説明

農産物選別装置

【課題】農産物を損傷させることなく、所望する配列状態に整列したまま箱詰めすることができる農産物選別装置を提供する。
【解決手段】農産物選別装置1を構成する搬送ライン上の供給部aにおいて、農産物Aを、バケットコンベヤ2のバケット3…に対して1個ずつ収容する。検査部bにおいて、バケット3…に収容された農産物A…の品質を測定し、属する等階級を個々に判定する。振分け部cにおいて、検査部bにおける判定に基づいて、バケット3…に収容された農産物A…を等階級別に振分ける。バケット3…から放出される同一等階級の農産物A…を、箱詰め装置26により複数個整列した状態に貯留部に一旦貯留した後、貯留部に貯留された所定個数の農産物A…を、その貯留姿勢に保持したまま、放出部下部に配設した容器搬送コンベヤ44が搬送する容器D内部に一括して挿入又は収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば柑橘類、リンゴ、トマト、柿、梨、桃等の農産物を箱詰めする作業に用いられる農産物選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の農産物を箱詰めする装置としては、例えば搬送コンベアが搬送する青果物を、箱詰め装置を構成する保持放出機構の吸着パッドで吸着保持して、寸動コンベア上に供給された段ボール箱内のトレーパックに対して所定数ずつ箱詰めする特許文献1の青果物の選別箱詰め装置がある。しかし、トマトなどの表皮が薄い青果物を吸着した場合、表皮が破れて、内容物が吸い出されてしまう。表皮が破れない程度に吸着力を弱めると、青果物自体が自重により落下してしまう。また、青果物の表面が凸凹していると、吸着パッドを密着させることが困難であり、吸着保持することができない。且つ、吸引装置が必要であるため、装置全体が大型化し、設備コストがかさむ。
【0003】
また、農産物が載置されたバケットを下方に開放して、バケットから放出される農産物を、ほぼ姿勢を保った状態のまま下方に位置されたコンテナ内に落下させる特許文献2の農産物選別方法および農産物選別装置がある。しかし、バケットとコンテナの間が離れているため、リンゴや桃などの柔らかい農産物は落下時に損傷しやすい。また、バケットから放出したときに発生する慣性と、落下したときに付与される衝撃により、農産物の向き及び姿勢が変位しやすく、不揃いとなるため、見た目が悪くなるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特許第3479564号公報
【特許文献2】特公平7−57342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、農産物を損傷させることなく、所望する配列状態に整列したまま箱詰めすることができる農産物選別装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明の農産物選別装置は、複数のバケットを無端状に設けて搬送ラインを構成したバケットコンベヤを備え、該搬送ライン上に、バケット内に農産物が供給される供給部と、農産物の品質を測定し属する等級または階級を判定する検査部と、農産物を品質毎に振分ける振分け部とが順に配設される農産物選別装置において、上記振分け部に、上記バケットから放出された農産物を複数個整列して貯留可能な貯留部を有し、該貯留部に貯留された所定個数の農産物を、貯留姿勢を保持しながら下方に配置した容器に一括して挿入する箱詰め手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記農産物は、例えば柑橘類、リンゴ、トマト、柿、梨、桃等で構成することができる。また、容器は、例えば箱やコンテナ、トレイ等で構成することができる。また、箱詰め手段は、例えば受け取った農産物を、その姿勢に保持したまま下方に配置した容器内部に一括して挿入又は収容する左右一対のフィンガー部材等で構成することができる。
【0008】
つまり、搬送ライン上の供給部において、農産物を、バケットコンベヤのバケットに収容し、検査部において、バケットに収容された農産物の品質を測定し属する等級または階級を判定する。振分け部において、検査部における判定に基づいて、バケットに収容された農産物を品質毎に振分ける。箱詰め手段によりバケットから放出される農産物を貯留部に複数個整列した状態に一旦貯留した後、貯留部に貯留された所定個数の農産物を、貯留姿勢に保持したまま下方に配置した容器内部に一括して挿入する。
【0009】
請求項2に記載した発明の農産物選別装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記検査部における判定に基づいて、上記バケットコンベヤのバケットから放出される農産物を箱詰め手段の各貯留部に所定の順序で供給することを特徴とする。つまり、バケットコンベヤのバケットから放出される農産物を、予め設定した順序で箱詰め手段の各貯留部に供給して、複数個整列した状態に一旦貯留する。
【0010】
請求項3に記載した発明の農産物選別装置は、上記請求項1または2に記載の構成と併せて、上記箱詰め手段の下方に空の容器を搬入するとともに、上記農産物が収容された容器を箱詰め手段の下方から搬出する容器搬送手段を設けたことを特徴とする。つまり、農産物が未収容である空の容器を容器搬送手段により箱詰め手段の下方に搬入し、箱詰め手段が貯留する所定個数の農産物を、その貯留姿勢に保持したまま下方に配置した容器内部に一括して挿入した後、所定個数の農産物が収容された容器を容器搬送手段により箱詰め手段の下方から搬出する。
【0011】
上記容器搬送手段は、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、或いは、容器を搬送方向に移動するような板状や棒状の部材等で構成することができる。
【0012】
