説明

車載地図表示装置

【課題】回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする車載地図表示装置の操作性を向上する。
【解決手段】(a)の地図画面が表示されているときに、図中のハッチング部分に示す右上方向のボタンが押されると、(b)のように地図のスクロール方向を示すためのカーソル22を表示する。そして、スクロールダイヤルが右方向に回転操作されると、地図を右上方向にスクロールして(c)のような地図画面を表示する。さらにスクロールダイヤル20が左方向に回転操作されると、地図を左下方向にスクロールして(b)のような地図画面に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、ユーザの指示に応じて表示した地図をスクロールするナビゲーション装置などの車載地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図をスクロールする際の操作性を向上するために、回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする方法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に開示される方法では、ダイヤルを回転させることで方向を指定した後に前進スイッチまたは後退スイッチを押すことで、指定した方向または指定した方向と逆方向に地図をスクロールする。
【0003】
【特許文献1】特開2004−258501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される地図のスクロール方法では、前進スイッチまたは後退スイッチを押すことで地図がスクロールされるため、地図のスクロール量やスクロール速度を調節することができない。このように、従来の地図スクロール方法では、回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする際の操作性に十分でない点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、ユーザの操作に応じて左右に回転する回転操作手段と、回転操作手段の回転方向に基づいて地図のスクロール方向を決定するスクロール方向決定手段と、回転操作手段の回転量に基づいて地図のスクロール量を決定するスクロール量決定手段と、スクロール方向決定手段により決定されたスクロール方向に向けて、スクロール量決定手段により決定されたスクロール量で、表示モニタに表示された地図をスクロールする表示制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載地図表示装置において、ユーザの操作に応じていずれかの方向を指定する方向指定操作手段をさらに備え、回転操作手段が右方向に回転された場合、スクロール方向決定手段は、方向指定操作手段により指定された方向を地図のスクロール方向とし、回転操作手段が左方向に回転された場合、スクロール方向決定手段は、方向指定操作手段により指定された方向と逆の方向を地図のスクロール方向とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の車載地図表示装置において、回転操作手段の回転量が所定量以上となった場合、表示モニタに表示された地図を連続的にスクロールするものである。
請求項4の発明は、請求項3の車載地図表示装置において、回転操作手段が左右いずれかの方向に所定量以上回転されて地図が連続的にスクロールされた場合、その方向とは逆方向に回転操作手段が回転されたときに、地図の連続スクロールを停止するものである。
請求項5の発明による車載地図表示装置は、ユーザの操作に応じて左右に回転する回転操作手段と、表示モニタ上のタッチ位置を検出するタッチパネル手段と、タッチパネル手段により検出されたタッチ位置に基づいて地図のスクロール方向を決定するスクロール方向決定手段と、回転操作手段の回転方向に基づいて地図のスクロール速度を決定するスクロール速度決定手段と、スクロール方向決定手段により決定されたスクロール方向に向けて、スクロール速度決定手段により決定されたスクロール速度で、表示モニタに表示された地図を連続的にスクロールする表示制御手段とを備えるものである。
請求項6の発明は、請求項5の車載地図表示装置において、回転操作手段が右方向に回転された場合、スクロール速度決定手段は地図のスクロール速度を加速し、回転操作手段が左方向に回転された場合、スクロール速度決定手段は地図のスクロール速度を減速するものである。
請求項7の発明は、請求項5または6の車載地図表示装置において、スクロール速度決定手段は、さらに回転操作手段の回転量に基づいて地図のスクロール速度を決定するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする車載地図表示装置の操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、探索した推奨経路を地図上に表示してその推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するものである。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行する。これにより、たとえば目的地の設定、推奨経路の探索、地図の表示などの様々な処理や制御がナビゲーション装置1において行われる。
