説明

車載バッテリ充電支援装置、車載バッテリ充電支援方法及びコンピュータプログラム

【課題】渋滞や交通規制等の経路状況が変化した場合であっても、ユーザに充電スケジュールの修正を事前に行わせることを可能とした車載バッテリ充電支援装置、車載バッテリ充電支援方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】バッテリ7の充電を開始した後に設定された再確認時刻となると、その時点の交通情報に基づいて自車の現在位置から目的地までの経路を再度探索し(S21)、走行予定経路の経路情報に基づいて、予定走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定し(S23)、推定された必要エネルギー量に基づいて、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量までバッテリ7を充電することできるか否かを判定し(S26)、判定結果に基づいて案内を行う(S27)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動源である駆動モータに電力を供給する車載バッテリの充電を行うに際して、その充電を支援する車載バッテリ充電支援装置、車載バッテリ充電支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、バッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両等の電動車両が多く存在する。
そして、このような電動車両が備えるバッテリの充電を行う方法としては、自宅や専用の充電施設で充電を行う他に、車両走行中において減速時や降坂路走行中に発生するモータの回生電力やエンジンを用いて充電を行う方法がある。そこで、従来より、このような走行中に行われる充電について考慮して、目的地までの燃料消費量を抑制するようにエンジンやモータの制御スケジュールを設定することが提案されている。例えば、特開2003−9310号公報には、目的地までの走行予定経路の道路情報に基づいて、目的地までの燃料消費量が抑制されるように、エンジン及びモータの制御スケジュールを設定するハイブリッド車両の車両制御装置について記載されている。
【特許文献1】特開2003−9310号公報(第6頁〜第9頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記電動車両の内、特に外部電源からバッテリを充電することができる電気自動車及びプラグインハイブリッド車両については、走行開始前に“目的地に到着するまでに駆動モータの駆動に必要なエネルギー量(以下、必要エネルギー量という)”が予め充電されていることが望ましい。更に、バッテリは自然放電が発生するので、充電を完了してから走行を開始するまでに時間が経過すると、経過した時間に従ってバッテリに充電されたエネルギー量が徐々に減少する。従って、走行開始の直前においてバッテリに必要エネルギー量の充電を完了することが必要である。そこで、従来では、充電を開始する前に目的地へと走行する際の必要エネルギー量を予め予測し、予測された必要エネルギー量が走行開始時点までに充電されるように計画した充電スケジュールを生成し、生成した充電スケジュールに従って充電が行われていた。
【0004】
しかし、目的地までの走行予定経路の道路状況は常に一定ではなく、時刻に従って変化する。従って、充電開始前に予測していた必要エネルギー量よりも、実際に走行した際に必要となる必要エネルギー量が多くなる場合がある。その場合には、目的地までの経路の途中でバッテリ残量が不足する。その結果、電気自動車では充電施設において充電を行わなければならないという問題があった。また、プラグインハイブリッド車両においても、エンジンを駆動してガソリンを消費しなければならないという問題があった。更に、プラグインハイブリッド車両では、モータのみを駆動して走行することを希望する場合には充電施設において充電を行う必要があるという問題があった。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、バッテリの充電を開始した後に、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量までバッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに把握させることができる車載バッテリ充電支援装置、車載バッテリ充電支援方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車載バッテリ充電支援装置(1)は、車両(2)が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得手段(33)と、前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータ(5)の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定手段(33)と、前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリ(7)に対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成手段(33)と、前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電手段(33)と、前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得手段(33)と、前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定手段(33)と、前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定手段によって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定手段(33)と、前記充電判定手段の判定結果に基づく案内を行う充電案内手段(33)と、を有することを特徴とする。
ここで、「車両」とはバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車以外にも、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両も含む。
【0007】