請求項4に記載した発明の農産物選別装置は、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記容器搬送手段は、該容器搬送手段の搬送方向と直交する方向に上記容器を移動可能であることを特徴とする。つまり、箱詰め手段の下方に搬送された空の容器を、容器搬送手段の搬送方向と直交する方向に移動させて、箱詰め手段が挿入する農産物の挿入位置を変位させ、容器内部に設定した挿入位置を変位させ、所定個数の農産物を、例えば千鳥配列、升目配列等の所望する配列状態に整列したまま容器に挿入する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、箱詰め手段によりバケットコンベアのバケットから放出される農産物を貯留部に一旦貯留した後、貯留部に貯留された所定個数の農産物を貯留姿勢に保持したまま下方の容器に一括して挿入するので、従来例のような装置に比べて箱詰めするまでの移動距離が短く、農産物自体が受ける負荷が軽減されるため、農産物を損傷させることなく、所望する配列状態に整列したまま箱詰めすることができる。また、従来例のような吸引装置を設ける必要が無く、装置全体の構成及び構造を簡素化して、設備コストの低減を図ることができる。
【0014】
また、バケットから放出される農産物を搬送順に箱詰めするので、農産物の位置が途中で入れ替わることがなく、農産物の判定結果を、容器毎に設定された識別情報と、容器に収容された農産物の位置情報とに関連付けて記憶しておけば、その識別情報と位置情報とから、例えば生産者の名前、農産物の等階級、生産地、品名、品種、農薬、消毒剤、肥料等の農産物に関するトレーサビリティ情報を得ることができ、農産物の品質管理及び履歴管理が正確且つ確実に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明は、農産物を損傷させることなく、所望する配列状態に整列したまま箱詰めすることができるという目的を、振分け部に設けた箱詰め手段によりバケットコンベヤのバケットから放出される農産物を貯留部に一旦貯留した後、該貯留部に貯留された所定個数の農産物を貯留姿勢に保持したまま容器に一括して挿入することで達成した。
【実施例】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0017】
図面は、農産物を等階級別に選別及び箱詰めする作業に用いられる農産物選別装置を示し、図1及び図2に於いて、農産物選別装置1を構成するバケットコンベヤ2のバケット3…は、上下両面が開放された形状を有する基部3aと、基部3aの内側中央部に左右一対の揺動リンク機構7,7を介して設けられた載置部8とを有するとともに、基部3aに対して載置部8を、搬送時には上方位置に保持され、移載時には下方位置への降下が許容されるように設けて、搬送ライン上に設定した所定の位置で、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するように降下するものである。
【0018】
上記バケットコンベヤ2は、図3、図4にも示すように、農産物Aが収容されるバケット3を、例えばチェーンやベルト等の左右に張架した無端帯4,4間に架設するとともに、搬送方向に対して所定等間隔に隔てて多数配列している。つまり、左右の無端帯4,4をモータ等で搬送方向に同期回転させ、バケット3…を搬送方向に向けて一定の速度で連続して移動させ、搬送ライン上に設定した供給部aと、検査部bと、振分け部cとに周回移動させる。また、バケット3の搬送速度と、載置部8の搬送方向とは逆方向への基部3aに対する相対移動速度がほぼ同一になるように速度設定している。
【0019】
上記バケット3は、上下両面が開放された形状を有する基部3aと、基部3aの内側中央部に左右一対の揺動リンク機構7,7を介して設けられた載置部8とを有するとともに、基部3aに対して載置部8を、搬送時には上方位置に保持され、移載時には下方位置への降下が許容されるように設けて、搬送ライン上に設定した所定の位置で、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するように降下するものである。
【0020】
且つ、基部3aの前後端部に搬送方向と略直交して幅方向に挿入した支軸5,5を、無端帯4,4上に取り付けたブラケット6,6間に搬送方向と略直交して軸架し、バケット3全体を支軸5,5に沿って幅方向にスライド可能に設けている。且つ、支持レール5,5に対してバケット3を搬送方向と略直交して幅方向に設定した複数の位置に保持可能な保持手段を、基部3aの前後端部(少なくとも一方の端部)に設けている。
【0021】
且つ、基部3aの内側両側部に取り付けた左右一対の揺動リンク機構7,7は左右対称な構成であるので、一方の揺動リンク機構7の構成を図面に基づいて詳述する。つまり、揺動リンク機構7を構成する外側アーム7aの基端部を基部3aの後端側内面部に連結し、内側アーム7bの基端部を、アーム7aの基端部よりも下位後方の基部3aの後端側内面部に連結している。
【0022】
一方、外側上段に取り付けたアーム7aのL字形遊端部を、後述する揺動部材9を構成する枠部9bの前端側外面部に連結し、内側下段に取り付けたアーム7bの段付き遊端部を、アーム7aの遊端部よりも下位後方の枠部9bの前端側外面部に形成した凹部に連結して、左右一対の揺動リンク機構7,7のリンク運動により、載置部8の姿勢を保持したまま、基部3a内に収容される上方位置と、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向の下方位置とに円弧軌道に沿って上下揺動する。
【0023】
上記載置部8は、図5、図6にも示すように、中央側が下方へ開くような支持構造を有する左右一対の揺動部材9,9で構成され、揺動部材9,9は左右対称な構成であるので、一方の揺動部材9の構成を図面に基づいて詳述する。つまり、揺動部材9を構成するハンド部9aの基端側を、揺動リンク機構7で支持された枠部9bの切欠き部内の上端側に支軸9cにより連結し、揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aを、農産物Aが略水平に保持される閉状態と、農産物Aの落下又は放出が許容される開状態とに回動可能に設けている。
