説明

車両用表示装置

【課題】外部操作により入力された指令に従い各種情報を表示手段に表示する車両用表示装置において、運転者に特定の操作をさせることなく、表示装置の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定できるようにし、表示手段への画像表示を適切に制御することを目的とする。
【解決手段】各種情報を表示するための表示部10が、運転者及び同乗者が視認可能な位置に設置されており、乗員が外部操作によって各種指令を入力するための操作部20が、表示部10の表示画面またはその周辺に設けられている。そして、撮像部30が、操作部20を操作する乗員の画像を撮像し、操作部20から指令が入力されると、撮像部30により撮像された画像に基づき、操作部20の操作者が運転者であるか、同乗者であるかを判定し、判定結果に応じて、表示部10への表示制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席の前方に配置され、乗員に視認させるための各種情報を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置等において、各種情報(例えば、地図情報や、経路情報や、施設情報等)を運転者に視認させるための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)は、車両のセンターコンソール部に配置されている。また、表示部に表示させる内容の変更、ナビゲーションの設定等を行うための操作部は、表示部の周辺に設けられた操作ボタン、または、表示部と一体に構成されたタッチパネル等からなり、運転席または助手席に着座した人(以下、同乗者ともいう)が、容易に操作することができる。
【0003】
そして、このような表示部及び操作部等からなる表示装置は、安全性を確保するために、車両の走行中においては、運転者が操作できないようにすることが望ましい。そこで、例えば、車両の走行中は操作部からの入力を受け付けず、運転者がハンドルに設けられた専用のスイッチを操作している間のみ、操作部からの入力を受け付けて、要求された画像を表示部に表示するように構成された表示装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平11−198745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提案の表示装置においては、表示装置の操作者が、運転者であるか同乗者であるかを、ハンドルに設けられたスイッチが操作されているか否かにより判定し、この判定に応じて操作部からの入力を受け付けて画像を表示するようにしているので、同乗者に表示装置の操作をさせる場合には、運転者は、表示装置の操作者が同乗者であることを示すためにスイッチを操作しなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、外部操作により入力された指令に従い各種情報を表示手段に表示する車両用表示装置において、運転者に特定の操作をさせることなく、表示装置の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定できるようにし、表示手段への画像表示を適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明においては、各種情報を表示するための表示手段が、運転者を含む車両乗員が視認可能な位置に設置されており、車両乗員が外部操作によって各種指令を入力するための入力手段が、表示手段の表示画面またはその周辺に設けられている。また、制御手段が、入力手段から入力された指令に従い、表示手段への画像表示を制御する。
【0007】
そして、撮像手段が、表示手段の表示画面よりも手前で入力手段を操作する乗員を撮像し、入力手段から指令が入力されると、操作者判定手段が、撮像手段により撮像された画像に基づき、入力手段の操作者が運転者であるか、他の乗員であるかを判定し、表示制御変更手段が、操作者判定手段による判定結果に応じて、制御手段による表示制御を変更する。
【0008】
このように、本発明の車両用表示装置においては、乗員が入力手段を操作すると、操作者判定手段により、撮像手段により撮像された入力手段を操作する乗員の手や腕の画像に基づいて、入力手段の操作者が運転者であるか、他の乗員であるかが判定されるので、運転者に特定の操作をさせることなく、入力手段の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定することができ、表示手段への画像表示を適切に制御することができる。
【0009】
ところで、操作者判定手段は、撮像手段により撮像された全画像領域を監視し、入力手段の操作者の判定をするようにしてもよいが、処理に時間がかかる。そこで、請求項2に記載のように、操作者判定手段は、撮像手段により撮像される全画像領域のうち、運転者又は他の乗員が入力手段を操作した際に画像が変化するものとして予め設定された判定用画像領域において画像が変化したか否かを判定することにより、入力手段の操作者を判定するように構成するとよい。
【0010】
このように、請求項2に記載の車両用表示装置においては、例えば、判定用画像領域として、同乗者が入力手段を操作した場合に撮像画像が変化する領域(つまり、表示画面の手前で助手席側の領域)を設定した場合には、操作判定手段により、この領域内において画像が変化したか否かから、入力手段への操作者が同乗者によるものであるかが判定されるので、判定用画像領域内の画像を処理するだけで入力手段への操作者を判定でき、全画像を処理する場合に比べ、処理時間を短縮することができる。
【0011】
そして、請求項2に記載の車両用表示装置は、請求項3に記載のように、判定用画像領域には、運転者による操作及び他の乗員による操作をそれぞれ判定するために、予め2つの判定用画像領域を設け、操作者判定手段は、各判定用画像領域毎に、画像が変化したか否かを判定することにより、入力手段の操作者が運転者であるか他の乗員であるかを特定するように構成してもよい。
【0012】