また、請求項2に係る車載バッテリ充電支援装置(1)は、請求項1に記載の車載バッテリ充電支援装置であって、前記必要エネルギー量再推定手段(33)は、前記走行開始予定時刻の所定時間前のタイミングにおいて前記必要エネルギー量を再推定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る車載バッテリ充電支援装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の車載バッテリ充電支援装置であって、車両(2)の走行予定経路を特定する経路特定手段(33)を有し、前記必要エネルギー量推定手段(33)は、前記車両が前記走行予定経路を走行する際に前記駆動モータ(5)の駆動に必要な必要エネルギー量を推定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る車載バッテリ充電支援装置(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載バッテリ充電支援装置であって、前記走行開始予定時刻の所定時間前の交通情報を取得する交通情報取得手段(33)を有し、前記必要エネルギー量再推定手段(33)は、前記交通情報に基づいて前記必要エネルギー量を再推定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る車載バッテリ充電支援方法は、車両(2)が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得ステップ(S5)と、前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータ(5)の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定ステップ(S11)と、前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリ(7)に対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成ステップ(S12)と、前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電ステップ(S14)と、前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得ステップ(S2、S24)と、前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定ステップ(S23)と、前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定ステップによって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定ステップ(S26)と、前記充電判定ステップにおける判定結果に基づく案内を行う充電案内ステップ(S27)と、を有することを特徴とする。
【0011】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両(2)が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得機能(S5)と、前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータ(5)の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定機能(S11)と、前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリに対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成機能(S12)と、前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電機能(S14)と、前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得機能(S2、S24)と、前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定機能(S23)と、前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定機能によって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定機能(S26)と、前記充電判定機能における判定結果に基づく案内を行う充電案内機能(S27)と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に記載の車載バッテリ充電支援装置によれば、バッテリの充電を開始した後に、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量まで車載バッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに把握させることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の車載バッテリ充電支援装置によれば、走行開始予定時刻の所定時間前に目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定できるので、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量まで車載バッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに正確に把握させることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の車載バッテリ充電支援装置によれば、走行開始予定時刻の所定時間前に取得した渋滞や交通規制等の交通情報に基づいて目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定するので、必要エネルギー量をより正確に推定することが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の車載バッテリ充電支援装置によれば、車両が走行する予定の走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定するので、必要エネルギー量をより正確に推定することが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の車載バッテリ充電支援方法によれば、車載バッテリの充電を開始した後に、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量までバッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに把握させることができる。
【0017】