【0024】
また、ハンド部9aは農産物Aの搬送時にはその外面が前記内側アーム7b,7bの内面に当接することにより、回動が規制されて閉状態が保持され、載置部8全体が最も下方に位置する直前において、アーム7b,7bの段付き遊端部の内面からハンド部9a,9aの基端部外面が外れると、規制が解除されて回動し下方に自重で開放される。
【0025】
また、載置部8中央の農産物Aを支持する左右一対のハンド部9a,9aの遊端側間には、後述する内部検査装置20の受光器20bから投光される検査光の通過が許容される開口部8aを設けている。
【0026】
一方、揺動部材9,9の下方に開放されたハンド部9a,9aは、搬送ラインの終端側(又は回帰ライン)に設けたガイドレールに沿って閉方向に回動し、アーム7b,7bの段付き遊端部に対してハンド部9a,9aの基端部を係止して、農産物Aが略水平に保持される閉状態に回動規制する。続いて、載置部8全体をバケット3の基部3a内に収容される方向に押し上げられ、アーム7bのピン7cにフック10を係止して、載置部8をバケット3の基部3a内に収容保持したまま搬送ラインの始端側に回帰移動する。
【0027】
前記右側揺動リンク機構7のアーム7b遊端部に固定したピン7cは、載置部8が基部3a内に収容された上方位置にあるとき、基部3a側面に形成した切欠き部3bより外側に突出される。且つ、基部3aの前端側右側面に取り付けたフック10は、基部3a側面に突出するピン7cに対して係止される方向にバネ等で回動付勢されており、載置部8が基部3a内に収容される上方位置に移動したときピン7cに係止され、搬送時において載置部8を基部3a内に収容された上方位置に保持する。
【0028】
一方、フック10を、ピン7cへの係止が解除される方向に付勢力に抗して回動すると、揺動リンク機構7,7で支持された載置部8が姿勢を保持したまま、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動するようにして下方位置へ自重で降下する。
【0029】
また、バケット3を構成する基部3aの両側面には、上方位置の載置部8に載置された農産物Aの両側面を真横から目視及び検査可能であって、農産物Aの両側面が真横から見て隠れないようにする切欠き部3cを設けている。また、バケット支持部材6の起立側端部にも、基部3aの切欠き部3cが真横から見て露出されるような凹状の切欠き部6aを設けている。
【0030】
且つ、図7にも示すように、後述する内部検査装置20の受光器20bにより透過光以外の外光を遮光するための受光用筒11を、基部3aの中央左側面に枢着したアーム12の遊端部に取り付けており、アーム12は、搬送ラインの始端側から外部検査区間の始端に架設したガイドレール13により水平に支持され、受光用筒11を載置部8に載置される農産物Aの下面側中央部に密着させる上方位置に待機させる。また、アーム12は、外部検査区間に到達する直前にガイドレール13から脱落され、受光用筒11を載置部8の上下揺動が許容される下方位置に退避させる。また、搬送ラインの終端側に架設したガイドレール13により水平状態に復帰される。
【0031】
前記供給部aは、バケットコンベヤ2のバケット3…に収容された農産物Aの外部項目(例えば上面、側面等)を作業者の目で目視検査(一次評価)し、作業者の個人的な判断基準に基づいて、農産物Aの等級(例えば特秀、秀、優、良、良良等)を個々に判定するとともに、農産物Aが収容されたバケット3を作業者の手で搬送方向と略直交する方向にスライド移動させ、搬送方向と略直交して幅方向に設定した複数の位置(特秀の位置、秀の位置、優の位置、良の位置、良良の位置)に振分ける。
【0032】
且つ、検査部bの始端側搬送ライン上(又は供給部aの終端側搬送ライン上)に設けた認識装置15は、バケット3外部に露出される支持レール5外面の識別表示(マークや文字、色等)を認識し、その認識結果に基づいて判定した作業者の目視による判定結果を示すバケット3の位置情報を、農産物Aの外部項目を判定するための一次評価情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。また、農産物Aの有無も同時に検出する。
【0033】
なお、認識装置15が検出する位置情報(又は位置信号)は、農産物Aを等級別に振分ける作業の他に、例えば荷口別に荷受するとき、出荷先別に出荷する等の様々な作業に利用することができる。
【0034】
且つ、上述の認識装置15と後述する内部検査装置20の間に設けた整列装置16は、図1に示すように、左右一対の整列ガイド17,17を、バケット3の両側面と対向して搬送ラインの両側部に上面から見てほぼハ字状となるように配置し、上流側から下流側に向けて徐々に幅狭となるように設けている。つまり、左右にスライドされたバケット3…を搬送方向に移動させながら幅方向の中央部(基準位置)に押し戻して、バケット3の幅方向の位置を略直列(1列)に揃える。
【0035】
前記検査部bは、図1、図2に示すように、農産物Aの内部項目を検査する内部検査装置20と、農産物Aの外部項目を検査する外部検査装置21と、農産物Aの重量を検査する重量検査装置22とを搬送ライン上に配設している。
【0036】
上記内部検査装置20は、図7にも示すように、例えば紫外線ランプやその他の照明装置等の投光器20aから投光される検査光を農産物A外面に照射するとき、バケット3に取り付けた受光用筒11を、載置部8に載置された農産物Aの下面側に密着させて検査光以外の外交を遮光し、バケット3毎に設定された固有情報と対応して農産物A内部を透過した透過光を受光器20bで受光し、その撮像情報を、農産物Aの内部項目を判定するための内部検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。