【0009】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置マークを地図上に示したりすることができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に地図が表示される。
【0011】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。
【0012】
なお、入力装置17には、ユーザのスクロール操作を検出するためのスクロールダイヤルが含まれる。ユーザはこのスクロールダイヤルを操作することにより、表示モニタ16に表示された地図を任意の方向にスクロールすることができる。スクロールダイヤルの詳細については、後で説明する。
【0013】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より、地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データ、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる交差点名称や道路名称などの経路誘導データ、道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図要素を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0014】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。
【0015】
なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスク、メモリーカードなどから地図データを読み出すこととしてもよい。あるいは、外部より携帯電話回線などを介して送信される地図データを受信し、その地図データを用いることとしてもよい。すなわち、地図データの取得にはどのような方法を用いてもよい。
【0016】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0017】
次に地図のスクロール操作について説明する。ユーザは、前述のように入力装置17の一部として設けられたスクロールダイヤルを操作することにより、ナビゲーション装置1において表示された地図を任意の方向にスクロールすることができる。このときの具体的な操作方法について、以下に説明する。
【0018】
ナビゲーション装置1に設けられたスクロールダイヤルの外観図を図2に示す。このスクロールダイヤル20は、紙面に対して垂直方向にある中心軸を回転軸として、左右に回転可能な構造を有している。スクロールダイヤル20の上面には、上下左右斜めの8方向に対応する方向ボタン21が配置されている。ユーザは、方向ボタン21の中でいずれかの方向に対応するボタンを押すことにより、地図のスクロール方向を指定することができる。スクロールダイヤル20の設置位置は、ナビゲーション装置1の操作パネル上としてもよいし、あるいはリモコン上に設けられていてもよい。
【0019】
以上説明したスクロールダイヤル20の操作方法を図3により説明する。図3(a)は、自車位置周辺の地図を表示モニタ16に表示した地図画面の例を示している。この地図をスクロールさせる場合、ユーザはまず方向ボタン21を押すことにより、地図のスクロール方向を指定する。ここでは、方向ボタン21のうち右上方向のボタン(図中のハッチング部分)が押されたものとする。
【0020】
ユーザに方向ボタン21が押されると、それに応じて地図のスクロール方向を示すカーソルが画面上に表示される。このカーソルの矢印の向きは、ユーザから方向ボタン21の操作によって指定されたスクロール方向の前後に地図をスクロール可能であることを示している。図3(b)のカーソル22は、方向ボタン21において右上方向が押されたときに表示されるカーソルの例を示している。このカーソル22は、方向ボタン21によってユーザに指定された方向と同じ右上方向と、方向ボタン21によってユーザに指定された方向とは逆の左下方向に向いている。すなわち、右上方向と左下方向に地図をスクロールすることができる。
【0021】
方向ボタン21を押してスクロール方向を指定したら、次にユーザはスクロールダイヤル20を左右いずれかの方向に回転することにより、地図スクロールの開始を指示する。このとき、スクロールダイヤル20を右方向に回転させると、方向ボタン21が押された方向と同じ方向、すなわち右上方向に地図がスクロールする。反対にスクロールダイヤル20を左方向に回転させると、方向ボタン21が押された方向と逆の方向、すなわち左下方向に地図がスクロールする。このように、スクロールダイヤル20の回転方向に基づいて地図のスクロール方向が決定される。
【0022】
たとえば、図3(b)の地図画面が表示されているときにスクロールダイヤル20が右方向に回転操作されると、地図が右上方向にスクロールして図3(c)のような地図画面となる。さらに、図3(c)の地図画面が表示されているときにスクロールダイヤル20が左方向に回転操作されると、地図が左下方向にスクロールして図3(b)のような地図画面に戻る。このような操作により、ユーザは表示された地図を任意の方向にスクロールすることができる。