更に、請求項6に記載のコンピュータプログラムによれば、車載バッテリの充電を開始した後に、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量まで車載バッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに把握させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る車載バッテリ充電支援装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を車載機として搭載した電動車両2の電動車両制御システム3の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る電動車両制御システム3の概略構成図、図2は本実施形態に係る電動車両制御システム3の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、電動車両は外部電源からバッテリを充電することができる電動車両とする。そして、外部電源からバッテリを充電することができる電動車両としては、モータのみを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするプラグインハイブリッド車両があるが、以下に説明する本実施形態ではプラグインハイブリッド車両を用いることとする。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電動車両制御システム3は、車両2に対して設置されたナビゲーション装置1と、エンジン4と、駆動モータ5と、発電機6と、バッテリ7と、プラネタリギヤユニット8と、車両制御ECU9と、エンジン制御ECU10と、駆動モータ制御ECU11と、発電機制御ECU12と、充電制御ECU13とから基本的に構成されている。
【0020】
ここで、ナビゲーション装置1は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、車両周辺の地図や目的地までの案内経路を表示する液晶ディスプレイ15や、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16等を備えている。そして、GPS等によって車両2の現在位置を特定するととともに、目的地が設定された場合においては目的地までの経路の探索、並びに設定された経路に従った案内を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、後述するようにバッテリ7への充電を行う際において、充電スケジュールを生成するとともに、バッテリ7の充電を開始する前及び開始した後に、生成された充電スケジュールを用いて走行開始予定時刻までに“目的地に到着するまでに駆動モータの駆動に必要なエネルギー量(以下、必要エネルギー量という)”がバッテリ7に充電できるか否かの判定を行う。更に、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量がバッテリ7に充電できないと判定された場合には、その旨を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する。尚、ナビゲーション装置1の詳細な構成については後述する。
【0021】
また、エンジン4はガソリン、軽油、エタノール等の燃料によって駆動される内燃機関等のエンジンであり、車両2の第1の駆動源として用いられる。そして、エンジン4の駆動力であるエンジントルクはプラネタリギヤユニット8に伝達され、プラネタリギヤユニット8により分配されたエンジントルクの一部により駆動輪17が回転させられ、車両2が駆動される。
【0022】
また、駆動モータ5はバッテリ7から供給される電力に基づいて回転運動するモータであり、車両2の第2の駆動源として用いられる。駆動モータはバッテリ7から供給された電力により駆動され、駆動モータ5のトルクである駆動モータトルクを発生する。そして、発生した駆動モータトルクにより駆動輪17が回転させられ、車両2が駆動される。
特に、本実施形態に示すようなプラグインハイブリッド車両では、バッテリの残容量が0となるまでは駆動モータ5のみにより車両2が駆動され、バッテリの残容量が0となった後はエンジン4も用いて車両が駆動される。また、加速走行時においてはエンジン4と駆動モータ5の両方により駆動力を発生させ、車両2を駆動するようにしても良い。
更に、エンジンブレーキ必要時及び制動停止時において、駆動モータ5は回生ブレーキとして機能し、車両慣性エネルギーを電気エネルギーとして回生する。
【0023】
また、発電機6はプラネタリギヤユニット8により分配されたエンジントルクの一部により駆動され、電力を発生させる発電装置である。そして、発電機6は図示されない発電機用インバータを介してバッテリ7に接続されており、発生した交流電流を直流電流に変換し、バッテリ7に供給する。尚、駆動モータ5と発電機6を一体的に構成しても良い。
【0024】
また、バッテリ7は充電と放電とを繰り返すことができる蓄電手段としての二次電池であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が用いられる。更に、バッテリ7は車両2の側壁に設けられた充電コネクタ18と接続されている。そして、自宅や所定の充電設備を備えた充電施設において、充電コネクタ18をコンセント等の電力供給源に接続することにより、バッテリ7の充電を行うことが可能となる。更に、バッテリ7は上記駆動モータで発生した回生電力や発電機で発電された電力によっても充電される。
【0025】
また、プラネタリギヤユニット8はサンギヤ、ピニオン、リングギヤ、キャリア等によって構成され、エンジン4の駆動力の一部を発電機6へと分配し、残りの駆動力を駆動輪17へと伝達する。
【0026】
また、車両制御ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)9は、車両2の全体の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU9には、エンジン4の制御を行う為のエンジン制御ECU10、駆動モータ5の制御を行う為の駆動モータ制御ECU11、発電機6の制御を行う為の発電機制御ECU12、バッテリ7の制御を行う為の充電制御ECU13が接続されるとともに、ナビゲーション装置1が備える後述のナビゲーションECU33に接続されている。
そして、車両制御ECU9は、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラム等が記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0027】
また、エンジン制御ECU10、駆動モータ制御ECU11、発電機制御ECU12及び充電制御ECU13は、図示しないCPU、RAM、ROM等からなり、それぞれエンジン4、駆動モータ5、発電機6、バッテリ7の制御を行う。
【0028】