【0037】
前記外部検査装置21は、例えばバケット3毎に設定された固有情報と対応して農産物Aの外面(上下面及び側面)をカメラ21a…で撮影し、その撮像情報を、農産物Aの外部項目を判定するための外部検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。
【0038】
前記重量検査装置22は、農産物Aを、例えばロードセルや重量センサ等で計測し、その計測情報に基づいて算出した重量情報を、農産物Aの重量項目を判定するための重量検査情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0039】
前記制御装置23は、前記認識装置15の位置情報(一次評価結果)と、上記内部検査装置20の内部検査情報及び外部検査装置21の外部検査情報、重量検査装置22の重量検査情報に基づいて、バケット3に収容された農産物Aの等級・階級を個々に判定及び認識するとともに、その判定結果を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて記憶する。また、バケット3の固有情報と関連付けて記憶された判定結果に基づいて、検査部bの下流側搬送ライン上に設定した振分け部cに振分け信号を出力する。
【0040】
前記振分け部cは、搬送ライン上に設定した等階級別の各放出部に、バケット3に取り付けたフック10の係止を解除するソレノイド等で構成される係止解除装置24と、載置部8の下方位置への移動時に揺動リンク機構7のアーム7bに設けられたピン7cと係合して載置部8の降下を規制するレール部材25とを、後述する容器D内部に挿入される農産物Aの挿入数及び収容位置と対応して複数設け、各放出部下部に、バケット3…から放出される同一等階級の農産物A…を一旦貯留する箱詰め装置26をそれぞれ配設している。
【0041】
つまり、バケット3毎に設定された固有情報と対応する判定結果を制御装置23から読み出すか、バケット3自体に付設された記録媒体の判定結果を読み取る等して、その判定結果に基づいて、各放出部に設けた各係止解除装置24…を独立して駆動させ、係止解除装置24によりフック10の係止を解除すると、バケット3の移動とともに、ピン7cがレール部材25上面に沿って移動して、基部3aに対して載置部8が下方かつ搬送方向とは逆方向へ自重で降下する。
【0042】
且つ、載置部8が最も下方に位置する直前において、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの段付き遊端部内面からハンド部9a,9aの基端部外面が外れるので、下方に自重で開放され、放出部下部に配設した箱詰め装置26に農産物Aを受け渡すことができる。
【0043】
且つ、同一等階級の農産物Aが特定の放出部に搬送されるとき、その放出部に設けた各係止解除装置24…を容器D内部に収容される農産物Aの収容位置と対応する順番で搬送方向の下流側から独立して駆動させ、バケット3の載置部8から放出される農産物Aを、搬送ラインに沿って箱詰め装置26の受け台27上に複数設定した貯留部Ca,Cb,Cc,Cdに搬送方向の下流側から順番に挿入する。
【0044】
前記箱詰め装置26は、図8、図9、図10にも示すように、農産物Aの通過が許容される開口部27aを、後述する容器D内部に設定した収容位置と対応して受け台27にそれぞれ開口し、バケットコンベヤ2のバケット3から放出される農産物Aを、開口部27a内の両側上方に突き出した先端部が対向する左右一対の受け部材29,29で個々に受け取って搬送方向に向けて略直列に整列した状態に支持する移載装置28と、その移載装置28から受け渡しされる農産物Aを先端部が対向する左右一対のフィンガー部材36,36で個々に保持して、放出部下部に配設した容器搬送コンベヤ44が搬送する容器D内部に対して複数の農産物A…を一括して収容する収容装置35とで構成される。また、上記左右一対の受け部材29,29の先端部を受け台27の開口部27a内から上方に突き出した位置に保持することにより、バケット3から放出される農産物Aを受け取って一旦貯留する貯留部Ca〜Cdを形成する。
【0045】
上記移載装置28は、左右一対の受け部材29,29を受け台27の開口部27a…下部にそれぞれ配置し、各受け部材29,29の基端を、受け台27の左右両側上部に搬送方向と平行して軸架した支軸30,30に固定し、その支軸30,30前後端部にリンク32,32が固定されている。また、受け台27前後両端部に両端部が垂直上方に立設するリンクバー31が左右方向に架設され、受け台27底部に配置した回動用シリンダー33により上下動するように設けられている。そして各リンクバー31の左右両端上部にリンク32,32の先端部がそれぞれ連結されている。また、左右の受け部材29は、フィンガー部材36を構成する2本一組のアーム36a,36aのほぼ中間に配置され、受け部材29の円弧回動と、フィンガー部材36の上下動とを互いに干渉しないように設けている。
【0046】
つまり、回動用シリンダー33により前後の各リンクバー31を上下動すると、リンク32,32を介して、支軸30,30が対向方向に正逆回転され、左右一対の受け部材29,29を、受け台27の開口部27aよりも上方に先端部が突き出され、左右一対のフィンガー部材36,36よりも上方で農産物Aが受け取られる受け取り角度から、開口部27aよりも下方に先端部が降下され、開口部27a下方に待機する左右一対のフィンガー部材36,36に農産物Aが受け渡しされる受け渡し角度を経て、左右一対のフィンガー部材36,36で保持した農産物Aの下降動作に干渉しない退避角度との間で円弧回動することができる。
【0047】
