説明

車両制御装置

【課題】駆動源としてエンジンとモータを用いる車両において、先行車に追従走行している時に先行車が加速した場合の燃費を抑制することができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】駆動源としてエンジンとモータを用いる車両において、先行車までの距離を検出する車間距離検出手段と、前記先行車との相対速度を検出する相対速度検出手段と、前記相対速度検出手段によって検出された相対速度を微分し、相対加速度を算出する相対加速度算出手段と、自車速度を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段と前記相対速度検出手段と前記相対加速度検出手段と前記自車速検出手段によって検知された車間距離、相対速度、相対加速度、自車速度にもとづいて、先行車に追従するために必要な前記モータの出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、前記出力トルク算出手段で算出されたトルクを出力するように前記モータを制御する制御手段とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両制御装置、特に、レーダを搭載し、駆動源としてエンジンとモータを備えた車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーダを搭載し、駆動源としてエンジンとモータを備えた車両において、所定車速を設定し、車速が設定車速になるように走行制御を行う定速走行装置が知られている。また、レーダにより先行車を検知した場合に、自動的に追従走行モードとなり、先行車との車間距離を所定の値に維持するように自車を走行させる装置も知られている。さらに、先行車が定速走行時に自車が設定車速以下の範囲内で走行している場合には自車車速を先行車の車速と同じにする、つまり相対速度が0となるように先行車に追従走行すべくエンジンのスロットル開度を調整し、先行車に追従する制御を行なう追従制御装置も知られている。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−295714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の装置においては、先行車に追従走行している場合に先行車が急加速した場合などにおいては、定速走行時に設定した設定車速以下の範囲内における車速であれば先行車との相対速度が0となるようにエンジンの出力のみを制御するように追従制御する走行を行なうため燃料消費が大きくなるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、追従走行の際に先行車が急加速した場合にはエンジンのスロットル開度を変化させず、モータの出力トルクのみを変化させることによって追従走行し、また、モータの出力トルクのみを変化させることでは先行車に追従走行できないと判定した場合には追従走行制御をオフし、予め設定された車速となるように定速走行制御とすることにより、無駄な燃料消費を抑制するようにした車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置は、駆動源としてエンジンとモータを用いる車両において、先行車を判定する先行車判定手段と、前記先行車までの距離を検出する車間距離検出手段と、前記先行車との相対速度を検出する相対速度検出手段と、前記相対速度検出手段によって検出された相対速度を微分し、相対加速度を算出する相対加速度算出手段と、自車速度を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段と前記相対速度検出手段と前記相対加速度検出手段と前記自車速検出手段によって検知された車間距離、相対速度、相対加速度、自車速度にもとづいて、先行車に追従するために必要な前記モータの出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、前記出力トルク算出手段で算出されたトルクを出力するように前記モータを制御する制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は上記のように構成され、先行車を追従走行する際にエンジンの出力を変化させずにモータの出力トルクのみを制御して先行車を追従するように車両制御するため、燃費を抑制することができる。また、モータの出力増加のみで追従できない場合には追従制御をオフし、定速走行制御とするように車両制御するため燃費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における制御動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1において、エンジン103は燃料の燃焼によって動力を出力する形式の装置で、その出力軸にはモータ104が接続されている。モータ104は電気的エネルギーを回転運動などの運動エネルギーに変換して出力する。モータ104の出力軸はトルクコンバータ105に接続され、トルクコンバータ105の出力軸は自動変速機106に出力できるように構成されている。自動変速機106の出力は駆動輪に伝達される構成とされている。
【0011】
モータ104にはインバータ107を介してバッテリ109が接続されている。インバータ107はバッテリ109からの直流電力を所定の交流電力に変換してモータ104に供給し、またモータ104における交流電力を直流電力に変換してバッテリ109に供給するようにされている。そして、このような動作を制御するためにインバータコントローラ108が設けられている。
【0012】
インバータコントローラ108は、CPU102からの信号にもとづいてインバータ107を制御し、モータ104の出力トルクや回生制動力を制御するようになっている。
この実施の形態においては、モータ104は、その入力側がエンジン103の出力軸に接続されており、モータ104の出力軸のトルクは、エンジン103の出力とモータ104の出力の和となっている。そして、上記のようにトルクコンバータ105、自動変速機106を介して出力トルクが駆動輪に伝達されるものである。