続いて、ナビゲーション装置1の構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(走行開始予定時刻取得手段、必要エネルギー量推定手段、充電スケジュール生成手段、バッテリ充電手段、充電状態取得手段、必要エネルギー量再推定手段、充電判定手段、充電案内手段、経路特定手段、交通情報取得手段)33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して自車周辺の地図やバッテリの充電の案内を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスやバッテリの充電の案内を出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37、プローブセンタ、VICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、から構成されている。また、ナビゲーションECU33には、自車の走行速度を検出する車速センサ等が接続される。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の自車の位置、方位、自車の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両2の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両2の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0030】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された車両パラメータDB46、地図情報DB47、充電スケジュール48、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0031】
ここで、車両パラメータDB46は、車両2に関する各種パラメータを記憶するDBである。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、駆動輪の転がり抵抗係数μr、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等が記憶される。尚、各車両パラメータは後述するようにナビゲーションECU33によって、車両2が目的地まで走行する際に駆動モータ5で消費される消費エネルギー量を推定するのに用いられる。
【0032】
ここで、地図情報DB47は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。尚、リンクデータには道路の勾配に関する情報も含まれる。また、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径等)に関する情報も含まれる。
【0033】
また、充電スケジュール48は車両2が目的地をナビゲーション装置1に設定した際においてナビゲーションECU33により生成され、車両が目的地への走行を開始する時刻までにバッテリ7に対して必要エネルギー量の充電を行うためにバッテリの充電をどのように制御するのかを決定するスケジュールである。尚、充電スケジュール48の詳細については後述する(図3参照)。
【0034】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの誘導経路を設定する誘導経路設定処理、充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成処理、充電スケジュールに従って充電したと仮定した場合に走行開始予定時刻までにバッテリに必要エネルギー量を充電できるか否かを判定する充電判定処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ、充電確認フラグ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、充電判定処理プログラム(図4、図5参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0035】
操作部34は、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0036】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。更に、ナビゲーション装置1で設定された充電スケジュールに従って充電を行ったと仮定した場合に走行開始予定時刻までにバッテリに必要エネルギー量を充電できない場合には、駆動モータ5の駆動に基づく走行(EV走行)のみによって目的地まで走行できないことを案内する案内画面を表示する。
【0037】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。更に、ナビゲーション装置1で設定された充電スケジュールに従って充電を行ったと仮定した場合に走行開始予定時刻までにバッテリに必要エネルギー量を充電できない場合には、EV走行のみによって目的地まで走行できないことを案内する案内音声を出力する。
【0038】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB47の更新等が行われる。
【0039】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0040】
尚、本実施形態に係るナビゲーション装置1は、通常電源モードと低電源モードの2種類のモード内のいずれかのモード状態に設定される。通常モードは、自車のACC(アクセサリーキー)がONされている場合に設定される。また、低電源モードは、自車のACCがOFFされている場合に設定される。
そして、通常モードに設定されている状態では、ナビゲーション装置1の備える全ての機能を使用することができる。一方、低電源モードに設定されている時には、バッテリ7の充電を管理する充電管理機能や充電スケジュール48の生成及び管理を行うスケジュール管理機能のみが使用可能となる。
【0041】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1において設定される充電スケジュール48について図3を用いて説明する。尚、図3は、充電開始前のバッテリ7のエネルギー残量がE、充電開始時刻がt1、走行開始予定時刻がt2、必要エネルギー量がEn、バッテリへの充電速度v[J/h]である場合に生成される充電スケジュールの一例である。
図3に示す充電スケジュール48が設定された場合には、充電制御ECU13は、現在時刻がt1となった時点でバッテリ7の充電を開始する。そして、現在時刻がt2となった時点で充電を終了する。それにより、走行開始予定時刻t2までに必要エネルギー量Enをバッテリ7に充電することが可能となる。
【0042】
そして、上記充電スケジュール48は後述のようにユーザがバッテリ7の充電を開始させるための所定の操作を行った場合に、ナビゲーションECU33によって生成される。
具体的には、ナビゲーションECU33は、ユーザの入力情報に基づいて走行開始予定時刻t2を取得し、更に、ユーザにより設定された目的地までの経路とその経路の経路情報とに基づいて必要エネルギー量Enを算出する。更に、ナビゲーションECU33は、現在のバッテリ7のエネルギー残量Eを検出し、バッテリへの充電速度v[J/h]に基づいて、走行開始予定時刻t2の直前(例えば3分前)に必要エネルギー量Enがバッテリ7に充電されるように、充電開始時刻t1を決定する
