御するための処理を行う加減速制御部(例えば加減速ECU)と、を備えるとともに、前記加減速制御部は、運転者の操作によって発生する加速度操作情報を前記制御司令部に送信することを特徴とする。
【0007】
本発明では、(車両諸元等を加味して演算を行う)加減速制御部から、加速度操作情報を制御司令部に送信する構成であるので、制御司令部にて複数のアプリケーションを用いて制御する場合であっても、汎用性に優れている。
【0008】
つまり、本発明では、制御司令部において、加減速制御部から送信された加速度操作情報に基づいて、アプリケーションによる処理を行って制御値(例えば要求加速度)を算出し、その制御値を受信した加減速制御部では、車両諸元等を加味して加減速アクチュエータを用いる制御の処理(例えば目標トルクやブレーキ要求の指令値を出力)を行うことができる。
【0009】
よって、アプリケーションが増えた場合でも、加減速制御部側にて例えば要求加速度のような制御値に応じて、一括して車両諸元等に基づいた演算が可能であるので、汎用性に優れているという利点がある。
【0010】
(2)請求項2の発明では、前記加減速制御部は、前記加速度操作情報の送信の可否を判定し、その判定結果に応じて前記加速度操作情報を前記制御司令部に送信することを特徴とする。
【0011】
本発明では、加減速制御部での判定結果に基づき、必要な情報(例えばドライバ操作加速度や各種のフラグ等)を制御司令部に送信することができる。
(3)請求項3の発明では、前記運転者の加速度操作情報を送信する場合には、運転者のアクセル操作によるものと、運転者のブレーキ操作によるものとを分離して送信することを特徴とする。
【0012】
本発明は、加速度操作情報の内容を示したものである。この様に、加速度操作情報をアクセル操作によるものとブレーキ操作によるものを区別することにより、アクチュエータに対する制御値の演算が容易になる。
【0013】
(4)請求項4の発明では、前記制御司令部と前記加減速制御部とは、車両の加速度情報でインターフェースされることを特徴とする。
本発明では、車両の加速度情報として、後述する様に、例えば要求加速度(目標加速度)を制御司令部から加減速制御部に送信することができる。
【0014】
(5)請求項5の発明では、前記制御司令部から前記加減速制御部に対して、要求加速度を送信することを特徴とする。
本発明は、制御司令部から加減速制御部に送信する情報を例示したものである。
【0015】
(6)請求項6の発明では、前記制御司令部は複数の運転支援アプリケーションから構成され、該運転支援アプリケーション間で前記要求加速度を調整することを特徴とする。
制御司令部にて複数の運転支援アプリケーションを扱う場合には、それぞれのアプリケーションに応じて要求加速度がそれぞれ算出されることがある。そのような場合には、必要に応じて、例えばどの要求加速度を出力するか等の判断を行うなどして、各要求加速度の調整を行う。これによって、現状において、最も望ましい要求加速度を出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の最良の形態(実施形態)について説明する。
[実施形態]
a)まず、本実施形態の車両制御装置のシステム構成を説明する。
【0017】
本実施形態の車両制御装置は、例えば自動走行時に車間距離を所定間隔に保つように制御する車間距離制御(アダプティブ・クルーズ・コントロール:ACC)や、前方の障害物に衝突する危険性がある場合には適切な制動の制御を行うプリクラッシュ・セーフティ制御(PCS制御)などが可能なシステムである。なお、PCS制御にて、運転者による制動力を増加する制御であるブレーキアシスト制御(BA制御)も実施される。
【0018】
図1に示す様に、本実施形態の車両制御装置は、運転支援制御電子制御装置(以下「運転支援ECU」と称す。)1と、加減速制御電子制御装置(以下「加減速ECU」と称す。)3と、エンジン電子制御装置(以下「エンジンECU」と称す。)5と、ブレーキ電子制御装置(以下「ブレーキECU」と称す。)7と、メータ電子制御装置(以下「メータECU」と称す。)9等を備えており、これらは例えばLAN通信バスを介して互いに接続されている。
【0019】
各ECU1〜9は、いずれも周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、LAN通信バスを介して通信を行うためのバスコントローラ(図示せず)を備えている。尚、本実施形態では、LAN通信バスを介して行うECU間のデータ通信は、車載ネットワークで一般的に利用されているCANバスを利用できる。
【0020】
このうち、前記運転支援制御ECU1は、制御司令部として機能する装置であり、ACCやPCS制御やBA制御等の運転支援を行う複数のアプリケーションを格納しており、レーダセンサ11、警報ブザー13、クルーズコントロールスイッチ15、目標車間設定スイッチ17等と接続されている。
【0021】
レーダセンサ11は、「レーザレーダセンサ」として構成されたものであり、レーザによるスキャニング測距器とマイクロコンピュータとを中心として構成されている電子回路である。