且つ、バケット3の載置部8から放出される農産物Aを、受け台27の開口部27aよりも上方に突出する左右一対の受け部材29,29で個々に受け取り、支軸30,30を中心として、左右一対の受け部材29,29を同期して円弧運動させるので、左右一対のフィンガー部材36,36に対する受け渡しが完了するまで、フィンガー部材36,36よりも上方で受け取った農産物Aは受け取り時の姿勢に保持したままほぼ垂直に降下され、受け渡し動作中や受け渡す瞬間等において、ブレやズレ等が発生せず、受け取り時の姿勢に保持したまま受け渡すことができる。
【0048】
また、開口部27aの左右上縁部に取り付けた受け渡しガイド34,34は、農産物Aを傷付けないような柔軟性を有する後述する材質で形成され、バケット3から放出される農産物Aを左右一対の受け部材29,29に対して受け渡しされる位置にガイドするとともに、受け渡しした瞬間に発生する前後や左右の揺れを吸収して姿勢及び位置を安定させ、農産物Aが左右一対の受け部材29,29から脱落しようとするのを防止する。
【0049】
前記収容装置35は、農産物Aの載置面を形成する左右一対のフィンガー部材36,36と、このフィンガー部材36,36の基端部を支持する支持手段と、この支持手段を所定の位置に移動する移動手段とを備えている。支持手段は、左右にそれぞれ架設した2本のロッド37,42と、この2本のロッド37,42を一体に固定する複数のブラケット41とからなり、各ブラケット41上部にフィンガー部材36の基端部を取り付けて、左右一対のフィンガー部材36,36を、受け台27の開口部27a…下部にそれぞれ配置している。また、片方のフィンガー部材36は、2本一組で構成され、このフィンガー部材36を左右に対向して農産物Aが保持される間隔に隔てて配置するように支持手段に支持されている。
【0050】
上記移動手段は、一方のロッド37,37の両端を、受け台27前後両端部の案内板38,38に形成した上側ガイド溝38a,38aに対して挿入した状態に係合して、その内側に向けて低くなるように傾斜するガイド溝38a,38aに沿って外側の高位端部と内側の低位端部とに移動可能に設けている。また、他方のロッド42,42の両端を、案内板38,38に形成した下側ガイド溝38b,38bに対して挿入した状態に係合して、そのガイド溝38b,38bに沿って外側端部と内側端部とに水平移動可能に設けている。且つ、ロッド37,37の案内板38,38近傍の前後端と、受け台27の左右中央部に上下動自在に架設したリンクバー39の両端をリンク40,40でそれぞれ連結している。また、受け台27底部にリンクバー39,39を共に上下動する昇降用シリンダー43が設けられている。
【0051】
つまり、昇降用シリンダー43によりリンクバー39を降下して、リンク40の内側端部を下方に引き下げ移動させると、その引き下げ動作に連動して、ロッド37が、案内板38のガイド溝38aに沿って外側高位部から内側低位部に向けて回転しながら移動し、ロッド37と一体的にロッド42が、案内板38のガイド溝38bに沿って外側から内側に向けて回転しながら水平移動する。
【0052】
且つ、フィンガー部材36,36は、その先端部が農産物Aを載置する上方の位置から農産物Aを放出する下方の位置へ移動する際に、農産物Aの下側を保持するフィンガー部材36,36の先端部がほぼ真下方向へ移動し、フィンガー部材36,36の載置面が徐々に内側を向きながら向い合うように安定して移動し、フィンガー部材36,36の先端部に載置(又は保持)された農産物Aをほぼ垂直に降下させて、放出部下部に搬送される横長又は縦長の容器D内部の挿入位置(容器D内部に敷設した緩衝部材Eの凹部Ea…)に収容する。つまり、農産物Aの収容が完了するまで保持しているので、ブレやズレ等が発生せず、受け取り時の姿勢に保持したまま収容することができる。
【0053】
一方、昇降用シリンダー43によりリンクバー39を上昇して、リンク40の内側端部を上方に押し上げ移動させると、ロッド37,42が、案内板38のガイド溝38a,38bに沿って押し上げられるとともに、フィンガー部材36,36の先端部が下方の位置から上方の位置へ移動して、前記移載装置28を構成する左右一対の受け部材29,29から農産物Aが受け渡しされる受け取り位置に復帰される。
【0054】
前記受け部材29やフィンガー部材36の農産物Aが接地又は接触する部分(例えば断面丸形状、断面長方形状、或いは、ロッド状や板状を有する部分)には、例えばスポンジゴムやウレタンゴム等の農産物Aを傷付けないような材質のものを装着している。また、受け部材29,29及びフィンガー部材36,36の位置及び間隔は、農産物Aのサイズに応じて調節される。
【0055】
また、回動用シリンダー33や昇降用シリンダー43の代わりに、例えばモータやソレノイド等の駆動手段で左右一対の受け部材29,29を上下回動及び左右一対のフィンガー部材36,36を上下移動することもできる。また、複数並設した左右一対のフィンガー部材36,36を、一つの昇降用シリンダー43により駆動するので、駆動部の構成及び構造が簡単であり、安価に製作することができる。
【0056】
上記容器Dは、バケットコンベヤ2の搬送方向と略直交して各放出部下部に配設した容器搬送コンベヤ44で箱詰め装置26の収容装置35下部に搬送され、所定個数の農産物A…を、容器D内部に敷設した緩衝部材Eの凹部Ea…にそれぞれ収容した後、装置側部に搬出される。また、容器搬送コンベヤ44上には、収容装置35下部に搬送された容器Dを容器搬送コンベヤ44の幅方向と略平行する方向(又は搬送方向と略直交する方向)に移動させる移動装置45を設けてあり、収容装置35を構成する左右一対のフィンガー部材36,36で保持した農産物Aを、例えば千鳥配列、升目配列等の所望する配列状態に整列したまま収容することができる。なお、所定数の農産物Aが収容された容器Dは、例えば出荷工程、保管工程等の次工程に搬送される。
【0057】
また、容器D内部には、例えばスポンジやウレタンゴム、綿状交絡体等の柔軟性を有する緩衝部材Eが敷設され、その緩衝部材E上面には、農産物Aが個々に収容及び保持される凹部Eaを、複数組のフィンガー部材36,36で保持した農産物A…が個々に挿入される間隔に隔てて千鳥状又は升目状に配列している。つまり、運搬時において、農産物Aに付与される衝撃を緩衝部材Eで吸収及び緩和する。
