説明

電動車両のモータ制御装置

【課題】電動車両のモータロック時にスイッチング素子を確実に保護するとともに、一定の駆動トルクを発生させる。
【解決手段】ロック状態判定部72により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった特定のスイッチング素子54に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、瞬時許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が瞬時許容電流閾値以下であって連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が連続許容電流閾値を上回らないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のスイッチング素子をブリッジ構成に接続したインバータ回路により駆動されるモータを動力源とする電動車両のモータ制御装置に関し、特に、モータがロック状態になったときの前記スイッチング素子の駆動制御を的確に行う電動車両のモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、モータを動力源とする電動車両(電動車イスを含む。)は、高齢者や身体障害者向けの電動車椅子や、ゴルフ場等における電動カートとして開発及び実用化がなされている。このような電動車両では、制御装置が、アクセル操作量に基づいて設定した速度指令による速度となるようにモータを駆動する制御がなされている。
【0003】
この種の電動車両による登坂時においては、走行抵抗が大きいため、登坂途中に段差や障害物等があった場合にはアクセル操作量を最大にしてもモータがロック状態に陥ることがある。
【0004】
モータがロック状態になると、モータに電流を供給しているインバータ回路のスイッチング素子中、特定のスイッチング素子のみに大電流が連続的に流れることになる。
【0005】
このようなモータのロック状態が長く続くと、大電流が供給され続けている特定のスイッチング素子の温度が上昇して、当該素子の最高許容温度を上回り、前記特定のスイッチング素子が熱により破壊される。そこで、スイッチング素子の熱破壊を防止するために、モータのロック状態を検出したとき、前記スイッチング素子を保護する各種技術が提案されている。
【0006】
特許文献1は、モータのロック状態を検出したときに、トランジスタのジャンクション温度が、設定された上限温度に達するまでの時間を計算してタイマにセットし、タイマによる計時が終了したときに電流指令値を制限する技術を開示している。
【0007】
特許文献2は、モータ回転数が60[rpm]以下である場合にモータがロック状態にあるとみなし、PWM(パルス幅変調)信号のキャリア周波数を通常の10[kHz]から1.25[kHz]に切り替えることでスイッチング損失を低減し、スイッチング素子を保護する技術を開示している。
【0008】
特許文献3は、ドライバ加速要求時に、モータがほぼ回転しないようなロック状態と判定したとき、複数のスイッチング素子の間で電流供給対象素子を強制的に切り替える(転流する)技術を開示している。
【0009】
【特許文献1】特開平9−56182号公報
【特許文献2】特開平9−70195号公報
【特許文献3】特開2005−185000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に係る技術では、トランジスタ素子のジャンクション温度を検出するための高精度な温度検出性能を有する温度センサ及びその検出制御装置を必要とし、高コストである。
【0011】
また、上記特許文献2に係る技術によれば、キャリア周波数を切り替えるための複数の発振器が必要となり、同様に高コストである。
【0012】
さらに、特許文献3に係る技術によれば、モータ位相とは無関係に転流を行うために駆動制御が複雑となり、安定にモータを駆動することができなくなるという懸念がある。
【0013】
ところで、上述した特許文献1、2に開示された技術によれば、電流を制限してスイッチング素子を保護することは可能であるが、駆動トルクが小さくなるためにロック状態から脱出することが困難である。
【0014】
また、上述した特許文献3に開示された技術によれば、モータ位相とは無関係に強制的に転流を行うために、ロック状態を脱出するのに必要なステータ(モータコイル)へ電流を供給するスイッチング素子への平均的な電流値が少なくなることから、そのモータコイルによるロータへのトルクの付与が小さくなり、ロック状態を脱出するための十分な駆動トルクを得ることができない状態が発生する。
【0015】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、電動車両のモータがロック状態となったときに、スイッチング素子を保護し、かつ十分な駆動トルクを確保することを可能とする電動車両のモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る電動車両のモータ制御装置は、以下の特徴(1)〜(5)を備える。
【0017】