【0022】
このレーダセンサ11では、スキャニング測距器が車幅方向の所定角度範囲にレーザ光をスキャン照射し、その反射光に基づいて検出したターゲットの角度や距離、および運転支援ECU1から受信する現車速(Vn)、カーブ曲率半径の推定値(推定R)等に基づいて、ターゲットが自車線上に存在する確率を示す自車線確率やターゲットの属性を示す属性情報などを求める。また、自車線確率や属性情報等を、距離,相対速度等の情報も含めた先行車情報として運転支援ECU1に送信する。更に、レーダセンサ11自身のダイアグノーシス信号も運転支援ECU1に送信する。
【0023】
クルーズコントロールスイッチ15から運転支援ECU1へは、ACCにおいて、クルーズ制御を開始させるためのセット信号、終了させるためのキャンセル信号、セット車速を増加させるアクセル信号、セット車速を減少させるコースト信号などを送信する。
【0024】
目標車間設定スイッチ17は、ACCにおいて、先行車と自車との目標車間距離に相当する距離を自車が走行するのに要する時間(「目標車間時間」)を運転者が設定するためのスイッチであり、この目標車間時間を、運転支援ECU1に送信する。
【0025】
なお、車間制御ECU1は、警報発生の判定を行い、警報を発生させる必要がある場合には警報ブザー13を鳴動させる。
前記メータECU9は、LAN通信バスを介して、車速,エンジン回転数,ドアの開閉状態、変速機のシフトレンジ等についての情報を受信して、これら車両の各種状態を図示しないメータ表示器に表示する。また、運転支援ECU1から車間制御中フラグ、衝突回避警報、ダイアグノーシス信号などを受信し、これらの情報を図示しないヘッドアップディスプレイ等に表示する。
【0026】
前記エンジンECU5は、アクセルペダル開度を検出するアクセルペダル開度センサ211、電気的にスロットルを駆動する電子スロットル23等に接続されている。
このエンジンECU5では、加減速ECU3から目標トルクを受信するとともに、アクセルペダル開度センサ21からアクセルペダル開度を入力する。また、加減速ECU3にエンジンの制御状態を送信するとともに、電子スロットルに23に対してスロットル開度指令値を出力する。つまり、エンジンECU5では、アクセル開度や目標トルクに応じて、必要なスロットル開度を演算し、その指令値を電子スロットル23に出力してエンジンの状態を制御する。
【0027】
前記ブレーキECU7は、車両旋回状態を示すヨーレートを検出するヨーレートセンサ25、車両速度を検出する車速センサ27、ブレーキペダルの踏み込み状態をマスタシリンダ圧から検出するブレーキペダル踏力センサ(M/C圧センサ)29、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路のホイールシリンダ圧(W/C圧)を制御するブレーキアクチュエータ31等に接続されている。
【0028】
このブレーキECU7では、加減速ECU3から目標トルクやブレーキ要求(即ちブレーキを利用した減速を要求するフラグ)を受信するとともに、ヨーレートセンサ25からはヨーレートを、車速センサ27からは現車速を、M/C圧センサ29からはM/C圧を、それぞれ入力する。また、加減速ECU3にブレーキの制御状態を送信するとともに、ブレーキACT31に対してW/C圧指令値を出力する。つまり、ブレーキECU5では、ヨーレート、現車速、M/C圧、目標トルク、ブレーキ要求に応じて、必要なW/C圧を演算し、その指令値をブレーキACT31に出力してブレーキの状態を制御する。
【0029】
前記加減速ECU3は、加減速制御部として機能する装置であり、前後方向制御(Vehicle Longitudiral Control:VLC)を行うアプリケーションを格納している。
この加減速ECU3は、図2に示す様に、運転支援ECU1から、要求加速度(目標加速度)、加速度変化率(Max Jerk、MIN Jerk)、実行要求フラグを受信し、運転支援ECU1に対して、ドライバ操作加速度(アクセル)、ドライバ操作加速度(ブレーキ)、アクセルオーバライドフラグ、ブレーキオーバライドフラグを送信する。
【0030】
また、加減速ECU3は、エンジンECU5やブレーキECU7から、エンジンやブレーキの制御状態、現車速、ヨーレートを受信し、エンジンECU5に目標トルクを送信するとともに、ブレーキECU7に目標トルク及びブレーキ要求を送信する。
【0031】
なお、本実施形態において、エンジンECU5では、目標トルクを受けて、電子スロットル23を駆動するスロットル開度指令値を演算して出力し、また、ブレーキECU7では、目標トルク及びブレーキ要求を受けて、ブレーキACT31を駆動するW/C圧指令値を出力するので、加減速ECU3の機能とは異なるが、エンジンECU5やブレーキECU7、運転支援ECU1に、加減速ECU3の機能を含むことも可能である。
【0032】
・ここで、加減速ECU3と運転支援ECU7との間で送受信されるデータについて、更に詳しく説明する。