【0058】
上記移動装置45は、図8、図11にも示すように、容器搬送コンベヤ44の両側部に、収容装置35下部に搬送される容器Dの両側面と対向して一対の当て板46,46を配設し、その容器D側面に対して当接される方向に当て板46を水平移動させる移動用シリンダー47を配設している。つまり、収容装置35の放出部直下に、容器D内部に設定した1列目の挿入位置(容器D内部に敷設した緩衝部材Eの1列目の凹部Ea…)が来るように容器搬送コンベヤ44で搬送し、収容装置35を構成する複数組のフィンガー部材36,36で保持した1列目の農産物A…を、容器D内部に敷設した緩衝部材Eの1列目の凹部Ea…にそれぞれ挿入して、1列分の農産物A…を容器D内部に収容する。
【0059】
上述と同様にして、収容装置35の放出部直下に、容器D内部に設定した2列目〜4列目の挿入位置(容器D内部に敷設した緩衝部材Eの2列目〜4列目の凹部Ea…)が来るように1ピッチ分ずつ容器搬送コンベヤ44で移動させ、移載装置28から収容装置35に受け渡しされる2列目〜4列目の農産物A…を、容器D内部に敷設した緩衝部材Eの2列目〜4列目の凹部Ea…に順次挿入することで、所定個数の農産物A…を、所望する状態に整列したまま容器D内部に収容することができる。
【0060】
また、千鳥状に凹部Ea…が配列された緩衝部材Eを容器D内部に予め敷設しておき、1列目の農産物A…を、容器D内部に設定した1列目の挿入位置に収容した後、収容装置35の放出部直下に搬送された容器Dを1ピッチ分だけ移動させるとき、一方の当て板46を容器Dの一側面に当接して、容器搬送コンベヤ44の幅方向と略平行する方向(又は搬送方向と略直交する方向)に変位させると、複数組のフィンガー部材36,36で保持した2列目の農産物A…を、1列目の農産物A…に対して千鳥状に変位した状態に収容することができる。
【0061】
また、他方の当て板46を容器Dの他側面に当接して、2列目の農産物A…が収容された容器Dを変位前の元位置に復帰させると、複数組のフィンガー部材36,36で保持した3列目の農産物A…を、1列目の農産物A…と同じ並びに収容することができる。つまり、容器Dを、容器搬送コンベヤ44の幅方向と略平行する方向に交互に移動すれば、所定個数の農産物A…を容器D内部に対して千鳥状に収容することができる。
【0062】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、農産物選別装置1による農産物Aの選別動作及び箱詰め動作を説明する。
【0063】
先ず、図1乃至図5に示すように、貯留部aにおいて、バケットコンベヤ2のバケット3…に収容された農産物Aの外部項目を作業者の目で目視検査し、個人的な判断基準に基づいて、農産物Aの等級を個々に評価及び判定するとともに、農産物Aが収容されたバケット3を、作業者の手で搬送方向と略直交する方向にスライド移動させ、搬送方向と略直交して幅方向に設定した複数の位置(例えば特秀の位置、秀の位置、優の位置、良の位置、良良の位置等)に振分けて、次の検査部bに移動させる。
【0064】
次に、検査部bにおいて、バケット3外部に露出された支持レール5上の識別表示を認識装置15で認識し、その認識結果に基づいて判定したバケット3…の位置情報を、農産物Aの外部項目を判定するための一次評価情報として、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。
【0065】
次に、左右にスライドされたバケット3…を幅方向の中央位置(基準位置)に整列装置16で押し戻し、略直列に整列して内部検査装置20に移動させる。また、農産物Aの有無も同時に検出する。
【0066】
次に、図7にも示すように、内部検査装置20の投光器20aから投光される検査光をバケット3に収容された農産物A外面に照射し、受光用筒11を介して、農産物A内部を透過した透過光を受光器20bで受光し、その受光情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶する。内部検査後において、受光用筒11を、外部検査区間に到達する直前に載置部8の上下揺動が許容される下方位置に退避させる。
【0067】
次に、農産物A外部を外部検査装置21のカメラ21a…で撮影し、その撮像情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0068】
次に、農産物Aの重量を重量検査装置22で計測し、その計測情報を、バケット3毎に設定された固有情報と関連付けて制御装置23に記憶させる。
【0069】
次に、認識装置15の位置情報と、内部検査装置20及び外部検査装置21、重量検査装置22との検査情報に基づいて、農産物Aの等級・階級を制御装置23で個々に判定し記憶させた後、次の振分け部cに移動させる。
【0070】
次に、振分け部cにおいて、バケット3…毎に設定された固有情報と対応する判定結果を制御装置23から読み出し、その判定結果に基づいて、各放出部に設けた係止解除装置24…を独立して駆動させ、図12のイ位置からロ位置に移動する区間において、揺動リンク機構7のピン7cに対するバケット3に設けたフック10の係止を解除する。
【0071】
次に、図12のロ位置、ハ位置から図13のニ位置、ホ位置に移動する区間において、農産物Aが載置されたバケット3の載置部8を、基部3aに対して下方かつ搬送方向とは逆方向へ相対移動させながら降下させる。また、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの内面に、左右一対の揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aの基端部外面が当接して、農産物Aが略水平に保持される閉状態に回動規制したまま降下させる。
【0072】
