説明

車両用表示システム

【課題】運転者に対して表示する画面の構成を最適化し、運転者による操作入力を迅速かつ簡単に行わせる車両用表示システムを提供すること。
【解決手段】画面を遷移させるための操作入力を検出して該操作入力に対応する応答画面を表示させる車両用表示システム100は、操作入力が運転者によるものであるか否かを判定する操作者判定手段10と、操作者判定手段10による判定結果に基づいて応答画面の画面構成を変更する画面構成変更手段11とを備える。画面構成変更手段11は、操作者判定手段10により運転者による操作入力であると判定された場合に、表示させるメニュー項目の内容を変更したり、数を減らしたり、操作入力できないメニュー項目をトーンダウンさせたり、或いは、入力方式を50音入力方式からリスト入力方式に変更したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示システムに関し、より詳細には、画面を遷移させるために操作入力を行った者が運転者であるか否かによってその操作入力に対応する応答画面の構成を切り替える車両用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルを備えたナビゲーション装置の表示画面に操作者の手が接近した場合に、接近する手が助手席側から伸びたのか否かを超音波センサにより検出する車載用ナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、超音波センサ等の専用のセンサを用いずに、入力位置を検出するための静電容量方式タッチセンサを利用して、タッチ入力位置に加え、操作者の手の接近を検出する車載機器用操作装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
これらの装置は、操作者の手が助手席側から表示画面に向けて伸びたのか否かを判定し、運転席側から操作者の手が伸びたと判定された場合には、操作者によるナビゲーション装置へのタッチ入力を拒絶し、一方で、助手席側から操作者の手が伸びたと判定された場合には、車両が走行中であっても、操作者によるナビゲーション装置へのタッチ入力を受け入れる。
【0005】
このように、これらの装置は、走行中のナビゲーション装置へのタッチ入力を一律に禁止するのではなく、助手席搭乗者によるタッチ入力を許可することで、操作者の利便性を向上させる。
【特許文献1】特開平9−292261号公報
【特許文献2】特開2004−245606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載の装置は、地図画面の拡大縮小機能を除き、走行中における運転者によるタッチ入力を一律に拒絶するので、操作者の利便性を向上させる上で不十分である。
【0007】
かかる状況に鑑み、本発明は、運転者に対して表示する画面の構成を最適化し、運転者による操作入力を迅速かつ簡単に行わせる車両用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明に係る車両用表示システムは、画面を遷移させるための操作入力を検出して該操作入力に対応する応答画面を表示させる車両用表示システムであって、前記操作入力が運転者によるものであるか否かを判定する操作者判定手段と、前記操作者判定手段による判定結果に基づいて前記応答画面の画面構成を変更する画面構成変更手段と、を備えることを特徴とする車両用表示システム。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る車両用表示システムであって、前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、表示させるメニュー項目の内容を変更した応答画面を表示させることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1の発明に係る車両用表示システムであって、前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、表示させるメニュー項目の数をより少なくした応答画面を表示させることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1の発明に係る車両用表示システムであって、前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力を禁止するメニュー項目をトーンダウンさせた応答画面を表示させることを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、第1の発明に係る車両用表示システムであって、前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、文字等を入力するための入力方式をより簡略化した入力方式に切り替えた応答画面を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、運転者に対して表示する画面の構成を最適化し、運転者による操作入力を迅速かつ簡単に行わせる車両用表示システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0015】