【0023】
なお、以上説明したような操作によって地図をスクロールする際には、スクロールダイヤル20の回転量に基づいて地図のスクロール量が決定される。すなわち、スクロールダイヤル20が回転されると、その回転量すなわち回転角度に所定の倍率を乗じることで地図のスクロール量を求める。そして、方向ボタン21によって指定された方向(右回転の場合)、または方向ボタン21によって指定された方向とは逆の方向(左回転の場合)に向けて地図をスクロールする。このとき、スクロールダイヤル20の回転速度に応じてスクロール速度を変化させるようにしてもよい。すなわち、スクロールダイヤル20の回転が速いほどスクロール速度を上げ、反対に回転が遅いほどスクロール速度を下げるようにすることができる。
【0024】
さらに、スクロールダイヤル20の回転が続けられることによってその回転量が予め定められた所定量以上となったときには、所定のスクロール速度で地図を連続的にスクロールする。これにより、スクロール量が大きいときには、スクロールダイヤル20を回転し続けなくても済む。その後、スクロールダイヤル20が逆方向に回転されたら、地図の連続スクロールを停止する。
【0025】
以上説明したように、スクロールダイヤル20の操作によって地図をスクロールする際に制御回路11において実行されるフローチャートを図4に示す。ステップS10では、スクロールダイヤル20において、方向ボタン21のうちのいずれかが押されたか否かを判定する。いずれかの方向ボタンが押された場合は、次のステップS20へ進む。
【0026】
ステップS20では、ステップS10で押された方向ボタンに対応するカーソルを表示モニタ16において表示する。これにより、たとえば図3のように方向ボタン21の右上方向が押された場合は、それに対応するカーソル22が地図画面上に表示される。なお、このとき押された方向ボタンに応じてカーソルの表示位置を変化させてもよい。たとえば、方向ボタン21の右上方向が押された場合は、図3(b)に示すようにカーソル22を画面の右上に表示する。また、方向ボタン21の左下方向が押された場合は、カーソル22を画面の左下に表示する。
【0027】
ステップS30では、スクロールダイヤル20が右方向に回転されたか否か判定する。右方向に回転された場合はステップS40へ進み、スクロール量の算出を行う。ここでは前述のように、スクロールダイヤル20の回転量に所定の倍率を乗じることでスクロール量を算出する。これにより、スクロールダイヤル20の回転量に基づいて地図のスクロール量が決定される。なお、ステップS30においてスクロールダイヤル20が右方向に回転されなかったと判定したら、ステップS80へ進む。
【0028】
ステップS50では、ステップS10で押された方向ボタンと同じ方向に地図をスクロールする。すなわち、方向ボタン21の右上方向が押された場合は、地図を右上方向にスクロールする。
【0029】
ステップS60では、ステップS40で算出されたスクロール量分のスクロールがステップS50において行われたか否かを判定する。スクロール量分のスクロールがまだ行われていなければステップS50へ戻り、地図のスクロールを継続する。スクロール量分のスクロールが行われた場合はステップS70へ進み、スクロールを停止する。ステップS70においてスクロールを停止したら、ステップS80へ進む。
【0030】
ステップS80では、スクロールダイヤル20が左方向に回転されたか否か判定する。左方向に回転された場合はステップS90へ進み、ステップS40と同様にスクロールダイヤル20の回転量に所定の倍率を乗じることで、スクロール量の算出を行う。これにより、スクロールダイヤル20の回転量に基づいて地図のスクロール量が決定される。なお、ステップS80においてスクロールダイヤル20が左方向に回転されなかったと判定したら、ステップS130へ進む。
【0031】
ステップS100では、ステップS10で押された方向ボタンと逆の方向に地図をスクロールする。すなわち、方向ボタン21の右上方向が押された場合は、地図を左下方向にスクロールする。
【0032】
ステップS110では、ステップS90で算出されたスクロール量分のスクロールがステップS100において行われたか否かを判定する。スクロール量分のスクロールがまだ行われていなければステップS100へ戻り、地図のスクロールを継続する。スクロール量分のスクロールが行われた場合はステップS120へ進み、スクロールを停止する。ステップS120においてスクロールを停止したら、ステップS130へ進む。
【0033】
ステップS130では、スクロールダイヤル20が一定量以上回転されたか否かを判定する。スクロールダイヤル20の回転量が予め定められた一定量以上となったときには、ステップS140へ進む。一方、スクロールダイヤル20の回転量が一定量に満たない場合はステップS10へ戻り、前述したような処理を繰り返す。
【0034】
ステップS140では、地図を連続的にスクロールする。このとき、スクロールダイヤル20が右方向に一定量以上回転されていた場合は、ステップS10で押された方向ボタンと同じ方向に地図を連続スクロールする。逆にスクロールダイヤル20が左方向に一定量以上回転されていた場合は、ステップS10で押された方向ボタンと逆の方向に地図を連続スクロールする。
【0035】
