車車間通信装置及び車車間通信方法
【課題】車両IDを用いた運転支援の動作を安定させる。
【解決手段】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信し、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する無線通信ユニット100であって、自車両の車両情報から判断される自車両の走行状況が、その自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定する走行状況判定機能と、自車両を特定する識別情報を更新する際に、自車両の走行状況が接近状況であるときは、自車両の識別情報の更新を禁止する識別情報更新機能とを実行する制御装置10を備える無線通信ユニット100を提供する。
【解決手段】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信し、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する無線通信ユニット100であって、自車両の車両情報から判断される自車両の走行状況が、その自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定する走行状況判定機能と、自車両を特定する識別情報を更新する際に、自車両の走行状況が接近状況であるときは、自車両の識別情報の更新を禁止する識別情報更新機能とを実行する制御装置10を備える無線通信ユニット100を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間で情報を授受する車車間通信装置及び車車間通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信装置に関し、車車間の通信時において、個々の車両を特定する車両IDが他車両に取得されることにより、個人情報が漏洩することを防止するため、発行・配布される車両IDに有効期限を設定し、有効期限が切れるごとに車両IDを更新する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信した自車両の車両IDに基づいて他車両が運転支援を行っているときに、自車両の車両IDが更新されると、他車両は自車両を特定できず、車両IDを用いた運転支援の動作が不安定になる可能性があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車車間通信において、自車両の走行状況が他の物体と接近する可能性のある接近状況であるときは、自車両の車両ID(識別情報)の更新を禁止することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況などの運転支援の動作が実行される場面で他車両は自車両を正確に特定できるので、車両ID(識別情報)を用いた運転支援の動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の無線通信ユニット100を含む車載装置1のブロック構成図である。
【図2】本実施形態の無線通信ユニット100の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の車両情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】自車両の識別情報の更新処理の第1の制御手法を説明するための図である。この第1の制御手法は、交差点を含む所定の交差エリア内において識別情報の更新を禁止する手法である。
【図5】自車両の識別情報の更新処理の第2の制御手法を説明するための図である。この第2の制御手法は、交差点を右左折する状況において識別情報の更新を禁止する手法である。
【図6】自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するための図である。この第3の制御手法は、交差点を直進する状況において、交差点中央を通過するまで識別情報の更新を禁止する手法である。
【図7】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための図である。この第4の制御手法は、交差点に到達するまでの距離又は時間に応じて識別情報の更新を禁止する手法である。特に、出会い頭で他車両と接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図8】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための第2の図である。特に、他車両が右左折する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図9】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための第3の図である。特に、自車両が左折(右側通行の場合は右折)する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図10】自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するための図である。この第5の制御手法は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間に応じて識別情報の更新を禁止する手法である。特に、自車両の後方から他車両が接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図11】自車両の識別情報の更新処理の第1、第2の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図12】自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図13】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図14】自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本実施形態に係る車両に搭載された無線通信ユニット100を説明する。本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両と他車両との車車間通信を実行するとともに、この車車間通信において用いられる自車両を特定する識別情報の更新を制御する。この車車間通信により授受される車両情報は、自車両及び他車両の安全運転支援のために用いられる。
【0009】
図1に、本実施形態に係る無線通信ユニット100を含む車載装置1のブロック構成図を示す。本実施形態の車載装置1は、無線通信ユニット100と、車両コントローラ200と、各種車載センサ300(301〜307)と、運転支援装置400と、ナビゲーション装置500と、情報提示装置600を含む。無線通信ユニット100と上記各装置(200〜600)とは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0010】
そして、本実施形態の無線通信ユニット100は、各種車載センサ300により検出される情報、車両コントローラ200が管理する情報、ナビゲーション装置500により得られる情報その他の車両情報(自車の車種情報・位置・速度・進行方向・ウィンカ・ブレーキ・アクセル・シフトポジション等の情報)を取得し、この車両情報を車車間通信により送信することができる。
【0011】
図1に示すように、無線通信ユニット100は、自車両と他車両との車車間通信を実行する無線通信器20と、この無線通信器20の動作を制御するとともに、車車間通信において用いられる自車両を特定する識別情報の更新処理を制御する制御装置10を備える。
【0012】
まず、無線通信器20について説明する。
【0013】
図2は、無線通信器20の機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態の無線通信器20は、自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信する送信機能Aと、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する受信機能Bを備える。また、本実施形態の無線通信器20は、車両情報を送信するためのパケットを生成するパケット生成機能Cと、受信した車両情報のヘッダを解析するためのヘッダ解析機能Dとを備える。これらの各機能は、一般に知られる無線通信器における機能と共通する。
【0014】
図3は、本実施形態の車両情報のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、車両情報と、自車両の識別情報(以下、「ID」ともいう)と、ヘッダ情報とを含む。
【0015】
続いて、無線通信器20を制御する制御装置10について説明する。本実施形態の制御装置10は、車車間通信を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory )12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、無線通信ユニット100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)11に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
この制御装置10は、自車両の走行状況が所定の接近状況であるか否かを判定する走行状況判定機能と、自車両の識別情報の更新処理を制御する識別情報更新機能とを有する。この制御装置10は、各機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0017】
以下、上述した無線通信ユニット100の制御装置10が実現する機能についてそれぞれ説明する。
【0018】
制御装置10は、自車両の車両情報から判断される自車両の走行状況が、この自車両と他の物体とが接近する可能性のある「接近状況」であるか否かを判定する(走行状況判定機能)。
【0019】
この「接近状況」は、実際の交通において、自車両と他の物体とが接近する可能性のある状況を想定し、予め定義する。たとえば、自車両が車両の走行車線が合流するエリア、道路が交差するエリア、横断歩道があるエリアなど、他車両や歩行者と接近する可能性があるエリアを走行する状況や、自車両と同一車線を走行する他車両が加速又は減速することにより自車両に接近する可能性のある状況である。
【0020】
特に限定されないが、本実施形態では、第1の接近状況として「自車両が交差点を含む所定の交差エリア内を走行する状況」を定義し、第2の接近状況として「自車両が交差点を右左折する状況」を定義し、第3の接近状況として「自車両が交差点を直進する際に、交差点中央を通過するまでの状況」を定義し、第4の接近状況として、「自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定時間未満である状況」と定義し、第5の接近状況として、「自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定時間未満である状況」と定義し、これらの接近状況を例にして、制御装置10の機能を説明する。
【0021】
制御装置10は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANを介して、方向指示器301から方向指示器の操作情報、操舵角センサ302から操舵角情報、車速センサ303から車速情報、スロットル開度センサ304から加速情報、ブレーキON/OFFセンサから減速情報、ナビゲーション装置500の現在位置検出装置501から現在位置情報、経路探索装置502から現在走行する地図上の位置、運転支援装置400の測距機能402から自車両から他車両(他の物体)までの距離その他の車両情報を取得する。
【0022】
そして、制御装置10は、取得された車両情報に基づいて判断される自車両の走行状況が所定の接近状況であるか否かを判断する。
【0023】