このように構成された請求項3に記載の車両用表示装置によれば、例えば、2つの判定用画像領域として、助手席側の領域と、運転席側の領域とを設定すると、助手席側及び運転席側の各領域において、夫々画像が変化したか否かが判定され、両方の領域における判定結果に基づいて、入力手段の操作者が運転者であるか同乗者であるかが判定されるので、より確実に、入力手段の操作者を判定することができる。
【0013】
ところで、判定用画像領域内で、画像が変化したか否かを判定することにより、入力手段の操作者を判定してもよいが、このようにすると、例えば、入力手段を操作するためではなく、偶然、乗員の手が判定用画像領域に入ってしまったような場合にも、入力手段の操作者がその乗員であると判定されてしまうおそれがある。
【0014】
そこで、請求項3に記載の車両用表示装置は、請求項4に記載のように、判定用画像領域内での画像の変化量を演算する画像変化量演算手段を設け、操作者判定手段は、画像変化量演算手段にて演算された画像の変化量が予め設定された閾値を越えると、判定用画像領域内で車両乗員による入力手段の操作があったと判定するように構成するとよい。
【0015】
つまり、乗員が入力手段への操作を行う場合には判定用画像領域内において必ず手や腕が移動し、画像から一定以上の変化量が算出されるはずであることから、請求項4に記載のように、画像の変化量を演算し、変化量が予め設定された閾値を超えた場合に判定用画像領域内で車両乗員による入力手段の操作があったと判定すれば、より正確に入力手段の操作者が運転者であるか他の乗員であるかを判定することが可能となる。
【0016】
そして、請求項4に記載の車両用表示装置は、請求項5に記載のように、画像変化量演算手段が、判定用画像領域において画像が変化した領域の面積を変化量として演算するように構成するとよい。
【0017】
例えば、判定用画像領域において画像が変化した領域が移動した距離や方向から、画像の変化量を求めることも可能であるが、複数の画像を処理する必要があり、処理が複雑となる。一方、乗員が入力手段への操作を行う場合には判定用画像領域内において必ず手や腕が移動し、ある程度の大きさの領域の画像が変化するはずであるから、請求項5に記載のように、変化量として判定用画像領域内において画像が変化した領域の面積を求めれば、単純な計算により、入力手段の操作者が運転者であるか他の乗員であるかを判定することが可能となる。
【0018】
ところで、判定用画像領域内において画像が変化した領域の面積から変化量を演算した場合には、乗員の指が入力手段まで到達しておらず、実際には入力手段を操作していなくても、判定用画像領域内で腕や手を大きく移動させた場合には、変化量が閾値を超えて、入力手段を操作したと判定されてしまう可能性がある。
【0019】
そこで、請求項5に記載の車両用表示装置は、請求項6に記載のように、撮像手段を、表示手段の表示画面よりも手前で入力手段を操作する乗員の画像を上方から撮像できるように配置し、判定用画像領域を、複数の領域に分割すると共に、この分割された領域毎に、入力手段側の領域から乗員側の領域にかけて段階的に減少するよう重み係数を設定しておくとよい。そして、この場合には、画像変化量演算手段が、各分割された領域において、画像が変化した領域の面積と、各分割された領域毎に設定された重み係数と、から変化量を演算するように構成すればよい。
【0020】
そして、このように構成された請求項6に記載の車両用表示装置によれば、入力手段、つまり、表示手段に近い領域の重み係数が大きく、遠い領域の重み係数が小さく設定されているので、判定用画像領域内でも、表示手段から遠いところで移動している場合には、小さい重み係数に基づいて、画像の変化量(つまり、画像が変化した領域の面積)は小さい値が算出され、一方、入力手段の近傍で移動すると、大きい重み係数に基づいて変化量が増大するので、適当な閾値を設定することにより、より確実に入力手段が操作されたか否かを判定することができる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の車両用表示装置において、操作者判定手段により入力手段の操作者が運転者であると判定されると、表示制御変更手段が、制御手段による画像表示の制御を予め設定された運転者用の制御に変更し、一方、操作者判定手段により入力手段の操作者が他の乗員であると判定されると、表示制御変更手段が、前記制御手段による画像表示の制御を予め設定された他の乗員用の制御に変更する。
【0022】
よって、請求項7に記載の車両用表示装置によれば、操作者が運転者である場合と、他の乗員である場合とで、夫々に応じた表示制御を行うことができる。つまり、例えば、ある表示画面において、運転者により入力手段が操作された際は、入力した指令に従い画像を表示させ、他の乗員により入力手段が操作された際は、指令を受け付けないようにすることができ、運転者及び他の乗員の夫々に対して入力の制限を行ったり、特定の操作を許可したりすることができる。
【0023】
また、例えば、表示手段を、運転席側にはナビ画面、助手席側にはTVなどを同時に表示することが可能な公知のデュアルディスプレイにて構成した場合には、入力手段への操作者が運転者であるか同乗者であるかにより、各席側に表示している画面に基づいた表示制御を行うことも可能である。
【0024】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7に記載の発明において、車両が走行中であるか否かを判定する走行判定手段を設け、走行判定手段により車両が走行中であると判定された場合に、操作者判定手段により入力手段の操作者が運転者であると判定されると、表示制御変更手段は、入力手段から入力された指令を無効とし、指令に基づいた表示をしないように構成してもよい。
【0025】
このように構成された請求項8に記載の車両用表示装置においては、車両が走行中である場合に運転者が入力手段を操作すると、操作者が運転者であると判定されて、入力手段から入力した指令が無効にされる。よって、表示手段にはこの操作に基づいた画像が表示されないので、車両の走行中の運転者の入力手段の操作を禁止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された第1実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図であり、図2は、車両内の表示部10、操作部20、及び、撮像部30の配置例を示す説明図である。