ステップS150では、スクロールダイヤル20が逆回転されたか否かを判定する。すなわち、スクロールダイヤル20が右方向に一定量以上回転されることによって方向ボタンと同じ方向に地図を連続スクロールしていた場合は、スクロールダイヤル20が左方向に回転されたか否かを判定する。逆に、スクロールダイヤル20が左方向に一定量以上回転されることによって方向ボタンと逆の方向に地図を連続スクロールしていた場合は、スクロールダイヤル20が右方向に回転されたか否かを判定する。このような判定をした結果、スクロールダイヤル20が逆回転されたと判定された場合はステップS160へ進み、地図の連続スクロールを停止した後にステップS10へ戻る。一方、スクロールダイヤル20が逆回転されていないと判定された場合はステップS140へ戻り、地図の連続スクロールを継続する。
【0036】
なお、上記のようにして地図を連続的にスクロールする際、スクロールダイヤル20の操作によってスクロール速度を変化させてもよい。たとえば、ステップS10で押された方向ボタンと同じ方向に地図を連続スクロールしている場合、スクロールダイヤル20が右方向に回転されるとそれに応じてスクロール速度を徐々に速くし、左方向に回転されるとスクロール速度を徐々に遅くする。逆に、ステップS10で押された方向ボタンと逆の方向に地図を連続スクロールしている場合、スクロールダイヤル20が左方向に回転されるとそれに応じてスクロール速度を徐々に速くし、右方向に回転されるとスクロール速度を徐々に遅くする。一定のスクロール速度以下となったら、地図の連続スクロールを停止する。
【0037】
以上説明したようにして地図を連続スクロールしている途中で、それまでとは違う方向ボタンが押された場合は、地図の連続スクロールを一旦停止してステップS10に戻ることにより、地図のスクロール方向を変化させることができる。あるいは、地図を連続スクロールしたままでそのスクロール方向を変化させることとしてもよい。
【0038】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を得ることができる。
(1)スクロールダイヤル20の回転方向と回転量に基づいて地図のスクロール方向とスクロール量をそれぞれ決定し、決定されたスクロール方向に向けて、決定されたスクロール量で、表示モニタ16に表示された地図をスクロールすることとした。すなわち、スクロールダイヤル20が右方向に回転された場合(ステップS30)、方向ボタン21によりユーザに指定された方向を地図のスクロール方向として、その回転量に基づいてステップS40において算出されるスクロール量で地図をスクロールする(ステップS50)。また、スクロールダイヤル20が左方向に回転された場合(ステップS80)、方向ボタン21によりユーザに指定された方向と逆の方向を地図のスクロール方向として、その回転量に基づいてステップS90において算出されるスクロール量で地図をスクロールする(ステップS100)。このようにしたので、回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする車載地図表示装置の操作性を向上することができる。
【0039】
(2)スクロールダイヤル20の回転量が所定量以上となった場合(ステップS130)、表示モニタ16に表示された地図を連続的にスクロールすることとした(ステップS140)。このようにしたので、スクロール量が大きいときには、スクロールダイヤル20を回転し続けなくても地図のスクロールを継続することができる。
【0040】
(3)上記のようにして地図が連続的にスクロールされた場合、その方向とは逆方向にスクロールダイヤル20が回転されたときに(ステップS150)、地図の連続スクロールを停止することとした(ステップS160)。このようにしたので、簡単な操作で地図の連続スクロールを停止することができる。
【0041】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施の形態について説明する。上記で説明した第1の実施の形態では、スクロールダイヤル20の上面に配置された方向ボタン21を押すことにより、地図のスクロール方向を指定する例について説明した。これに対して第2の実施の形態では、タッチパネル操作によって地図のスクロール方向を指定する例について説明する。
【0042】
図5は、第2の実施の形態において、図2のスクロールダイヤル20の代わりに設置されるスクロールダイヤル30の外観図である。前述のように、第2の実施の形態ではタッチパネル操作によって地図のスクロール方向が指定される。そのためスクロールダイヤル30には、スクロールダイヤル20のような地図のスクロール方向を指示するための方向ボタンが配置されていない。それ以外の構造についてはスクロールダイヤル20と同様であり、左右に回転可能な構造を有している。
【0043】
第2の実施の形態において地図をスクロールするときの操作方法を図6を用いて説明する。図6(a)は、図3(a)と同様に自車位置周辺の地図を表示モニタ16に表示した地図画面の例を示している。この地図をスクロールさせる場合、ユーザはまず表示モニタ16をタッチすることによって地図のスクロール方向を指定する。たとえば右上方向を地図のスクロール方向に指定する場合は、図6(a)に示すように画面の右上の部分をタッチする。なお、このとき表示モニタ16には、入力されたタッチ操作におけるタッチ位置が検出可能なタッチパネルが用いられるものとする。