さらに、制御装置10は、所定のタイミングで自車両を特定する識別情報を更新する(識別情報更新機能)。そして、自車両を特定する識別情報を更新する際に、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であると判断されたときは、自車両の識別情報の更新を禁止する(識別情報更新機能)。また、制御装置10は、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であると判定された後に、自車両の走行状況が所定の「接近状況」ではないと判定されたときは、自車両の識別情報の更新を実行する(識別情報更新機能)。つまり、「接近状況」において識別情報の更新を禁止するも、この「接近状況」を脱した場合は、すぐに識別情報の更新を実行する。
【0024】
このように、自車両の走行状況が所定の「接近状況」でないときは自車両の識別情報の更新を実行し、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であるときは自車両の識別情報の更新を禁止することにより、車両のIDに対応づけられた車両情報が走行支援処理に用いられる可能性が高い場面において車両IDが変化しないので、走行支援処理の動作を安定させることができる。
【0025】
自車両の識別情報と対応づけられた車両情報は、他車両に向けて送出され、他車両の運転支援装置の運転支援処理に用いられる。他車両の運転支援装置は、図示しないが、図1に示す自車両の運転支援装置400と同様に、障害物検出機能401、注意喚起機能403、障害物報知機能404などを備える。他車両の運転支援装置400は、自車両の識別情報と自車両の車両情報に基づいて自車両との位置関係を認識し、他車両の運転を支援する。また、他車両は、図1に示す自車両と同様に、情報提示装置600を搭載し、運転支援に係る情報をモニタ610、又はスピーカ620を介してドライバに提示する。
【0026】
このように、他車両側が自車両の識別情報と車両情報を正確に把握することで、他車両の運転支援処理を安定させることができ、他車両が自車両に接近しすぎることを防止することができる。
【0027】
以下、図4〜10に基づいて、自車両の走行状況が上述した第1〜第5所定の接近状況であるか否かの判定結果に応じて実行される、自車両の識別情報(ID)の更新処理の制御手法をそれぞれ説明する。
【0028】
なお、通常、制御装置10は、所定のタイミングで自車両の識別情報を更新させる。
【0029】
<第1の制御手法>
図4に基づいて、第1の制御手法を説明する。この第1の制御手法において、制御装置10は、自車両の現在位置と交差点を含む交差エリアとの位置関係に基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0030】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。ナビゲーション装置500は、GPS(Global Positioning System)を備える現在位置検出装置501と、ノード、リンク、POI(Point Of Interest)その他の各地点の地図上の位置情報を含む地図データベース503と、経路探索装置502を備え、現在位置検出装置501により検出された現在位置とその進行方向に基づいて、地図データベース503を参照し、自車両が走行する地図上の位置情報を取得する。自車両が現在走行する地図上の位置情報は、自車両が走行する地点、その地点が属するリンク、自車両の走行する方向に存在する交差点その他のPOI(Point Of Interest)に対する位置関係を含む。
【0031】
制御装置10は、自車両の現在位置が交差点を含む交差エリアを走行する状況、又は交差点を含む交差エリアを通過した状況(自車両の現在位置が交差エリア以外である状況)であるかを判断する。
【0032】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリアを走行する(破線内を走行する)状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリア内の走行中においては識別情報の更新を禁止する。
【0033】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況である(交差エリアを示す破線内から破線外へ移動した)と判断する場合は、その自車両の走行状況は接近状況であると判定した後に、接近状況ではないと判定したとして、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0034】
図4に示す自車両Aのように、破線で示す交差エリア内を走行する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、破線で示す交差エリアを通過した場合(交差エリアを示す破線内から破線外へ移動した場合)は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0035】
なお、交差エリアの位置情報又は境界情報は、予めナビゲーション装置500の地図データベース503に記憶させてもよいし、交差点中心の位置情報に基づいて制御装置10が求めてもよい。
【0036】
<第2の制御手法>
図5に基づいて、第2の制御手法を説明する。この第2の制御手法において、制御装置10は、自車両が右左折するタイミングに基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0037】
この処理において、制御装置10は、自車両の進行方向に係る情報を含む車両情報を自社両側から取得する。この進行方向に係る情報は、自車両に搭載されたナビゲーション装置500、又は車両コントローラ200により取得される。ナビゲーション装置500は、自車両の現在位置の変化に基づいて自車両の進行方向を取得する。また、車両コントローラ200は、方向指示器301のオンオフ、又は操舵角センサ303が検出する操舵角の変化に基づいて自車両の進行方向を取得する。
【0038】
制御装置10は、自車両の進行方向に係る情報(方向指示器301のオンオフ、又は操舵角センサ303が検出する操舵角の変化)に基づいて、自車両の走行状況が右左折をする状況(交差点を旋回中である状況)、又は自車両の走行状況が右左折を完了した状況(交差点を曲がりきった状況)であるかを判断する。
【0039】
自車両が右左折をする状況、すなわち進行方向を変化させる状況であるか否かの判断手法は特に限定されず、一般的な手法を用いることができる。本実施形態において、制御装置10は、方向指示器301がオンとなったタイミングから右左折の操作が開始されたと判断し、方向指示器301がオフとなったタイミングで右左折の操作が終了したと判断する。また、制御装置10は、操舵角センサ303が検出する操舵角が所定値(予め定義された閾値)以上となったタイミングで右左折の操作が開始されたと判断し、操舵角センサ303が検出する操舵角が所定値(予め定義された閾値)未満となったタイミングで右左折の操作が終了したと判断する。
【0040】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が右左折をする状況(交差点を旋回中である状況)であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0041】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両の走行状況が右左折を完了した状況(交差点を曲がりきった状況)と判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0042】
図5に示す自車両Aのように、交差点を右左折する際(旋回中)には、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、交差点の右左折が完了した場合(旋回状態から直進状態になった場合)は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0043】
<第3の制御手法>
図6に基づいて、第3の制御手法を説明する。この第3の制御手法において、制御装置10は、交差点を直進する自車両が、交差点を通過するタイミングに基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0044】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、第1の制御手法と同様に、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。
【0045】
制御装置10は、自車両の現在位置が交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況、又は交差点を含む交差エリア内を走行する状況であるかを判断する。
【0046】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアの通信を通過した状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0047】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリア(図4参照)を走行する状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0048】
図6に示す自車両Bのように、交差点の中央を通過した場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0049】
なお、交差点の中央の位置情報は、予めナビゲーション装置500の地図データベース503に記憶させる。
【0050】
<第4の制御手法>
図7〜9に基づいて、第4の制御手法を説明する。この第4の制御手法において、制御装置10は、交差点に到達するまでの距離又は時間時間に応じて識別情報の更新を制御する。
【0051】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、第1の制御手法と同様に、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。
【0052】
また、この処理において、制御装置10は、自車両の車速を含む車両情報を、自車両側から取得する。この車速は、車速センサ304により検出され、車両コントローラ200を介して取得される。
【0053】
制御装置10は、自車両の地図上の現在位置と車速とに基づいて、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間を算出する。そして、制御装置10は、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であるか否かを判断する。
【0054】
この所定値は、任意に設定することができ、“人の反応時間+システム処理時間”に基づいた時間、又はこの時間に相当する距離を予め定義することができる。この所定値は、システム全体の動作の安定度を増すため、1〜2秒程度またはそれ以上の余裕度をもたせた時間又はこの時間に相当する距離としてもよい。
【0055】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0056】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0057】
図7は、出会い頭で他車両と接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図7に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0058】
図8は、他車両が右左折する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図8に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0059】
図9は、自車両が左折(右側通行の場合は右折)する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図9に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0060】