図1は、本発明に係る車両用表示システムの構成例を示す図であり、車両用表示システム100は、制御部1、画面構成データベース2、タッチパネル3、接近センサ4および液晶ディスプレイ5から構成される。
【0016】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、操作者判定手段10および画面構成変更手段11に対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
【0017】
画面構成データベース2は、ハードディスクや半導体メモリ等の不揮発性の記憶手段に格納された1または2以上のデータテーブルから構成される。例えば、図2(a)に示すテーブルは、液晶ディスプレイ5の周辺に配置されたエスカッションボタンや液晶ディスプレイ5に表示されたソフトウェアボタンを識別するためのID番号を示すボタンIDフィールド20と、各エスカッションボタンや各ソフトウェアボタンが運転者以外の者により押下されたときに新たに表示される応答画面のID番号を示す同乗者用画面IDフィールド21と、運転者により押下されたときに新たに表示される応答画面のID番号を示す運転者用画面IDフィールド22とから成る応答画面テーブルである。
【0018】
また、図2(b)に示すテーブルは、新たに表示される応答画面のID番号を示す画面IDフィールド23と、ボタンを押下した者が運転者以外の者であるときに表示される応答画面を構成するボタンのID番号を示す同乗者用ボタンIDフィールド24と、ボタンを押下した者が運転者であるときに表示される応答画面を構成するボタンのID番号を示す運転者用ボタンIDフィールド25とから成る表示ボタンテーブルである。図2(b)の表示ボタンテーブルは、新たに表示される応答画面の画面IDを共通としながら、表示させるソフトウェアボタンの種類を変化させる場合に参照される。
【0019】
図2(a)の応答画面テーブルは、運転者以外の者によりエスカッションボタンB1が押下された場合に応答画面D1が表示され、運転者によりエスカッションボタンB1が押下された場合に応答画面D2が表示されることを示し、また、エスカッションボタンB2が押下された場合に、押下した者が何れの者であっても応答画面D3が表示されることを示す。
【0020】
また、図2(b)のテーブルは、エスカッションボタンB2が押下された場合に新たに表示される応答画面D3において、エスカッションボタンB2を押下したのが運転者以外の者であるときに応答画面D3上にソフトウェアボタンB9〜B14が表示され、エスカッションボタンB2を押下したのが運転者であるときに応答画面D3上にソフトウェアボタンB14〜B18が表示されることを示す。なお、画面D1〜D3およびボタンB1〜B18は、それらの具体例が後述される。
【0021】
タッチパネル3は、液晶ディスプレイ5に表示される画面への操作者による入力を検出するための入力検出手段の1つであり、例えば、液晶ディスプレイ5上に配置される透明パネルであってもよく、液晶ディスプレイ5とは物理的に離れた位置に独立して配置されるパネルであってもよい。なお、入力検出手段は、リモートコントローラやエスカッションボタンにおけるカーソルキーやジョイスティックを介して液晶ディスプレイ5上のソフトウェアボタンを選択するものであってもよい。
【0022】
接近センサ4は、タッチパネル3に対する操作入力を行う物体の接近方向を検出するための操作者検出手段であり、例えば、超音波や赤外線の発信部および受信部をタッチパネル3の前面にそれぞれ対向させて配置し、タッチパネル3に接触する物体が発信部および受信部の間の超音波または赤外線を遮断したことを検知してその物体の接近方向を検出する。また、接近センサ4は、発射した超音波や赤外線の物体からの反射波を利用してその物体の接近方向を検出してもよい。
【0023】
なお、操作者検出手段は、車載カメラや静電容量方式のタッチセンサであってもよい。カメラで撮影した画像を処理することにより、或いは、物体とタッチセンサとの間の静電容量の変化を検知することにより、物体の接近方向を検出できるからである。また、着座センサを用いて運転者以外の搭乗者が存在しないことを補助的に検出してもよい。
【0024】
液晶ディスプレイ5は、操作者の操作入力に対応した応答画面を表示するための表示手段の1つであり、例えば、タッチパネル3上に設定される所定の入力検出領域(タッチ入力を受け入れる領域)に対応する表示手段上の領域にメニュー項目(ソフトウェアボタン)を表示させる。
【0025】
なお、表示手段は、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイやフロントガラスに画像を投射させるヘッドアップディスプレイ等であってもよい。
【0026】
次に、制御部1が有する操作者判定手段10および画面構成変更手段11について説明する。
【0027】