【0043】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU33が実行する充電判定処理プログラムについて図4及び図5に基づき説明する。図4及び図5は本実施形態に係る充電判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、充電判定処理プログラムは、ユーザにより所定の充電開始操作を受け付けた場合に実行され、充電スケジュールを生成するとともに、バッテリ7の充電を開始する前及び開始した後に、生成された充電スケジュールを用いて走行開始予定時刻までに必要エネルギー量がバッテリ7に充電できるか否かの判定を行うプログラムである。尚、以下の図4及び図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM52やROM53に記憶されており、CPU51により実行される。
【0044】
先ず、充電判定処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、ナビゲーション装置1において目的地及び走行開始時刻が設定されているか否か判定する。そして、目的地が設定されていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、目的地が設定されていないと判定された場合(S1:NO)には、S17へと移行する。
尚、S17では、CPU51は充電指示を充電制御ECU13へと送信する。その結果、充電制御ECU13はバッテリ7への充電を実行する。その際に実行されるバッテリ7への充電は、充電スケジュール48に依らない充電であり、充電制御ECU13はナビゲーション装置1から充電指示を受信した直後に充電を開始し、満充電となるまで或いはユーザからの充電終了操作を受け付けるまで充電を継続して行う。
【0045】
S2においてCPU51は、自車に搭載されたバッテリ7の充電速度及びSOC値(バッテリ7のエネルギー残量)について充電制御ECU13から取得する。尚、本実施形態では、充電速度は充電を実行する施設(自宅を含む)の種類に関わらず固定値とする。尚、上記S2が充電状態取得手段の処理に相当する。
【0046】
次に、S3においてCPU51は、自車が充電可能な状態にあるか否か判定する。尚、充電可能な状態にあると判定される場合とは、充電施設(自宅を含む)に自車が位置する場合であって、且つ充電コネクタ18に充電施設の電力供給源の端子が接続されている場合である。
【0047】
そして、自車が充電可能な状態にあると判定された場合(S3:YES)には、S5へと移行する。一方、自車が充電可能な状態にないと判定された場合(S3:NO)には、バッテリの充電をすることができない旨を案内するエラー表示や警告音等を出力する(S4)。その後、当該充電判定処理プログラムを終了する。
【0048】
次に、S5においてCPU51は、自車が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻をRAM52等から取得する。尚、走行開始予定時刻は、ユーザが目的地を設定した際に同時に入力される情報であり、目的地に関する情報とともにRAM52等に記憶されている。
【0049】
続いて、S6においてCPU51は、今後に生成される充電スケジュール48に従って充電を実行するか否か判定する。具体的には、液晶ディスプレイ15に対して今後に生成される充電スケジュール48に従って充電を実行するか否かをユーザに確認する選択ボタンを表示し、ユーザの選択操作に基づいて判定する。
【0050】
そして、今後に生成される充電スケジュール48に従って充電を実行すると判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。一方、今後に生成される充電スケジュール48に従って充電を実行しないと判定された場合(S6:NO)には、S17へと移行する。尚、S17では、前記したようにCPU51は充電指示を充電制御ECU13へと送信する。そして、充電制御ECU13は充電スケジュール48に依らないバッテリへの充電を実行する。
【0051】
S7においてCPU51は、RAM52から充電確認フラグを読み出し、充電確認フラグがONか否か判定する。尚、充電フラグはバッテリ7への充電開始前における後述の充電可否判定(S12)を行った後にONされる(S15)。また、充電確認フラグは当該充電判定処理プログラムを終了する際にOFFされる。
【0052】
そして、充電確認フラグがONでないと判定された場合(S7:NO)には、S8へと移行する。一方、充電確認フラグがONであると判定された場合(S7:YES)には、図5のS18へと移行する。
【0053】
S8においてCPU51は、プローブセンタから交通情報(渋滞情報、規制情報)を取得する。
【0054】
続いて、S9においてCPU51は、地図情報DB47に記憶されたリンクデータやノードデータ及び前記S8で取得した交通情報(渋滞情報、規制情報)等に基づいて、出発地(自車の現在位置)から目的地へと到達する経路を探索する。そして、経路探索の結果に基づいて最適な案内経路(即ち、走行予定経路)を特定する。尚、経路探索処理は、公知のダイクストラ法等を用いて行う。また、上記S9が経路特定手段の処理に相当する。
【0055】
次に、S10においてCPU51は、車両パラメータDB46を読み出し、自車に関する各種パラメータ情報を取得する。具体的には、前面投影面積A[m]、駆動機構慣性重量Wr[kN]、車重M[kg]、駆動輪の転がり抵抗係数μr、空気抵抗係数μl、コーナリング抵抗Rc[kN]等である。
更に、S9においてCPU51は、前記S8で特定された走行予定経路全体の経路情報を取得する。ここで、取得される経路情報としては、走行予定経路中にある、交差点に関する情報(位置、信号の有無、車線数に関する情報を含む)、傾斜区間に関する情報(傾斜角度に関する情報を含む)、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径に関する情報を含む)、渋滞情報(渋滞の開始点、渋滞長、渋滞度、走行予定経路を構成する各リンクの平均車速)等である。そして、これらの経路情報は、地図情報DB47から読み出すこと、又は前記S8で取得した交通情報から走行予定経路に係る情報を抽出することにより取得する。
【0056】
続いて、S11においてCPU51は、前記S9で特定された走行予定経路を走行する際に駆動モータ5の駆動に必要な必要エネルギー量を推定する。ここで、車両の走行に基づいて駆動源(本実施形態では駆動モータ5)で消費される消費エネルギー量は、車両に生じる空気抵抗Rl、転がり抵抗Rr、勾配抵抗Ri、加速抵抗Ro等の各種走行抵抗に依存することが一般に知られている。ここで、各種走行抵抗Ro、Rr、Rl、Riに基づく駆動モータ5の消費エネルギーEo、Er、El、Eiは、前記S9で取得した自車情報及び走行予定経路の経路情報に基づいて算出される。尚、具体手的な算出方法に関しては既に公知であるので、詳細な説明は省略する。