(1)直流電力を複数のスイッチング素子により交流電力に変換して車輪駆動用のモータに供給するインバータ回路と、アクセル操作量に応じた前記モータの回転速度指令と実回転速度との偏差からトルク指令値を演算し、前記実回転速度と前記トルク指令値に基づく駆動指令値を前記スイッチング素子に供給して前記モータを駆動する制御装置と、前記インバータ回路の電源線に流れる電流を検出する電流検出器と、を備え、前記各スイッチング素子は、瞬時許容電流閾値と、連続通電時間に応じて前記瞬時許容電流閾値から低下する連続許容電流閾値と、が設定されているものであり、前記制御装置は、前記アクセル操作量と前記モータの前記実回転速度とに基づき前記モータがロック状態にあるか否かを判定するロック状態判定部と、前記ロック状態判定部により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった特定のスイッチング素子に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、前記瞬時許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が前記連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が前記瞬時許容電流閾値以下であって前記連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らないように制御するロック時駆動指令部と、を有することを特徴とする。
【0018】
この特徴(1)を有する発明によれば、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった特定のスイッチング素子に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、前記瞬時許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が前記連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が前記瞬時許容電流閾値以下であって前記連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らないように制御するので、ロック時に大きな電流が流れている特定のスイッチング素子を過電流から保護できるとともに、ロック状態においても間欠的に大きな駆動トルクを発生することができる。
【0019】
このように制御することにより、電動車両が坂道等でロック状態になったとしても、その坂道等で後退することがない。
【0020】
(2)上記特徴(1)を有する発明において、前記ロック時駆動指令部は、前記ロック状態判定部により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった前記特定のスイッチング素子に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、前記瞬時許容電流閾値より低い第1許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が前記連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が前記第1許容電流閾値以下であって前記連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らないように制御することを特徴とする。
【0021】
この特徴(2)を有する発明によれば、特徴(1)を有する発明に比較して、ロック時に間欠的に発生する大きな駆動トルクの値は若干少なくなるが、スイッチング素子を過電流からより余裕をもって保護することができる。
【0022】
(3)上記特徴(1)又は(2)を有する発明において、前記ロック時駆動指令部は、前記電流値を増減させる場合に、前記電流値を増加させるときには、前記特定のスイッチング素子の駆動デューティを上げて増加させ、前記電流値を減少させるときには、前記特定のスイッチング素子を遮断して減少させることで、前記瞬時許容電流閾値又は前記瞬時許容電流閾値より小さい一定電流値を上回らないように制限する制御を簡単な構成で行うことができる。
【0023】
(4)上記特徴(3)を有する発明において、前記ロック時駆動指令部は、前記ロック時の前記特定のスイッチング素子の前記平均電流値が、前記連続許容電流閾値を下回るように、前記電流値を減少させるときの前記特定のスイッチング素子の遮断時間を徐々に長くする構成とすることで、簡単な構成で、電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らない制御を、一層確実に行うことができる。
【0024】