目標加速度は、ACCやPCS制御の運転支援アプリケーションにて、制御に必要な加速度として演算されたものである。なお、各アプリケーションにてそれぞれ目標加速度が演算されることがあるが、その場合には、必要性(緊急性)に応じて、アプリケーション間で調整がなされて、必要な目標加速度が選択される。
【0033】
加速度のJerkとは、図3に示す様に、実際に加速度を制御する場合に、どの程度の変化率で制御するかを示すものであり、MAXはその最大値、MINはその最小値を示す。
【0034】
実行要求フラグとは、送信された目標加速度による制御の実行を指示するフラグである。
ドライバ操作加速度は、ドライバがアクセルやブレーキを操作することによって発生する加速度であり、アクセルで加速度が増加する場合には(+)で表され、ブレーキで加速度が減少する場合には(−)で表される。このドライバ操作加速度は、PCS制御でブレーキアシスト機能及び警報ブレーキ機能(即ちブレーキをかける必要があることをドライバに報知するための弱い制動)を実現するためや、運転者の操作状態を把握するためなどに利用される。
【0035】
アクセルオーバライドフラグは、運転支援ECU7にて、運転者のアクセルペダル操作と、目標加速度のいずれを採用しているかを把握するのに用いられる。
ブレーキオーバライドフラグは、運転支援ECU7にて、運転者のブレーキペダル操作と、目標加速度のいずれを採用しているかを把握するのに用いられる。(このブレーキオーバライドフラグは省略可能である。)
なお、前記PCS制御とは、図4に示す様に、前方の障害物との衝突の可能性のあるTTC=0時までに、適切なタイミングで、警報、ブレーキアシスト(BA制御)、事前制動(弱い制動)、介入制動(強い制動)を行うものである。
【0036】
b)次に、本実施形態の車両制御装置の動作等について説明する。
・本実施形態では、運転支援ECU1に複数の運転支援アプリケーションが格納されている。
【0037】
そして、この運転支援ECU1に対して、加減速ECU3から、ドライバ操作加速度(アクセル、ブレーキ)や各オーバーライドフラグが送信される。
運転支援ECU1では、加減速ECU3から受信した前記ドライバ操作加速度等の情報に基づいて、各アプリケーションにて制御指令値である目標加速度等を演算し、この目標加速度や、MAX Jerk、Min Jerk、実行要求フラグ等を、加減速ECU3に送信する。
【0038】
加減速ECU3では、運転支援ECU1から送信された目標加速度などに加え、エンジンECU5やブレーキECU7から送信された、現車速、ヨーレート、エンジンやブレーキの制御状態等の情報を用い、油圧回路等の車両諸元に基づいて、各アクチュエータを駆動するために必要な目標トルクやブレーキ要求などを算出し、エンジンECU5やブレーキECU7に送信する。
【0039】
エンジンECU5やブレーキECU7では、実際に各アクチュエータ(電子スロットル23、ブレーキACT31)を駆動するために、スロットル開度指令値やW/C指令値等を各アクチュエータに出力する。
【0040】
・以下、その具体的手順を、フローチャートに基づいて詳細に説明する。
ここでは、PCS制御におけるBA制御を例に挙げて説明する。
(1)加減速ECU3における処理
図5のステップ(S)100では、エンジンECU5から、アクセルペダル開度フラグ、アクセルペダル開度などの情報を受信する。また、ブレーキECU7から、ブレーキペダル開度フラグ、M/C圧、現車速、ヨーレート等の情報を受信する。
【0041】
続くステップ110では、運転支援ECU1に対して、ドライバ操作加速度(アクセル、ブレーキ)と、アクセルオーバライドフラグ、ブレーキオーバライドフラグを送信する。
【0042】
なお、アクセルに関するドライバ操作加速度は、アクセルペダル開度と車速からエンジン型式に応じた要求駆動トルクマップから求めることができ、ブレーキに関するドライバ操作加速度は、M/C圧からアクチュエータ特性に応じたマップから求めることができる。
【0043】
(2)運転支援ECU1における処理
図6のステップ200では、加減速ECU3から、ドライバ操作加速度(アクセル、ブレーキ)と、アクセルオーバライドフラグ、ブレーキオーバライドフラグを受信する。
【0044】
続くステップ210では、対象物選択処理を行う。この対象物選択処理とは、どの対象物に対して、例えばPCS制御を行うかを選択する処理である。
続くステップ220では、危険物判定処理を行う。この危険物判定処理とは、例えば選択した対象物(例えば車両)との車間距離や自車速度などから、衝突の危険がある対象物を判定する処理である。
【0045】
続くステップ230では、(加減速ECU3から受信した)ブレーキに関するドライバ操作加速度が、所定の判定値αより小さいか否か、即ち、ブレーキが不十分であるか否かを判定する。
【0046】
ブレーキが十分でない場合は、ブレーキアシスト制御の必要があるので、ステップ240に進み、ブレーキアシスト制御の実行要求フラグをオン(ON)にする。また、ドライバ操作加速度に所定値βをかけた値を目標加速度に設定する。
【0047】