【0013】
さらに、エンジン103はCPU102に接続されており、CPU102によってエンジン103の出力がコントロールされるようになっている。また、このCPU102は、インバータコンローラ108及びインバータ107を介して、モータ104の出力をコントロールするようになっている。
【0014】
CPU102には車速センサ111、バッテリ残量センサ110が接続され、車速センサ111から自車の速度信号が、バッテリ残量センサ110からバッテリ充電状態の信号が供給されている。
【0015】
この実施の形態ではCPU102は定速走行のための定速走行制御も行う。このCPU102は、車速設定信号を受けて設定車速を取り込み、その後は車速センサ111からの車速信号が設定車速に近づくように、スロットル開度を調整し、エンジン103の出力をフィードバック制御している。
【0016】
CPU102はまた、先行車に追従走行するための追従走行制御も行なう。CPU102は、ミリ波などを用いたレーダ101から先行車との車間距離情報、相対速度、相対加速度を入力し、これらと車速センサ111からの車速信号とにもとづいて上述のようにモータ104の出力をフィードバック制御している。
【0017】
次に、この実施の形態における制御動作について図2のフローチャートにもとづいて説明する。
まず、ステップS101にて追従走行中であるか否かを確認する。追従走行中でないと判定された場合は処理を終了する。ステップS101で追従走行中であると判定された場合はステップS102に進む。
【0018】
ステップS102では、レーダ101から自車と先行車との車間距離及び相対速度の信号をCPU102に供給し、相対速度を微分することにより、自車と先行車との相対加速度を算出する。ステップS102にて算出された相対加速度が所定値未満であればステップS103にて先行車が加速していないと判定し、処理をスタートに戻す。
ステップS102にて算出された相対加速度が所定値以上であればステップS103にて先行車が加速していると判定し、ステップS104に進む。
【0019】
ステップS104ではステップS102にてレーダ101からCPU102に供給された車間距離、相対速度とステップS102で算出された相対加速度にもとづいて、自車が先行車に追従するために必要な出力トルクを算出する。
【0020】
次に、ステップS104にて算出された出力トルクがモータ104のみで出力可能かどうかをステップS105で判定する。モータ104のみで出力することが不可能であると判定された場合はステップS106に進んで追従走行をオフし、ステップS107にて定速走行制御を行なって処理を終了する。
【0021】
ステップS105において、出力トルクがモータ104のみで出力可能であると判定された場合はステップS108に進む。ステップS108では、バッテリ残量センサ110にてバッテリ109のバッテリ充電状態を確認する。
【0022】
ステップS109では、ステップS108で確認したバッテリ充電状態で追従走行するのに必要なモータ104の出力トルクが出力可能か否かを判断する。バッテリ残量が十分でなく、出力不可能と判定された場合はステップS106に進んで追従走行をオフし、ステップS107にて定速走行制御を行い処理を終了する。
【0023】
ステップS109でバッテリ残量が十分であると判定された場合はステップS110に進む。ステップS110ではステップS104にて算出された出力トルクとなるようにモータ104の出力を制御し、追従走行を行う。
【符号の説明】
【0024】
101 レーダ、
102 CPU、
103 エンジン、
104 モータ、
105 トルクコンバータ、
106 自動変速機、
107 インバータ、
108 インバータコントローラ、
109 バッテリ、
110 バッテリ残量センサ、
111 車速センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてエンジンとモータを用いる車両において、先行車を判定する先行車判定手段と、前記先行車までの距離を検出する車間距離検出手段と、前記先行車との相対速度を検出する相対速度検出手段と、前記相対速度検出手段によって検出された相対速度を微分し、相対加速度を算出する相対加速度算出手段と、自車速度を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段と前記相対速度検出手段と前記相対加速度検出手段と前記自車速検出手段によって検知された車間距離、相対速度、相対加速度、自車速度にもとづいて、先行車に追従するために必要な前記モータの出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、前記出力トルク算出手段で算出されたトルクを出力するように前記モータを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記出力トルク算出手段で算出されたトルクの増加のみで前記先行車に追従可能か否かを判定する手段を備え、前記モータの出力トルクのみの増加で前記先行車に追従できないと判定した場合には、追従走行制御をオフすることを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車両のバッテリ残量を検出するバッテリ残量検出手段を備え、前記出力トルク算出手段で算出されたトルク出力が前記バッテリ残量で可能か否かを判定する判定手段を備え、前記バッテリ残量で前記トルク出力が可能でないと判定した場合には、追従走行制御をオフすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両制御装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−207274(P2011−207274A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74934(P2010−74934)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】