(5)上記特徴(1)〜(4)のいずれかを有する発明において、前記インバータ回路の温度を検出する温度検出器をさらに備え、前記通電時間に応じて前記瞬時許容電流閾値から低下する前記連続許容電流閾値の設定を、検出した前記インバータ回路の温度に応じて可変するように制御することで、スイッチング素子自体の温度ではなくインバータ回路の温度を検出するので簡易な構成で精度よくスイッチング素子を保護することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明に係る電動車両のモータ制御装置によれば、電動車両のモータがロック状態となったとき、スイッチング素子を保護し、かつ十分な駆動トルクを発生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明に係る電動車両のモータ制御装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図13を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、この実施の形態に係る電動車両のモータ制御装置10を搭載した4輪の電動車両12の斜視構成を示している。
【0028】
電動車両12は、高齢者や身体障害者向けの電動車椅子として用いられるものであり、基本的には、前輪14と、後輪16と、前輪14の向きを変えるステアリング18と、後輪16を駆動するモータ20と、ステアリング18の中央部に設けられた操作部22とを有する。電動車両12では、搭乗者は足をステップ台24に置いてシート26に着座した状態で、操作部22の操作によりモータ20を回転させて走行し、ステアリング18を操舵することによって前輪14の向きを変えてコーナ走行をすることができる。
【0029】
シート26下部のボックス28内に配置される、この実施形態に係る電動車両のモータ制御装置10は、制御装置(制御装置本体)11と、モータ20と、このモータ20を駆動するドライバとしてのインバータ回路30とから構成されている。
【0030】
制御装置11は、操作部22に接続されており、操作部22から得られる信号に基づいてモータ20の回転速度指令Vmcomを求め、インバータ回路30を介してモータ20の回転制御を行う。モータ20は、DCブラシレスモータであり、無段階速度制御が可能である。制動は、回生制動、逆転制動、電磁ブレーキ制動及び手動による摩擦制動の組合わせにより行われる。駆動方式は後輪直接駆動方式である。
【0031】
電動車両12のボックス28の内部には、さらに、図示しないバッテリが、この実施の形態では鉛バッテリが搭載されており、各機器に電力を供給する。
【0032】
図2に示すように、操作部22は、中央に設けられたコンソール31と、左のステアリング18に設けられた手動ブレーキレバー32と、コンソール31の左右側面から突出した2本の走行レバーであるアクセル36とを有する。
【0033】
アクセル36は、コンソール31の内部でギア等により連動するように構成されており、アクセル36を操作することにより走行が可能である。
【0034】
コンソール31は、走行のための各種スイッチ類がまとめて配置されており、速度設定ノブである速度設定器46と、走行速度等を表示するモニタ48等とを有する。速度設定器46は、ポテンショメータと一体的に回転されるノブであって、時計方向に回転させるに従って走行の最高制限速度Vmaxが高くなるように設定可能である。最高制限速度Vmaxは、前進時には、例えば1〜6km/h、後進時には、1〜2km/hに無段階に設定される。
【0035】
アクセル36は、レバーを手前に引く操作の操作量{以下、アクセル操作量(いわゆるアクセル開度)という。}θに応じて、速度設定器46で設定される最高制限速度Vmaxの範囲内で速度が速くなるように設定される。アクセル36は、手を離すと図示しない弾性体の復帰力により原位置に戻って、ブレーキがかかり、速度が低下し、停止することができる。
【0036】
アクセル操作量θは、アクセルセンサ40により検出され、電動車両のモータ制御装置10に供給される。
【0037】
図3は、この実施形態に係る電動車両のモータ制御装置10の回路構成を示すブロック図である。
【0038】
電動車両のモータ制御装置10は、上述のバッテリ52を含み、このバッテリ52の直流電力を、インバータ回路30を構成するUVW3相のブリッジ接続されたスイッチング素子54(54a〜54f)により交流電力に変換して車輪駆動用のモータ20に供給する。スイッチング素子54としては、MOSFETやIGBTが採用される。
【0039】
バッテリ52とインバータ回路30との間の電源線53に、バッテリ52からインバータ回路30に流れるモータ電流Imを検出する電流検出器62が挿入されている。
【0040】
インバータ回路30を駆動する制御装置11は、マイクロコンピュータ60を有する。マイクロコンピュータ60は、計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時手段としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出して実行することで各種機能実現部として機能する。
【0041】
この実施形態において、マイクロコンピュータ60は、ロック時ではない通常走行時にPWM(パルス幅変調)回路58に駆動指令Dcomを供給する基本駆動指令部70と、速度検出器56により検出されるモータ20の実回転速度Vm等によりロック状態を判定するロック状態判定部72と、ロック状態と判定されたときにロック制御を行うための駆動指令Dcomを供給するロック時駆動指令部74等として機能する。
【0042】