操作者判定手段10は、操作入力の入力主体を判定するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイ5の表示画面を遷移させるためのエスカッションボタンまたはソフトウェアボタンが操作入力された場合に、接近センサ4の検出結果に基づいて操作入力の入力主体を判定する。
【0028】
また、操作者判定手段10は、入力手段がリモートコントローラの場合、リモートコントローラが発信する信号の受信部を複数設置しておき、各受信部が検出した信号の強度や方向等からリモートコントローラの位置を算出して操作入力の入力主体を判定するようにしてもよい。
【0029】
なお、操作者判定手段10は、画面を遷移させるための操作入力以外の操作入力(50音入力方式による文字の選択入力やリスト表示の上下スクロール等をいう。)における入力主体を判定してもよい。例えば、50音入力画面における運転者による操作入力を拒絶するために利用できるからである。
【0030】
画面構成変更手段11は、液晶ディスプレイ5に表示させる画面の画面構成を変更するための手段であり、「画面構成」とは、画面に表示させるメニュー項目の位置、大きさ、範囲、数若しくは種類、画面に表示させる文字の大きさ若しくは色、画面の背景色、または、所定の項目を入力するための入力方式(50音入力、リスト入力、プルダウン入力等)等をいう。また、「メニュー項目」とは、液晶ディスプレイ5上に表示され、操作者による操作入力が受付可能であることを示す画像をいう。
【0031】
画面構成変更手段11は、液晶ディスプレイ5の表示画面を遷移させるためにソフトウェアボタンが押下された場合に、記憶手段に格納された画面構成データベース2の応答画面テーブルを参照して、押下されたボタンのボタンIDおよび操作者判定手段10により判定された操作者の組み合わせに対応する画面IDを取得し、その画像IDに基づいて応答画面を液晶ディスプレイ5に表示させる。
【0032】
画面構成変更手段11は、取得した画像IDに基づいて応答画面の背景色、文字の大きさ、ソフトウェアボタンの配置等に関する既登録のデータを記憶手段から読み出して応答画面を構築するが、ソフトウェアボタンの形状、模様、背景色等をそのままに、ソフトウェアボタンに対応する機能(ソフトウェアボタン上に表示される機能名称やアイコンの変更を含む。)のみを変更する場合には、画像IDに基づいて画面構成データベース2の表示ボタンテーブルを参照し、応答画面に配置させるボタンのボタンID等を取得して応答画面を構築するようにしてもよい。
【0033】
次に、図3を参照しながら、車両用表示システム100が操作者に応じて応答画面の画面構成を変更する処理の流れについて説明する。
【0034】
最初に、車両用表示システム100は、タッチパネル3において所定のソフトウェアボタンが操作入力されたことを検出すると(ステップS1)、操作者判定手段10により、接近センサ4の出力信号に基づいてその操作入力が運転者によるものか否かを判定する(ステップS2)。
【0035】
運転者による操作入力であると判定されると(ステップS2のYES)、画面構成変更手段11により画面構成データベース2が参照され運転者による操作入力に適した応答画面(以下、「運転者用画面」という。)が液晶ディスプレイ5に表示される(ステップS3)。
【0036】
「運転者用画面」とは、車両走行中における運転者による操作入力の時間短縮を可能とする画面であり、所望の機能を実現するために必要なボタン押下回数が所定回数(例えば、3回)未満となるよう、選択できるメニュー項目の数、入力方式(リスト入力、プルダウン入力、プルアップ入力等)、表示されるリストの数等を制限した画面である。
【0037】
一方、運転者による操作入力でないと判定されると(ステップS2のNO)、画面構成変更手段11により画面構成データベース2が参照され運転者以外の者による操作入力に適した応答画面(以下、「同乗者用画面」という。)が液晶ディスプレイ5に表示される(ステップS4)。
【0038】
「同乗者用画面」とは、運転者用画面において実現される全ての機能に加え、より多くのメニュー項目、または、より複雑な入力方式(例えば、50音入力やテンキー入力をいう。)を有し、より詳細な操作入力を可能とする画面である。
【0039】
なお、車両用表示システム100は、一旦、運転者用画面を表示させた場合であっても、運転者以外の者による操作入力を許容し、所定時間に渡って操作入力が行われない場合には、運転者用画面が表示される前の画面に自動的に復帰させるようにしてもよい。同乗者用画面への移行を容易にするためである。
【0040】
また、車両用表示システム100は、一旦、同乗者用画面を表示させた場合に、運転者による操作入力を一部または全部のメニュー項目について禁止するようにしてもよい。車両走行中において運転者に操作入力させるべきでないメニュー項目を含んでいる場合があるためである。この場合、車両用表示システム100は、運転者による操作入力が禁止されるメニュー項目をトーンダウン(例えば、灰色表示)させ、操作入力ができない旨を運転者に明確に伝えるようにしてもよい。なお、トーンダウンさせた所定のメニュー項目をトーンダウンさせた場合であっても、運転者以外の者による操作入力は有効である。
【0041】