なお、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間の閾値となる「所定値」は任意に設定することができる。本実施形態では、運転時における人の反応時間と車両のシステムの処理による処理時間を加算した時間又はこの時間に対応する距離に基づいて算出する。制御装置10は、自車両から交差点までの距離又は時間と、そのときの車速とに基づいて、交差点に到達するまでの距離又は時間を算出し、この到達距離又は到達時間と閾値とを比較する。
【0061】
<第5の制御手法>
図10に基づいて、第5の制御手法を説明する。この第5の制御手法において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間に応じて識別情報の更新を制御する。
【0062】
この処理において、制御装置10は、自車両から他車両までの距離を、自車両側から取得する。この他車両までの距離は、障害物検出機能401及び/又は測距機能402により取得される。他車両を検出し、自車両からその他車両までの距離を計測する手法は、出願時に用いられる通常の手法を用いることができる。
【0063】
また、この処理において、制御装置10は、自車両の車速を含む車両情報を取得する。この車速は、車速センサ304により検出され、車両コントローラ200を介して取得される。
【0064】
さらにまた、この処理において、制御装置10は、他車両の車速を含む車両情報を取得する。この他車両の車速は、他車両の車速センサにより検出され、他車両の車両コントローラ及び他車両の無線通信装置、さらに自車両の無線通信装置110を介して取得される。また、他車両の車速は、自車両に搭載された障害物検出機能401、測距装置402の計測データから取得してもよい。
【0065】
制御装置10は、取得された自車両から他車両までの距離と、自車両の車速を含む車両情報と、他車両の車速を含む車両情報とに基づいて、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間を算出する。そして、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であるか否かを判断する。
【0066】
この所定値は、任意に設定することができ、“人の反応時間+システム処理時間”に基づいた時間、又はこの時間に相当する距離を予め定義することができる。この所定値は、システム全体の動作の安定度を増すため、1〜2秒程度またはそれ以上の余裕度をもたせた時間又はこの時間に相当する距離としてもよい。
【0067】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0068】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0069】
図10は、自車両の後方から他車両が接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図10に示す自車両Aのように、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0070】
なお、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間の閾値となる「所定値」は任意に設定することができる。本実施形態では、運転時における人の反応時間と車両のシステムの処理による処理時間を加算した時間に基づいて算出する。制御装置10は、自車両から他車両までの距離と、そのときの相対車速とに基づいて、他車両が自車両に追いつく(距離が所定距離未満)までの時間を算出し、この到達時間と閾値となる時間とを比較する。
【0071】
図10に示すように、後続する他車両が前方の自車両よりも車速が速い場合や、先行する自車両が渋滞の末尾に到達した場合など、相対距離が大きくなった場合には、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0072】
続いて、本実施形態の無線通信ユニット100の各制御手法ごとに、その制御手順をそれぞれ説明する。
【0073】
まず、第1、第2の制御手法について説明する。図11は、自車両の識別情報の更新処理の第1、第2の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0074】
まず、ステップS101において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得する。
【0075】
続く、ステップS102において、制御装置10は、自車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であるか否か、つまり、交差点に進入中であるか否かを判断する。この処理において、自車両の現在位置と交差点との位置関係に基づいて、他の物体との接近状況が生じる可能性を判断する。
【0076】
このステップにおいて、自車両が交差点を含む交差エリアを走行する場合は、他の物体との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、ステップS104へ進み、そうでない場合は、ステップS103へ進む。
【0077】
このステップS104において、 制御装置10は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。他方、制御装置10は、自車両が交差点を含む交差エリア内を走行すると判断できなかった場合は、ステップS103へ進む。
【0078】
続くステップS103において、制御装置10は、自車両が右左折するタイミングであるか否かを判断する。具体的には、自車両の方向指示器301が灯火中であるか否かを判断する。自車両の方向指示器301が灯火中である場合は、自車両は右左折中であると判断し、ステップS106へ進む。一方、車両の方向指示器301が消灯中である場合は、自車両は直進中であると判断し、ステップS105へ進む。この処理については、後述する。
【0079】
続くステップS106において、制御装置10は、自車両が右左折の操作を完了したか否かを判断する。具体的には、自車両の操舵角センサ303により検出される操舵角の変化と方向指示器301のオンオフを観察する。自車両の操舵角がゼロとなり、方向指示器301の灯火がオフとなった場合は、右左折の操作が完了したと判断し、ステップS107へ進み、そうでない場合はステップS108へ進む。
【0080】
このステップS107において、制御装置10は、自車両の操舵角がゼロとなり、方向指示器301の灯火がオフとなった場合は、自車両の右左折操作が完了したと判断し、識別情報の更新を実行する。
【0081】
他方、ステップS108において、制御装置10は、方向指示器301が灯火されてから操舵角がゼロ及び方向指示器301が消灯されるまで、識別情報の更新を禁止する。
【0082】
次に、図11のステップS105の処理、すなわち第3の制御手法を、図12に基づいて説明する。図12は、自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0083】
ステップS1051は、図11のステップS103にて方向指示器の灯火がされていないと判断されたので、自車両は直進中であると判断できる。
【0084】
ステップS1051において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得する。
【0085】
ステップS1052において、制御装置10は、直進する自車両が、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であるか否かを判断する。交差点中央を通過したと判断したらステップS1054へ進む。他方、交差点中央を通過していない場合は、ステップS1053へ進む。
【0086】
ステップS1054において、制御装置10は、直進する自車両が交差点中央を通過した場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0087】
他方、ステップS1053において、制御装置10は、直進する自車両が交差点中央を通過していない場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両が交差点中央を通過するまで、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0088】
次に、第4の制御手法について説明する。図13は、自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0089】
ステップS201において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得するとともに、車載の車両コントローラ200を介して、車速センサ304により検出された車速を取得する。
【0090】
続くステップS202において、制御装置10は、走行中の自車両が交差点に到達するまでの時間又は距離が所定値未満であるか否かを判断する。具体的に、本処理において、制御装置10は、自車両が直近に到達する交差点中央までの到達距離が、人間が情報に対して適切な操作を実行できる反応時間と車載装置1の各装置の協働によって動作する運転支援装置400の処理時間とを加算した時間に相当する距離を考慮した所定の閾値未満であるか否かを判断する。そして、到達距離が所定値以上である場合はステップS203へ進み、到達距離が所定値未満である場合はステップS204へ進む。
【0091】
ステップS203において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値以上である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0092】
他方、ステップS204において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値未満である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0093】
最後に、第5の制御手法について説明する。図14は、自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0094】
ステップS301において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得するとともに、車載の車両コントローラ200を介して、車速センサ304により検出された車速を取得する。また、制御装置10は、自車両に搭載された運転支援装置400の障害物検出機能401、測距機能402から他車両の走行位置と車速を検出する。他車両の車速は、他車両の車両情報に含ませて無線通信装置110を介して他車両側から取得してもよい。
【0095】
続くステップS302において、制御装置10は、走行中の自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であるか否かを判断する。具体的に、本処理において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの到達時間(自車両と他車両との相対速度を考慮する)が、人間が情報に対して適切な操作を実行できる反応時間と車載装置1の各装置の協働によって動作する運転支援装置400の処理時間とを加算した時間を考慮した所定の閾値未満であるか否かを判断する。そして、到達時間が所定値以上である場合はステップS303へ進み、到達距離が所定値未満である場合はステップS304へ進む。
【0096】
ステップS303において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0097】
他方、ステップS304において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値未満である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0098】
本実施形態の無線通信ユニット100は、以上のように構成され、機能するので、以下の効果を奏する。
【0099】