そして、走行予定経路を走行する際に駆動モータ5の駆動に必要なトータルの必要エネルギー量Enは、走行予定経路の走行中にバッテリ7に蓄えられると推定される回生エネルギーのエネルギー量Ereを考慮すると、以下の式(1)で表される。
n=Eo+Er+El+Ei−Ere・・・・(1)
尚、回生エネルギーのエネルギー量Ereは、前記S9で取得した走行予定経路の経路情報に基づいて、走行予定経路中にある降坂路や制動が予測される地点(交差点、カーブ、渋滞エリア)を考慮して算出される。また、上記S11が必要エネルギー量推定手段の処理に相当する。
【0057】
次に、S12においてCPU51は、前記S2で取得した充電速度及びSOC値、前記S5で取得した走行開始予定時刻、前記S11で推定した必要エネルギー量に基づいて、充電スケジュール48が生成される。具体的には、CPU51は、現在のバッテリ7のエネルギー残量とバッテリへの充電速度に基づいて、走行開始予定時刻の直前(例えば3分前)に必要エネルギー量がバッテリ7に充電されるように、充電開始時刻を決定する(図3参照)。また、上記S12が充電スケジュール生成手段の処理に相当する。
【0058】
続いて、S13においてCPU51は、前記S12で生成された充電スケジュール48に基づいて、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量をバッテリ7に充電することが可能か否かを判定する。ここで、現在時刻から直ぐに充電を開始しても走行開始予定時刻までに必要エネルギー量が充電できない場合には、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量をバッテリ7に充電することができないと判定する。
【0059】
そして、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量をバッテリ7に充電することが可能であると判定された場合(S13:YES)には、S14へと移行する。それに対して、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量をバッテリ7に充電することができないと判定された場合(S13:NO)には、S17へと移行する。
【0060】
S14では、CPU51は前記S12で生成された充電スケジュール48とともに、充電指示を充電制御ECU13へと送信する。その結果、充電制御ECU13は充電スケジュール48に基づくバッテリ7への充電を実行する。その際に実行されるバッテリ7への充電は、充電スケジュール48に従って実行する充電であり、充電制御ECU13は充電スケジュール48に規定された充電開始時刻に充電を開始し、走行開始予定時刻の直前(例えば3分前)まで充電を継続して行う。
【0061】
次に、S15においてCPU51は、生成された充電スケジュールを用いて走行開始予定時刻までに必要エネルギー量がバッテリ7に充電できるか否かの判定を再度行う再確認時刻を設定する。本実施形態では再確認時刻を走行開始予定時刻の所定時間前(例えば5分前)に設定する。尚、再確認時刻はユーザの操作に基づいて設定しても良い。
【0062】
続いて、S16においてCPU51は、RAM52から充電確認フラグを読み出し、読み出した充電確認フラグをONに設定する。その後、図5のS18へと移行する。
【0063】
一方、S17においてCPU51は、走行開始予定時刻までバッテリ7を充電したとしても必要エネルギー量まで充電をすることができない旨を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する。また、走行開始予定時刻を遅らせることや目的地までの経路上にある充電施設で充電することを勧める案内しても良い。更に、立ち寄って充電するのに適した充電施設に関する情報(充電施設の位置等)を案内しても良い。
【0064】
S18においてCPU51は、充電指示を充電制御ECU13へと送信する。その結果、充電制御ECU13はバッテリ7への充電を実行する。その際に実行されるバッテリ7への充電は、充電スケジュール48に依らない充電であり、充電制御ECU13はナビゲーション装置1から充電指示を受信した直後に充電を開始し、満充電となるまで或いはユーザからの充電終了操作を受け付けるまで充電を継続して行う。その後、当該充電判定処理プログラムを終了する。
【0065】
また、S19においてCPU51は、現在時刻が前記S15で設定された再確認時刻となったか否かを判定する。尚、本実施形態では再確認時刻は、走行開始予定時刻の所定時間前(例えば5分前)に設定される。
【0066】
そして、現在時刻が再確認時刻となったと判定された場合(S19:YES)には、S20へと移行する。それに対して、現在時刻が再確認時刻となっていないと判定された場合(S19:NO)には、再確認時刻となるまで待機する。
【0067】
S20においてCPU51は、プローブセンタから交通情報(渋滞情報、規制情報)を新たに取得する。尚、上記S20が交通情報取得手段の処理に相当する。
【0068】
続いて、S21においてCPU51は、地図情報DB47に記憶されたリンクデータやノードデータ及び前記S20で新たに取得した交通情報(渋滞情報、規制情報)等に基づいて、出発地(自車の現在位置)から目的地へと到達する経路を再度探索する。そして、経路探索の結果に基づいて最適な案内経路(即ち、走行予定経路)を特定する。尚、前記S9の処理を実行した時から交通情報が変化した場合には、前記S9で特定された走行予定経路と異なる経路となる走行予定経路が特定される場合もある。また、上記S21が経路特定手段の処理に相当する
【0069】
次に、S22においてCPU51は、前記S21で特定された走行予定経路全体の経路情報を新たに取得する。ここで、取得される経路情報としては、S9と同じく走行予定経路中にある、交差点に関する情報(位置、信号の有無、車線数に関する情報を含む)、傾斜区間に関する情報(傾斜角度に関する情報を含む)、カーブに関する情報(開始点、終了点、旋回半径に関する情報を含む)、渋滞情報(渋滞の開始点、渋滞長、渋滞度、走行予定経路を構成する各リンクの平均車速)等である。そして、これらの経路情報は、地図情報DB47から読み出すこと、又は前記S20で取得した交通情報から走行予定経路に係る情報を抽出することにより取得する。
【0070】
続いて、S23においてCPU51は、前記S10で取得した自車情報及び前記S22で取得された走行予定経路の経路情報に基づいて、前記S21で特定された走行予定経路を走行する際に駆動モータ5の駆動に必要な必要エネルギー量を再推定する。尚、具体手的な処理内容に関しては前記S11と同様であるので、省略する。尚、上記S23が必要エネルギー量再推定手段の処理に相当する。
【0071】
ここで、前記S23で推定される必要エネルギー量と前記S11で推定される必要エネルギー量とは異なる場合がある。具体的には、前記S9で設定された走行予定経路上に渋滞や規制などが新たに発生し、走行予定経路自体が変更される場合がある。また、走行経路自体は変更されなくとも、走行予定経路上に新たに発生した渋滞によって駆動モータ5の加速抵抗に基づく消費エネルギーが増加し、必要エネルギー量が増加する場合がある。