基本駆動指令部70は、速度設定器46の最高制限速度Vmaxの設定に基づきアクセルセンサ40からのアクセル操作量θに応じたモータ20の回転速度指令Vmcomを算出し、この回転速度指令Vmcomと速度検出器56により検出される実回転速度Vmとの偏差からトルク指令値Trcomを演算し、実回転速度Vmとトルク指令値Trcomに基づく駆動指令DcomをPWM回路58を介してインバータ回路30のスイッチング素子54に供給する。
【0043】
PWM回路58は、駆動指令Dcomに応じたデューティを有する駆動信号を各スイッチング素子54に供給する。駆動信号に応じてスイッチング素子54は順次切り替えられモータ20のステータ(界磁コイル)を通じて回転磁界を発生し、ロータを回転させる。ロータの回転力が減速機(不図示)を通じて後輪16に伝達されることで電動車両12が走行する。
【0044】
ロック状態判定部72は、駆動指令Dcom出力中に、実回転速度Vmが、所定回転速度(停止とみなす回転速度)Vms以下、例えばVms=50[rpm]以下であって、かつその停止とみなす所定回転速度Vms以下の状態が所定時間Tstop以上、例えばTstop=3[s]以上継続した場合に、電動車両12が車輪14、16により走行していないモータ20がロック状態にあると判定する。
【0045】
モータ20がロック状態であると判定したときに、PWM回路58への制御が基本駆動指令部70による制御から、ロック時駆動指令部74と電流制限器64とによる制御に切り替わる。
【0046】
ロック時駆動指令部74と電流制限器64は、電動車両12のモータ20がロック状態となったときに、スイッチング素子54を保護し、かつ十分な駆動トルクを発生(確保)するように作動する。
【0047】
ロック時駆動指令部74は、モータ20がロック状態であると認識したときに、ロック状態でモータ20に電流を供給している特定のスイッチング素子54に対してロック時の駆動指令Dcomを出力する。
【0048】
電流制限器64は、スイッチング素子54に流れる電流を、瞬時許容電流閾値Iimaxth(スイッチング素子54に流れる電流が瞬時でもこの値を上回ると素子破壊等を起こす可能性が高い最大許容電流値)又はこの瞬時許容電流閾値Iimaxthに余裕分を見た、この瞬時許容電流閾値Iimaxthよりも小さい第1許容電流閾値Iimaxth1を上回らない値となるように制限する。
【0049】
電流制限器64は、比較器を利用したハードウエア回路により構成しているので、PWM回路58を通じて、ロック状態でモータ20に電流を供給している特定のスイッチング素子54に流れる電流を瞬時に(高速に)遮断できる。
【0050】
電流制限器64は、特定のスイッチング素子54に流れる電流を直ちに遮断するための素子停止信号SlsをPWM回路58に供給する。この素子停止信号Slsを出力している期間に電流制限作動状態信号Slaがロック時駆動指令部74に供給される。ロック時駆動指令部74は、後述する所定条件下で電流制限器64に対して電流制限解除信号Slrを供給する。
【0051】
インバータ回路30は、放熱が考慮された放熱器(放熱板)にスイッチング素子54が取り付けられたパッケージ構成(ユニット構成)とされ、そのパッケージ温度Tpを測定する温度検出器33が一体的に設けられている。パッケージ温度Tpとスイッチング素子54の素子温度(実際には、ジャンクション温度)とは所定の関数関係にあり、予め、その関係が測定されてマイクロコンピュータ60のROMに前記関数関係がマップ等として格納され、パッケージ温度Tpを測定することでスイッチング素子54の素子温度を推定できるようになっている。
【0052】
したがって、インバータ回路30のパッケージ温度Tpが分かると、当該スイッチング素子54のパッケージ温度Tp(実際には、ジャンクション温度)に依存する連続許容電流閾値Icthを計算することができ、この連続許容電流閾値Ichtを計算するマップあるいは計算式が、マイクロコンピュータ60のROMに閾値マップ(閾値参照表)76等として格納される。
【0053】
ROMには、前記CPUが実行する前記プログラムの他、前記CPU(各種機能部)が参照する閾値マップ76(閾値参照表)が格納されている。
【0054】
閾値マップ76は、図4に示すように、時間[s]の経過に対する電流I[A]の閾値(電流閾値)Ithを示すテーブルであり、電流閾値Ithとして、上述したスイッチング素子54の瞬時許容電流閾値Iimaxth、第1許容電流閾値Iimaxth1、及び連続許容電流閾値Icth(平均値)がそれぞれ格納されている。
【0055】
連続許容電流閾値Icthは、素子温度(この実施形態では、上述したように、素子温度をパッケージ温度Tpに換算しパッケージ温度Tpで素子温度を代替している。)が上昇することを考慮した、連続通電時間ゼロ秒の瞬時許容電流閾値Iimaxthからパッケージ温度Tpが上昇するにともない低下する特性になっている。
【0056】
許容電流は、図5に示すように、パッケージ温度Tp[℃]が高温になると指数関数的に減少し、図6に示すように、連続通電時間[s]の経過に対して、ある時点から比例的に減少する。したがって、パッケージ温度Tpを検出することにより、その温度検出時における連続許容電流閾値Icth(図4参照)の値を求めることができる。
【0057】