本発明によれば、車車間通信において、自車両が他の物体と接近する可能性のある接近状況であるときは、自車両の識別情報の更新を禁止するので、このような場面において実行される、車両の識別情報を用いた運転支援の動作を安定させることができる。
【0100】
つまり、自車両と他車両とが接近し、運転支援の動作が実行される確率の高い場面において識別番号を更新しないので、他車両は自車両を正確に特定でき、車両の識別情報を用いた運転支援の動作を安定させ、安全運転のための走行支援処理を正常に動作させることを担保しつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0101】
また、自車両が他の物体と接近する可能性のある接近状況でないときは、自車両の識別情報の更新を実行させるので、同様の効果を得ることができる。
【0102】
ところで、自車両の識別情報の更新は必要であるが、この識別情報の更新を任意のタイミングで実行すると、以下の問題がある。すなわち、他車両が自車両の識別情報に基づいて自車両を追尾しながら安全運転支援アプリケーションを起動させた場合において、この追尾の最中に自車両の識別情報が更新されると、自車両の追尾が困難になり他車両の安全運転支援アプリケーションの動作が不安定となる場合がある。そして、他車両の走行支援が不安定となると、他車両が自車両に接近しすぎるなど、自車両の安全にも影響を与えてしまう。
【0103】
また、自車両の識別情報の更新を任意のタイミングで実行すると、他車両は同一の自車両に対して異なる識別情報を取得することとなり、保持された識別情報と更新された識別情報とが混同され、識別情報が更新される前に得た走行支援情報と識別情報が更新され後に得た走行支援情報とが相反する事態が生じ、提供される運転支援情報の正確性が損なわれ、運転支援情報に対するユーザの信頼も損なわれてしまう。
【0104】
本実施形態の無線通信ユニット100は、走行支援に際して行われる障害物判定や接近度判定の結果に影響を与えるタイミングを抽出し、そのタイミング前後で自車両の識別情報の更新を禁止するので、誤った運転支援を実行することを防ぐことができる。
【0105】
すなわち、本実施形態の無線通信ユニット100は、識別情報の更新タイミングと他車両や歩行者などの障害物に対する注意度の判定のタイミングとが重ならないように、識別情報の更新を自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況において識別情報の更新を禁止する。このようにすることで、安全運転のための走行支援が実行される場面においては識別情報の更新を禁止し、一の識別情報のみを他車両へ送出するので、安定した走行支援を実行することができる。
【0106】
また、自車両の走行状況が接近状況であると判定された後に、接近状況ではないと判定されたときは、自車両の識別情報の更新を実行することにより、識別情報の更新をできるだけ早く実行させることができる。つまり、所定のタイミングが到来するのを待機するのではなく、自車両が接近状況から脱したときには、直ちに識別情報を更新させることができる。
【0107】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点などの他車両や歩行者と接近する可能性の高い場所を走行する状況において、識別情報の更新を禁止するので、交差点などで行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。
【0108】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況が、自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、走行支援処理に影響を与えないで識別情報の更新のタイミングを確保することができる。
【0109】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が直進して、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0110】
さらに、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が右左折をする状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点などを右左折する場面のように、他車両や歩行者と接近する可能性の高い場所を走行する状況において、識別情報の更新を禁止するので、車両の右左折時に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。
【0111】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が右左折を完了した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、走行支援処理に影響を与えないで識別情報の更新のタイミングも確保することができる。
【0112】
さらにまた、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点に接近する場面のように、自車両に他車両や歩行者に対する注意の喚起が要求される状況において、識別情報の更新を禁止するので、車両が交差点に接近する際に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。これにより、交差点における“出会い頭衝突防止システム”、“右折時衝突防止システム”、“左折時衝突防止システム”などの運転支援動作を正常に動作させつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0113】
加えて、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、後続車両が自車両を追い抜こうとする場面や、自車両が渋滞の末尾に到達して減速する場面のように、自車両と他車両との相対的位置関係の変化に対する注意の喚起が要求される状況において、識別情報の更新を禁止するので、自車両と他車両とが接近する際に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。これにより、“追突防止システム”などの運転支援動作を正常に動作させつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0114】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0115】
すなわち、本明細書では、本発明に係る車車間通信装置の一態様として無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
また、本明細書では、本発明に係る車車間通信装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備えた無線通信ユニット100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0117】
また、本明細書では、本願発明に係る送信手段と、受信手段と、走行状況判定手段と、識別情報更新手段とを有する車車間通信装置の一態様として、送信機能Aと受信機能Bとを有する無線通信器20と、走行状況判定機能と識別情報更新機能を実現する制御装置10とを備えた無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
また、本明細書では、車載通信ネットワークを介して情報の授受が可能な車両コントローラ200、各種車載機器300、運転支援装置400、ナビゲーション装置500から車両情報を取得する無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0119】
1…車載装置
100…無線通信ユニット
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…無線通信器
200…車両コントローラ
300…各種車載センサ
301…方向指示器
302…操舵角センサ
303…車速センサ
304…スロットル開度センサ
305…ブレーキON/OFFセンサ
306…シフトポジションセンサ
400…運転支援装置
401…障害物検出機能
402…測距機能
403…注意喚起機能
404…障害物情報報知機能
500…ナビゲーション装置
501…現在位置検出装置
502…経路探索装置
530…地図データベース
600…情報提示装置
610…ディスプレイ
620…スピーカ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間で情報を授受する車車間通信装置及び車車間通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信装置に関し、車車間の通信時において、個々の車両を特定する車両IDが他車両に取得されることにより、個人情報が漏洩することを防止するため、発行・配布される車両IDに有効期限を設定し、有効期限が切れるごとに車両IDを更新する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信した自車両の車両IDに基づいて他車両が運転支援を行っているときに、自車両の車両IDが更新されると、他車両は自車両を特定できず、車両IDを用いた運転支援の動作が不安定になる可能性があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車車間通信において、自車両の走行状況が他の物体と接近する可能性のある接近状況であるときは、自車両の車両ID(識別情報)の更新を禁止することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況などの運転支援の動作が実行される場面で他車両は自車両を正確に特定できるので、車両ID(識別情報)を用いた運転支援の動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の無線通信ユニット100を含む車載装置1のブロック構成図である。
【図2】本実施形態の無線通信ユニット100の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の車両情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】自車両の識別情報の更新処理の第1の制御手法を説明するための図である。この第1の制御手法は、交差点を含む所定の交差エリア内において識別情報の更新を禁止する手法である。
【図5】自車両の識別情報の更新処理の第2の制御手法を説明するための図である。この第2の制御手法は、交差点を右左折する状況において識別情報の更新を禁止する手法である。
【図6】自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するための図である。この第3の制御手法は、交差点を直進する状況において、交差点中央を通過するまで識別情報の更新を禁止する手法である。
【図7】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための図である。この第4の制御手法は、交差点に到達するまでの距離又は時間に応じて識別情報の更新を禁止する手法である。特に、出会い頭で他車両と接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図8】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための第2の図である。特に、他車両が右左折する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図9】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するための第3の図である。特に、自車両が左折(右側通行の場合は右折)する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図10】自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するための図である。この第5の制御手法は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間に応じて識別情報の更新を禁止する手法である。特に、自車両の後方から他車両が接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する手法である。