【0027】
図1(a)に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1は、車両のセンターコンソール部に設置された表示部10と、ユーザインタフェースとして機能する操作部20と、車両内を撮像するための撮像部30と、撮像部30にて撮像された画像に基づいて操作部20の操作者を判定する画像判定部40と、車両の速度、加速度等に応じた検出信号を出力する車速センサ、加速度センサ等の各種センサ50と、外部装置と情報のやりとりを行うための外部情報入出力部60と、各種ガイド用の音声、警告音等を発生するための音声出力部70と、地図データ等の情報を読み込む地図データ入力部80と、これら各部に接続されて各種制御処理を実行する制御回路90と、を備えている。
【0028】
表示部10は、カラー表示可能な液晶ディスプレイにて構成されている。そして、この表示部10の表示画面には、制御回路90の制御の下に、車両の現在位置周囲の地図や、使用者により指定された目的地までの走行経路等が表示される。
【0029】
操作部20は、表示部10と一体に構成されたタッチパネル及び表示部10の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。
撮像部30は、2次元のカラー撮像素子を備えるカメラにより構成されている。そして、撮像部30は、操作部20の操作者を上方から撮像できるように、つまり、表示部10の表示画面よりも手前の領域(図2(c)に示す撮像領域)を撮像できるように設置されている。なお、撮像部30は、乗員が車両を離れた場合の車両の防犯用として、車室内に設けられたカメラを共用している。
【0030】
外部情報入出力部60は、外部装置として道路に敷設されたビーコンとの間で情報のやりとりを行うことにより、情報センタから道路交通情報を取得したり、或いは、車両に搭載された各種制御装置との間で通信を行うことにより車両状態を表す各種情報を取得するものであり、各種通信装置にて構成されている。
【0031】
音声出力部70は、スピーカ等から構成されており、制御回路90による制御の下に、目的地までの経路案内用のガイド音声や、外部情報入出力部を介して取得した道路交通情報を案内するためのガイド音声を出力する。
【0032】
地図データ入力部80は、CD−ROM、DVDーROM、ハードディスク等の記憶媒体から、位置検出精度向上のためのマップマッチング用データや、経路案内用の音声データ等を含む地図データを読み込み、制御回路90に入力する。
【0033】
次に、制御回路90は、CPU92、ROM94、RAM96、及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されている。
そして、CPU92は、ROM94等に記憶されたプログラムに従って、各種センサ50から入力される各種検出信号と、外部情報入出力部60を介して取得したGPS受信機による測位結果とに基づき、車両の走行状態(詳しくは、車両の現在位置、車速、進行方向、傾斜角度等)を検出する走行状態検出処理、地図データ入力部を介して車両の現在位置を含む地図データを記憶媒体から読み取り、その読み取った地図データに基づき、車両の現在位置や走行軌跡を含む道路地図を表示部10に表示する地図表示処理、操作部20から入力される指令に従い目的地までの走行経路を設定する走行経路設定処理、走行経路設定処理にて設定された走行経路に従って走行経路案内画像を表示部10に表示したり走行経路案内用のガイド音声を音声出力部70から出力させる経路案内処理を実行する。
【0034】
またCPU92は、上記した走行経路の設定だけでなく、操作部20の操作により入力された指令に従い、ROM94等に記憶された画像(例えば、各種設定用の画面の画像、その他、要求された画面の画像)を読み取り、表示部10に各種画像を表示する外部入力処理を行い、さらに、車両が走行している間の運転者による操作部20の操作を禁止するための処理として、運転者により操作部20に指令が入力された際には、入力された指令を無効にして、表示部10への画像表示を行う表示制御処理、等の各種処理を実行する。
【0035】
ここで、表示制御処理は、本発明の車両用表示装置としての機能を実現するためのものであり、表示制御処理は、画像判定部40における判定結果(操作部20の操作者が同乗者であるか否か)に基づいて、表示部10への画像表示を制御するものである。
【0036】
以下、撮像部30の撮像画像に基づいて、操作部20の操作者が同乗者であるか否かを判定する画像判定部40について説明する。
画像判定部40は、図1(b)に示すように、撮像部30の撮像画像を取得して、判定用の画像を生成する画像処理部42と、判定用画像に基づいて運転者により操作部20が操作されたか否かを判定するD領域動体検出部44aと、判定用画像に基づいて、同乗者により操作部20が操作されたか否かを判定するP領域動体検出部44bと、D領域動体検出部44a及びP領域動体検出部44bから出力された信号に基づいて、操作部20の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定する判定部46と、から構成されており、運転者または同乗者により操作部20が操作されたか否かを、撮像画像の変化量(つまり、各乗員の腕や手の動き量)が、予め設定された閾値より大きいか否かに基づいて判定する。
【0037】
画像処理部42は、撮像部30の撮像画像から、上記動き量を算出するために使用される判定用画像を生成する。画像処理部42は、まず、撮像部30から画像を取得し、フィールドメモリ等の記憶領域に記憶しておいた、1つ前に取得した画像との差分をとることにより、差分画像を生成する。つまり、図3(a)に示す第n画像と、第n−1画像との差分の絶対値をとることにより、図3(b)に示す第n差分画像が生成され、図3(a)に示す第n−1画像と、第n−2画像との差分の絶対値をとることにより第n−1差分画像が生成される。ここで、差分画像は、各画像が撮像された間に画像が変化した部分、つまり、腕が移動した部分の領域を示している。
【0038】