例えば、図6は、前記S9の第1回目の経路探索において特定された自車の現在位置61から目的地62までの走行予定経路63と、前記S11で推定される走行予定経路63を走行する際に必要となる必要エネルギー量を示した図である。また、図7は、図6に示す走行予定経路63が設定された後に走行予定経路63上に交通規制が新たに発生し、その後に前記S21の第2回目の経路探索を行った場合において、S21で特定される自車の現在位置61から目的地62までの走行予定経路64と、前記S23で推定される走行予定経路64を走行する際に必要となる必要エネルギー量を示した図である。更に、図8は、図6に示す経路が設定された後に走行予定経路63上に渋滞が新たに発生し、その後に、前記S21の第2回目の経路探索を行った場合において、S21で特定される自車の現在位置61から目的地62までの走行予定経路63と、前記S23で推定される走行予定経路63を走行する際に必要となる必要エネルギー量を示した図である。尚、A〜F、C´は各リンクを走行するのに必要な必要エネルギー量を示す。
図6と図7を比較すると、第1回目の経路探索を行ってから第2回目の経路探索を行うまでの間に走行予定経路63上に交通規制が発生したことによって、走行予定経路が変更される。その結果、必要エネルギー量も「A+B+C」から「A+D+E+F」へと変更される。
また、図6と図8を比較すると、第1回目の経路探索を行ってから第2回目の経路探索を行うまでの間に走行予定経路63上に渋滞エリアが発生したことによって、走行予定経路は変更されないが、渋滞の発生したエリアを含むリンクを走行するのに必要な必要エネルギー量が「C」から「C´(>C)」へと変更される。その結果、必要エネルギー量も「A+B+C」から「A+B+C´」へと変更される。
【0072】
また、S24においてCPU51は、自車に搭載されたバッテリ7の充電速度及びSOC値について充電制御ECU13から取得する。尚、上記S24が充電状態取得手段の処理に相当する。
【0073】
更に、S25においてCPU51は、現在の充電スケジュール48に従って走行開始予定時刻まで充電を行った場合に、バッテリ7に充電されるエネルギー量(以下、充電可能エネルギー量という)を算出する。尚、充電可能エネルギー量の算出は、前記S24で取得した現在のバッテリ7のSOC値と前記S5で取得した走行開始予定時刻と充電速度とに基づいて算出される。
【0074】
次に、S26においてCPU51は、前記S24で取得した充電可能エネルギー量と前記S23で再推定された必要エネルギー量とに基づいて、目的地までEV走行のみで走行できるか否かを判定する。ここで、充電可能エネルギー量が必要エネルギー量と同じか、又は充電可能エネルギー量の方が上回っている場合には、目的地までEV走行のみで走行できると判定する。尚、上記S26が充電判定手段の処理に相当する。
【0075】
そして、目的地までEV走行のみで走行できると判定された場合(S26:YES)には、案内を行うことなく、当該充電判定処理プログラムを終了する。一方、目的地までEV走行のみで走行できないと判定された場合(S26:NO)には、目的地までEV走行のみでは走行できない旨を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する(S27)。また、走行開始予定時刻を遅らせることや目的地までの経路上にある充電施設で充電することを勧める案内しても良い。更に、立ち寄って充電するのに適した充電施設に関する情報(充電施設の位置等)を案内しても良い。それによって、ユーザはバッテリ7の充電スケジュールを変更することが可能となる。尚、上記S27が充電案内手段の処理に相当する。
【0076】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による車載バッテリ充電支援方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、充電を開始する際に、先ずその時点の交通情報に基づいて自車の現在位置から目的地までの経路を探索し(S9)、走行予定経路の経路情報に基づいて走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を推定する(S11)。その後、設定された再確認時刻となると、その時点の交通情報に基づいて自車の現在位置から目的地までの経路を再度探索し(S21)、走行予定経路の経路情報に基づいて、予定走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を推定し(S23)、推定された必要エネルギー量に基づいて、走行開始予定時刻までに必要エネルギー量までバッテリ7を充電することできるか否かを判定し(S26)、判定結果に基づいて案内を行う(S27)ので、バッテリの充電を開始した後に、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量までバッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに把握させることができる。
また、走行開始予定時刻の所定時間前に目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定できるので、走行開始予定時刻までに目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量まで車載バッテリを充電することが可能であるか否かをユーザに正確に把握させることが可能となる。また、走行開始予定時刻の所定時間前に取得した渋滞や交通規制等の交通情報に基づいて目的地まで走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定するので、必要エネルギー量をより正確に推定することが可能となる。また、車両が走行する予定の走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を再推定するので、必要エネルギー量をより正確に推定することが可能となる。
【0077】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、本願発明をモータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両が備えるナビゲーション装置に適用した例について説明しているが、モータのみを駆動源とする電気自動車が備えるナビゲーション装置にも適用することが可能である。
【0078】
また、本実施形態では前記S4、S17及びS27における案内をナビゲーション装置1の液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行うこととしているが、ユーザの所有する携帯電話機等の通信端末に対して案内に関する情報を送信し、その通信端末を介して前記S4、S17及びS27における案内を行うようにしても良い。
【0079】