【図11】自車両の識別情報の更新処理の第1、第2の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図12】自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図13】自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【図14】自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本実施形態に係る車両に搭載された無線通信ユニット100を説明する。本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両と他車両との車車間通信を実行するとともに、この車車間通信において用いられる自車両を特定する識別情報の更新を制御する。この車車間通信により授受される車両情報は、自車両及び他車両の安全運転支援のために用いられる。
【0009】
図1に、本実施形態に係る無線通信ユニット100を含む車載装置1のブロック構成図を示す。本実施形態の車載装置1は、無線通信ユニット100と、車両コントローラ200と、各種車載センサ300(301〜307)と、運転支援装置400と、ナビゲーション装置500と、情報提示装置600を含む。無線通信ユニット100と上記各装置(200〜600)とは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0010】
そして、本実施形態の無線通信ユニット100は、各種車載センサ300により検出される情報、車両コントローラ200が管理する情報、ナビゲーション装置500により得られる情報その他の車両情報(自車の車種情報・位置・速度・進行方向・ウィンカ・ブレーキ・アクセル・シフトポジション等の情報)を取得し、この車両情報を車車間通信により送信することができる。
【0011】
図1に示すように、無線通信ユニット100は、自車両と他車両との車車間通信を実行する無線通信器20と、この無線通信器20の動作を制御するとともに、車車間通信において用いられる自車両を特定する識別情報の更新処理を制御する制御装置10を備える。
【0012】
まず、無線通信器20について説明する。
【0013】
図2は、無線通信器20の機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態の無線通信器20は、自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信する送信機能Aと、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する受信機能Bを備える。また、本実施形態の無線通信器20は、車両情報を送信するためのパケットを生成するパケット生成機能Cと、受信した車両情報のヘッダを解析するためのヘッダ解析機能Dとを備える。これらの各機能は、一般に知られる無線通信器における機能と共通する。
【0014】
図3は、本実施形態の車両情報のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、車両情報と、自車両の識別情報(以下、「ID」ともいう)と、ヘッダ情報とを含む。
【0015】
続いて、無線通信器20を制御する制御装置10について説明する。本実施形態の制御装置10は、車車間通信を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory )12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、無線通信ユニット100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)11に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
この制御装置10は、自車両の走行状況が所定の接近状況であるか否かを判定する走行状況判定機能と、自車両の識別情報の更新処理を制御する識別情報更新機能とを有する。この制御装置10は、各機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。
【0017】
以下、上述した無線通信ユニット100の制御装置10が実現する機能についてそれぞれ説明する。
【0018】
制御装置10は、自車両の車両情報から判断される自車両の走行状況が、この自車両と他の物体とが接近する可能性のある「接近状況」であるか否かを判定する(走行状況判定機能)。
【0019】
この「接近状況」は、実際の交通において、自車両と他の物体とが接近する可能性のある状況を想定し、予め定義する。たとえば、自車両が車両の走行車線が合流するエリア、道路が交差するエリア、横断歩道があるエリアなど、他車両や歩行者と接近する可能性があるエリアを走行する状況や、自車両と同一車線を走行する他車両が加速又は減速することにより自車両に接近する可能性のある状況である。
【0020】
特に限定されないが、本実施形態では、第1の接近状況として「自車両が交差点を含む所定の交差エリア内を走行する状況」を定義し、第2の接近状況として「自車両が交差点を右左折する状況」を定義し、第3の接近状況として「自車両が交差点を直進する際に、交差点中央を通過するまでの状況」を定義し、第4の接近状況として、「自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定時間未満である状況」と定義し、第5の接近状況として、「自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定時間未満である状況」と定義し、これらの接近状況を例にして、制御装置10の機能を説明する。
【0021】
制御装置10は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANを介して、方向指示器301から方向指示器の操作情報、操舵角センサ302から操舵角情報、車速センサ303から車速情報、スロットル開度センサ304から加速情報、ブレーキON/OFFセンサから減速情報、ナビゲーション装置500の現在位置検出装置501から現在位置情報、経路探索装置502から現在走行する地図上の位置、運転支援装置400の測距機能402から自車両から他車両(他の物体)までの距離その他の車両情報を取得する。
【0022】
そして、制御装置10は、取得された車両情報に基づいて判断される自車両の走行状況が所定の接近状況であるか否かを判断する。
【0023】
さらに、制御装置10は、所定のタイミングで自車両を特定する識別情報を更新する(識別情報更新機能)。そして、自車両を特定する識別情報を更新する際に、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であると判断されたときは、自車両の識別情報の更新を禁止する(識別情報更新機能)。また、制御装置10は、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であると判定された後に、自車両の走行状況が所定の「接近状況」ではないと判定されたときは、自車両の識別情報の更新を実行する(識別情報更新機能)。つまり、「接近状況」において識別情報の更新を禁止するも、この「接近状況」を脱した場合は、すぐに識別情報の更新を実行する。
【0024】
このように、自車両の走行状況が所定の「接近状況」でないときは自車両の識別情報の更新を実行し、自車両の走行状況が所定の「接近状況」であるときは自車両の識別情報の更新を禁止することにより、車両のIDに対応づけられた車両情報が走行支援処理に用いられる可能性が高い場面において車両IDが変化しないので、走行支援処理の動作を安定させることができる。
【0025】
自車両の識別情報と対応づけられた車両情報は、他車両に向けて送出され、他車両の運転支援装置の運転支援処理に用いられる。他車両の運転支援装置は、図示しないが、図1に示す自車両の運転支援装置400と同様に、障害物検出機能401、注意喚起機能403、障害物報知機能404などを備える。他車両の運転支援装置400は、自車両の識別情報と自車両の車両情報に基づいて自車両との位置関係を認識し、他車両の運転を支援する。また、他車両は、図1に示す自車両と同様に、情報提示装置600を搭載し、運転支援に係る情報をモニタ610、又はスピーカ620を介してドライバに提示する。
【0026】
このように、他車両側が自車両の識別情報と車両情報を正確に把握することで、他車両の運転支援処理を安定させることができ、他車両が自車両に接近しすぎることを防止することができる。
【0027】
以下、図4〜10に基づいて、自車両の走行状況が上述した第1〜第5所定の接近状況であるか否かの判定結果に応じて実行される、自車両の識別情報(ID)の更新処理の制御手法をそれぞれ説明する。
【0028】
なお、通常、制御装置10は、所定のタイミングで自車両の識別情報を更新させる。
【0029】
<第1の制御手法>
図4に基づいて、第1の制御手法を説明する。この第1の制御手法において、制御装置10は、自車両の現在位置と交差点を含む交差エリアとの位置関係に基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0030】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。ナビゲーション装置500は、GPS(Global Positioning System)を備える現在位置検出装置501と、ノード、リンク、POI(Point Of Interest)その他の各地点の地図上の位置情報を含む地図データベース503と、経路探索装置502を備え、現在位置検出装置501により検出された現在位置とその進行方向に基づいて、地図データベース503を参照し、自車両が走行する地図上の位置情報を取得する。自車両が現在走行する地図上の位置情報は、自車両が走行する地点、その地点が属するリンク、自車両の走行する方向に存在する交差点その他のPOI(Point Of Interest)に対する位置関係を含む。
【0031】
制御装置10は、自車両の現在位置が交差点を含む交差エリアを走行する状況、又は交差点を含む交差エリアを通過した状況(自車両の現在位置が交差エリア以外である状況)であるかを判断する。
【0032】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリアを走行する(破線内を走行する)状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリア内の走行中においては識別情報の更新を禁止する。
【0033】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況である(交差エリアを示す破線内から破線外へ移動した)と判断する場合は、その自車両の走行状況は接近状況であると判定した後に、接近状況ではないと判定したとして、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0034】
図4に示す自車両Aのように、破線で示す交差エリア内を走行する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、破線で示す交差エリアを通過した場合(交差エリアを示す破線内から破線外へ移動した場合)は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0035】
なお、交差エリアの位置情報又は境界情報は、予めナビゲーション装置500の地図データベース503に記憶させてもよいし、交差点中心の位置情報に基づいて制御装置10が求めてもよい。
【0036】
<第2の制御手法>
図5に基づいて、第2の制御手法を説明する。この第2の制御手法において、制御装置10は、自車両が右左折するタイミングに基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0037】