なお、図3(a)は、撮像部30の撮像画像の一例を示す説明図、図3(b)は、画像処理部42にて生成される差分画像を示す説明図である。ただし、各図共に、同乗者とディスプレイの部分のみの図であり、運転席側の画像や車内の他の装備品についえは省略している。また、実際に撮像部30にて画像が撮像される速度は非常に速く、第n画像と第n−1画像の間の変化は微少であるが、本図では、説明のために、第n画像と第n−1画像を大きく変化させている。
【0039】
そして、画像処理部42は、次に、D領域動体検出部44a及びP領域動体検出部44bが、操作部20の操作者を判定するために使用する判定用画像を、差分画像から生成する。
【0040】
判定用画像は、生成した差分画像に、1つ前の判定用画像に減衰係数を乗算した画像を加算することにより生成される。つまり、第n判定用画像を生成する際には、まず、図4に示すように、第n差分画像を構成する各画素に予め設定された画素値(本実施形態では、画素値=4)を与え、一方、第n−1判定用画像には、第n−1判定用画像を構成する各画素に減衰係数(本実施形態では、減衰係数=0.5)を乗算する(つまり、画素値が4であった画素は画素値が2となり、画素値が2であった画素は画素値が1となる)。そして、第n差分画像と減衰係数を乗算した第n−1判定用画像とを加えることにより第n判定用画像を生成する。このように、画像処理部42にて生成された判定用画像は、異なる画素値の画素群から構成されている。
【0041】
なお、上記のように、最新の差分画像だけでなく以前の差分画像の情報を加えた判定用画像を生成したのは、使用者が操作部20を操作しようとした場合には、使用者の腕が一定の間、操作部20付近で移動するはずであることに基づいており、以前の差分画像の情報を動き量に反映させるためであるが、そのまま以前の差分画像の情報を加えてしまうと、最も重要な最新の情報の重要度が薄れてしまうために、以前の差分画像には減衰係数を乗算して最新の画像に加算するようにしている。そして、このように以前の画像の情報を加えることにより、操作部20を操作するためではなく、単に腕が操作部20の手前を横切ったような場合を、操作部20への操作ではないと判定できる。なお、図4は、判定用画像の生成する際の手順を示す説明図であり、画素値が0.5より小さい画像は省略している。
【0042】
D領域動体検出部44a及びP領域動体検出部44bは、判定用画像から予め各動体検出部44毎に設定された領域内における動き量を算出し、この動き量が予め設定された閾値より大きいか否かにより、その乗員が操作部20の操作者であるか否かを判定する。本実施形態においては、図5(a)に示すように、撮像部30により撮像される撮像領域のうち、運転者が操作部20を操作した際に画像が変化する領域(つまり、運転者の腕が通過する領域)が、D領域動体検出部44aにより動き量が算出される運転席側領域(以下、D領域ともいう)として設定されており、または、同乗者が操作部20を操作した際に画像が変化する領域(つまり、同乗者の腕が通過する領域)が、P領域動体検出部44bにより動き量が算出される助手席側領域(以下、P領域ともいう)として設定されている。
【0043】
ここで、D領域動体検出部44aとP領域動体検出部44bとで実行される処理は、対象とする領域が異なるのみで他の部分に関しては同じであるため、以下、P領域動体検出部44bにて実行される処理を動体検出部44による処理として説明し、D領域動体検出部44aの処理については省略する。なお、図5(a)は、撮像領域内のP領域及びD領域を示す説明図、図5(b)は、P領域の分割方法と、各領域に設定された領域係数とを示す説明図である。
【0044】
動体検出部44にて実行される処理を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、画像判定部40を構成する各部は、実際には全て回路にてハード的に構成されているが、ここでは、各部の動作の理解を容易にするためにフローチャートを用いて説明する。図6は、動体検出部44の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図6に示すように、動体検出部44が動作を開始すると、まずS210にて、画像処理部42にて生成された判定用画像を構成する各画素のうち、P領域内の画素の画素値に基づいて動き量を算出する。P領域は、図5(b)に示すように、台形に設定されており、表示部10かつ操作部20であるディスプレイ側から助手席側に向けて、複数の領域(本実施形態においては6領域)に分割されており、各領域にはその領域の重み係数として領域係数が設定されている。そして、領域係数は、ディスプレイ側に最も大きい値(本実施形態では領域6として領域係数10)を与え、助手席側に向けて段階的に小さい値が設定されている。これは、動き量を算出する際に、ディスプレイ近傍の領域の画像の変化(つまり、乗員の手の動き)の重みを高くし、一方、ディスプレイから離れた領域の画像の変化の重みを低くすることで、同乗者が操作部20を操作した場合(つまり、同乗者の手が領域6で移動した場合)に動き量が増大するようにし、より確実に操作部20が同乗者により操作されたことを判定するためのものである。
【0046】
そして、動き量は、P領域内の分割された各領域にある画素数に画素値を乗算した値に対して、各領域毎に設定された領域係数を乗算することにより算出される。以下、図7に示すP領域の詳細図を用いて、算出方法を説明する。図7は、第n判定用画像のP領域のみを示す詳細図である。なお、本実施形態において、領域係数、画素値、及び、後述する閾値等の各種設定値は説明のために単純な数としているが、実際には、操作部20への操作を判定するために最適な値が設定されるのは言うまでもない。
【0047】
まず、図7に示すように、領域係数が10の領域6には画素値4の画素が70個あるために、領域6の動き量は4×70×10により算出され、2800となる。また、領域係数が7の領域5には画素値4の画素40個と、画素値2の画素5個とが含まれるため、領域5の動き量は、(4×40+2×5)×7により算出され、1190となる。また例えば領域係数が1の領域1には画素値4の画素80個と、画素値2の画素15個と、画素値1の画素30個と、画素値0.5の画素10個とが含まれるため、(4×80+2×15+1×30+0.5×10)×1により算出され、領域1の動き量は、385となる。