なお、所定時間に渡って操作入力が行われない場合には、同乗者用画面が表示される前の画面に自動的に復帰させるようにしてもよい。運転者用画面への移行を容易にするためである。
【0042】
以上の構成により、車両用表示システム100は、運転者による操作入力が迅速かつ簡単に行われるよう応答画面を切り替えることにより、車両走行中における運転者による操作入力を全て禁止し極めて簡単な操作入力であっても車両の停車を強いるようなこととせず、所定の操作入力を許容して運転者の利便性を向上させることができる。
【0043】
また、車両用表示システム100は、上述の効果を奏しながらも、運転者以外の者に対しては、より詳細でより長い時間を要する操作入力をも許容し、操作者の利便性を向上させることができる。
【実施例1】
【0044】
図4は、液晶ディスプレイ5の側部に備えられたエスカッションボタンである目的地設定ボタンB1が押下された場合において、車両用表示システム100により操作入力の入力主体に応じて応答画面の画面構成を変更する例を示す図である。
【0045】
図4(a)は、運転者以外の者により目的地設定ボタンB1が押下された場合に表示される目的地設定画面D1を示した図であり、図4(b)は、運転者により目的地設定ボタンB1が押下された場合に表示される目的地設定画面D2を示した図である。
【0046】
図4(a)の目的地設定画面D1は、50音入力により目的地を入力させる画面に遷移させるための50音ボタンB3、「駐車場」や「公園」等のカテゴリから目的地を選択させる画面に遷移させるための施設ボタンB4、住所から目的地を選択させる画面に遷移させるための住所ボタンB5、電話番号から目的地を選択させる画面に遷移させる電話番号ボタンB6、郵便番号から目的地を選択させる画面に遷移させる郵便番号ボタンB7、および、過去に選択した目的地の履歴から目的地を選択させる画面に遷移させる履歴ボタンB8から構成され、同乗者による詳細な操作入力が可能な画面への遷移を促す。
【0047】
一方、図4(b)の目的地設定画面D2は、過去に選択したことのある目的地の履歴を所定数(例えば、直近の5件)だけリスト表示させ、運転者は、表示されたリストの何れかを押下することにより目的地の設定を完了させることができる。なお、表示されるリストは、直近の履歴の他に、設定頻度の高い順に数件表示させてもよく、現在位置から距離的に近い順に数件表示させるようにしてもよい。この場合、運転者は目的地を設定するために合計2回の操作入力を行うだけでよい。
【0048】
また、目的地設定画面D2は、目的地設定画面D1より文字を大きく表示させる。運転者が一瞥しただけで画面内容が把握できるようにするためである。また、文字を大きく表示させる他、目的地の特徴を表すアイコンを文字の代わりに、或いは、文字と共に表示させてもよい。
【実施例2】
【0049】
図5は、液晶ディスプレイ5の側部に備えられたエスカッションボタンである情報ボタンB2が押下された場合において、車両用表示システム100により操作入力の入力主体に応じて応答画面の画面構成を変更させる別の例を示す図である。
【0050】
図5(a)は、運転者以外の者により情報ボタンB2が押下された場合に表示される情報画面D3−1(情報画面D3の一態様)を示した図であり、図5(b)は、運転者により情報ボタンB2が押下された場合に表示される情報画面D3−2(情報画面D3の別の態様)を示した図である。情報画面D3は、表示されるソフトウェアボタンの種類を除き、ソフトウェアボタンの大きさ、配置等が共通する画面である。
【0051】
図5(a)の情報画面D3−1は、インターネットボタンB9、カラオケボタンB10、ラジオボタンB11、DVD(Digital Versatile Disc)ボタンB12、電話ボタンB13、および、その他情報ボタンB14といった、同乗者によって操作入力される頻度が高いボタンで構成される。なお、その他情報ボタンB14は、運転者により情報ボタンB2が押下された場合に表示される各種ボタンを含む他のボタンを表示させるためのものである。
【0052】
一方、図5(b)の情報画面D3−2は、燃費情報を表示させるための燃費ボタンB15、ETC(Electronic Toll Collection system)情報を表示させるためのETCボタンB16、VICS(Vehicle Information and Communication System)ボタンB17、車両周辺を撮影するカメラ画像を表示するためのカメラボタンB18、電話ボタンB13といった、運転者によって操作入力される頻度が高いボタンで構成される。
【0053】
なお、情報画面D3に表示されるボタンの種類は、画面構成データベース2の表示ボタンテーブルに登録されたものであってもよく、操作者毎の使用頻度、使用履歴に基づいて動的に設定されてもよい。
【0054】
これにより、各操作者は、それぞれが必要とする情報に対し迅速なアクセスが可能となる。また、ソフトウェアボタンの大きさや配置等をそのままにして、ソフトウェアボタンに割り当てられる機能のみが変更されるだけなので、操作者は、異なる画面構成に戸惑うことなく、迅速な操作入力を行うことができる。
【実施例3】
【0055】