次に、図13のホ位置からヘ位置に移動する区間において、図6にも示すように、載置部8が最も下方に位置する直前に、左右一対の揺動リンク機構7,7を構成するアーム7b,7bの段付き遊端部内面から、左右一対の揺動部材9,9を構成するハンド部9a,9aの基端部外面が外れると、回動規制が解除され、左右一対の揺動部材9,9のハンド部9a,9aが部材自体及び農産物Aの重量により下方に開放されるので、図16のトにも示すように、移載装置28の左右一対の受け部材29,29に対する農産物Aの受け渡しが完了する。
【0073】
また、図8にも示すように、同一等階級の農産物Aが特定の放出部に搬送されるとき、その放出部に設けた係止解除装置24…を搬送方向の下流側から順番に独立して駆動させ、図19のワ,カ及び図20のヨにも示すように、バケット3の載置部8に載置された農産物Aを、箱詰め装置26の受け台27上に設定した貯留部Ca〜Cdに対して搬送方向の下流側の貯留部Caから順番に、受け台27の開口部27a…上方に突出する移載装置28の左右一対の受け部材29,29に受け渡して、一旦貯留し、貯留部Cdに農産物Aが貯留されるまで待機する。
【0074】
貯留部Ca〜Cd全てに農産物Aが貯留されたら、図14及び図16のチにも示すように、左右一対の受け部材29,29を同期して下方に円弧回動させ、受け台27の開口部27a…下部に設けた収容装置35を構成する左右一対のフィンガー部材36,36に一括して受け渡しする。
【0075】
次に、収容装置35を構成する左右一対のフィンガー部材36,36に対する農産物Aの受け渡しが完了し、左右一対の受け部材29,29を、左右一対のフィンガー部材36,36で保持した農産物Aの下降動作に干渉しない角度に退避させた後、図15及び図17のリ,ヌにも示すように、左右一対のフィンガー部材36,36を同期して移動させ、4個の農産物A…を、左右一対のフィンガー部材36,36で搬送方向に向けてほぼ直列に整列保持したまま一括して垂直に降下させ、放出部下部に容器搬送コンベヤ44が搬送した横長の容器D内部に一括して挿入する。
【0076】
つまり、農産物Aの下側を保持したままフィンガー部材36,36の先端部をほぼ真下方向へ移動させながら、その基端部を内側に向くように移動させるとともに、フィンガー部材36,36の載置面に載置された農産物Aを貯留姿勢に保持しながらほぼ垂直に降下させて、図20のタ及び図21のレ,ソにも示すように、容器D内部に設定される挿入位置と対応させて緩衝部材Eに形成した1列目の凹部Ea…にそれぞれ直接挿入し、1列分の農産物A…を容器D内部に収容する。
【0077】
一方、農産物Aが退避位置の左右一対の受け部材29,29よりも下方に降下した後、左右一対のフィンガー部材36,36の降下動作中に、左右一対の受け部材29,29は受け台27の開口部27a…上方に突出する角度に復帰回動され、次に放出される農産物Aの受け取りが可能な貯留部Ca〜Cdを形成して待機する。
【0078】
次に、図18のル,オにも示すように、左右一対のフィンガー部材36,36による4個の農産物A…を容器Dに収容する動作が完了した後、フィンガー部材36,36の先端部は下方の位置から上方の位置へ復帰移動され、移載装置28を構成する左右一対の受け部材29,29で受け取った農産物Aの受け渡しが可能な状態に待機する。
【0079】
次に、1列目の農産物A…を、容器D内部に設定される1列目の挿入位置に収容した後、収容装置35下部に搬送された容器Dを容器搬送コンベヤ44で1ピッチ分移動し、移動装置45を構成する一方の当て板46を移動用シリンダー47で水平移動して、図22にも示すように、当て板46が一側面に当接された容器Dを、容器搬送コンベヤ44の幅方向と略平行する方向(又は搬送方向と略直交する方向)に変位させてから、上述と同様にして、移載装置28から収容装置35に受け渡しされる2列目の農産物A…を1列目の農産物A…に対して変位した状態に収容する。
【0080】
次に、他方の当て板46が他側面に当接された容器Dを、2列目の農産物A…が収容された容器Dを変位する前の元位置に復帰させてから、上述と同様にして、3列目の農産物A…を1列目の農産物A…と同じ状態に収容する。
【0081】
つまり、収容装置35の放出部直下に、容器D内部に設定した1列目〜4列目の挿入位置(容器D内部に敷設した緩衝部材Eの1列目〜4列目の凹部Ea…)が来るように1ピッチ分ずつ移動するとともに、容器Dを、1列分の農産物A…が収容される毎に容器搬送コンベヤ44の幅方向と略平行する方向に交互に水平移動して、図23の(e)に示すように、所定個数の農産物A…を容器D内部に対して千鳥状に収容する。
【0082】
次に、所定個数の農産物A…が収容された容器Dを次工程に搬送し、次に待機する未収容の容器Dを箱詰め装置26直下に搬送供給して、箱詰め作業を継続する。また、容器Dを縦長方向に向けて収容装置35の放出部下部に供給すれば、(f)に示すような千鳥状に収容することができる。また、収容装置35の放出部下部に供給される容器Dを水平方向に移動させなければ、(g)に示すような升目状に収容することができる。
【0083】
以上のように、農産物選別装置1を構成するバケットコンベア2のバケット3…から放出される農産物A…を箱詰め装置26に一旦貯留した後、その箱詰め装置26に貯留された所定個数の農産物A…を貯留姿勢に保持したまま下方の容器Dに一括して挿入又は収容するので、従来例のような装置に比べて箱詰めするまでの移動距離が短く、農産物A自体が受ける負荷が軽減されるため、農産物Aを損傷させることなく、所望する配列状態に整列したまま箱詰めすることができる。また、従来例のような吸引装置を設ける必要が無く、装置全体の構成及び構造を簡素化して、設備コストの低減を図ることができる。
【0084】
また、バケット3…から放出される農産物A…を搬送順に箱詰めするので、農産物Aの位置が途中で入れ替わることがなく、農産物Aの判定結果を、容器D毎に設定された識別情報と、容器Dに収容された農産物Aの位置情報とに関連付けて記憶しておけば、その識別情報と位置情報とから、例えば生産者の名前、農産物の等階級、生産地、品名、品種、農薬、消毒剤、肥料等の農産物Aに関するトレーサビリティ情報を得ることができ、農産物Aの品質管理及び履歴管理が正確且つ確実に行える。