【0048】
次に、S220では、領域1から領域6の各動き量を加算して全動き量を算出し、算出した全動き量が、操作部20の操作であると判定するために予め設定された閾値(例えば4000)以上であるか否かを判断する。そして、S220にて、全動き量が閾値以上であると判断した場合には(S220:YES)、続くS230では、領域6の動き量が予め設定された閾値(例えば、100)より大きいか否かにより、領域6で動きがあったか否かを判断する。そして、領域6で動きがあったと判断した場合には(S230:YES)、S240にて、領域5で動きがあったか否かを判断し、領域5で動きがあったと判断した場合には(S240:YES)、さらに、S250にて、領域4で動きがあったか否かを判断し、領域4で動きがあったと判断した場合には(S250:YES)、続く260では、操作部20が同乗者によって操作されたと判定し、P側判定信号として、操作部20が同乗者によって操作されたことを示すオン信号を出力し、当該処理を終了する。
【0049】
一方、S220にて、全動き量が閾値よりも小さいと判断した場合(S220:NO)、S230にて、領域6で動きがないと判断した場合(S230:NO)、領域5で動きがないと判断した場合(S240:NO)、領域4で動きがないと判断した場合(S250:NO)には、S270に移行して、操作部20が同乗者によって操作されていないと判定し、P側判定信号として、操作部20が同乗者によって操作されてないことを示すオフ信号を出力し、当該処理を終了する。
【0050】
つまり、S220では、全動き量が閾値より大きいか否かを判断することで、領域内の画像の変化が人の腕によるものであると判断し、S230では、操作部20が操作されたことを判断し、S240及びS250では、操作部20が同乗者により操作されたことを判断している。ここで、S240及びS250の処理は、例えば、運転者が領域6に手を伸ばして操作したような場合には、領域5または領域4に運転者の腕が存在することは考え難いことに基づいており、運転者が操作した場合に、同乗者の操作であると誤判定することを防止している。
【0051】
判定部46は、D領域動体検出部44aから出力される操作部20が運転者によって操作されたか否かを示すD側判定信号(オン/オフ信号)と、P領域動体検出部44bから出力される操作部20が同乗者によって操作されたか否かを示すP側判定信号(オン/オフ信号)と、に基づいて、操作部20の操作者が運転者であるか同乗者であるかの判定を実行する。以下、判定部46において繰り返し実行される動作を、図8に示す判定部の動作を示すフローチャートを用いて説明する。
【0052】
判定部46は、まず、S310にて、D領域動体検出部44a及びP領域動体検出部44bから出力される各判定信号を読み取り、続くS320では、D側判定信号がオフであるか否かを判断し、D側判定信号がオフである場合には(S320:YES)、S330にて、P側判定信号がオンであるか否かを判断し、P側判定信号がオンである場合には(S330:YES)、S340に移行して、操作者が同乗者であると判定し、操作者判定信号として、操作者が同乗者であると判定したことを示すオン信号を出力し、当該処理を終了する。
【0053】
一方、S320にて、D側判定信号がオンであると判断した場合(S320:NO)、また、S330にてP側判定信号がオフであると判断した場合には(S330:NO)、S350に移行して、操作者が同乗者ではないと判定し、操作者判定信号として、操作者が同乗者ではないと判定したことを示すオフ信号を出力し、当該処理を終了する。
【0054】
次に、制御回路90のCPU92にて実行される表示制御処理の手順を、図9を用いて説明する。図9は、表示制御処理を示すフローチャートである。
表示制御処理は、操作部20から指令が入力されることにより開始され、まず、S410にて、走行状態検出処理にて検出された車速に基づいて、車両が走行しているか否かを判断する。そして、車両が走行中である場合には(S410:YES)、S420に移行して、画像判定部40から出力された操作者判定信号が、操作者が同乗者であることを示すオン信号であるか否かを判断し、操作者が同乗者である場合には(S420:YES)、S430に移行する。また、S410にて、車両が走行中でない、つまり、車両が停止していると判断した場合には(S410:NO)、S430に移行する。
【0055】
そして、S430では、操作部20から入力された指令を受け付け、ROM94に記憶されたプログラムに基づいて外部入力処理を実行し、表示部10への画像表示を制御して、当該処理を終了する。
【0056】
一方、S420にて、操作者判定信号がオフであり、操作者が同乗者でないと判定した場合、つまり、操作者が運転者である場合には(S420:NO)、S440に移行して、表示部10に「走行中は操作できません」といったような警告メッセージを一定時間表示させると共に、音声出力部70から警告音を発生させ、当該処理を終了する。
【0057】
このように、本実施形態のナビゲーション装置1においては、各種情報を表示するための表示部10が、運転者及び同乗者が視認可能な位置に設置されており、車両乗員が外部操作によって各種指令を入力するための操作部20が、表示部10の表示画面またはその周辺に設けられている。また、この操作部20から入力された指令に従い、制御回路90は外部入力処理を実行し、表示部10への画像表示を制御する。そして、撮像部30が、操作部20を操作する乗員の画像を撮像し、操作部20から指令が入力されると、制御回路90は、撮像部30により撮像された画像に基づき、操作部20の操作者が運転者であるか、同乗者であるかを判定し、判定結果に応じて、表示制御を変更する。
【0058】
よって、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、運転者または同乗者が操作部20を操作すると、撮像部30により撮像された操作部20を操作する運転者または同乗者の手や腕の画像に基づいて、操作部20の操作者が運転者であるか、同乗者であるかが判定される。このため、運転者に特定の操作をさせることなく、操作部20の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定することができ、表示部10への画像表示を適切に制御することができる。