また、本実施形態では走行予定経路を走行するのに必要な必要エネルギー量を車両に生じる空気抵抗Rl、転がり抵抗Rr、勾配抵抗Ri、加速抵抗Ro等の各種走行抵抗に基づいて推定することとしているが、過去の走行履歴に基づく学習結果に基づいて推定しても良い。
【0080】
また、前記S23で再推定された必要エネルギー量が前記S11で推定された必要エネルギー量より増えた場合には、S26の判定処理を行わずに、S27の案内処理を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態に係る電動車両制御システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る電動車両制御システムの制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】充電スケジュールの一例を示した図である。
【図4】本実施形態に係る充電判定処理プログラムのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る充電判定処理プログラムのフローチャートである。
【図6】第1回目の経路探索処理によって設定される走行予定経路と必要エネルギー量を示した図である。
【図7】第2回目の経路探索処理によって設定される走行予定経路と必要エネルギー量を示した図である。
【図8】第2回目の経路探索処理によって設定される走行予定経路と必要エネルギー量を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
1 ナビゲーション装置
2 車両
3 電動車両制御システム
5 駆動モータ
7 バッテリ
15 ディスプレイ
16 スピーカ
33 ナビゲーションECU
51 CPU
52 RAM
53 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得手段と、
前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータの駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定手段と、
前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリに対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成手段と、
前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電手段と、
前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得手段と、
前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定手段と、
前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定手段によって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定手段と、
前記充電判定手段の判定結果に基づく案内を行う充電案内手段と、を有することを特徴とする車載バッテリ充電支援装置。
【請求項2】
前記必要エネルギー量再推定手段は、前記走行開始予定時刻の所定時間前のタイミングにおいて前記必要エネルギー量を再推定することを特徴とする請求項1に記載の車載バッテリ充電支援装置。
【請求項3】
前記走行開始予定時刻の所定時間前のタイミングにおいて交通情報を取得する交通情報取得手段を有し、
前記必要エネルギー量再推定手段は、前記交通情報に基づいて前記必要エネルギー量を再推定することを特徴とする請求項2に記載の車載バッテリ充電支援装置。
【請求項4】
車両の走行予定経路を特定する経路特定手段を有し、
前記必要エネルギー量推定手段は、前記車両が前記走行予定経路を走行する際に前記駆動モータの駆動に必要な必要エネルギー量を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載バッテリ充電支援装置。
【請求項5】
車両が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得ステップと、
前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータの駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定ステップと、
前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリに対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成ステップと、
前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電ステップと、
前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得ステップと、
前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定ステップと、
前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定ステップによって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定ステップと、
前記充電判定ステップにおける判定結果に基づく案内を行う充電案内ステップと、を有することを特徴とする車載バッテリ充電支援方法。
【請求項6】
コンピュータに搭載され、
車両が目的地への走行を開始する走行開始予定時刻を取得する走行開始予定時刻取得機能と、
前記車両が目的地へと走行する際に前記車両の駆動力を発生させる駆動モータの駆動に必要な必要エネルギー量を推定する必要エネルギー量推定機能と、
前記車両の走行開始予定時刻までに前記駆動モータにエネルギーを供給する車載バッテリに対して前記必要エネルギー量を充電する為の充電スケジュールを生成する充電スケジュール生成機能と、
前記充電スケジュールに従って前記車載バッテリに充電を行うバッテリ充電機能と、
前記車載バッテリの充電状態を取得する充電状態取得機能と、
前記車載バッテリの充電を開始した後に前記必要エネルギー量を再推定する必要エネルギー量再推定機能と、
前記走行開始予定時刻までに前記必要エネルギー量再推定機能によって再推定された前記必要エネルギー量まで前記車載バッテリを充電することが可能であるか否かを判定する充電判定機能と、
前記充電判定機能における判定結果に基づく案内を行う充電案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−93999(P2010−93999A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264196(P2008−264196)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】