電動車両12は、例えば壁等に押し当たってモータ20がロックした状態においても、そのロック状態において一定時間(例えば、15秒間)トルクを確保しておく必要がある(モータ20のステータの界磁コイルに電流を流しておく必要がある)。その一定時間を、図4に示すロック時保護時間Tproという。このロック時保護時間Tproの間では、スイッチング素子54が破壊しないで、しかもできるだけ、大きな駆動トルクが確保できることが好ましい。
【0058】
基本的には以上のように構成され、かつ動作するこの実施形態に係る電動車両のモータ制御装置10の詳細動作について説明する前に、まず、この動作の意義を明確化するための比較例を説明する。
【0059】
ロック状態においては、モータ20の回転が停止するので、図7に示すように、回転が停止したときの特定のスイッチング素子54a、54eのみにバッテリ52からモータ電流Im(Im=Imlock)が流れる。
【0060】
図8に示すように、このロック状態を検出した時点t0で、例えば、下アームのスイッチング素子54eの駆動信号のデューティを上げてモータ電流Im(Im=Imlock)を増加させてモータ20の駆動トルクを大きくする。この場合、図8に示すように、上アームのスイッチング素子54aの駆動信号はON状態としておくが、直列接続であるので上アームのスイッチング素子54aにも下アームのスイッチング素子54eと同一波形のモータ電流Im(Im=Imlock)が流れる。
【0061】
このような駆動により、図9に示すように、時点t0(t0=0)のロック時から急激に大きくなり、時点t1で一定電流になるロック時基本デューティモータ電流Imlockが流れるが、例えば、時点t2に示すように、ロック時基本デューティモータ電流Imlockが、連続許容電流閾値Icthを上回ると、スイッチング素子54a、54eは破壊故障に至る。したがって、比較例では、ロック時保持時間Tproを満足することができなくなるので、ロック時基本デューティモータ電流Imlockをより小さいロック時基本デューティモータ電流mlock´等に電流値を制限する必要があったことから、モータ20の駆動トルクが小さくなってしまう。
【0062】
そこで、この比較例の不都合をこの実施形態の以下に説明する処理により解決する。
【0063】
以下、この実施形態に係る電動車両のモータ制御装置10の動作について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0064】
電動車両12の走行中のステップS1において、搭乗者によるアクセル36の操作に対応するアクセル操作量θがアクセルセンサ40により検出されるとともに、速度設定器46の設定による最高制限速度Vmaxが基本駆動指令部70(図3)により検出される。
【0065】
次に、ステップS2において、基本駆動指令部70は、アクセル操作量θと最高制限速度Vmaxに基づきモータ20の回転速度指令Vmcomを演算する。
【0066】
次いで、ステップS3において、基本駆動指令部70は、演算した回転速度指令Vmcomと速度検出器56により検出されるモータ20の実回転速度Vmとの偏差(Vm−Vmcom)を演算する。
【0067】
ステップS4において、基本駆動指令部70は、PID(比例積分微分)制御により偏差(Vm−Vmcom)がゼロ値となるようなトルク指令値Trcomを演算する。
【0068】
ステップS5において、基本駆動指令部70は、実回転速度Vmとトルク指令値Trcomとから予め作成してあるマップを参照して駆動デューティである駆動指令Dcomを演算し、PWM回路58に設定する。
【0069】
ステップS6において、PWM回路58は、駆動指令Dcomに応じたデューティを有する駆動信号をスイッチング素子54に出力する。
【0070】
次いで、ステップS7において、ロック状態判定部72は、上述したように、駆動指令Dcom出力中に、実回転速度Vmが、所定回転速度Vms以下であって、かつその停止とみなす所定回転速度Vmsが所定時間Tstop以上継続しているかどうかによりモータ20がロック状態になっているかどうかを判定する。
【0071】
ロック状態になっていないと判定したときには、ステップS1に戻り、基本駆動指令部70による制御動作(電動車両12の走行動作)を繰り返す。
【0072】
その一方、ステップS7の判定が成立したときには、ステップS8において、ロック状態判定部72は、モータ20がロック状態にあると判定(決定)して、ロック時駆動指令部74に通知する。これにより、PWM回路58への制御が基本駆動指令部70による制御から、ロック時駆動指令部74と電流制限器64とによる制御に切り替わり、ロック時駆動指令部74は、ロック状態となった時点t0において、まず、ロック時基本デューティモータ電流Imlockの駆動指令DcomをPWM回路58に出力する(図11時点t0参照)。
【0073】
このとき、ステップS9において、ロック時駆動指令部74は、ロック状態と判定された時点t0からロック状態の計時を開始するとともに、温度検出器33によりインバータ回路30のパッケージ温度Tpを検出し、ステップS10において、パッケージ温度Tpとロック状態の経過時間(時点t0からの時間)から連続許容電流閾値Icthを演算する。
【0074】