【0044】
ユーザによって上記のようなタッチパネル操作が行われると、地図のスクロール方向を示したカーソルが画面上に表示されるとともに、その方向への地図のスクロールが開始される。このとき表示されるカーソルは、第1の実施の形態における図3のカーソル22とは違って、タッチパネル操作で指定された方向にのみ矢印が向いており、その方向にしか地図をスクロールできないことを示している。図6(b)は、図6(a)の画面においてタッチパネル操作により右上方向へのスクロールが指示されたときに、地図が右上方向にスクロールされて表示される地図画面の例を示している。この画面では、地図をスクロール可能な方向は右上方向であることがカーソル31によって示されている。
【0045】
タッチパネル操作によってスクロール方向を指示することにより地図のスクロールが開始されたら、次にユーザはスクロールダイヤル30を左右いずれかの方向に回転することにより、地図のスクロール速度を調節する。このとき、スクロールダイヤル30を右方向に回転させるとスクロール速度が加速され、逆に左方向に回転させるとスクロール速度が減速される。この際のスクロール速度の変化量は、スクロールダイヤル30の回転量に応じて決定される。こうしてスクロール速度を調節しながら右上方向へ地図をスクロールし続けると、図6(c)のような地図画面が表示される。
【0046】
以上説明したように、スクロールダイヤル30の操作によって地図をスクロールする際に制御回路11において実行されるフローチャートを図7に示す。ステップS210では、タッチパネルが押されてスクロール方向を指定するタッチパネル操作がユーザにより行われたか否かを判定する。タッチパネル操作によるスクロール方向の指定があった場合は、次のステップS220へ進む。
【0047】
ステップS220では、ステップS210で検出されたタッチパネル操作によって指定されたスクロール方向に対応するカーソルを表示モニタ16において表示する。これにより、図6のように画面の右上部分がタッチされた場合は、それに対応するカーソル31が地図画面上に表示される。なお、このとき第1の実施の形態と同様に、指定されたスクロール方向に応じてカーソルの表示位置を変化させるようにしてもよい。
【0048】
ステップS230では、ステップS210で検出されたタッチパネル操作によって指定されたスクロール方向に地図のスクロールを開始する。このとき、予め定められた所定のスクロール速度で地図のスクロールを開始する。
【0049】
ステップS240では、スクロールダイヤル30が右方向に回転されたか否かを判定する。右方向に回転された場合はステップS250へ進み、地図のスクロール速度を上げる。このときのスクロール速度の変化量は、スクロールダイヤル30の回転量に応じて決定される。すなわち、スクロールダイヤル30の右方向への回転量を多くするほど、地図のスクロール速度が上昇する。ステップS250の実行後、またはステップS240においてスクロールダイヤル30が右方向に回転されなかったと判定したら、ステップS260へ進む。
【0050】
ステップS260では、スクロールダイヤル30が左方向に回転されたか否かを判定する。左方向に回転された場合はステップS270へ進み、地図のスクロール速度を下げる。このときのスクロール速度の変化量は、スクロールダイヤル30の回転量に応じて決定される。すなわち、スクロールダイヤル30の左方向への回転量を多くするほど、地図のスクロール速度が低下する。ステップS270の実行後、またはステップS260においてスクロールダイヤル30が左方向に回転されなかったと判定したら、ステップS210へ戻って上記のような処理を繰り返す。
【0051】
なお、以上説明したようにして地図を連続スクロールしている途中で、ユーザのタッチパネル操作によって違うスクロール方向が指定された場合は、スクロール速度を変化せずにスクロール方向のみを変化させることが好ましい。このようにすれば、ユーザはスクロール速度の調節を繰り返さずに済む。
【0052】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を得ることができる。
(1)タッチパネルで検出されたタッチ位置に基づいて地図のスクロール方向を決定すると共に、スクロールダイヤル30の回転量に基づいて地図のスクロール速度を決定し、決定されたスクロール方向に向けて、決定されたスクロール速度で、表示モニタ16に表示された地図を連続的にスクロールすることとした。すなわち、タッチパネル操作によって指定されたスクロール方向に地図のスクロールを開始し(ステップS230)、スクロールダイヤル30が右方向に回転された場合(ステップS240)、スクロール速度を加速する(ステップS250)。また、スクロールダイヤル30が左方向に回転された場合(ステップS260)、スクロール速度を減速する(ステップS270)。このようにしたので、第1の実施の形態と同様に、回転式のダイヤルを操作して地図をスクロールする車載地図表示装置の操作性を向上することができる。
【0053】
(2)ステップS250またはS270において地図のスクロール速度を決定するとき、さらにスクロールダイヤル30の回転量に基づいて、地図のスクロール速度を決定することとした。すなわち、ステップS250では、スクロールダイヤル30の右方向への回転量を多くするほど地図のスクロール速度を上昇させ、ステップS270では、スクロールダイヤル30の左方向への回転量を多くするほど地図のスクロール速度を低下させることとした。このようにしたので、簡単な操作でスクロール速度を容易に調節することができる。