図6は、液晶ディスプレイ5に表示された情報画面D3にある電話ボタンB13が押下された場合において、車両用表示システム100により操作入力の入力主体に応じて応答画面の画面構成を変更させる更に別の例を示す図である。
【0056】
図6(a)は、情報画面D3−1において運転者以外の者により電話ボタンB13が押下された場合に表示される電話画面D4を示した図であり、図6(b)は、情報画面D3−2において運転者により電話ボタンB13が押下された場合に表示される電話画面D5を示した図である。
【0057】
なお、車両用表示システム100は、情報ボタンB2が運転者によって押下された場合に表示される情報画面D3−2において運転者以外の者により電話ボタンB13が押下されたとき、或いは、情報ボタンB2が運転者以外の者によって押下された場合に表示される情報画面D3−1(ソフトウェアボタンに割り当てられる機能のみが異なる。)において運転者以外の者により電話ボタンB13が押下されたときの何れであっても、共通の電話画面D4を表示させる。電話ボタンB13は、何れの情報画面D3(D3−1およびD3−2)にも存在し、運転者にも操作入力が許容されているからである。ただし、車両用表示システム100は、インターネットボタンB9等の他のボタンが運転者により押下された場合、その操作入力を受け入れないようにする。運転者による操作入力が許容されていないからである。
【0058】
図6(a)の電話画面D4は、テンキー30、入力した電話番号を確認するための番号確認フォーム31、確定ボタン32およびクリアボタン33から構成される。操作者は、番号確認フォーム31を見ながらテンキー30を介して電話番号を一桁ずつ入力し、番号を全て入力した時点で確定ボタン32を押下することにより呼び出しを開始する。また、入力した番号の修正にはクリアボタン33が利用される。
【0059】
一方、図6(b)の電話画面D5は、登録された通話先の名前のリスト表示で構成され、操作者は、リスト表示された通話先のソフトウェアボタンを押下することにより呼び出しを開始する。この例では、画面下部にあ行、か行といった50音分類のソフトウェアボタンを配し、通話先を検索しやすくする。この場合、運転者は呼び出しを開始するために合計3回または4回程度の操作入力を行うだけでよい。
【0060】
なお、電話画面D5は、発信履歴または着信履歴を所定数(例えば、5件)だけリスト表示させるものであってもよく、通話回数の多い順に所定数だけリスト表示させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0061】
図7および図8は、デュアルビューディスプレイに表示された目的地設定画面D1の50音ボタンB3が押下された場合において、車両用表示システム100により操作入力の入力主体に応じて応答画面の画面構成を変更させる更に別の例を示す図である。
【0062】
図7は、デュアルビューディスプレイの概略図である。デュアルビューディスプレイとは、左右の視野角差を利用して運転者D方向からのみ視認することができる運転者向け画像G2と、同乗者P方向からのみ視認することができる同乗者向け画像G1とを1つの液晶ディスプレイ5上で同時に表示できる表示装置である。
【0063】
図8は、図4と同様、液晶ディスプレイ5の側部に備えられた目的地設定ボタンB1が運転者以外の者によって押下された場合に、同乗者P方向および運転者D方向のそれぞれに表示される応答画面D1−1(図8(a)参照。目的地設定画面D1の一態様である。)およびD1−2(図8(b)参照。目的地設定画面D1の他の態様である。)、並びに、応答画面D1において50音ボタンB3が運転者以外の者によって押下された場合に表示される応答画面D6−1(図8(c)参照。50音入力画面D6の一態様である。)およびD6−2(図8(d)参照。50音入力画面D6の他の態様である。)を示す図である。
【0064】
図8(b)の目的地設定画面D1−2は、履歴ボタンB8を除くソフトウェアボタンがトーンダウンされて表示され、運転者Dによる操作入力が可能なソフトウェアボタンは、履歴ボタンB8のみであることを示す。一方、図8(a)の目的地設定画面D1−1は、トーンダウンされたソフトウェアボタンがなく、全てのソフトウェアボタンが同乗者Pにより操作入力可能であることを示す。
【0065】
また、図8(d)の50音入力画面D6−2は、「戻る」ボタンを除く全てのボタンがトーンダウンされて表示され、運転者Dによる操作入力が可能なソフトウェアボタンは、「戻る」ボタンのみであることを示す。50音入力画面D6−2において「戻る」ボタンが運転者により押下されると、運転者向け画像G2には、目的地設定画面D1−2が表示され、同乗者向け画像G1には、目的地設定画面D1−1が表示される。一方、図8(c)の50音入力画面D6−1は、トーンダウンされたソフトウェアボタンがなく、全てのソフトウェアボタンが同乗者Pにより操作入力可能であることを示す。
【0066】