次いで、ステップS11において、ロック時駆動指令部74は、電流検出器62によりロック時基本デューティモータ電流Imlock(後述するステップS12が成立したときには、ロック時最大デューティモータ電流Imlockmax)を検出する。
【0075】
次に、ステップS12において、ロック時駆動指令部74は、検出したロック時基本デューティモータ電流Imlockが連続許容電流閾値Icthより小さい値であって、かつ電流制限器64が未作動(素子停止信号Slsを出力していない状態)であるかどうかを判定する。
【0076】
ステップS12の判定が成立したとき(図11のタイムチャートの時点t10参照)、ステップS13において、ロック時駆動指令部74は、電流制限器64が作動して素子停止信号Slsを出力するまでロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxを流すより大きなデューティの駆動指令Dcomを出力する(時点t10〜t11参照)。
【0077】
電流制限器64は、図11の時点t11(及び、その後の時点t13、t15、t17、t19、t21)に示すように、電流検出器62で検出されるロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxが第1許容電流閾値Iimaxth1を上回ろうとするときに素子停止信号Slsを出力して作動するとともに、作動状態であることを示す電流制限作動状態信号Slaをロック時駆動指令部74に通知する。
【0078】
次いで、ステップS14において、ロック時駆動指令部74は、電流制限器64が作動状態であることを示す電流制限作動状態信号Slaを受領したとき、ステップS15において、ロック時基本デューティモータ電流Imlockとロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxの通電時間の積分値からロック時直流通電電流Imlockdcを演算する(図11参照)。
【0079】
次いで、ステップS16において、ロック時駆動指令部74は、ロック時直流通電電流Imlockdcが連続許容電流閾値Icthを下回っているかどうかを判定する(Imlockdc<Icth)。
【0080】
下回っている場合には、ステップS17においてロック時駆動指令部74は、電流制限器64に対して電流制限解除信号Slrを通知することで、電流制限器64は、素子停止信号Slsの出力を解除する(図11中、時点t12及びその後の時点t14、t16、t18、t20、t22)。
【0081】
そうすると、次のステップS11において、ロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxが検出され、ステップS12以降の動作を繰り返す。
【0082】
図12、図13の実施形態の説明図に示すように、ロック状態において、図7、図8の比較例の説明図に対して、ロック状態と判定した時点t0において、ロック時基本デューティモータ電流Imlockでモータ電流Imを増加させる点では同じであるが、時点t10以降で、連続許容電流閾値Icthを下回る条件の成立下に、モータ電流Imを値の大きいロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxでモータ20を駆動することができるので、図11に示すように、ロック時におけるモータ電流Imを間欠的ではあるが第1許容電流閾値Iimaxth1まで増加させることができ、ロック状態においてもモータ駆動トルクを大きな値とすることができる。図13において、時点t11〜t12間は、電流制限器64によりスイッチング素子54a及びスイッチング素子54eが遮断されている期間である(図11も参照)。
【0083】
なお、ロック時において、電流制限器64による制限を第1許容電流閾値Iimaxth1よりも大きい瞬時許容電流閾値Iimaxthとしてもよい。許容電流閾値{瞬時許容電流閾値Iimaxth又は第1許容電流閾値Iimaxth1}は、ロック時駆動指令部74から電流制限器64に設定するようにしてもよい。
【0084】
以上説明したように上述した実施形態に係る電動車両のモータ制御装置10は、バッテリ52の直流電力をUVWの3相ブリッジ接続された複数のスイッチング素子54により交流電力に変換して車輪駆動用のモータ20に供給するインバータ回路30と、アクセル操作量θに応じたモータ20の回転速度指令Vmcomと実回転速度Vmとの偏差からトルク指令値Trcomを演算し、実回転速度Vmとトルク指令値Trcomに基づく駆動指令DcomをPWM回路58を通じてスイッチング素子54に供給してモータ20を駆動する制御装置11と、インバータ回路30の電源線53に流れるモータ電流Imを検出する電流検出器62とを備える。
【0085】
各スイッチング素子54は、瞬時許容電流閾値Iimaxthと、直流電流の連続通電時間に応じて瞬時許容電流閾値Iimaxthから低下する連続許容電流閾値Icthと、が設定されている。
【0086】