この処理において、制御装置10は、自車両の進行方向に係る情報を含む車両情報を自社両側から取得する。この進行方向に係る情報は、自車両に搭載されたナビゲーション装置500、又は車両コントローラ200により取得される。ナビゲーション装置500は、自車両の現在位置の変化に基づいて自車両の進行方向を取得する。また、車両コントローラ200は、方向指示器301のオンオフ、又は操舵角センサ303が検出する操舵角の変化に基づいて自車両の進行方向を取得する。
【0038】
制御装置10は、自車両の進行方向に係る情報(方向指示器301のオンオフ、又は操舵角センサ303が検出する操舵角の変化)に基づいて、自車両の走行状況が右左折をする状況(交差点を旋回中である状況)、又は自車両の走行状況が右左折を完了した状況(交差点を曲がりきった状況)であるかを判断する。
【0039】
自車両が右左折をする状況、すなわち進行方向を変化させる状況であるか否かの判断手法は特に限定されず、一般的な手法を用いることができる。本実施形態において、制御装置10は、方向指示器301がオンとなったタイミングから右左折の操作が開始されたと判断し、方向指示器301がオフとなったタイミングで右左折の操作が終了したと判断する。また、制御装置10は、操舵角センサ303が検出する操舵角が所定値(予め定義された閾値)以上となったタイミングで右左折の操作が開始されたと判断し、操舵角センサ303が検出する操舵角が所定値(予め定義された閾値)未満となったタイミングで右左折の操作が終了したと判断する。
【0040】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が右左折をする状況(交差点を旋回中である状況)であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0041】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両の走行状況が右左折を完了した状況(交差点を曲がりきった状況)と判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0042】
図5に示す自車両Aのように、交差点を右左折する際(旋回中)には、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、交差点の右左折が完了した場合(旋回状態から直進状態になった場合)は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0043】
<第3の制御手法>
図6に基づいて、第3の制御手法を説明する。この第3の制御手法において、制御装置10は、交差点を直進する自車両が、交差点を通過するタイミングに基づいて、自車両IDの更新処理を制御する。
【0044】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、第1の制御手法と同様に、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。
【0045】
制御装置10は、自車両の現在位置が交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況、又は交差点を含む交差エリア内を走行する状況であるかを判断する。
【0046】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアの通信を通過した状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を実行する。
【0047】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリア(図4参照)を走行する状況であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0048】
図6に示す自車両Bのように、交差点の中央を通過した場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0049】
なお、交差点の中央の位置情報は、予めナビゲーション装置500の地図データベース503に記憶させる。
【0050】
<第4の制御手法>
図7〜9に基づいて、第4の制御手法を説明する。この第4の制御手法において、制御装置10は、交差点に到達するまでの距離又は時間時間に応じて識別情報の更新を制御する。
【0051】
この処理において、制御装置10は、自車両が現在走行する地図上の位置情報を含む車両情報を、自車両側から取得する。この位置情報は、第1の制御手法と同様に、自車両に搭載されたナビゲーション装置500により取得される。
【0052】
また、この処理において、制御装置10は、自車両の車速を含む車両情報を、自車両側から取得する。この車速は、車速センサ304により検出され、車両コントローラ200を介して取得される。
【0053】
制御装置10は、自車両の地図上の現在位置と車速とに基づいて、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間を算出する。そして、制御装置10は、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であるか否かを判断する。
【0054】
この所定値は、任意に設定することができ、“人の反応時間+システム処理時間”に基づいた時間、又はこの時間に相当する距離を予め定義することができる。この所定値は、システム全体の動作の安定度を増すため、1〜2秒程度またはそれ以上の余裕度をもたせた時間又はこの時間に相当する距離としてもよい。
【0055】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0056】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0057】
図7は、出会い頭で他車両と接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図7に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0058】
図8は、他車両が右左折する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図8に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0059】
図9は、自車両が左折(右側通行の場合は右折)する際に接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図9に示す自車両Aのように、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0060】
なお、自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間の閾値となる「所定値」は任意に設定することができる。本実施形態では、運転時における人の反応時間と車両のシステムの処理による処理時間を加算した時間又はこの時間に対応する距離に基づいて算出する。制御装置10は、自車両から交差点までの距離又は時間と、そのときの車速とに基づいて、交差点に到達するまでの距離又は時間を算出し、この到達距離又は到達時間と閾値とを比較する。
【0061】
<第5の制御手法>
図10に基づいて、第5の制御手法を説明する。この第5の制御手法において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間に応じて識別情報の更新を制御する。
【0062】
この処理において、制御装置10は、自車両から他車両までの距離を、自車両側から取得する。この他車両までの距離は、障害物検出機能401及び/又は測距機能402により取得される。他車両を検出し、自車両からその他車両までの距離を計測する手法は、出願時に用いられる通常の手法を用いることができる。
【0063】
また、この処理において、制御装置10は、自車両の車速を含む車両情報を取得する。この車速は、車速センサ304により検出され、車両コントローラ200を介して取得される。
【0064】
さらにまた、この処理において、制御装置10は、他車両の車速を含む車両情報を取得する。この他車両の車速は、他車両の車速センサにより検出され、他車両の車両コントローラ及び他車両の無線通信装置、さらに自車両の無線通信装置110を介して取得される。また、他車両の車速は、自車両に搭載された障害物検出機能401、測距装置402の計測データから取得してもよい。
【0065】
制御装置10は、取得された自車両から他車両までの距離と、自車両の車速を含む車両情報と、他車両の車速を含む車両情報とに基づいて、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間を算出する。そして、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であるか否かを判断する。
【0066】
この所定値は、任意に設定することができ、“人の反応時間+システム処理時間”に基づいた時間、又はこの時間に相当する距離を予め定義することができる。この所定値は、システム全体の動作の安定度を増すため、1〜2秒程度またはそれ以上の余裕度をもたせた時間又はこの時間に相当する距離としてもよい。
【0067】
そして、制御装置10は、車両の走行状況を、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上であると判断する場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0068】
他方、制御装置10は、車両の走行状況を、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。
【0069】
図10は、自車両の後方から他車両が接近する状況を想定して、自車両の識別情報の更新を制御する場面を説明するための図である。図10に示す自車両Aのように、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。また、同図の自車両Bのように、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上であると判断する場合は、他車両との接近状況が生じる可能性が低いと判断し、自車両の識別情報の更新を、通常通り所定のタイミングで実行する。
【0070】
なお、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間の閾値となる「所定値」は任意に設定することができる。本実施形態では、運転時における人の反応時間と車両のシステムの処理による処理時間を加算した時間に基づいて算出する。制御装置10は、自車両から他車両までの距離と、そのときの相対車速とに基づいて、他車両が自車両に追いつく(距離が所定距離未満)までの時間を算出し、この到達時間と閾値となる時間とを比較する。
【0071】
図10に示すように、後続する他車両が前方の自車両よりも車速が速い場合や、先行する自車両が渋滞の末尾に到達した場合など、相対距離が大きくなった場合には、他車両との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0072】
続いて、本実施形態の無線通信ユニット100の各制御手法ごとに、その制御手順をそれぞれ説明する。
【0073】
まず、第1、第2の制御手法について説明する。図11は、自車両の識別情報の更新処理の第1、第2の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0074】
まず、ステップS101において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得する。
【0075】
続く、ステップS102において、制御装置10は、自車両の走行状況を、自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であるか否か、つまり、交差点に進入中であるか否かを判断する。この処理において、自車両の現在位置と交差点との位置関係に基づいて、他の物体との接近状況が生じる可能性を判断する。