【0085】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の箱詰め手段は、実施例の箱詰め装置26と、移載装置28及び左右一対の受け部材29,29と、収容装置35及び左右一対のフィンガー部材36,36とに対応し、
容器搬送手段は、容器搬送コンベヤ44に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0086】
例えば容器搬送コンベア44を幅方向と略平行する方向(又は搬送方向と略直交する方向)に移動させて、所定個数の農産物を千鳥状に整列したまま容器D内部に収容することもできる。
【0087】
また、バケットコンベア2のバケット3…を、搬送ライン上に設定した振分け部c…と、その搬送ライン側部に設定した振分け部c…とに移動自在に設ければ、農産物Aを、搬送ライン上の振分け部c…に対して振分ける装置よりも、バケットコンベア2全体の搬送距離が短くなり、装置全体の設置面積が小さくて済み、レイアウトが容易に行える。
【0088】
また、柑橘類などの傷みにくいものの場合、移載装置28を設けず、バケット3から放出される農産物Aを直接収容装置35の左右一対のフィンガー部材36,36に受け渡すようにすることもできる。この場合、フィンガー部材36,36の先端部が農産物Aを受け取り可能な上端に位置することにより貯留部Ca〜Cdが形成される。
【0089】
また、実施例では、4個の農産物Aを容器Dに収容する箱詰め装置26の動作例を説明したが、例えば農産物Aの収容数を4個以下又は4個以上に変更することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の箱詰め装置は、例えば球技用ボール、食品、部品等の物品を所定位置に供給する作業にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】農産物選別装置の全体構成を示す平面図。
【図2】バケットの周回動作を示す側面図。
【図3】バケットの載置構造を示す斜視図。
【図4】バケットの載置構造を示す平面図。
【図5】揺動リンク機構による載置部の支持状態を示す斜視図。
【図6】載置部を構成する揺動部材の開閉動作を示す正面図。
【図7】受光用筒の揺動動作及び農産物の照光状態を示す正面図。
【図8】箱詰め装置に対する農産物の供給動作を示す側面図。
【図9】移載装置及び収容装置の配置状態を示す平面図。
【図10】移載装置及び収容装置の取り付け状態を示す正面図。
【図11】容器に対する農産物の挿入動作を示す斜視図。
【図12】図中のイ,ロ,ハは載置部の降下動作を示す側面図。
【図13】図中のニ,ホ,ヘは載置部の降下動作を示す側面図。
【図14】移載装置を構成する受け部材の移載動作を示す正面図。
【図15】収容装置を構成するフィンガー部材の供給動作を示す正面図。
【図16】図中のト,チは農産物の受け渡し動作及び移載動作を示す正面図。
【図17】図中のリ,ヌは農産物の降下動作を示す正面図。
【図18】図中のル,オは農産物の挿入動作を示す正面図。
【図19】図中のワ,カは農産物の受け渡し動作及び移載動作を示す側面図。
【図20】図中のヨ,タは農産物の降下動作を示す側面図。
【図21】図中のレ,ソは農産物の挿入動作を示す側面図。
【図22】容器の水平移動を示す側面図。
【図23】図中のe,f,gは農産物の収容状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0092】
a…供給部
b…検査部
c…振分け部
A…農産物
D…容器
Ca〜Cd…貯留部
1…農産物選別装置
2…バケットコンベヤ
3…バケット
8…載置部
15…認識装置
20…内部検査装置
21…外部検査装置
22…重量検査装置
23…制御装置
24…係止解除装置
25…レール部材
26…箱詰め装置
28…移載装置
29…受け部材
35…収容装置
36…フィンガー部材
44…容器搬送コンベヤ
45…移動装置
46…当て板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバケットを無端状に設けて搬送ラインを構成したバケットコンベヤを備え、該搬送ライン上に、バケット内に農産物が供給される供給部と、農産物の品質を測定し属する等級または階級を判定する検査部と、農産物を品質毎に振分ける振分け部とが順に配設される農産物選別装置において、
上記振分け部に、上記バケットから放出された農産物を複数個整列して貯留可能な貯留部を有し、該貯留部に貯留された所定個数の農産物を、貯留姿勢を保持しながら下方に配置した容器に一括して挿入する箱詰め手段を設けたことを特徴とする
農産物選別装置。
【請求項2】
上記検査部における判定に基づいて、上記バケットコンベヤのバケットから放出される農産物を箱詰め手段の各貯留部に所定の順序で供給する
請求項1に記載の農産物選別装置。
【請求項3】
上記箱詰め手段の下方に空の容器を搬入するとともに、上記農産物が収容された容器を箱詰め手段の下方から搬出する容器搬送手段を設けた
請求項1または2に記載の農産物選別装置。
【請求項4】
上記容器搬送手段は、該容器搬送手段の搬送方向と直交する方向に上記容器を移動可能である
請求項1〜3のいずれか一つに記載の農産物選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−198553(P2006−198553A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14404(P2005−14404)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【出願人】(504441853)
【Fターム(参考)】