制御装置11は、アクセル操作量θとモータ20の実回転速度Vmとに基づきモータ20がロック状態にあるか否かを判定するロック状態判定部72と、ロック状態判定部72により、ロック状態と判定されたとき、前記直流電流の連続通電状態となった特定のスイッチング素子54(54a、54e)に流れるロック時電流を、連続通電初期時(図11中、時点t0〜t10)には、瞬時許容電流閾値Iimaxthを上回らない一定電流値であるロック時基本デューティモータ電流Imlockに制限し、該一定電流値であるロック時基本デューティモータ電流Imlockが連続許容電流閾値icthを上回ろうとする時点t10以降では、前記一定電流値であるロック時基本デューティモータ電流Imlockの制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値(ロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxの上側ピーク値)が瞬時許容電流閾値Iimaxth以下であって連続許容電流閾値Icth以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値であるロック時直流通電電流Imlockdcが連続許容電流閾値Icthを上回らないように制御するロック時駆動指令部74と、を有する。
【0087】
この実施形態によれば、ロック時に大きな電流が流れている特定のスイッチング素子54(54a、54e)を過電流から保護できるとともに、ロック状態においても間欠的に大きな駆動トルクを発生することができる。
【0088】
このように制御することにより、電動車両12が坂道等でロック状態になったとしても、その坂道等で後退することがない。
【0089】
この場合、ロック時駆動指令部74は、ロック状態判定部72により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった特定のスイッチング素子54(54a、54e)に流れるロック時電流を、連続通電初期時(時点t0〜t10)には、瞬時許容電流閾値Iimaxthより低い第1許容電流閾値Iimaxth1を上回らない一定電流値となるロック時基本デューティモータ電流Imlockに制限し、該一定電流値が連続許容電流閾値Itchを上回ろうとする時点t11以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときのピーク値(ロック時最大デューティモータ電流Imlockmaxの上側ピーク値)が第1許容電流閾値Iimaxth1以下であって連続許容電流閾値Icth以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値であるロック時直流通電電流Imlockdcが連続許容電流閾値Icthを上回らないように制御することで、ロック時に間欠的に発生する大きな駆動トルクの値は瞬時許容電流閾値Iimaxthと第1許容電流閾値Iimaxth1との差分に対応して若干少なくなるが、ロック状態にあるスイッチング素子54(54a、54e)をより確実に保護することができる。
【0090】
なお、ロック時駆動指令部74は、前記電流値を増減させるときに、前記電流値を増加させる際には、特定のスイッチング素子54e(直列接続であるので、結果として54aも含む。)の駆動デューティを上げて増加させ(図13、時点t10参照)、前記電流値を減少させる際には、特定のスイッチング素子54(54aと54e)を遮断して減少させることで、瞬時許容電流閾値Iimaxth又は瞬時許容電流閾値Iimaxthより小さい一定電流値としての第1許容電流閾値Iimaxth1を上回らないように制限する制御を簡単な構成で行うことができる。
【0091】
また、ロック時駆動指令部74は、前記ロック時の前記特定のスイッチング素子54(54a、54e)の平均電流値であるロック時直流通電電流Imlockdcが、直流電流の連続通電時間に応じて瞬時許容電流閾値Iimaxthから低下する連続許容電流閾値Icthを下回るように、前記電流値を減少させるときの特定のスイッチング素子54(54a、54e)の遮断時間(時点t11〜t12、時点t13〜t14、・・・)を徐々に長くする構成とすることで、簡単な構成で、電流値を増減させているときの平均電流値であるロック時直流通電電流Imlockdcが連続許容電流閾値Icthを上回らない制御を、一層確実に行うことができる。
【0092】
さらに、インバータ回路30のパッケージ温度Tpを検出する温度検出器33を備え、前記通電時間に応じて瞬時許容電流閾値Iimaxthから低下する連続許容電流閾値Icthの設定を、検出したインバータ回路30のパッケージ温度Tpに応じて可変するように制御することで、スイッチング素子54自体の温度ではなくインバータ回路30のパッケージ温度Tpを検出するようにしているので簡易な構成で精度よくスイッチング素子54を保護することができる。
【0093】
この発明に係る電動車両のモータ制御装置は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】電動車両の斜視図である。
【図2】操作部の平面図である。
【図3】電動車両のモータ制御装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】閾値マップの例示図である。
【図5】パッケージ温度に対するスイッチング素子の許容電流の説明図である。