【0054】
なお、上記で説明したような各実施の形態による地図の表示方法は、車両用のナビゲーション装置以外にも、地図を表示する様々な車載装置について適用可能である。すなわち本発明は、地図画面を表示し、ユーザの操作に応じてその地図画面を任意の方向にスクロールする各種の車載装置について適用することができる。
【0055】
なお、上記の各実施の形態はあくまで一例であり、発明を解釈する際、各実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。また、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるスクロールダイヤルの外観図である。
【図3】第1の実施の形態におけるスクロールダイヤルの操作方法を説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態においてスクロール操作の際に実行されるフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態におけるスクロールダイヤルの外観図である。
【図6】第2の実施の形態におけるスクロールダイヤルの操作方法を説明するための図である。
【図7】第2の実施の形態においてスクロール操作の際に実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
20、30 スクロールダイヤル
21 方向ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に応じて左右に回転する回転操作手段と、
前記回転操作手段の回転方向に基づいて地図のスクロール方向を決定するスクロール方向決定手段と、
前記回転操作手段の回転量に基づいて地図のスクロール量を決定するスクロール量決定手段と、
前記スクロール方向決定手段により決定されたスクロール方向に向けて、前記スクロール量決定手段により決定されたスクロール量で、表示モニタに表示された地図をスクロールする表示制御手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1の車載地図表示装置において、
ユーザの操作に応じていずれかの方向を指定する方向指定操作手段をさらに備え、
前記回転操作手段が右方向に回転された場合、前記スクロール方向決定手段は、前記方向指定操作手段により指定された方向を地図のスクロール方向とし、
前記回転操作手段が左方向に回転された場合、前記スクロール方向決定手段は、前記方向指定操作手段により指定された方向と逆の方向を地図のスクロール方向とすることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2の車載地図表示装置において、
前記回転操作手段の回転量が所定量以上となった場合、前記表示モニタに表示された地図を連続的にスクロールすることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項3の車載地図表示装置において、
前記回転操作手段が左右いずれかの方向に所定量以上回転されて地図が連続的にスクロールされた場合、その方向とは逆方向に前記回転操作手段が回転されたときに、地図の連続スクロールを停止することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
ユーザの操作に応じて左右に回転する回転操作手段と、
表示モニタ上のタッチ位置を検出するタッチパネル手段と、
前記タッチパネル手段により検出されたタッチ位置に基づいて地図のスクロール方向を決定するスクロール方向決定手段と、
前記回転操作手段の回転方向に基づいて地図のスクロール速度を決定するスクロール速度決定手段と、
前記スクロール方向決定手段により決定されたスクロール方向に向けて、前記スクロール速度決定手段により決定されたスクロール速度で、前記表示モニタに表示された地図を連続的にスクロールする表示制御手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項5の車載地図表示装置において、
前記回転操作手段が右方向に回転された場合、前記スクロール速度決定手段は、地図のスクロール速度を加速し、
前記回転操作手段が左方向に回転された場合、前記スクロール速度決定手段は、地図のスクロール速度を減速することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項7】
請求項5または6の車載地図表示装置において、
前記スクロール速度決定手段は、さらに前記回転操作手段の回転量に基づいて地図のスクロール速度を決定することを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−298646(P2007−298646A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125308(P2006−125308)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】