一方、ブレーキが十分な場合は、ブレーキアシスト制御の必要がないので、ステップ250に進み、ブレーキアシスト制御の実行要求フラグをオフ(OFF)にし、目標加速度を0に設定する。
【0048】
そして、ステップ260では、実行要求フラグと目標加速度を加減速ECU3に送信するとともに、Max Jerk、Min Jerkも送信し、一旦本処理を終了する。
(3)加減速ECU3における処理
図7のステップ300では、運転支援ECU3から、実行要求フラグ、目標加速度、Max Jerk、Min Jerkを受信する。
【0049】
続くステップ310では、受信した実行要求フラグ、目標加速度、Max Jerk、Min Jerkに加え、車両諸元や現在の車両の走行や操作状態を示す各種のデータに基づいて、目標トルク及びブレーキ要求を算出する。
【0050】
続くステップ320では、実行要求フラグがあるかどうか、即ち実行要求フラグがオンかどうかを判定する。
実行要求フラグがオンの場合には、目標トルクをエンジンECU5とブレーキECU7に対して送信するとともに、ブレーキ要求をブレーキECU7に対して送信し、一旦本処理を終了する。
【0051】
d)この様に、本実施形態の車両制御装置では、運転支援ECU1において、加減速ECU3から送信された加速度操作情報(ドライバ操作加速度等)に基づいて、PCS等の運転支援アプリケーションによる処理を行って目標加速度等を算出し、その目標加速度等を受信した加減速ECU3では、車両諸元等を考慮して目標トルクやブレーキ要求の指令値を出力する。
【0052】
よって、運転支援アプリケーションが複数ある場合でも、加減速ECU3側にて、目標加速度に応じて、一括して車両諸元等に基づいた目標トルクやブレーキ要求の指令値の演算が可能であるので、汎用性に優れているという利点がある。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態の車両制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】運転支援ECUと加減速ECUとの間で送受信されるデータを示す説明図である。
【図3】加速度のJerkを示すグラフである。
【図4】PCS制御の手順を示すタイミングチャートである。
【図5】加減速ECUにおける処理を示すフローチャートである。
【図6】運転支援ECUにおける処理を示すフローチャートである。
【図7】加減速ECUにおける処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…運転支援ECU、3…加減速ECU、5…エンジンECU、7…ブレーキECU、9…メータECU、11…レーダセンサ、13…警報ブザー、15…クルーズコントロールスイッチ、17…目標車間設定スイッチ、21…アクセルペダル開度センサ、23…電子スロットル、25…ヨーレートセンサ、27…車速センサ、29…M/C圧センサ、31…ブレーキアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行環境の中で、自車両の取るべき加減速挙動を指令値として演算する制御司令部と、
前記制御指令値からの指令値に基づいて、車両固有の特性を考慮して、加減速アクチュエータを利用して車両を制御するための処理を行う加減速制御部と、
を備えるとともに、
前記加減速制御部は、運転者の操作によって発生する加速度操作情報を前記制御司令部に送信することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記加減速制御部は、前記加速度操作情報の送信の可否を判定し、その判定結果に応じて前記加速度操作情報を前記制御司令部に送信することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記運転者の加速度操作情報を送信する場合には、運転者のアクセル操作によるものと、運転者のブレーキ操作によるものとを分離して送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御司令部と前記加減速制御部とは、車両の加速度情報でインターフェースされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御司令部から前記加減速制御部に対して、要求加速度を送信することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御司令部は複数の運転支援アプリケーションから構成され、該運転支援アプリケーション間で前記要求加速度を調整することを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−279983(P2008−279983A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128022(P2007−128022)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】