【図6】連続通電時間に対する許容電流の説明図である。
【図7】比較例でのロック時に特定のスイッチング素子のみにモータ電流が流れることの説明図である。
【図8】比較例で、ロック状態検出時点以降で特定のスイッチング素子の駆動デューティを増加させる説明図である。
【図9】比較例での電流閾値とロック時電流の説明図である。
【図10】この実施形態の動作説明に供されるフローチャートである。
【図11】この実施形態に係る電流閾値とロック時電流の説明図である。
【図12】ロック状態におけるピーク電流増加経路の説明図である。
【図13】ロック状態におけるピーク電流増加方法の説明図である。
【符号の説明】
【0095】
10・・・電動車両のモータ制御装置 11・・・制御装置(制御装置本体)
12・・・電動車両 20・・・モータ
30・・・インバータ回路 58・・・PWM回路
62・・・電流検出器 72・・・ロック状態判定部
74・・・ロック時駆動指令部 76・・・閾値マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を複数のスイッチング素子により交流電力に変換して車輪駆動用のモータに供給するインバータ回路と、
アクセル操作量に応じた前記モータの回転速度指令と実回転速度との偏差からトルク指令値を演算し、前記実回転速度と前記トルク指令値に基づく駆動指令値を前記スイッチング素子に供給して前記モータを駆動する制御装置と、
前記インバータ回路の電源線に流れる電流を検出する電流検出器と、を備え、
前記各スイッチング素子は、瞬時許容電流閾値と、連続通電時間に応じて前記瞬時許容電流閾値から低下する連続許容電流閾値と、が設定されているものであり、
前記制御装置は、
前記アクセル操作量と前記モータの前記実回転速度とに基づき前記モータがロック状態にあるか否かを判定するロック状態判定部と、
前記ロック状態判定部により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった特定のスイッチング素子に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、前記瞬時許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が前記連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が前記瞬時許容電流閾値以下であって前記連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らないように制御するロック時駆動指令部と、
を有することを特徴とする電動車両のモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両のモータ制御装置において、
前記ロック時駆動指令部は、
前記ロック状態判定部により、ロック状態と判定されたとき、連続通電状態となった前記特定のスイッチング素子に流れるロック時電流を、連続通電初期時には、前記瞬時許容電流閾値より低い第1許容電流閾値を上回らない一定電流値に制限し、該一定電流値が前記連続許容電流閾値を上回ろうとする時点以降では、前記一定電流値の制限を解除して電流値の増減を繰り返させ、電流値を増減させているときの電流上側ピーク値が前記第1許容電流閾値以下であって前記連続許容電流閾値以上となるように制御し、かつ電流値を増減させているときの平均電流値が前記連続許容電流閾値を上回らないように制御する
ことを特徴とする電動車両のモータ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動車両のモータ制御装置において、
前記ロック時駆動指令部は、
前記電流値を増減させる場合に、前記電流値を増加させるときには、前記特定のスイッチング素子の駆動デューティを上げて増加させ、前記電流値を減少させるときには、前記特定のスイッチング素子を遮断して減少させる
ことを特徴とする電動車両のモータ制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の電動車両のモータ制御装置において、
前記ロック時駆動指令部は、
前記ロック時の前記特定のスイッチング素子の前記平均電流値が、前記連続許容電流閾値を下回るように、前記電流値を減少させるときの前記特定のスイッチング素子の遮断時間を徐々に長くする
ことを特徴とする電動車両のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両のモータ制御装置において、
前記インバータ回路の温度を検出する温度検出器をさらに備え、
前記通電時間に応じて前記瞬時許容電流閾値から低下する前記連続許容電流閾値の設定を、検出した前記インバータ回路の温度に応じて可変する
ことを特徴とする電動車両のモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−11647(P2010−11647A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168561(P2008−168561)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】