【0076】
このステップにおいて、自車両が交差点を含む交差エリアを走行する場合は、他の物体との接近状況が生じる可能性が高いと判断し、ステップS104へ進み、そうでない場合は、ステップS103へ進む。
【0077】
このステップS104において、 制御装置10は、その自車両の走行状況が所定の接近状況であると判定し、この交差エリアにおいて識別情報の更新を禁止する。他方、制御装置10は、自車両が交差点を含む交差エリア内を走行すると判断できなかった場合は、ステップS103へ進む。
【0078】
続くステップS103において、制御装置10は、自車両が右左折するタイミングであるか否かを判断する。具体的には、自車両の方向指示器301が灯火中であるか否かを判断する。自車両の方向指示器301が灯火中である場合は、自車両は右左折中であると判断し、ステップS106へ進む。一方、車両の方向指示器301が消灯中である場合は、自車両は直進中であると判断し、ステップS105へ進む。この処理については、後述する。
【0079】
続くステップS106において、制御装置10は、自車両が右左折の操作を完了したか否かを判断する。具体的には、自車両の操舵角センサ303により検出される操舵角の変化と方向指示器301のオンオフを観察する。自車両の操舵角がゼロとなり、方向指示器301の灯火がオフとなった場合は、右左折の操作が完了したと判断し、ステップS107へ進み、そうでない場合はステップS108へ進む。
【0080】
このステップS107において、制御装置10は、自車両の操舵角がゼロとなり、方向指示器301の灯火がオフとなった場合は、自車両の右左折操作が完了したと判断し、識別情報の更新を実行する。
【0081】
他方、ステップS108において、制御装置10は、方向指示器301が灯火されてから操舵角がゼロ及び方向指示器301が消灯されるまで、識別情報の更新を禁止する。
【0082】
次に、図11のステップS105の処理、すなわち第3の制御手法を、図12に基づいて説明する。図12は、自車両の識別情報の更新処理の第3の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0083】
ステップS1051は、図11のステップS103にて方向指示器の灯火がされていないと判断されたので、自車両は直進中であると判断できる。
【0084】
ステップS1051において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得する。
【0085】
ステップS1052において、制御装置10は、直進する自車両が、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であるか否かを判断する。交差点中央を通過したと判断したらステップS1054へ進む。他方、交差点中央を通過していない場合は、ステップS1053へ進む。
【0086】
ステップS1054において、制御装置10は、直進する自車両が交差点中央を通過した場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0087】
他方、ステップS1053において、制御装置10は、直進する自車両が交差点中央を通過していない場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両が交差点中央を通過するまで、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0088】
次に、第4の制御手法について説明する。図13は、自車両の識別情報の更新処理の第4の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0089】
ステップS201において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得するとともに、車載の車両コントローラ200を介して、車速センサ304により検出された車速を取得する。
【0090】
続くステップS202において、制御装置10は、走行中の自車両が交差点に到達するまでの時間又は距離が所定値未満であるか否かを判断する。具体的に、本処理において、制御装置10は、自車両が直近に到達する交差点中央までの到達距離が、人間が情報に対して適切な操作を実行できる反応時間と車載装置1の各装置の協働によって動作する運転支援装置400の処理時間とを加算した時間に相当する距離を考慮した所定の閾値未満であるか否かを判断する。そして、到達距離が所定値以上である場合はステップS203へ進み、到達距離が所定値未満である場合はステップS204へ進む。
【0091】
ステップS203において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値以上である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0092】
他方、ステップS204において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値未満である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0093】
最後に、第5の制御手法について説明する。図14は、自車両の識別情報の更新処理の第5の制御手法を説明するためのフローチャート図である。
【0094】
ステップS301において、制御装置10は、車載のナビゲーション装置500から自車両が現在走行する地図上の位置情報を取得するとともに、車載の車両コントローラ200を介して、車速センサ304により検出された車速を取得する。また、制御装置10は、自車両に搭載された運転支援装置400の障害物検出機能401、測距機能402から他車両の走行位置と車速を検出する。他車両の車速は、他車両の車両情報に含ませて無線通信装置110を介して他車両側から取得してもよい。
【0095】
続くステップS302において、制御装置10は、走行中の自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であるか否かを判断する。具体的に、本処理において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの到達時間(自車両と他車両との相対速度を考慮する)が、人間が情報に対して適切な操作を実行できる反応時間と車載装置1の各装置の協働によって動作する運転支援装置400の処理時間とを加算した時間を考慮した所定の閾値未満であるか否かを判断する。そして、到達時間が所定値以上である場合はステップS303へ進み、到達距離が所定値未満である場合はステップS304へ進む。
【0096】
ステップS303において、制御装置10は、自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値以上である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況ではないと判定し、自車両の識別情報の更新を実行する。
【0097】
他方、ステップS304において、制御装置10は、交差点までの到達距離が所定値未満である場合は、その自車両の走行状況は所定の接近状況であると判定し、自車両の識別情報の更新を禁止する。
【0098】
本実施形態の無線通信ユニット100は、以上のように構成され、機能するので、以下の効果を奏する。
【0099】
本発明によれば、車車間通信において、自車両が他の物体と接近する可能性のある接近状況であるときは、自車両の識別情報の更新を禁止するので、このような場面において実行される、車両の識別情報を用いた運転支援の動作を安定させることができる。
【0100】
つまり、自車両と他車両とが接近し、運転支援の動作が実行される確率の高い場面において識別番号を更新しないので、他車両は自車両を正確に特定でき、車両の識別情報を用いた運転支援の動作を安定させ、安全運転のための走行支援処理を正常に動作させることを担保しつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0101】
また、自車両が他の物体と接近する可能性のある接近状況でないときは、自車両の識別情報の更新を実行させるので、同様の効果を得ることができる。
【0102】
ところで、自車両の識別情報の更新は必要であるが、この識別情報の更新を任意のタイミングで実行すると、以下の問題がある。すなわち、他車両が自車両の識別情報に基づいて自車両を追尾しながら安全運転支援アプリケーションを起動させた場合において、この追尾の最中に自車両の識別情報が更新されると、自車両の追尾が困難になり他車両の安全運転支援アプリケーションの動作が不安定となる場合がある。そして、他車両の走行支援が不安定となると、他車両が自車両に接近しすぎるなど、自車両の安全にも影響を与えてしまう。
【0103】
また、自車両の識別情報の更新を任意のタイミングで実行すると、他車両は同一の自車両に対して異なる識別情報を取得することとなり、保持された識別情報と更新された識別情報とが混同され、識別情報が更新される前に得た走行支援情報と識別情報が更新され後に得た走行支援情報とが相反する事態が生じ、提供される運転支援情報の正確性が損なわれ、運転支援情報に対するユーザの信頼も損なわれてしまう。
【0104】
本実施形態の無線通信ユニット100は、走行支援に際して行われる障害物判定や接近度判定の結果に影響を与えるタイミングを抽出し、そのタイミング前後で自車両の識別情報の更新を禁止するので、誤った運転支援を実行することを防ぐことができる。
【0105】
すなわち、本実施形態の無線通信ユニット100は、識別情報の更新タイミングと他車両や歩行者などの障害物に対する注意度の判定のタイミングとが重ならないように、識別情報の更新を自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況において識別情報の更新を禁止する。このようにすることで、安全運転のための走行支援が実行される場面においては識別情報の更新を禁止し、一の識別情報のみを他車両へ送出するので、安定した走行支援を実行することができる。
【0106】
また、自車両の走行状況が接近状況であると判定された後に、接近状況ではないと判定されたときは、自車両の識別情報の更新を実行することにより、識別情報の更新をできるだけ早く実行させることができる。つまり、所定のタイミングが到来するのを待機するのではなく、自車両が接近状況から脱したときには、直ちに識別情報を更新させることができる。
【0107】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点などの他車両や歩行者と接近する可能性の高い場所を走行する状況において、識別情報の更新を禁止するので、交差点などで行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。
【0108】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況が、自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、走行支援処理に影響を与えないで識別情報の更新のタイミングを確保することができる。
【0109】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が直進して、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0110】
さらに、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が右左折をする状況であると判断する場合は、自車両の走行状況が接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点などを右左折する場面のように、他車両や歩行者と接近する可能性の高い場所を走行する状況において、識別情報の更新を禁止するので、車両の右左折時に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。
【0111】