【0059】
また、画像判定部40は、撮像部30により撮像される撮像領域のうち、運転者又は同乗者が操作部20を操作した際に画像が変化するものとして予め設定されたD領域及びP領域において、画像が変化したか否かを判断することにより、操作部20の操作者を判定するように構成されているので、全撮像領域に渡って画像が変化したか否かを判断する場合に比べ、処理時間を短縮することができる。
【0060】
さらに、D領域及びP領域の2つの領域を設け、画像判定部40のD領域動体検出部44aにおいて、運転者により操作部20が操作されたか否かを判定し、一方、P領域動体検出部44bにおいて、同乗者により操作部20が操作されたか否かを判定し、各動体検出部44の判定結果に基づいて、操作部20の操作者が運転者であるか同乗者であるかを最終的に特定するようにしているので、より確実に、操作部20の操作者の判定をすることができる。
【0061】
また、各動体検出部44においては、各領域内での運転手または同乗者の腕や手の動き量を、最新の差分画像だけでなく、以前の差分画像の情報を有する判定用画像における上記領域内の画素数に基づいて算出しているので、操作部20が操作されたのか、単に、領域内を各乗員の腕が横切ったのかといったことを確実に判別することが可能である。
【0062】
そして、撮像部30は、表示部10の表示画面よりも手前で操作部20を操作する乗員の画像を上方から撮像できるように設置されており、一方、D領域及びP領域は、複数の領域に分割されていると共に、操作部20側から運転席側または助手席側の領域にかけて段階的に減少する領域係数が分割された各領域毎に設定されている。また、各動体検出部44にて、判定用画像における各領域内の画素数と、各分割された領域毎に設定された領域係数と、から動き量を演算するように構成されている。
【0063】
つまり、操作部20に近い領域の領域係数が大きく、運転席側または助手席側の領域係数が小さく設定されているので、各領域内でも、操作部20から遠いところで手や腕が移動している場合には、小さい領域係数に基づいて、動き量としては小さい値が算出され、一方、操作部20の近傍で手や腕が移動すると、大きい重み係数に基づいて動き量が増大するので、適当な閾値を設定することにより、より確実に操作部20が操作されたか否かを判定することができる。
【0064】
また、車両が走行中である場合に運転者が操作部20を操作した場合には、操作者が運転者であると判定されて、入力手段から入力した指令が無効にされるので、表示部10にはこの操作に基づいた画像が表示されない。よって、車両の走行中の運転者の操作部20の操作を禁止することができる。
【0065】
なお、本実施形態において、同乗者は本発明の他の乗員に相当し、表示部10は本発明の表示手段に相当し、操作部20は本発明の入力手段に相当し、撮像部30は本発明の撮像手段に相当し、運転席側領域及び助手席側領域は本発明の判定用画像領域に相当し、動き量は本発明の変化量に相当し、領域係数は本発明の重み係数に相当し、外部入力処理は本発明の制御手段に相当し、画像判定部40の処理(つまり、S220からS350の処理)及びS420の処理が操作者判定手段に相当し、S430、S440の処理が本発明の表示制御変更手段に相当し、S210の処理が本発明の画像変化量演算手段に相当し、S410の処理が本発明の走行判定手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、本発明が適用された第2実施形態のナビゲーション装置について説明する。
【0066】
第2実施形態のナビゲーション装置は、第1実施形態のナビゲーション装置1と略同様に構成されており、第1実施形態のナビゲーション装置1と異なる点は、表示部15が、見る方向(つまり、運転席側と助手席側)によって異なる内容を表示できる液晶ディスプレイにより構成されている点、また、制御回路90のROMには、運転席側、助手席側に夫々表示している内容に対して入力された指令に従い、表示部15の運転席側、または、助手席側に要求された画像を表示するための運転席側外部入力処理、助手席側外部入力処理用のプログラムが記憶されている点である。
【0067】
さらに、第2実施形態のナビゲーション装置においては、運転席側に表示すべき画像と、助手席側に表示すべき画像とを合成して表示部15に表示するための画像合成処理用のプログラムも、ROM94に記憶されており、このプログラムが実行されることにより、表示部15には、運転席側の画像と、助手席側の画像が合成された合成画像データが表示される。
【0068】
表示部15は、合成画像データを表示するための第1液晶ディスプレイと、この第1液晶ディスプレイの乗員側に配置され、スリット板として作用する第2液晶ディスプレイと、第1液晶ディスプレイの後方(つまり、乗員から最も遠い側)に配置され、第1及び第2ディスプレイを後方から照らすバックライトと、から構成されている。そして、第2液晶ディスプレイは、第1液晶ディスプレイを前方から透かしてみることができない不透過部と、前方から透かしてみることができる透過部とが、一行毎に交互に配列されるように透明電極への電圧印可が制御されている。
【0069】
また、本実施形態の外部情報入出力部60は、車両に搭載された制御装置との間で通信を行うことによりテレビの映像データやDVDから読み込んだ映画等の映像データを取得できるように構成されており、制御回路90のCPU92は、画像合成処理を実行して、ナビゲーション用の画像データと、外部情報入出力部60から取得した映像データとを一行毎に交互に配列させることにより表示部15に表示するための合成画像データを生成する。
【0070】
このため、運転席側から表示部15の表示画面を見た場合には、第2液晶ディスプレイの不透過部により第1液晶ディスプレイに表示された映画等の映像は遮蔽されて、透過部を介してナビゲーション画像のみを見ることができ、助手席側から表示画面を見た場合には、第2液晶ディスプレイの不透過部により第1液晶ディスプレイに表示されたナビゲーション画像が遮蔽されて、透過部を介して映画等の映像のみを見ることができる。
【0071】