なお、目的地設定ボタンB1を押下した者が運転者である場合には、図4(b)に示す目的地設定画面D2が同乗者向け画像G1および運転者向け画像G2の双方に表示される。また、目的地設定画面D1−2において履歴ボタンB8が運転者により押下された場合には、図4(b)に示す目的地設定画面D2のような画面(例えば、発信履歴がリスト表示されたもの)が同乗者向け画像G1および運転者向け画像G2の双方に表示される。
【0067】
これにより、運転者は、同乗者が表示させた応答画面を把握しながら、自身が操作入力できるメニュー項目を簡単に識別できるので、どのような応答画面からも迅速に運転者用画面に移行して、所望とする操作入力を実行することができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0069】
例えば、上述の実施例では、操作入力の主体を判定して表示させる応答画面の構成を変更するが、例えば、走行速度を考慮することとし、運転者による操作入力であると判定された場合であっても、走行速度がゼロである場合には、運転者用に簡略化された応答画面を表示させることなく、詳細な操作入力が可能な応答画面を表示させるようにしてもよい。
【0070】
また、走行速度に応じて応答画面の簡略度(例えば、所望とする操作を実行するために必要なボタン押下回数等であり、速度が高い程ボタン押下回数は少なく設定される。)を変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る車両用表示システムの構成例を示す図である。
【図2】画面構成データベースのデータ構造の構成例を示す図である。
【図3】車両用表示システムが操作者に応じて応答画面の画面構成を変更する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】目的地設定ボタンが押下された場合に、車両用表示システムが操作者に応じて応答画面を変更する例を示す図である。
【図5】情報ボタンが押下された場合に、車両用表示システムが操作者に応じて応答画面を変更する例を示す図である。
【図6】電話ボタンが押下された場合に、車両用表示システムが操作者に応じて応答画面を変更する例を示す図である。
【図7】デュアルビューディスプレイの構成例を示す図である。
【図8】同乗者により目的地設定ボタンが押下された場合に、車両用表示システムがデュアルビューディスプレイに表示させる応答画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御部
2 画面構成データベース
3 タッチパネル
4 接近センサ
5 液晶ディスプレイ
10 操作者判定手段
11 画面構成変更手段
20 ボタンIDフィールド
21 同乗者用画面IDフィールド
22 運転者用画面IDフィールド
23 画面IDフィールド
24 同乗者用ボタンIDフィールド
25 運転者用ボタンIDフィールド
30 テンキー
31 番号確認フォーム
32 確定ボタン
33 クリアボタン
100 車両用表示システム
B1〜B18 画面遷移用ボタン
D1〜D6 応答画面
G1 同乗者向け画面
G2 運転者向け画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を遷移させるための操作入力を検出して該操作入力に対応する応答画面を表示させる車両用表示システムであって、
前記操作入力が運転者によるものであるか否かを判定する操作者判定手段と、
前記操作者判定手段による判定結果に基づいて前記応答画面の画面構成を変更する画面構成変更手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示システム。
【請求項2】
前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、表示させるメニュー項目の内容を変更した応答画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項3】
前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、表示させるメニュー項目の数をより少なくした応答画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項4】
前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力を禁止するメニュー項目をトーンダウンさせた応答画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項5】
前記画面構成変更手段は、前記操作者判定手段により運転者による操作入力であると判定された場合に、運転者による操作入力でないと判定された場合に比べ、文字等を入力するための入力方式をより簡略化した入力方式に切り替えた応答画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−309844(P2007−309844A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140664(P2006−140664)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】