また、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が右左折を完了した状況であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況ではないと判定し、識別情報の更新を実行するので、走行支援処理に影響を与えないで識別情報の更新のタイミングも確保することができる。
【0112】
さらにまた、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、自車両が交差点に接近する場面のように、自車両に他車両や歩行者に対する注意の喚起が要求される状況において、識別情報の更新を禁止するので、車両が交差点に接近する際に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。これにより、交差点における“出会い頭衝突防止システム”、“右折時衝突防止システム”、“左折時衝突防止システム”などの運転支援動作を正常に動作させつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0113】
加えて、本実施形態の無線通信ユニット100は、自車両の走行状況を、その自車両と他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、自車両の走行状況は接近状況であると判定し、識別情報の更新を禁止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。特に、後続車両が自車両を追い抜こうとする場面や、自車両が渋滞の末尾に到達して減速する場面のように、自車両と他車両との相対的位置関係の変化に対する注意の喚起が要求される状況において、識別情報の更新を禁止するので、自車両と他車両とが接近する際に行われる走行支援処理における判断を安定させることができる。これにより、“追突防止システム”などの運転支援動作を正常に動作させつつ車両の識別情報を更新することができる。
【0114】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0115】
すなわち、本明細書では、本発明に係る車車間通信装置の一態様として無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
また、本明細書では、本発明に係る車車間通信装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備えた無線通信ユニット100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0117】
また、本明細書では、本願発明に係る送信手段と、受信手段と、走行状況判定手段と、識別情報更新手段とを有する車車間通信装置の一態様として、送信機能Aと受信機能Bとを有する無線通信器20と、走行状況判定機能と識別情報更新機能を実現する制御装置10とを備えた無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
また、本明細書では、車載通信ネットワークを介して情報の授受が可能な車両コントローラ200、各種車載機器300、運転支援装置400、ナビゲーション装置500から車両情報を取得する無線通信ユニット100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0119】
1…車載装置
100…無線通信ユニット
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…無線通信器
200…車両コントローラ
300…各種車載センサ
301…方向指示器
302…操舵角センサ
303…車速センサ
304…スロットル開度センサ
305…ブレーキON/OFFセンサ
306…シフトポジションセンサ
400…運転支援装置
401…障害物検出機能
402…測距機能
403…注意喚起機能
404…障害物情報報知機能
500…ナビゲーション装置
501…現在位置検出装置
502…経路探索装置
530…地図データベース
600…情報提示装置
610…ディスプレイ
620…スピーカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信する送信手段と、
他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する受信手段と、を備える車車間通信装置において、
前記自車両の車両情報から判断される前記自車両の走行状況が、当該自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定する走行状況判定手段と、
前記自車両を特定する識別情報を所定のタイミングで更新するとともに、当該識別情報の更新をする際に、前記走行状況判定手段により自車両の走行状況が前記接近状況であると判定されたときは、前記自車両の識別情報の更新を禁止する識別情報更新手段と、を有する車車間通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
前記識別情報更新手段は、前記走行状況判定手段により自車両の走行状況が前記接近状況であると判定された後に、前記接近状況ではないと判定されたときは、前記自車両の識別情報の更新を実行する車車間通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、この自車両が現在走行する地図上の位置情報を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況が前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が直進して、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、前記自車両の進行方向に係る情報を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が右左折をする状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況が前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が右左折を完了した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、自車両が現在走行する地図上の位置情報と、車速を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記自車両から前記他車両までの距離を取得する距離取得手段をさらに備え、
前記走行状況判定手段は、前記取得された自車両から他車両までの距離と、前記自車両の車速を含む車両情報と、前記他車両の車速を含む車両情報とに基づいて、前記自車両の走行状況を、前記自車両と前記他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項10】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信し、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する車車間通信において、
前記自車両を特定する識別情報を更新する際に、
前記自車両の車両情報に基づいて前記自車両の走行状況を判断し、その判断された自車両の走行状況が、当該自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定し、
前記自車両の走行状況が前記接近状況であるときは、前記自車両の識別情報の更新を禁止する車車間通信方法。
【請求項1】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信する送信手段と、
他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する受信手段と、を備える車車間通信装置において、
前記自車両の車両情報から判断される前記自車両の走行状況が、当該自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定する走行状況判定手段と、
前記自車両を特定する識別情報を所定のタイミングで更新するとともに、当該識別情報の更新をする際に、前記走行状況判定手段により自車両の走行状況が前記接近状況であると判定されたときは、前記自車両の識別情報の更新を禁止する識別情報更新手段と、を有する車車間通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
前記識別情報更新手段は、前記走行状況判定手段により自車両の走行状況が前記接近状況であると判定された後に、前記接近状況ではないと判定されたときは、前記自車両の識別情報の更新を実行する車車間通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、この自車両が現在走行する地図上の位置情報を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点を含む交差エリアを走行する状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況が前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点を含む交差エリアを通過した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が直進して、交差点を含む交差エリアの中心を通過した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、前記自車両の進行方向に係る情報を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が右左折をする状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況が前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報提供装置において、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が右左折を完了した状況であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況ではないと判定する車車間通信装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記自車両の車両情報は、自車両が現在走行する地図上の位置情報と、車速を含み、
前記走行状況判定手段は、前記自車両の走行状況を、当該自車両が交差点に到達するまでの距離又は時間が所定値未満であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の情報提供装置において、
前記自車両から前記他車両までの距離を取得する距離取得手段をさらに備え、
前記走行状況判定手段は、前記取得された自車両から他車両までの距離と、前記自車両の車速を含む車両情報と、前記他車両の車速を含む車両情報とに基づいて、前記自車両の走行状況を、前記自車両と前記他車両とが所定距離未満に接近するまでの時間が所定値未満であると判断する場合は、当該自車両の走行状況は前記接近状況であると判定する車車間通信装置。
【請求項10】
自車両を特定する識別情報を含む情報を他車両に送信し、他車両が送出する、その他車両を特定する識別情報を含む情報を受信する車車間通信において、
前記自車両を特定する識別情報を更新する際に、
前記自車両の車両情報に基づいて前記自車両の走行状況を判断し、その判断された自車両の走行状況が、当該自車両と他の物体とが接近する可能性のある接近状況であるか否かを判定し、
前記自車両の走行状況が前記接近状況であるときは、前記自車両の識別情報の更新を禁止する車車間通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−204982(P2010−204982A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50178(P2009−50178)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]