また、運転席側と助手席側との両方に同じ画像を表示させることもでき、同じ画像を表示させるか、異なる画像をデュアル表示させるか、また、表示させる画像の種類は、外部から入力された指令に従い、切り換えることが可能に構成されている。
【0072】
そして、第2実施形態のナビゲーション装置では、第1実施形態の表示制御処理の代わりに、図10に示す表示制御処理を実行することで、操作部20の操作者が運転者である場合には、運転席側外部入力処理を実行することにより、運転者が入力した指令に基づいた画像の表示を行い、操作者が同乗者である場合には、助手席側外部入力処理を実行することにより、同乗者が入力した指令に基づいた画像の表示を行うようにされている。なお、第2実施形態では、第1実施形態の画像判定部40から判定部46を削除し、この判定部46の処理は、CPU92にて実行される表示制御処理にて行う。
【0073】
以下、CPU92にて実行される第2実施形態の表示制御処理を、図10に示すフローチャートに沿って説明する。
表示制御処理は、操作部20から指令が入力されることにより開始され、S510にて、D領域動体検出部44aから出力されるD側判定信号がオンであるか否かを判断し、D側判定信号がオンである場合には(S510:YES)、S520にて、P領域動体検出部44bから出力されるP側判定信号がオンであるか否かを判断し、P側判定信号がオフである場合には(S520:NO)、操作部20の操作者が運転者であると判定して、S530に移行し、表示部15がデュアル表示中であるか否かを判断する。
【0074】
そして、S530にてデュアル表示中であると判断した場合には(S530:YES)、続くS540では、操作されたボタンが運転席側の画像に関して有効なボタンであるか否かを判断する。これは、操作部20を構成するタッチパネル及びスイッチの各操作ボタンのうち、一部のボタンは、運転席側の画像、助手席側の画像の両方に有効なボタン、つまり、例えば、ボタンが操作された場合に運転席側外部入力処理においては、目的地設定指令として受け付けられ、助手席側外部入力処理においては、コントラスト調整指令として受け付けられるようなボタンであり、他の一部のボタンは、運転席側の画像にのみに有効なボタンで、助手席側外部入力処理においては処理が実行されないボタンであり、また他のボタンは、助手席側の画像のみに有効なボタンで、運転席側外部入力処理においては処理が実行されないボタンであるために、運転席側の画像に関して無効なボタンである場合には、入力自体が無効であるとして、当該処理を終了するための処理である。
【0075】
次に、S540にて、操作されたボタンが運転席側の画像に関して有効なボタンであると判断した場合には(S540:YES)、続くS550にて、車両が走行中であるか否かを判断する。そして、S550にて、車両が走行中であると判断した場合には(S550:YES)、S560に移行し、表示部15の運転席側に「走行中は操作できません」といったような警告メッセージを一定時間表示させると共に、音声出力部70から警告音を発生させ、当該処理を終了する。一方、S550にて、車両が走行中でない、つまり、車両が停止していると判断した場合には(S550:NO)、S570に移行して、運転席側外部入力処理を実行することにより、運転席側の指令に基づいた画像の表示を行い、当該処理を終了する。
【0076】
また、S520にて、P側判定信号がオンである場合には(S520:YES)、P側判定信号及びD側判定信号が共にオンであるため、誤判断であるとして、S560に移行する。
【0077】
一方、S510にて、D側判定信号がオフであると判断した場合には(S510:NO)、S580に移行して、P側判定信号がオンであるか否かを判断し、P側判定信号がオンである場合には(S580:YES)、操作部20の操作者が同乗者であるとして、S590に移行し、S590では、表示部15がデュアル表示中であるか否かを判断する。
【0078】
そして、S590にてデュアル表示中であると判断した場合には(S590:YES)、続くS600では、操作されたボタンが助手席側の画像に関して有効なボタンであるか否かを判断し、操作されたボタンが運転席側の画像に関して有効なボタンである場合には(S600:YES)、S610に移行する。一方、S590でデュアル表示中でないと判断した場合には(S590:NO)、S610に移行する。
【0079】
そして、S610では、助手席側外部入力処理を実行することにより、助手席側の指令に基づいた画像の表示を行い、当該処理を終了する。一方、S600にて、操作されたボタンが有効でないと判断した場合には(S600:NO)、S620に移行し、表示部15に「操作無効なボタンです」といったような警告メッセージ表示させ、当該処理を終了する。また、S580にて、P側判定信号がオンでないと判断した場合には(S580:NO)、運転者も同乗者も操作部20を操作しておらず、操作部20からの入力は誤検出であるとして、当該処理を終了する。
【0080】
このように、本実施形態のナビゲーション装置においては、操作部20の操作者が運転者であると判定されると、ROM94に予め記憶された運転席側外部入力処理を実行して、表示部15の運転席側の画像表示を制御し、一方、操作部20の操作者が同乗者であると判定されると、ROM94に予め記憶された助手席側外部入力処理を実行して、表示部15の助手席側の画像表示を制御する。
【0081】
よって、第2実施形態のナビゲーション装置によれば、第1実施形態で得られる効果と共に、操作者が運転者である場合と、同乗者である場合とで、夫々に応じた表示制御を行うことができる。
【0082】
また、操作部20の操作者が運転者であるか同乗者であるかを判定できることから、1つのボタンで運転席側からの指令及び助手席側からの指令を受け付けることができる。つまり、例えば、運転席側にナビゲーション画像、助手席側に映画等の映像を表示しているときに操作ボタンが操作された場合に、操作者が運転者であると判定した場合には、運転席側外部入力処理を実行して、例えば入力された指令を目的地設定指令として受け付けて画像を表示し、操作者が同乗者であると判定した場合には、助手席側外部入力処理を実行して、例えば入力された指令をコントラスト調整指令として受け付けて画像を表示することが可能である。
【0083】
なお、本実施形態において、表示部15は本発明の表示手段に相当し、運転席側外部入力処理は、本発明の運転者用の制御方法に相当し、助手席側外部入力処理は、本発明の他の乗員用の制御方法に相当し、S510、S520、S580の処理は、本発明の表示制御変更手段に相当する。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
上記実施形態においては、天井に設けられたカメラを撮像部30として使用したが、表示部の表示画面よりも手前で操作部を操作する乗員の画像を撮像できるカメラであれば、カメラは車両の設置位置はどこでもよい。
【0085】
また、上記実施形態においては、車両に搭載されて運転者に対する走行案内を行うナビゲーション装置に車両用表示装置としての機能を組み込んだものについて説明したが、本発明の車両用表示装置は、ナビゲーション装置とは別に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】車両内の表示部、操作部、及び、撮像部の配置例を示す説明図である。
【図3】撮像部の撮像画像及び差分画像の一例を示す説明図である。
【図4】判定用画像の生成する手順を示す説明図である。
【図5】撮像領域内に設定されたP領域及びD領域を示す説明図である。
【図6】動体検出部の動作を示すフローチャートである。
【図7】第n判定用画像のP領域のみを示す詳細図である。
【図8】判定部の動作を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態の表示制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1…ナビゲーション装置、10…表示部、15…表示部、20…操作部、30…撮像部、40…画像判定部、42…画像処理部、44…動体検出部、44a…D領域動体検出部、44b…P領域動体検出部、46…判定部、50…各種センサ、60…外部情報入出力部、70…音声出力部、80…地図データ入力部、90…制御回路、92…CPU、94…ROM、96…RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者を含む車両乗員が視認可能な位置に設置され、各種情報を表示する表示手段と、
該表示手段の表示画面またはその周辺に設けられ、車両乗員が外部操作によって各種指令を入力するための入力手段と、
該入力手段から入力された指令に従い、前記表示手段への画像表示を制御する制御手段と、
を備えた車両用表示装置であって、
前記表示手段の表示画面よりも手前で前記入力手段を操作する乗員を撮像する撮像手段と、
前記入力手段から指令が入力されると、前記撮像手段により撮像された画像に基づき、前記入力手段の操作者が運転者であるか、他の乗員であるかを判定する操作者判定手段と、
前記操作者判定手段による判定結果に応じて、前記制御手段による表示制御を変更する表示制御変更手段と、
を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記操作者判定手段は、
前記撮像手段により撮像される全画像領域のうち、運転者又は他の乗員が前記入力手段を操作した際に画像が変化するものとして予め設定された判定用画像領域において、画像が変化したか否かを判定することにより、前記入力手段の操作者を判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記判定用画像領域には、運転者による操作及び他の乗員による操作をそれぞれ判定するために、予め2つの判定用画像領域が設定されており、
前記操作者判定手段は、各判定用画像領域毎に、画像が変化したか否かを判定することにより、前記入力手段の操作者が運転者であるか他の乗員であるかを特定することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記操作者判定手段は、
前記判定用画像領域内での画像の変化量を演算する画像変化量演算手段を備え、
該画像変化量演算手段にて演算された画像の変化量が予め設定された閾値を越えると、前記判定用画像領域内で車両乗員による入力手段の操作があったと判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記画像変化量演算手段は、前記判定用画像領域において画像が変化した領域の面積を変化量として演算することを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、前記表示手段の表示画面よりも手前で前記入力手段を操作する乗員の画像を上方から撮像できるように配置され、
前記判定用画像領域は、複数の領域に分割されていると共に、該分割された各領域毎に、前記入力手段側の領域から乗員側の領域にかけて段階的に減少するよう重み係数が設定されており、
前記画像変化量演算手段は、各分割された領域において、画像が変化した領域の面積と、各分割された領域毎に設定された重み係数と、から変化量を演算することを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示制御変更手段は、前記操作者判定手段により前記入力手段の操作者が運転者であると判定されると、前記制御手段による画像表示の制御を予め設定された運転者用の制御に変更し、前記操作者判定手段により前記入力手段の操作者が他の乗員であると判定されると、前記制御手段による画像表示の制御を予め設定された他の乗員用の制御に変更することを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項8】
車両が走行中であるか否かを判定する走行判定手段を備え、
前記表示制御変更手段は、前記走行判定手段により車両が走行中であると判定された場合に、前記操作者判定手段により前記入力手段の操作者が運転者であると判定されると、前記入力手段から入力された指令を無効とすることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−212342(P2007−212342A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33879(P2006−33879)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】